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以下のように
患者にも家族にも知らせない一方的なDNR(蘇生無用)指定が問題になっている英国で、

“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
ケアホーム入所者に無断でDNR指定、NHSトラストが家族に謝罪(英)(2012/5/8)


12時間ぶっ通しの勤務で疲れ果てた小児科研修医が
別の子どもと勘違いして肺炎のダウン症の男児(6歳)の蘇生を中止させ、
男児が死亡する事件が起きている。

男児はJack Adcockくん。ダウン症候群だった。

肺炎から呼吸困難、高熱を起こし、
2011年2月18日にLeicester Royal Infirmaryに入院。
症状が悪化し、同日の午後7時45分に心停止を起こした。

付き添っていた母親が助けを呼び、
医師らが駆けつけて蘇生に取り掛かったところ、
Bawa-Garba医師が止めた。

Bawa-Garba医師(36)は1年1カ月の産休明けで、
産休の間に「ショック状態の管理と治療のスキルが鈍った」といい、
ジャックがショック状態にあることに気づかず、また
血液検査の異常値にも気付かなかった、と言っている。

さらに12時間ぶっ通しの勤務で疲れていたのだ、とも。

他の医師が「どうしてジャックがDNRなんだ?」と問うて初めて
Bawa-Garba医師は自分の間違いに気付き、ジャックのもとに戻って
その後1時間近く、蘇生に努めるチームととともに働いたという。
しかしジャックの蘇生はかなわなかった。

検死官の調査で蘇生を止める前にジャックの顔を見たのかと問われ
「部屋にはたくさん人がいたから、顔を見たかどうか思い出せない。

でも、私にとって大事だったのは、
蘇生しないことになっている子どもは蘇生しないことだった」。

Down’s syndrome boy, 6, died when doctor exhausted by 12 hour shift mistook him for child who had ‘do not resuscitate’ order
Daily Mail, July 24, 2013


記事を読む限り、この研修医、
罪悪感を引き受けることができずに
いろいろ言い訳するタイプの人のようだけれど、

蘇生しなければならない子どもを蘇生することよりも、
蘇生しないことになっている子どもは蘇生しないことの方が
私にとっては大事だった……ということが
言い訳しているうちに語るに落ちてしまった、ということなんでしょうか。

研修医に「どうせダウン症の子どもだから蘇生は無用」という
意識があったから起こった事件……なんでは?


英国では去年も以下のような事件があった ↓
「ダウン症だから」と本人にも家族に無断でDNR指定(英)(2012/9/13)


今回の報道を受け、
無益な治療ブログのPopeが
POLSTに患者の顔写真を添付せよ、と提言している。

http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/07/match-right-patient-to-dnr-order.html

でも、この事件、
本当にそういう問題なのかなぁ??


POLSTについては、こちら ↓
医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLST(2012/11/26)
一方的な「無益な治療」拒否のアリバイ化するPOLST(2013/6/16)
2013.07.28 / Top↑
中国でのオペレーションにおいて
仲介者と旅行会社を通じて医師らに現金と性的賄賂を贈り違法行為を行ったとして
グラクソ幹部4人が逮捕された、以下の事件について

医師や官僚への贈賄でグラクソ幹部から逮捕者(中国)(2013/7/12)

英国本社のCEO、Andrew Witty氏が24日に
記者会見を予定していることを受け、

Guardianが、同氏が答えるべき8つの疑問を掲載。

① グラクソの社員は実際には何をしたのか?

② グラクソ・チャイナ社の幹部はいつから不正行為を行っていたのか?

③ グラクソの贈賄金額は? それにより患者への薬の価格は上がったのか?

中国当局は収賄額を3200万ポンド、
薬の消費者価格を30%上げた、としている。

④ グラクソがこれらの容疑を知ったのはいつか? Wittyはなぜこれまで対処しなかったのか?

15日の幹部4人の逮捕は
グラクソが4カ月に及ぶ調査の結果、中国オペレーションに不正はないと
発表したわずか1週間後のことだった。

グラクソの中国オペレーションには以前から不正の疑惑が取りざたされており、
同社は去年、ルール違反で中国の社員56人を解雇した。(世界的には312人)

NYTの報道では、
2011年11月に中国の研究開発施設に重大な問題があると
グラクソは警告を受けており、その中には、
既に人での臨床実験が行われている段階で
その薬のマウスでの実験結果を報告していなかった事実も。

⑤ この不正への関与は「フード・チェーン」のどこまで遡るのか?

⑥ Wittyはグラクソの中国オペレーションをどうやって浄化するつもりか?

⑦ グラクソは重大不正局にどういう情報を明かしたのか?

⑧ Wittyは株主に対して、他の国々のスタッフは医師に賄賂を贈っていないと確約できるのか?

グラクソは去年、
米国での不正スキャンダルでの和解金として政府に30億ドルを支払い、

和解後に、Wittyは全社的な立て直しを行い、
2度と同様のスキャンダルを繰り返さないと誓っている。


GSK’s China crisis: questions that need answers
The Guardian, July 24, 2013


ちなみに、メルク社は
リューマチの治療薬の心臓病リスクを隠ぺいしたスキャンダルで株主から訴えられて、
今年2月に6億8800万ドルで和解している ↓

Vytorinスキャンダルで損害被ったと株主に訴えられたメルク、6億8800万ドルで和解(2013/2/17)


最後の疑問の「株主に対して」の個所には
こういう含みがあるのだろうと思いますが、

グラクソといえば、日本でも
導入から定期接種化へのプロセスが驚くほどの超高速で進んだかと思うや、
副作用が大問題となっているHPVワクチン、サーバリックスの販売元。

CEOが「確約」すべき責任がある相手は、
まずは株主じゃないだろう、と思うんですけど、
そこのところ、ガーディアンの記者も「染まって」ない?


去年のグラクソの30億ドルの和解金支払いについては ↓

ビッグ・ファーマのビッグな罰金(2012/7/4)


和解金の対象となったスキャンダルの詳細は ↓

抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)
2013.07.28 / Top↑
ゲイツ財団の教育改革への資金投入とそれに伴う影響力行使は公教育にとどまらず、大学改革にも。The Chronicle of Higher Educationが"the Gates Effect"と題する長大な調査報告を取りまとめている。
http://www.universityworldnews.com/article.php?story=20130719161311291
http://philanthropy.com/blogs/philanthropytoday/measuring-the-gates-effect-on-u-s-higher-education/71651

上の動きを受けて、「なぜ大学はビル・ゲイツを嫌うのか」という記事。
http://www.smartcompany.com.au/information-technology/056558-best-of-the-web-why-universities-hate-bill-gates.html

こういう話題となると、最近堂々たるゲイツ批判を展開しているWPのValerie Straussの記事がやっぱり歯ごたえがある。15日の記事のタイトルは「高等教育へとビルゲイツが広げる影響力、そしてカネ」。ゲイツ財団から抗議があったらしく、その後、細かい訂正が入っている。
http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/07/15/bill-gates-expands-influence-and-money-into-higher-education/
http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/07/16/gates-foundation-responds-to-critical-articles/

【関連エントリー】
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)
デジタル思考の成果主義に染められていく米国の公教育改革(2013/2/20)
ビル・ゲイツの慈善にも説明責任を突きつける教師ブロガ―(2013/4/24)
ビル・ゲイツの公教育改革に、米国の教師が突きつけ始めた“NO”(2013/6/15)
米国の教師が指摘するビル・ゲイツ教育改革7つの問題点(2013/7/17)


インドの給食への農薬混入のニュースで「もっとも貧しい地域」というので、ビハール州じゃないかと思ったら、やっぱりそうだった。ビハール州はゲイツ財団がインドで最も力と金を注いでいるところ。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jul/17/school-meals-kill-indian-children


NYT。アフリカで女性器切除が少しずつ減少しているらしい。これは良いニュース。
Report Finds Gradual Fall in Female Genital Cutting in Africa: An assessment by Unicef described the ancient practice as “remarkably tenacious,” but found declines in the procedure in more than half of the countries where it is concentrated.

【関連エントリー】
米小児科学会の女性器切除に関する指針撤回:Diekema医師の大チョンボ(2010/8/4)
Gatesの一声で、男児包皮切除にエビデンスが出てくるわ、小児科学会もCDCも方針を転換するわ(2010/8/16)
包皮切除件数減少を反対運動のせいだと騒ぐDiekemaのポチ踊り(2010/8/23)
包皮切除でのDiekema発言でNPRラジオに抗議殺到(2010/9/14)
2011年5月20日の補遺
2012年12月2日の補遺


英国医師会から介護者向けの支援ガイド。
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2371560/Carers-Manual-released-help-6-million-Britons-nursing-loved-one.html

オーストラリアの調査で、認知症の人の介護者への健康負担。
http://www.sciencewa.net.au/topics/social-science/item/2277-caregivers%E2%80%99-health-burdens-highlighted.html

英国で認知症患者が減少傾向?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263402.php

日本。日本一若い!?訪問看護士の挑戦 4.胃瘻でも口から食べる!を支える看護の底力
http://carepro.co.jp/zaitaku/archive/serial_05_15.html

自衛隊運用、制服組に移管 来年度にも、文官部局は廃止:これ、選挙の前に決まってたみたいなんだけれど、どうしてこういう重大な問題がきちんと報道されないかなぁ。シビリアンコントロールが失われたってことだと思うんだけれど、自民党の天下になっても戦争だけは起こらないと信じられる人の根拠って??
http://www.asahi.com/politics/update/0718/TKY201307171014.html

日本語。強姦被害訴えるノルウェー人女性に有罪判決 ドバイ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130722-35034948-cnn-int

            -------

牟田和恵著『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書) ミニメモ:

不快な思いをしていてもそれを表現できない弱い側の立場への、強い側の鈍感。鈍感にとどまらず自分の都合のよいように解釈して悦に入る、愚かしいほどの自意識過剰。

これは男と女だけじゃなくて、教師と生徒(学生)、上司と部下、親と子、医師と患者……ありとあらゆる上下関係に通じていく問題だと思いながら読んだ。問題の本質は何をしたとか何を言うかということにあるのではなく、相手をナメているからナメていない相手には言えないことを、つい言ってしまう、ついやってしまう、という点にあるような気がする。

そういう人の中にはもともと自尊感情が安定していない人が多いので、ナメて見下している相手から謝罪を求められたり、人の良さからつい謝罪してしまったりすると、今度はそのことに自尊感情を揺さぶられて、逆に自分の優越性を自分自身に対して証明する必要に駆られ、妙な形で相手に対して報復的に粘着していくんじゃないだろうか。(何度かの直接体験から思うこと。もちろんそういうふうに記憶されている体験は自分が「ナメられた」側だった体験のみ)

だから、たぶん「素直に謝れば事態は小さいうちに収拾できる」という著者の正しいアドバイスは、ナメていない相手には言えないようなことをナメている相手だから言えるような人には、実はチョー難しいことなんではないだろうか、と思ったりする。

とはいえ、かつては生徒(学生)に対する教師という立場で、今も子に対する親という立場で、その他、自分が優位だと感じる相手に対して、自分だって同じことをやっている自覚もないわけではなく。だからこそ、自分が「ナメた」側だった体験は記憶されることはないのだろうし、この本は本当は読者それぞれに、そうした自分への振り返りを促すところに意味があるような気も。
2013.07.28 / Top↑
まずは一昨日、3つもエントリー原稿を書いて一晩寝かせておいたら、
昨日の朝一番のPC崩壊で消えてしまい、書き直す気力がわかないので、
このまま幻のエントリーとなりそうな話題を2題。

(残り1つは向井承子『患者追放―行き場を失う老人たち』の読後メモだったのだけれど、
入れ込んで書いただけにパァになったショックで沈没したまま)

① カナダのTayor訴訟やアイルランドのFleming訴訟にもかかわった「死ぬ権利」擁護派の米ユタ大学の生命倫理学者 Margaret Pabst Battin と四肢まひの夫との穏やかな「最良の時間」。(ビデオがとても良いです)

自転車事故で四肢まひ、人工呼吸器依存となった夫が死にたいという意思表示していたのに、Battinは夫が急変した際には救急部に運び込んで救命した。その後、大学教授の夫は呼吸器をつけたまま講義を再開し、生きていることを喜びながら暮らしている。Battin自身も現在の夫婦の生活は2人で過ごした「最善の時」だと語り、時に夫が痛苦から死にたいと願うことがあるが「彼が本当に本当にそういうところに至ったと私が確信できるまでは」と。

BioEdgeのCookは「愛され十分なケアを受けられる患者は生きたいと強く、揺らぐことなく望むようだ。死んだほうがましだと絶望する瞬間はあるが、実際に死を選ぶ瞬間は決して訪れることはないように思われる」「自律がそれほど明確な原理なら、このケースではどうして機能しないのだろう? もし機能しないなら自律原理には一貫性がない。一貫しないなら捨てるべきでは?」。

NYTのビデオでのBattinの静かな語りがとてもいいんだけれど、ビデオを見ると、夫のRobertさんには24時間体制でプロの介護士が付いていると思われ、「愛され十分なケアを受けられる」以外に「家族に過剰な介護負担がかからないこと」も患者が生きたいと願うことができるための条件なのだろうな、とも。
http://www.nytimes.com/2013/07/21/magazine/a-life-or-death-situation.html?hp&_r=2&pagewanted=all&
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10608#comments

② 米VA州のダウン症の女性(IQ50とのこと)Margaret Jean Hatchさんに、自分が誰とどこで暮らすかを自分で決めることは認められるのか。法定代理人は必要なのか、必要だとしたら誰なのか。

離婚した両親とは折り合いが悪く、両親のいずれも共に暮らすことはできないと言いながら、Margaretさんがグループホームから出て友人夫婦と暮らすことは認めず、自分たちが法定代理人となり娘の交際範囲まで管理しようと提訴。裁判の途中、Margaretさんは裁判官の言葉途中で「私には代理人は要りません」と発言し裁判官に退廷させられた。自立生活のためには支援は不可欠。誰がどのように支援するのがよいのか。:難しい問題。けれど日本ではこんな訴訟など論外なほどに親の代理決定権が当然とされていることも、大いに疑問だと改めて考えさせられる。
http://www.washingtonpost.com/local/virginia-woman-with-down-syndrome-seeks-power-to-live-the-way-she-wants/2013/07/20/76102a82-d789-11e2-a9f2-42ee3912ae0e_story.html

             ――――――
(ここから、通常の補遺です)

米国と英国それぞれで、DNR指定が本人の同意も家族の同意もなしに行われている、との調査結果が発表されている。英国のはケアの質コミッションの報告書だというので、リヴァプール・ケア・パスウェイの機械的適用問題での調査結果だと思うのだけれど、Popeのブログ記事すら、まだ読めていない。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/07/hospital-inspection-reports-show-dnr.html

【LCPの機械的適用問題関連エントリー】
“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機械的適用でNHSが調査に(2012/10/28)
英国医師会が「LCPには機械的適用の問題あり」(2013/6/29)


カナダ、バンクーバーの精神科医で元BC州医師会会長のDerryck Smith医師が自殺ほう助ロビー団体に加盟。:精神科医には自殺を敗北とみなす文化があるんだとばかり思っていた……。
http://www.vancouversun.com/news/Vancouver+doctor+joins+board+right+group/8684839/story.html

中国でのグラクソの贈賄スキャンダルで、グラクソ側が幹部による贈賄と性的便宜供与を認めた。GSK has admitted that some of its senior Chinese executives broke the law in a £320m cash and sexual favours bribery scandal.
http://www.guardian.co.uk/business/2013/jul/22/glaxosmithkline-admits-bribery-china?CMP=EMCNEWEML6619I2

NYT. 中国でのグラクソ・スキャンダルは違法な販促にとどまらず、研究にも疑義?
Glaxo’s problems in China may not just be about its sales practices. They may also concern its research.

製薬会社に対して治験データの全面公開を求める動きがあることに対抗するため、製薬会社が患者団体を反対ロビーに動員している。
http://www.guardian.co.uk/business/2013/jul/21/big-pharma-secret-drugs-trials?CMP=EMCNEWEML6619I2

【関連エントリー】
臨床実験データ全公開を求める動き、研究者らから(前)(2013/7/1)
臨床実験データ全公開を求める動き、研究者らから(後)(2013/7/1)


オーストラリアで、本人への最善の利益であれば認められている障害者への不妊手術を禁じるべき、とする報告書。Cookは「多くの親が子どものストレス軽減と性的虐待防止のため不妊手術を最善の方法と考えているので、報告書の勧告は物議を醸す」と。:アシュリー療法の正当化そのもの。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10610#comments

インドの代理母産業での虐待の実態が報告書 “Surrogacy Motherhood: ethical or commercial?”に。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10612#comments

米国外科学会誌に、肝臓を部分移植することによって一人の生体ドナーで2人の命を救うことができる、とする論文。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263602.php

日本。新出生前検査 陽性の3人中絶
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130717/k10013104551000.html

日本。出生前診断に賛成の声多数…施設拡大を望む声も
http://iryojinzai.net/1616.html

肥満抑制の遺伝子発見=壊すとマウス体重2倍―名古屋大:遺伝子を操作するということは、遺伝子が変異してきた膨大な時間の流れを無視した暴力的な加速だというような意味のことを、福岡伸一さんが言っていたことを思い出した。⇒福岡伸一の“動的平衡”生命観と“科学とテクノで簡単解決文化”批判2(2011/5/6)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130719-00000008-jij-sctch
2013.07.28 / Top↑
この前、ある方に教えてもらった、この漫画を読んで、
ちょっとすぐには言葉にならないほどの深い衝撃を受けた。

「この世界の片隅に(前篇)」(アクションコミックス)
こうの史代 双葉社 2011


Spitzibara自身の感想は
すぐには言葉にならないのだけれど、

今日の選挙の後、この国はこれまでとはまったく別の国へと
急速に変貌していくのだろうなぁ……と考えると、

これから始まる開票結果の速報を見る前に、
とり急ぎ、エントリーにしておきたい漫画だったので――。


Amazonの前編、後編の内容紹介は、

平成の名作・ロングセラー「夕凪の街 桜の国」の第2弾ともいうべき本作。戦中の広島県の軍都、呉を舞台にした家族ドラマ。主人公、すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世 界に戸惑う。しかし、一日一日を確かに健気に生きていく。そして、すずも北條家に嫁ぎあくせくしてる間に、ようやく呉の街にも馴染んできた。リンさんとい う友達もできた。夫婦ゲンカもする。しかし戦況は厳しくなり、配給も乏しく日々の生活に陰りが…。

広島市から軍都呉市に嫁いだすずは、不器用ながら北條家に徐々に溶け込み日々を過ごす。やがて戦争の暗雲が周囲を色濃く染めていく。大空襲、原爆投下、終戦。歴史の酷い歯車が一人の女性の小さな世界をゆがませていく。そして…。


アマゾンのレビューで、
私にはまだ言葉にならない読後感を代弁してもらっている気がするのは
「仮面ライター」さんの以下のレビュー。

この本は、「平和に生きる」ということの尊さをしみじみと感じさせます。物語は昭和9年1月の「冬の風景」から始まり、昭和21年1月の「しあはせの手 紙」で終わりますが、前後編一気に読み通してしまいます。絵描きの好きな、少しぼんやり気味の《すず》という女性に仮託した「戦争」の話は、淡々とした戦 時下の生活風景を描写しながらも、その時代を体験した多くの日本人に共通する“悲しみ”が心の底からじんわりと伝わってきます。

 私は、 戦後生まれですが、亡くなった両親から「戦争」と向き合った暮らしぶりを聞いていました。この度の東日本大震災そして福島での原発事故など、日本人にとって《忘れてはならない事》は多々あると思いますが、そうした中にあって、先の「戦争」を振り返り、庶民の《記憶》として長く留めておくべき“悲しみ”が、こうの史代さんのこの作品にそっと込められています。是非とも昭和の「戦争」を知らない方々の目に触れて欲しい冊子です。



去年の衆院選の時には、
以下のようなエントリーを書いて自分の気持ちを鼓舞してみたりしたんだけれど、
今回は、そんな気力すら根こそぎにされそうな気がする……。

選挙の夜に(2012/12/16)
選挙から元気をなくしている人にお薦めの映画『グレート・ディベーター』(2012/12/28)
2013.07.28 / Top↑
来月、以下の本が出ることになりました。

タイトルは
『死の自己決定権のゆくえ: 尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』。

大月書店から8月23日刊行予定。1890円。

ある意味、当ブログの
いくつかの書庫の集大成のような内容になっております。


はじめに

第1章 死の自己決定権をめぐる議論

1 日本の尊厳死議論
  ●良い死に方●尊厳死法案●尊厳死が法制化されることの意味●自由な選択の保障●ガイドライン● 医療費削減のねらい?●終末期の定義●すべり坂●本当の願い●「なぜ日本ではできないのか」

2 安楽死・自殺幇助が合法化された国や地域
  ●PAS=医師による自殺幇助●スイス●オレゴン州、ワシントン州●オランダ●ベルギー●英国● 免罪符となる介護実績●「社会で支える」視点の欠落


第2章 「無益な治療」論と死の決定権

1 医療側の決定権
  ●「無益な治療」とは何か●ゴンザレス事件とテキサスの事前指示法●「無益な治療」論をめぐる議 論●一方的DNR指定●看取りプロトコルの機械的適用問題●医師が慣れれば例外はルーティーンに なる●コスト論と共に拡大する対象者の範囲●「どうせ」の共有を広げていく生命倫理学者らの問い

2 「意識がある」ことの発見
  ●ザック・ダンラップ●〝可逆的脳死報告〟●スティーブン・ソープ●相次ぐ睡眠剤による「覚醒」 事例●オウェンによる植物状態患者の意識の発見●「意識があると証明できない」は「意識がないと 証明された」ではない●「分かっていない人」を「分かっている人」に変えるもの●「窓を閉じて立 ち 去ってしまおう」との提案

3 それは臓器移植へとつながっていく
  ●ナヴァロ事件●ケイリー事件●心臓死後臓器提供(DCD)●デンバー子ども病院の「75秒観察プ ロトコル」論争●小児の脳死判定、14項目すべて満たしたのはたった一人●臓器提供安楽死


第3章 いのちの選別と人間の尊厳

1 科学万能主義とグローバル経済
  ●科学、テクノロジーと結びつく市場経済●〝コントロール幻想〟と差別の再生産

2 医療と障害のある人びと
  ●私たち親子の体験●マークとマーティンの『無関心による死』●米国NDRN『障害者の市民権を 侵す医療』●「暗黙のパーソン論」と無関心●医療と患者のあいだの溝●二者択一の議論が取りこぼ していくもの●認知症の人に関心を向け、理解するアプローチ●こういう約束をしてくれる医療を受 けたい●本当の「自己決定」ができるための英から●弱者の権利を守るための仕組み

3 社会で支えるという視点
  ●介護者支援●「死の自己選択」は通苦の責を患者に負わせ、社会を免責する●「どのような社会であ ろうとするのか」という問題

4 いのちへの畏怖と祈り

5 重症重複障害当事者の親として
  
おわりに
資料 尊厳死法案


大月書店HPの当該サイトはこちら ↓
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b120658.html

アマゾンの予約ページはこちら ↓
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E8%87%AA%E5%B7%B1%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E6%A8%A9%E3%81%AE%E3%82%86%E3%81%8F%E3%81%88-%E5%B0%8A%E5%8E%B3%E6%AD%BB%E3%83%BB%E3%80%8C%E7%84%A1%E7%9B%8A%E3%81%AA%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%80%8D%E8%AB%96%E3%83%BB%E8%87%93%E5%99%A8%E7%A7%BB%E6%A4%8D-%E5%85%90%E7%8E%89-%E7%9C%9F%E7%BE%8E/dp/4272360698/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1374144584&sr=1-1


このブログでやってきたことをとりまとめた本書の性格から
『アシュリー事件 メディカル・コントロールと新優生思想の時代』と同じく、
注にはURLが多く並んでおります。

そこで、『アシュリー事件』と同様に、このブログに
「拙著『死の自己決定権のゆくえ』」という書庫を作り、
各章ごとの注をアップして、そこからリンクをたどってもらえるようにする予定です。

また、視覚障害のある方にも読んでいただけるよう、
テキストデータの交換券を付けてもらいました。


どうぞ、よろしくお願いいたします。
2013.07.28 / Top↑
昨日のエントリーで触れたジマーマン事件についての報道をいくつか。

NYT. 無罪判決を受けて、法改正を呼び掛ける社説。
Trayvon Martin’s Legacy: The acquittal of George Zimmerman should be a call to reform laws that make it easier to kill.(July 15, 2013)

NYT. 弁護士が何と言おうと、この事件は人種差別の問題、とする社説。
The Truth About Trayvon: Ignore what the lawyers say. The case was always about race.

全米に広がる抗議で、オバマ政権に連邦政府としてZimmerman起訴への圧力がかかっている。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jul/15/george-zimmerman-us-federal-charges?CMP=EMCNEWEML6619I2

Huffington Postに、「Trayvon Martinが死ななくても済んだ7つの決断」という記事があり、「ジマーマンがマーテインの後をつけない決断だってできた」「ジマーマンが銃を隠し持っていなかったら後をつけなかったのでは」「ジマーマンにはマーティンを撃ち殺さない決断だってできた」など。
http://www.huffingtonpost.com/2013/07/15/6-decisions-trayvon_n_3600690.html

          -----

4月にスイスのディグニタスで自殺したイタリア人 Pietro D’Amico(62)さん、死後の解剖により、死ぬような病ではなかったことが判明。
http://www.lifesitenews.com/blog/swiss-assisted-suicide-clinic-kills-dying-italian-man-autopsy-discovers-bot

英国のケアホーム経営者の団体トップから、自殺幇助合法化を支持する発言。
http://www.christian.org.uk/news/suicide-clinics-could-come-to-uk-says-care-home-boss/

日本。「医療否定」は患者にとって幸せか(「Dr.Poohの日記」ブログ 2013/4/14)「一連の「尊厳死」「平穏死」「自然死」に関する書籍や記事を読んだり講演を聞いたりして感じてきた違和感」「昨今のブームはむしろそれが目的化してしまっている印象」
http://d.hatena.ne.jp/DrPooh/20130414

ワシントンDCが進める最低賃金に関わる条例改正に、ウォールマートが24時間以内に撤回しなければなら撤退するぞ、と議会に対して脅し。
http://www.washingtonpost.com/local/dc-politics/wal-mart-says-it-will-pull-out-of-dc-plans-should-city-mandate-living-wage/2013/07/09/4fa7e710-e8d0-11e2-a301-ea5a8116d211_story.html

医師によっては無茶苦茶な処方をしているので、処方薬について患者はきちんと関心を持った方がよい、と処方箋データとメディケアのプランDのデータを根拠に警告するProPublicaの記事。ProPublicaは医師らの処方データをネット公開する計画。
http://www.propublica.org/article/why-you-should-care-about-the-drugs-your-doctor-prescribes

日本。「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン」について(厚労省):けど、この問題は以下のリンクのように、英語圏では2009年から既に指摘されていたわけで。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000036k0c.html

【関連エントリー】
認知症患者への不適切な抗精神病薬投与、教育・意識改革が必要(2009/4/17)
ナーシングホーム入所者に症状もICもなく精神病薬投与(2009/10/31)
不適切な抗精神病薬の投与、15万人の認知症患者に(英)(2009/11/15)
「認知症高齢者への抗精神病薬を巡る動き」を書きました(2012/11/7)


英国で2度目の全国認知症調査で病院の認知症ケアは未だにお粗末、と。2010年3月から1年間かけて行われた1回目の調査についてはこちらに ⇒ 「病院での認知症ケア実態調査 英国」を書きました(2012/4/4)
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263238.php

日本語。中国臓器移植の深い闇 中国赤十字会が見返り要求「ほしいなら礼金払え」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130715-00000501-fsi-bus_all

日本。虐待疑い3件見送り 子どもの臓器移植提供 朝日新聞調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130714-00000014-asahi-soci

マラリアの遺伝子変異の速度が速いことはワクチン開発の困難の要因だけれど、グローバルな人の移動も手伝って米国でもマラリアが拡がりつつある?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/263247.php

おしっこの分析をして健康チェック、データを親の携帯に送ってくれるスマートおむつが登場。日本の児童精神科医にも、オムツは親が替えるよりもロボットが替える方が望ましく、排泄物のデータ分析までできたらさらに理想的、と言われる方がありました ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59838849.html
http://www.medicalnewstoday.com/articles/263165.php

デスクワークは健康に悪く命に関わるとして、ウォーカーで歩きながらパソコンで仕事をする人が増えているんだとか。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/desk-jobs-can-be-killers-literally/2013/07/15/ce61f9e8-e59b-11e2-aef3-339619eab080_story.html

日本語。ゲイに続き、パウエルやシンプソンも薬物陽性。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130715-00000167-yom-spo

一つの身体に2つの頭で生きている姉妹が送る大学生活(英)
http://www.youtube.com/watch?v=ZBtYomZWR68

日本。新型出生前診断1500人、研究予定の1.5倍。:「研究」が「調査捕鯨」の「調査」と重なって見える。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130716-00000001-yom-sci

文春8月号「安倍晋三インタビュー」。「あのような大事故を経験したからこそ、日本の原発技術は発達しているのではないかと、世界各国から期待されているのです」。「事故を乗り越えた日本の技術が欲しいという国があります」:「終息」もしていないのに「乗り越えた」ぁぁ??? それでも自民党に入れようと?
https://twitter.com/xxcalmo/status/355273882418163712

2013年度参院選挙を医療・介護の視点から考える 結城康博 シノドス 7月11日
http://synodos.jp/welfare/4874

参院選 憲法と家族<上>生活保護 障害者にとっては命綱 (東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013071002000160.html

日本語。「アベノミクスが新たなリスク」 IMFが初めて指摘。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130710-00000004-asahi-bus_all

第27回マガ9学校「オッサン政治にもの申す! 全日本おばちゃん党」:胸がすきます。
http://www.youtube.com/watch?v=u7lgj_fPZVs

全日本おばちゃん党の『はっさく』と『腹太の方針』が面白い 
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2013/05/13/6809447

映画「ひまわり ~沖縄は忘れない、あの日の空を~」の宮森事件とは。
http://www.ggvp.net/himawari/miyamori.html
2013.07.28 / Top↑
この記事が冒頭、問題視するのは以下の状況。

The foundation’s ability to spend unprecedented amounts of money on education reform causes has recently made Gates unduly influential in the education world.
The organization supports groups that generally have an anti-union and pro-testing agenda.

前例のない額の資金を教育改革に投じることができるゲイツ財団の能力は
ここ最近、ゲイツによる教育会への度を越した影響力行使を招いてきた。

同財団は反教員組合、共通テスト支持の姿勢を持つ組織を支持している。

その実態とは、以下のエントリーで取りまとめた通り ↓
ビル・ゲイツが自分路線の公教育改革実現に“投資”したグラント一覧(2013/6/15)


そうした事態に対して、
米国の教師が立ちあがり、果敢に反論の声を挙げているのが
以下のエントリーで紹介した、Teachers’ Letters to Bill Gates.

ビル・ゲイツの公教育改革に、米国の教師が突きつけ始めた“NO”(2013/6/15)


そこで、Huffington Post紙が
このサイトに集まってきた教師からの手紙を読みこみ、
先生たちがビル・ゲイツに指摘している7つの論点を取りまとめている。

7.学校が正当に教えるべきことの中には、
 テストで測ることのできないものも含まれている。

6.教育においては、
 すべての子どもに当てはまる唯一の方法論(例えば統一テストのような)というものは存在しない。

5.教師の評価で生徒のテストの点数は重視されるべきではない。

4.教育改革論者の言うことがすべて正しいとは限らない。

3.教育改革議論には、教育の専門家である教師の声を。

2.2001年の落ちこぼれ防止法は間違っていた。

1. Common Core統一テストを導入しても事態は改善されない。


‘Teaches’Letters To Bill Gates’ Website Reveals 7 Major Things Educators Want The Mogul To Know
Huffington Post, July 16, 2013


単に投入できる膨大な資金があるからというだけで
一民間団体や、一組の夫婦がその資金を通じて巨大な影響力を及ぼすことが
あちこちで弊害をもたらしている、というのは
教育の分野だけではないのでは、と思うし、

ここで指摘されているのと基本的に同じことは
その他の分野でも言えるはずだと思うのだけれど、

なぜか科学とテクノロジーや途上国での保健医療の問題では
ゲイツ財団が unduly influential になることを懸念する声はあまり聞こえてこない。

それはゲイツ財団の資金が投入される先が
「科学とテクノで簡単解決バンザイ」文化の利権とがっぷり繋がっている当たりだからでは、
……というのが当ブログの読みであり、また懸念するところ。


当ブログが細々と拾ってきた
科学とテクノ研究に投入されるゲイツ財団の資金と
その資金を通じて行使される不当に大きな影響力への懸念の声は例えば以下に ↓

世界中の研究機関に流れていくゲイツ財団のお金(2008/8/28)
ゲイツ財団の指摘研究機関が途上国への医療支援の財布を管理しようとしている?(2009/6/20)
ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/2)
ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
国家的権威から市場主義的権威による超国家企業の政治制度へ(2012/1/25)
慈善資本主義に新たなネーミング、「人道帝国主義」:インドの“ポリオ撲滅”のウラ側(
2013/6/11)
慈善資本主義の“マッチポンプ”なカラクリ(2013/6/11)
2013.07.28 / Top↑
今年の1月、
3か月前から担当してくれている支援者と映画を見に行った
ダウン症の男性、Robert Ethan Saylorさん(26歳)。

その映画が気に入ったので、もう一度見たいと言っていたが、
映画館を出たところで、機嫌を悪くして毒づいたり店のウインドウを叩いたりしはじめた。

その日はそれ以前にも癇癪を起していたので
困った支援者の女性が母親と他の支援者に電話で対応を相談。
しかし、その間にイーサンは再び映画館の中に戻って座席に座ってしまった。

2度めはチケットを買っていないので
劇場側は支援者の女性に退場させるよう求め、女性は自分が対処すると答えた。

ところが、
そこへ非番のアルバイトで警備員をやっている保安官代理が3人やってきて、
イーサンと口論に。

支援者の女性は、身体に触るとパニックすると警告したが、
強引に連れだそうとした警官らはイーサンに手をかけた。

体重が100キロ以上あるイーサンはパニック。
暴れながら、大声で母親を呼んだ。

保安官代理ら3人がとり押さえて連れだそうともみ合ううちに
イーサンは手錠を3つかけられたが、そこで突然、動かなくなった。

保安官代理らは手錠を外して心肺蘇生を行い、
息は吹き返したが、意識不明のままいびきをかいていた。

バルティモアの検死官局チーフは
イーサンの死因は窒息による殺人と断定。
喉にも原因不明の傷があった。
(これがいつの段階なのか、記事からはちょっと不明)

3月、Frederick郡の陪審員は警官らを不起訴にしただけでなく、
情報の自由法では公開されるべきエビデンスは
先に警察の内部調査が終わるまで無理だと言って家族にも公開されなかった。

その後、家族の代理やアドボケイト団体などが
米国司法省やメリーランド州当局に独立した調査を求め、
このほど98ページに及ぶ報告書がだされ、
事件の詳細が明らかになった。

保安官事務所の弁護士は
内部調査は終了しているとしつつ、
詳細についてはコメントできない、と語り、

「徹底的な調査が行われました。
明らかに悲劇的で不幸な出来事ですが、
しかし保安官代理には何も非はありませんでした」

Aide to man with Down syndrome who died in theater had warned police, report says
The WP, July 16, 2013


相手への配慮も理解も何もなく
問答無用の強権で何でも抑えつけようとする空気の広がり、という点では、
例えば以下のようなことが頭に浮かぶし、

授業中にケンカをすればスクール・ポリスがやってくる。そして逮捕(TX)(2012/1/12)
些細な問題行動でスクール・ポリスに逮捕される黒人生徒、白人生徒の4倍(2013/4/20)


また、
弱い者が不当な暴力にさらされた事件で、
強い側のものが守られる仕組み……という点では、

このところ米国社会を騒然とさせているジマーマン事件が頭に浮かぶ。

ただ道を歩いていただけの丸腰の黒人少年を
勝手に不審者だと決めつけた元自警団のピスパニックの青年ジマーマンが
銃を持って追いかけて、もみ合いになり、少年が射殺されてしまった。
それでもフロリダ州では正当防衛とする州法があるとされて
1カ月間も警察はジマーマンを放置。
世論の非難を浴びて逮捕したものの、
陪審員は無罪判決――。


ジマーマン事件の概要は、例えばこちらに ↓

全米を揺るがせたジマーマン無罪判決の意味(ニュースウィーク日本版 7月16日)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130716-00010000-newsweek-int
2013.07.28 / Top↑
『ふぉん・しいほるとの娘(上)』吉村昭 新潮文庫


其扇(そのおおぎ)は、風呂敷包みを背負って道をたどった。引田屋に使いを走らせて男衆に荷物をはこんでもらうこともできたが、その日は風呂敷包みを背負って歩きたかった。家庭の事情で遊女になったが、遊女は仮の境遇で地道に額に汗して生きることが自分に最もふさわしい道だと思っていた。役人が家に踏み込んできたことは、なにかの事件が起きたことをしめしているし、それによって自分の生活も大きく変化するかも知れない。そうした変化に堪えてゆくためには強靭な神経が必要であり、遊女として不似合かも知れぬが、一個の女として風呂敷包みを背負って歩いてゆきたかった。

しかし、重い物を手にしたことのない彼女には、その荷は重く背負ってゆくことは辛かった。身体が前のめりになり、今にも膝がくずおれそうになる。呼吸が苦しく、胸が締め付けられるように痛かった。其扇は歯を食いしばって歩いていった。
(p.329)
2013.07.28 / Top↑
2006年から2010年の間に
カリフォルニア州の女性刑務所で州の委嘱医らにより、
少なくとも148例の卵管結紮による不妊手術が行われたことが
CIRの調査によって明らかになった。

また1990年代後半にも100例以上が行われた可能性も。

元囚人やアドボケイトによれば、
妊娠中に収監された女性に対して、
医師らが不妊治療に同意するよう執拗に働きかけていた、とのこと。

中には、
分娩のさなかや帝王切開の手術の手術台の上で
朦朧とする意識の中で「それで、卵管結紮をやるんですよね」などと言われて
同意を求められた、という証言も。

データベースによると1997年から2010年までに
卵管結紮に対して州から医師に支払われた金額は147,460ドル。

これは囚人に州の費用によって不妊手術を行うことを禁じた
連邦法にも州法にも違反している。

また1994年からは
不妊手術には個別に医療行政職トップの同意が必要となったにもかかわらず、
卵管結紮の要望が医療委員会に提示されたことはなかった。

医師らの言い分は、何度も帝王切開を経験した妊婦では
妊娠には子宮破裂の危険が伴うため、女性たちの健康上の理由から
不妊手術が必要だと判断したのだというものだが、
女性らはそのリスクについて説明を受けていないし、
卵管結紮に同意させられた女性の中には帝王切開は1度しか体験していない人たちも。

また当時、手術を行った医師らは、
一般女性と同じ選択肢を与えることは
収監されている貧しい女性たちに対するエンパワメントだった、とも。

Valley 州立監獄の産婦人科医だったJames Heinrich医師はCIRのインタビューで、
「(147,460ドルは)10年間で考えるとそれほど大きな額ではない。」
彼女らがさらに多くの子どもを産んで、その望まれぬ子どもたちに支払われたはずの
福祉の費用と比べてみればよい」

2005年には監獄内で医師らから
不可欠な医療でもないものを州の費用で行うことへの疑念の声もがあったというが
その後も、州の費用で賄われる医療の範疇に留め置かれた。

2006年にはUS 地域判事が同州の監獄の医療はあまりも劣悪で
残虐な刑罰を禁じた憲法の規定に違反している、と判断。

2008年にも囚人の権利擁護団体Justice Nowが
2つの監獄での不妊手術の実施について指摘し、
妊娠している囚人の扱いに対して問題提起したが、
2010年に上院議員 Carol Liuが動くまで
事態には変化はなかった。

Liu議員の依頼で調査を行った医療監査委員会のBarnettは
金銭支払いに関するデータから事実を掴み、監獄の幹部と面談し、
囚人への不妊手術を辞めるよう求めたところ、猛烈な反論を浴びたという。

16年も前に禁じられているというのに、
監獄の医療責任者も医師も看護師も委嘱医も法で禁じられていること自体を知らず、
不妊手術には許可が必要だということも知らないまま、
何の不都合もない、理にかなった処置だいう認識で行われていた、という。

CA州にも多くの州と同様に
かつて1909年から1964年の間に2万人の男女に不妊手術が行われた不幸な歴史がある。
2003年に上院議会が事実を認め、当時の知事が公式に謝罪した。

当時、上院の公聴会で証言した専門家は
「これはCA州での優生思想の歴史を理解するに当たって重要な点ですが、
目的の一つは、いかに福祉の費用を削減するか、経費削減にあったのです。
不妊手術はこの問題と深くかかわっているのです」

前述のHeinrich医師は
教唆があったとする本囚人女性らの訴えについて、
「本人たちが望んだことだった。1年化2年経ってから
強制的にやられたと言っているのは、嘘だ。
そういうことを言って、州からカネを恵んでもらおうとしているのだ」

「そんなことをする唯一の理由は、不正なことをされたと思うからではなくて、
ずっと州のカネで養われていたいと考えるからだというのが私の推測だ」

Female inmates sterilized in California prisons without approval
Center for Investigative Reporting, July 7, 2013


この記事に寄せられた、例えば以下のようなコメントが
恐らくはHeinrich医師の本音を代弁しているのかも……?

……how about the right of children not to be born to such destructive life styles. It is ultimately the children born into these deplorable circumstances that suffer.....because the women didn't give a d....m about the child they conceived. They just want to keep scr.....g around, not caring about consequences. Well, no one is denying them the pleasure of their sexual activities....just prevent pregnancy!!!! Is that so hard to understand???

そういうろくでもない生活ぶりの親のところに生まれてくる子どもの権利はどうなる?
結局のところ苦しむのは、そういう嘆かわしい環境に生まれてくる子どもたちなのだぞ。
こういう女性たちは自分が生んだ子どものことなんぞ、どうでもよくて、
ただヤリまくって、後はどうなろうとお構いなしという連中なのだからな。
だれもセックスを楽しむなと言ってはいない。ただ妊娠はさせるな、というのだ。
それだけのことが、なんで分からない?

あるいは、

these parasitic women and their children have absolutely nothing to offer this planet. since they cant keep their legs closed on their own right, this is a more economic alternative. im all for due process and human rights, but....I love the earth more.

こういうパラサイト女性とその子どもたちというのは地球に何一つもたらすことはない。
足を閉じていることができないのが、そいつらの権利なのだというなら、
これこそが、経済的な選択肢ということになるだろうよ。
然るべきプロセスと人権については支持する立場だけど、
それ以上に地球の方が大事だね。


【関連エントリー】
NC州で、かつての強制不妊事業の犠牲者への補償に向け知事命令(2011/3/21)
NC州の強制不妊事業の犠牲者への補償調査委員会から中間報告書(2011/8/15)
NC州知事が約束した強制不妊犠牲者への補償、上院が棚上げ(2012/6/21)

世界医師会が「強制不妊は医療の誤用。医療倫理違反、人権侵害」(2011/9/12)
障害者人権擁護ネットから報告書「“A療法”・強制不妊・生命維持停止は人権侵害」(2012/6/20)
NDRN報告書:カルメンの強制不妊ケース(2012/7/14)
2013.07.28 / Top↑
今日、「私らの子」が、
また一人亡くなった。

それで、
09年3月29日に書いた
以下のエントリーを再掲したくなった。

葬式(2009/3/29)


身近な子どもが、また1人亡くなった。

とても重度ではあるけれど元気な子だったのに……と
知らせを聞いて絶句する。

電話で知らせてくれた人と、
いつもこういう時に繰り返す儀式のように

「○○さんちのAちゃんの時には、こうだったよね」
「そういえば△△さんちのB君の時も、こうだったっけ」

いつのまにか数えることをやめてしまった子どもたちの死を1つずつ振り返る。

ずっと身近で見て、よく知っている子もいたし、
顔を知っている程度という子もあった。

時には子どもですらなくて、いい年のオッサンだったりもした。
中学校まで娘のクラスメートだった男性は、
かつて就学猶予を強制された年齢超過者で私よりも年上だった。

でも、どの子もどの人も、亡くなったという知らせを受けると、
私はいつも「私らの子が、また1人死んだ……」という感じがする。

私らの子が、また1人死んだ――。

そういえば、あの子もこの子も、いなくなった。
いつのまにか、私らの子が、もう、こんなにたくさん死んでしまった――。

養護学校の卒業式の後とんと会わなくなった重症児の親たちが葬式で顔を合わせて、
通園時代や養護学校時代の親の同窓会みたいだ。

焼香で人が動く時に見知った顔を見つけて、同時に、
その人の子どもがずっと前に危篤状態になったことを思い出す。
ウチの娘と同じで、幼児期には健康でいる日など数えるほどしかない子だった。
お母さんも「この子はそう長くは生きないだろうから」とよく口にしたし
「そんなことないよ」と言いながら、周りの人たちだって本当は心の中でそう思っていた。

それでも彼女の娘は数年前に成人式を迎えて、今もちゃんと生きている。

そういえば、あの子も、そして、この子も……と指を折ってみれば
ちゃんと生きている子だって沢山いることに驚かされる。

へんな言い方だけれど、仲間内で子どもたちが初めて死に始めた頃は
誰かの子どもが亡くなると、次はどこの子だろう、
もしかしたらウチの子だろうかと、みんな疑心暗鬼に駆られて
内心で子どもたちを重症度や体の弱さで順に並べてみたりしたものだったけど、

この子たちは決して、障害の重い順、弱い順に死んでいくわけじゃない。

とても重度で虚弱で、長くは生きられないだろうと誰もが思っていた子どもが
ある年齢から急に元気になることもあるし、
弱いまま何度も死にそうになったり、医師や親にいよいよだと覚悟させたりしながら
それでもちゃんと生きている子どもたちもいっぱいいる。

そうかと思うと、
それほど重度なわけでもなく、障害があるなりに元気だった子が
ある日突然に体調を崩し、あっという間に逝ってしまったりする。

あの子が死んで、この子がまだ生きていることの不思議を
説明することなど誰にもできない。

人の生き死には、人智を越えたところにある。

今日、葬式で
いっぱい死んでいった子どもたちや、
まだいっぱい、ちゃんと生きている子どもたちの顔を一つ一つ思い浮かべて、
改めて、そのことを思った。

同じように重い障害を持って生まれてきて、
あの子が死んで、この子がまだ生きていることの理由やその不思議を
いったい誰に説明できるというのだろう。

そんな、人智をはるかに超えたところにある命に、質もへったくれもあるものか。

「生きるに値する命」だとか「命の質」だとか「ロングフル」だとか、
そんなのは、みんな人智の小賢しい理屈に過ぎない。

生まれてきて、そこにある命が
生きて、そこにあることは、それだけが、それだけで、是だよ。

障害があろうとなかろうと、
どんなに重い障害があろうと、
生きてはいけない人なんて、どこにもいない。

重い障害を負った私らの子は
次々に死んでいくように見えるけれども、

本当は障害のあるなしとは無関係に
誰がいつ死ぬかなんて、誰にも分からない。

だから、

あの子もこの子も、生きてこの世にある間は
生きてこの世にある命を、誰はばかることなく、ただ生きて、あれ──

それを、せめて大らかに懐に抱ける人の世であれ──と

亡くなった子の遺影を見上げて、心の底から祈った。
2013.07.28 / Top↑
療育園との連絡ノートより

七夕会は、
前半の由来を聞いたりペープサートを見たりするところは
とっても静か。穏やかに過ごされていました。

後半、
全員の願い事を読みあげてゆくと、
徐々にテンション ↑ UP。

「私のは?」「まだ?」と言わんばかりに
声を出しておられました。

おやつはチョコレートムースでしたが、
ぺろりと、あっという間に食べられましたヨ。
 

昼ごはんが終わり、デイルームにおりたミュウさん。
必死で「オゥオゥッ」と言いながらTVを見つめています。

少しとなりの場所まで進んでいたミュウさんに
「がんばって元に戻って」というと、
手と足で振りをつけ、体を動かします。

「すごーい」とみんなで見ていると
「ア☆ハーン」と自慢げになり、

「TVみたいんよね。スイッチ押してくれる?」と
TVのリモコンをクッションなどで傾け、ミュウさんが押せるようにセッティング。

「オウ オウ」と興奮気味にボタンへ手が伸びてくる。

スタッフも見守り、「すごい、すごい」と言っていると、
少し違うボタンだけど必死で押してくれました。

その後「ここ押して」と赤いボタンへ手がいくように添えると、
満面の笑みを浮かべ、スイッチON!!

「ミュウちゃんが押してTVがついたよ」と言っていると
また自慢げな表情。

今日はみんなのお昼時間のためにミュウちゃんの活躍でTVが見れました。

「ごきげんよう」をこれまた
くいいるように見ているミュウさんでした。


……この単細胞ぶりは

はい。母親譲りです……。
2013.07.28 / Top↑
日本ではドル箱降圧剤、バルサルタンの論文不正を巡って
昨日、京都府立医科大がデータ操作を認める調査報告を出し、
今朝の新聞一面を飾っていましたが、

製薬会社の社員(中には株式を保有している社員も)が
自社の薬の効果や安全性を調べる臨床実験の報告論文の共著者になっているとか、
製薬会社がゴーストライターを雇って論文を書かせ、
有名研究者らの名前だけを並べた論文で認可を受けるとか、
はたまた治験データの隠ぺいや操作など、
英語圏でのビッグ・ファーマのスキャンダルは
なぜか日本ではまともに報道されないだけで、
ここ数年だけでも、わんさと出てきています。

そこで、それらの情報を取りまとめて
エントリーを立てようと考えていたら、

今日のNYTに標題の
いろんな意味でショッキングなニュースが……。


中国政府による外国企業の汚職調査で、
上海を含む3都市でグラクソ・スミス・クライン社の幹部社員らから
汚職容疑で逮捕が出ている。

逮捕された幹部らは
医師、病院、政府官僚などへの贈賄を認めているとのこと。

今年初めに
グラクソの中国でのオペレーションで不正が行われているとの内部告発が
ウォール・ストリート・ジャーナル紙にあり、それを受けて
同社は独自に調査をしたところ不正は行われていなかった、と先週発表したばかりだった。

中国は製薬会社にとっては
最も急速に成長するマーケット。

グラクソの中国での販売実績は12年には12億ドルへと17%も急増。

一方、イーライ・リリーは去年、
ブラジル、中国、ポーランド、ロシアで
官僚と医師らへの違法な金銭支払いに2900万ドルの和解金で合意している。

GSK社の中国での不正は
支出報告を偽造して公務員の医師らに贈り物や現金を送ったというもの。

米国司法省はここ数年、
ビッグ・ファーマによる販促目的での医師や病院への違法な金銭支払いについて
捜査を勧めてきたが、

今回の件では中国政府は電光石火のスピードで
社員を拘束し、事務所に強制捜査を入れ、結果を素早く発表した。

当局者は
中国での「販売チャンネルを切り開き、値段を目的で」
グラクソは同社の販促に協力できそうな人々に広範に賄賂を贈った、と。

驚いたのは記事最後の一文。

GlaxoSmithKline’s problems in China deepened this month when the company fired the head of its research and development center in Shanghai for misrepresenting date in a paper he co-wrote.

グラクソの中国における問題が深刻化したきっかけは、
共著者として執筆した論文でデータの報告に偽りがあったとして
今月、同社が上海のリサーチ開発センターのトップを解雇したことだった。

(ゴチックはspitzibara)

(バルサルタン事件もそうだけど、
「解雇」というのは、ファーマ側にとっては
証拠を出さないための都合のよい方策でもある……とか?)

GlaxoSmithKline Accused of Corruption by China
NYT, July 11, 2013


ちなみに、この記事で言及されている、ここ数年の米国司法省の調査の関連で、
以下のエントリーに見られるように、グラクソは昨年、
史上最大規模の30億ドルの罰金と和解金を支払っています。
(ついでにイーライ・リリーはというと、14億2000万ドル)

ビッグ・ファーマのビッグな罰金(2012/7/4)

グラクソの罪状は
18歳未満には認可されていないにもかかわらず
Paxilを18歳未満のうつ病対象と偽ったことと、
糖尿病治療薬Avandiaの安全性データをFDAに報告しなかったこと。

それぞれ以下のリンクの関連エントリーに詳細がありますが、
どちらも死者が出る悪質さです。

【パキシル関連】
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)

【アバンディア関連】
製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)


ところで、グラクソと言えば、
日本では目下もっぱらHPVワクチンで注目されているビッグ・ファーマですが、
そこには、こんな話も ↓

HPVワクチン論文の利益相反(前)(2013/7/9)
HPVワクチン論文の利益相反(後)(2013/7/9)

また、6月には松あきら議員の夫とグラクソの「蜜月」も報じられましたっけね……?


【16日追記】
続報あり、4人の名前を中国政府が公表。
http://www.guardian.co.uk/business/2013/jul/16/china-names-gsk-bribery-suspects?CMP=EMCNEWEML6619I2

【23日補遺から続報】

中国でのグラクソの贈賄スキャンダルで、グラクソ側が幹部による贈賄と性的便宜供与を認めた。GSK has admitted that some of its senior Chinese executives broke the law in a £320m cash and sexual favours bribery scandal.
http://www.guardian.co.uk/business/2013/jul/22/glaxosmithkline-admits-bribery-china?CMP=EMCNEWEML6619I2

NYT. 中国でのグラクソ・スキャンダルは違法な販促にとどまらず、研究にも疑義?
Glaxo’s problems in China may not just be about its sales practices. They may also concern its research.
2013.07.28 / Top↑