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英国議会で議論されているヒト受精・胚法改正については
両党とも党の縛りを解いて議員個人にそれぞれの良心に従って投票することを認めていますが、
その投票が近づいてきたことから英国メディアには
この問題に関する12日付ニュースが多数出ています。





the Guardianの記事 What’s in the bill には
簡潔にこの法案で論争になっているポイントがまとめられており、
この法案で最も大きな関心を呼んでいるのは

・動物の細胞に人間の遺伝情報を組み込んで作る混成胚の研究利用を認める
・臓器移植を必要とする子どものために遺伝子診断で作る「救済者兄弟」を認める
・レズビアンの夫婦に生殖補助医療を認めるために、現在の「父親がいること」との条件を削除する
・生殖補助医療の余剰胚を夫婦が研究に提供することを可能とする
・パートナーの凍結精子の死後利用を可能とする
・中絶のタイムリミットを現在の24週から繰り下げる


Guardianが独自に議員らに調査したところによると、
上記のポイントのうち中絶のタイムリミット以外は賛成多数という見通しのようです。

それにしても上記の記事のいずれにおいても
着床前遺伝子診断で病気や障害のある胚をそうではない胚よりも選好してはならないとする点については
触れられていないのが気になります。

「障害児はnon-personである」などという声まで上院議会で出ていたのですが。

また、Timesの記事は中絶のタイムリミットの問題を取り上げており、
先日発表された24週未満の未熟児の生存率は医学が進歩しても変わっていないとの調査結果から
保健大臣を始め何人かが、引き下げることには科学的根拠がないとの見方を示しています。
(まぁ、そのための調査であり、この時期の結果発表だったのでしょうから。)

しかし、彼らの発言をよくよく読むと、
「生存の可能性はあるのだけれども、そういう子どもたちはNICUを使う率が高くなる」
という話が複数回出てきていて、

引き下げたいとする側は中絶反対のプロ・ライフの立場であるのに対して、
引き下げに反対する側がこれまでのようなプロ・チョイスの立場ということではなく、
むしろ「重症障害児を出したくない」とか
「超未熟児に高度医療施設を占領させたくない、医療費をかけたくない」といった辺りが
身もフタもない本音というところのようです。

そういうホンネが「科学的根拠」とか「親や本人のため」など、
もっともらしい理由に巧妙に摩り替えられるわけですね。


2008.05.13 / Top↑
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