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オランダ政府の「安楽死委員会」への医師からの報告によると、
2010年から2011年でオランダでの安楽死件数は559件も増加。

全死者数に占める割合で言うと、
2.3%から2.7%への増加。

委員会の幹部は、
医師が合法的な安楽死を行ったかどうかを調査する機関だが、
急増の理由については推測する以外にないとしたうえで、

以下の4つを上げている。

① 医師が前よりもちゃんと報告するようになってきた。
② 終末期の患者の安楽死が増えている。
③ 人口の高齢化の結果。
④ 倫理観の変化。

Number of assisted suicide cases reported by Dutch doctors rose in 2011
AP, September 27, 2012


でも、何度か書いたけど、
安楽死法の施行の後でオランダの緩和ケアは崩壊した、と
当時の保健省が認めた、という情報があるし、

王子の事故で
オランダには25歳以上の重症脳損傷患者の治療機関が存在しないことも
報道されている。

そういうなかで、
治療を受けられない状況ができていて、
それならば痛み苦しむよりは安楽死を、と自己決定する人たちの意識を
「倫理観の変化」と括ってしまうって、どうなの……?

          ―――――――

ところで、
この記事で「医師による自殺幇助(PAS)」と書かれているのは
スイスや米国オレゴン州、ワシントン州のPASと必ずしも同じではなく、安楽死のこと。

それは記事冒頭で
「安楽死はオランダでは2002年に、ターミナルな病状で、多大な苦痛があり、
死にたいと望む人に対して合法化された」と書かれていることや、

その法律に基づいて医師らが安楽死を報告する「安楽死コミッション」のデータが
この記事に使われていることからも明らか。

それなのに、APはタイトルとリードでは
「オランダで医師による自殺幇助件数が増加」という
事実と異なった書き方をしている。

10年にもAPは、
ドイツで消極的安楽死が合法化された時に
それを自殺幇助合法化だと報じ、詳細まで偽ったことがあった ↓

AP通信がドイツの「自殺幇助合法化」報道を訂正(2010/7/3)


英国で「合法化ロビー」と非難されているBBCも
似たようなことをやっている ↓

BBC「世論は慈悲殺を支持」の怪(2010/2/1)
「BBCは公金を使って安楽死を推進している」と議員らが批判(2010/2/5)
幇助合法化を訴えて自殺した健康な夫婦の続報を新たな事件のように書くBBCの怪(2010/4/1)
2012.09.29 / Top↑
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