Medical News Todayで終末期医療関連で
興味深い調査結果が相次いで報告されています。
興味深い調査結果が相次いで報告されています。
その他5本について、簡単に以下に。
これは実は上の「先取り不安」の論文についての記事と同時に読んでいたもので、
「終末期の患者と家族は医療や医師との関係の一貫性に不安を抱き、
医師から見捨てられたと感じている」という調査結果の報告。
「終末期の患者と家族は医療や医師との関係の一貫性に不安を抱き、
医師から見捨てられたと感じている」という調査結果の報告。
ただ、それが具体的にどういうことか良く分からずにいたところ、
続いて次の②が出てきました。
続いて次の②が出てきました。
こちらの調査結果は、
一般の病院または病棟の医師は
終末期の患者をホスピスに紹介した後に
その患者との連絡を断っている、と。
一般の病院または病棟の医師は
終末期の患者をホスピスに紹介した後に
その患者との連絡を断っている、と。
確かに、仮に連絡を断ってしまわれないとしても
それまで苦しい闘病を通じて信頼関係を築いてきた医師や関係スタッフと離れて、
まったく新しい環境で初対面の医療スタッフに身をゆだねなければならないというのは
大きな不安に違いないし、
それまで苦しい闘病を通じて信頼関係を築いてきた医師や関係スタッフと離れて、
まったく新しい環境で初対面の医療スタッフに身をゆだねなければならないというのは
大きな不安に違いないし、
残された時間をなるべく安らかにすごすために赴くホスピスなのに、
環境が変わること自体だけでも大きなストレスであり
患者のQOLは脅かされそうです。
環境が変わること自体だけでも大きなストレスであり
患者のQOLは脅かされそうです。
死の自己決定権アドボケイト団体Compassion & Choiceの会員で
Oregon州で尊厳死法を利用して自殺した人を対象にした調査で、
自殺したいと考えた理由は
Oregon州で尊厳死法を利用して自殺した人を対象にした調査で、
自殺したいと考えた理由は
・家で死にたい。
・人の手を借りずに自立生活を送りたい。
・将来の苦痛をコントロールしたい。
・人の手を借りずに自立生活を送りたい。
・将来の苦痛をコントロールしたい。
この調査からC&Cの代表は
「Oregon州の尊厳死法の安全と利益が確認された」と。
「Oregon州の尊厳死法の安全と利益が確認された」と。
どうして、上記の結果からそういう分析が導き出されるのか
また内科の学会誌に発表された元論文で、
どういう分析がされているのかも分からないのですが、
MNTの記事はC&Cのコメントのみ。
どういう分析がされているのかも分からないのですが、
MNTの記事はC&Cのコメントのみ。
(このところMNTでは自殺幇助関連ではC&Cからの情報が目に付きます。)
同じく内科の学会誌に報告されたDana-Farber Cancer Instituteによる調査で、
患者と積極的に終末期医療を話題にしようとする医師は少ないが、
医師が患者と終末期医療について話し合うことによって
患者のQOLは向上し、同時に
全国的にも癌治療にかかる医療費を毎年1,041万ドル(36%)も減らすことができる。
患者と積極的に終末期医療を話題にしようとする医師は少ないが、
医師が患者と終末期医療について話し合うことによって
患者のQOLは向上し、同時に
全国的にも癌治療にかかる医療費を毎年1,041万ドル(36%)も減らすことができる。
論文著者の一人は
「我々は終末期についての話し合いのことを
ICUで呼吸器をつけるような高価で負担が大きな(burdensome)割りに治療効果のないケアから
たいていの患者と家族が望む家庭やホスピスでの、それほど費用のかからない暖かいケアへと
コストが削減されるのですから」
「我々は終末期についての話し合いのことを
multi-million conversation (百万ドルの会話)と呼んでいるんです。
だって、その会話によって、ICUで呼吸器をつけるような高価で負担が大きな(burdensome)割りに治療効果のないケアから
たいていの患者と家族が望む家庭やホスピスでの、それほど費用のかからない暖かいケアへと
コストが削減されるのですから」
(そりゃ、そうでしょうが、それを「百万ドルの会話」と平気で呼称する感覚に、怖気が走る……。)
これは、
The National Cancer Institute とThe National Institute of Mental Health から
資金を得て行われた Coping with Cancer という
複数の医療機関にわたる研究の一部とのこと。
The National Cancer Institute とThe National Institute of Mental Health から
資金を得て行われた Coping with Cancer という
複数の医療機関にわたる研究の一部とのこと。
もう1つ、同じ内科学会誌に報告されているNIHの調査結果で、
黒人とヒスパニック系の患者のほうが白人より終末期の医療費を多く使っている、と。
黒人とヒスパニック系の患者のほうが白人より終末期の医療費を多く使っている、と。
ただし調査対象は過去6ヶ月間のメディケア患者16万人。
論文は
マイノリティでは、もはや症状の改善も延命も不可能な時になって過激な治療を受ける傾向があり、
生涯に使われる医療費がうまく配分されていない(misallocated)のではないか、
と問題提起。
マイノリティでは、もはや症状の改善も延命も不可能な時になって過激な治療を受ける傾向があり、
生涯に使われる医療費がうまく配分されていない(misallocated)のではないか、
と問題提起。
なぜ黒人とヒスパニック系で終末期の医療費が白人よりも多いのかについて
論文は理由には触れていないとのこと。
論文は理由には触れていないとのこと。
患者の一生の間の医療費の配分が偏っているのが
まるで黒人とヒスパニック系の患者自身の無知や不見識のせいだといわんばかりですが、
それは貧困層や無保険の人たちが気軽に医療を受けることができずに、
重度化してから病院にかかるからなのでは?
まるで黒人とヒスパニック系の患者自身の無知や不見識のせいだといわんばかりですが、
それは貧困層や無保険の人たちが気軽に医療を受けることができずに、
重度化してから病院にかかるからなのでは?
それぞれ別の研究の結果報告6本をこうやって概観すると、
自殺幇助を合法化するよりも前に、まだまだできることが見えてくるような気がするし、
自殺幇助を合法化するよりも前に、まだまだできることが見えてくるような気がするし、
同時に終末期医療が問題になることそのものの背景に蠢いているものの正体が
見え隠れしているような気がしないでもない。
見え隠れしているような気がしないでもない。
2009.03.15 / Top↑
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