2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
昨日、以下のエントリーを書きました。

「死の質」は英国が1位だという調査
「死の質」は果たして「生の質」の対極にある概念なのか


そこでとりあげた「死の質」40ヵ国調査とランキング
The Quality of Death: Ranking End-of Life Care Across the Worldについて
調査を実施した the Economist Intelligence Unit からのリリースを見つけました。

http://www.eiuresources.com/mediadir/default.asp?PR=2010071401

対象となった40ヵ国すべてのランキングや、調査方法など、詳細情報があります。

調査の結果として以下の5点を挙げています。

① 緩和ケアの改善には、死の捉え方、スティグマや文化的なタブーと闘うことが不可欠。
② 安楽死と医師による自殺幇助の国民的議論は啓発にはなるが、その議論で扱えるのはごく少数者の死のみ。
③ 現実問題として最も重要なのは薬へのアクセス。
④ 終末期医療に割かれる国の予算は少なく、医療現場でも従来型の治す医療が優先されている。
⑤ 緩和ケアが増えることで医療費は削減される可能性がある。




調査の依頼主は Lien 財団というシンガポールの慈善団体。
Lien 財団公式サイトの財団に関する説明(about us)は、こちら

Gates財団と IHME その他の繋がりに疑いの目を向けてきた私の
個人的な偏見なのかもしれないけれど、

どうして終末期医療の質の調査を依頼する先が経済調査を専門とするらしい企業で、
医療に関する調査を専門とする企業じゃないんだろう?

the Economist Intelligence Unitのサイトをのぞいいてみると、
「グローバル・ビジネス情報収集における世界のリーダー」がキャッチ。



なお、quality of death で検索してみてヒットした情報としては、

① 2000年前後から米国の医学論文では「死の質」が問題にされていたらしい。

http://www.promotingexcellence.org/resources/qod.html

② 全文読めるものとして、
2003年の米国内科学会誌に以下の論文「死の質を計測し改善すること」。
(私はまだ読んでいません)

Measuring and Improving the Quality of Dying and Death
Ann Intern Med. 2003; 139:410-415

③ かなり気になるのは、ドイツの動物ホスピスの院長さんが2008年に書いた文章で、
(ざっと目を通した程度です)

Quality of Life- Quality of Death
byElla Bittel

動物なら苦しめないために安楽死させるのだから、
人間も無用に苦しめずに安楽死させるべきだ、と説いている。

これは安楽死や自殺幇助アドボケイトがよく主張することではあるけど、

ここでは、なぜか
「動物の子ども」と「人間の子ども」と話を子どもに限定して
「弱いものを守る」というイメージが多用されているような気がする。


【16日追記】
去年の秋に認知症患者の緩和ケアの捉え方を巡って行われた、以下の論争を思い出しました。
「緩和ケア」がどういうものとして捉えられ、用意されているかという問題もある、と思う。

「認知症患者の緩和ケア向上させ、痛みと不快に対応を」と老年医学専門医(2009/10/18)
「認知症はターミナルな病気」と、NIH資金の終末期認知症ケア研究(2009/10/18)
NYTもMitchell, Sachsの論文とりあげ認知症を「ターミナルな病気」(2009/10/21)

ついでに、日本の
徳永医師の緩和ケアについて書いたエントリーを挙げておきたくなったので、

「医師の姿勢で薬の効き方違う」と非科学的なことを言う、緩和ケアの「こころ医者」(2010/6/3)
2010.07.16 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://spitzibara.blog.2nt.com/tb.php/1995-a9e61b45