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前のエントリーの続きです)

Angelaの「生命の危機」はもちろん、健康問題すらどこにあるのかがはっきりしない。

・「エビデンスにより、子宮摘出は緊急であり必要」とも
どうせAngelaは普通の青少年・成人として暮らすメリットはないのだから、
長期的な影響を考えるには値せず、「短期的問題の方が重要」として、
短期的には「健康全般とともに生命の危機が基本的な問題」とされているのですが、
非常にあちこちに分散されて説明され(わざとかと思うほど)把握しにくくなっている
Angelaの健康状態に関する事実関係を整理してみると、

・出血が非常に多く、血の塊もある上に、特に夜間などに漏れるなど、
衛生上の問題が生じるほどである(母親)というのですが、
大量の出血は「2007年11月に収まった」のだから、解決している。

(ちなみに2007年とは、Angela9歳。初潮の年です)

・2007年11月に多量の出血が収まった際に、「貧血になっていたので、
鉄剤の治療で正常範囲に戻さなければならなかった」というのですが、
こう書いてあるのだから、結局これも解決している。

・生まれた時からてんかんの発作があって、母親の話で
「生理が重い時に起こりやすい。発作の予兆は様子を見ていればなんとなくわかるが、
不順な生理がいつ起こるか分からないので、いつも気が抜けない」「生理が重い時によく起こる」
しかし、一方「てんかん発作は現在のところ薬でコントロールできている」とも
書かれているので、それなら母親の証言内容は、以前の話なのでは?

・また、発作の頻度や、程度、発作によって重積状態に至ったことがあるのかないのか、
発作そのものがAngelaに及ぼす影響は具体的に何なのかについては、
まったく情報が出てきた様子はない。

・以上の事実関係から、現在も続いている健康問題は
生理による「痛みと疲れ」。それから「生理が重いと発作が引き起こされる可能性(can)」のみ。

・経口の避妊薬やDepo Provera(Diekema医師の03年論文で特記されていた薬)を含め
様々な治療が行われたが満足な効果が得られなかった、とある(現在完了形)のが
何を目的にした「治療」なのか、どういう「効果」がなかったのが不明。

「痛みと疲れ」と「けいれん発作を誘発する可能性」、
「母親のケア負担」をなくすこと(後半になって突然出てきます)だけを目的に
生理そのものを止める「治療」が試みられていたのでは?

それでは子宮摘出を医師が「唯一の治療法」と主張するのも、
「生理を止めることを目的とすれば」あとは子宮摘出だけが「唯一の治療」ということでしかありえず、

まるで貧血を防いだり、けいれん発作を防ぐための「唯一の治療」であるかのような印象を
全文を通じて与えているのは、非常に恣意的なミスリードだということになる。

これら事実関係のどこにも「健康一般」改善の必要、
まして「緊急」に回避すべき「生命の危険」は見当たらない。

したがって、なぜ子宮摘出が「緊急」で「必要」なのかについては全く説明されていない。

手術のリスクの検討は、重大な事実から目をそむけている。

・判事は医師らが「手術のデメリットは非常に少ない。
内臓を傷つける可能性がないことはないが、開腹手術は初めてだから大丈夫だろう」
というので満足しているが、

Angelaは以前に全身麻酔で埋め込み型避妊薬のロッドを入れる手術を受けており、
その際には感染症を起こして術後1カ月difficult consequencesを体験している。
しかし、この事実は子宮摘出手術のリスク検討で全く顧みられていない。

結論では、根拠が「生命の危険回避」から「QOLが向上する」ことにすり替わっている。

他に、「母親の生理ケア負担が軽減される」ことも持ち出されており、
一体何の目的で行われる子宮摘出なのか、何を根拠に認めるのかが曖昧なまま
「法にのっとって判事が子どもの最善の利益と判断したのだ」と言い張っている。

             ―――――――

個人的に特に不可解だと感じる点は、
なぜ11歳で判断してしまわないといけないのかという点。

・あれこれ検査しても生理不順や多量の出血の原因は不明だった、とされているのですが、
生理って、始まりの数年間は不順だし量も多いのが普通なのではありませんか?

でも、たいていの女性は、そのうち周期も量も安定してくるのだとすれば、
現在12歳になる直前だというAngelaは07年には9歳、初潮の直後。
割と早期に大量の出血は収まったということになるし、
初潮から2年や3年しかたっていない子どもの生理不順を根拠に、
子宮摘出を「唯一の治療法」だと、目的不明のまま、正当化する産婦人科医というのが理解できない。

・また、私は専門家ではないし、娘もRett症候群ではないけど、
うちの娘にも難治性のてんかんがあって、てんかんのある重症児は沢山見てきました。

確かに、生理の時に発作が起きやすいということは、あるかもしれない。
私は娘が小さい頃は、低気圧の日は要注意だと感じていました。

ただ、てんかん発作も生理と同じように子ども期から思春期を経て成年期へと
ライフサイクルによる変化が非常に大きいような気がする。
思春期に増加傾向を見せ、青年期に落ち着くというパターンが
一般的にはあるんじゃないでしょうか。

それなら、何度も重積を起こして死にそうになったというのでない限り、
あと数年は様子を見てから考える余地だって十分あるような気がするのですが
この点、日本の専門家のお医者さんたち、いかがお考えでしょうか。


以下の米国イリノイ州の検討過程と比べてみてもらうと、
この判決の検討姿勢がいかにいかがわしいか、よく分かると思います。




その他に、非常に大きな問題点として、
Ashley事件でのDiekema医師らの正当化の論理が
そのまま使いまわされているとしか思えない点、

Ashley事件で出てきた批判を前提に、
それに対してあらかじめ応えておく、といった箇所などが多々あり、

AngelaケースはAshley事件からKatie事件に繋がる大きなキャンペーンの中に
十分に意識的に位置付けられているという感じを受けるのですが、
これについては、また別途まとめます。
2010.03.11 / Top↑
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