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最近のツイートから、「重症重複障害」と「支援」について


ウチの娘のけいれんは、眠っている間しか出ないのと小発作なので一緒に寝ていないと気付けず、昔から見たことがあるのは親(特に母親)だけで。昔の主治医とは信頼関係が良かったので、丸ごと信じてもらって、常に相談しつつ治療できたのですが、

成人して再発後はスタッフも変わり、薬の増量だけにものすごいエネルギーを要しました。いろいろあった挙句、今は担当看護師さんと協働できるようになり、親の観察を元に対応してもらえていますが、ここまでがしんどかったです。

ミュウは重症重複だから今まさにけいれんが起きていても訴えるすべを持たないし、「昨夜発作があった」と伝えることもできず、親以外には代弁者がいない。 今は医療機関でもある施設だから、親がしつこく代弁してなんとかなっているけど、そこのところにはものすごく複雑な問題がいろいろある。

「施設か自立生活か」という二者択一的な議論を聞くたびに、そのことを思って、そう簡単に割り切れないものが沢山あるような気がして悩ましい。

ついでに言うと「施設職員は志も問題意識も低く、個々のニーズや個性に向ける意識も感性も低い。地域で自立生活を支える支援者はその逆」という前提も議論によっては、ある気がするのだけど、前者にも後者にも志も意識も高く感性の良い人はいるし、どちらにも一定数しかいないんでは、とも。


私は重症障害のある子どもを持つ親として、「支援」という雑誌について、ものすごく偏った読み方をしているのだろうと思うけど、「身障者と介助」を中心に 考えられてきたことと、それではうまく行かない「知的障害者と支援」との隙間を埋めていこうとする試みが丁寧に行われることによって、そこから

さらにその先の「重症重複障害者と介護+支援(ということでいいのかどうかは別にして)」という、これまであまり視野に入ってこなかった人たちとその周辺にまで、広がっていく(何が?)と嬉しい……などと、考えたりしている。

私が「アシュリー事件」の中で「親は一番の敵」という言葉に触れたのは、重症重複障害のある子どもを持つ親としての私自身が敵にもなり得る自分とどう向き 合うかという問題で、青い芝の思想を否定する意図はないし、そもそも云々できるほどの知識もなければ立場にもないのは承知なのだけれど、

それでも、やっぱり否定したと受け止められると、時代背景というものがあったという、これは私自身も十分に承知しているつもりの1点と、もう1点「だから親を敵だと言った障害者らはその後の自立生活を通じて親との関係を切り結びなおしてきたんだ」という「反論」があったと

いう記憶があって、この2点目については、正直いうと「やっぱり身障者の自立生活運動の文脈に引き戻されてしまうんだなぁ」というところが悩ましかった。その辺りで文脈を引き戻さずに「その人」の文脈に沿ったまま考えるところが「支援」という雑誌に私が感じる魅力かな。

昨夜「支援2」のトークセッションを読み始めたら、面白くてやめられなくなって、仕方がないからお風呂に持って入った。ずっと疑問だったことのいくつかについて、本当のこと語ってくれてありがとう、てな。

このセッションに限らないのだけど、「介助者」「支援者」「介護者」という言葉が、それぞれの人の定義というのか文脈というか思い入れというのか、によっ て使い分けられているのも興味深い一方、それらと「ヘルパー」の使い分けが一番興味深い。「運動」か「仕事」かということとも関わって。


【関連エントリー】
「支援」創刊号を読む(2011/4/17)
2012.05.13 / Top↑
最近のツイートから「虐待的な親」

ああ、これ、本当にそうですね。(虐待的な親とか社会は)「私に愛されるように行動しなさい」なんだわ。でも、子どもが誰にどう見えるかなんて意識にもないほど自分自身にとってオモロイことに熱中している姿とか、そういうヤツであることが、「オモロく愛おしい」んだもんねー。

あれから考えたんですけど、「私に愛されるように行動しなさい」という基準は、実は「状況次第で変わる私の気分に適宜沿って、その時々に愛されるように行動しなさい」という、まったく不確実な基準なんですよね。それが子どもを翻弄し、結果として

子どもは常に自分以外の誰かの承認を意識して行動することを強いられる。そして自分自身は何を望んでいるのか、どうしたいのかの感覚を喪失していくんじゃないか、と。

また「私に愛されるように」は、例えば「私が認め、誇りに思えるだけ優秀な存在であれ」でありつつ、場面によって「しかし、その優秀さで私のコンプレックスを刺激したり、私に優越してはならない」という矛盾した内容を含んでいたりのダブルバインド。
2012.05.13 / Top↑



Y先生が来られて制作活動を行いました。

筆をしっかりと握って、
楽しそうに描いておられました。

特に、Y先生がミュウさんの方に近づいてこられると
より一層、手を動かしておられましたよ。

「ステキな作品ね」と誉めてもらうと、
とても嬉しそうにしておられました。

とっても意欲的なミュウさんでした。
2012.05.13 / Top↑
ダブリン市の「社会的包摂週間」
http://blog.templebar.ie/?p=5581

8月に英国ケンブリッジ・シャーで「ソーシャル・インクルージョン・カップ2012」開催。メンタル・ヘルスとホームレスの問題への包摂的アプローチが対象。
http://www.aboutmyarea.co.uk/Cambridgeshire/Huntingdon/PE28/News/Whats-On/222069-24-May:-Open-Meeting-re-The-Cambridgeshire-Social-Inclusion-Cup-2012

WHO等による早産の割合についての各国比較。日本は比較的好成績とのこと。
http://bioethics.com/?p=11347&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+bioethicscom+%28bioethics.com%29&utm_content=Google+Reader

WHO等による報告書は以下。
http://www.who.int/maternal_child_adolescent/documents/born_too_soon/en/index.html

【関連エントリー】
早産・死産撲滅に、シアトル子ども病院がゲイツ財団、ユニセフ、WHOと乗り出す
未熟児を産ませず、生まれても救命しないための科学的エビデンス作りが進んでいる


ビル・ゲイツがEcolabという、病院なんかの清掃関連の企業の株を大量に取得することで合意、というニュースがやたらと流れている。:その意味するところがちょっと読めない。いずれにせよビル・ゲイツの投資行動が世界経済のトレンドを決める。
http://www.techflash.com/seattle/2012/05/bill-gates-stake-in-ecolab-could-get.html 

ゲイツ財団が10年間継続してきたインドのHIV対策への資金提供を来年で打ち切る、と。財団関係者「永遠に出し続けるわけにはいきません。いつだって責任は政府と地域に渡す方が良いわけだし」
http://www.telegraphindia.com/1120510/jsp/frontpage/story_15472911.jsp#.T6upqFKFByI 

「ビル・ゲイツ」が軽井沢に別荘を建設中!?
http://matome.naver.jp/odai/2133423618952754801

この10年間で医療を受けられない米国人が急増。
http://www.kaiserhealthnews.org/Stories/2012/May/07/health-affairs-care-increasingly-out-of-reach-for-millions.aspx

米国のペット・ホスピス。週当たりの基本料金75ドル。もちろん各種医療はそれに上乗せ。:ちゃんと読んでいませんが、富裕層のペットの方が貧困層の人間よりもはるかに良質の医療を受けている、というお話?
http://www.detroitnews.com/article/20120504/METRO/205040357/1409/metro/Cats-get-end-life-care-pet-hospice 

あなたの体は闇市場でおいくら? 体の各パーツごとのお値段。「心臓売るか 5,6年は働かなくても済むだろ」「死体からいくらでもとれる臓器は安いのな」
http://blog.livedoor.jp/himasoku123/archives/51714938.html

英国で初の臓器売買のケース。First ‘organ trafficking’ case found in UK
http://bit.ly/JTNBBO

Toni Morrisonの新刊 HOME。Harriet Washington's book MEDICAL APARTHEID http://usat.ly/JZPaAd

グラクソがなにやら強硬な手段でHuman Genome Sciences の買収に出ているらしい。
http://www.washingtonpost.com/business/capitalbusiness/glaxosmithkline-to-take-human-genome-sciences-buyout-offer-to-shareholders/2012/05/09/gIQAnShuDU_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

更年期後の女性の骨粗しょう症予防に使われてきたbisphosphonatesには副作用リスクが大きいという指摘は前からあったたけど(例えば http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60009643.html)、長年の使用で逆に骨が弱くなる副作用等がFDAの検証で。:冒頭のところしか読んでいないけど、これまでの一連の情報を念頭において眺めると、「女性が飲んでいる骨の薬」という曖昧な書き方も、なんだか、なぁ……。さらに言えば、扱いも「女性の健康」欄。骨粗鬆症予防で、その前段階とされる骨減少症については、いろいろ妙な話がいっぱい流れていた。⇒ 骨減少症も“作られた”病気?……WHOにも製薬会社との癒着? 。
http://well.blogs.nytimes.com/2012/05/09/new-cautions-about-long-term-use-of-bone-drugs/?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120510

FDAが認可した後になって回収される薬が相次いでいることから、認可後にも安全性のフォローを、と。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/244940.php

米オクラホマ州最高裁が胚に人格を認める州憲法修正条項提案に全員一致で違憲判断
http://p.tl/xiWY USAtoday:Oklahoma's top court rejects 'personhood' for embryos.

商業・善意モデルでの代理母でなく契約専門家的モデルで保護をと。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10024

米でアジア系卵子の売り手が少なく供給不足でドナー報酬高騰。他$6k報酬だがアジア系で$10~20kに。
http://www.latimes.com/business/la-fi-egg-donation-20120504,0,2997335.story?track=rss&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+latimes%2Fbusiness+%28L.A.+Times+-+Business%29

共和党の大統領候補者指名争い中のロムニーの子が代理出産で双子をもうけた。Money Changes Everything
http://bit.ly/IYeULo

粥川準二さんのブログ・エントリー「体外受精児の健康コストを考えるとき」
http://d.hatena.ne.jp/KAYUKAWA/20120511

「次世代高速遺伝子シークェンシング」で、原因不明の発達障害が解明される? :私にゃよくわからんけど。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/245130.php
2012.05.13 / Top↑
アルゼンチンの上院が「尊厳死法案」を可決。安楽死は否定し、ターミナルと不治で不可逆な病気の人について事前指示書により手術、水分と栄養、蘇生、生命維持の拒否を認める。記事の一部に「ターミナルな人と永続的植物状態の人」との記述あり。反論も記載。
http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-57431820-10391704/argentinas-senate-votes-for-dignified-death-law/

米国ミネソタ州と、スコットランドで自殺幇助合法化議論が再燃。:もう世界のどことどこで議論が沸騰しているんだったか、ワケが分からないほど世界的同時多発減少。
http://medicalxpress.com/news/2012-05-debate-flares-suicide.html http://www.heraldscotland.com/news/health/call-for-debate-on-assisted-suicide.17536662 

オレゴン州の自殺希望者にヘリウムなど自殺キットを販売したとして問題になっていたカリフォルニア州の高齢女性が起訴された罪状は、なんと脱税。執行猶予つきで。:拙ブログ補遺で何度か追いかけてきた話題。自殺キット販売はこの件を機に違法とされたはず。
http://www.examiner.com/article/court-gives-92-year-old-california-suicide-kit-maker-probation-for-tax-evasion 

「新小児科医のつぶやき」ブログの尊厳死法関連エントリー2つ。:コメント欄に唸る。
「尊厳死法案とインフォームド・コンセント」http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120501
「尊厳死法案・現場からの論点整理」http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120502 

介護施設、終末期の意思確認9割 本紙調査 |下野新聞「SOON」
http://bit.ly/IJVdHH
2012.05.13 / Top↑
1%に過剰に集中した富が、その1%個々人の好みや考え方に応じて恣意的にばらまかれるという形で分配されていく世界ができ上っている。公的機関は、そうしてばらまかれるカネに群がり、慈善資本主義の帝王たちの歓心を買い、彼らの望むマーケット創出に協力していく。

粥川さんがいう「バイオ化した社会」とは、詰まるところ「保健医療の問題が、”グローバル金融ネオリベひとでなし慈善資本主義”経済を背景に、むしろ政治経済の問題そのものになってしまった社会」のことなのでは? 

だけど、個々の問題について考えている人の多くは、それを今だに保健医療の枠組みの中だけで捉えて議論している、というところに、私はすごく悩ましいものを感じたりします。○○○○もその一つですが。

フランスとギリシャの選挙のニュースを聞きながら思うのだけど、各国経済の行き詰まりを招いているのはニュースで描かれているような特定政権の失策とかいう次元ではもうなくて、国家にはどうにもできないグローバル金融ひとでなし強欲ネオリベ経済の暴走で世界経済の仕組みが破たんしているためでは?

経済が活発に回っているのは「”科学とテクノで簡単解決”文化」とその利権構造周辺だけ。そうしてスーパー富裕層の思惑の範囲内でしかカネが回らなくなっているなら、それは各国規模や経済圏規模では、もはや政治は彼らの思惑に奉仕する以外の機能を持てないってことでは?


10年以上前に、ミュウの施設で医療の過剰な管理が子どもたちの生活を圧迫した不幸な時代があった。あの時に私が闘ったのは、「安全と健康」が錦の御旗に なる医療(というよりあの時は「看護」だったけど)の管理的な姿勢だった。別の言い方だと医学モデルになるのかもしれない。

科学や医学といった狭い専門領域特有の価値意識はより大きな社会の価値意識の一部に内包されるもののはずなのに、科学とテクノの発展がグローバル経済と直 接的に結びついて、科学とテクノの潜在的可能性に人々の過剰な期待があおられることから、その大小が逆転し、社会の方が科学とテクノの価値意識を

広く踏襲していこうとしている、みたいな気がする。これが粥川さんのいう「市民のバイオ化」「社会のバイオ化」でもあるんだろうし、それは社会に医学モデル的な管理・コントロールと操作主義が蔓延していく、ということかもしれないし。

医学を含めた科学とテクノロジーという狭い専門世界の特殊な価値意識が、より広い社会の文化としての価値意識との間で大小を逆転させて、社会からのシビリ アンコントロールを失い、むしろ社会へのメディカル・コントロールが敷かれつつあるのでは? というのが「アシュリー事件」の一つのテーマ。

妄想ならいいけど、そのうち一定の知的レベル以上の白人男性だけが選別・誕生し、道徳的地位のある存在として振る舞う世の中がやってきて、女性と管理・支 配されることに慣れた従順な民族がそれぞれの「特性に応じて」その社会に奉仕する奴隷として必要数のみ生産される世界になる…とか?

科学とテクノで可能になることが増えるにつれて、それ以前のお馴染みの差別がどんどん強化されていくというのも、ものすごい皮肉のような、実はそうでもないような。「バイト化する社会」の「痛点」……。
2012.05.13 / Top↑
米国と英国のFacebookが利用者に臓器提供意志の掲載を呼び掛け、
そのままドナー登録サイトへのリンクを設けたフォーマット変更を行ったことについては
以下のエントリーで紹介しました。

Facebookが臓器不足解消のため、英米の利用者に臓器提供の意思表示を呼び掛け(2012/5/2)


それから1週間。続報です。

そのニュースに大いに沸いたというファーマ系のサイトが、
この1週間の変化についてチェックしたところによると、

FBを通じてドナー登録した人は6000人を超え、
FBの本拠地カリフォルニアでは提供数(donations)が5000%を超えて増加。

(このdonationsが実際に行われた提供数なのか、
ドナー登録の意味なのかは?)

しかし、このサイトの主は
6000人なんて、米英でのFB利用者総数の0.01%にもならない、
こんなんじゃダメダメ、と大いに不満。

What’s holding people back from participating?
なにが参加をためらわせているんだろう?

と、改善策を早くも提言している。

ドナー登録しようと思うとFBからその州の登録サイトに行くこととなり、
そこで長々とあれこれの入力を求められてしまうのがいけない。

かったるくなって途中で「や~めた」となってしまうからね。

そんなことはネットで商売しているZapposとかAmazonなら
とっくに周知のことで、だからクリック一つでOKが常識。

まぁ臓器提供はお買いものの決断とは違うけど、
でも意思決定のプロセスそのものが違うわけじゃない。

それなら、FBとしては
せめてそのプロセスに guided sale というアプローチを導入したらどう?

ドナー登録をサクサクと済ませるためのアドバイスをしてあげるのよ。

このプログラムに批判的な立場からは個人情報への懸念も出ているから
そこのところの手当てもちゃんとして。

そうすればこのプログラムももっと人気が出て、
せっかくFBが始めてくれたイイコトがもっとずっと広がっていくんじゃない?

なぜか、このサイトに書かれていることを訳していると
頭の中で芸人のカバちゃんがしゃべり始めてしまったので、そのノリのまま、
次に書かれている一節を以下に。

We would love to see this kind of behavior become a part of people’s everyday actions online. Want to sign up for a Facebook account? Why not include the organ donation option as part of the registration process? Similarly, we think it would be great if this was also expanded to other worthy causes like the bone marrow registry.

あたしたちとしてはさ、みんながネットで毎日そういうことをしてくれるようになったらいいな、と思うわけね。FBのアカウントを作りたい人には、いっそ、アカウント登録の際にもう臓器提供はどうされますかという質問を入れちゃったら、どう? ついでに、骨髄提供の意志なんかも、そこに含めたっていいんじゃない? だって、ほら、そういうのとかも大切な社会問題よ? 


Facebook’s Organ Donor Initiative- One Week Later
pixels & pills, new directions in digital pharma, May 7, 2012


そりゃ、製薬業界ですもん……。
2012.05.13 / Top↑
スイス在住者を対象に自殺幇助を行っているExitからの報告で、

自殺幇助を選択しているフランス語話者の5人に1人、ドイツ語話者の3人に1人が
特に命にかかわる病気にかかっているわけではなく、

自殺希望の理由としては
健康問題のほかに「人生が嫌になった」を挙げる人が増えているという。

ターミナルなわけではないが、加齢とともに視力が衰え、
排泄が自立できなくなったり思うように動けなくなるなど
QOLが低下することに苦しんでいる。

それでも自殺幇助を受ける要件は満たしているので、幇助は出来る、とExit.

記事によると、その要件とは
死または障害に至る不治の病を診断されていて
身体的そして心理的な苦痛がある、の2つが共に満たされること。

スイス西部のExitのトップSobel氏は
「それに加えて、高齢者が人生の冬を迎えて、
既になくなった人の元へ行きたいという最後の大きな望みというのがあります」

Sobel氏は、
そうした高齢会員の要望を受けて
幇助するケースの対象範囲が広がってきたという説明するのだけれど、

それはどこまで法的な規定の範囲内なのか、
単にExitの解釈に過ぎないのではないか、と
ちょっと疑問。

もちろん批判の声は出ていて、

たとえば
法的拘束力はないにせよ、
スイス医学会(? The Swiss Association of Medical Sciencees)の中央倫理委員会の綱領では
PASはあくまでもターミナルな患者に限定すべきだとしている。

しかしSobel氏は
「盲目的に医療倫理綱領に従っていたら
合法的な中絶も自殺幇助も今でもあり得ない」

The Swill Medical Reviewの編集長 Bertrand Kiefer氏は、

「こうした高齢者の自殺要求にあまり安易に答えてしまうと、
社会に美や若さやパフォーマンスを中核的な価値として確立してしまう。

死の希望に応える前に、
様々な問題はあっても人生に意味を見いだせるのではないかと、我々は問わなければならない」

World-weary Swiss seniors seek suicide help
The Local, May 9, 2012


スイスの自殺幇助に関する法律については、私は
幇助する人が個人的な利益のためにすることでなければOK、という解釈しか知らず、

例えば精神障害者の場合の判例がいくつかあるのは知っているけど、
具体的な要件については報道ごとに内容が異なっている気がして、よくわかりません。

実際にDignitasでは、
ターミナルでない人や、全く健康な人が幇助を受けていて
それでも法的に取り締まりが行われたわけではないので、

記事の中にある
「死または障害に至る不治の病を診断されていて
身体的そして心理的な苦痛がある、の2つが共に満たされること」との要件も、

その後に「それに加えて」とExit側の発言が続くことから
ちょっと曖昧な書き方になっているし、

以下のエントリーで紹介したように、
Exitは去年、高齢者の基準を緩和しているので ↓
スイスの自殺幇助団体Exit、高齢者の要件を緩和(2011/5/9)

記事中の上記2つの要件とはスイスの法的基準ではなく
単にExitが設定した基準ではないかと思われます。


なお、今年2月には以下のようなニュースもありました。 ↓
スイスでの自殺幇助、DignitasでもExitでも急増。その多くは女性(2012/2/20)
2012.05.13 / Top↑
「生命倫理」VOL.21 NO.1 2011年9月に掲載の加藤太喜子さんの論文
「『医学的無益』はいかなる場面で有効な概念か」を、
とても興味深く読んだ。

シュナイダーマン、ヤングナー、ウィルソン、バーナット、ルビン、
トゥルオグ、バゲーリ、ブレット、ラントスの見解を紹介しつつ、

「医学的無益」がきちんと定義されていないこと、
線引きの恣意性、コスト論との関連などの問題点を指摘。

最後にバゲーリの提言が具体化されたものとして
米国医師会医療倫理・司法問題評議会が提案する「公正プロセスアプローチ」を
取り上げつつ、

このプロセスが本人同意なき治療の中止または差し控えを
正当化するとは限らない、とも。

(このアプローチについては、拙ブログでも見た記憶があるのですが
たぶん、これ? http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62583980.html)


「医学的無益」という概念を使って説明せざるを得ない場合には、どの治療がどんな目的に対してどの程度「無益」かについて丁寧に注意深く明示する必要がある。

医療現場で語られる「無益」は、必ずしも事実についての判断として述べられているとは限らず、専門家の間でも無益かそうでないかについての見解が分かれる可能性があることに注意を払う必要がある。


で、結論としては、

医学的無益とは、無益であるにもかかわらず患者の要請に応じて治療を継続することが、医療従事者としてのインテグリティを棄損するといわざるを得ないような事態においてのみ、はじめて有効となる概念であろう。


この論文を読んで思うことはいくつかあって、

まず、日本の尊厳死法制化について、現場の医師の方々から
「無益な治療の中止と差し控えは既に国際標準」という発言を時に見るのだけれど、
こういう論文で英語圏の医療倫理の議論を概観すると、
そう簡単に言っていいんだろうか……と。

次に、トゥルオグについて。

トゥルオグが無益な治療論に批判的なことは
拙ブログでもGonzales事件関連など、いくつか情報を拾っているけど、

TruogのGonzales事件批判(2008/7/30)
Truogの「無益な医療」批判への批判(2008/7/31)
「無益な心肺蘇生は常に間違いなのか?」とTroug医師(2010/3/4)


加藤論文でも、Truogは、
蓋然性の基準が恣意的だとか、そこに価値判断が含まれていることを根拠に
無益な治療論を批判している、とされている。

それなのに彼はどうして小児の臓器移植についてだけは
「一方にどうせ死ぬ子どもがいて、もう一方に
その子どもの臓器で助かる子どもが複数いるなら、
倫理判断の答えは既に出ている」んだから
DCDドナーが死んでいるかどうかなんて関係ない、てなことを言うんだろう?

Robert Truog「心臓死後臓器提供DCDの倫理問題」講演ビデオ(2009)(2010/12/20)

加藤論文によるとトゥルオグは
「無益は隠された配分の問題を正当化するために不適切に用いられるかもしれない」と
指摘しているんだけど、

上記の講演では彼自身が臓器の配分の問題に
ものすごく乱暴に「”どうせ死ぬ患者”の無益」を持ち出している感じがしてたので、
ここのところが??? 

そうかと思うと、ホームレスで十分な医療を受けられずにきた親が、
無益でも心肺蘇生をしてあげたことで感謝してくれたといって、
家族のための無益な治療の意義を説いたりもする。

Truogの「無益な治療」講演(2011年11月10日) 前(2011/12/15)

結局、生命倫理学者/医師も、自らの直接体験の範囲内で、
決して論理だけでは片付かない矛盾したものを抱えながら揺らいでいる……ということなんだろうか。

それにしても、Maraachli事件でのシンガーの発言などを考えると、
「隠された配分の問題」も既に「隠されなくなってきた」感じがする。


ちなみにバーナットの一方的DNR指定の考察は
つい先月、当ブログで拾ったばかりで、その中でも
Truogの無益な治療論批判への批判が出ていたので、以下に。

「医師は患者本人の同意なしにDNR指定してもよいか」Bernat論文(2012/4/11)
2012.05.13 / Top↑
英国のケアラー支援チャリティ the Carers Trustが
ケアラー実態調査の結果を発表している。

なお、英国のケアラー支援の老舗、the Princess Royal Trust for Carers が
4月1日をもって Crossroads Careと合併し、the Cares Trust となった、とのこと。

このニュースについては、以下に。
http://www.carers.org/news/princess-royal-trust-carers-and-crossroads-care-merge-become-carers-trust


そのCarers Trustがこの度行った500人の成人の調査データによると、
成人ケアラーの60%が介護負担から、またその他の責任との両立の困難から
メンタル・ヘルスの問題を抱えていると報告。

身体的な健康問題と精神的な健康問題の両方を経験した人は
4分の1を超え、主な訴えは筋肉痛や不眠、疲労など。

介護によりキャリアが損なわれたという人は、ほとんど60%。

現在、英国では600万人、成人の8人に1人がケアラーで
彼らの無償のケア労働によって、毎年ざっと1190億ポンドの公費が節減されている。

2037年には900万人に達する見込みで、

この調査結果は
英国政府に誰もが受けられる支援サービスの整備を促すものだ、と。

今回の調査では、ケアラーのほとんど3分の2が
カウンセリングもレスパイトも福祉サービスも使ったことがないという結果となったが、
これらのサービスはケアラーの負担とストレス軽減につながることが知られている。

これまでの研究では
ケアラーはその他の人に比べて健康を害する確率が2倍になるし、
約4分の3のケアラーで経済状況が悪化するとのエビデンスがある。

150万人以上のケアラーが60歳以上の高齢で、
介護をこなしながら、自らも支援を必要とする場合が多い。

今回の調査結果を受けて、
野党の陰の保健相などから地域による格差を解消するためにも
ケアラー支援に関する全国レベルのミニマル・スタンダードと予算確保を
呼びかける声が上がっている。

The Carers Trustのトップは
「多くのケアラーは
自分のことをケアラーであるとは意識しないまま
社会にどんな支援があるか気づいていないのです」

またCares UKの幹部からは
成人の社会ケア緊縮策の影響が廻り回ってケアラーに付け回されている、との指摘も。

ケアラーの58%が女性で、42%が男性。

300万人が仕事と介護の両立に苦労しており、
ケアラーの5人に1人が仕事を諦めざるをえなくなっている。

1週間に50時間以上の介護を行っているケアラーは125万人。

Britain’s army of unpaid carers ‘being pushed to breaking point’
The Independent, May 8, 2012


The Carers Trust の 当該調査のページは以下。
http://www.carers.org/news/new-research-finds-unpaid-carers-struggle-without-support


その他、関連報道の一部を以下に。

http://www.yorkshirepost.co.uk/news/at-a-glance/main-section/charity-claims-carers-suffer-health-and-career-problems-1-4524296
http://www.guardian.co.uk/social-care-network/2012/may/08/gp-need-more-carer-aware?newsfeed=true
http://www.guardian.co.uk/society/2012/may/07/elderly-care-funding-duncan-smith?CMP=EMCNEWEML1355



多くのケアラーが
自分はただ家族の世話をしているだけと考えて、特に介護者として自分を捉えず、
そのために社会に存在する支援サービスに繋がれていない問題は

去年の英国のケアラーズ・ウイークでも
「隠れたケアラーを発見する」というキャッチで取り上げられていました ↓
ケアラーの本当の顔: 英国ケアラーズ・ウィーク2011(2011/7/5)


ちなみに日本のケアラー実態調査については ↓
日本のケアラー実態調査(2011/6/14)
2012.05.13 / Top↑
英国で一方的なDNR指定が問題化してきていることについては、
去年1年間だけでも、以下のエントリーで取り上げていますが ↓

肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
「本人にも家族にも知らせず“蘇生無用”」はやめて一律のガイドライン作れ、と英国で訴訟(2011/9/15)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)


また新たにケア・ホームに入所している男性のカルテに
無断でDNR(蘇生不要)指定が書きこまれていることに気付いた家族が抗議し、
NHSトラストが謝罪するという事件があり、

NHSではケア・ホームの入所者のケアに当たるGPらに対して
DNR指定に関する規制とガイドラインを遵守し、
指定に際しては本人や家族と相談するよう呼びかけた、とのこと。

(この記事でも上記の去年9月の訴訟に触れられています)

Care homes warned to discuss ‘do not resuscitate’ forms with families
The Guardian, May 6, 2012


男性は77歳で、ロンドン南部の
身体障害があり要介護状態の人を対象としたケアホームに入所している。

米国ラスベガス在住の娘が面会に訪れた際に、まったくの偶然から
カルテにDNR指定を見つけ、抗議。

NHSトラストが調査を行ったところ、
ホームでは男性にはDNR指定の決定に参加できるだけの能力がないと判断したと説明。
しかし家族はこれに強く反論。

娘は米国で言語療法士として働いてきた人で、
CPRのリスクについては十分に承知しているが
「父はターミナルなわけでも進行した病気があるわけでもなく
QOLも良好で、ハッピーに暮らしています」と。

このケースについての詳細は
ホーム側もNHSトラスト側も患者のプライバシーを理由に語らないが、

とりあえず指定は撤回され、
NHSトラストが家族に謝罪した。

また今回の問題提起にも感謝の意を表明。

ただし、DNR指定自体は
今後また復活する可能性はある、とも。

トラストのトップの感謝の言葉がなかなかに意味深で、

Whilst it is important that doctors do not place the burden o f decision-making on close relatives, you have made us aware it is important to try and involve relatives even if they live abroad and are only able to visit their family member infrequently.

医師が近親者に意志決定の重荷を負わせないことは重要ではあるものの、例え家族が海外在住で頻繁には面会に訪れられない場合であっても、親族に関わってもらうよう試みることも重要だと、あなたは私たちに気づかせてくれた。

もう一つ、このケースに関する説明もさらに意味深といえば意味深で、

In a care home setting, CPR has a very small chance of successfully returning the patient to their previous state of health. If successful, there is a high risk that the patient will suffer rib or sternum fractures as well as internal organ injuries. If consciousness is regained, there is a risk that patient will be left with brain damage and not regain their pr-morbid level of health.
Because of these concerns, it is considered a mark of good practice that consideration is given to whether patients requiring long-term residential care and support would benefit from a CPR attempt in the event of a cardiac arrest. These decisions need time and careful consideration and are best not left to an emergency situation.

ケアホームの環境では、CPRによって患者を以前の健康状態に戻せる可能性は非常に低い。CPRが成功したとしても、ろっ骨や胸骨骨折、内臓損傷の高リスクがある。意識が戻ったとしても、脳損傷を負い以前の健康レベルには戻らないリスクがある。
こうした懸念から、長期的な入所施設ケアを必要とする患者が心臓マヒを起こした際に心肺蘇生を試みることの是非については慎重に検討することが good practice の証とされている。こうした決断には時間と慎重な検討が必要で、緊急医療の判断のままに任されるべきではない。


なんとなく、患者個々の状態よりも
長期的に入所施設ケアが必要な患者かどうか、の方が
心肺蘇生の是非の判断において重視されているような印象が……?
2012.05.13 / Top↑
刑務所で認知症患者が増加、介護も囚人に(米国)

英語圏のニュースを拾い読みしていると、思いもよらない事態の出現に驚きつつも、「考えてみれば、こういうことが起こるのも必然だった」と深く納得させられることがある。そして「必然ならば、近く日本でも起こる……」と、しばし考え込んでしまう――。ニューヨーク・タイムズの“Life, With Dementia”(2月25日)は、まさにそういう記事だった。
タイトルのLifeは「人生」の他に、ここでは「終身刑」の意も重ねられている(Dementiaは認知症)。終身刑を受けた囚人に認知症を患う人が増え、カリフォルニアやペンシルベニアなど一部の州では、同じく終身刑の囚人に介護を担わせている、というのだ。  
近年の厳罰化傾向で囚人が増え刑期も長期化し、現在、全米の刑務所に収容される囚人の1割が終身刑だ。1995年からの15年で55歳以上の囚人の割合は4倍になった。もともと教育レベルが低いとか様々な疾患があるなど認知症リスクが高い人が多いうえ、刑務所暮らしは刺激も少なく、認知症発症率は一般よりも高い。
認知症がなくとも高齢の囚人には若年層よりも3倍から9倍もの医療費がかかるため、認知症ケアにまで多額のコストをかけられない州には悩みの種となっている。ナーシング・ホームに移すところもあるが、犯した犯罪が残虐なだけに保釈になりにくく、ホーム側が受け入れないことも。
そこで、リスクは高いが安上がりな方法を編み出したのがカリフォルニア州だ。同州のある刑務所では、黄色のジャケットを着て「ゴールド・コート」と呼ばれる囚人が認知症の仲間を介護する。彼らはアルツハイマー病協会の研修を受けて、認知症マニュアルを支給され、食事、入浴の介助など日常の介護を担う。エクササイズ教室や記憶を刺激するイベントの実施も担当する。ただし爪はやすりをかけるまでなど、できる行為には制約がある。介護報酬は月50ドル。
彼らもまた残虐な殺人を犯した犯罪者だが、過去5から10年問題行動がなかった人が選ばれる。不適切な行為で外されたのは、09年にこの制度が導入されて以来、一人だけとのこと。導入以前には、認知症に無理解な職員が患者の行動を誤解して乱暴な扱いをしたり、囚人同士のもめ事も多かったが、知識のある「ゴールド・コート」は適切にケアすることができるため、刑務所内の雰囲気が落ち着いてきた。今では初期の兆候に気付くのも「ゴールド・コート」だ。プログラムを監修している医師によると、複雑な感情が絡まる家族介護者よりも患者へのレスポンスが良いとか。
しかし収監中に認知症を発症した人の家族に「保釈を望みますか」と尋ねると、「いえいえ、こちらで受けている介護はとても家族にはできません」と断られた、というエピソードには考えさせられる。
もう1つ、気になったので調べてみたところ、米国では1998年にできた「介護職犯罪歴スクリーニング法」により、殺人などの重罪歴のある人を介護職として雇うことは禁じられている。同法が要介護者の虐待防止のセーフガードと位置づけられていることを考えると、安全な介護を受ける認知症の囚人の権利という視点からは、この辺りがどう整合するのか、疑問も残る。
一方、ニューヨーク州は資金を投入する道を選んだ。認知症の囚人専門のユニットを独立させ、プロの介護職に介護させている。コストは通常の囚人なら一人年間41000ドルのところ、93000ドル。
既に当欄で何度か紹介したように、英語圏では、回復の見込みのない終末期の患者や重症障害者への治療は社会のコストに値しないとする“無益な治療”論が広がりつつある。ニューヨークの数字を眺めていたら、イヤな予感が胸に広がってきた。まさか次に台頭するのは“無益な介護”論……?

英国医師会から「選択的人工呼吸」の提言

予防医療や治療技術の向上で、脳死者の発生件数が減少しているらしい。移植臓器の減少を懸念する英国医師会は2月13日、ラディカルな臓器不足解消策をいくつか提言した。最も物議をかもしているのが選択的人工呼吸(elective ventilation)。いったい何のことかと思ったら、通常なら“無益な治療”として延命治療が差し控え・停止されるケースで、臓器ドナーとなる可能性がある場合は、本人または家族の意志確認ができるまでの間、人工呼吸を行おうとの提言。
保健省は「死より前に行われる一切は患者の最善の利益にかなうものでなければ」。しかし“死”も“無益”もこれほど操作可能な概念となった時代に、そのコメントも玉虫色に見える。

「世界の介護と医療の情報を読む」
「介護保険情報」2012年4月号


【関連エントリー】
英国医師会が“臓器不足”解消に向け「臓器のためだけの延命を」(2012/2/13)
脳死者減少が必至なら倫理の線引き変更も必至? 人為的脳死後臓器提供安楽死」も?(2012/2/14)
「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilkinson 1(2012/2/22)
「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilkinson 2(2012/2/22)
2012.05.13 / Top↑
尊厳死が合法となっており、
すでに「安楽死後臓器提供」が行われているベルギーで

The Belgian Liberal Humanist Association (HVV)という組織から
知的障害者、すべての子どもと認知症患者に安楽死を求める権利を認めよう、との声が上がっています。

HVVの会長で現在の尊厳死法の草案を作った中の一人、
前上院議員、Jacinta De Roeck氏は、

「ある種の人たちが、
生きるか死ぬかの自己決定から完全に排除されているのは、受け入れがたい」

知的障害者を迫害したナチスの歴史を持つドイツの隣国だけに
ベルギーでも難しい問題だが、

「精薄のある人でも専門家チームにより成熟しているとみなされれば
安楽死を求めることは可能とするべき」

またHVVは
あらゆる年齢の子供に安楽死を求める権利を認めるべきだ、とも主張しており、
そのHPには以下のように書かれている。

「救いがたい状況下にある子どもたちは
その他の健康な子供に比べて成熟している確率が高い。
したがって年齢制限を設けることは、まったく不適切である」

De Roeck氏は
今権下ではないにせよ、最終的にはベルギーで
未成年も認知症患者も安楽死の権利を認められるだろう、と予測。

Let’s give intellectually disabled the right to euthanasia, say Belgian humanists
BioEdge, April 27, 2012


ちなみに、隣国オランダでは
去年3月に認知症が進んだ女性の積極的安楽死が行われたことが明らかになっています。

「IC出せない男児包皮切除はダメ」でも「IC出せない障害新生児も認知症患者も殺してOK」というオランダの医療倫理(2011/11/12)


【関連エントリー】
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ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/
2012.05.13 / Top↑