Warren Buffettの息子のPeter Buffettが
NYTのOp-Edで慈善資本主義に疑問を投げかけている。
論考のタイトルは「the Charitable-Industrial Complex 慈善家・産業複合体」
タイトルの同意語を本文中から探してくると、
Philanthropic Colonialism. 慈善植民地主義。
著者は作曲家。
2006年に父親のバフェット氏が自分の富を社会に還元するとして
3つの財団に私財を分けて子どもたち一人一人に運営にあたらせたことから
慈善に関わるようになったという。
そして間もなく
これはPhilanthropic Colonialismだと疑問を感じるようになる。
特定の地域について何の知識も持ち合わせない彼自身を含めた人々が
ある地域で有効だったというだけで、ある問題解決法を、
文化にも地理にも社会にも疎いまま別の地域に持ち込もうとする。
その結果、
例えば、売春地域でエイズの蔓延を防ごうとコンドームを配布して
結局は無規制のセックスの値段を吊り上げてしまうなど、
却って想定外の悪影響をその地域に及ぼすことになる。
しかし、彼が懸念しているのはそこにとどまらず、
富の不均衡に伴って民間の非営利セクターが急成長した結果、
慈善それ自体が、
富の不均衡への罪悪感を覆い隠す「良心ロンダリング」システムであると当時に、
富を偏在させ多くの人々の生活や地域を破壊させてきた現行システムを
維持するための仕掛けとなっていること。
さらに非営利セクターの拡大でビジネス原理が慈善に持ち込まれ、
これらの会議では「投資収益率」が云々され、その説明責任が問われたりしている。
しかしマイクロ・ファイナンスや金融リテラシーを途上国に持ち込んでも、
それは格差を広げている大元を利するだけなのでは?
清潔な水や医療アクセスや自由市場、教育、安全な居住環境などが
途上国にありさえすれば、と嘆く声をよく聞くが、
慈善の介入でそれらが解決できるわけはなく、
Money should be spent trying out concepts that shatter current structures and systems that have turned much of the world into one vast market. Is progress really Wi-Fi on every street corner? No. It’s when no 13-year-old girl on the planet gets sold for sex. But as long as most folks are patting themselves on the back for charitable acts, we’ve got a perpetual poverty machine.
It’s an old story; we really need a new one.
世界を巨大市場にしてしまった
現行の構造と制度を破壊する概念を試すためにこそ、カネを使うべきである。
どこの街角にもWi-Fiが整備されることが本当に進歩なのだろうか。
そうではなく、
13歳の少女が一人としてセックスのために売買されることがなくなった時に
それが進歩といえるのだ。
人々が慈善行為を互いに讃えあっている限り、
それは貧困を永続化させる装置にすぎない。
それは、これまでも繰り返し行われてきたこと。
我々はやり方をかえなければならない。
the Charitable-Industrial Complex
Peter Buffett,
NYT, July 26, 2013
とても興味深いことに、
Julian Savulescuが中心になってやっているOxford大学の
実践倫理学ブログ、Practical Ethicsがこの論考を取り上げて反論している。
(著者はSavulescuではなくて Will Crouchまたの名をMacAskillという人物)
Does philanthropy propagate an unjust system?
PRACTICAL ETHICS, August 1, 2013
What Warren Buffett’s son doesn’t understand about the world
William MacAskill,
Quarts, August 1, 2013
CrouchはPeter Buffetの論考の趣旨を
「つまり、新たなメガ慈善家たちは片方の手で与えてもう一方の手で奪っている」と
独自の言葉で要約したうえで、
そういうことも言えるだろうけれど、
すべてがそうだというわけではないだろう、
「例えばビル・ゲイツがいるじゃないか」という。
ゲイツ財団はワクチンを提供し、結核やHIV治療研究に資金を投じて
500万人の命を救ったといわれている。その金をビル・ゲイツは
ソフトウエアを作って売ることで得たんじゃないか、と書いて、
Peter Buffetのいうことは
経済についても世界の現実についてもわかっていない青二才の
具体的なエビデンスに何ら基づかない漠然とした批判にすぎない、と
突っぱねている。
でも、
ビル・ゲイツが慈善に使っている資金は
彼の個人的な投資会社Cascadeを通して投資で得たカネだし、
その金が投資されている先は
彼の慈善で潤うビッグ・ファーマだったりもする……んでは?
【関連エントリー】
慈善資本主義に新たなネーミング、「人道帝国主義」:インドのポリオ“撲滅”のウラ側(2013/6/11)
慈善資本主義の“マッチポンプ”なカラクリ(2013/6/11)
NYTのOp-Edで慈善資本主義に疑問を投げかけている。
論考のタイトルは「the Charitable-Industrial Complex 慈善家・産業複合体」
タイトルの同意語を本文中から探してくると、
Philanthropic Colonialism. 慈善植民地主義。
著者は作曲家。
2006年に父親のバフェット氏が自分の富を社会に還元するとして
3つの財団に私財を分けて子どもたち一人一人に運営にあたらせたことから
慈善に関わるようになったという。
そして間もなく
これはPhilanthropic Colonialismだと疑問を感じるようになる。
特定の地域について何の知識も持ち合わせない彼自身を含めた人々が
ある地域で有効だったというだけで、ある問題解決法を、
文化にも地理にも社会にも疎いまま別の地域に持ち込もうとする。
その結果、
例えば、売春地域でエイズの蔓延を防ごうとコンドームを配布して
結局は無規制のセックスの値段を吊り上げてしまうなど、
却って想定外の悪影響をその地域に及ぼすことになる。
しかし、彼が懸念しているのはそこにとどまらず、
富の不均衡に伴って民間の非営利セクターが急成長した結果、
慈善それ自体が、
富の不均衡への罪悪感を覆い隠す「良心ロンダリング」システムであると当時に、
富を偏在させ多くの人々の生活や地域を破壊させてきた現行システムを
維持するための仕掛けとなっていること。
さらに非営利セクターの拡大でビジネス原理が慈善に持ち込まれ、
これらの会議では「投資収益率」が云々され、その説明責任が問われたりしている。
しかしマイクロ・ファイナンスや金融リテラシーを途上国に持ち込んでも、
それは格差を広げている大元を利するだけなのでは?
清潔な水や医療アクセスや自由市場、教育、安全な居住環境などが
途上国にありさえすれば、と嘆く声をよく聞くが、
慈善の介入でそれらが解決できるわけはなく、
Money should be spent trying out concepts that shatter current structures and systems that have turned much of the world into one vast market. Is progress really Wi-Fi on every street corner? No. It’s when no 13-year-old girl on the planet gets sold for sex. But as long as most folks are patting themselves on the back for charitable acts, we’ve got a perpetual poverty machine.
It’s an old story; we really need a new one.
世界を巨大市場にしてしまった
現行の構造と制度を破壊する概念を試すためにこそ、カネを使うべきである。
どこの街角にもWi-Fiが整備されることが本当に進歩なのだろうか。
そうではなく、
13歳の少女が一人としてセックスのために売買されることがなくなった時に
それが進歩といえるのだ。
人々が慈善行為を互いに讃えあっている限り、
それは貧困を永続化させる装置にすぎない。
それは、これまでも繰り返し行われてきたこと。
我々はやり方をかえなければならない。
the Charitable-Industrial Complex
Peter Buffett,
NYT, July 26, 2013
とても興味深いことに、
Julian Savulescuが中心になってやっているOxford大学の
実践倫理学ブログ、Practical Ethicsがこの論考を取り上げて反論している。
(著者はSavulescuではなくて Will Crouchまたの名をMacAskillという人物)
Does philanthropy propagate an unjust system?
PRACTICAL ETHICS, August 1, 2013
What Warren Buffett’s son doesn’t understand about the world
William MacAskill,
Quarts, August 1, 2013
CrouchはPeter Buffetの論考の趣旨を
「つまり、新たなメガ慈善家たちは片方の手で与えてもう一方の手で奪っている」と
独自の言葉で要約したうえで、
そういうことも言えるだろうけれど、
すべてがそうだというわけではないだろう、
「例えばビル・ゲイツがいるじゃないか」という。
ゲイツ財団はワクチンを提供し、結核やHIV治療研究に資金を投じて
500万人の命を救ったといわれている。その金をビル・ゲイツは
ソフトウエアを作って売ることで得たんじゃないか、と書いて、
Peter Buffetのいうことは
経済についても世界の現実についてもわかっていない青二才の
具体的なエビデンスに何ら基づかない漠然とした批判にすぎない、と
突っぱねている。
でも、
ビル・ゲイツが慈善に使っている資金は
彼の個人的な投資会社Cascadeを通して投資で得たカネだし、
その金が投資されている先は
彼の慈善で潤うビッグ・ファーマだったりもする……んでは?
【関連エントリー】
慈善資本主義に新たなネーミング、「人道帝国主義」:インドのポリオ“撲滅”のウラ側(2013/6/11)
慈善資本主義の“マッチポンプ”なカラクリ(2013/6/11)
2013.08.05 / Top↑
必見ビデオ。Mark Diceという、ちょっと癖のあるジャーナリストが街頭に立ち「高齢者には安楽死を義務付ける法律を求める署名活動をしています。高齢者の存在が医療費に大きな負担となっています。義務付けです。署名をお願いします」と呼び掛ける一種のドッキリを仕掛けたところ、けっこうな人が賛同し署名。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/07/petition-for-mandatory-euthanasia-for.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
Not Dead YetのCEO、Diane Colemanの自殺幇助批判の論考。the real world of families that are not necessarily all loving and supportive……
http://blog.nj.com/njv_guest_blog/2013/07/the_dangerous_help_of_assisted.html
SavulescuがJournal of Medical Ethicsの論説で、合法的な自殺ほう助の一つの方法として palliated starvation 緩和ケアを得ての餓死を提言。:これはFENが事件を起こす前に、HPで認知症や施設入所者らに勧めていた方法でもあり、ずっと推進派の中にはあった声。
http://jme.bmj.com/content/early/2013/07/17/medethics-2013-101379.extract
OR州の調査でホスピスで働く医療職に、自殺ほう助をめぐる葛藤。
http://www.christianconcern.com/our-concerns/hospice-workers-struggle-to-balance-their-core-values-with-assisted-suicide-laws
オーストラリアのDr. DeathことDr. Philip Nitschkeが上院議員選挙に出るんだとか。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10616#comments
カナダ、Victoria州の電話によるアウトリーチ・プログラム。研修を受けたボランティアによるもの。
http://www.fightdementia.org.au/services/telephone-outreach-program.aspx
NYのCuomo知事、収容施設の4000人の精神障害者を支援付き住宅に移す、と。
http://www.nytimes.com/2013/07/25/opinion/justice-for-the-mentally-disabled.html?_r=0
英国議会による障害を理由にした中絶に関する調査の報告書。軽微な障害でも40週まで中絶可能な法律の訂正を提言。
http://www.abortionanddisability.org/resources/Abortion-and-Disability-Report-17-7-13.pdf
世界で初めての試験管ベビーを作ったPatrick Steptoe医師の元患者 Satdra Crashleyさんが自費出版で、本人の同意なしに片方の卵巣ともう一方の半分を摘出されたばかりか、その手技の未熟で健康を害したと告発。SteptoeとEdwardsが採取手続きの倫理面については明らかにしていない『ボランティア』の一人だったのでは、と。避妊ピルの開発研究でも、プエルトリコの貧しい村の女性たちに実験とは断らずに投薬された事実があり、タスキギ実験になぞられられているとのこと。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10613#comments
がんの過剰診断・治療に対する警告が米国医師会誌に。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/experts-warn-of-dangers-of-overdiagnosis-and-treatment-of-cancer/2013/07/29/2659035e-f88d-11e2-b018-5b8251f0c56e_story.html
NYT.乳がんの生存率に、黒人と白人とで3年の格差。
Black-White Divide Persists in Breast Cancer: New research shows that white women with breast cancer live three years longer than black women because of a troubling pattern of inferior care and a delay in treatment for black women.
ProPublicaの高齢者施設Assisted Livingの実態シリーズLife and death in Assisted Living 3/5まで
http://www.propublica.org/article/emeritus-1-the-emerald-city
http://www.propublica.org/article/emeritus-2-theyre-not-treating-mom-well
http://www.propublica.org/article/emeritus-3-a-sinking-ship
上記シリーズからのTV番組。洗濯室に入りこみ洗剤を飲んで死んだ認知症の男性入所者。ナーシング・ホームに比べて人員配置も規制も緩い。
http://abcnews.go.com/Health/assisted-living-facilities-loosely-regulated-understaffed/story?id=19808799
日本語。ニュージーランド移民局、肥満理由に滞在拒否=130キロの南ア男性
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130727-00000064-jij-asia
【関連エントリー】
「ダウン症の息子が社会の重荷」とドイツ人医師に永住権を拒否(2008/11/10)
カナダ政府、「障害のある子どもが社会の負担」と相次いで永住権を拒否(2011/5/3)
HPV感染予防の決め手は男児へのワクチン接種。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263811.php
ナイジェリアの国務大臣兼保健省のMuhammed Pate医師、大臣を辞職してデューク大学のグローバル・ヘルス研究所のポストへ。そして同時に、ワシントンDC拠点のゲイツ財団のシニア・アドバイザーに就任へ。ナイジェリアといえば、この前ポリオ撲滅で成果があった州の知事にビル&メリンダ・ゲイツ賞が贈られていたけど、あの贈呈役だった「保健相」はそれではこの人だったわけですね。ナイジェリアでは同じ日に武装集団が学校を襲撃して42人を殺害していたのが印象的だった。
http://niyitabiti.net/2013/07/nigeria-health-minister-resignsgrabs-bill-gates-offer/
MITの科学者らがマウスの脳への偽の記憶植え付けに成功。
http://www.theguardian.com/science/2013/jul/25/false-memory-implanted-mouse-brain
日本。東大43論文に改ざん・捏造疑い 元教授グループ。分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130725-00000014-asahi-soci
--------
『援助じゃアフリカは発展しない』ダンビサ・モヨ著 小浜裕久監訳(東洋経済新聞社 2010):ミニメモ
6月5日の補遺で拾って図書館にリクエストしておいたもの。6月の話題は、この本をビル・ゲイツが批判して、著者が激怒してゲイツに反論した、というもの。
「援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子どものような国家として扱われていることにある」(p. 43)という指摘に象徴されるように、読んでいて頭の中で重なっていったのは、障害当事者からの医学や生命倫理の「医学モデル」に対する「社会モデル」からの批判。
アフリカへの先進諸国の援助が、アフリカの国々の生活や文化や社会や価値意識をまるきり無視して先進国が「指導し教育し支援しながら」先進国が自分たちの科学とテクノと経済学の論理で考える「本来国家とはこうあるべき」姿へと目指させるモデルになっている。それがまったく機能していないのは、たとえば援助と称してマラリア予防のための蚊帳を大量に届ければ、地元の蚊帳製造業者は倒産するし、汚職をはびこらせて国家機能をさらに弱体化させていく。
それに対して著者が提言しているのは、小規模な国債発行とかグラミン銀行のマイクロクレジットなど、身の丈に合った方法での「自立」を目指し、それによって国家機能をエンパワーしていくこと。ルワンダのカガメ大統領「われわれ以上に自分の国を知っている者はいないのだし、われわれ以上に何がいいことかを知っている者はいないのだ」(p. 232)。つまり、アフリカの国々を代弁してモヨがこの本で言っていることは Nothing about us without us. なんでは?
この本には「ただ、何をなすべきか、アフリカを後退から防ぐために何が役立つのか、といった点について、アフリカの(選挙で選ばれた)行政担当者や開発問題担当の政策立案者が、意見を述べているのを見ることはほとんどない。多くのアフリカ人が戸惑い、無念に思う中で、この意図や目的についてのもっとも重大な責任は、アフリカの外に住むミュージシャンの手にゆだねられている」(p. 35)と書かれているように、民間ではボノやゲルドフなどミュージシャンの慈善家には何度も言及されているのだけれど、ビル・ゲイツの名前はなぜか一度も出てこない。私が気付いたのは、訳者あとがきに1回登場したのだけ。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/07/petition-for-mandatory-euthanasia-for.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
Not Dead YetのCEO、Diane Colemanの自殺幇助批判の論考。the real world of families that are not necessarily all loving and supportive……
http://blog.nj.com/njv_guest_blog/2013/07/the_dangerous_help_of_assisted.html
SavulescuがJournal of Medical Ethicsの論説で、合法的な自殺ほう助の一つの方法として palliated starvation 緩和ケアを得ての餓死を提言。:これはFENが事件を起こす前に、HPで認知症や施設入所者らに勧めていた方法でもあり、ずっと推進派の中にはあった声。
http://jme.bmj.com/content/early/2013/07/17/medethics-2013-101379.extract
OR州の調査でホスピスで働く医療職に、自殺ほう助をめぐる葛藤。
http://www.christianconcern.com/our-concerns/hospice-workers-struggle-to-balance-their-core-values-with-assisted-suicide-laws
オーストラリアのDr. DeathことDr. Philip Nitschkeが上院議員選挙に出るんだとか。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10616#comments
カナダ、Victoria州の電話によるアウトリーチ・プログラム。研修を受けたボランティアによるもの。
http://www.fightdementia.org.au/services/telephone-outreach-program.aspx
NYのCuomo知事、収容施設の4000人の精神障害者を支援付き住宅に移す、と。
http://www.nytimes.com/2013/07/25/opinion/justice-for-the-mentally-disabled.html?_r=0
英国議会による障害を理由にした中絶に関する調査の報告書。軽微な障害でも40週まで中絶可能な法律の訂正を提言。
http://www.abortionanddisability.org/resources/Abortion-and-Disability-Report-17-7-13.pdf
世界で初めての試験管ベビーを作ったPatrick Steptoe医師の元患者 Satdra Crashleyさんが自費出版で、本人の同意なしに片方の卵巣ともう一方の半分を摘出されたばかりか、その手技の未熟で健康を害したと告発。SteptoeとEdwardsが採取手続きの倫理面については明らかにしていない『ボランティア』の一人だったのでは、と。避妊ピルの開発研究でも、プエルトリコの貧しい村の女性たちに実験とは断らずに投薬された事実があり、タスキギ実験になぞられられているとのこと。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10613#comments
がんの過剰診断・治療に対する警告が米国医師会誌に。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/experts-warn-of-dangers-of-overdiagnosis-and-treatment-of-cancer/2013/07/29/2659035e-f88d-11e2-b018-5b8251f0c56e_story.html
NYT.乳がんの生存率に、黒人と白人とで3年の格差。
Black-White Divide Persists in Breast Cancer: New research shows that white women with breast cancer live three years longer than black women because of a troubling pattern of inferior care and a delay in treatment for black women.
ProPublicaの高齢者施設Assisted Livingの実態シリーズLife and death in Assisted Living 3/5まで
http://www.propublica.org/article/emeritus-1-the-emerald-city
http://www.propublica.org/article/emeritus-2-theyre-not-treating-mom-well
http://www.propublica.org/article/emeritus-3-a-sinking-ship
上記シリーズからのTV番組。洗濯室に入りこみ洗剤を飲んで死んだ認知症の男性入所者。ナーシング・ホームに比べて人員配置も規制も緩い。
http://abcnews.go.com/Health/assisted-living-facilities-loosely-regulated-understaffed/story?id=19808799
日本語。ニュージーランド移民局、肥満理由に滞在拒否=130キロの南ア男性
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130727-00000064-jij-asia
【関連エントリー】
「ダウン症の息子が社会の重荷」とドイツ人医師に永住権を拒否(2008/11/10)
カナダ政府、「障害のある子どもが社会の負担」と相次いで永住権を拒否(2011/5/3)
HPV感染予防の決め手は男児へのワクチン接種。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263811.php
ナイジェリアの国務大臣兼保健省のMuhammed Pate医師、大臣を辞職してデューク大学のグローバル・ヘルス研究所のポストへ。そして同時に、ワシントンDC拠点のゲイツ財団のシニア・アドバイザーに就任へ。ナイジェリアといえば、この前ポリオ撲滅で成果があった州の知事にビル&メリンダ・ゲイツ賞が贈られていたけど、あの贈呈役だった「保健相」はそれではこの人だったわけですね。ナイジェリアでは同じ日に武装集団が学校を襲撃して42人を殺害していたのが印象的だった。
http://niyitabiti.net/2013/07/nigeria-health-minister-resignsgrabs-bill-gates-offer/
MITの科学者らがマウスの脳への偽の記憶植え付けに成功。
http://www.theguardian.com/science/2013/jul/25/false-memory-implanted-mouse-brain
日本。東大43論文に改ざん・捏造疑い 元教授グループ。分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130725-00000014-asahi-soci
--------
『援助じゃアフリカは発展しない』ダンビサ・モヨ著 小浜裕久監訳(東洋経済新聞社 2010):ミニメモ
6月5日の補遺で拾って図書館にリクエストしておいたもの。6月の話題は、この本をビル・ゲイツが批判して、著者が激怒してゲイツに反論した、というもの。
「援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子どものような国家として扱われていることにある」(p. 43)という指摘に象徴されるように、読んでいて頭の中で重なっていったのは、障害当事者からの医学や生命倫理の「医学モデル」に対する「社会モデル」からの批判。
アフリカへの先進諸国の援助が、アフリカの国々の生活や文化や社会や価値意識をまるきり無視して先進国が「指導し教育し支援しながら」先進国が自分たちの科学とテクノと経済学の論理で考える「本来国家とはこうあるべき」姿へと目指させるモデルになっている。それがまったく機能していないのは、たとえば援助と称してマラリア予防のための蚊帳を大量に届ければ、地元の蚊帳製造業者は倒産するし、汚職をはびこらせて国家機能をさらに弱体化させていく。
それに対して著者が提言しているのは、小規模な国債発行とかグラミン銀行のマイクロクレジットなど、身の丈に合った方法での「自立」を目指し、それによって国家機能をエンパワーしていくこと。ルワンダのカガメ大統領「われわれ以上に自分の国を知っている者はいないのだし、われわれ以上に何がいいことかを知っている者はいないのだ」(p. 232)。つまり、アフリカの国々を代弁してモヨがこの本で言っていることは Nothing about us without us. なんでは?
この本には「ただ、何をなすべきか、アフリカを後退から防ぐために何が役立つのか、といった点について、アフリカの(選挙で選ばれた)行政担当者や開発問題担当の政策立案者が、意見を述べているのを見ることはほとんどない。多くのアフリカ人が戸惑い、無念に思う中で、この意図や目的についてのもっとも重大な責任は、アフリカの外に住むミュージシャンの手にゆだねられている」(p. 35)と書かれているように、民間ではボノやゲルドフなどミュージシャンの慈善家には何度も言及されているのだけれど、ビル・ゲイツの名前はなぜか一度も出てこない。私が気付いたのは、訳者あとがきに1回登場したのだけ。
2013.08.05 / Top↑
出版されるや世界中で1000万部を売り上げた
“A Brief History of Time”を執筆中の1985年、
Stephen Hawking(現在71歳)はスイスで肺炎を起こした。
「私は重体で、薬でこん睡状態にされ、
そして生命維持装置につながれました。
医師らは私はもう助からないと考えて、
私の最初の妻ジェーンに生命維持装置を切ることを提案しました」
しかし、ジェーンさんは拒否し、
スイスからケンブリッジの病院へ移すことを主張したという。
Stephen Hawking’s doctors offered to cut life support
The Sunday Times, July 28, 2013
Stephen Hawking – Life Support Decision
Medical Futility Blog, July 28, 2013
映画 Hawking の予告編(2分12秒)はこちらから見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=nCTWnCvDleU
1980年代のスイスの病院には
既に「無益な治療」論がそこまで浸透していたということなのでしょうか。
それにしても薬でこん睡状態にしてしまったら、
回復の兆候があったとしても、それすらわかりようがない……という点で、
頭に浮かぶのは、去年のSteven Thorp事件と、
英国で、またも“脳死”からの回復事例(2012/4/30)
それから、
高齢患者は「さっさと鎮静・脱水」死のベルトコンベアーに
乗せられていることが懸念される英国の機械的LCP適用問題――。
“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機械的適用でNHSが調査に(2012/10/28)
“A Brief History of Time”を執筆中の1985年、
Stephen Hawking(現在71歳)はスイスで肺炎を起こした。
「私は重体で、薬でこん睡状態にされ、
そして生命維持装置につながれました。
医師らは私はもう助からないと考えて、
私の最初の妻ジェーンに生命維持装置を切ることを提案しました」
しかし、ジェーンさんは拒否し、
スイスからケンブリッジの病院へ移すことを主張したという。
Stephen Hawking’s doctors offered to cut life support
The Sunday Times, July 28, 2013
Stephen Hawking – Life Support Decision
Medical Futility Blog, July 28, 2013
映画 Hawking の予告編(2分12秒)はこちらから見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=nCTWnCvDleU
1980年代のスイスの病院には
既に「無益な治療」論がそこまで浸透していたということなのでしょうか。
それにしても薬でこん睡状態にしてしまったら、
回復の兆候があったとしても、それすらわかりようがない……という点で、
頭に浮かぶのは、去年のSteven Thorp事件と、
英国で、またも“脳死”からの回復事例(2012/4/30)
それから、
高齢患者は「さっさと鎮静・脱水」死のベルトコンベアーに
乗せられていることが懸念される英国の機械的LCP適用問題――。
“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機械的適用でNHSが調査に(2012/10/28)
2013.08.05 / Top↑
以下のエントリーで追いかけてきたNicklinson訴訟の続報。
“ロックト・イン症候群”の男性が「妻に殺してもらう権利」求め提訴(英)(2010/7/20)
自殺幇助希望の“ロックト・イン”患者Nicklinson訴訟で判決(2012/3/13)
自殺幇助訴訟のNicklinsonさん、ツイッターを始める(2012/7/2)
「死ぬ権利」求めるロックト・イン患者Nicklinsonさん、敗訴(2012/8/17)
Nicklinsonさん、肺炎で死去(2012/8/23)
Nicklinson 訴訟の上訴裁、四肢マヒの男性によって継続へ(2013/4/19)
交通事故で四肢まひとなった男性、 Paul Lamb氏と
脳卒中の後遺症でロックトイン症候群となり先の高等裁での敗訴で
食を断って肺炎で亡くなったTony Nicklinson氏の未亡人が起こしていた
死の自己決定権をめぐる上訴審で、
上訴裁判所は
自殺ほう助に関する法改正は司法の決定事項ではなく議会の仕事として訴えを却下。
Lamb氏自身がGuardianに発表した文章が以下 ↓
I don’t want sympathy in life, I want dignity in death
Paul Lamb,
Guardian, July 31, 2013
一方、
かねてNicklinson氏と一緒に裁判を起こしていた四肢まひの男性 Martinの訴訟では
法にはさらなる明確化が必要との判断が示された。
British court dismisses landmark right-to die appeal
Reuters, July 31, 2013
UK court rules against euthanasia but says more clarity needed on prosecuting assisted suicide
Brandon Sun, July 31, 2013
【8月2日追記】
Martin訴訟では、
3人の裁判官のうち2人がDPPに対して、さらなる法の明確化を求めたのに対して、
主任最高裁判事はそれに反対して、DPPに法改正に等しい権限を与えるべきではない、と。
既に2010年にPurdy訴訟での最高裁の判断を受けて
自殺ほう助の起訴ガイドラインを出しているDPPのStarmer氏は、
この判決に即座に、英国公訴局長としては先に最高裁の判断をいただきたい、と反論。
(ちなみにStarmer氏はこの秋でDPPを辞任予定。それなりに筋の通った正論を説く人だったけど)
四肢マヒのMartinさんは餓死を試みるもかなわず、
残された手段はスイスのディグニタスへ行くことのみだが
看護婦の妻は自殺ほう助に当たる行為をしたくないと言っている。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2382255/Judges-right-die-guidance-nurse-helps-stroke-victim-end-life-prosecuted.html
“ロックト・イン症候群”の男性が「妻に殺してもらう権利」求め提訴(英)(2010/7/20)
自殺幇助希望の“ロックト・イン”患者Nicklinson訴訟で判決(2012/3/13)
自殺幇助訴訟のNicklinsonさん、ツイッターを始める(2012/7/2)
「死ぬ権利」求めるロックト・イン患者Nicklinsonさん、敗訴(2012/8/17)
Nicklinsonさん、肺炎で死去(2012/8/23)
Nicklinson 訴訟の上訴裁、四肢マヒの男性によって継続へ(2013/4/19)
交通事故で四肢まひとなった男性、 Paul Lamb氏と
脳卒中の後遺症でロックトイン症候群となり先の高等裁での敗訴で
食を断って肺炎で亡くなったTony Nicklinson氏の未亡人が起こしていた
死の自己決定権をめぐる上訴審で、
上訴裁判所は
自殺ほう助に関する法改正は司法の決定事項ではなく議会の仕事として訴えを却下。
Lamb氏自身がGuardianに発表した文章が以下 ↓
I don’t want sympathy in life, I want dignity in death
Paul Lamb,
Guardian, July 31, 2013
一方、
かねてNicklinson氏と一緒に裁判を起こしていた四肢まひの男性 Martinの訴訟では
法にはさらなる明確化が必要との判断が示された。
British court dismisses landmark right-to die appeal
Reuters, July 31, 2013
UK court rules against euthanasia but says more clarity needed on prosecuting assisted suicide
Brandon Sun, July 31, 2013
【8月2日追記】
Martin訴訟では、
3人の裁判官のうち2人がDPPに対して、さらなる法の明確化を求めたのに対して、
主任最高裁判事はそれに反対して、DPPに法改正に等しい権限を与えるべきではない、と。
既に2010年にPurdy訴訟での最高裁の判断を受けて
自殺ほう助の起訴ガイドラインを出しているDPPのStarmer氏は、
この判決に即座に、英国公訴局長としては先に最高裁の判断をいただきたい、と反論。
(ちなみにStarmer氏はこの秋でDPPを辞任予定。それなりに筋の通った正論を説く人だったけど)
四肢マヒのMartinさんは餓死を試みるもかなわず、
残された手段はスイスのディグニタスへ行くことのみだが
看護婦の妻は自殺ほう助に当たる行為をしたくないと言っている。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2382255/Judges-right-die-guidance-nurse-helps-stroke-victim-end-life-prosecuted.html
2013.08.05 / Top↑
オーストラリア健康高齢化省(DoHA)が2012年8月に制定した「全国介護者レスパイト・プログラム」
(National Respite for Carers Program:NRCP)の概要について、
同局から出ているNRCPガイドラインのイントロダクションから。
・NRCPとは、
全国介護者アクションプランの1996-97年度の予算措置で導入された
オーストラリア政府のプログラム。
・2056年までに国民4人に1人が65歳以上となる高齢化予測を受け
首相とマーク・バトラー健康高齢化大臣は2012年4月20日、
高齢者ケアの改革10年計画 the Living Longer Living Betterを発表し、
5年間で37億ドルの予算を付けた。
・優先課題は、
在宅への支援とケアの強化、入所施設へのアクセス改善、認知症対策と介護職の強化。
・2010年3月17日に介護者法案(the Carer Recognition Act 2010)が通過し、
NRCPの資金を受けるサービス機関や提供者は従業員に
「オーストラリア介護者声明」の理念を尊重・実行するよう徹底することが義務付けられた。
・その中には
介護者が自分が介護している人が十分なケアを受けられるという安心のもとに、
自分自身の健康とウェルビーイングを守るべく、休息をとれるよう
レスパイトサービスにも予算措置が行われた。
その対象者は以下の人々を介護するケアラー。
認知症の人。
認知症で介護の困難な行動のある人。
虚弱高齢のオーストラリア人(65歳以上の人、病気であれば50歳以上)
在宅で生活している中等度・重度・重症障害のある若年者
(65歳未満、病気であれば50歳未満)
緩和ケアを必要とする終末期の人。
・介護者支援の新規予算は
レスパイトその他のサービス提供事業者にグラントとして提供され、
それらが継続されることによって地域資源として定着することを狙うもの。
NRCPのグラントは3年間の給付を基本とする。
・2012-13年度予算で5年間で3200万ドルの予算がつけられており、
NRCPプログラムのもとで分配される。
このプログラムの大変興味深い点として、
① レスパイトサービスの形態が多様であること。
デイセンターや施設、コミュニティセンターでの一時預かりのほかに、
介護者の自宅で提供されるレスパイトも含まれている。
12-13年度ではNRCP下で全国500の地域ベースのレスパイト・サービスに
グラントが提供される。
②NRCPの一環としての「全国介護者カウンセリング・プログラム:NCCP」。
全国的な介護者支援組織、Carers Australiaへの委託により、
介護者に特有のうつ状態やストレス、グリーフと喪失、コーピングといった問題について
カウンセリング提供体制を整備。
NCCPの詳細については、たとえば以下の情報に ↓
NATIONAL CARER COUNSELLING PROGRAM
Cares Australiaが介護者向けに出しているNCCPのパンフレットは以下 ↓
http://carersqld.asn.au/wp-content/uploads/Talking+it+over+brochure.pdf
【注記】
DoHAから出ているNRCPのレスパイサービス提供者向けマニュアルの
10.2 Charging Fees (利用料金)の項目(p.47)に以下のように書かれていることから、
レスパイトもカウンセリングも利用は原則として応能負担のようです。
Consistent with the Government’s policy support for ‘user pay’ arrangements, all carers using Australian Government funded respite services are encouraged to contribute to the cost of Respite Care when they can afford to. While no carer should be refused services due to an inability to contribute to the cost of those services, it is important that those carers who can afford to pay all or some of the costs are required to do so, as this may result in the provision of Respite Careto more carers.
(National Respite for Carers Program:NRCP)の概要について、
同局から出ているNRCPガイドラインのイントロダクションから。
・NRCPとは、
全国介護者アクションプランの1996-97年度の予算措置で導入された
オーストラリア政府のプログラム。
・2056年までに国民4人に1人が65歳以上となる高齢化予測を受け
首相とマーク・バトラー健康高齢化大臣は2012年4月20日、
高齢者ケアの改革10年計画 the Living Longer Living Betterを発表し、
5年間で37億ドルの予算を付けた。
・優先課題は、
在宅への支援とケアの強化、入所施設へのアクセス改善、認知症対策と介護職の強化。
・2010年3月17日に介護者法案(the Carer Recognition Act 2010)が通過し、
NRCPの資金を受けるサービス機関や提供者は従業員に
「オーストラリア介護者声明」の理念を尊重・実行するよう徹底することが義務付けられた。
・その中には
介護者が自分が介護している人が十分なケアを受けられるという安心のもとに、
自分自身の健康とウェルビーイングを守るべく、休息をとれるよう
レスパイトサービスにも予算措置が行われた。
その対象者は以下の人々を介護するケアラー。
認知症の人。
認知症で介護の困難な行動のある人。
虚弱高齢のオーストラリア人(65歳以上の人、病気であれば50歳以上)
在宅で生活している中等度・重度・重症障害のある若年者
(65歳未満、病気であれば50歳未満)
緩和ケアを必要とする終末期の人。
・介護者支援の新規予算は
レスパイトその他のサービス提供事業者にグラントとして提供され、
それらが継続されることによって地域資源として定着することを狙うもの。
NRCPのグラントは3年間の給付を基本とする。
・2012-13年度予算で5年間で3200万ドルの予算がつけられており、
NRCPプログラムのもとで分配される。
このプログラムの大変興味深い点として、
① レスパイトサービスの形態が多様であること。
デイセンターや施設、コミュニティセンターでの一時預かりのほかに、
介護者の自宅で提供されるレスパイトも含まれている。
12-13年度ではNRCP下で全国500の地域ベースのレスパイト・サービスに
グラントが提供される。
②NRCPの一環としての「全国介護者カウンセリング・プログラム:NCCP」。
全国的な介護者支援組織、Carers Australiaへの委託により、
介護者に特有のうつ状態やストレス、グリーフと喪失、コーピングといった問題について
カウンセリング提供体制を整備。
NCCPの詳細については、たとえば以下の情報に ↓
NATIONAL CARER COUNSELLING PROGRAM
Cares Australiaが介護者向けに出しているNCCPのパンフレットは以下 ↓
http://carersqld.asn.au/wp-content/uploads/Talking+it+over+brochure.pdf
【注記】
DoHAから出ているNRCPのレスパイサービス提供者向けマニュアルの
10.2 Charging Fees (利用料金)の項目(p.47)に以下のように書かれていることから、
レスパイトもカウンセリングも利用は原則として応能負担のようです。
Consistent with the Government’s policy support for ‘user pay’ arrangements, all carers using Australian Government funded respite services are encouraged to contribute to the cost of Respite Care when they can afford to. While no carer should be refused services due to an inability to contribute to the cost of those services, it is important that those carers who can afford to pay all or some of the costs are required to do so, as this may result in the provision of Respite Careto more carers.
2013.08.05 / Top↑