去年Montana州では
76歳の白血病の男性Robert Baxter氏が
医師が自分の自殺幇助を拒否したことは
州憲法で保障された権利を侵すものであると訴えて
76歳の白血病の男性Robert Baxter氏が
医師が自分の自殺幇助を拒否したことは
州憲法で保障された権利を侵すものであると訴えて
12月に州の上級裁判所は
その訴えを認める判断を下したものの、
Baxter氏本人は、その当日に死亡。
その訴えを認める判断を下したものの、
Baxter氏本人は、その当日に死亡。
州当局が上訴していました。
明日2日水曜日に
その最高裁の判断が出るらしいのですが、
その最高裁の判断が出るらしいのですが、
NY Timesの以下の記事によると、
Montana州の州憲法はかなり個性的なもののようです。
Montana州の州憲法はかなり個性的なもののようです。
プライバシー権運動の真っ盛りの1972年に書かれ、
個人の自己決定権(autonomy)と尊厳を非常に重視し、
政府の干渉を嫌っている、と。
個人の自己決定権(autonomy)と尊厳を非常に重視し、
政府の干渉を嫌っている、と。
The dignity of the human being is inviolable. と書かれているというのですが、
記事の文脈からすると、
この inviolable とは、当局の介入に対して「侵すな」というニュアンスのようでもあり。
この inviolable とは、当局の介入に対して「侵すな」というニュアンスのようでもあり。
州当局側は、州憲法は人の命を絶つ幇助の権利など認めていない、と主張していますが、
Montanaの裁判所の判断には、
このような憲法の背景を受けて個人のプライバシー権と自由を
他の問題よりも優先させる伝統があるらしく、
このような憲法の背景を受けて個人のプライバシー権と自由を
他の問題よりも優先させる伝統があるらしく、
医師による自殺幇助も州憲法で認められたプライバシー権として
水曜日に最終的に認められることがもはや、ほぼ確実であるかのように
この記事は書いています。
水曜日に最終的に認められることがもはや、ほぼ確実であるかのように
この記事は書いています。
そうすると、OregonとWashingtonとは、また違った位置づけで、
米国で初めてプライバシー権として自殺幇助が認められてしまうことになります。
米国で初めてプライバシー権として自殺幇助が認められてしまうことになります。
しかし、その一方で、
Montana州は人口比での自殺者が最多の州であり、
その背景には過疎のため基本的な医療すら受けにくい土地柄がある。
Montana州は人口比での自殺者が最多の州であり、
その背景には過疎のため基本的な医療すら受けにくい土地柄がある。
また医療を受けられず自殺率が高いアメリカ・インディアンという
マイノリティの問題もあり、果たして、それがフェアな判決なのかどうか、
マイノリティの問題もあり、果たして、それがフェアな判決なのかどうか、
まずは誰もが平等に医療を受けられるようにすることの方が先だという議論もあるし、
プライバシー権の文脈のみでなく、
もっと生命倫理や哲学・道徳の議論も必要だという声も。
プライバシー権の文脈のみでなく、
もっと生命倫理や哲学・道徳の議論も必要だという声も。
Ashley事件で擁護する人たちが当初もっぱら主張していたのも、
子どもの医療についての判断は親のプライバシー権だ、ということだった。
子どもの医療についての判断は親のプライバシー権だ、ということだった。
乱射事件の犠牲者が何度出ても銃規制が進まないことや
医療の国民皆保険が実現しにくいことなどの背景にも、
個人の自由に国家権力が介入することへの警戒感なのだと考えると、
共通した文化的な土壌なのかもしれません。
医療の国民皆保険が実現しにくいことなどの背景にも、
個人の自由に国家権力が介入することへの警戒感なのだと考えると、
共通した文化的な土壌なのかもしれません。
しかし、ここで自殺幇助を受けることがプライバシー権だと認められてしまったら、
自殺幇助合法化に向けた議論が進む他の州や国への影響は多大……。
自殺幇助合法化に向けた議論が進む他の州や国への影響は多大……。
(Oregon州とWashington州では「尊厳死法」という新たな法律を作って対応しています)
懸念されます。
ちなみに、以下の関連エントリーにあるように、
MT州の医師会は、会員に対して自殺幇助を認めない方針を出しています。
MT州の医師会は、会員に対して自殺幇助を認めない方針を出しています。
2009.09.01 / Top↑
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