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患者の立場から英国の医療の質の向上に向けて活動するチャリティ
The Patients Associationから、患者や家族の生の声を拾った3つ目の報告書が出ている。

We’ve been listening, have you been learning?
The Patients Association


報告書冒頭の、チャリティの責任者Katherine Murphy氏の挨拶によると、
もう何年も前から指摘されていることなのに、高齢患者が相変わらず
水分をとれず、食事介助もされずに、ナースコールは手の届かないところに置かれて
痛みのケアさえ受けられずに放置されている、とのこと。

Medical Futility Blogがとりあげていたので、
報告書34ページから36ページの Immacolate Lacovara さんのケースを読んでみた。
息子のMatt さんが書いたもの。

Lacovaraさんは今年の1月12日、
74歳の誕生日に病院の集中治療室に入院。

前日に呼吸専門ナースの診察を受け、COPDと診断されており、
12日の血液検査で異常が見られたので入院して酸素マスクを着用となった。

集中治療室ではPTが来ても
ベッドから椅子に移すだけで何もしてくれなかった。
(まずは座位をとることからリハビリを始めるというのはアリだと思うのだけれど、
この場合、家族にそれがきちんと説明されていなかった問題なのかも?)

Lacovaraさんは順調に回復を見せて、一般病棟に移ったものの、
体重が100キロを超える大きな人だったこと、英語が不自由だったことから
ナースは露骨に迷惑視して、ロクな看護をしてくれずに放置されたために、
母親の身体は辱そうだらけ、傷だらけになった、と家族は言う。

家族のいるところでも体が大きく重いことについて
ナースから平気で非礼な発言が繰り返されたので
娘が病院の責任者に抗議したがまともに受け止められたとは感じなかった。

が、何よりもこの人のケースで問題だと思うのは、
カルテに家族の誰も知らないDNR(蘇生無用)指定が記入されていたこと。

家族がそれに気付いたのは
母親が亡くなった夜だったという。

最後の晩には夫が付き添っていたが、
呼吸が出来なくなった時にどうにかしてくれと助けを求めても
DNR指定がされていたために何もしてもらえず、
夫は苦しむ妻を抱いていてやることしかできなかった。

そんなものを提案されたとしても
母親の代わりに家族がサインするはずはないし、

母親はずっと家に連れて帰ってくれと家族に懇願していたのだから
もしも万が一にも母親自身がサインしていたとしたら、それは
いい加減な説明で自分のために医療職がしてくれることだと信頼したか、
英語が不自由だったために理解できなかったかで
よもやそれで自分が見捨てられることになるのだとは
夢にも思わずにサインしたに違いない、と息子。


英国で一方的DNR指定が行われていることについては、↓

肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
「本人にも家族にも知らせず“蘇生無用”」はやめて一律のガイドライン作れ、と英国で訴訟(2011/9/15)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)

【その他関連エントリー】
“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「ポスト・ヒポクラテス医療」の「無益な治療」論ではDNR指定権まで病院に?(2010/6/19)
2011.11.15 / Top↑
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