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Statement of Australia’s Carers(オーストラリア介護者声明)

オーストラリア政府が2010年に制定した介護者法
The Carer Recognition Act 2010のセクション12として挙げられているもの。
(日本で『介護者憲章』と訳され紹介されているのがこれかも?)

1. All carers should have the same rights, choices and opportunities as other Australians, regardless of age, race, sex, disability, sexuality, religious or political beliefs, Aboriginal or Torres Strait Islander heritage, cultural or linguistic differences, socioeconomic status or locality.

すべての介護者は、年齢、民族、性別、障害の有無、セクシュアリティ、宗教また政治的信条、アボリジニまたはトレス海峡諸島民の子孫であること、文化的言語的な違い、社会経済的な地位やローカリティを問わず、他のオーストラリア人と同じ権利、選択と機会を与えられなければならない。

2. Children and young people who are carers should have the same rights as all children and young people and should be supported to reach their full potential.

介護者である児童と青少年は他の児童と青少年と同じ権利を有すべきであり、その潜在的な可能性に十全に達することができるよう支援されなければならない。

3. The valuable social and economic contribution that carers make to society should be recognised and supported.

介護者が社会に対して行っている価値ある社会的また経済的な貢献が認められ、支援されなければならない。

4. Carers should be supported to enjoy optimum health and social wellbeing and to participate in family, social and community life.

介護者は最も健康な状態と社会的なウェルビーイングを楽しみ、家族生活、社会生活、地域生活に参加できるよう、支援されなければならない。

5. Carers should be acknowledged as individuals with their own needs within and beyond the caring role.

介護者は介護役割の中にも、またその役割の外にも自分自身のニーズのある、一人の人であることが認められなければならない。

6. The relationship between carers and the persons for whom they care should be recognised and respected.

介護者と介護者が介護している人との関係性が認められ、尊重されなければならない。

7. Carers should be considered as partners with other care providers in the provision of care, acknowledging the unique knowledge and experience of carers.

介護者はケアの提供において、介護者ならではの知識と経験を尊重され、他のケア提供者のパートナーとして位置づけられなければならない。

8. Carers should be treated with dignity and respect.

介護者は尊厳と敬意をもって遇されなければならない。

9. Carers should be supported to achieve greater economic wellbeing and sustainability and, where appropriate, should have opportunities to participate in employment and education.

介護者は経済的なウェルビーイングと持続可能性を増大させる支援を受けると同時に、可能であれば雇用と教育に参加する機会を与えられなければならない。

10. Support for carers should be timely, responsive, appropriate and accessible.

介護者への支援はタイムリーで、ニーズに沿っており、的確で、アクセス可能なものでなければならない。

Appendix 5 – Statement of Australia’s Carers
Section 12 of the Carer Recognition Act 2010



なお、英語圏に伝わる読み人知らずの「介護者の権利章典」を訳してみたものはこちら ↓

介護者の権利章典 再改定版(2011/10/23)



【オーストラリアの介護者週間関連エントリー】
今日から豪・介護者週間……because I care(2008/10/19)
56歳の母親が語る息子の介護(豪・介護者週間)(2008/10/20)
2013.08.05 / Top↑
カナダ政府が1940年代から1950年代にかけて
インディアンの子どもたちに行った一連の非倫理的な栄養実験の詳細が明らかになっている。

Social History誌に発表された論文はこちら ↓
Administering Colonial Science: Nutrition Research and Human Biomedical Experimentation in Aboriginal Communities and Residential Schools, 1942-1952
Ian Mosby (bio)
Social history Volume 46, Number 91, May 2013

アブストラクトは以下。

Between 1942 and 1952, some of Canada’s leading nutrition experts, in cooperation with various federal departments, conducted an unprecedented series of nutritional studies of Aboriginal communities and residential schools. The most ambitious and perhaps best known of these was the 1947–1948 James Bay Survey of the Attawapiskat and Rupert’s House Cree First Nations. Less well known were two separate long-term studies that went so far as to include controlled experiments conducted, apparently without the subjects’ informed consent or knowledge, on malnourished Aboriginal populations in Northern Manitoba and, later, in six Indian residential schools. This article explores these studies and experiments, in part to provide a narrative record of a largely unexamined episode of exploitation and neglect by the Canadian government. At the same time, it situates these studies within the context of broader federal policies governing the lives of Aboriginal peoples, a shifting Canadian consensus concerning the science of nutrition, and changing attitudes towards the ethics of biomedical experimentation on human beings during a period that encompassed, among other things, the establishment of the Nuremberg Code of experimental research ethics.


1942年から1952年の間に、カナダの一流栄養学者数人が各種連邦機関と協働しつつ、アボリジニの地域と寄宿学校において、それまでに前例のない一連の栄養研究を行った。その中で最も野心的で最も有名なのは、1947年から1948年にかけて行われたthe Attawapiskat and Rupert’s House Cree First Nations(クリ―・ファースト・ネイションは先住民の意。その他は??)のJames Bay 調査だった。その調査ほど知られてはいないが、2つのそれぞれ別個の長期研究もあった。

その中には、被験者のICもなければ被験者に知らせることもなしに、マニトバ北部のアボリジニの低栄養状態の人々に対して、後にはインディアンの寄宿学校6校で、栄養状態をコントロールする実験まで含まれていた。

本稿はこれらの研究と実験を調べ、そのほとんどが未調査のままとなっているカナダ政府による搾取とネグレクトについて、いくらかでもナラティブの記録を提供できればと意図するものである。同時に、これらの研究をアボリジニの人々の生活を統治する連邦政府の方針といった、さらに大きな文脈に位置付ける。その文脈とは、ことにニュールンベルグ綱領が成立した時期に、栄養科学に関するカナダ人のコンセンサスが変化し、バイオ医学の実験倫理に対する姿勢が変わってきたことである。


この論文を受け、Nature 誌が掲載した記事は以下。
Canada used hungry indigenous children to study malnutrition
Nature, July 23, 2013


BioEdgeの解説によれば、

実験目的で寄宿学校の子どもたちに基本的な栄養を欠いた食事を与え、
基本的な医療ケアも行わなかった、というもの。

ある実験では
マニトバ北部で低栄養状態が広がっていることが分かった後、
コントロール群を作るため175人の子どもたちに
意図的にビタミン・サプリを与えないままにした。

また別の実験では
州立の寄宿学校の子どもたち1000人に対して
牛乳を1日に必要な摂取量の半分以下しか与えないことによって
ビタミンCのサプリメントの効果を調べるための「ベースライン」を作った。

その後、6校の子どもたちに
歯科治療が差し控えられた。

上記のNatureの記事によれば、
先住民組織(the Assembly of First Nations)では
この一連の研究に関する全データの公開を求めており、

アボリジニー局は寄宿学校での虐待を調査する委員会に
900の文書を提出した、と言っている。

commentsNew evidence of unethical research on Canadian Indians
BioEdge, July 27, 2013



関連エントリーは以下。

【米でのタスキギ梅毒実験その他】
米国で行われた人体実験(2009/3/17)

【日本の知的障害児施設での睡眠薬実験】
子どもへの薬の人体実験(日本)(2008/3/31)

【ファーザーによるナイジェリアでの違法な実験】
ファイザー製薬ナイジェリアの子どももに違法な治験、11人が死亡(2009/2/1)

【米によるグァテマラでの性病実験】
タスキギだけじゃなかった米の非人道的人体実験、グァテマラでも(2011/6/9)
米の科学者ら、非倫理的だと承知の上でグァテマラの性病実験を実施(2011/8/31)

【HIV感染予防ゼリー実験】
ゲイツ財団肝いり“HIV感染予防ゼリー”は「新たなタスキギ実験」?(2011/6/24)
“HIV感染予防ゼリー“、効果確認できず大規模治験が中止に(2011/12/10)

【その他】
「社会経済的理由でアクセス拒まれることはない」米NIHの臨床人体実験(2011/6/1)
マーケティングだから被験者が死んでもスル―される「タネまき治験」(2011/8/12)
2013.08.05 / Top↑
以下のように
患者にも家族にも知らせない一方的なDNR(蘇生無用)指定が問題になっている英国で、

“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
ケアホーム入所者に無断でDNR指定、NHSトラストが家族に謝罪(英)(2012/5/8)


12時間ぶっ通しの勤務で疲れ果てた小児科研修医が
別の子どもと勘違いして肺炎のダウン症の男児(6歳)の蘇生を中止させ、
男児が死亡する事件が起きている。

男児はJack Adcockくん。ダウン症候群だった。

肺炎から呼吸困難、高熱を起こし、
2011年2月18日にLeicester Royal Infirmaryに入院。
症状が悪化し、同日の午後7時45分に心停止を起こした。

付き添っていた母親が助けを呼び、
医師らが駆けつけて蘇生に取り掛かったところ、
Bawa-Garba医師が止めた。

Bawa-Garba医師(36)は1年1カ月の産休明けで、
産休の間に「ショック状態の管理と治療のスキルが鈍った」といい、
ジャックがショック状態にあることに気づかず、また
血液検査の異常値にも気付かなかった、と言っている。

さらに12時間ぶっ通しの勤務で疲れていたのだ、とも。

他の医師が「どうしてジャックがDNRなんだ?」と問うて初めて
Bawa-Garba医師は自分の間違いに気付き、ジャックのもとに戻って
その後1時間近く、蘇生に努めるチームととともに働いたという。
しかしジャックの蘇生はかなわなかった。

検死官の調査で蘇生を止める前にジャックの顔を見たのかと問われ
「部屋にはたくさん人がいたから、顔を見たかどうか思い出せない。

でも、私にとって大事だったのは、
蘇生しないことになっている子どもは蘇生しないことだった」。

Down’s syndrome boy, 6, died when doctor exhausted by 12 hour shift mistook him for child who had ‘do not resuscitate’ order
Daily Mail, July 24, 2013


記事を読む限り、この研修医、
罪悪感を引き受けることができずに
いろいろ言い訳するタイプの人のようだけれど、

蘇生しなければならない子どもを蘇生することよりも、
蘇生しないことになっている子どもは蘇生しないことの方が
私にとっては大事だった……ということが
言い訳しているうちに語るに落ちてしまった、ということなんでしょうか。

研修医に「どうせダウン症の子どもだから蘇生は無用」という
意識があったから起こった事件……なんでは?


英国では去年も以下のような事件があった ↓
「ダウン症だから」と本人にも家族に無断でDNR指定(英)(2012/9/13)


今回の報道を受け、
無益な治療ブログのPopeが
POLSTに患者の顔写真を添付せよ、と提言している。

http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/07/match-right-patient-to-dnr-order.html

でも、この事件、
本当にそういう問題なのかなぁ??


POLSTについては、こちら ↓
医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLST(2012/11/26)
一方的な「無益な治療」拒否のアリバイ化するPOLST(2013/6/16)
2013.07.28 / Top↑
中国でのオペレーションにおいて
仲介者と旅行会社を通じて医師らに現金と性的賄賂を贈り違法行為を行ったとして
グラクソ幹部4人が逮捕された、以下の事件について

医師や官僚への贈賄でグラクソ幹部から逮捕者(中国)(2013/7/12)

英国本社のCEO、Andrew Witty氏が24日に
記者会見を予定していることを受け、

Guardianが、同氏が答えるべき8つの疑問を掲載。

① グラクソの社員は実際には何をしたのか?

② グラクソ・チャイナ社の幹部はいつから不正行為を行っていたのか?

③ グラクソの贈賄金額は? それにより患者への薬の価格は上がったのか?

中国当局は収賄額を3200万ポンド、
薬の消費者価格を30%上げた、としている。

④ グラクソがこれらの容疑を知ったのはいつか? Wittyはなぜこれまで対処しなかったのか?

15日の幹部4人の逮捕は
グラクソが4カ月に及ぶ調査の結果、中国オペレーションに不正はないと
発表したわずか1週間後のことだった。

グラクソの中国オペレーションには以前から不正の疑惑が取りざたされており、
同社は去年、ルール違反で中国の社員56人を解雇した。(世界的には312人)

NYTの報道では、
2011年11月に中国の研究開発施設に重大な問題があると
グラクソは警告を受けており、その中には、
既に人での臨床実験が行われている段階で
その薬のマウスでの実験結果を報告していなかった事実も。

⑤ この不正への関与は「フード・チェーン」のどこまで遡るのか?

⑥ Wittyはグラクソの中国オペレーションをどうやって浄化するつもりか?

⑦ グラクソは重大不正局にどういう情報を明かしたのか?

⑧ Wittyは株主に対して、他の国々のスタッフは医師に賄賂を贈っていないと確約できるのか?

グラクソは去年、
米国での不正スキャンダルでの和解金として政府に30億ドルを支払い、

和解後に、Wittyは全社的な立て直しを行い、
2度と同様のスキャンダルを繰り返さないと誓っている。


GSK’s China crisis: questions that need answers
The Guardian, July 24, 2013


ちなみに、メルク社は
リューマチの治療薬の心臓病リスクを隠ぺいしたスキャンダルで株主から訴えられて、
今年2月に6億8800万ドルで和解している ↓

Vytorinスキャンダルで損害被ったと株主に訴えられたメルク、6億8800万ドルで和解(2013/2/17)


最後の疑問の「株主に対して」の個所には
こういう含みがあるのだろうと思いますが、

グラクソといえば、日本でも
導入から定期接種化へのプロセスが驚くほどの超高速で進んだかと思うや、
副作用が大問題となっているHPVワクチン、サーバリックスの販売元。

CEOが「確約」すべき責任がある相手は、
まずは株主じゃないだろう、と思うんですけど、
そこのところ、ガーディアンの記者も「染まって」ない?


去年のグラクソの30億ドルの和解金支払いについては ↓

ビッグ・ファーマのビッグな罰金(2012/7/4)


和解金の対象となったスキャンダルの詳細は ↓

抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)
2013.07.28 / Top↑
ゲイツ財団の教育改革への資金投入とそれに伴う影響力行使は公教育にとどまらず、大学改革にも。The Chronicle of Higher Educationが"the Gates Effect"と題する長大な調査報告を取りまとめている。
http://www.universityworldnews.com/article.php?story=20130719161311291
http://philanthropy.com/blogs/philanthropytoday/measuring-the-gates-effect-on-u-s-higher-education/71651

上の動きを受けて、「なぜ大学はビル・ゲイツを嫌うのか」という記事。
http://www.smartcompany.com.au/information-technology/056558-best-of-the-web-why-universities-hate-bill-gates.html

こういう話題となると、最近堂々たるゲイツ批判を展開しているWPのValerie Straussの記事がやっぱり歯ごたえがある。15日の記事のタイトルは「高等教育へとビルゲイツが広げる影響力、そしてカネ」。ゲイツ財団から抗議があったらしく、その後、細かい訂正が入っている。
http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/07/15/bill-gates-expands-influence-and-money-into-higher-education/
http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/07/16/gates-foundation-responds-to-critical-articles/

【関連エントリー】
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)
デジタル思考の成果主義に染められていく米国の公教育改革(2013/2/20)
ビル・ゲイツの慈善にも説明責任を突きつける教師ブロガ―(2013/4/24)
ビル・ゲイツの公教育改革に、米国の教師が突きつけ始めた“NO”(2013/6/15)
米国の教師が指摘するビル・ゲイツ教育改革7つの問題点(2013/7/17)


インドの給食への農薬混入のニュースで「もっとも貧しい地域」というので、ビハール州じゃないかと思ったら、やっぱりそうだった。ビハール州はゲイツ財団がインドで最も力と金を注いでいるところ。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jul/17/school-meals-kill-indian-children


NYT。アフリカで女性器切除が少しずつ減少しているらしい。これは良いニュース。
Report Finds Gradual Fall in Female Genital Cutting in Africa: An assessment by Unicef described the ancient practice as “remarkably tenacious,” but found declines in the procedure in more than half of the countries where it is concentrated.

【関連エントリー】
米小児科学会の女性器切除に関する指針撤回:Diekema医師の大チョンボ(2010/8/4)
Gatesの一声で、男児包皮切除にエビデンスが出てくるわ、小児科学会もCDCも方針を転換するわ(2010/8/16)
包皮切除件数減少を反対運動のせいだと騒ぐDiekemaのポチ踊り(2010/8/23)
包皮切除でのDiekema発言でNPRラジオに抗議殺到(2010/9/14)
2011年5月20日の補遺
2012年12月2日の補遺


英国医師会から介護者向けの支援ガイド。
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2371560/Carers-Manual-released-help-6-million-Britons-nursing-loved-one.html

オーストラリアの調査で、認知症の人の介護者への健康負担。
http://www.sciencewa.net.au/topics/social-science/item/2277-caregivers%E2%80%99-health-burdens-highlighted.html

英国で認知症患者が減少傾向?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263402.php

日本。日本一若い!?訪問看護士の挑戦 4.胃瘻でも口から食べる!を支える看護の底力
http://carepro.co.jp/zaitaku/archive/serial_05_15.html

自衛隊運用、制服組に移管 来年度にも、文官部局は廃止:これ、選挙の前に決まってたみたいなんだけれど、どうしてこういう重大な問題がきちんと報道されないかなぁ。シビリアンコントロールが失われたってことだと思うんだけれど、自民党の天下になっても戦争だけは起こらないと信じられる人の根拠って??
http://www.asahi.com/politics/update/0718/TKY201307171014.html

日本語。強姦被害訴えるノルウェー人女性に有罪判決 ドバイ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130722-35034948-cnn-int

            -------

牟田和恵著『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書) ミニメモ:

不快な思いをしていてもそれを表現できない弱い側の立場への、強い側の鈍感。鈍感にとどまらず自分の都合のよいように解釈して悦に入る、愚かしいほどの自意識過剰。

これは男と女だけじゃなくて、教師と生徒(学生)、上司と部下、親と子、医師と患者……ありとあらゆる上下関係に通じていく問題だと思いながら読んだ。問題の本質は何をしたとか何を言うかということにあるのではなく、相手をナメているからナメていない相手には言えないことを、つい言ってしまう、ついやってしまう、という点にあるような気がする。

そういう人の中にはもともと自尊感情が安定していない人が多いので、ナメて見下している相手から謝罪を求められたり、人の良さからつい謝罪してしまったりすると、今度はそのことに自尊感情を揺さぶられて、逆に自分の優越性を自分自身に対して証明する必要に駆られ、妙な形で相手に対して報復的に粘着していくんじゃないだろうか。(何度かの直接体験から思うこと。もちろんそういうふうに記憶されている体験は自分が「ナメられた」側だった体験のみ)

だから、たぶん「素直に謝れば事態は小さいうちに収拾できる」という著者の正しいアドバイスは、ナメていない相手には言えないようなことをナメている相手だから言えるような人には、実はチョー難しいことなんではないだろうか、と思ったりする。

とはいえ、かつては生徒(学生)に対する教師という立場で、今も子に対する親という立場で、その他、自分が優位だと感じる相手に対して、自分だって同じことをやっている自覚もないわけではなく。だからこそ、自分が「ナメた」側だった体験は記憶されることはないのだろうし、この本は本当は読者それぞれに、そうした自分への振り返りを促すところに意味があるような気も。
2013.07.28 / Top↑