2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
昨日に引き続き、CNNのビデオで見つけた
面白い実験(試み?)について。

ビデオのタイトルは Sensitivity Suit(1月4日)。

Sensitivityという言葉をいろいろ考えてみたのですが、
今のところ私には適当な訳語が見つからず、
ここでは「誰かの身になって感じたり考えたりする能力・感受性」を言っているので、
ちょっと無理があるかもしれないけど「共感スーツ」かなぁ。

Sensitivityを離れて、機能で名づければ、
アリゾナの病院看護師Lorraine Foranさんが
独自に考案したセンシティビティ・スーツとは
いわば「肥満の疑似体験スーツ」。

アメリカでは、さぞ珍妙な仕掛けでしょうが、
正月番組でさんまとキムタクが着ていた「力士の着ぐるみ」をユニット化したようなもので、
日本人にはあまり違和感のないスーツです。

ビデオでは、
これを着用したLorraineさんが
病院の敷地内を歩き、
苦労しつつ階段を上る姿。

(スーツの上に衣服を着ているので、
 外見上はただの肥満体に見えます。)

肥満の患者さんはこのように物理的・身体的に様々な困難や差別に出会うほかにも、
このスーツを着て町のベンチに座っているだけで、
いかに社会が肥満の人に冷たい目を向けているか
その疎外感がひしひしと感じられる、と。

病院では「sensitivity トレーナー」という任務に当たる彼女が、
患者が受ける差別や肥満から来る苦しみなどについて病院職員に講義し、
どのように患者に対して共感的に接するべきか
熱心に説いている姿もあります。

インタビューでは
「患者さんの体だけでなくメンタルな部分の治療も大事ですから」と。

Orange郡のニュースサイトにForanさんが登場する関連記事がありました。

           ――――

このニュースから、ふっと思ったのですが、

認知能力はあるのに表出能力が限られているために
「どうせ何も分からない」と勝手に決め付けられてしまう
重症障害児・者の疑似体験というのを誰か考案してくれないものか。


たとえば Peter Singer だとか Norman Fost だとか、
そうそう、ぜひ Diekema医師にも、
拘束衣を着てもらったうえで、
ゼッタイにものを言ってはいけないというルールで
1日どこかのデイ・サービスで過ごしてもらう、

または、
車椅子に乗って拘束衣が見えないように毛布でくるみ、
そのまま誰かが押して街中に出る、
レストランで全介助で水を飲ませてもらい(必ずこぼれます)、
全介助で食事をする
(食べこぼしが散らばります。顔も汚れます。きっと満足感もありません)。
もちろん絶対に口を利いてはいけないのがルールで。

認知に問題があるどころか頭の切れは抜群の、
けれど外見だけは重症障害者となった彼らに、
はたして周囲がどんな目を向けるものか──。

女性の腰のくびれとテストスコアの相関を調べるよりも
こっちのほうが、よほど有意義な実験ではないかと
私は思うのですが。
2008.01.08 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://spitzibara.blog.2nt.com/tb.php/1586-254b880e