以下は「介護保険情報」2007年6月号の
「世界の介護と医療の情報を読む」という連載で書いた文章の一部です。
「世界の介護と医療の情報を読む」という連載で書いた文章の一部です。
充分に眠れていますか? ストレス、不安、落ち込みは? あなた自身の健康状態は? 一週間のうち介護に使う時間は? 緊急時に頼れる人は? もう続けられないと感じていますか? 仕事と介護の両立は大変ですか? 朝から晩まで自分の好きなように過ごせた日は、いつが最後でした?
日々自分のことは後回しにして家族を介護している人の心に沁みる、こんな問いが並んでいるのは、英国の介護者支援団体Carers UK -the voice of carers のHPである。英国では2000年のCarers Actにより、各地方自治体に対して、介護者の希望があれば、介護者自身のニーズ評価アセスメントを行うことが義務付けられた。先の質問は、Carers UKの情報提供ページで、アセスメントを受ける介護者が予め整理しておくとよいと勧められるポイントの一部。
Carers UKの解説によると、介護者が16歳以上であれば、介護される人がソーシャルサービスの利用を望んでいなくても介護者アセスメントを受けることができる。患者の退院に備えた「介護するつもり」でも可。ソーシャルサービスに直接電話で申し込むか、GP(かかりつけ医)または保健師に連絡を依頼する。目的は、介護と自分自身の生活のバランスをとり、介護者自身のニーズに対して支援を受けられるようにすること。例えば掃除や洗濯の手伝いがあれば、または通院や通勤にタクシーが使えれば、または安心のための携帯電話があれば介護が続けられるのであれば、それらも介護者サービスの具体例だ。アセスメントを行う人は介護者が介護役割を望んでいるとか、続けたがっているとの予見に立って話を聞いてはならない。地方自治体には介護者サービス提供の認否基準を明らかにすることが求められており、ソーシャルサービスは財源や資源の不足のみを理由に介護者サービス提供を拒むことはできない。
日本の介護者からすると夢のような話だが、これはあくまで制度の理念を介護者の立場でCarers UKが解説したもの。現実には「アセスメントの質にもばらつきがある」。また「悲しいことに介護者がアセスメントを受ける権利は専門家の間でも周知されていない」ので、実際にアセスメントを受けた介護者は3分の1程度。こうした現状を受けて、04年に改定されたCarers Actでは、介護者アセスメントに関する情報の周知が地方自治体に義務付けられた。
また、同じくCarers UKのHPによると、昨年のthe Work and Families Act では、柔軟な働き方を求める権利が介護者に認められた。今年4月から施行。雇用者側にも拒む権利があるが、2年前から認められていた6歳までの子どもと18歳までの障害児の親での実績によると、要求の8割が認められているという。
日々自分のことは後回しにして家族を介護している人の心に沁みる、こんな問いが並んでいるのは、英国の介護者支援団体Carers UK -the voice of carers のHPである。英国では2000年のCarers Actにより、各地方自治体に対して、介護者の希望があれば、介護者自身のニーズ評価アセスメントを行うことが義務付けられた。先の質問は、Carers UKの情報提供ページで、アセスメントを受ける介護者が予め整理しておくとよいと勧められるポイントの一部。
Carers UKの解説によると、介護者が16歳以上であれば、介護される人がソーシャルサービスの利用を望んでいなくても介護者アセスメントを受けることができる。患者の退院に備えた「介護するつもり」でも可。ソーシャルサービスに直接電話で申し込むか、GP(かかりつけ医)または保健師に連絡を依頼する。目的は、介護と自分自身の生活のバランスをとり、介護者自身のニーズに対して支援を受けられるようにすること。例えば掃除や洗濯の手伝いがあれば、または通院や通勤にタクシーが使えれば、または安心のための携帯電話があれば介護が続けられるのであれば、それらも介護者サービスの具体例だ。アセスメントを行う人は介護者が介護役割を望んでいるとか、続けたがっているとの予見に立って話を聞いてはならない。地方自治体には介護者サービス提供の認否基準を明らかにすることが求められており、ソーシャルサービスは財源や資源の不足のみを理由に介護者サービス提供を拒むことはできない。
日本の介護者からすると夢のような話だが、これはあくまで制度の理念を介護者の立場でCarers UKが解説したもの。現実には「アセスメントの質にもばらつきがある」。また「悲しいことに介護者がアセスメントを受ける権利は専門家の間でも周知されていない」ので、実際にアセスメントを受けた介護者は3分の1程度。こうした現状を受けて、04年に改定されたCarers Actでは、介護者アセスメントに関する情報の周知が地方自治体に義務付けられた。
また、同じくCarers UKのHPによると、昨年のthe Work and Families Act では、柔軟な働き方を求める権利が介護者に認められた。今年4月から施行。雇用者側にも拒む権利があるが、2年前から認められていた6歳までの子どもと18歳までの障害児の親での実績によると、要求の8割が認められているという。
なお、英国政府は2007年2月に
「介護者のためのニュー・ディール」政策を発表しています。
「介護者のためのニュー・ディール」政策を発表しています。
主な内容は
①介護者が危機に陥った際のレスパイトと緊急時対応のための短期在宅ケアに、地方自治体ごとに2500万ポンド。
②介護者のための全国的な相談電話整備に300万ポンド。
③1999年の全国介護者戦略の広範な見直し。
④介護者支援・教育プログラムの開発支援に500万ポンド。
②介護者のための全国的な相談電話整備に300万ポンド。
③1999年の全国介護者戦略の広範な見直し。
④介護者支援・教育プログラムの開発支援に500万ポンド。
これに対してCarers UKでは、
「介護者の抱える問題に対処する好機。
仕事と介護の両立、
必要なサービスにたどり着くための支援、
介護者の健康と福祉といった難しい問題に対処するには、
次の10年に向けて目に見える戦略が必要」とコメントしています。
「介護者の抱える問題に対処する好機。
仕事と介護の両立、
必要なサービスにたどり着くための支援、
介護者の健康と福祉といった難しい問題に対処するには、
次の10年に向けて目に見える戦略が必要」とコメントしています。
ちなみに、この年の英国の「介護者週間」では
バーバラ・キーリー下院議員が特に介護者支援の呼びかけに力を入れていたのですが、
そのキーリー議員は
「ケア制度の一部をなしている介護者を
目に見える存在に変える必要がある。
介護者の労力を当たり前にしてはならない」と。
バーバラ・キーリー下院議員が特に介護者支援の呼びかけに力を入れていたのですが、
そのキーリー議員は
「ケア制度の一部をなしている介護者を
目に見える存在に変える必要がある。
介護者の労力を当たり前にしてはならない」と。
なかなか果たせずにいますが、
英国を中心に介護者支援についてはもう少し調べてみたいと思っています。
英国を中心に介護者支援についてはもう少し調べてみたいと思っています。
2009.03.10 / Top↑
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