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つい先日、米国のFDAの認可審査がいいかげんで
なんでも通っているようなものだというコワイ話を読んだばかりですが、

その米国FDAが2年前に許可しなかったという
中絶胎児から採取した幹細胞を使った脳卒中患者の治療が
英国 Glasgowのチームによって行われることになったとか。

実験は今後2年間に渡って
3人ずつ3グループに分けた脳卒中でマヒが残った患者の脳に
それぞれ異なった量の幹細胞を注入することによって
主としてこの治療の安全性を確認しようとするもの。

研究者らは、これによって
新しい神経細胞ができたり、現在の細胞が再生される可能性があり、
患者が失った機能を取り戻すことができるかもしれない、と。

ヒトの胎児の細胞から採取した幹細胞を使うのは「おぞましい」と
倫理的な問題を指摘し、反対する声が起こっている。

Stem cell stroke therapy assessed
The BBC, January 18, 2009


記事を読んで気になるのは、

例えば記事の冒頭、真っ先に書かれているのが

研究者らは、これによって英国が
幹細胞による難病治療開発の最先端に躍り出る、と期待している。

また研究を率いるKeith Muir医師が
正真正銘の世界で“初”になれると思うとおおいにワクワクする」と言ったり、

2年前に米国で認められなかったのは
Reneuron という会社が作った幹細胞で、

今回、英国の the Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency が
臨床実験をするに十分安全だという判断したのも
同じく Reneuronの幹細胞を使った治療なのですが、
その判断基準の違いについては全く説明がなく、

あるのは Reneuronの主任科学者 Dr. Sindenのコメントで、
「FDAは非常に慎重で肝細胞を使った治験には一例も許可を出さなかったが
英国では国民の姿勢も規制する側の姿勢も米国より前向き」

(ブッシュ政権は胚性幹細胞研究に否定的でしたが
はたしてオバマ政権はどういう姿勢をとるのでしょうか……?)

また、Dr. Sindenは、
今回の実験が成功すれば
米国FDAの認可プロセスに時間がかかってイラついている他の会社も
英国やヨーロッパの国々で幹細胞の実験を申請するようになるだろう、
そうすればヨーロッパが幹細胞と再生医学の中心となって、面白いことになる、とも。

治療の安全性を調べるための治験だというのに、
誰も彼もが「効果がある可能性」ばかりを言い、
誰一人、実験に参加する患者さんのリスクには触れもしない。

さらに、「おいおい」と思ったのは同じくDr. Sindenが
倫理問題を指摘する声に反論する箇所のコメントで、

「たった一つの細胞から何千人もを治療できる細胞を作り出す技術が
我々にはあるのですよ。
我々の技術には、これだけ大きなプラスがある。
そのプラスによって胎児の組織を利用するという倫理問題は否定されますよ
治療を拒否することの方が倫理的に間違っているでしょう」

利益さえ大きければ、手段の倫理性は問われない……そうでしょうか?

          ――――――

ついでに、こちらも
英国とスコットランドで「世界初」の治療を実験しますよ、というニュース。

こちらは大人の幹細胞を使って角膜性視覚障害を治療しようというもの。

去年の9月に米国ペンシルバニア大学で
修正遺伝子を目に注射することによって
遺伝性の視覚障害が劇的に改善した例があるとのこと。

同じように行くかどうか・・・…。

Stem cell eye surgery to be tried
The BBC, January 19, 2009


なんにせよ、研究者さんにとっては
「世界初」に何よりも意味があるのですね。
2009.01.19 / Top↑
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