ついに、Diekema医師ではラチが開かなくなったと判断したのでしょうか。
この度のAJOBのDiekema&Fost論文に「こんなの成長抑制じゃない、不妊手術だ」と
批判のコメンタリーを書いたJohn Lantos医師とのディベイトに
Diekema医師ではなく、師匠のFost医師の方が出てきました。
批判のコメンタリーを書いたJohn Lantos医師とのディベイトに
Diekema医師ではなく、師匠のFost医師の方が出てきました。
(John Lantos医師は元シカゴ大学の小児科医・生命倫理学者。
現在はUniversity of Missouri Kansas City School of Medicine所属)
現在はUniversity of Missouri Kansas City School of Medicine所属)
といっても、 the Center of Practical Bioethics という機関の企画で
それぞれにインタビューした音声をつなぎ合わせたもののようですが、これは必聴です。
それぞれにインタビューした音声をつなぎ合わせたもののようですが、これは必聴です。
Lantos医師は、こうしたケースを倫理委で検討することについて、
以下の3つの問題点を指摘し、
以下の3つの問題点を指摘し、
・透明性がない
・然るべきプロセスがない
・説明責任がない
・然るべきプロセスがない
・説明責任がない
「倫理委で何があったか誰にも分からない」と。
「裁判所の検討が絶対に必要」
「この療法で利益を得る子どもがいるというのはありうるかもしれないが、
その子どもを密室で選別するなんて、そんなことはあり得ない」とも。
その子どもを密室で選別するなんて、そんなことはあり得ない」とも。
これを言ってくれる人を、3年間ずっと待っていました。
よくぞ…… ついに……。やっと……。
思わず、目を閉じ、
モニターから聞こえてくるLantos医師の声に向かって、
しっかり手を合わせてしまいました。
モニターから聞こえてくるLantos医師の声に向かって、
しっかり手を合わせてしまいました。
-------
インタビューの冒頭、インタビュアーが
「Diekema医師とFost医師はAshleyのケースに関わりました」と解説しているのですが、
2007年の論争当時、Fost医師の立場はそういうところでしたっけ?
「Diekema医師とFost医師はAshleyのケースに関わりました」と解説しているのですが、
2007年の論争当時、Fost医師の立場はそういうところでしたっけ?
彼は、中立の立場の生命倫理学者として
CNNのLarry King Live や Scientific American のメール討論に出て
いかにも中立の専門家然とした口調で擁護していたのではなかったでしょうか?
CNNのLarry King Live や Scientific American のメール討論に出て
いかにも中立の専門家然とした口調で擁護していたのではなかったでしょうか?
2010.01.29 / Top↑
Should our loved ones be able to help us end our lives?
私たちの自殺に愛する人が手を貸してくれるのは許されるべきでしょうか。
私たちの自殺に愛する人が手を貸してくれるのは許されるべきでしょうか。
――こんな、あきれるほど不注意で大雑把な問いを立てているのはGuardian。
Guardianがここで「我々の専門家パネル」と呼んでいるのは
最初の部分だけ聞いてみたところでは(イギリス英語は聞いても全然分からないので)
どうも、これまでの映像資料から音声を抜いて集めただけで、
実際にこの人たちを集めて議論させたものではないようなのですが、
最初の部分だけ聞いてみたところでは(イギリス英語は聞いても全然分からないので)
どうも、これまでの映像資料から音声を抜いて集めただけで、
実際にこの人たちを集めて議論させたものではないようなのですが、
そのポドキャストのページのサブタイトルにあげられた「専門家パネル」のテーマが、
上記の、改めて考えると実に恐ろしい問いなのです。
上記の、改めて考えると実に恐ろしい問いなのです。
「手を貸す」って……最初にDebby Purdyさんが言い始めた時は
まだしも「付き添ってDignitasへ連れて行ってくれる」ことを意味していたはずなのですが、
今では「致死量のモルヒネやヘロインで殺す」ことと、みんなガッサリと一まとめ。
まだしも「付き添ってDignitasへ連れて行ってくれる」ことを意味していたはずなのですが、
今では「致死量のモルヒネやヘロインで殺す」ことと、みんなガッサリと一まとめ。
(31日追記:実際に討論が行われていました。詳細はこちらに)
この問いに象徴される、ある重大な事実を、
今の英国で冷静に分かっている人が少なくないことを私は心から祈りたいのですが、
今の英国で冷静に分かっている人が少なくないことを私は心から祈りたいのですが、
英国で現在進行している「自殺幇助合法化」議論は
これまで、まだどこの国も合法化していない種類の「自殺幇助」です。
これまで、まだどこの国も合法化していない種類の「自殺幇助」です。
今の段階でオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、
米国のオレゴン、ワシントン、モンタナの3州で合法化されているのは
一定の要件を満たした人が所定の手続きを経た場合の、医師による自殺幇助です。
米国のオレゴン、ワシントン、モンタナの3州で合法化されているのは
一定の要件を満たした人が所定の手続きを経た場合の、医師による自殺幇助です。
ここのところの英国での、かまびすしい議論では、
医師の自殺幇助は、むしろ単なる手段の提供に過ぎず、その中心はむしろ、
この問いに象徴されているように「愛する人」つまり近親者による自殺幇助。
医師の自殺幇助は、むしろ単なる手段の提供に過ぎず、その中心はむしろ、
この問いに象徴されているように「愛する人」つまり近親者による自殺幇助。
私は去年9月のDPPのガイドライン暫定案が出た時から
その飛躍の重大性があまり言われないことがずっと気になっているのですが、
(自殺幇助の”方法”についても、たいそう無頓着なガイドラインだったし)
その飛躍の重大性があまり言われないことがずっと気になっているのですが、
(自殺幇助の”方法”についても、たいそう無頓着なガイドラインだったし)
このまま英国が、
私にはまるで集団ヒステリーとしか思えないような今の“世論”に流されて
(個人的にはGilderdale事件の陪審員はこの空気に流されたんじゃないかと……)
近親者の自殺幇助をなし崩しに事実上合法化してしまうとしたら、
私にはまるで集団ヒステリーとしか思えないような今の“世論”に流されて
(個人的にはGilderdale事件の陪審員はこの空気に流されたんじゃないかと……)
近親者の自殺幇助をなし崩しに事実上合法化してしまうとしたら、
世界で初めて、近親者による「合法的自殺幇助」へと
道が開かれることを意味するんじゃないかと思うのだけど……。
道が開かれることを意味するんじゃないかと思うのだけど……。
ちなみに、この「専門家パネル」に発言を引っ張ってこられているのは
Debby Purdy, Baroness Finlay, Evan Harris MP, Baroness Warnock の4人。
Debby Purdy, Baroness Finlay, Evan Harris MP, Baroness Warnock の4人。
Evan Harris という議員さんはFinley議員と同じく反対派らしいのですが
当ブログは把握していません。
当ブログは把握していません。
残り3人について、それぞれの関連エントリーを以下に。
Debby Purdy (夫の付き添いでDignitasに行って自殺したいMS患者)
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
法曹関係者らの自殺幇助ガイダンス批判にDebby Purdyさんが反論(2009/11/17)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
法曹関係者らの自殺幇助ガイダンス批判にDebby Purdyさんが反論(2009/11/17)
Baroness Finlay (Baroness は女性議員の称号と思われます)
(良い死に方に関する超党派の議員グループの会長)
(良い死に方に関する超党派の議員グループの会長)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正支持動議を否決(2009/7/2)
BMJの副編が「生きたい障害者が死にたい病人のジャマするな」(2009/9/6)
Campbellさん率いる障害者団体連合が自殺幇助ガイドラインを批判(2009/12/22)
BMJの副編が「生きたい障害者が死にたい病人のジャマするな」(2009/9/6)
Campbellさん率いる障害者団体連合が自殺幇助ガイドラインを批判(2009/12/22)
Baroness Warnock(議員であり、著名な哲学者でも)
2010.01.29 / Top↑
Gilderdale事件の実質無罪放免について報道が続いています。
インターネットに流れてくる情報を拾っていると、英国社会は
「美しい母の慈悲殺愛!」「自殺幇助合法化を!」という声で沸き返り、
まるで「よくぞ殺した!」とKay Gilderdaleを称賛するかのようです。
「美しい母の慈悲殺愛!」「自殺幇助合法化を!」という声で沸き返り、
まるで「よくぞ殺した!」とKay Gilderdaleを称賛するかのようです。
そんな中で、ME患者のAnn Farmerさんという方の目立たない投稿に
私は却って目を引かれました。
私は却って目を引かれました。
8年間 ME(慢性疲労症候群)を患ってきた者として、故Lynn Gilderdaleさんが自殺したいと感じていたのは分かります。あれほどの重症だったことを思えば、なおさらです。MEという病気は理解されていません。研究も患者団体が資金を出しているものしか行われていません。MEでは体力が低下し、疲労感に襲われます。それでも患者は支援を求めて闘うことを余儀なくされているのです。この国だけでも何千人もの患者がいるというのに、そんな病気があることそのものを疑う人もいます。
障害のある人を身内が殺して刑罰を受けなかったという、この事件は、我々の社会のダブル・スタンダードの、さらなる1例です。つまり、患者自身の苦痛よりも、病人のケアをしている人のほうに同情が集まる。
もしも身障のない人が死にたいと言って、身内がその人を殺したという犯罪だったとしたら、それは間違いなく殺人となったはずです。自分で身を守るすべを持たない弱者をケアしている人たちに向かって、この事件は誤ったメッセージを送ります。「介護者が助けてほしいといっても、その願いは無視されますよ、でもね、もしも、どうにもできなくなって自殺を手伝うのだったら、同情をもって迎えてあげますよ」とね。
障害のある人を身内が殺して刑罰を受けなかったという、この事件は、我々の社会のダブル・スタンダードの、さらなる1例です。つまり、患者自身の苦痛よりも、病人のケアをしている人のほうに同情が集まる。
もしも身障のない人が死にたいと言って、身内がその人を殺したという犯罪だったとしたら、それは間違いなく殺人となったはずです。自分で身を守るすべを持たない弱者をケアしている人たちに向かって、この事件は誤ったメッセージを送ります。「介護者が助けてほしいといっても、その願いは無視されますよ、でもね、もしも、どうにもできなくなって自殺を手伝うのだったら、同情をもって迎えてあげますよ」とね。
Carers for ME sufferers are ignored until a desperate act brings sympathy
The Telegraph, January 27, 2010
The Telegraph, January 27, 2010
この人が指摘しているのは、実際には3つのダブル・スタンダードだと思う。
①患者の苦しみには理解がないのに、
殺す介護者の苦しみにだけは理解を示すダブル・スタンダード。
殺す介護者の苦しみにだけは理解を示すダブル・スタンダード。
②同じように自殺希望があったとしても、
障害のない人を殺したら「許すべからざる殺人」で、
障害がある人を殺すのは「美しい愛の行為」というダブル・スタンダード。
障害のない人を殺したら「許すべからざる殺人」で、
障害がある人を殺すのは「美しい愛の行為」というダブル・スタンダード。
③介護している間の介護者の苦難には温かい手を差し伸べることをしないのに
思い余って殺してしまったとたんに温かく同情を寄せるダブル・スタンダード。
思い余って殺してしまったとたんに温かく同情を寄せるダブル・スタンダード。
私も障害児・者と介護者を巡る社会のダブル・スタンダードには
ずっと疑問を感じ続けています。
ずっと疑問を感じ続けています。
一昨年、福岡で発達障害のある子どもをお母さんが殺した事件の時に
やはり「ダブル・スタンダード」という言葉を使ってエントリーにしたことがありました。
やはり「ダブル・スタンダード」という言葉を使ってエントリーにしたことがありました。
介護を巡るダブルスタンダード・美意識(2008/10/27)
【Gilderdale事件関連エントリー】
Gilderdale事件:「慈悲殺」を「自殺幇助」希望の代理決定として正当化する論理(2008/4/18)
慢性疲労症候群の娘を看護師の母親がモルヒネで殺したGilderdale事件(2010/1/19)
Gilderdale事件から、自殺幇助議論の落とし穴について(2010/1/22)
Gilderdale事件で母親に執行猶予(2010/1/26)
Gilderdale事件:こんな「無私で献身的な」母親は訴追すべきではなかった、と判事(2010/1/26)
Gilderdale事件:「慈悲殺」を「自殺幇助」希望の代理決定として正当化する論理(2008/4/18)
慢性疲労症候群の娘を看護師の母親がモルヒネで殺したGilderdale事件(2010/1/19)
Gilderdale事件から、自殺幇助議論の落とし穴について(2010/1/22)
Gilderdale事件で母親に執行猶予(2010/1/26)
Gilderdale事件:こんな「無私で献身的な」母親は訴追すべきではなかった、と判事(2010/1/26)
―――――――
上記リンクで書いたように、
障害児・者や介護の問題を語る時に美意識を持ち込むのはやめてほしい……と
私はずううううううっと思ってきたのですが、
障害児・者や介護の問題を語る時に美意識を持ち込むのはやめてほしい……と
私はずううううううっと思ってきたのですが、
Ashley事件からこちら、英語圏の動きを追いかけていると、
「愛と献身」がやたらと大安売りされて、
「愛と献身」がやたらと大安売りされて、
ただし、今度は、
そのために、ホルモンで背を縮めたり、チップを埋め込んだり
介護される人の体を都合よく変えるのも勝手だし、
ありとあらゆるセンサーを使って、バイタルから
冷蔵庫のドアの開閉に至る行動の逐一まで、遠くにいる家族が把握するのも自由だし、
モニターを使って、離れた所でもヴァーチャルで食事を共にすることもできる。
そのために、ホルモンで背を縮めたり、チップを埋め込んだり
介護される人の体を都合よく変えるのも勝手だし、
ありとあらゆるセンサーを使って、バイタルから
冷蔵庫のドアの開閉に至る行動の逐一まで、遠くにいる家族が把握するのも自由だし、
モニターを使って、離れた所でもヴァーチャルで食事を共にすることもできる。
――そんな、“科学とテクノ”でバージョン・アップされた“家族介護”。
なんてったって家族は「愛と献身」の代名詞だし。やっぱ「家族愛」っしょ。
「愛憎」とか「近親憎悪」なんて言葉は、この際、無視しておいてね。
それが「本人の最善の利益」なんだから。
「愛憎」とか「近親憎悪」なんて言葉は、この際、無視しておいてね。
それが「本人の最善の利益」なんだから。
本当は、お金のある人しか、この“新バージョン・家族介護”には手が届かないのだけど、
それも、まぁ、あまり大きな声では言わないように。
それも、まぁ、あまり大きな声では言わないように。
あ、もちろん、「尊厳を無視した介護はイヤだ」と時代遅れなことを言われる
頑固で意固地な偏屈はいつの時代にもおられますから、そういう方は
どうぞ、勝手に、ご家族が徒手空拳でご奮闘ください。ただし、
選んだのはアンタたち家族なんだから公的支援はありませんよ。
頑固で意固地な偏屈はいつの時代にもおられますから、そういう方は
どうぞ、勝手に、ご家族が徒手空拳でご奮闘ください。ただし、
選んだのはアンタたち家族なんだから公的支援はありませんよ。
で、 “科学とテクノ”を駆使できるほどお金がなかったり、
そういうのを駆使しても家族だけでは介護できない状況だったり、
まぁ、その他もろもろの事情で「もう、イヤだ」ということなら、
そういうのを駆使しても家族だけでは介護できない状況だったり、
まぁ、その他もろもろの事情で「もう、イヤだ」ということなら、
そうね――。
ご本人様に「死の自己決定権」を行使していただくか、
ご本人様に「死の自己決定権」を行使していただくか、
もしくは、これも、あまり大きな声では言えませんが、
適当なところで殺していただけば、一応、無罪放免ということで……。
適当なところで殺していただけば、一応、無罪放免ということで……。
だって、心に「愛と献身」と「慈悲」をもってやる「美しい行為」なんですもの――。
私たちが向かっていこうとしているのは
結局は、そういう世の中なの――?
結局は、そういう世の中なの――?
2010.01.29 / Top↑
Google vs 中国のインターネット検閲問題でビル・ゲイツ氏がGoogleを批判。「その国で商売したいなら、その国の法律に従うのが筋」。ちゃんと読んでいませんが。
http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/25/bill-gates-web-censorship-china
http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/25/bill-gates-web-censorship-china
大統領補佐官のEmanuel氏が憤った際に“fucking retard ”と口走り、一昨年の映画Tropical Thunderの知的障害者差別問題からの R用語撲滅運動の先頭に立つスペシャル・オリンピックのチェアマンから「一緒に撲滅運動をやりましょう」と誘われたそうな。:この映画、レンタルショップに行くたびに迷っては、まだ手に取れない。
http://www.patriciaebauer.com/2010/01/27/shriver-to-emanuel-27340/
http://www.patriciaebauer.com/2010/01/27/shriver-to-emanuel-27340/
医師がさっさと終末期医療の話題を持ち出して患者と話し合えば、医療費はもっと削減できるのに、というLA Timesの記事。
http://www.latimes.com/features/health/la-he-closer25-2010jan25,0,5766082.story
http://www.latimes.com/features/health/la-he-closer25-2010jan25,0,5766082.story
放射線治療のリスクは過小に言われている。患者保護のために手を打つ必要がある、とNYTの社説。
http://www.nytimes.com/2010/01/27/opinion/27wed3.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/01/27/opinion/27wed3.html?th&emc=th
サプリメント文化の行き過ぎ。:私の知っている米国人は、「お昼ごはん、食べた?」と聞くと、いろんな種類のサプリがあれこれ詰め合わせてあるB5判くらいのサイズのピル・ボックスをバッグから取り出して見せる。毎日、お昼ごはんはサプリだけなんだそうな。確かに、私よりはるかにエネルギッシュでナイス・ボディだけど。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/26/AR2010012603040.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/26/AR2010012603040.html
オメガ3が心臓病防止に効果があるとなると、ありとあらゆるものに添加される。:なんで、こう何でも過剰なんだろう。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/26/AR2010012603048.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/26/AR2010012603048.html
ボツリヌス菌による緊張緩和治療が脳性まひに有効、ただし副作用リスクも、と、米国神経学会。:この治療、何年も前にやっていた医師も、同意したうえで受けていた患者も知っている。医師は自分が経過観察したい時だけやってきて様子を聞いていくけど、患者の方から痛みや不安を訴えた時にはまともに対応してくれない、結局、論文を書きたいためのモルモットに過ぎないんだ……と、その患者が言っていた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/177057.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/177057.php
英国でまったくお金を使わずに生活しているMark Boyleさんが話題になっている。下の方はビデオ。:私には英国英語はさっぱり、ちんぷんかんぷんで。
http://www.guardian.co.uk/environment/green-living-blog/2009/oct/28/live-without-money
http://www.guardian.co.uk/environment/video/2010/jan/25/mark-boyle-no-money-man
http://www.guardian.co.uk/environment/green-living-blog/2009/oct/28/live-without-money
http://www.guardian.co.uk/environment/video/2010/jan/25/mark-boyle-no-money-man
もうずいぶん前から進行中の、フランスのイスラム女性のベール論争。公共サービスを受ける際には部分的禁止の方向?
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jan/25/france-report-veil-burka-ban
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jan/25/france-report-veil-burka-ban
2010.01.28 / Top↑
タイトルは
Growth Interrupted: Nontherapeutic Growth Attenuation, Parental Medical Decision Making, and the Profoundly Developmentally Disabled Child's Right to Bodily Integrity
Growth Interrupted: Nontherapeutic Growth Attenuation, Parental Medical Decision Making, and the Profoundly Developmentally Disabled Child's Right to Bodily Integrity
(追記:Mary Koll氏は、「J.D.候補者」と書かれています。
法学の博士論文提出資格認定者のことではないか、と教えていただきました。
全体に、ちょっと論理よりも結論への気持ちが上回っているかなぁ……と感じてはいたのですが、
なるほど大学院生さんだったのですね)
法学の博士論文提出資格認定者のことではないか、と教えていただきました。
全体に、ちょっと論理よりも結論への気持ちが上回っているかなぁ……と感じてはいたのですが、
なるほど大学院生さんだったのですね)
おおむねQuellette論文と同じような論理で、
「重症障害児への非治療医療介入には裁判所の判断が必要。
裁判所も、めったなことでは認めるべきではない」と
Quellette論文よりも、厳しい結論に至っています。
「重症障害児への非治療医療介入には裁判所の判断が必要。
裁判所も、めったなことでは認めるべきではない」と
Quellette論文よりも、厳しい結論に至っています。
世界中の重症児の親の間から「うちの子にも」という声が上がっていること、
担当医らが「裁判所の介入は不要」と主張したり
対象要件を広げようとしていることなどを憂慮している点は
Quellette論文が書かれた2008年以降の事件の展開を反映していると思われます。
担当医らが「裁判所の介入は不要」と主張したり
対象要件を広げようとしていることなどを憂慮している点は
Quellette論文が書かれた2008年以降の事件の展開を反映していると思われます。
合衆国憲法修正第14条や、いくつかの判例を根拠に
身体の統合性を侵されないことは法で保障された権利であると述べ、
身体の統合性を侵されないことは法で保障された権利であると述べ、
一部哲学者からの反論はあるにせよ、
だいたいにおいて米国の法はこの権利を重症発達障害者にも認めている、と分析。
(根拠がイマイチ十分に提示されていない感じもなきにしもあらず)
だいたいにおいて米国の法はこの権利を重症発達障害者にも認めている、と分析。
(根拠がイマイチ十分に提示されていない感じもなきにしもあらず)
子どもの医療決定を巡る親の決定権について分析した後で、
その例外については以下の3点が要件になっている、とまとめます。
その例外については以下の3点が要件になっている、とまとめます。
①非治療的な医療介入である
②親と子どもとの利益の衝突がありうる
③子どもの基本的人権を大きく侵害する恐れがある
②親と子どもとの利益の衝突がありうる
③子どもの基本的人権を大きく侵害する恐れがある
成長抑制療法はこれらのすべてを満たすので、
裁判所が介入し「最善の利益」原則で検討するべきである、と主張。
裁判所が介入し「最善の利益」原則で検討するべきである、と主張。
著者がここで「最善の利益」原則を支持する理由は
①親の決定権が「親は子どもの最善の利益によって行動する」という前提によるもので、
その決定権に代わって裁判所が介入するなら、同じ原則で。
その決定権に代わって裁判所が介入するなら、同じ原則で。
②子どもの臓器提供と不妊手術での判断で「最善の利益」が通常用いられている。
Quellette論文とKollノートに共通の事実誤認として、
シアトルこども病院がWPASと合意した内容を守っていると思い込んでいる点が挙げられます。
シアトルこども病院がWPASと合意した内容を守っていると思い込んでいる点が挙げられます。
子宮摘出のセーフガードはできていますが、
成長抑制のセーフガードは病院幹部が起草したものの、最終的にサインされないままになっています。
成長抑制のセーフガードは病院幹部が起草したものの、最終的にサインされないままになっています。
(昨日、この記事を書くために上記リンクを読み返して気づいたのですが
病院幹部がセーフガード案を起草したのは08年4月。
病院幹部がセーフガード案を起草したのは08年4月。
一方、例の成長抑制WGが第一回の会合を持ったとされるのも08年4月です。
ハワイの小児科学会でDiekema、Fost両医師がパネルを行ったのは08年5月。
学会パネルは、かなり前に申し込まれていたもののはず。
ハワイの小児科学会でDiekema、Fost両医師がパネルを行ったのは08年5月。
学会パネルは、かなり前に申し込まれていたもののはず。
ほぉ……なんとも興味深い話です……)
イリノイ州と言えば、08年に K.E.J.ケースがありました。
イリノイの上訴裁判所 知的障害助成の不妊術認めず(2008/4/19)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
ILの裁判からAshley事件を振り返る(2008/5/1)
ILの裁判から後見制度とお金の素朴な疑問(2008/5/1)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
ILの裁判からAshley事件を振り返る(2008/5/1)
ILの裁判から後見制度とお金の素朴な疑問(2008/5/1)
【その他、障害者の医療における代理決定原則に関するエントリー】
知的障害者不妊手術に関するD医師の公式見解
女性の不妊手術に関する意見書(米国産婦人科学会)
不妊手術に関する小児科学会指針
末期でも植物状態でもない知的障害者の医療拒否、後見人に「並々ならぬ証明責任」
Syracuse大学から「障害のある人の延命ケアと治療に関する一般原則声明
女性の不妊手術に関する意見書(米国産婦人科学会)
不妊手術に関する小児科学会指針
末期でも植物状態でもない知的障害者の医療拒否、後見人に「並々ならぬ証明責任」
Syracuse大学から「障害のある人の延命ケアと治療に関する一般原則声明
2010.01.28 / Top↑