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WPASの調査報告書の概要を以下に。ただし、個々の訳語はあまり吟味したものではありません。あくまでご参考までに。



「アシュリー療法」に関する調査報告書 

2007年5月8日
Washington Protection & Advocacy System
(2007年6月1日より Disability Rights Washington に改名)

WPASとは
 The Developmental Disabilities Assistance and Bill of Rights (DD) Act(発達障害支援および権利章典法)、the Protection and Advocacy for Individuals with Mental Illnesses Act(精神障害者のための保護及び権利擁護法), the Protection and Advocacy for Individual Rights Act, the Revised Code of Washingtonなどに基づき、ワシントン州において障害者の保護と権利擁護サービスを提供する民間NPO。設置は連邦政府により各州、テリトリーに義務付けられており、全国で57のP&Aシステムがある。活動資金の大半は連邦政府が提供。発達障害のある人への虐待とネグレクトが疑われる場合に、調査を行う法的権限が与えられている。

Ⅰ イントロダクション

 2006年秋の論文発表から今年始めの両親のブログ立ち上げに続く論争の中で、一連の医療介入が合法的に行われたかという視点での議論は実質的に皆無だった。多くの苦情も寄せられた。報道内容を検討し、DD法に規定された虐待に当たる可能性があると判断し、調査に踏み切った。ただし、「アシュリー療法」を巡る倫理問題と法律問題は多岐にわたるが、この調査と報告書ではアシュリーの権利が侵害されたかどうか、DD法に規定された虐待とネグレクトをアシュリーが受けたかどうかという点のみを対象とするものである。

Ⅱ 調査の方法

 調査の開始は2007年1月6日。目的は、アシュリーがこうした療法によって虐待またはネグレクトを受けたかどうか、また法的権利を侵害されたかどうか、を判断すること。調査方法はA.文書を請求し審査、B.証人の面接、法的調査、C.医療の専門家への相談。

A. の文書の中には、今後の子どもに対する成長抑制や不妊手術の要望を検討するための委員会の運営方針、現在の倫理委員会のミッション・ステートメント、子ども病院のIC方針、未成年の不妊手術に関する方針(案)、「アシュリー療法」を検討した倫理委員会の記録などが含まれる。
また、子ども病院はWPASとの間で、今後の発達障害のある子どもの権利擁護に向けて改善と組織的改革を行うとの合意文書に署名。
当該外科手術は子ども病院で行われたものの、関与した医師はワシントン大学の職員であるため、同大のインフォームドコンセント方針を請求した。

B.面接したのは内分泌医(2月12日)と外科医(2月14日)。

C. 医療に関する相談役としては、発達障害に詳しい小児科医であり精神科医である、ソルトレイクシティのユタ大学神経精神科クリニックのScott Stiefel M.D.

Ⅲ 事実

A.両親がアシュリーを子どもの状態に留めることを望んだ。

ブログの中で子宮摘出は不妊手術を目的とするものではないと書いているが、利点の一つとして妊娠の可能性を避けることも挙げている。
民間の病院であるシアトル子ども病院において、ワシントン大学の職員である医師が外科手術を行った。

B.両親は「アシュリー療法」に関して子ども病院の倫理委に意見と勧告を求めた。

 子ども病院の倫理委員会は他職種構成で、医療倫理の訓練を受けた専門職と地域の人たち、それに子ども病院の弁護士。倫理的な問題が起きる可能性のある処置に関して臨床家と家族にガイダンスを求められた場合に強制力のない勧告を行う。
 2004年の倫理委では両親が一連の介入を求める論拠を提示し、担当医らが両親の求める外科的介入と薬剤による介入について説明sh地あ。倫理委は提案された介入について「アシュリー本人への長期的利益がリスクを上回るとのコンセンサス」にいたり、医療として倫理的と結論付けたが、不妊手術部分に関しては病院には決定する権限がないので、合法性については”court review”を求めるべく弁護士を雇うように両親に告げた。

C.子宮摘出を含め、療法に対する裁判所の命令は請求されず、許可も得ていない。

 アシュリーの両親が相談した弁護士Larry Jonesは娘に障害があり、発達障害のある子どもの親のアドボケイトとして仕事をしてきた人物。ワシントン州では知的障害のある子どもの不妊手術には裁判所の命令が必要としながら、アシュリーの場合は不妊手術が目的ではないので適用外との判断を示した。
 外科医は弁護士から父親宛の手紙のコピーと、倫理委員会の勧告文書の両方を受け取っている。彼は手術前に医療部長のところに相談に行ったとのこと。この弁護士の判断を持って倫理委の勧告した”court review”がクリアされたものとして、医療部長が最終的に手術の実施を承認したとのこと。

D.保険と請求

 両親はブログで、成長抑制、子宮摘出、乳房芽の切除の経費全額が保険でまかなわれたと書いている。「アシュリー療法」の推計を約3万ドルとも書いている。子ども病院は民間の保険会社が病院で行われた外科手術の支払ったことを認め、調整前で26、389ドルの請求書を提出。ただし、この中に外科医、麻酔医、内分泌医、各種評価、フォローアップ、ホルモン療法の経費は含まれていない。

E.懲罰と改善措置

 裁判所の命令なしに手術が行われたことに対して、誰かに何らかの懲罰処分があったかどうかを病院側に問い合わせたが、病院は組織的な過誤であり、今後への改善を行うとの見解。
2007.06.03 / Top↑
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