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当ブログでも何度か取り上げてきた英国の神経科医Adrian Owen教授が
BBCの番組Panoramaに出演して、

植物状態とされたカナダの患者が、脳スキャンを使ったやりとりで、
意識があり、痛みを感じてはいないことを告げた、と報告。

重症の脳損傷を受けた患者が
臨床的に意味の通った情報を医師に提供できたのは初めて。

患者はカナダ、オンタリオ州ロンドンの Scott Routleyさん。

「スコットは意識があり、ちゃんと思考することができていると
我々に示すことができました。

何度かスキャンを行ってきましたが、
彼の脳活動のパターンから、我々の質問に意識的に答えていることは明らかです。

スコットは自分が誰でどこにいるか分かっていると思います」

スコットさんは警察車両との衝突事故を起こして、
Owen教授が介入するまで12年以上の間ずっと植物状態だと考えられてきた。

10年以上担当してきた主治医は、
スキャンの結果でそれまでのアセスメントが全部ふっとんだ、と言い、

「典型的な植物状態の患者の状態だったんですよ。
感情は見られないし、目で物をじっと見ることも物の動きを追うこともなかった。
意味のある自発的な動きも見せたことがなかったので、
fMRIを使えば、こうした認知反応を見せることができたなんて
本当に驚き、感動しました」

Owen教授が研究している脳スキャンによるコミュニケーションとは
患者にテニスをしているところと家の中を歩き回っているところを頭に描くよう指示して、
それぞれによって脳の血流パターンが異なるため、
片方をYes, もう一方をNoに振り分けて
Yes –Noの質問に答えてもらう、というもの。

Owen教授はこれまでにも
植物状態とされている患者のほぼ5人に1人には意識がある可能性を指摘してきた。

また、もう一人の交通事故の患者 Steven Grahamさんは
2歳の姪っ子Ceiliを知っているかと問われてYes と答えた。
Ceiliが生まれたのはGrahamさんが事故にあって後のことなので
これによって彼が新たな記憶を形成し残すことができることが明らかとなった。

Panoramaチームは1年以上かけて
カナダのthe Brain and Mind InstituteとケンブリッジのAddenbrooke病院で
Owen教授の研究に参加した植物状態と最少意識い状態の患者さんたちを
撮影してきたという。

Brain-damaged man ‘aware’ of scientists’ questions
The Guardian, November 13, 2012


【Owen教授の研究に関するエントリー】
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
Hassan Rasouliさん、「植物状態」から「最少意識状態」へ診断変わる(2012/4/26)


以下は、これまで当ブログで拾ってきた回復事例。

【米国:リリーさん】
植物状態から回復した女性(2007年の事件)

【米国:ダンラップさん】
脳死判定後に臓器摘出準備段階で意識を回復した米人男性のニュース(再掲)(2009/7/30)

【ベルギー:ホウベン?Houbenさん】
23年間“植物状態”とされた男性が「叫んでいたのに」(ベルギー)(2009/11/24)
「なぜロックトイン症候群が植物状態と誤診されてしまうのか」を語るリハ医(2009/11/25)

【日本:加藤さん】
「植物状態にもなれない」から生還した医師の症例は報告されるか?(2011/1/19)

【米国:ゴッシオウ? Gossiauxさん】
事故で視力を失った聴覚障害者が「指示に反応しない」からリハビリの対象外……というアセスメントの不思議(2011/2/6)

【NZ: Kimberly McNailさん】
NZで「無益な治療」論による生命維持停止からの回復例(2011/7/17)

【米国: 可逆的脳死】
臓器摘出直前に“脳死”診断が覆ったケース(2011/7/25)

【米国: Sam Schmidさん】
アリゾナで、またも“脳死”からの回復例(2011/12/24)

【豪:Gloria Cruzさん】
またも“脳死”からの回復事例(豪)(2011/5/13)

【世界中で睡眠薬による回復事例】
睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)
睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」続報(2011/12/7)

【英国: Steven Thorpeさん】
英国で、またも“脳死”からの回復事例(2012/4/30)

【米: Richard Marshさん】
ロックト・イン症候群からの回復事例(米)(2012/8/9)

【その他、関連エントリー】
「脳死」概念は医学的には誤りだとNorman Fost(2009/6/8)
楳図かずおの脳死?漫画(2008/4/3)
重症障害児・者のコミュニケーションについて、整理すべきだと思うこと(2010/11/21)
2012.11.13 / Top↑
BBCがTerry Pratchettをプレゼンターに作成した自殺幇助のドキュメンタリー Choosing to DieがGrierson英国ドキュメンタリー賞を受賞。:「BBCは合法化のチアリーダーだ」との批判が出ていた、あのドキュメンタリー。
http://www.telegraph.co.uk/culture/film/film-news/9660994/Terry-Pratchett-assisted-suicide-documentary-Choosing-to-Die-wins-Grierson-British-Documentary-Award.html

【関連エントリー】
作家 Terry Partchett “自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
自殺幇助ガイドラインに、MSの科学者とアルツハイマーの作家それぞれの反応(2009/9/23)
作家 Pratchette氏「自殺幇助を個別に検討・承認する委員会を」(2010/2/2)
Pratchett氏の「自殺幇助委員会」提言にアルツハイマー病協会からコメント(2010/2/3)
BBC、人気作家がALS患者のDignitas死に寄り沿うドキュメンタリーを作成(2011/4/15)


日本。「延命治療せず」救命センター6割経験 搬送の高齢者に。この1年に救急搬送された65歳以上の高齢者に、人工呼吸器や人工心肺、人工透析などの積極的な治療を中止したり差し控えたりした経験の有無と件数を尋ね た。この結果、63%にあたる91施設が「ある」と回答した。呼吸器の中止・差し控えは計302件あり、このうち、患者の年齢や病気名など具体的データを 挙げた中止例は14件あった。人工心肺の差し控え・中止は37件あった。:そろそろ「過剰な医療で苦しめられるから死の自己決定を」という前提にはアップデイトが必要では?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121111-00000022-asahi-soci

サン・ディエゴ郡医師会の「恩恵のない治療と係争解決に関する病院方針モデル」:いつのまにか「無益な治療」とは言わずに、生命倫理の原則の一つを引っ張ってきて「恩恵にならない治療」と呼ぶことに?
http://www.sdcms.org/publications/model-hospital-policy-non-beneficial-treatment-and-conflict-resolution

John Lantosの引きいるChildren’s Mercy BioethicsがNICUの無益な治療論をめぐってディベイトを企画。新生児生命倫理の専門家、William Meadowと Annie Janvier招き。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2012/11/slow-codes-show-codes-and-no-codes-in.html

ゲイツ財団が力を入れてきたマラリア・ワクチン(グラクソ・スミス・クライン製)RTS,Sのアフリカでの治験で、軽症で31%、重症で37%という予防率にとどまり、NYTとForbsその他が報じている。ビル・ゲイツも芳しくない成果だと認めているのだけれど、それがファーマ系のサイトだと、「3割も予防」というタイトルに化ける。
http://www.nytimes.com/2012/11/10/health/malaria-vaccine-candidate-produces-disappointing-results-in-clinical-trial.html?_r=0
http://www.forbes.com/fdc/welcome_mjx.shtml
http://pharmabiz.com/NewsDetails.aspx?aid=72120&sid=2

【マラリア・ワクチン関連エントリー】
ゲイツ財団、英政府と並びマラリラ撲滅に資金提供(2008/9/30)
副作用分かっているのに抗マラリア薬で自殺や障害?(2008/10/14)
マラリア撲滅も新興テクノロジーによる合成薬で(2008/11/21)
ゲイツ財団の資金で開発期待されるマラリア・ワクチン(2008/12/14)
公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/21)


季節性インフルエンザワクチンの開発でVisterra社がゲイツ財団の資金援助をゲット。
http://blogs.wsj.com/venturecapital/2012/11/09/the-daily-start-up-visterra-gets-gates-backing-to-advance-flu-drug-to-trials/

英国政府、インドへの経済援助2015年までに打ち切り.
http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-20265583

中国政府が今度こそ死刑囚からの臓器摘出を辞めると言っているらしい。:うへぇ。2006年ごろから、何度もそういうこと言ってきたと思うんだけれど。⇒http://www.arsvi.com/2000/0701km.htm
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10305

【関連エントリー】
A・Caplanが、死刑囚の臓器に依存する中国の移植医療ボイコットを呼びかけ(前)(2011/10/12)
A・Caplanが、死刑囚の臓器に依存する中国の移植医療ボイコットを呼びかけ(後)(2011/10/12)
政治犯から生きたまま臓器を摘出する「新疆プロトコル」(2011/12/13)


生計を立てるための職業としての代理母業。NYTに。
http://www.nytimes.com/2012/11/04/opinion/sunday/making-babies-just-to-make-ends-meet.html?pagewanted=all&pagewanted=print

代理母として13人も生んだ女性(49)が引退。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10313

日本「がん5年生存率」検索可能に 何を見ればいいのか?:施設別生存率を公開して……で、学校のイジメ問題みたいなことが起こらなければいいけれど。イジメがあっても評価が下がらないように絶対に認めず学校の保身が最優先されるように、生存率のアップに寄与しそうにない患者は引き受けない病院が続出する、とか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121112-00000501-san-soci

そういえば米国の11月は介護啓発月間。
http://www.sacbee.com/2012/11/08/4970149/november-is-long-term-care-awareness.html
2012.11.13 / Top↑
ヴァージニア州のRufus McGillさん(19)は
10月14日に交通事故を起こして危篤状態となり、
医師らは脳死である可能性が濃厚だと両親に告げた。

離婚しているが良好な関係にあるRufusさんの両親は
息子の回復を祈りつつ、万が一回復不能な場合には
息子の精子を採取して孫を持ちたいと希望し、
引き受けてくれる泌尿器科医も見つけた。

しかし、Rufusさんが法的には成人であることから
本人の生殖についての意思が明確に確認できない以上、
生殖の自己決定権の中には子どもを生まない権利も含まれるため、
両親には倫理的にも法的にも、息子の精子の採取の許可を裁判所に求める権限がない。

生命維持の停止を決めることはできるが、
息子の精子の採取は認められない。

8日、両親は生命維持の停止を決めて、Rufusさんは死亡。

Clinging to life, man hospitalized in Roanoke may yet become father
The Roanoke Times, October 31, 2012

Parents fail in bid to harvest brain-dead teen’s sperm
BioEdge, November 11, 2012


息子が未成年だったら、可能性はあったみたい……。



【関連エントリー】
「死んだ息子の精子で代理母たのみ孫が欲しい」認められず(NY)(2009/3/5)
「死んだ息子の子どもが欲しい」母に裁判所が遺体からの精子採取を認める(TX)(2009/4/17)
亡き夫の精子は妻の“財産”(豪)(2011/5/24)
2012.11.13 / Top↑
6日のMA州の自殺幇助合法化が阻止されたことの要因を
7日からいろいろなところが分析しているのですが、ほとんど読めていません。

さっきたまたま目についた保守・プロライフのサイトLifeSiteNewsの分析で、
障害者運動からの反対運動が要因の最初に挙げられていたので、とりあえず、これを――。


① 障害者運動の強力な反対。

② 推進派は反対しているのはカトリックだと主張したが、必ずしもそうではない。

③ 医療からの強い反対があった。

New England Journal of Medicinの前編集長、Marcia Angell(ハーバード大)と
同じくハーバード大学の医療倫理学の教授、Can Brockは支持を表明したものの

MA州医師会は反対。↓

MA州医師会が自殺幇助合法化反対を確認(2011/12/6)
MA州医師会が11月住民投票のPAS合法化をめぐる質問に反対を表明(2012/9/18)

④ 選挙直前の州に大物から相次いで反対表明があった。

一人はEzekiel J. Emanuel医師のNYTのOp-Ed。 ⇒ Dr. Emanuel 「PASに関する4つの神話」(2012/11/5)



もう一人は政治コラムニストで、E. J. Dionne Jr.がWPに
自殺幇助が医療費削減と結びつくことのリスクを説いた ↓
http://www.washingtonpost.com/blogs/post-partisan/post/liberals-should-be-wary-of-assisted-suicide/2012/11/01/81971b10-245e-11e2-9313-3c7f59038d93_blog.html

もう一人、故エドワード・ケネディ上院議員の未亡人からの反対投票の呼び掛け ↓
http://www.capecodonline.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20121027/OPINION/210270347&cid=sitesearch

特にケネディ一家はマサチューセッツ州では英国でのウインザー家のような存在で
影響力が大きかった、と分析。

What stopped assisted suicide in Massachusetts?
LifeSiteNews, November 8, 2012


ケネディ上院議員の未亡人の地方紙寄稿からの引用が印象的。

for every complex problem, there’s a simple easy answer. And it’s wrong.

複雑な問題には必ず単純で簡単な答えがありますが、そういう答えは間違っているのです。


それから、記事冒頭に、
今回の大統領選以外の結果について書かれているので
メモとして以下に。

・上院に民主党議員が2人増えた。
・ウィスコンシンでは同性愛者を明言している女性議員が上院に。
・4つの州で同性結婚が支持または合法化された。
・コロラド州とワシントン州でマリファナの娯楽利用が合法化。

別の記事で読んだことをついでに追加しておくと、
CA州の死刑廃止の住民投票は成立せず、死刑は存続することに。


【11日追記】
上記の記事の著者 Michael Cook って、あの、いつもお世話になっているBioEdgeの編集長の……? と
昨日、思いつつも確信が持てなかったのですが、今日、同じ論考がBioEdgeに掲載となり、
同一人物であることが確認されました。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10307
2012.11.13 / Top↑
園との連絡ノートから。


今日、(隣接の養護学校での)文化祭の展示見学に行ってきました。

始めは学齢児さんの教室へ。
「どこ? 何?」という表情で少し緊張気味。
(一応しっかりお伝えして行ったつもりだったのですが……)

次に、保育&成人グル―プの部屋へ。
すると表情が明るくなり、声もしっかり出始めました。
利用者さんの写真を次々に指差して見ていました。

しかし、いよいよミュウさんの成人グループの紹介のところへ来ると、
急に照れくさそうな表情をし、見ようとしません。

幼児さんのコーナーの方に顔を向け、声を出し、
「あっちを見ようよ」と言っているような感じでした。

その後も、他の利用者さんの写真、作品を
しっかり見て帰りました。



あはは。まぁね。
自分の写真を見るのはヤなもんだよね。
2012.11.13 / Top↑
Obama大統領の受諾演説の全文トランスクリプトが出ています。
http://www.washingtonpost.com/politics/decision2012/president-obamas-acceptance-speech-full-transcript/2012/11/07/ae133e44-28a5-11e2-96b6-8e6a7524553f_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

埼玉でWY10周年『隣る人』上映&堀越栄子さん講演会:前者が12月2日で、後者が12月8日。後者は日本ケアラー連盟の創設者であり共同代表の堀越栄子さんの講演です。埼玉の方、ぜひ。
http://www.withyou-saitama.jp/view.rbz?cd=885

前にも補遺で拾ったけど、11月30日は英国の「介護者の権利の日」。:6月の介護者週間とはまた別に、こういうのがあるんですね。
http://www.newspostleader.co.uk/community/carers-rights-day-in-stannington-1-5096370

CA州では大統領選と同時に遺伝子組み換え食品の表示義務付けの住民投票が行われたらしいのだけれど、MA州と同じように自殺幇助も住民投票を、という提言、LA Timesに。
http://www.latimes.com/news/opinion/opinion-la/la-ol-assisted-suicide-20121106,0,2108763.story

地球温暖化対策としてジオ・エンジニアリング(地球工学)。:こういう研究にはゲイツ財団から資金が流れているはず、と思って調べてみたら、やっぱり9月6日の補遺にあったけど、このニュースでは、ビル・ゲイツの資金は研究にではなく、科学者らによる各国政府へのロビー活動に。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/geoengineering-is-the-answer-to-climate-change-unless-it-isnt/2012/11/05/aef1c418-073d-11e2-858a-5311df86ab04_story.html

日本。興奮や失神、卒倒… 子宮頸がんワクチン接種で注意呼びかけ。:私は専門家ではないので、この副反応のデータそのものについてはなんとも言えないけれど、ここでも明確に「副反応」とされている失神について、去年8月に朝日新聞でのHPVワクチン推進の全面広告で「子宮頸がん制圧を目指す専門家会議」の専門家が「思春期の多感な女子への接種なので、緊張のあまりドキドキして失神する」と発言していることは、やっぱり妙だと思う。こういう不誠実な言動で推進の旗を振る「専門家」って??? これについては ⇒ 子宮頸がんワクチンでの失神は「ドキドキするから」?(2011/8/5)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120627/ecb1206271948000-n1.htm

英国で養子縁組週間。養子縁組をする人が不足している問題の啓発が数年前からしきりと行われている。英語圏だけなのかどうかはわからないけれど、07年の第1例以降に“アシュリー療法”をやったことが明らかにされた12人のうちの2人が養子だったことが、私には気にかかっている。
http://www.thesun.co.uk/sol/homepage/woman/4631060/National-Adoption-Week-could-you-adopt.html

インドの4年がかりの医療施策の成果で乳幼児死亡率が半分に。妊産婦の死亡率は4分の3も減少。:これはやっぱりゲイツ財団の尽力のたまものでしょうか。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/252384.php

NYT。インドでデング熱。
As Dengue Fever Sweeps India, a Slow Response Stirs Experts’ Fears: Health experts fear that government officials are not acknowledging the scope of a problem that threatens hundreds of millions of people, not just in India but around the world.

日本。障害者虐待防止法: 1カ月 通報・相談、すでに25件 県「施行が効果」/静岡
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20121107ddlk22010170000c.html

日本。マニフェスト全面謝罪へ…民主、見通し甘さ認め:米国型の弱肉強食社会からヨーロッパ型の包摂的社会に舵を切ろうとしたのだという理念の説明をしっかりするべきなんでは、と前から思うのですが……?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121107-00000128-yom-pol

日本。日の丸医療で欧米追走「インフラ」「病院丸ごと」輸出で新戦略:07年に既にアジア各国が力を入れていたグローバル医療ツーリズムを調べた時に、医療を受けられ、治療可能な感染症や下痢で死んでいく自国民をほったらかしにしたままに国策とされている実態に目を剥いたもんだったなぁ、そういえば。その時に書いた記事はこちら ⇒ 医療のネオリベ“医療ツーリズム”(2009/8/3) それにしても「日の丸医療」だって……。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121106-00000000-fsi-bus_all

【その他の関連エントリー】
インドの生殖医療ツーリズム(2008/8/12)
医療ツーリズムでMRSAより厄介な抗生物質耐性菌(2009/8/13)
AJOB巡るスキャンダルには、幹細胞治療や日本の医療ツーリズムも“金魚のウンコ”(2012/2/15)
2012.11.13 / Top↑
認知症高齢者への抗精神病薬をめぐる動き

英国で衝撃的な裁判のニュースがあった。
ミドル・サセックス州ヘイズのナーシング・ホーム(以下ホーム)の看護師で主任職員のMirela Aionoaei(37)は、夜勤の際に(自分が)眠りたいために、認知症の入所者に抗精神病薬を大量に飲ませていたとして今年1月に起訴された。
8月に開かれた裁判で明らかになったところによると、被告は夜勤の度に2つ並べた椅子をベッド代わりに寝るのを好んでいたという。彼女の夜勤の晩に限って入所者が突然ふらふらになるほどの眠気を催す、薬のワゴンではなくエプロンのポケットから取り出した錠剤を飲ませているなど、不審に思った同僚が通報。警察が入所者の髪の毛サンプルを調べたところ、即効性の睡眠薬や抗ウツ剤など、処方されてもいない抗精神病薬を長期間に渡って飲まされていたことが明らかになった。Aionoaeiは容疑を否認している。判決は9月末とのこと。

問題行動を抑制する目的での認知症患者への向精神薬の過剰投与問題は、英語圏では何年も前から取りざたされてきたが、特に最近になって相次いで副作用エビデンスが報告され、見直しへの機運が高まっているようだ。今年に入って特に目についたニュースとして、例えば以下のようなものがある。

抗精神病薬で死亡リスクが上昇
 ハーバード大の研究者らがブリティッシュ・メディカル・ジャーナルで、抗精神病薬によっては認知症患者の死亡リスクを上げる可能性を報告している。ホームに入所している65歳以上の75000人を対象にした、米国における同種の調査としてはこれまでで最も大規模な調査。
対象者の属性や身体的な病気、環境など広範な要因からの影響を調整して得られたデータから、「常に可能な限り最少量の処方とし、特に治療開始直後は細かくモニターすることが重要」「認知症高齢者へのハロペリドールの使用は害が大きすぎて正当化できない」などと書き、「問題行動には他の介入を試みる必要」があると結論。(2月24日 Medical News Today)

抗精神病薬で心臓発作リスクが上昇
米国医師会の内科ジャーナルで、認知症高齢者では抗精神病薬により心臓発作のリスクが上がる可能性が報告されている。
カナダとフランスの研究者が2000年1月から09年12月の間、カナダ、ケベック州の処方レセプト・データベースを用いて、コリンエステラーゼ阻害剤を使用中の66歳以上の患者37138人を特定。抗精神病薬を使用した患者と使用していない患者のデータを比較したところ、地域在住の高齢者で、抗精神病薬と心臓発作リスクの中等度の上昇との関連が見られた。著者らはさらなる研究が必要としながらも「当面、医師は認知症患者への抗精神病薬の処方を限定し、可能であれば環境や行動を通じた戦略など他のテクニックを用いるべき」と結論している。(4月2日 Medical News Today)

米国政府機関が削減キャンペーン
米国公的医療保険センター(CMS)やホームの経営者団体は、年末までにホーム入所の認知症患者への抗精神病薬の使用を15%削減するキャンペーンを発表した。CMSの報告によれば、2010年に認知症の兆候のある入所者の40%が、適応外処方で抗精神病薬(適応は統合失調症、双極性障害など)を出されており、17%以上が推奨レベルを超える量を毎日飲んでいた。
MCSは7月までに同センターのウェブサイトに、ホームごとのデータを比較できる専用ページを設ける予定(7月19日に新装されたNursing Home Compareサイト内に設けられた)。ホームに対して、患者のことを知りニーズへの理解を深めて対応できるスタッフを置き、音楽療法や体操、交流活動など薬に頼らない対応に時間を割くよう求めている。
しかし、現場からは「問題行動があってコミュニケーションもとりにくい認知症患者への投薬はそれほど単純ではない」「皆さんにサン・ルームまで自分で歩いて行ってもらって、そこで本を読んであげられるほど政府からナーシング・ホームに金が出ているわけではない」「(行動療法が)うまくいく人もいるが、そういう人ばかりではない」などの声も上がっている。(6月4日 Pittsburg Post-Gazette)

ちなみに2月のMNTの記事によると、米国FDAは2005年に「認知症高齢者の行動障害への治療として用いられる第2世代抗精神病薬は、死亡率上昇と関連している」と警告している。

「世界の介護と医療の情報を読む」76
「介護保険情報」2012年10月号
2012.11.13 / Top↑
【8日追記】
今日の報道によると、最終的に 反対51% vs 賛成49% だったとのこと。


【20:40 追記】

以下の通り、
安楽死防止連合のAlex Schadenbergが祝勝記事を書きました。
(最終結果は書いてありませんが)

Boston Globe紙の読み通り、MA州のPAS合法化は通らず!

http://alexschadenberg.blogspot.jp/2012/11/congratulations-to-committee-against.html


BANZAAAAAAAAAI!!



【17・36 追記】
ボストン・グローブ紙の午前1:30段階での記事で
合法化はならない模様、と出たのですが、

その後、別のメディアからは「まだ決まらない」の続報も出ているので、
以下の情報、ちょっと保留に。

最終的に確認してから、再度アップします。

MA州がこけたらドミノ(CA,NJ,NH,HI……)が起こりそうなので、
なんか、もう祈る思い……。

WA州の住民投票をチェックしてみたら賛成 58% vs 反対 42% でした。↓
WA州、自殺幇助合法化決定:Oregonに続き米国で2番目(2008/11/7)


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大統領もオバマ再選が確定したようですが、

Boston Globe紙の速報によると

水曜日の午前12:15 85%開票段階で
反対50.6% vs 賛成49.4% の真っ二つ。

この僅差ではまだわからないものの、
合法化はならないのでは、との見通し。

Assisted suicide measure too close to call
The Boston Globe, November 7, 2012



【続報】

午前1:30  90%開票段階で
反対50.4% vs 賛成49.6%

Assisted suicide measure appears headed for defeat
Boston Globe, November 7, 2012


【続報】

午前2時 93%開票段階で、
反対51% vs 賛成49%。

開票数 275万で、合法化成立に38484票の不足。


【関連エントリー】
MA州で自殺幇助合法化めぐり住民投票を求める動き(2011/8/25)
MA州医師会が自殺幇助合法化反対を確認(2011/12/6)
WA州の高齢者施設経営者からMA州住民への手紙「PAS合法化したら滑ります」(2012/5/29)
MA州医師会が11月住民投票のPAS合法化をめぐる質問に反対を表明(2012/9/18)
筋ジスのジャーナリスト「死の“自己選択”は幻想」(2012/11/2)
Dr. Emanuel「PASに関する4つの神話」(2012/11/5)
2012.11.13 / Top↑
英国Janet Traceyさんの一方的DNR指定問題の訴訟で、Addenbrook病院の方針に調査。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-cambridgeshire-20205925

Grassley上院議員と言えば、ビッグファーマ関連スキャンダルを暴きまくってきた立役者なんだけど、今度は他の2人と一緒になって施設入所の高齢者への向精神薬過剰投与問題に切り込む。イエイ!
http://www.blumenthal.senate.gov/newsroom/press/release/senators-blumenthal-kohl-grassley-seek-to-protect-the-elderly-and-taxpayers-from-abusive-overprescribing-of-antipsychotics

【08年にGrassley議員が暴いたスキャンダル関連エントリー】
著名小児精神科医にスキャンダル(2008/6/8)
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告(2008/10/6)
Biederman医師にさらなる製薬会社との癒着スキャンダル(2008/11/25)
Biederman医師、製薬業界資金の研究から身を引くことに(2009/1/1)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
今度はラジオの人気ドクターにスキャンダル(2008/11/23)


サヴレスキュってば、09年に人工内耳は「適応のある子どもには法的に義務付けるべきだ」って書いてた。この人、どこまでも「科学とテクノで簡単解決バンザイ」なんだけど、生命倫理学というのは本来は医学の狭い専門領域の価値意識をその外側から問う役割を持ったものだったはずなのに、いつのまにか医学の価値意識を社会に向けて正当化するための学問になりつつあるという印象が、この論考を読むと改めてくっきりとしてくる。
http://blog.practicalethics.ox.ac.uk/2009/07/refusing-cochlear-implants-is-it-child-neglect/

シアトル・タイムズの社説が、ゲイツ財団はアフリカの小規模農家のためにならないGM農業研究から手を引くべきだ、と。問題視されているのは、7月24日の補遺で拾った「肥料があまり要らないGM農産物の開発で、ゲイツ財団から英国の科学者グループに1000万ドル」。:ほぉ。STってゲイツ財団の御用新聞だとばかり……。これは今日エントリーにしたかったけど残念。
http://seattletimes.com/html/opinion/2019592191_fentbereanoopedxml.html

【関連エントリー】
ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
「アグリビジネス」の後ろにはワクチン推進と同じ構図が見える(2011/10/5)
ビル・ゲイツがダボス会議で「途上国の医療・農業支援はケチるな」(2012/1/26)
“大型ハイテクGM強欲ひとでなし農業“を巡る、ゲイツ財団、モンサント、米国政府、AGRAの繋がり(2011/10/27)
TPP進める経済界のトップ、やっぱりぐるっと廻って“ゲイツつながり”(2011/10/27)


日本語。新出生前診断「適切な規制必要」 米研究者が寄稿
http://www.asahi.com/science/update/1102/TKY201211020196.html

【近刊】利光恵子「受精卵診断と出生前診断 その導入をめぐる争いの現代史」(生活書院):これは必読。上のように新たな出生前遺伝子診断が問題になっている時だけに。
http://www.seikatsushoin.com/bk/103%20juseiran.html

California Advocate for Nursing Home Reform というCA州のナーシング・ホーム入所者のアドボケイト団体。案外に米国では消費者保護の視点から施設入所者のアドボカシーって整備されていたりする印象。CANHRの活動の一環には入所者への過剰投与の問題や、施設を探している人への情報提供、それから面白いところとして、施設に「家族委員会」を設置するための手引きというのがある。この手引きは無料だけどオーダーが必要。オーダーしてみようかな。
http://www.canhr.org/familycouncils/fc_video.html

日本。ワタミに過労自殺遺族が話し合いを申し入れ。
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/1da724ca222b71fd72becebd592b333a

NYT. CA州では大統領選に合わせて、死刑廃止の住民投票が行われるみたい。
End the Death Penalty in California: A ballot initiative, Proposition 34, provides the chance to shut down the state’s costly and broken system of capital punishment.
2012.11.13 / Top↑