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もちろん、この件での関係はないのだけど、
Massachusetts General Hospital(MGH)と聞くと、
ああ、あのBiederman先生がいらっしゃる病院だ……と連想してしまう。

そのMGHの研究者らがBMJに発表した研究によると、

認知症の末期の患者さんはこうなりますよ、
その場合の治療の選択肢はこれこれですよ、と言葉で説明するよりも、
実際の末期患者のビデオを見せて説明した場合の方が、

高齢者が終末期医療について「じゃあ安楽ケアだけでいいです」という選択をする確率が高かった。

よって、終末期患者の実像をビデオで見せることは
高齢者が終末期の選択をするのを“help”する(助ける・手伝う・支援する・促す……どれだ?)と。


研究で被験者に見せたのは80歳の認知症の女性患者が
明らかに歩けない、食べられない、家族とコミュニケーションがとれない姿。

被験者はボストン地域で病院にはかかっているが認知症状のない65歳以上の高齢者200人。

この女性の様子を言葉だけで説明されるグループと
女性の姿を撮影した2分間のビデオを見せられるグループに分け、
自分の終末期の医療について以下の3つの選択肢の中から選んでもらったところ、

①どんなにコストがかかっても延命して欲しい。
②身体機能を維持するためのケアだけをしてほしい。
③痛みをとって最大限に安楽にするケアだけにしてほしい。

ビデオなしのグループでは、①14% ②19% ③64%

それに対して

ビデオを見せられたグループでは ①6% ②9% ③86%

6ヵ月後に同じ被験者に同じ質問をしたところ、
言葉だけで説明を受けたグループでは29%の人で気持ちが変わっていたが
ビデオを見せられたグループで気持ちが変わっていたのは、わずかに6%だけだった。

Video Can Help Patients Make End-Of -Life Decisions
The Medical News Today, May 30, 2009


どうして認知症状のない人に向かって認知症患者さんの末期を見せて
それ以外の病気で死ぬことになる確率の方が高いかもしれないのに
なにもかもひっくるめた“終末期”医療の選択をさせるのだろう?

もしかしたら、
脳死の人や植物状態の人のビデオもそのうち作られて、
事故や病気で重態となって運び込まれてきた救急患者さんの家族に見せながら
「こうなる可能性もありますが、救命治療、どうされますか?」とか、

重症児とか、重度の知的障害のある人とか
意識ははっきりしているのに脳卒中で寝たきりで言葉が不明瞭な人のビデオまで作られて、
「こうなる可能性もあるので、治療は無益だと思われますが、どうですか?」とか?

家族の意思決定への“支援”として?

わ~ん。こわいよぉぉ……。
2009.06.05 / Top↑
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