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カリフォルニアで、とんでもない判例ができてしまいました。

当ブログでも、あらまし追いかけてきた事件ですが、
脳卒中の後遺症で寝たきりになった兄がヘリウムの吸引で自殺するのを幇助したとして
妹の June Hartleyさんが逮捕・起訴されていた事件で
(詳細は文末にリンクしたエントリーに)

州の上級裁判所が月曜日に言い渡した刑は
260ドルの罰金と、3年間の保護観察、250時間の地域奉仕。

言い渡された瞬間、法廷に詰め掛けた支持者から歓声が上がったとのこと。

裁判長は
「Hartleyさんの行為を容認するわけではない」が
この犯罪を取り巻く「特異な状況」にかんがみ、軽い刑を適用した、と。

障害者の権利擁護アドボケイト the Disability Rights Education and Defenseで
政策アナリストをしている Marilyn Goldenさんは
「虐待を自殺幇助に見せかけるのは簡単です」と語り、

特に要介護状態の高齢者を介護者である娘・息子が虐待するケースは多いにも関わらず、
自殺幇助が合法化されている州では詳細な規制が行われていない。
特に低所得層や高齢者が虐待に晒されがちである、と指摘。

またSan Joaquin ホスピスの広報担当者は
「自殺幇助の他にも選択肢があることが知られていない。
それこそ、ホスピスがやろうとしていることで、ここには他の選択肢があるのに」と。

No jail time in Lodi assisted suicide case
Recordnet.com, August 4、2009


妹の幇助を受けて自殺したとされるのは脳卒中の後遺症で障害を負った人です。
ターミナルだったわけではありません。

しかも、現在、
自殺幇助を合法化しているOregon、Washingtonの2州において認められているのも、
他の州や他の国々で議論になっているのも、医師による自殺幇助であって、
家族が勝手に自殺を手伝ってもいいという話ではありません。

脳卒中で障害を負った状態を、
家族が自殺を手伝っても、ちょっと風紀を乱して世間を騒がせた程度の刑にするほど
「特異な状況」と公的に認めてしまうことによって、

この判事はどれだけ多くのCA州の障害者・病者を
「勝手に自殺させてもいい特異な状況にある人」と規定したことになるのでしょうか。

この事件で自殺した人が要介護度の高い人であったことを考えると、
Goldenさんの指摘する介護虐待の懸念は、リアルなものとして
自殺幇助合法化議論において真剣に検討するべきだと思うのだけど。

この判例、大きな禍根となりそうな──。




2009.08.05 / Top↑
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