英国にもFriends at the End(FATE)という「死の自己決定権」のアドボカシー団体があり、
そのFATEのメディカル・アドバイザーで元GP(家庭医)のDr. Libby Wilsonが
スコットランドの女性が餓死によって自殺した際に
彼女に助言していたことをテレビのインタビューで告白。
(インタビューのビデオが以下のリンクにあります)
スコットランドの女性が餓死によって自殺した際に
彼女に助言していたことをテレビのインタビューで告白。
(インタビューのビデオが以下のリンクにあります)
女性は75歳で運動神経系の病気による重い障害がある。言葉も不自由。
このまま生きて、やがて自分の唾も飲み込めなって窒息するのは嫌だと考えるようになった。
このまま生きて、やがて自分の唾も飲み込めなって窒息するのは嫌だと考えるようになった。
しかし安楽死は英国では違法であるため、
Wilson医師が助言し、女性は食べ物と水分を断ち25日間かけて自殺した。
Wilson医師が助言し、女性は食べ物と水分を断ち25日間かけて自殺した。
The General Medical Councilでは、
このような選択肢を患者と協議しただけでも医師には除名の可能性もある、と。
このような選択肢を患者と協議しただけでも医師には除名の可能性もある、と。
Wilson医師は
「列車に飛び込んだり、高いビルから飛び降りたい人はいません。
そんなことをせずに、我が家で家族に囲まれて静かに安らかに死にたいのです」と。
「列車に飛び込んだり、高いビルから飛び降りたい人はいません。
そんなことをせずに、我が家で家族に囲まれて静かに安らかに死にたいのです」と。
警察も検察もこの事件について捜査はしない、とのこと。
また夫妻をよく知る近所の人は
「お2人とも地域で積極的に活動されるエネルギーに満ちた方でした。
とてもプロ・アクティブな方々だったので、
癌によって、これまで関ってこられた芸術や様々な活動が断たれてしまうのは辛いことだったと思います。
ああいう方々にとっては自分がエネルギッシュだっただけに、
その自分が体力も活力も失ってしまうことが辛いのでしょう。
子どもや孫に長くストレスの多い死を看取らせなければならないと考えたら
黙ってそういうことをやるようなご夫婦でした。
ただ座して死を待ち、自分にも周りの人にも長く苦しみを引き伸ばすよりもね」
「お2人とも地域で積極的に活動されるエネルギーに満ちた方でした。
とてもプロ・アクティブな方々だったので、
癌によって、これまで関ってこられた芸術や様々な活動が断たれてしまうのは辛いことだったと思います。
ああいう方々にとっては自分がエネルギッシュだっただけに、
その自分が体力も活力も失ってしまうことが辛いのでしょう。
子どもや孫に長くストレスの多い死を看取らせなければならないと考えたら
黙ってそういうことをやるようなご夫婦でした。
ただ座して死を待ち、自分にも周りの人にも長く苦しみを引き伸ばすよりもね」
夫妻は末期がんでしたが、
近所の人の言葉には微妙に「自分はそうは感じないだろうけど、
ああいうご夫妻だったら、そういうふうに感じるのも分かる」というトーンが感じられます。
ああいうご夫妻だったら、そういうふうに感じるのも分かる」というトーンが感じられます。
ここで「わかる」と言われているのは、
「尊厳」が「誇り」と微妙に重なり合って、
「能力があった自分がその能力をなくしていくことの耐え難さ」であり、
「一定の状態になることには誇りをもてず、だからその状態で生きることには尊厳がないと考える」ことでは?
「尊厳」が「誇り」と微妙に重なり合って、
「能力があった自分がその能力をなくしていくことの耐え難さ」であり、
「一定の状態になることには誇りをもてず、だからその状態で生きることには尊厳がないと考える」ことでは?
また、周囲に介護負担を負わせることを避けたい気持ちも
幇助自殺を許容する理由に挙げられていることが気になります。
幇助自殺を許容する理由に挙げられていることが気になります。
「ただ座して死を待つ」などという表現が家族の介護負担との関連で使われる……。
ここに滲んでいるのは
「死の自己決定権」がOregonやWashington州の尊厳死法の対象範囲を越えて
「滑り坂」になる可能性なのでは???
「死の自己決定権」がOregonやWashington州の尊厳死法の対象範囲を越えて
「滑り坂」になる可能性なのでは???
なお、スコットランドで餓死した女性は
ターミナルな状態だったわけでもなければ
耐え難い苦痛があったわけでもありません。
ターミナルな状態だったわけでもなければ
耐え難い苦痛があったわけでもありません。
2009.03.11 / Top↑
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