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ワシントンDCのホームレス・シェルターがあまりに酷い住環境になっているうえに妊婦や子ども連れの家族まで追い出している実態が支援団体から報告されたことについての、なにやら過激な書き方の記事。エントリーにしたくて2日ほど悩みながら3,4回読みなおしてはみたのだけれど、文章の意図をきちんと汲みとれる自信がないので諦めて、補遺に。痛烈な皮肉なのだろうと思うけど、しかし、あまりにショッキングな書き方――。冒頭「貧乏人てなヤなヤツらだ。このご時世にDCが世界的繁栄に湧こうとしている時に、いきなり600人の子どもを含むホームレスが豚みたいにスポットライトにがっついて、お祝いムードをぶち壊す」「虫に食われるのが嫌なら金持ちになれよ。500万ドルのペントハウスが売りに出てるぜ」。一方、その地域では年収が19万ドル以上の人は7人に1人しかいない、とも。市政が4億ドルの黒字を出しておいて、1億ドルしか「手に入れられる価格の住宅」政策に回さないなら、ホームレスのヤツらは黙っちゃいないさ、とも。文末「シェルターの両隣を見てみな。片方に刑務所、反対側は死体置き場だ。ベッドのダニがどーのこーのブー垂れてるけどよ、アンタらはそこから先には行く所なんかねぇんだよ。そのどっちか以外にはな」
http://www.washingtonpost.com/local/wheres-the-outrage-over-600-homeless-children/2013/02/12/7dcc3e00-7555-11e2-95e4-6148e45d7adb_story.html

上のニュースでも、もっと安い住居がある地域に市当局としては移したいが、どこの地域からも「ウチには来ないで」と拒否される、という話があるけど、英国でもロンドンのCamden地区から200マイル離れた家賃が安い町に、貧困層の761世帯、2816を移す計画があるんだとか。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/feb/13/london-council-relocation-benefits-cap

日本。8月から「特別控除」廃止=生活保護改革、就労後押し―厚労省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130214-00000013-jij-pol

「闇の北九州方式」の末吉元北九州市市長「財務省参与」に! 「精神障害者の解放をめざして」ブログ。
http://blogs.yahoo.co.jp/taronanase/61771404.html?vitality

英国NHSの財務責任者の3分の1が、医療の質が低下している、と。:世界中のどの国でも国家レベルで貧困が加速している感じがする。それは、やっぱり1%に富が集まっていくばかりだから?
http://www.guardian.co.uk/society/2013/feb/14/nhs-finance-directors-care

そんな世の中でも、グローバル・ヘルスへの資金提供はさほどに減っていないんだそうな。グローバル・ヘルスとくればやっぱりここ、ゲイツ財団の私設WHOと言われるワシントン大学のIHMEからの報告。Lancetに。:だって、それは慈善資本主義だから。慈善じゃなくて。IHMEについては、こちらのエントリーと末尾のリンクを。⇒Lancet誌に新プロジェクト IHMEとのコラボで(2008/7/1)
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2813%2960262-7/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=E24A35F

Forbesには、ビル・ゲイツの株の売買情報。買い増しされたのはコカコーラ、プロクター&ギャンブル、ウォールマート。保有株のトップ5は、バークシャー・ハサウェイ(バフェットさんとは慈善資本主義の相棒だし)、コーク関連2種、キャタピラー、それからマック。なんでビル・ゲイツがコークとマックに? と思う方は、もしかしたらこちらが参考になるかも。⇒ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)
http://www.forbes.com/sites/gurufocus/2013/02/14/latest-picks-from-bill-gates-foundation-buys-ko-pg-wmt-sells-costco-csx/

メルク社がコレステロール薬Vytorinの治験での不都合なデータの報告が遅れた件で、6億8800万ドルで和解。
http://www.nytimes.com/2013/02/15/business/merck-settles-investor-suits-over-cholesterol-drug.html?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20130215

(朝鮮日報日本語版)芸能界プロポフォール疑惑:「依存タレントは数十人」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130214-00000620-chosun-kr

日本語<卵子老化>米の医科大、メカニズム特定 4遺伝子機能低下
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130214-00000012-mai-sctch

FDAが人工網膜による治療を認可。障害によっては部分的に視覚を回復可能。
http://www.nytimes.com/2013/02/15/health/fda-approves-technology-to-give-limited-vision-to-blind-people.html?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20130215&_r=0

日本。『保健体育』NO. 20 特集「臓器移植を学び、いのちについて考える保健の授業」
http://www.daiichi-g.co.jp/hotai/info/educare/pdf/hotai_20.pdf

日本語。馬肉混入問題でEUが緊急会議、域内各国にDNA検査を呼びかけ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130214-00000008-jij_afp-bus_all
2013.02.15 / Top↑
モンタナ州上院議会に提出されていたPAS合法化法案SB220は
上院の法務委員会の投票で、反対7対賛成5で否決。

さらに委員会は
2015年まで法案が再び審議されることも拒否。

法案は合法化ロビーにより、
09年のBaxter訴訟の判決によりMT州では既にPASは合法化されているとの前提で
PASの規制を目的に提出されたもの。

地元紙The Montanansが
合法化は高齢者虐待につながるとして反対運動を引っ張ってきた。

同紙は
09年の最高裁判決は、医師への免責を認めたに過ぎない、と解説。

Montana Committee Defeats Bill to Legalize Assisted Suicide
LifeNews.com, February 14, 2013


09年の最高裁の判決は、ただ医師の免責を認めただけ、とは
私には思えなかったけどなぁ……。

その判決について
「介護保険情報」2010年2月号に書いた記事はこちら ↓

「医師による自殺幇助に合法判決――モンタナ州」(arsviサイト)



【モンタナ州自殺幇助議論関連エントリー】
裁判所が自殺幇助認めたものの、やってくれる医師がいない?(MT州)(2009/4/6)
合法とされたMT州で自殺幇助受けられず子宮がん患者が死亡(2009/6/18)
自殺幇助を州憲法で認められたプライバシー権とするか、2日からモンタナ最高裁(2009/9/1)
モンタナの裁判で「どうせ死ぬんだから殺すことにはならない」(2009/9/3)
モンタナ州最高裁、医師による自殺幇助は合法と判断(2010/1/2)
MT州最高裁の判決文をちょっとだけ読んでみた(2010/1/5)
合法化判決出ても医師ら自殺ほう助の手続きに慎重(2010/1/11)
モンタナの自殺幇助合法化 続報(2010/1/1)
Montanaで最高裁判決後、少なくとも1人にPAS(2010/4/10)
脳性まひをターミナル扱いするモンタナ州の“慈悲殺”報道(2010/9/6)
2013.02.15 / Top↑
Dominic・Wilkinsonって、Savulescuと一緒に何度も取り上げてきたので、
つい 「Savulescuの相方」として生命倫理学者なんだとばかり思っていて、

この人が小児科医でもあるのだということに
恥ずかしながら、今まで気づいていませんでした。

なんか、ひぇぇぇ……です。

が、それはともかく、そのウィルキンソン医師が、
「死か障害か? ”カルメンティス・マシーン”と危篤状態の子どもをめぐる意思決定」という
タイトルの本を出したとか。

カルメンティスとは古代ローマの女神の一人。
カルメンティス・マシーンとは、脳スキャンのこと。

脳の画像を、水晶玉に見立てて占い師の手に乗せた、
悪趣味なカバー写真が、ハンパなく怖いです……。


Death or Disability?: The 'carmentis Machine' and Decision-making for Critically Ill Children
Oxford University Press


これまでのウィスキンソンの発言から、
だいたい想像はつきますが、

アマゾンの当該サイトから内容紹介を以下に。

In ancient Rome parents would consult the priestess Carmentis shortly after birth to obtain prophecies of the future of their newborn infant. Today, parents and doctors of critically ill children consult a different oracle. Neuroimaging provides a vision of the child's future, particularly of the nature and severity of any disability. Based on the results of brain scans and other tests doctors and parents face heart-breaking decisions about whether or not to continue intensive treatment or to allow the child to die.
Paediatrician and ethicist Dominic Wilkinson looks at the profound and contentious ethical issues facing those who work in intensive care caring for critically ill children and infants. When should infants or children be allowed to die? How accurate are predictions of future quality of life? How much say should parents have in these decisions? How should they deal with uncertainty about the future? He combines philosophy, medicine and science to shed light on current and future dilemmas.

古代ローマでは、子どもが生まれると親は女性祈祷師、カルメンティスのところへ赴き、子供の将来についてのご宣託をいただいたものだった。現在の親と医師は、重病の子どもについて別のご宣託をいただく。子供の将来が見える、とりわけ、どのような障害がどれくらい重症になるか、という像が見える、脳神経画像という宣託だ。脳スキャンなどの検査によって、医師と親は、その子どもに集中治療を続けるか、それとも死なせるかという苦しい意思決定を迫られる。

小児科医で倫理学者のドミニク・ウィルキンソンが、危篤状態の乳児・子どもの集中治療に携わる人々が直面している、重大で意見が割れる倫理問題を考察する。子どもたちが死ぬに任されてよいのはどういう場合か? 将来のQOLはどのくらい正確に予測できるものか? こうした意思決定に親はどの程度の発言権をもつべきか? 将来に関する不透明性を親はどのようにとらえるべきか? ウィルキンソンが哲学、医学、科学を統合して、現在と将来のジレンマを考える。



【Wilkinson関連エントリー】

「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
臓器提供は安楽死の次には”無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
「腎臓ペア交換」と「臓器提供安楽死」について書きました(2010/10/19)

Savulescuらが、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止の正当化(2011/2/9)
「“生きるに値する命”でも“与えるに値する命”なら死なせてもOK」とSavulescuの相方が(2011/3/2)

脳死者減少が必至なら倫理の線引き変更も必至?「人為的脳死後臓器提供安楽死」も?(2012/2/14)
「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilskinson 1(2012/2/22)
「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilskinson 2(2012/2/22)

「最小意識状態は植物状態よりもマシか? 否。カネかかるだけ」とSavulescuとWilkinson(2012/9/8
2013.02.15 / Top↑
日本。重症障害児 89%が在宅 福岡県 実態調査 親たちの負担軽減が急務 「県内では重症心身障害児・者の約64%が在宅で暮らしており、18歳未満に限ると在宅の割合は約89%に達した。介護に当たる親たちの負担軽減(レスパイトケア)が急務となっている実態があらためて裏付けられた格好だ。福祉施設やグループホームなどの入所者は全体で1081人。ただ、18歳未満は95人しかいない。 在宅者が利用する福祉サービス(複数回答)は、短期入所が775人(40・0%)で最多。次いで日中一時支援事業が706人(36・4%)。いずれも親など介護する側が休息を得るため、障害のある人たちを一時的に預かってもらうケースが多いとみられる」
http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_991.shtml

日本。老老介護疲れか 妻殺害疑い96歳夫逮捕
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130209/k10015417761000.html

安楽死や自殺幇助は道徳的な不正である、との批判に対して「愚行権」でもって反論するフィンランドの学者の論文。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23338120/

英国で4月からの制度改革で個人自立ペイメントが障害手当に変わることに伴って、5000人の介護者が介護者手当を受けられなくなる。
http://www.bbc.co.uk/news/health-21432659

Dilnot報告の提言を受け、介護に費やす個人の費用の上限を75000ポンドとすべく、相続税を凍結。英国。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/feb/10/inheritance-tax-freeze-social-care

【関連エントリー】
英国「介護と支援財政員会」提言(2011/7/5)
介護費用負担総額に上限設定へ(英)(2012/8/18)


NHS病院のケアの劣悪がスキャンダルとなっている英国で、史上最大規模の看護に関する調査が始まる。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256197.php

なにしろ、職員が73歳の患者の襟首を捕まえて引きずっていく英国の病院。
http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/stafford-hospital-carer-accused-of-dragging-73yearold-by-collar-8486076.html

カナダ、ケベック州でPAS合法化に向けた訴訟を起こしていたRene Duvalさん、自然な原因で死去。
http://www.lifesitenews.com/news/case-closed-quebec-woman-suing-for-right-to-assisted-suicide-dies-of-natura/

終末期の患者にはもっと情緒面でのサポートが必要、との調査結果。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256196.php

米国のアルツハイマー病患者、50年には現在の3倍に。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/255996.php

田中康夫氏が自身のブログでモンサントのあくどいショーバイについて警告している。「2012年にアメリカで成立した「食品安全近代化法=Food Safety Modernization Act」の問題点は、農家が在来種の種子を採集し、保存し、蒔種してはいけないという条項の存在です。即ち、遺伝子組換えのF1種の種子を毎年、種苗業者から購入せねばならず、早い話が麻薬中毒の悪循環に近い状態。もっと言えば、吉原の廓(くるわ)の中に入れられたら最後、抜け出せないのが、モンサント商法とも呼ぶべき遺伝子組換え種子」「そのモンサント社と長期協力関係を、日本経済団体連合会の米倉弘昌氏が会長を務める住友化学が締結している事実は丁度1年前の2012年1月27日の衆議院本会議の代表質問で、僕が明らかにしています」「この現実から導き出されるべき認識は、実はTPPに反対しているJAに象徴される団体が、他方で世界最大の農薬頒布組織だという笑えない矛盾です」
http://ch.nicovideo.jp/yassy/blomaga/ar108115

【関連】
2012年10月23日の補遺
映画「モンサントの不自然な食べ物」予告編。YouTube. :モンサントについても関連エントリーはあれこれあるけど、とりあえずこれ ⇒“大型ハイテクGM強欲ひとでなし農業”を巡る、ゲイツ財団、モンサント、米国政府、AGRAの繋がり(2011/10/27)
http://www.youtube.com/watch?v=PO7RmRVZs6A

経団連の米倉会長とモンサントの繋がりについても、11年段階で指摘している ↓
TPP勧める経済界のトップ、やっぱりぐるっと廻って“ゲイツつながり”(2011/10/27)


日本語。避妊手術した女性を次々野外に放置 インドの病院
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2926584/10242665

【関連エントリー】
インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」(2012/6/12)
「Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、その被害者の中には妊婦も含まれていた、という」


日本語。口内炎の薬に痩身効果? ネズミで確認、年内に治験へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130211-35028071-cnn-int

【関連エントリー】
EUがヤセ薬を解禁、「誰の最善の利益?」(2009/1/31)
NHS新たにヤセ薬を解禁(2008/7/9)
6月解禁のヤセ薬、精神障害起こすと早くも販売中止(英)(2008/10/25)


日本語。薬も男女別でなくてはならない 「現在、新薬の開発において、女性に対しては十分な臨床試験が行われていない。しかし、男性には効果があっても、女性には副作用(致命的なものも)をもたらす可能性がある薬もある」:ERで受け付けから受診までの時間にも男女で差がある、という調査結果を見たこともある。
http://wired.jp/2013/02/09/drug-dose-gender-gap/

オーストラリアのスポーツ、ドーピングがばんばん広がっている。
http://www.guardian.co.uk/sport/2013/feb/07/australian-doping-sport-drugs

遺伝子研究での被験者の個人情報保護のため、新たな方針が必要。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256090.php

試験管ベビーの本当の倫理問題は、インフォームドコンセントの欠落、とPeter Ubel。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10384#comments

バイオニック人間の作り方。映像はこちら ⇒http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2925858/10225573
http://www.guardian.co.uk/science/blog/2013/jan/30/build-bionic-man

英国で牛肉と称して馬肉が売られていたスキャンダルがどんどん大きくなっていく。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/feb/12/horsemeat-scandal-police-fsa-raid

最近あちこちで権威ある人たちによる、本来なら守るべき立場に当たる人たちへの虐待のニュースが多いと思っていたら、今度は米国の禅宗の指導者として名高い佐々木承周師に弟子への性的虐待の疑惑が持ち上がっている。
http://www.nytimes.com/2013/02/12/world/asia/zen-buddhists-roiled-by-accusations-against-teacher.html?pagewanted=all&_r=0

日本語。聖職者による性的虐待被害者の団体、ローマ法王の退位を歓迎
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130212-00000005-jij_afp-int

英国の権威ある音楽学校の教師に、10人の女性から性的虐待の告発。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/feb/10/pupils-accuse-third-teacher-abuse-school

メキシコで9歳の女の子が出産。
http://www.usatoday.com/story/news/world/2013/02/06/mexico-9-year-old-girl-gives-birth/1897407/

日本。<奈良市環境部>出退勤に静脈認証を導入へ 反発の声も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130207-00000113-mai-soci

日本。手足を切るような“大リストラ”が始まる 城繁幸氏と考える「日本に依存しないキャリア」(上):ブローバル・エリートがいかに自分たちのことしか考えていないか、ショッキングなほどよく分かる。
http://toyokeizai.net/articles/-/12745?page=6

レオナルド・ダ・ヴィンチのノートを英国の博物館がネットで公開。ノートそのものが美術作品。
http://www.guardian.co.uk/artanddesign/jonathanjonesblog/2013/feb/12/leona
2013.02.15 / Top↑
(前のエントリーの続きです)


また長尾氏は、
「高齢で植物状態になってまで、なぜそれが必要なのか」(p. 167)とも書いているけれど、

この表現には、私は強烈な違和感がある。

ここで「高齢で植物状態になってまで」と表現されているのは
「高齢になってから、交通事故などの脳損傷から植物状態になった患者さん」ではない。

交通事故での脳損傷などによる意識喪失は、
いわば「脳不全症」の「症状」として起こっていることであり、
老衰の末期の意識喪失とは、まるで別物でありながら、

そこを敢えて混同することによって、
「植物状態」と診断された人を含め、まだ回復の可能性のある脳不全症の患者さんたちが
臓器目的で治療を中止されていくことへの懸念を、こちらのエントリーで紹介しているけれど ↓

脳損傷の昏睡は終末期の意識喪失とは別:臓器提供の勧誘は自制を(2012/7/20)


上記のように繰り返されている長尾氏の、
科学的厳密さを欠いた「植物状態」という言葉による形容も、これと同じく、
別のものを混同することによってダブル・スタンダードを同時に適用する、
あるいはスタンダードをなし崩し的に動かしていくマジックとして機能している。

「植物状態ともいえる様相」「植物状態に近い」表現のマジックによって
「不治かつ末期」というスタンダードが「植物状態と混同してもよい状態」へと
いつのまにかシフトしている。

そして、そのマジックの種は、以下の表現で、語るに落ちてしまう。

「私としては、意識がしっかりあり、人間の尊厳が保たれている人には、
胃ろうを造ってもっと生きてほしいのです」(p.146)

「もはや意思表示もできない状態ですが、胃ろう栄養で生きている」(p. 155)

「意識がしっかりあ」っても「意思表示」が「できない」ことは十分にあるし、
それらが誤って植物状態と診断されている可能性もたびたび指摘されているけれど、

「延命処置によって生きる」ことが肯定されるかどうかの長尾氏のスタンダードとは
とっくに「不治かつ末期」ではなく、意識の有無であり、意思表示の可否にある。

そして、このスタンダードは、あとがきで紹介される、
昨年の「死の権利・世界連合総会」での松尾幸朗氏の発表のエピソードによって
なおも拡大する。

 松尾さんの奥さんは不運な交通事故に遭われ、全身まひとなってしまいました。もはや言葉も発せられなくなった奥さんが、献身的に介護を続ける夫に瞼を使って伝えた言葉は、「ころしてください」。このご夫婦の暮らしの中に、尊厳死、老々介護、医療制度など、今、日本が抱えている生死の問題がすべて凝縮されているように感じます。
(p. 216)


瞼を使ってコミュニケーションが図れるのだから、
この女性はもちろん植物状態ではないし、「意識がしっかりある」。
これまでに書かれてきた「いわゆる植物状態ともいえる様相」などでもない。

それでも、このエピソードが書かれている肯定的なトーンからすれば、
ここにきて長尾氏のスタンダードは、もはや意識の有無とも意思表示の可否とも無関係な
重症の身体障害にまで広げられている。

また、212ページでは
25年間ずっと寝たきりだった息子を見送った人の言葉が紹介され
「「平穏死」という言葉は、高齢者だけのものではないのです」と書いている。

一方、慢性腎不全の90歳の患者さんが
「こんなことで無駄な医療費を使うのは若い人に申し訳ない。
老兵、静かに去るのみだな」(p. 72)と人工透析を拒否する決断を肯定的に描き、
日本尊厳死協会のリヴィング・ウィルへと話を接続していく。

ここでは
「不治かつ末期」でも
「意識」の有無でも「意思表示」の可否でもなく「重症身体障害」でもなく
年齢だけがスタンダードにされてしまっている。

 胃ろう問題は、「尊厳ある生」という観点からはもちろん、「医療経済」の観点からも論じられる時期に来ているのではないでしょうか。
(p. 164)


「尊厳ある生」と「医療経済」という2つの観点から考えるなら、

「不治かつ末期」では全然なく、意識があって意思表示ができても、重症身体障害があれば、
あるいは「不治かつ末期」では全然なく、意識があって意思表示ができても、高齢であれば、
「延命措置」を拒んで死ぬことが肯定されるものらしい。

そういう場合は、それは「延命措置」ですらないと著者自身が定義していたはずなのに――。

「不治かつ末期」は、いつのまに、一体どこへ――?


        ―――――

ちなみに、

167ページの「高齢で植物状態になってまで」という表現の個所で
もう一つ気になることがあるので、ついでに指摘しておくと、

長尾医師がこれまで人口栄養を中止した老衰ないし認知症終末期の患者さんは
これまで10名以上いるという。

そのうち、中止から1か月以内に亡くなった人が3名で
「残りは予想に反して食べられるようになりいったんは元気になられました」とあるので、
7人以上が、胃ろうを外してみたら口から食べられるようになった、ということになる。

それなのに著者は、この10人以上の患者さんについて
「高齢で植物状態になってまで」と家族が人口栄養の中止を依頼してきたのだ、と書く。

胃ろうを外したら口から食べられるようになりいったんは元気になった人のことを
「植物状態」という言葉を用いて形容することにためらいのない医師は、

「国際的に見て、日本の終末期医療は、世界から3周半遅れです」(p. 161)とも書き、
スイスのディグニタスを視察したことにも触れている。

誰であれ、本人が死にたいと望めばかまわない、と自殺幇助を行ってきた、
(さらに自殺者の遺骨を湖に投棄するほど生命の尊厳への意識が既に低下した)ディグニタスを、
「それなりのしっかりした考えを持った人」が運営する「看取りの家」として
肯定的に紹介した岩尾総一郎氏は日本尊厳死協会の理事長。

長尾氏は、その副理事長――。

日本よりも3周半先を行く、世界の終末期医療で実際に何が起こっているか、
昨年スイスの「死の権利・世界連合総会」でC&CやFENと語らってこられた
日本尊厳死協会の理事さんたちが、ご存じないとも思えないのだけれど。

そして、
「不治かつ末期」の議論だったはずのものが
巧妙な言葉の操作と何もかもズグズグの議論によってに
いつのまにか「どうせ治らないなら」へ、さらに「治っても重症障害になるなら」へと
対象者が拡大されていくスタンダードの変質・変容ぶりは、

「3周半先」の世界の安楽死・自殺幇助議論とも、
そればかりか「無益な治療」議論とも、
まるっきり、そっくりなのだけれど。
2013.02.15 / Top↑
『「平穏死」10の条件 胃ろう、抗がん剤、延命治療いつやめますか?』から。

「平穏死」という言葉を使う時、私は老衰や認知症の終末期、あるいは末期がんや臓器不全症による旅立ちをイメージします。「自然死」は文字通り、自然な経過の先にある死でしょうか。一方で「尊厳死」という言葉は、交通事故などで意識が戻らなくなった昏睡状態(遷延性意識障害といいます)における延命中止も含む、もう少し広いイメージで使われます。その根底には、人間としての「尊厳」を保ちながら死を迎えたいという願いが込められています。微妙にニュアンスが違いますし、言葉の問題なので、人によって少しずつ捉え方が異なることもありますが、平穏死、自然死、尊厳死は、ほぼ同義語と考えていただいていいかと思います。
一方、「安楽死」は、不治かつ末期の患者さんの希望で「人為的に死期を早める処置」です。ですから尊厳死と安楽死は、全く別物です。
 不治かつ末期状態に陥り、食べられなくなっても人工的な栄養補給をせずに、自然な死を迎えるのが、平穏死、自然死、尊厳死。患者さんに「苦しい、早く死なせてほしい」と頼まれ、呼吸を止める注射をするのが安楽死。……
(p. 30, 31)


この後、長尾氏は、
そこのところを区別できないまま「尊厳死」に反対している人がいる、と批判するのだけれど、

引用前段の「遷延性意識障害」の患者さんは
後段で定義されている「尊厳死」の「不治かつ末期状態」には当たらないのだから、

この個所を読んだだけでも
きちんと区別がついていないのは長尾氏の方では……? 

前段には
「意識が戻らなくなった状態」には「人間としての『尊厳』は保」てない
という暗黙の「価値判断」が、「願い」という言葉によってさりげなく肯定され、
忍び込まされて、「不治かつ末期」という定義の逸脱がわかりにくくされているけれど、

この問題は、ずっと
日本尊厳死協会の「尊厳死」の定義について指摘されてきたもの。
2008年段階でも同年「現代思想」2月号で小松美彦氏が明確に指摘している。


一方、長尾氏自身、昨年
いつが「終末期」かは分からないと明言してもいる。

この本でも、臓器不全症について以下のように書いている。

……臓器不全症は、適切な医療を施せば、寿命の延長がかなり期待できます。うまく治療すれば「最長不倒記録」も狙える一方で、どこで終末期の線引きをするかが非常に難しい病態ともいえます。現実には「不治かつ末期」との判定が難しい場合が多い。
(p. 45)

また、
神経難病の場合の胃ろうや人工呼吸器については

……全身状態が良好なら病気の終末期ではありませんから、延命治療という呼び名も本来は適当ではないと思います。……
(p. 53)

わずか2ページ後にも、
神経難病患者や頚椎損傷の患者さんにとっての人工呼吸について
全く同じ表現が繰り返されている。

さらに、p. 144 でも、胃ろうそのものの是非が問題ではないと主張しつつ
全く同じことが強調されている。

「全身状態が良好なら終末期ではない」と
たいして厚くもない本の中で、著者は3度も繰り返し、まさに口を酸っぱくして強調しているのだ。

そういう長尾氏の「延命治療」の定義とは、

 延命治療とは、不治かつ末期となった患者さんに対して行う医療処置です。
(p. 49)

したがって、長尾氏の定義によれば、
不治かつ末期でない患者さんに行う経管栄養や人工呼吸は「延命治療」ではない。

それなのに、
脳不全症の患者であり、全身状態が良好であるなら終末期ではない
遷延性意識障害の患者を「尊厳死」の対象とすることが
「尊厳を保ちながら死を迎えたい」という「願い」として
ごく当たり前のように許容されてしまうのは、

実はそこに「不治かつ末期」以外の
もう一つ別のスタンダードが隠されたまま、
「不治かつ末期」と同時に適用されているからでは――?

この「もう一つのスタンダード」は実は
この本のあちこちに、さりげなく姿を現してもいる。

例えば、

救急搬送から胃ろう造設、老人病院へ移った患者さんについて
「お見舞いに行くと、もはや植物状態ともいえる様相でした」(p. 23)

著者がこうした「ハッピーな胃ろう」に対して「アンハッピーな胃ろう」と呼ぶのは
「いわゆる植物状態での胃ろう」(p. 154)

「認知症末期で自己決定ができない、いわゆる植物状態に近い患者さん」(p. 166)

「もはや植物状態ともいえる様相」??????
「いわゆる植物状態に近い」????

つまり、この本の中では、
「植物状態」ではない様相のことが
このように「植物状態と混同してもよい」状態であるかのように
著者により繰り返し、言いなされ、形容されているのである。

まるで「高齢である」とか「認知症である」とか「自己決定できない」ことが
科学的な厳密さなしに云々しても許されるアリバイであるかのように――。

(次のエントリーに続きます)
2013.02.15 / Top↑