Kessel Marciasさんは数ヶ月前に
メキシコのTijuanaで痩身手術(脂肪吸引? 胃のバンディング?)を受けた。
1月30日になって、血を吐いたので、
その時の担当医に電話をすると、
「それは正常なことだし、治せるから連れてこい」と言われた。
そして、Tijuanaへ向かう途上で心臓マヒを起こしたために、
救急車でCA州のScripps Mercy Chula Vista病院に搬送された。
2カ月後の現在、昏睡状態。
27日に病院は家族に対して、
4月1日月曜日の午前8時をもって生命維持を停止する、と通告した。
家族はショックを受け、他に引きうけてくれる病院を探しているが、
「誰かの命を、家族でもない人が自分たちで終わらせますって
家族に言うなんて、そんなのおかしい」
病院のリリースは以下(全文ではない可能性もあります)。
When we have a critically ill patient, we provide all the care and services that are appropriate as ordered by the patient’s physicians. The best interests of the patient guide our physicians and caregivers in these circumstances. We recognize that these situations are always extremely difficult and sad for the families involved.
When the patient’s condition indicates that a course of treatment is medically ineffective, then the physician may determine that this treatment should not be provided or should be discontinued. Under such circumstances other effective care is continued. For example, when life-saving care is discontinued, we still provide comfort care and pain management.
One of the avenues available to the physician in these difficult situations is to seek the counsel of the medical staff’s bioethics committee, to which the physician can present the case for review. The committee serves in an advisory capacity and may help the providers explore various options available to the patient. The decision on the patient’s care is ultimately made by the attending physician.
ざっと要点のみ、かいつまんでみると、
患者の状態によって、一連の治療は医学的に効果がないと思われる場合に、
医師はこの治療は行うべきではない、または中止すべきであると決めることがある。
救命治療を中止した場合にも、緩和ケアは続行する。
医師は倫理委に相談することができ、倫理委はアドバイスをするが、
治療に関して最終的に決めるのは主治医。
『医学的に効果がない』という表現は曖昧だけど、
いったい、どういう「無益」の定義なんだろう?
Family battles hospital over taking man off life support
FOX5 San Diego, March 29, 2013
以下のPopeのブログにリンクされているニュース・ビデオによると、
病院と家族の話し合いの結果、月曜日の呼吸器取り外しは
とりあえず見送られた模様。
http://medicalfutility.blogspot.com/2013/03/new-case-kesell-macias-v-scripps-mercy.html
ちょっと背景がよく分からないのだけど、
連邦政府の下院に対して、このケースで陳情(?)が行われていて、
その趣旨は、
Macias一家が貧しくて無保険であるために、
保険さえあれば続行される医療が「治療の無益」論で引き上げられようとしている、
それは人道に反する、として生命維持の中止を止めよ、と。
http://www.change.org/petitions/scripps-mercy-hospital-stop-the-wrongful-termination-of-the-life-of-kesell-macias
怖いなぁ……と思ったのは、
記事にはKesellさんは「昏睡状態」と書いてあるだけなのにもかかわらず、
上記のFOX5の記事に寄せられたコメントで、中止を支持する意見の人が
「この人は脳死で、脳が溶けているんだから」と書いていること。
それにしても、このケースには
“科学のテクノで簡単解決”文化の象徴みたいな痩身手術と、
グローバルな医療ツーリズムと、米国の医療格差に「無益な治療」論と、
とても今日的な要素がぎっしり……。
それを言えば、FOX5の記事へのコメントで
「メキシコで受けた手術が失敗だったんなら
米国納税者のカネを使わず、メキシコで診てもらえ」というのも、
まさしく今日的といえば言えるのか……?
【4月1日追記】
今日のThaddeus Popeの「無益な治療」ブログによると、
病院側は治療継続を決めた、とのこと。
以下のニュースの家族の発言からは
メディアが報じたことで病院側の対応が変わってきた、とも。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/03/scripps-mercy-changes-course-and-agrees.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
メキシコのTijuanaで痩身手術(脂肪吸引? 胃のバンディング?)を受けた。
1月30日になって、血を吐いたので、
その時の担当医に電話をすると、
「それは正常なことだし、治せるから連れてこい」と言われた。
そして、Tijuanaへ向かう途上で心臓マヒを起こしたために、
救急車でCA州のScripps Mercy Chula Vista病院に搬送された。
2カ月後の現在、昏睡状態。
27日に病院は家族に対して、
4月1日月曜日の午前8時をもって生命維持を停止する、と通告した。
家族はショックを受け、他に引きうけてくれる病院を探しているが、
「誰かの命を、家族でもない人が自分たちで終わらせますって
家族に言うなんて、そんなのおかしい」
病院のリリースは以下(全文ではない可能性もあります)。
When we have a critically ill patient, we provide all the care and services that are appropriate as ordered by the patient’s physicians. The best interests of the patient guide our physicians and caregivers in these circumstances. We recognize that these situations are always extremely difficult and sad for the families involved.
When the patient’s condition indicates that a course of treatment is medically ineffective, then the physician may determine that this treatment should not be provided or should be discontinued. Under such circumstances other effective care is continued. For example, when life-saving care is discontinued, we still provide comfort care and pain management.
One of the avenues available to the physician in these difficult situations is to seek the counsel of the medical staff’s bioethics committee, to which the physician can present the case for review. The committee serves in an advisory capacity and may help the providers explore various options available to the patient. The decision on the patient’s care is ultimately made by the attending physician.
ざっと要点のみ、かいつまんでみると、
患者の状態によって、一連の治療は医学的に効果がないと思われる場合に、
医師はこの治療は行うべきではない、または中止すべきであると決めることがある。
救命治療を中止した場合にも、緩和ケアは続行する。
医師は倫理委に相談することができ、倫理委はアドバイスをするが、
治療に関して最終的に決めるのは主治医。
『医学的に効果がない』という表現は曖昧だけど、
いったい、どういう「無益」の定義なんだろう?
Family battles hospital over taking man off life support
FOX5 San Diego, March 29, 2013
以下のPopeのブログにリンクされているニュース・ビデオによると、
病院と家族の話し合いの結果、月曜日の呼吸器取り外しは
とりあえず見送られた模様。
http://medicalfutility.blogspot.com/2013/03/new-case-kesell-macias-v-scripps-mercy.html
ちょっと背景がよく分からないのだけど、
連邦政府の下院に対して、このケースで陳情(?)が行われていて、
その趣旨は、
Macias一家が貧しくて無保険であるために、
保険さえあれば続行される医療が「治療の無益」論で引き上げられようとしている、
それは人道に反する、として生命維持の中止を止めよ、と。
http://www.change.org/petitions/scripps-mercy-hospital-stop-the-wrongful-termination-of-the-life-of-kesell-macias
怖いなぁ……と思ったのは、
記事にはKesellさんは「昏睡状態」と書いてあるだけなのにもかかわらず、
上記のFOX5の記事に寄せられたコメントで、中止を支持する意見の人が
「この人は脳死で、脳が溶けているんだから」と書いていること。
それにしても、このケースには
“科学のテクノで簡単解決”文化の象徴みたいな痩身手術と、
グローバルな医療ツーリズムと、米国の医療格差に「無益な治療」論と、
とても今日的な要素がぎっしり……。
それを言えば、FOX5の記事へのコメントで
「メキシコで受けた手術が失敗だったんなら
米国納税者のカネを使わず、メキシコで診てもらえ」というのも、
まさしく今日的といえば言えるのか……?
【4月1日追記】
今日のThaddeus Popeの「無益な治療」ブログによると、
病院側は治療継続を決めた、とのこと。
以下のニュースの家族の発言からは
メディアが報じたことで病院側の対応が変わってきた、とも。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/03/scripps-mercy-changes-course-and-agrees.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
2013.04.07 / Top↑
| Home |