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米国では
ざっと50キロ以上の肥満状態にある成人で
胃のバイパス術や切除、バンディング(胃の一部を括る? 復元可能が利点)など
減量手術を受ける人が1998年の14000人から2006年には178000人へと急増。

その一方で18歳以下の未成年に関しては
リスクが大きすぎるとして専門家の間でも否定的な見方が一般的だったものが、
ここへきて子どもへの減量手術も急増し、
2000年からの3年間にはそれまでの3倍以上に。

背景にあるのは
尋常でないほどの肥満の子どもたちの急増と
ダイエットや行動療法が効果を見せないこと、
さらに成人において
減量手術が寿命を延ばし糖尿などいわゆる成人病を改善させるとの
調査研究が報告されてきたのを受け、
NIHとFDAも減量手術を受けた子どもに関する調査を始めたこと。

米国小児科学会がガイドラインを出しており、
BMIが40以上で深刻な肥満関連病(Ⅱ型の糖尿病、高血圧など)があり、
小児科医の紹介状があること。
18歳以下の場合はさらに、それまでに減量の努力を尽くしており
成長がほぼ終了段階にあることなどの条件が追加。

また全員に
手術前の水分ダイエットによる体重減少テストと、
心理状態のスクリーニングが行われる。

リスクとしては厳密な食事制限が課せられること、
それにより多大な栄養障害を起こす(時に死に至る場合も)可能性があり、
研究されていないだけに、今後新たな問題が起こってくる可能性も。

25000ドルかかるバイパス手術はだいたい保険でカバーされるが
10代のバンディング手術はまだ実験的とみなされており実費で約13500ドル。



こういう話を日本のメディアが取り上げると、
すぐに「米国では肥満対策で子どもの胃の手術が既に一般的な医療」とウソをつくので
念のために書いておくと、

この記事タイトルの上に赤字でつけられたカテゴリー・タイトルは
Extreme Measure (極端な手段)。


ここでもまた不妊の急増と同じで、
子どもたちに病的な肥満がそれほど急増している原因のほうを
きちんと調べる研究こそ実は急がれるべきなんじゃないか、
調べてみたら案外に科学とテクノの濫用こそが犯人だったりもするんじゃないかと思うのだけど、

せっせとお金がつぎ込まれるのは
手術が病気予防に有効だというエビデンスを出してくる研究ばかり。

肥満が医療費高騰の原因になっているからナントカしなければ……という話が
結局「肥満対策で万ドル単位のテクノロジーをどんどん使いましょう」という話に行き着いて、
どうして、それが医療費削減に繋がるのか……。

だけど、それもこれも、いつのまにやら医療費削減の話から
子ども本人の“QOL向上のため”に話が変わっていたりもする。

なんとなく“Ashley療法”で起こったことが
ここでもなぞられているような……。


ちなみに、いろんな意味でのご参考までに、
「健康で充実した人生をより長く歩んでいけるようにする」目的の減量手術を解説する日本語サイトから
減量手術の種類のページを。

一体どういうところがやっているサイトなんだろう……と思って見てみたのだけど、
結局は情報源がよく分からない減量手術の情報提供サイトでした。

もちろんサイトの目的は減量手術のプロモーションと思われますが、
この出所のはっきりしないサイトが検索では一番上に出てくるんだから、不気味。
2009.02.25 / Top↑
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