カナダの最高裁で審理中のRasouli事件については、以下に。
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
カナダのRasouli事件、最高裁へ(2011/12/23)
Hassan Rasouliさん、「植物状態」から「最少意識状態」へ診断変わる(2012/4/26)
この事件の舞台、Sunnnybrook Health Sciences Centerでは
当ブログでは今年初めにも「無益な治療」事件を拾っていますが、
Rasouli事件の病院で新たに「無益な治療」訴訟:「救命できても自立生活は無理だから生命維持停止を」(2013/1/26)
以下のトロント・スター紙の記事によると、
同病院での「無益な治療」係争はこれが5件目だとのこと。
今回の患者は Joaquim Silva Rodrigeus氏(73歳)。
2010年の春に進行性核上性麻痺と診断された。
その際、カトリック教徒であるRodrigeus氏は家族に
病気の進行を止めたいが、それが無理だったとしても、
苦痛があっても生きて家族と共にいたい、と希望していた。
12年7月にSunnybrookに入院し、
8月にICUに移った。
それから3度の危機のたびに人工呼吸器を付けて持ち直してきたが、
このたび病院側が、次には人工呼吸器をつけないことを一方的に決定。
代理決定権者の息子がthe Consent and Capacity Boardに提訴した。
病院側は委員会で
「回復の見込みは皆無。
延命しても、その命が生きるに値するかどうか分からない場合には
延命には明確な利益はない。延命は苦痛を長引かせるだけ」と。
サニーブルックでは、
このところの「無益な治療」事件の続発について、
カナダでも有数の外傷センターとして重症患者を多数扱っているため、と。
また、
「あらゆる段階を踏み、家族とも話し合いをしたうえで、最終的な意思決定は
それが患者の最善の利益であるなら、医師が決めること」とも。
Family battle Sunnybrook hospital over comatose man’s right to live
The Toronto Star, May 23, 2013
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
カナダのRasouli事件、最高裁へ(2011/12/23)
Hassan Rasouliさん、「植物状態」から「最少意識状態」へ診断変わる(2012/4/26)
この事件の舞台、Sunnnybrook Health Sciences Centerでは
当ブログでは今年初めにも「無益な治療」事件を拾っていますが、
Rasouli事件の病院で新たに「無益な治療」訴訟:「救命できても自立生活は無理だから生命維持停止を」(2013/1/26)
以下のトロント・スター紙の記事によると、
同病院での「無益な治療」係争はこれが5件目だとのこと。
今回の患者は Joaquim Silva Rodrigeus氏(73歳)。
2010年の春に進行性核上性麻痺と診断された。
その際、カトリック教徒であるRodrigeus氏は家族に
病気の進行を止めたいが、それが無理だったとしても、
苦痛があっても生きて家族と共にいたい、と希望していた。
12年7月にSunnybrookに入院し、
8月にICUに移った。
それから3度の危機のたびに人工呼吸器を付けて持ち直してきたが、
このたび病院側が、次には人工呼吸器をつけないことを一方的に決定。
代理決定権者の息子がthe Consent and Capacity Boardに提訴した。
病院側は委員会で
「回復の見込みは皆無。
延命しても、その命が生きるに値するかどうか分からない場合には
延命には明確な利益はない。延命は苦痛を長引かせるだけ」と。
サニーブルックでは、
このところの「無益な治療」事件の続発について、
カナダでも有数の外傷センターとして重症患者を多数扱っているため、と。
また、
「あらゆる段階を踏み、家族とも話し合いをしたうえで、最終的な意思決定は
それが患者の最善の利益であるなら、医師が決めること」とも。
Family battle Sunnybrook hospital over comatose man’s right to live
The Toronto Star, May 23, 2013
2013.06.07 / Top↑
以下の直前2エントリー、
「ガンで死が差し迫った段階を“診断”するツールは未だ存在しない」として、そこで起こる現象の整理を試みた調査(2013/5/22)
新城拓也医師「現時点では医師による終末期の判定は占いの域」(2013/5/23)
に大きく関連しているという気がするThaddeus Mason Popeの情報で、
Penn MedicineのCarline M. Quill医師のチームによる調査、
“Variation Among ICUs In Decisions To Limit Life Sustaining Therapies”.
「生命維持治療を制限する意思決定におけるICU間のバラつき」
米国153のICUで生命維持治療の差し控えと中止の意思決定を調査したところ、
大きなバラつきがみられた。
それはつまり、患者の病気の重症度、年齢、人種、機能状況だけでなく、
ICUの文化や医師の臨床実態が大きく作用している、といういこと。
Quillの研究では、
生命維持治療の差し控えと中止の意思決定が行われる際には
6層に渡るバラつきが見えられるとしており、
同じ患者でもどこのICUに搬送されるかによって
その患者の属性や臨床的な特性とは関わりなく
生命維持治療を差し控えたり中止される意思決定が左右される、ということ。
ICU Variability in Decisions to Limit Life Sustaining Therapies
Medical Futility Blog, May 22, 2013
「ガンで死が差し迫った段階を“診断”するツールは未だ存在しない」として、そこで起こる現象の整理を試みた調査(2013/5/22)
新城拓也医師「現時点では医師による終末期の判定は占いの域」(2013/5/23)
に大きく関連しているという気がするThaddeus Mason Popeの情報で、
Penn MedicineのCarline M. Quill医師のチームによる調査、
“Variation Among ICUs In Decisions To Limit Life Sustaining Therapies”.
「生命維持治療を制限する意思決定におけるICU間のバラつき」
米国153のICUで生命維持治療の差し控えと中止の意思決定を調査したところ、
大きなバラつきがみられた。
それはつまり、患者の病気の重症度、年齢、人種、機能状況だけでなく、
ICUの文化や医師の臨床実態が大きく作用している、といういこと。
Quillの研究では、
生命維持治療の差し控えと中止の意思決定が行われる際には
6層に渡るバラつきが見えられるとしており、
同じ患者でもどこのICUに搬送されるかによって
その患者の属性や臨床的な特性とは関わりなく
生命維持治療を差し控えたり中止される意思決定が左右される、ということ。
ICU Variability in Decisions to Limit Life Sustaining Therapies
Medical Futility Blog, May 22, 2013
2013.06.07 / Top↑
へースティング・センターのガイドラインについては、
どこかで言及されているのを読んだ記憶があるかなぁ……という程度だし、
Ashley事件からこちらのあれこれから、へースティング・センター自体に対しても、
思うことはいろいろあるのだけれど、
Thaddeus Popeがブログで紹介してくれている
改訂ガイドラインの目次を眺めてみただけでも、
一口に生命維持、終末期医療といっても
議論すべきことはこんなにも多岐に渡るんだなぁ……ということを、改めて認識させられる思い。
全部コピペしようと思ったら文字数オーバーになったので
興味ある方には以下にリンクしたPopeのブログへ行ってもらうことにして、
障害者とのコミュニケーション関連の個所だけ紹介すると、
パート3、セクション2
「障害のある患者とのコミュニケーションと協働」では
A. 生命維持治療と固まった障害または進行性の障害への配慮
B. 患者の障害が発話に関わっている場合のコミュニケーション
C. 患者の障害が認知に関わっている場合のコミュニケーション
D. 障害を負って間もない患者との生命維持治療に関するコミュニケーションと協働
NEW Hastings Center Guidelines for Decisions on Life-Sustaining Treatment and Care Near the End of Life
Medical Futility Blog, May 7, 2013
もちろん、内容をちゃんと読んでみれば、
目を剥くようなことが書かれていないとも限らないのだけれど、
ざっと目を通して、やっぱり頭に浮かぶのは、
メディアに流れている米国の自殺幇助議論や無益な治療論との距離感――。
それから、翻って、
日本の医師による、尊厳死・平穏死議論のあまりの粗雑さ――。
どこかで言及されているのを読んだ記憶があるかなぁ……という程度だし、
Ashley事件からこちらのあれこれから、へースティング・センター自体に対しても、
思うことはいろいろあるのだけれど、
Thaddeus Popeがブログで紹介してくれている
改訂ガイドラインの目次を眺めてみただけでも、
一口に生命維持、終末期医療といっても
議論すべきことはこんなにも多岐に渡るんだなぁ……ということを、改めて認識させられる思い。
全部コピペしようと思ったら文字数オーバーになったので
興味ある方には以下にリンクしたPopeのブログへ行ってもらうことにして、
障害者とのコミュニケーション関連の個所だけ紹介すると、
パート3、セクション2
「障害のある患者とのコミュニケーションと協働」では
A. 生命維持治療と固まった障害または進行性の障害への配慮
B. 患者の障害が発話に関わっている場合のコミュニケーション
C. 患者の障害が認知に関わっている場合のコミュニケーション
D. 障害を負って間もない患者との生命維持治療に関するコミュニケーションと協働
NEW Hastings Center Guidelines for Decisions on Life-Sustaining Treatment and Care Near the End of Life
Medical Futility Blog, May 7, 2013
もちろん、内容をちゃんと読んでみれば、
目を剥くようなことが書かれていないとも限らないのだけれど、
ざっと目を通して、やっぱり頭に浮かぶのは、
メディアに流れている米国の自殺幇助議論や無益な治療論との距離感――。
それから、翻って、
日本の医師による、尊厳死・平穏死議論のあまりの粗雑さ――。
2013.05.08 / Top↑
Daily Mailがソースみたいなのだけれど、
どこのサイトからもMailのリンクが効かなくなっているので、
こちらのサイトから。
アルツハイマー病を患っていたフロリダ在住のRichard Floraさん(76)。
娘のEllen Wilsonさんの家でガラガラヘビ(Eastern Diamondback Rattlesnake)に噛まれた。
Floraさんの側にレンガがあったことから、
ヘビを殺そうとしたのではないか、と。
「何かおかしいと思っていたんです。
症状が揃っていました。……心拍が早かったし、汗をかいて吐いて」とEllenさん。
家族は病院へ運んだ。
医師らが家族に解毒剤を打って救命しますか、と尋ねる。
この事件の数日前に家族はDNR(蘇生無用)オーダーに署名していたのだ。
Ellenさんは他の姉妹と電話で相談。
父親はアルツハイマー病の最終段階にあり、
アルツハイマー病になったことを苦々しく思っていたから、
もし本人に選べるなら、アルツハイマー病で死ぬよりも
ヘビ毒で死ぬ方を選んだはずだ、と決めた。
Floraさんは噛まれてから11時間後に死亡。
Ellenさんは、
「私たちは祈りました。そして、
神様が、父に尊厳のある死に方ができるようにと
この事故を起こしてくださったように感じました」
Family Lets Alzheimer’s sufferer Richard Flora Die Of Snake Bite So He Can ‘Die With Dignity’
Opposing Views, May 01, 2013
Medical Futility Blogには、
作為の可能性はないのか、というコメントが入っている。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/05/alzheimers-sufferer-dies-from-snake.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
どこのサイトからもMailのリンクが効かなくなっているので、
こちらのサイトから。
アルツハイマー病を患っていたフロリダ在住のRichard Floraさん(76)。
娘のEllen Wilsonさんの家でガラガラヘビ(Eastern Diamondback Rattlesnake)に噛まれた。
Floraさんの側にレンガがあったことから、
ヘビを殺そうとしたのではないか、と。
「何かおかしいと思っていたんです。
症状が揃っていました。……心拍が早かったし、汗をかいて吐いて」とEllenさん。
家族は病院へ運んだ。
医師らが家族に解毒剤を打って救命しますか、と尋ねる。
この事件の数日前に家族はDNR(蘇生無用)オーダーに署名していたのだ。
Ellenさんは他の姉妹と電話で相談。
父親はアルツハイマー病の最終段階にあり、
アルツハイマー病になったことを苦々しく思っていたから、
もし本人に選べるなら、アルツハイマー病で死ぬよりも
ヘビ毒で死ぬ方を選んだはずだ、と決めた。
Floraさんは噛まれてから11時間後に死亡。
Ellenさんは、
「私たちは祈りました。そして、
神様が、父に尊厳のある死に方ができるようにと
この事故を起こしてくださったように感じました」
Family Lets Alzheimer’s sufferer Richard Flora Die Of Snake Bite So He Can ‘Die With Dignity’
Opposing Views, May 01, 2013
Medical Futility Blogには、
作為の可能性はないのか、というコメントが入っている。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/05/alzheimers-sufferer-dies-from-snake.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
2013.05.08 / Top↑
Russel Border さんは12年3月に
Reading Hospital and Medical CenterのICUに入院。
ICUの患者として人工呼吸器その他の延命治療が施されたが、
担当医らはその間に法廷代理人のSharon Grayさんに連絡し、
Borderさんの状態はターミナルで無益なので、
生命維持の中止を勧めた。
その他の家族はみんな病院の勧める通りでよいと言い、異議はなかったが、
Sharonさんのみが反対。
それはBorderさん本人の事前指示に、
現在の状態になった場合には生命維持を望むと書かれていたため。
すると病院側は係争解決の手段として
裁判所に法廷代理人の解任を申し立てた。
Borderさんの事前指示書には
本人の希望は「一般的な参考」に過ぎず、最善の利益によって変更可能とも
指示されていたことから、
裁判所も
生命維持の中止を認めないのは
SharonさんがBorderさんの最善の利益に応じた行動をとっていないこととみなし、
代理人の交代を命じた。
この決定はペンシルベニア州の最高裁でも認められた。
Thaddeus Popeは
「無益な治療」係争解決の手段として代理人交代を支持してきたんだとか。
このケースは好例だ、と。
Reading Hospital Resolves Futility Dispute by Replacing Guardian
Medical Futility Blog, April 30, 2013
11年にヴァージニア州であった同様の事件がこちら ↓
延命停止に不同意の家族からは決定権はく奪、病院推薦の代理人が同意(2011/3/6)
Reading Hospital and Medical CenterのICUに入院。
ICUの患者として人工呼吸器その他の延命治療が施されたが、
担当医らはその間に法廷代理人のSharon Grayさんに連絡し、
Borderさんの状態はターミナルで無益なので、
生命維持の中止を勧めた。
その他の家族はみんな病院の勧める通りでよいと言い、異議はなかったが、
Sharonさんのみが反対。
それはBorderさん本人の事前指示に、
現在の状態になった場合には生命維持を望むと書かれていたため。
すると病院側は係争解決の手段として
裁判所に法廷代理人の解任を申し立てた。
Borderさんの事前指示書には
本人の希望は「一般的な参考」に過ぎず、最善の利益によって変更可能とも
指示されていたことから、
裁判所も
生命維持の中止を認めないのは
SharonさんがBorderさんの最善の利益に応じた行動をとっていないこととみなし、
代理人の交代を命じた。
この決定はペンシルベニア州の最高裁でも認められた。
Thaddeus Popeは
「無益な治療」係争解決の手段として代理人交代を支持してきたんだとか。
このケースは好例だ、と。
Reading Hospital Resolves Futility Dispute by Replacing Guardian
Medical Futility Blog, April 30, 2013
11年にヴァージニア州であった同様の事件がこちら ↓
延命停止に不同意の家族からは決定権はく奪、病院推薦の代理人が同意(2011/3/6)
2013.05.02 / Top↑