週末、こちらのシンポジウムへ行ってきました ↓
http://homepage1.nifty.com/hkr/simin/index.htm
<テーマⅠ 「子宮頸癌ワクチン」導入の裏側>の前半は
金沢大学付属病院講師で産婦人科医の打出喜義先生の講演。
打出先生について書いた当ブログエントリーはこちら。
打出先生の講演は
まさに当ブログで継続的に拾ってきた「医学研究データへの製薬会社の影響力」という
テーマそのものだったので(関連エントリーは文末にリンク)、まずは、その関連の部分を以下に。
(その他の部分については、今後の手元に応じて適宜エントリーに、と考えています。
最近、エントリーにしたいことの半分も書けない状態が続いているのですが……)
「海外の論文等でどのように評価されているのか」をテーマに、
HPVワクチンの効果と安全性の根拠とされる海外論文の詳細を検証するという趣旨で、
PubMedで HPV vaccineをキーワードに検索すると、
論文のヒット数は5844件。
年ごとの論文数でみると、
1996年には44本だったものが、
2005年に181、06年に375 、12年には708と
2006年の接種開始を境に急増している。
次にHPV vaccine safetyをキーワードに検索してみると、
こちらも2007年前後に急増しており、
07年の35論文はほとんどが安全と結論。
しかし、これらの論文の詳細にはたいへん興味深い点がある。
例えば、
①http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19242247
4価ワクチン、ガーダシルの効果を結論付けた
オーストラリアのJenny Mayによる、この論文では、
「利益相反」の個所に以下の記述がある。
Jenny May is a member of CSL Ltd’s GARDASILⓇAdvisory Board.
CSL Ltd とは、
以下のMSDの文書(日本語)によると、
http://www.msd.co.jp/newsroom/pdf/us_release/merck_1202_2.pdf
オーストラリアにおいてGARDASIL®をMerck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.から導入し販売しているCSL Limited……
つまり、この論文を書いたのは
米国のメルク社からガーダシルを「導入し販売」している会社の社員さんで
ガーダシル顧問委員会のメンバーだというわけ。
② 同じく2007年の論文。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17531764
こちらはグラクソ・スミス・クライン(GSK)社のサーバリクスのについて
…generally safe, well tolerated, and highly immunogenic などと書き、
安全性と効果のエビデンスとされる論文。
著者は HPV Vaccine Adolescent Study Investigators Networkと称する総勢11人。
そして、そのうち4人がグラクソの社員。
で、この論文のAcknowledgmentのところで謝意が述べられているのは
ひたすらGSKの関係機関やその関係者。
そこには、以下の記述も含まれている。
This study 580299/012 was funded and coordinated by GlaxoSmithKline Biologicals, Rixensart Belgium.
つまり、研究そのものがGSKの資金とコーディネートによるもの。
③ 同じく2007年にLancetに発表された以下の論文。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2807%2960946-5/fulltext
著者は the HPV PATRICIA study group と称する24人で
子宮頸がん予防効果があり、予防に有効と結論。
利益相反の個所に書いてあることは
フルテキストでないと読めないので6日の打出先生の資料に戻ると、
26行の記述に、なんと17回も GlaxoSumithKline が登場している。
ざっと読んでみたら、けっこうなことが書かれている。
・一人はメルクとGSKの両方からHPVワクチンの臨床実験を行うためのグラントをもらっていて、
さらに両者から顧問料と講演報酬を受け取っている。
・著者のうち5人はGSKの社員で、そのうちの一人は同社の株式を保有している。
・一人はメクルとサノフィパスツールMSD(サノフィのワクチン部門)の推進委員会の委員であり、
かつGSK社の外部顧問で、彼の研究チームはこれら3社が実施しているワクチンの臨床実験に関与している。
・著者の一人でブラジルの研究者は、HPV開発臨床実験に関する「GSKの調査官」。
……と、ここまでで、やっと半分くらいで、
「利益相反ステートメント」はまだまだ続き、
「申告すべき利益相反はない」著者は24人のうち8人のみ。
他は、GSKや、メルクやサノフィなどと
HPVワクチン研究での金銭関係がある、というディスクロージャーが続く。
今年の論文についてなど、次のエントリーに。
http://homepage1.nifty.com/hkr/simin/index.htm
<テーマⅠ 「子宮頸癌ワクチン」導入の裏側>の前半は
金沢大学付属病院講師で産婦人科医の打出喜義先生の講演。
打出先生について書いた当ブログエントリーはこちら。
打出先生の講演は
まさに当ブログで継続的に拾ってきた「医学研究データへの製薬会社の影響力」という
テーマそのものだったので(関連エントリーは文末にリンク)、まずは、その関連の部分を以下に。
(その他の部分については、今後の手元に応じて適宜エントリーに、と考えています。
最近、エントリーにしたいことの半分も書けない状態が続いているのですが……)
「海外の論文等でどのように評価されているのか」をテーマに、
HPVワクチンの効果と安全性の根拠とされる海外論文の詳細を検証するという趣旨で、
PubMedで HPV vaccineをキーワードに検索すると、
論文のヒット数は5844件。
年ごとの論文数でみると、
1996年には44本だったものが、
2005年に181、06年に375 、12年には708と
2006年の接種開始を境に急増している。
次にHPV vaccine safetyをキーワードに検索してみると、
こちらも2007年前後に急増しており、
07年の35論文はほとんどが安全と結論。
しかし、これらの論文の詳細にはたいへん興味深い点がある。
例えば、
①http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19242247
4価ワクチン、ガーダシルの効果を結論付けた
オーストラリアのJenny Mayによる、この論文では、
「利益相反」の個所に以下の記述がある。
Jenny May is a member of CSL Ltd’s GARDASILⓇAdvisory Board.
CSL Ltd とは、
以下のMSDの文書(日本語)によると、
http://www.msd.co.jp/newsroom/pdf/us_release/merck_1202_2.pdf
オーストラリアにおいてGARDASIL®をMerck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.から導入し販売しているCSL Limited……
つまり、この論文を書いたのは
米国のメルク社からガーダシルを「導入し販売」している会社の社員さんで
ガーダシル顧問委員会のメンバーだというわけ。
② 同じく2007年の論文。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17531764
こちらはグラクソ・スミス・クライン(GSK)社のサーバリクスのについて
…generally safe, well tolerated, and highly immunogenic などと書き、
安全性と効果のエビデンスとされる論文。
著者は HPV Vaccine Adolescent Study Investigators Networkと称する総勢11人。
そして、そのうち4人がグラクソの社員。
で、この論文のAcknowledgmentのところで謝意が述べられているのは
ひたすらGSKの関係機関やその関係者。
そこには、以下の記述も含まれている。
This study 580299/012 was funded and coordinated by GlaxoSmithKline Biologicals, Rixensart Belgium.
つまり、研究そのものがGSKの資金とコーディネートによるもの。
③ 同じく2007年にLancetに発表された以下の論文。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2807%2960946-5/fulltext
著者は the HPV PATRICIA study group と称する24人で
子宮頸がん予防効果があり、予防に有効と結論。
利益相反の個所に書いてあることは
フルテキストでないと読めないので6日の打出先生の資料に戻ると、
26行の記述に、なんと17回も GlaxoSumithKline が登場している。
ざっと読んでみたら、けっこうなことが書かれている。
・一人はメルクとGSKの両方からHPVワクチンの臨床実験を行うためのグラントをもらっていて、
さらに両者から顧問料と講演報酬を受け取っている。
・著者のうち5人はGSKの社員で、そのうちの一人は同社の株式を保有している。
・一人はメクルとサノフィパスツールMSD(サノフィのワクチン部門)の推進委員会の委員であり、
かつGSK社の外部顧問で、彼の研究チームはこれら3社が実施しているワクチンの臨床実験に関与している。
・著者の一人でブラジルの研究者は、HPV開発臨床実験に関する「GSKの調査官」。
……と、ここまでで、やっと半分くらいで、
「利益相反ステートメント」はまだまだ続き、
「申告すべき利益相反はない」著者は24人のうち8人のみ。
他は、GSKや、メルクやサノフィなどと
HPVワクチン研究での金銭関係がある、というディスクロージャーが続く。
今年の論文についてなど、次のエントリーに。
2013.07.11 / Top↑
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