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先日、某所で、
メンタルヘルス総合研究所の代表、久保田浩也氏のお話を聞く機会があった。

久保田氏の論旨は

年間の自殺者が3万人を超えているのが問題だといわれ続けて11年間、
自殺者がちっとも減らないのは、対処する方法が間違っているからだ。

こういう話をすると、すぐに科学的なエビデンスがない話をするなと批判されるが
ではSSRIなど科学的に開発されたはずの薬が問題を起こしているのは、どういうことか。

ストレスがいけないと言われるが、
それでは人類の歴史にストレスがなかった時代などあっただろうか。

いけないのはストレスそのものではなく、
ストレスを受け止める力が低下していることなのであり、

必要なのは、知育・体育だけでなく、心を育てる心育である……と説き、
氏の考案による「心の体操」なるものを推奨する。

(「心の体操」の具体については企業秘密みたいで無料では明かせないようだった)

その中の、SSRIが問題を起こしているという文脈で

ルボックスという薬があります。

ソルベイ社というところが売り出したものですが、
例のコロンバイン高校での銃乱射事件の際に
犯人の1人が服用していたことが問題視されて、
米国では2002年に販売中止になりました。

そういう薬です。

そのルボックスが今、日本で公然と売られているんですよ。

どういうことですか、これは?

まったく、それは、どういうことか……と思ったので、
家に帰ってからWikipedia のLuvoxの項目を読んでみた。

Wikipediaの説明によると、
確かに久保田氏の話の通りのいきさつで米国の市場から引き上げられている。

ただ、FDAが販売中止を命じたということではなく
2002年にソルベイ社が自発的に市場から引き上げた。

しかも、その理由は
FDAの認可以前の臨床実験フェーズ3段階で
被験者が起こした殺人事件が少なくとも1件あることがバレて
さらなる調査が入るのを恐れたため。

2005年に日本で初の対人不安障害の治療薬として認可されたとも書かれており、

確かにこの段階では
米国で副作用懸念から売られていなかったルボックスが日本で認可されたことになります。

その後2007年にソルベイ社が再び米国でルボックスを売り出し、
その後、2008年には組成を変えたルボックスCRがFDAに認可されていますが、

どうも、この解説からは、
売られているのは米国と日本だけの様子。

これは、まったく、どういうことか──?

ちなみに、日本の医薬品監視機関・薬害オンブズパーソンのサイトに
ルボックス等SSRIに対するソルベイ等回答というページがありました。

なお、厚労省は今年6月にSSRIの副作用の危険性を認め、
こちらのような安全情報を通知しています。

   ―――――――――――――――――

もう1つ、
例えばこちらのエントリーなど
当ブログでも何度か疑問に思ったことが確認されたので、そちらの話も。

南江堂から出ている「ドクターズルール425」という翻訳書の中で
以下のように書かれている、とのこと。

4種類以上の薬を飲んでいる患者についての比較対象試験はこれまで行われたことはなく、3種類の薬を飲んでいる患者についての試験もほんのわずかしか行われていない。4種類以上の薬を飲んでいる患者は医学の知識を超えた領域にいるのである。

ほらね。

何でもかんでも薬で解決、
病気予防にまで、あれもこれも薬を追加して、みんなに飲ませましょうという
英米の研究者は、ものすごく無責任なことをやっているわけですね。

英米・オーストラリアでは
これさえ飲んでいれば肥満は解消……とヤセ薬までが解禁されて、
何万人という人が飲んだ後になってl副作用が報告されてきたばかり。

あ、そうそう久保田氏はもう1つ指摘しておられました。


この「ドクターズルール」を翻訳した福井先生というのは聖路加病院の院長で、
他にもあれこれ医学会で重要なポストを占めている(具体的なポスト名はメモ漏れ)のだから
自分が訳したのなら、これを日本の医学会に徹底することだって
やろうと思えばできそうなものなのに、

日本の精神科医が患者に5種類も6種類も薬を飲ませる実態は放置されている。

これは、みなさん、いったい、どういうことですか──?


それどころか、世界中の研究者らが、
ありとあらゆる病気の予防薬を研究開発しては、
「この薬、みんなに飲ませよう」リストをせっせと追加し続けている。

4種類以上の薬を飲んでいる患者の比較対象研究を行う必要は言わないまま――。
2009.09.02 / Top↑
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