オランダの尊厳死法を巡って、民俗学者であり弁護士である女性がさまざまな立場の人たちにインタビューを重ねて、医師の責任と患者の自己決定権の間にあるジレンマについて考察した本、に関する長文記事。目を引いたのはオランダで去年1年間に医師らが報告した安楽死と自殺幇助が2331件もあったということ。
http://www.nrc.nl/international/Features/article2425897.ece/Euthanasia_law_is_no_cure-all_for_Dutch_doctors
http://www.nrc.nl/international/Features/article2425897.ece/Euthanasia_law_is_no_cure-all_for_Dutch_doctors
レイプされたとの女性の訴えを警察が軽視して、書類をなくしたり、まともに相手にしないために、事件としてきちんと捜査されていない英国の実態。
http://www.guardian.co.uk/society/2009/dec/01/rape-case-cctv-footage-destroyed
http://www.guardian.co.uk/society/2009/dec/01/rape-case-cctv-footage-destroyed
女性の白髪はストレスや生活習慣ではなく、遺伝子で決まるんだとか。:遺伝子決定論は、一体どこまでいくのだろう……。とりあえず「遺伝子も関係している」くらいの理解で、というわけにはいかないのかな。癌だって遺伝子だけが決めるわけじゃないという声もあるのなら。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8386476.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8386476.stm
米国でフード・スタンプ(食料購入助成券)をもらう人が急増。8人に1人。子どもでは4人に1人。グローサリー・ストアでは、スタンプで買い物をする人が当たり前の光景になりつつある。そのおかげでスティグマは解消されているものの……。
http://www.nytimes.com/2009/11/29/us/29foodstamps.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/29/us/29foodstamps.html?_r=1&th&emc=th
2009.12.01 / Top↑
米国のティーンが処方薬や薬局で買える薬を濫用して
オーバードースで病院に運び込まれるという事例が増えている。
オーバードースで病院に運び込まれるという事例が増えている。
偽の処方箋をもって病院の裏にある闇の薬局に行けば、自由に買えるんだとか。
こちらの記事では
怪我をした際に処方された痛み止めで味を占めたという
少年のケースが取り上げられている。
怪我をした際に処方された痛み止めで味を占めたという
少年のケースが取り上げられている。
子どもたちが薬パーティにみんなで集まって、
いろんな薬を試してみるんだとか。
いろんな薬を試してみるんだとか。
家庭内の薬については親がちゃんと在庫量を確認して管理して欲しい、とFDAの関係者。
「なんでも薬で簡単解決で、みんなハッピー」説を唱えるトランスヒューマニストさんたちは、
そういう価値観が子どもたちに及ぼす影響については
どのように考えているのでしょうか。
どのように考えているのでしょうか。
2009.12.01 / Top↑
今日のNHKクローズアップ現代が英国の精神医療のアウトリーチを特集していて、
その中で危機解決チームが取り上げられていたので、
その中で危機解決チームが取り上げられていたので、
前に仕事の関係でちょっとだけ調べてみたことがある米国の危機介入チームのことについて書いた
2008年12月9日のエントリーを以下に再掲。
2008年12月9日のエントリーを以下に再掲。
去年11月、NYブルックリンで
精神障害のある18歳の黒人少年Khiel Coppinが
取り囲まれた警官から20発もの銃弾を受けて死亡するという
痛ましい事件が起きました。
当時、精神科で処方されていた抗精神病薬を飲まなくなって不安定になっていた少年は
母親と揉めて極度の興奮状態に陥り手がつけられない状態。
母親が911に通報した際のテープにも背後でわめいている声が入っています。
駆けつけた警官らは、玄関先でシャツの下に隠し持った銃を向けてきたので撃った、と。
しかし、倒れた少年が手にしていたのは黒いヘアブラシでした――。
Man, 18, Is Fatally Shot by Police in Brooklyn
The NY Times, November 13, 2007
A Troubled Man and 20 Police Bullets in Brooklyn
The NY Times, November 14, 2007
ブルックリン、黒人少年……とあって、
警察の対応に人種差別があったのではないかと問題になったのはもちろんながら、
もう1つこの事件で注目されたのがNY市の機動危機チームの存在。
Khielの母親は911に通報する前に
近郊のInterfaith 医療センターから機動危機チームを呼んでいたのでした。
たまたまチームの危機対応カウンセラーが尋ねてきた時に本人が不在だったのだけれど、
もしも会えていたら彼は死なずに済んだかも……。
この事件をきっかけにNY市の機動危機チームを取り上げた以下のNYTimesの記事によると、
Police Shooting Puts Focus on Mental Crisis Teams
The NY Times, November 15, 2007
現在23のチームがあり、
警察と病院が連携して活動。
費用は全額、市の保険精神衛生局が負担。
メンバーは心理学者、精神科医、看護師、ソーシャルワーカー、中毒の専門家、ピアカウンセラーなど。
患者の地域生活を支援し、病院から地域へ、との理念で作られたもの。
電話を受けるとチームは家に行ってストレス反応を評価し、
必要な場合は外来受診が可能となるまでサポートする。
各種サービスや施設への紹介も投薬も可能。
フォローアップも行う。
強制入院が必要な場合には機動危機チームの判断で
警察の協力を仰ぐこともできる。
NY 市の危機介入チーム一覧はこちら。
Kheil Copper事件で呼ばれていたInterfaith 医療センターの情報はこちら。
Behavioral Health Services → Emergency Services の中に
Mobile Crisis Team and Emergency Servicesについて説明があります。
精神科医とその他精神医療の専門家が毎日朝9時から夜10時まで
地域の患者と家族に対応。
精神科のERは別立てで毎日24時間対応。
米国とカナダの機動危機チームの実態をまとめた論文がこちらに。
Mobile crisis teams partner police with mental health workers
Anita Dubey,
Cross Currents; Spring 2006; CBCA Reference pg. 14
--------
以上は去年Coppin事件を機に調べてみたもので、
当時、同種のチームをインターネットで検索してみたのですが、
地域によって名称も整備状況や形態も様々、整備途上という印象でした。
警察のコールセンターが中心になって病院に繋いでいるところも
精神医療の危機介入が警察や行政の危機管理体制の一環と位置づけられているところもあって
強制入院の権限を持つ機動危機チームが
過剰な公安的危機管理に傾斜する可能性も気にならないではなかったのですが、
日本でも累犯障害者の問題や
障害者自立支援法で精神障害者の退院促進の方針が打ち出されていることを思えば、
地域での危機に対応するための各種専門職の協働体制作りと共に
危機的な状態に陥ってしまった本人と家族への支援、
さらに、そこまで追い詰められないような早期介入の支援システムが必要なのでは?
早めに細かく有効にお金を使うことで
先行きの大きな出費を抑制できる工夫の余地がまだまだあるのに、
そういう工夫も努力も検討せずに
ただ漠然と「社会的コスト」をまるで呪文のように繰り返しては
人間を切り捨てることによって全ての出費をカットしてしまおうとする声には
十分に警戒しておきたいと思う。
一旦「社会的コスト」を云々することに加担すれば
それは社会保障そのものを否定し、あらゆることが個々人の自己責任とされる社会への
滑り坂に脚を踏み出すことではないのか……という気がするから。
精神障害のある18歳の黒人少年Khiel Coppinが
取り囲まれた警官から20発もの銃弾を受けて死亡するという
痛ましい事件が起きました。
当時、精神科で処方されていた抗精神病薬を飲まなくなって不安定になっていた少年は
母親と揉めて極度の興奮状態に陥り手がつけられない状態。
母親が911に通報した際のテープにも背後でわめいている声が入っています。
駆けつけた警官らは、玄関先でシャツの下に隠し持った銃を向けてきたので撃った、と。
しかし、倒れた少年が手にしていたのは黒いヘアブラシでした――。
Man, 18, Is Fatally Shot by Police in Brooklyn
The NY Times, November 13, 2007
A Troubled Man and 20 Police Bullets in Brooklyn
The NY Times, November 14, 2007
ブルックリン、黒人少年……とあって、
警察の対応に人種差別があったのではないかと問題になったのはもちろんながら、
もう1つこの事件で注目されたのがNY市の機動危機チームの存在。
Khielの母親は911に通報する前に
近郊のInterfaith 医療センターから機動危機チームを呼んでいたのでした。
たまたまチームの危機対応カウンセラーが尋ねてきた時に本人が不在だったのだけれど、
もしも会えていたら彼は死なずに済んだかも……。
この事件をきっかけにNY市の機動危機チームを取り上げた以下のNYTimesの記事によると、
Police Shooting Puts Focus on Mental Crisis Teams
The NY Times, November 15, 2007
現在23のチームがあり、
警察と病院が連携して活動。
費用は全額、市の保険精神衛生局が負担。
メンバーは心理学者、精神科医、看護師、ソーシャルワーカー、中毒の専門家、ピアカウンセラーなど。
患者の地域生活を支援し、病院から地域へ、との理念で作られたもの。
電話を受けるとチームは家に行ってストレス反応を評価し、
必要な場合は外来受診が可能となるまでサポートする。
各種サービスや施設への紹介も投薬も可能。
フォローアップも行う。
強制入院が必要な場合には機動危機チームの判断で
警察の協力を仰ぐこともできる。
NY 市の危機介入チーム一覧はこちら。
Kheil Copper事件で呼ばれていたInterfaith 医療センターの情報はこちら。
Behavioral Health Services → Emergency Services の中に
Mobile Crisis Team and Emergency Servicesについて説明があります。
精神科医とその他精神医療の専門家が毎日朝9時から夜10時まで
地域の患者と家族に対応。
精神科のERは別立てで毎日24時間対応。
米国とカナダの機動危機チームの実態をまとめた論文がこちらに。
Mobile crisis teams partner police with mental health workers
Anita Dubey,
Cross Currents; Spring 2006; CBCA Reference pg. 14
--------
以上は去年Coppin事件を機に調べてみたもので、
当時、同種のチームをインターネットで検索してみたのですが、
地域によって名称も整備状況や形態も様々、整備途上という印象でした。
警察のコールセンターが中心になって病院に繋いでいるところも
精神医療の危機介入が警察や行政の危機管理体制の一環と位置づけられているところもあって
強制入院の権限を持つ機動危機チームが
過剰な公安的危機管理に傾斜する可能性も気にならないではなかったのですが、
日本でも累犯障害者の問題や
障害者自立支援法で精神障害者の退院促進の方針が打ち出されていることを思えば、
地域での危機に対応するための各種専門職の協働体制作りと共に
危機的な状態に陥ってしまった本人と家族への支援、
さらに、そこまで追い詰められないような早期介入の支援システムが必要なのでは?
早めに細かく有効にお金を使うことで
先行きの大きな出費を抑制できる工夫の余地がまだまだあるのに、
そういう工夫も努力も検討せずに
ただ漠然と「社会的コスト」をまるで呪文のように繰り返しては
人間を切り捨てることによって全ての出費をカットしてしまおうとする声には
十分に警戒しておきたいと思う。
一旦「社会的コスト」を云々することに加担すれば
それは社会保障そのものを否定し、あらゆることが個々人の自己責任とされる社会への
滑り坂に脚を踏み出すことではないのか……という気がするから。
なお、アウトリーチは番組では「積極的な訪問」と訳してありましたが、
私は必ずしも訪問するかどうかという形として捉えるよりも、
支援する側が支援を必要とする側に向かって手を差し伸べ積極的に働きかけていく姿勢、
例えば、このブログで何度か書いてきた「支援する側から迎えにいく支援」という姿勢と
このアウトリーチという言葉を重ねたいように感じました。
支援する側が支援を必要とする側に向かって手を差し伸べ積極的に働きかけていく姿勢、
例えば、このブログで何度か書いてきた「支援する側から迎えにいく支援」という姿勢と
このアウトリーチという言葉を重ねたいように感じました。
そうすれば、このアウトリーチという概念は必ずしも精神医療に限ったことではなくて、
もっと広く、例えば介護支援を必要とする人の掘り起こしや、
障害児・者、高齢者、生活困窮者や諸々のニーズのある人を支えていく地域づくりにも
そのまま当てはまるのではないでしょうか。
もっと広く、例えば介護支援を必要とする人の掘り起こしや、
障害児・者、高齢者、生活困窮者や諸々のニーズのある人を支えていく地域づくりにも
そのまま当てはまるのではないでしょうか。
2009.12.01 / Top↑
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