去年、全英に大きな衝撃を与えたBaby P 事件を始め、
このところ地方自治体のソーシャルワーカーが問題を把握していながら
子どもたちを救えないケースが増え、
児童虐待防止体制の総点検が進んでいた英国で4ヶ月の調査が終わり
子ども大臣に対して100ページの報告書が提出された。
このところ地方自治体のソーシャルワーカーが問題を把握していながら
子どもたちを救えないケースが増え、
児童虐待防止体制の総点検が進んでいた英国で4ヶ月の調査が終わり
子ども大臣に対して100ページの報告書が提出された。
報告書の大筋としては、
方針は間違っていないが地方自治体ごとの対応が効果的に機能していない、と。
(詳細は以下のGuardianのほうに)
方針は間違っていないが地方自治体ごとの対応が効果的に機能していない、と。
(詳細は以下のGuardianのほうに)
ただ、Timesの方の記事によると、
だから地方自治体が怠慢だとか無能だとばかりはいえない事情も見えてくる。
だから地方自治体が怠慢だとか無能だとばかりはいえない事情も見えてくる。
なんとソーシャルワーカーのポストの7人に1人は欠員になっているのだとか。
対策として来年度から地方自治体の児童福祉責任者向けに
The National College for School Leadershipが現場担当者への指導に関する講座を開く、と。
The National College for School Leadershipが現場担当者への指導に関する講座を開く、と。
Child services to be retained in hidden family risks after Baby P review
Ed Balls promises intensive courses after shortcomings revealed by deaths of children under care of social workers
The Times, March 11, 2009
Ed Balls promises intensive courses after shortcomings revealed by deaths of children under care of social workers
The Times, March 11, 2009
【追記】
報告書の内容と提言については
1日遅れで出てきた以下のTimeの記事に詳しいです。
報告書の内容と提言については
1日遅れで出てきた以下のTimeの記事に詳しいです。
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深刻な人手不足に悩む日本の介護現場で、事業者が講習会などに集められては
「介護職の離職理由は待遇の悪さだけじゃない、労務管理にも問題があるからだ」と責任転嫁され、
「求人の方法にもっと工夫をしろ。やめさせない労務管理を考えろ」と叱咤されていることと
もしかしたら、おんなじなのかなぁ……。
「介護職の離職理由は待遇の悪さだけじゃない、労務管理にも問題があるからだ」と責任転嫁され、
「求人の方法にもっと工夫をしろ。やめさせない労務管理を考えろ」と叱咤されていることと
もしかしたら、おんなじなのかなぁ……。
まず医療職の不足が欧米で深刻になり(ちょっと遅れで日本でも深刻になり)
次いで介護職の不足が欧米で深刻化し(ちょっと遅れで日本でも深刻化し)
次いで介護職の不足が欧米で深刻化し(ちょっと遅れで日本でも深刻化し)
このニュースを読むと、
次は日本でもソーシャルワーカーがいなくなるのか……。
次は日本でもソーシャルワーカーがいなくなるのか……。
いや、まだいるにしても児童相談所はずいぶん前から悲鳴を上げているんだった……。
いずれの職種でも、きっと本当は
現場はとっくの昔から「これ以上どうしろというんだ!」という極限状態で回っているのに
問題視も対処もされずに綱渡りを強いられてきていて、
現場はとっくの昔から「これ以上どうしろというんだ!」という極限状態で回っているのに
問題視も対処もされずに綱渡りを強いられてきていて、
やがて綱渡りの限界を超えるとショッキングな形で犠牲者が出るから、
(実はそれほどショッキングでない形の犠牲者は既にわんさと出ているのだけど)
メディアを中心に社会がわっと現場をたたく。
(実はそれほどショッキングでない形の犠牲者は既にわんさと出ているのだけど)
メディアを中心に社会がわっと現場をたたく。
しばらく現場がこっぴどく叩かれているうちに
犯人探しはだんだんと下から上へと問題をたどっていって、
やっと少しずつ問題の全貌に目が向けられてみると、
犯人探しはだんだんと下から上へと問題をたどっていって、
やっと少しずつ問題の全貌に目が向けられてみると、
個々の職員の怠慢とか能力不足といった問題じゃないかも……ということが分かってくる。
(もちろん個々の問題という場合だってあるとは思うのですが、
それは別問題としてきちんと考えるべきこととして)
(もちろん個々の問題という場合だってあるとは思うのですが、
それは別問題としてきちんと考えるべきこととして)
で、遅まきながら炙り出されてくるのは
制度そのものが崩壊しつつあるという、もっと深刻な事態──。
制度そのものが崩壊しつつあるという、もっと深刻な事態──。
医療崩壊が云々され始めた頃に誰かが「立ち去り型サボタージュ」とか呼んでいたのは
結局は、それなりに技能も知識も志もあって努力もし誠意を持って働いてきた人が
「こんなの、やってられねーよ」と立ち去っていくしかないところに追い詰められる状況への
警告だったのだと思うのですが、
結局は、それなりに技能も知識も志もあって努力もし誠意を持って働いてきた人が
「こんなの、やってられねーよ」と立ち去っていくしかないところに追い詰められる状況への
警告だったのだと思うのですが、
なんだか、社会を成り立たせているあれこれの仕組みが
あちこちから綻び、崩壊していっているように思えて、本当に怖い──。
あちこちから綻び、崩壊していっているように思えて、本当に怖い──。
もはや、崩壊せずに何が残るのだろう……という話?
あ、もしかして、それ、軍隊?
あ、もしかして、それ、軍隊?
―――――――
ただ、英国の医療では
ベッドあたりの医師や看護師の数がもともと日本に比べてはるかに高かったと思うし、
ブレア首相の時からNHSの改革にも予算を思い切って投入しているし、
(今のブラウン首相は、その当時の財務大臣)
ベッドあたりの医師や看護師の数がもともと日本に比べてはるかに高かったと思うし、
ブレア首相の時からNHSの改革にも予算を思い切って投入しているし、
(今のブラウン首相は、その当時の財務大臣)
タイムラグを経て日本で起こっているからといって、
同じ問題として考えていいのか、という疑問は残る。
同じ問題として考えていいのか、という疑問は残る。
2009.03.13 / Top↑
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