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前のエントリーの続きです。


④ 今年2013年には既に41論文が出ており、
そのうち17論文がHPVワクチンの効果と安全性を謳うもので、
効果を疑問視しているものは2論文(打出先生がアブストラクトから推測)。

HPVワクチンへの不安は根拠のない作り話(myth)だと結論付けた以下の論文でも、
http://www.unboundmedicine.com/medline/citation/23732252/Beliefs_Behaviors_and_HPV_Vaccine:_Correcting_the_Myths_and_the_Misinformation_

「利益相反」には以下のように書かれており、

Two of the authors (GDZ and NWS) are investigators on investigator-initiated grants funded by Merck and Co. GDZ is a recipient of an unrestricted program development grant from GlaxoSmithKline. WAF has received speaker fees, educational, and unrestricted research grants from Merck Canada. ZR has received a fee for consulting with Merck on behavioural science issues. Author SP has no conflicts of interest to report.

5人の著者のうち、メルクともGSKとも金銭関係がないのは1人。


⑤また、アフリカのサブサハラ地域の若い女性への
HPVワクチンの有効性を結論付けた以下の論文でも
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23242542

金銭的支援と利益相反の可能性についての事情は
上記2007年の事情と同じ。

(というか、資料のそこの部分を読んでみると、
ここにもGSKの社員とGSK社の株を保有している研究者が含まれている他に
英国の途上国支援機関からカネが出ていて、
英国はゲイツ財団の途上国でのワクチン推進では一番のパートナーだということを考えてしまう。
政府資金だからヒモも色もついていないという時代ではないかも??)


⑥ 逆に、HPVワクチンで自己免疫疾患SLEが引き起こされているとする以下の論文では、
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23624585

利益相反のディスクロージャーのところに書かれているのは

Disclosure: none.
ディスクロージャー: なし。


⑦ とても興味深いのは
主著者が今野良医師である、2009年のこちらの論文。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20375802

これまで言及した上記論文が全て「HPV ワクチン」と表記しているのに対して
「子宮頸癌ワクチン」と表記していることが際立っているこの論文は、

「子宮頸癌ワクチン」には45年間に渡って
コスト効率よく子宮頸がんの負担を減じる効果が見込まれると結論している。

で、そのディスクロージャーはというと、

This study was supported by a grant from GraxoSmithKline K. K. Japan. R. Konnno received research and travel grants and honoraria for courses and conferences from GlaxoSmithKline Japan, Merck Japan, and Quiagen Japan. He is a member of the Advisory/Expert Board at GraxoSmithKline Biologicals. This study was also supported by GraxoSmithKline Biologicals, where authers Van Kriekinge and Demarteau are currently employed.


今野医師にGSK、メルクその他との濃厚な金銭関係があり、
この研究そのものがGSKによって行われたものと思しいだけでなく、
論文の著者5人のうち、日本人ではない2人はGSKの社員。


ちなみに当ブログが今野良医師の名前に目を止めたのは2009年。
こんな妙な発言があったから ↓

子宮頸がんワクチンでの失神は「ドキドキするから」?(2011/8/5)


製薬会社と研究者の癒着で
医学研究のデータそのものが信頼性を失っている問題については
以下のエントリーなどに(これらに他の関連エントリーへのリンクあります) ↓

製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)
ファーマゲドン: オピオイド鎮痛剤問題のさらなる裏側(2013/1/4)
NEJMの前・現編集長による医学研究腐敗の指摘から、日本の「iPS臨床承認」を考えてみた(2013/6/28)


こうした「ファーマゲドン」の実態に、最近では
研究者らの間から全治験データの公開を求める声が上がっています ↓
臨床実験データ全公開を求める動き、研究者らから(前)(2013/7/1)
臨床実験データ全公開を求める動き、研究者らから(後)(2013/7/1)

4日にはNYTの社説も「治験データのフル・ディスクロージャーを」と。
http://www.nytimes.com/2013/07/05/opinion/full-disclosure-needed-for-clinical-drug-data.html?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20130705&_r=1&
2013.07.11 / Top↑
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