08年(たぶん)にFEN事件の舞台となり、その後FENが言論の自由訴訟を起こして勝訴し、メディアがまるでPAS合法化のように騒いだGA州でPASを違法とする法律が成立。:議会の対応は早かった。FEN事件については、こちらにリンク一覧。http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/64721179.html
http://www.atlawblog.com/2012/05/deal-signs-abortion-assisted-suicide-bills-into-law/
英国でALSの男性について、まばたきで延命治療拒否の事前指示があったとみなして、裁判所が治療停止を認めた、というケース。
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5iSwfAdFXTYG5opZcUAZ8ECXxxGfA?docId=N0028021335882810418A
「ガタカ」の世界は実現するか? 遺伝子診断の倫理問題。
http://www.slate.com/articles/health_and_science/future_tense/2012/04/noninvasive_prenatal_diagnostic_tests_ethics_abortion_and_insurance_coverage_.html
カナダの生殖補助医療は違法か? とHCRに。
http://www.thehastingscenter.org/Bioethicsforum/Post.aspx?id=5815&blogid=140
不況で、貧困層や無保険者に医療を提供するセンターを受診する人が08年から11年の間に18%も増加。パンク状態に。米。
http://www.reuters.com/article/2012/05/01/us-usa-healthcare-centers-idUSBRE8401JL20120501
そういうことを背景に、チャリティ医療がどこまで無料で提供されるべきかを巡って訴訟が起きている。
http://www.npr.org/blogs/health/2012/04/27/151537743/nonprofit-hospitals-faulted-for-stinginess-with-charity-care?ft=1&f=1027
アルツハイマー病の祖母を介護する43歳女性の日常。
http://www.npr.org/2012/05/01/151472617/discovering-the-true-cost-of-at-home-caregiving?ft=1&f=1027
http://www.atlawblog.com/2012/05/deal-signs-abortion-assisted-suicide-bills-into-law/
英国でALSの男性について、まばたきで延命治療拒否の事前指示があったとみなして、裁判所が治療停止を認めた、というケース。
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5iSwfAdFXTYG5opZcUAZ8ECXxxGfA?docId=N0028021335882810418A
「ガタカ」の世界は実現するか? 遺伝子診断の倫理問題。
http://www.slate.com/articles/health_and_science/future_tense/2012/04/noninvasive_prenatal_diagnostic_tests_ethics_abortion_and_insurance_coverage_.html
カナダの生殖補助医療は違法か? とHCRに。
http://www.thehastingscenter.org/Bioethicsforum/Post.aspx?id=5815&blogid=140
不況で、貧困層や無保険者に医療を提供するセンターを受診する人が08年から11年の間に18%も増加。パンク状態に。米。
http://www.reuters.com/article/2012/05/01/us-usa-healthcare-centers-idUSBRE8401JL20120501
そういうことを背景に、チャリティ医療がどこまで無料で提供されるべきかを巡って訴訟が起きている。
http://www.npr.org/blogs/health/2012/04/27/151537743/nonprofit-hospitals-faulted-for-stinginess-with-charity-care?ft=1&f=1027
アルツハイマー病の祖母を介護する43歳女性の日常。
http://www.npr.org/2012/05/01/151472617/discovering-the-true-cost-of-at-home-caregiving?ft=1&f=1027
2012.05.02 / Top↑
日経が早速に今日、記事にしたようですが、
フェースブックにドナー情報公開 い臓器移植を促進 まず英米で
昨日のNYTに、以下の記事があり、
SNSのFacebookが米国の利用者に臓器提供意志の表示を呼び掛ける、と。
Facebook Is Urging Members to Add Organ Donor Status
NYT, May 1, 2012
1日に明らかにされた計画によると、
FBの健康セクションに臓器提供意思の有無と、
誕生日、出身校を一緒に公開できるようにする、と。
出身校を一緒に公開させるのは、
それによって同窓生同士のピア・プレッシャーがかかり、
提供希望者が増えることを狙ったもの。
もちろん、FBでの意志表示は法的な効力を持つものではないが
このセクションの意志表示欄には州のオンライン・ドナー登録サイトへのリンクが貼られ、
誘導効果が期待されるほか、
本人の意思確認ができず家族が提供を決断するよう迫られる場合に、
本人意思がFBに表記されていれば、同意の根拠となる、と
今回のFBの動きの発端となったジョンズ・ホプキンス病院の肝臓移植部門トップ、
Andrew M. Cameron医師は語る。
「臓器移植の歴史的な日となるでしょう。
(現在は臓器不足で死ぬ人が沢山いるが)この統計はがらりと変わるだろうし、
(臓器不足という)問題がなくなることすらあるかもしれない」
発端となったのはCameron医師がFBに
臓器移植医療での尽力とドナー不足に苦慮する現状について書きこんだものを
かつての同級生でもあり、たまたまFBの運用責任者であるSheryl Sandbergが読み、
これなら自分にも手伝える、と同窓会で申し出た、こと。
米国のFB利用者は1億6100万人で、
現在のところドナー登録者は米国の成人の半分に満たないが
移植医療関係者は一夜にして登録が増えるのでは、と期待している。
3000万人の利用者がいる英国でも同様の変更が行われ、
FB社では数カ月の内に他の国々でも導入するとしている。
FB社の創設者でCEOのZuckerberg氏と
運用責任者のSheryl Sandberg氏は声明を発表し、
「小さなネットワークとして始めたものが
こんなに強力なコミュニケーションと問題解決のツールに発展するとは
夢にも思わなかった。
でも、こうなった以上、
世界的な規模の社会問題をみんなで解決できるよう
これまでとは違う方法を可能とするツールを作っていきたい」
移植医療界には
FBが文化変容の強力なツールとなることに期待しつつも
ウェブは公式な登録ではないので家族が合法性を争った場合には問題はあるとして、
あくまでも正式な登録が重要、との声も。
スタンフォード大のthe Persuasive Technology Labのディレクターとして
テクノロジーが人々の態度にいかに影響を及ぼすかを研究しているBJ Fogg氏は
「(FBで臓器移植が大きな話題となれば)ドナーになるかどうかという、
たいていの人が考えたことすらなかった、大事な決断を促すでしょうね。
友達がみんな意志表示しているのを見たり、
あるいはみんなが意思表示しているという幻想をもつと、
そこにある種の期待が設定されて、社会的ノームとなる可能性はあります」
------
このニュースを受けて、WPにスライドショー。
タイトルは「FBのザッカ―バーグは次の慈善家ビル・ゲイツになるか?」
Will Facebook’s Zuckerberg be the next Bill Gates of philanthropy?
ザッカバーグとビル・ゲイツだけでなく、
IT長者たちによる慈善資本主義がどっと全開になろうとしている有様が描かれている。
2008年にこういうことを予測してこういうのを書いたことがあった。↓
デジタル・ネイティブ”は慈善資本主義よりもTHニズムよりも怖いかも
まずはデジタル・ネイティブ長者たちが
ビル・ゲイツが敷いた慈善資本主義経済を踏襲しようとしている?
でも、それが意味することは、たぶん
1%に過剰に集中した富が、その1%個々人の好みや考え方に応じて
恣意的にばらまかれるという形で分配されていく世界ができ上っている、ということであり、
また、公的機関は、そうしてばらまかれるカネに群がり、
慈善資本主義の帝王たちの歓心を買い、彼らの望むマーケット創出に協力していくしかなくなっている
ということでもあり……。
【関連エントリー】
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
フェースブックにドナー情報公開 い臓器移植を促進 まず英米で
昨日のNYTに、以下の記事があり、
SNSのFacebookが米国の利用者に臓器提供意志の表示を呼び掛ける、と。
Facebook Is Urging Members to Add Organ Donor Status
NYT, May 1, 2012
1日に明らかにされた計画によると、
FBの健康セクションに臓器提供意思の有無と、
誕生日、出身校を一緒に公開できるようにする、と。
出身校を一緒に公開させるのは、
それによって同窓生同士のピア・プレッシャーがかかり、
提供希望者が増えることを狙ったもの。
もちろん、FBでの意志表示は法的な効力を持つものではないが
このセクションの意志表示欄には州のオンライン・ドナー登録サイトへのリンクが貼られ、
誘導効果が期待されるほか、
本人の意思確認ができず家族が提供を決断するよう迫られる場合に、
本人意思がFBに表記されていれば、同意の根拠となる、と
今回のFBの動きの発端となったジョンズ・ホプキンス病院の肝臓移植部門トップ、
Andrew M. Cameron医師は語る。
「臓器移植の歴史的な日となるでしょう。
(現在は臓器不足で死ぬ人が沢山いるが)この統計はがらりと変わるだろうし、
(臓器不足という)問題がなくなることすらあるかもしれない」
発端となったのはCameron医師がFBに
臓器移植医療での尽力とドナー不足に苦慮する現状について書きこんだものを
かつての同級生でもあり、たまたまFBの運用責任者であるSheryl Sandbergが読み、
これなら自分にも手伝える、と同窓会で申し出た、こと。
米国のFB利用者は1億6100万人で、
現在のところドナー登録者は米国の成人の半分に満たないが
移植医療関係者は一夜にして登録が増えるのでは、と期待している。
3000万人の利用者がいる英国でも同様の変更が行われ、
FB社では数カ月の内に他の国々でも導入するとしている。
FB社の創設者でCEOのZuckerberg氏と
運用責任者のSheryl Sandberg氏は声明を発表し、
「小さなネットワークとして始めたものが
こんなに強力なコミュニケーションと問題解決のツールに発展するとは
夢にも思わなかった。
でも、こうなった以上、
世界的な規模の社会問題をみんなで解決できるよう
これまでとは違う方法を可能とするツールを作っていきたい」
移植医療界には
FBが文化変容の強力なツールとなることに期待しつつも
ウェブは公式な登録ではないので家族が合法性を争った場合には問題はあるとして、
あくまでも正式な登録が重要、との声も。
スタンフォード大のthe Persuasive Technology Labのディレクターとして
テクノロジーが人々の態度にいかに影響を及ぼすかを研究しているBJ Fogg氏は
「(FBで臓器移植が大きな話題となれば)ドナーになるかどうかという、
たいていの人が考えたことすらなかった、大事な決断を促すでしょうね。
友達がみんな意志表示しているのを見たり、
あるいはみんなが意思表示しているという幻想をもつと、
そこにある種の期待が設定されて、社会的ノームとなる可能性はあります」
------
このニュースを受けて、WPにスライドショー。
タイトルは「FBのザッカ―バーグは次の慈善家ビル・ゲイツになるか?」
Will Facebook’s Zuckerberg be the next Bill Gates of philanthropy?
ザッカバーグとビル・ゲイツだけでなく、
IT長者たちによる慈善資本主義がどっと全開になろうとしている有様が描かれている。
2008年にこういうことを予測してこういうのを書いたことがあった。↓
デジタル・ネイティブ”は慈善資本主義よりもTHニズムよりも怖いかも
まずはデジタル・ネイティブ長者たちが
ビル・ゲイツが敷いた慈善資本主義経済を踏襲しようとしている?
でも、それが意味することは、たぶん
1%に過剰に集中した富が、その1%個々人の好みや考え方に応じて
恣意的にばらまかれるという形で分配されていく世界ができ上っている、ということであり、
また、公的機関は、そうしてばらまかれるカネに群がり、
慈善資本主義の帝王たちの歓心を買い、彼らの望むマーケット創出に協力していくしかなくなっている
ということでもあり……。
【関連エントリー】
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
2012.05.02 / Top↑
VT州のPAS合法化法案、上院で否決。今期2回目って?
http://www.crosswalk.com/blogs/religion-today-blog/vermont-senate-rejects-assisted-suicide-effort.html
Lancetに障害者への暴力が広がっている、という調査結果
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961851-5/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=Other
ルワンダの障害者らが社会的包摂を求めて声を上げている。
http://allafrica.com/stories/201204270055.html
毎日アスピリンを飲むとがん予防になる、という実験結果。:ここ何年もこういうのは出続けている。アスピリンとスタチンとビタミンDについて。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960209-8/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=Other
【関連エントリー】
「40過ぎたらガン予防で毎日アスピリンを飲みましょう」って
「健康な人も5種混合薬を毎日飲んで将来の心臓病リスクを半減しよう、って」
ビル・ゲイツが国連の食糧関連機構が集まるローマで、「デジタル農業」によってグローバルな飢餓問題を解決し途上国を支援しようと説いている。記事は、「いったいそれは誰を利するのだ?」と。 冒頭のところで、「世界第2位の長者ビル・ゲイツが口を開けば、世界中が耳を傾け、神のような扱いをする」http://www.ctv.ca/generic/generated/static/business/article2413679.html
英国の親のワクチン忌避にGAVIが手を焼いている。”amid fears of side effects and mistrust of the pharmaceutical industry ” 現在のワクチン忌避は、おそらく副作用懸念よりビッグ・ファーマ不信によるものでは? でも、今だにウェークフィールド論文のせいだとする印象操作が行われているような気がする。
http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/doctors-slam-mothers-who-refuse-vaccines-7696950.html
07年に性転換した男性が妊娠したとして話題になったThomas Beatieさんが3人の子どもをもうけた後で妻と別居状態であること、その後、完全に性転換したことを告白。
http://abcnews.go.com/blogs/health/2012/04/20/pregnant-man-thomas-beatie-separates-from-wife/
【Beatieさん関連エントリー】
性転換した男性が妊娠、7月に出産予
妊娠男性オプラ・ウインフリー・ショーに出演
Beatieのテレビ出演に思うこと
http://www.crosswalk.com/blogs/religion-today-blog/vermont-senate-rejects-assisted-suicide-effort.html
Lancetに障害者への暴力が広がっている、という調査結果
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961851-5/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=Other
ルワンダの障害者らが社会的包摂を求めて声を上げている。
http://allafrica.com/stories/201204270055.html
毎日アスピリンを飲むとがん予防になる、という実験結果。:ここ何年もこういうのは出続けている。アスピリンとスタチンとビタミンDについて。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960209-8/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=Other
【関連エントリー】
「40過ぎたらガン予防で毎日アスピリンを飲みましょう」って
「健康な人も5種混合薬を毎日飲んで将来の心臓病リスクを半減しよう、って」
ビル・ゲイツが国連の食糧関連機構が集まるローマで、「デジタル農業」によってグローバルな飢餓問題を解決し途上国を支援しようと説いている。記事は、「いったいそれは誰を利するのだ?」と。 冒頭のところで、「世界第2位の長者ビル・ゲイツが口を開けば、世界中が耳を傾け、神のような扱いをする」http://www.ctv.ca/generic/generated/static/business/article2413679.html
英国の親のワクチン忌避にGAVIが手を焼いている。”amid fears of side effects and mistrust of the pharmaceutical industry ” 現在のワクチン忌避は、おそらく副作用懸念よりビッグ・ファーマ不信によるものでは? でも、今だにウェークフィールド論文のせいだとする印象操作が行われているような気がする。
http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/doctors-slam-mothers-who-refuse-vaccines-7696950.html
07年に性転換した男性が妊娠したとして話題になったThomas Beatieさんが3人の子どもをもうけた後で妻と別居状態であること、その後、完全に性転換したことを告白。
http://abcnews.go.com/blogs/health/2012/04/20/pregnant-man-thomas-beatie-separates-from-wife/
【Beatieさん関連エントリー】
性転換した男性が妊娠、7月に出産予
妊娠男性オプラ・ウインフリー・ショーに出演
Beatieのテレビ出演に思うこと
2012.05.02 / Top↑
08年にSteven Thorpe(当時17歳)は交通事故で意識不明となり、
事故の2日後に4人の専門医が脳死を宣告した。
医師らは家族に臓器提供を考えるよう求めたが
息子にはかすかながら生きている手ごたえが感じられるとして
両親は生命維持の停止を拒否し、セカンドオピニオンを求め続けた。
両親が相談したGPから依頼を受けた脳外科医が検査したところ
脳に活動が見られることを発見し、脳死との診断を覆した。
その検査結果を受けて担当医らも
鎮静剤で意識を落としてあったSteveの鎮静剤を減らしたところ、
2週間後にStevenは意識を回復した。
現在は、片腕が動かないことと目の片方が義眼であること以外は
完全に回復。
Stevenを脳死と診断し、臓器提供を提案した病院とNHSトラストは
「Stevenの脳外傷は極めて重症で、複数の頭部CTスキャンは
ほとんど不可逆な(almost irreversible)損傷を示していました。
脳にこれほど広範な外傷を負った患者が助かることは極めてまれです。
Stevenが回復した姿は我々にとっても喜びです」
The boy who came back from the dead: Experts said car crash teen was beyond hope. His parents disagreed
The Daily Mail, April 24, 2012
この記事を読んで疑問に思ったのは、
・事故の2日後に脳死と診断されていること。
・本人も言っているけれど、脳死と診断したのが複数の医師だということ。
・病院とNHSのコメントの「MRIではほとんど不可逆的」の「ほとんど」とは?
・病院とNHSのコメントからすると、CTだけで診断していたのでは?
・「鎮静剤で意識を落としてあった」患者について、CTだけで「どうせ意識はないし、戻らない」と?
なお、当ブログでこれまで拾っている回復事例は以下。
【米国:リリーさん】
植物状態から回復した女性(2007年の事件)
【米国:ダンラップさん】
脳死判定後に臓器摘出準備段階で意識を回復した米人男性のニュース(再掲)(2009/7/30)
【ベルギー:ホウベン?Houbenさん】
23年間“植物状態”とされた男性が「叫んでいたのに」(ベルギー)(2009/11/24)
「なぜロックトイン症候群が植物状態と誤診されてしまうのか」を語るリハ医(2009/11/25)
【日本:加藤さん】
「植物状態にもなれない」から生還した医師の症例は報告されるか?(2011/1/19)
【米国:ゴッシオウ? Gossiauxさん】
事故で視力を失った聴覚障害者が「指示に反応しない」からリハビリの対象外……というアセスメントの不思議(2011/2/6)
【オーストラリア:Cruzさん】
またも“脳死”からの回復事例(豪)(2011/5/13)
【米国:Sam Schmitさん】
アリゾナで、またも“脳死”からの回復例(2011/12/24)
【その他、関連エントリー】
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
「脳死」概念は医学的には誤りだとNorman Fost(2009/6/8)
睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)
楳図かずおの脳死?漫画(2008/4/3)
重症障害児・者のコミュニケーションについて、整理すべきだと思うこと(2010/11/21)
事故の2日後に4人の専門医が脳死を宣告した。
医師らは家族に臓器提供を考えるよう求めたが
息子にはかすかながら生きている手ごたえが感じられるとして
両親は生命維持の停止を拒否し、セカンドオピニオンを求め続けた。
両親が相談したGPから依頼を受けた脳外科医が検査したところ
脳に活動が見られることを発見し、脳死との診断を覆した。
その検査結果を受けて担当医らも
鎮静剤で意識を落としてあったSteveの鎮静剤を減らしたところ、
2週間後にStevenは意識を回復した。
現在は、片腕が動かないことと目の片方が義眼であること以外は
完全に回復。
Stevenを脳死と診断し、臓器提供を提案した病院とNHSトラストは
「Stevenの脳外傷は極めて重症で、複数の頭部CTスキャンは
ほとんど不可逆な(almost irreversible)損傷を示していました。
脳にこれほど広範な外傷を負った患者が助かることは極めてまれです。
Stevenが回復した姿は我々にとっても喜びです」
The boy who came back from the dead: Experts said car crash teen was beyond hope. His parents disagreed
The Daily Mail, April 24, 2012
この記事を読んで疑問に思ったのは、
・事故の2日後に脳死と診断されていること。
・本人も言っているけれど、脳死と診断したのが複数の医師だということ。
・病院とNHSのコメントの「MRIではほとんど不可逆的」の「ほとんど」とは?
・病院とNHSのコメントからすると、CTだけで診断していたのでは?
・「鎮静剤で意識を落としてあった」患者について、CTだけで「どうせ意識はないし、戻らない」と?
なお、当ブログでこれまで拾っている回復事例は以下。
【米国:リリーさん】
植物状態から回復した女性(2007年の事件)
【米国:ダンラップさん】
脳死判定後に臓器摘出準備段階で意識を回復した米人男性のニュース(再掲)(2009/7/30)
【ベルギー:ホウベン?Houbenさん】
23年間“植物状態”とされた男性が「叫んでいたのに」(ベルギー)(2009/11/24)
「なぜロックトイン症候群が植物状態と誤診されてしまうのか」を語るリハ医(2009/11/25)
【日本:加藤さん】
「植物状態にもなれない」から生還した医師の症例は報告されるか?(2011/1/19)
【米国:ゴッシオウ? Gossiauxさん】
事故で視力を失った聴覚障害者が「指示に反応しない」からリハビリの対象外……というアセスメントの不思議(2011/2/6)
【オーストラリア:Cruzさん】
またも“脳死”からの回復事例(豪)(2011/5/13)
【米国:Sam Schmitさん】
アリゾナで、またも“脳死”からの回復例(2011/12/24)
【その他、関連エントリー】
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
「脳死」概念は医学的には誤りだとNorman Fost(2009/6/8)
睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)
楳図かずおの脳死?漫画(2008/4/3)
重症障害児・者のコミュニケーションについて、整理すべきだと思うこと(2010/11/21)
2012.05.02 / Top↑
ピーター・シンガーの翻訳などがある功利主義の生命倫理学者、浅井篤氏が、
浅井研究室の門岡康弘氏、東京医療センターの尾藤誠司氏との共著で
以下の論文を発表。
門岡氏については、こちらに ⇒http://qq.kumanichi.com/medical/2009/04/post-236.php
尾藤氏が中心メンバーである
「もはやヒポクラテスではいられない」21世紀 新医師宣言プロジェクトの
HPはこちら ⇒http://www.ishisengen.net/
Can physicians’ judgment of futility be accepted by patients? A comparative survey of Japanese physicians and laypeople
Yasuhiro Kadooka, Atsushi Asai and Seiji Bito
BMC Medical Ethics 2012, 13:7 doi:10.1186/1472-6939-13-7
Published: 20 April 2012
この論文、タイトルは
「医師の無益性判断は患者に受け入れ可能か? 日本の医師と素人の比較研究」。
アンケート調査を、
様々な専門領域の医師に筆記により行い、80%の401人から回答を
また素人にはインターネットを通じて行い、1134人から回答を得たところ、
質問された治療の提供に対して素人の方が優位に肯定的であった。
無益性判断のファクターとして
医師は医療情報と患者のQOLを重視したのに対して、
素人はどちらかというと患者家族の希望と患者に与える心理的影響を重視。
いずれのグループでも
質歴無益性の判断の閾値には大きなばらつきが見られた。
医師の88.3%に無益な治療を提供した経験があった。
その理由は患者サイドとの意思疎通の問題と、
無益性またはこうした治療の中止に関するシステムの欠落であった。
アブストラクトの結論は
Laypeople are more supportive of providing potentially futile treatments than physicians. The difference is explained by the importance of medical information, the patient family's influence to decision-making and QOL of the patient. The threshold of qualitative futility is suggested to be arbitrary.
無益である可能性のある治療の提供について医師よりも素人の方がより肯定的である。この違いは、医療情報の重要性、患者家族の意思決定への影響、患者のQOLで説明される。質的無益性の閾値は恣意的なものであると考えられる。
なお、無益な治療ブログのPopeの以下のエントリーによると、
日本の医師と素人間の無益性判断のギャップは
カナダとアメリカの研究結果とだいたい同じではあるが、
医師が無益と判断された治療を提供する理由として
カナダと米国で挙げられている「訴訟回避のため」を上げた医師は17%と少ないことと、
「病状に関わらず命を救うためにはあらゆる手を尽くす義務がある」とか
「不可逆的意識不明状態にある患者も尊重し、
治療はためらわずに申し出なければならない」との
義務感を持っている医師が多いことが異なっている、と。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2012/04/medical-futility-in-japan-vs-north.html
浅井研究室の門岡康弘氏、東京医療センターの尾藤誠司氏との共著で
以下の論文を発表。
門岡氏については、こちらに ⇒http://qq.kumanichi.com/medical/2009/04/post-236.php
尾藤氏が中心メンバーである
「もはやヒポクラテスではいられない」21世紀 新医師宣言プロジェクトの
HPはこちら ⇒http://www.ishisengen.net/
Can physicians’ judgment of futility be accepted by patients? A comparative survey of Japanese physicians and laypeople
Yasuhiro Kadooka, Atsushi Asai and Seiji Bito
BMC Medical Ethics 2012, 13:7 doi:10.1186/1472-6939-13-7
Published: 20 April 2012
この論文、タイトルは
「医師の無益性判断は患者に受け入れ可能か? 日本の医師と素人の比較研究」。
アンケート調査を、
様々な専門領域の医師に筆記により行い、80%の401人から回答を
また素人にはインターネットを通じて行い、1134人から回答を得たところ、
質問された治療の提供に対して素人の方が優位に肯定的であった。
無益性判断のファクターとして
医師は医療情報と患者のQOLを重視したのに対して、
素人はどちらかというと患者家族の希望と患者に与える心理的影響を重視。
いずれのグループでも
質歴無益性の判断の閾値には大きなばらつきが見られた。
医師の88.3%に無益な治療を提供した経験があった。
その理由は患者サイドとの意思疎通の問題と、
無益性またはこうした治療の中止に関するシステムの欠落であった。
アブストラクトの結論は
Laypeople are more supportive of providing potentially futile treatments than physicians. The difference is explained by the importance of medical information, the patient family's influence to decision-making and QOL of the patient. The threshold of qualitative futility is suggested to be arbitrary.
無益である可能性のある治療の提供について医師よりも素人の方がより肯定的である。この違いは、医療情報の重要性、患者家族の意思決定への影響、患者のQOLで説明される。質的無益性の閾値は恣意的なものであると考えられる。
なお、無益な治療ブログのPopeの以下のエントリーによると、
日本の医師と素人間の無益性判断のギャップは
カナダとアメリカの研究結果とだいたい同じではあるが、
医師が無益と判断された治療を提供する理由として
カナダと米国で挙げられている「訴訟回避のため」を上げた医師は17%と少ないことと、
「病状に関わらず命を救うためにはあらゆる手を尽くす義務がある」とか
「不可逆的意識不明状態にある患者も尊重し、
治療はためらわずに申し出なければならない」との
義務感を持っている医師が多いことが異なっている、と。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2012/04/medical-futility-in-japan-vs-north.html
2012.05.02 / Top↑
| Home |