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Not Dead Yet のブログによると、

障害のある人2人に対して命に関わる治療を差し控えて法を侵したとして
障害者の人権監視団体 Disability Rights Wisconsin(DRW)が
Wisconsin大学病院を訴えた、とのこと。

(”life-sustaining ”となっているので終末期であれば「延命治療」と訳されるところ、
この場合、仮に終末期だったとしても急性期の話なので「命に関わる治療」かな、と。
文脈からすると、いっそ「救命治療」だったような気がするし。)

DRWが訴訟で求めているのは
このような病院の慣行の変更と
これらのケースの調査に要した費用4700ドルと訴訟費用。

DRWとは、Ashley事件で調査に入り報告書をまとめたWPAS(現DRWただしWはWashington)と同じ組織で、
連邦政府からの資金を受け、一定の調査権限を認められた監視団体。

2人の患者はともに明らかに肺炎と分かる症状だったとのこと。

1人は亡くなり、
もう片方は助かった。

亡くなった患者の治療については両親が差し控えを求めた、とDRWの訴状にある。

助かったほうの患者では
ガーディアンが最初は治療の差し控えに同意したものの、
後になって撤回した。

州法では、
自分で意思決定できない人に代わって親や代理人が
治療の差し控えに関する意思決定を行うことができるのは
本人が「永続的植物状態」にある場合のみであり、
この2人のケースには当たらない、とDRW。

一方、病院側は
いずれのケースでも患者の最善の利益で行動した、
また家族の意向を汲んだだけだと主張し、

病院スポークスマンは
「このケースは
患者の親と家族が患者の最善の利益に基づき個人的な医療決定を行う能力の問題」。

ある倫理学者も、今回の訴訟によって
子どもや障害者など弱い立場にある患者に代わって
親やガーディアンが医療に関する決定を行うことが許される範囲が
州法において明確化されるのではないか、と。

DRWの弁護士は
UW病院の医師の中には障害のある人の生命の質を低いとみなして
それによって通常よりも早く治療を中止することを提案している者がいるのでは、と述べ

「WI大学病院はいい病院で、患者に素晴らしい医療を提供している。
死に瀕しているわけではない障害者にもそれと同じ素晴らしい医療を提供して欲しい。
我々が望んでいるのは、ただそれだけのこと」



なお、NDYのStephan Drake氏はこの記事末尾で
こういう場合に法定ガーディアンが治療を拒否できる基準を
2月にPennsylvania州の裁判所が出しているので参照せよとしています。

その基準については当ブログでまとめたものがこちらに。

           
それにしても、Wisconsin大学病院側の言い草。

「治療さえすれば助かる命だけど、ここは見殺しにしようね」という判断が
どうして「プライベートな医療判断」なんだ??

「無益な治療」ですらないじゃないか、そんなの──。


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Wisconsin大学病院といえば……あのNorman Fostがいる。
この論争にも、いずれ出てくるかもしれない。

なにしろ彼の持論
「コストが関係してくる以上、誰の命を救うかは社会が決めること。
医療の判断は医師がすることだから、治療を拒否したいなら裁判所など無視すればいい」。

2009.05.20 / Top↑
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