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Illinois州で5月18日、
しかるべき手続きなくして
ガーディアンの同意により障害のある成人に不妊手術を行うことを禁じる法案が
議会を通過し、知事に送られた、とのこと。

ここでいう「しかるべき手続き」とは
裁判所の命令をとることなどで、

多くの州が障害者の不妊手術にはガーディアンが同意するだけでは足りず、
裁判所による命令を必要としている中、

16 の州がその要件を欠いたままになっており
IL州はそのうちの1つ。

この法規制を求めて活動してきたアドボケイト Equip for Equality は、
もっと前にできておくべきだった法律だが、
去年のK.E.Jケースが画期的なインパクトを与えた、と。

Northwestern大学の the Medical Humanities & Bioethics Programの助教授で
Equp for Equality と協働してきたKatie Watson氏も

「2008年以前は、ガーディアンと医師とが内密理に合意して
水面下で障害者の不妊手術が行なわれていたのだから、
今回の法規制の意味するところは大きい。

KEJ訴訟における上訴裁判所の判断の原理を法規制として組みなおしたもので、
障害者自身に法定で意見を聞く場を設けるなど、
当事者の利益に焦点を当てたものとなっている」と。


今回付け加えられた「しかるべき手続き」としては

・成人の不妊手術を求めるガーディアンは裁判所に命令申請を行うこと
・法定代理人(guardian ad litem) の選任
・本人の医学的、心理学的評価
・本人が不妊手術に同意できる能力について裁判所による判定
・事実と法解釈(?)の詳細まで含んだ裁判所の命令書


Illinois Legislation on Sterilization Passed
What sorts of people, May 18, 2009


この件について報告している、上記 What Sorts ブログのWilson氏は

今回のIllinois州の快挙は
Ashley事件に反応して活動した多くの人の努力の賜物、と書いています。

障害者に対する侵襲的医療介入については(無益な治療の判断においても)
Ashley事件以後のニュースで追いかけてきた限りにおいては
裁判所の考え方で一定のスタンダードが示されつつあるように思います。
(詳細は文末のリンクを参照してください)

例えば、以下のような点など。

・ 裁判所の命令の必要。
・ 本人の意思決定能力と意思の客観的な確認・証明。
・「明確かつ説得力のあるエビデンスを提示」することによって
本人利益を証明する重大な証明責任が介入を求める側に課せられる。
・ 侵襲度の低い他の選択肢の徹底的な検証。

2003年のDiekema論文も、ほぼ、この線に沿った内容になっています。

だからこそ、2004年のAshleyケースでの判断においても、
現在シアトル子ども病院がゴリ押ししようと画策している
重症児への成長抑制療法の一般化においても、
裁判所の判断を不要とし、(恣意的操作可能な)病院内倫理委でよいとする主張は
言語道断に重症児の権利を踏みにじるものだとしか思えません。

ワシントン大学病院のICマニュアルでも
WPASの報告書でも、
本人の身体的な全体性と尊厳に関わるような
侵襲度が高く不可逆な医療介入については
不妊手術と同様の慎重な手続きが必要だとされているのですから。


【イリノイのK.E.J.ケースに関するエントリー】



【その他、障害者の医療における代理決定原則に関するエントリー】


2009.05.29 / Top↑
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