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Daniel Hauser君はミネソタ州在住の13歳。
ホジキンリンパ腫という癌を患っている。
一度、抗がん剤治療を受けて癌が縮小したと思っていたが、
また大きくなっていることが判明。

医師は抗がん剤と放射線で治療できると説いたが、本人はもうイヤだと拒否。

母親Colleenさんも 
Nemenhah Band と呼ばれるアメリカ・インディアンの宗教グループの自然療法を信じており、
サプリやイオン水などで治療している、体に毒物を入れるのは宗教信条に反する、と抵抗。

そこで、病院が州に介入を求め、
裁判所はDaniel君に抗がん剤治療を命じた。

裁判所の命令では月曜日に病院にいくはずだったが、
母親は息子とともに逃亡。現在、警察が追っている。

裁判所はDaniel君を施設に入れて(つまり親から親権を剥奪し)
癌の専門医の診断を仰ぎ、今後の治療方針を決めよ、と命じている。

ちなみに、事件の展開に直接関係があるとも思えないけれど、
Daniel君には学習障害があり文字が読めない。

祈りで治そうとして糖尿病の娘を死なせた親の事件
火曜日にインタビューに出てきていたWisconsin大学の宗教学者 Peters教授がここでも登場し、
「こういう事件が厄介なのは
みんなが子どもの最善の利益を考えて動いている、という点」と。

以下のWashington Timesの記事によると
2003年にユタ州の Darren and Barbara Jensen夫婦が
抗がん剤治療の命令を拒否してIdahoまで逃げた例があるとのこと。

夫婦は有罪を認めたが、収監されることも罰金を科せられることもなかった。
Jensen夫妻はこうした問題での親の決定権規定を求めるアドボケイトとなっている。

Chemo case raises parental rights issue
The Washington Times, May 21, 2009



2006年には同じくホジキンリンパ腫の15歳の少年 Starchild Abraham Cherrixの
抗がん剤治療を続けず代替治療に切り替えたいとの主張を裁判所が認めて
和解に持ち込まれた画期的なケースがありました。

当時、リアルタイムでニュースを追いかけましたが、
堂々と自分の言葉で主張を述べるCherrix君の姿が印象的で
とても興味深い事件でした。

Cherrix君のケースについてまとめた当ブログのエントリーはこちら

乳児の腰椎穿刺をめぐっては
2002年にアイダホでMueller事件

腎臓透析を拒んで親権を剥奪された母親が我が子を病院から誘拐した
2006年シアトル子ども病院でのRiley Rogers事件

シアトル子ども病院生命倫理カンファでも米国小児科倫理の大物Dr. Lainie Rossが
「小児科における治療拒否」という興味深い講演を行っており、
Mueller事件における医師の行動を過剰だと批判しています。
内容はこちら

同じカンファでDr. Diekemaも小児科医療で意見が対立した場合の
子どもの最善の利益をめぐって講演しています。
これもまた、いろいろな意味で興味深い内容。
詳細はこちら
2009.05.21 / Top↑
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