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なんでもJournal of Animal Ethics という新しい学術雑誌が誕生したそうな。

その最新号の論説がすごい。

英語には動物に対して侮蔑的、差別的な表現が多く、
それらは改められるべきである、と主張する。

例えば、飼っている犬や猫などの動物を「ペット」と呼ぶのは差別的なので
「コンパニオン動物」に変えるべきだし、

飼い主を「所有者」と称するのは法的には正しいが、
動物が道徳的な保護を必要としない機械やモノと同じように感じられてしまうので
飼い主のことも「人間ケアラー」と称するべき、

「野生動物」の「野生」も未開だとか野蛮といったイメージを伴うために
当該動物に対して侮蔑的であり、「自由に生きている」または
「自由に行動している」動物と称するべきである、と。

その他、「狐のようにずるがしこい」「豚のように食う」などの比喩表現も
動物に対してフェアでないので改めるべきだ、とも。

著者は英 Oxford Centre for Animal Ethics のディレクターAndrew Linzeyと
米Penn 州立大学のPriscilla Cohn。

Calling animals ‘pets’ is insulting, academics claim
The Telegraph, April 28, 2011


Oxfordといえば、
世界トランスヒューマニスト協会を創設したNick Bostrumがいるし
最近とみにご活躍のJulian SavulescuもDominic Wilkinsonも――。


Oxford Centre for Animal Ethicsのサイトに行ってみたら、
この件に関するニュース・リリースが出ていました。
内容は、概ね上記の記事の内容と同じ。

またこのサイトのAnimal Ethicsというページを覗いてみると、
以下のような記述が目を引きました。

Our concern is to establish an unashamedly elite school of academics able to make an effective ethical case for animals.

我々の関心事とは、
動物のための実効ある倫理問題を論じることのできる、
臆面のないエリートの学者集団を作ること。




この unashamedly のニュアンスが、
私にはちょっと掴み切れないところがあり、
「そうした仕事をすることにゆるぎない確信を持った」という意味だと理解する方が
より自然だとは感じるのだけど、ただ文法的にはeliteを修飾しているはずなので、
それならば「臆面もないほどエリートの集団」という意味になると思え、


もしも、そうだとしたら、そこには
最初から「挑戦者のチャレンジを受けて立つチャンピオンの椅子」に勝手に座りこんでいる
Peter Singerらの「大型類人猿の権利宣言」に感じた青臭い不遜と
同じ匂いがするような気がする。

「大型類人猿の権利宣言」を読んで書いた3つのエントリーはこちら ↓
Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的?
Peter Singerの”ちゃぶ台返し”
SingerやTH二ストにとっては、知的障害者も精神障害者も子どもも、み~んな「頭が悪い人たち」


そして、動物を差別することにこんなにも過剰に反応する人たちが
障害者を差別することには単に鈍感というのではなく、
むしろ何かに挑戦するかのように、敢えて露骨に
知的・精神障害者を差別してみせることの不思議――。
2011.05.02 / Top↑
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