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ここまでGunther医師とDiekema医師が書いた論文と、その内容をめぐる彼らの発言を検証してきました。途中あちこち脱線してしまったので、一度ここで整理しておきたいと思います。

この論文についての考察の、とりあえずの結論:この論文は実はとても胡散臭い。
なぜなら、

①論文には隠蔽、ごまかし、トリックが潜んでいる。
②自分たちがやったことがマズイことだと、医師らが実は自覚していたフシがある。
③なぜ、こんな中途半端な論文を、あんな中途半端な時期に発表したのか、大きな疑問。
④なぜ、論文発表まで2年も漏れなかったかも、疑問。


「まっとうジャーナルに論文が掲載されている」という事実は、それを知る者にある種の予見を与えます。「まっとうなジャーナルに掲載されているのだから、まっとうな論文なのだろう」という予見です。もしかしたら「まっとうなジャーナルに論文を発表したくらいなのだから、医師らがよほど自信のある症例なのに違いない」とか「医師らのしたことが、それほど、まっとうだったのだろう」との予見に繋がった人もあるかもしれません。

「まっとうなジャーナルに掲載されているのだから、まっとうなことが、まっとうに書かれた論文なのだろう」という予見は、論文に直接当たらずに医師らの発言や報道を真に受けることに繋がっていきます。メディアで医師らが「乳房芽が云々」とぺらぺらしゃべっているのを聞くと、論文が乳房芽の切除を隠蔽しているなどとは夢にも考えない。もちろん、考えないのが当たり前なのです。隠蔽するほうが異常なのだから。しかし、この論文には、そうした異常が含まれているのが事実。

このように「実は誰も確かめていないことが、多くの人の予見によって、いつのまにか事実として一人歩きしている」という図式が、なぜかこの事件には非常に多いのです。こうした思い込みと、そこから生じる情報の錯綜は、隠したいことがある人たちにとっては思う壺。彼らを利するだけでしょう。

次回は、「こんなアイディアを思いついたのは誰だったのか」という点について、検証してみたいと考えています。

2007.06.01 / Top↑
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