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オーストラリア、クイーンズランドの11歳の重症児Angelaに対して、
生理が不順で貧血を起こしたり、てんかん発作を誘発しているとの理由で
両親が子宮摘出を求めていた裁判で、
Queenslandの家庭裁判所は2月16日、
両親の訴えを認める判決を下した。

Angelaは食事も移動も入浴も全介助の重症児。
意思疎通ができず「3か月の赤ん坊のようにふるまう」。
記事の書き方をそのまま引くと
「膀胱のコントロールが全くできず、おむつをしている」。

母親によると9歳の頃から生理不順で、痛みと疲労がみられたが、
薬が効かず、医師3人がAngelaには子宮摘出が望ましいとの見解を示した。

Angelaの担当医は裁判で、多量の出血が貧血を引き起こしている、
将来の妊娠を考慮しなければならないような知的な能力を
Angelaが身につけることは、この先も決してない、と証言。

ある小児科医は「妊娠するようなことがあったとしたら
それはAngelaにとっては、たいへんな悲惨なこととなる」と。

家裁のCronin判事は、この決定はAngelaの生活を改善するだろう、と。

しかし障害者団体からは虐待、人権侵害であり、
障害児をケアすることに苦労している夫婦のための「簡単解決」だと批判。

NSW大学の障害学の学者 Dr. Leanne Dowseは
両親が障害のある子どもに侵襲度の高い不可逆な医療を求めた訴訟で
裁判所がそれを認める判決は長年出ておらず、珍しい“unusual” と指摘。

障害のある子供のための決定権が誰にあるかという問題のほかにも、
この事件によって障害者の介護者への支援サービスが足りないという問題も
浮き彫りになった、

1980年代から政府が地域生活支援を改善することなしに
入所サービスを削減してきた結果、家族の負担が大きくなってしまった、

「それでなくともニーズが満たされずに苦労している家族にとって、
生理は、また厄介が一つ増えた、ということになってしまう」と。

Parents win bid to sterilize daughter
The Brisbane Times, March 9, 2010


ニュースを知ったばかりで、今は、まだ、ちょっと戸惑い気味。

早速に、物書きをやっている障害児の母親が
ブログで、Ashley事件、Katie事件と一緒にして批判している。

much ado about nothing
Alex Field, March 9, 2010

このケースは、今後、やはり
AshleyやKatieのケースを引き合いに出して
同じ問題として論じられるのだろうなというのは
私も記事を読んで、すぐに思った。

特に、「どうせ生後3カ月の赤ん坊と同じ」
「どうせ、この子には無用の子宮」
などはAshley療法正当化の論理と全く同じ。

それから
親と医師は「生理による貧血や発作」など「健康上の問題解決」を理由にしているのに、
判事の「生活を改善させる」という発言は「QOL向上=本人利益」と捉えるもので、
じゃぁ、容認の根拠は健康上の問題ではなくQOLにすぎないのか、という点が、ものすごく不可解。

ただ、「貧血とてんかん発作」は
Ashley事件にもKatie事件にもなかった「本人の健康問題」なので、
そこは整理した上で考えなければならないケースなのではないか、という気もするけど、

なにしろ、もっと詳細な事実関係が分からないうちは何とも言えない。

ものすごく気がかりなニュースではある。

……というか、自殺幇助合法化ロビーが世界中で次々いろんな事をしでかしてくれるように
Ashley事件でも、これから世界のあちこちで、いろんな事がしでかされていくのかなぁ……なんて
つい考えさせられてしまうのが、本当にウンザリだ。

【追記】
その後、こちらのエントリーで事実関係を整理しました。


2010.03.10 / Top↑
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