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前のエントリーの記事とセットで拾ったので、
ワクチン関連が立て続けで申し訳ないですが、ついでにもう1題。


GAVIが途上国の子ども達に接種するワクチンに
新たに2種類、ロタ・ウイルスと肺炎球菌を追加。

GAVIは6月に
子どもの予防接種プログラムの目標とされた370億ドルを軽く超えて
総額430億ドルの寄付金が集まったと発表したし、
ゲイツ財団も頑張ってGAVIへの資金調達に励んでいるので、

途上国もGAVIに対して、
ワクチン接種の予算を現状維持または増やすと約束した、とのこと。

GAVIのCEOは
「産まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なるということは
もうなくなるでしょう」

(それと同時に、製薬会社に更なる利益が約束されることでしょう……)

Fresh Push To Vaccinate Kids In Developing World
NPR’s Health Blog, September 27, 2011


途上国がGAVIへ予防接種の予算を約束……で思い浮かべるのは、
以下のエントリーで拾った「事前の名目で途上国が自己負担分を吐き出させられているだけ」との批判 ↓

ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)


それから、「生まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なる」というけど……
途上国に生まれた偶然によって異なっているから問題にすべき最たるものが
なんといってもワクチン、なにがなんでもワクチン……なのか?

以下のエントリーで書いた、
ソマリアに必要なのはワクチンじゃなくて食糧では、という話だとか、

「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種」(2011/7/29)

それはソマリアだけじゃなくて、
政治体制の不安定や医療制度を含めた社会のインフラ整備が十分でない途上国で、
なんでここまで「ワクチン一辺倒の問題解決」なのか、という疑問とか、

こういうところで出ている批判とか ↓
やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声(2011/6/16)


それから、6月の世界会議でGAVIには当初目標額の400億ドルどころか
それを超える金額が集まっているという話で思い出すのは、

こちらのワクチン債――。

なにしろGAVIに集められた各国からの拠出金が
ワクチン債の償還に使われるというのだから――。


【29日追記】
こちらの記事ではゲイツ財団がこれら2種類のワクチンを大量に購入した、と。
購入先はグラクソとメルク。

http://www.bloomberg.com/news/2011-09-27/gates-backed-fund-to-buy-1-billion-of-diarrhea-pneumonia-shots.html
2011.09.30 / Top↑
昨日のエントリーで
「ワクチン打たないなら診てやらない」という医師に
「あくまで説得。説得できなくても追い出してはダメ」と
Diekema医師が「らしくない」ことを言っているのが、
なんだか余計に匂う気が……? と思っていたら、

なんと、当のDiekemaのお膝元のワシントン州では
ワクチン免除の条件を厳格化するという法的措置を7月に取ったばかりだとのこと。

子どもを学校に通わせるために必須とされている州の予防接種を受けさせたくない親は、
医療職から免除証明書を取らなければならない、との法改正が7月に施行され、
果たして、ワクチン接種率の向上に効果があるかどうか、注目されているのだとか。

Diekema医師はこの記事では、
免除にどの程度の条件を付けるかは州によって異なっており、
「ワクチン免除の手続きを厳格にすればするほど接種率が上がることは確かです」。

ちなみにWA州全体では、
通学の条件になっているワクチンの免除を受けているのは6%。

郡によって1.2%から26.9%とバラつきがある。

Washington State Raises Bar For Parents To Skip Kids’ Vaccinations
NRP, September 27, 2011


26.9%ってな、
ゲイツ財団のお膝元で、それは、また、なんとも……。

あ、なるほど、だから州法改正、なのか……。
2011.09.30 / Top↑
7月6日に以下のエントリーで取り上げた問題の続報。

米国で「ワクチン打たないなら診てやらない」と医師ら(2011/7/6)


この後、今月に入って、
共和党の大統領候補の議員さんが
単に「HPVワクチンで娘が知的障害を負った」と主張する母親と会ったというだけで
「HPVワクチンは危険です。副作用で知的障害になります」と公言し、
それでなくてもWakefield論文の「自閉症ワクチン犯人説」の後遺症に過敏になっている
ワクチン推進陣営の神経を逆なでする、という騒動があった。

それでNYTがこんな記事を書いたりも ↓
米国のHPVワクチンを巡る州ごとの法制化実態(2011/9/14)

で、そういうワクチン騒動を受けて、今度はWPが
「CDCのガイドラインどおりにワクチン接種させていない親の子どもは診てやらない」との
方針を打ち出したNYのクリニックを取材して記事にしている。

そのクリニックFour Seasons Pediatricsの小児科医の言い分は
「患者のために最善を尽くすのが私の仕事」
「ワクチンを打っている子どもを打っていない子どもと接触させるのは
医師としての責務を果たさないことになる」

ワクチンが集団に対して免疫効果を発揮するには
全体の80~90%のワクチン接種が必要。
それによって、医学上の理由などから接種できない人たちを守ることができる。

ポリオ、麻疹、おたふくかぜ、MMR、B型肝炎など
多くの病気のワクチンについては接種率は90%を超えており、
まったくワクチンを接種していない子どもは1%にも満たない。

全体として拒否率は低いが、地域によりバラつきも。

2008年に宗教上の理由で免除した州が48。
思想信条や個人的な理由で免除した州は21。

米国小児科学会(AAP)は
親に根気強く説明し、親を教育・説得することで接種を促すことを勧めており、
そうした方針の主著者であるDiekema医師は、

「たいていの親は心配しているというだけで、
思想信条から断固反対しているわけではない」のだから
ワクチンの大切さを教えて理解させ説得しなさい、と。

そして、説得できなかったとしても、
小児科医が患者を拒むことはすべきでない、というのがAAPの方針。

子どもにワクチンを打たせることが目的だとしても、
その目的はクリニックから追い出すことで達成できるわけではないし、

他の子ども達を守るためだと言っても、
追い出された子どもたちは最終的にどこかで診てもらうわけだから
それは自分のところの待合室をクリーンにするだけで、
病気の感染を予防することにはならない、ともD医師。

Some pediatricians refuse to treat children whose parents oppose immunizations
WP, September 27, 2011


この記事を読んで特に目についたのは、
おたふく風邪だとか麻疹だとか我々が子ども時代からお馴染みのワクチンについては
接種率が90%を超えている、という情報。

ここにも「ない情報は、ないという事実そのものを見えなくしてしまう」マジックがあって、
それは、たぶん、ロタ・ウィルス・ワクチンとか、何よりもHPVワクチンといった
ごく最近、おそらくは「ワクチンの10年」の先駆けのように相次いで登場したワクチンで
接種率が低いのでは――?


それから私が一番気になるのは、
「ワクチンの10年」の仕掛け人であるゲイツ財団に非常に近しいシアトルこども病院の、
当ブログの仮説に基づけば、特に覚えがめでたいと思われるDiekema医師が
AAPのワクチンに関する方針の主著者というポストにいること――。
2011.09.30 / Top↑
ゲイツ財団が、
先頃グローバル・ヘルス部門の責任者を退職したTachi Yamada氏の後任として、
スイスに本拠地を置くビッグ・ファーマ、Novartisから
グローバル開発部門トップの役員を引き抜こうと狙っているらしい。

スイスの新聞が報道した。

ノバルティスの日本語ウィキペディアはこちら

Gates Foundation eyeing Novartis exec - paper
Reuters, September 11, 2011


なるほど、やっぱりゲイツ財団は
ビッグ・ファーマとの絆をどんどんと深め、広げていくのですね。


この記事で触れられている山田氏がゲイツ財団を退職してどこへいったかというと、
5月18日の補遺で拾ったように、日本の武田製薬。

そうすると、
これまでは東大がワクチン研究で繋がりを持っている程度で
さほどにゲイツ財団と親しくも思えなかった日本でも、

6月には日本政府が
ゲイツ財団の下部組織に等しい国際ワクチン推進組織GAVIに8億3000万円を約束 ↓

日本も13日のカンファでGAVIに8億3000万円を約束(2011/6/17)

さらに8月には
JICAもゲイツ財団と、なにやら妙な円借款の約束をしたりして  ↓

JICA、ゲイツ財団とパキスタンのポリオ撲滅で“戦略的パートナーシップ”(2011/8/20)

日本とゲイツ財団との関係がみるみる親密の度を増していくから不思議。

しかし、もちろん、それは
ゲイツ財団と日本の関係だけで起こっていることではなく、

ゲイツ財団の「元幹部職員」とは、単純に「退職」した人たちではなく、
ゲイツ財団から各国や国際機関などに「送りこまれている」人たちなのだろうと
私はずいぶん前から見当をつけている。

これまでに当ブログで掴んでいる限りでは
米国の国際開発支援を担当するUSAIDのトップも「ゲイツ財団の元職員」。

もう1つ、どこかの国際組織のトップが元ゲイツ財団職員だという情報を
拾っていると思うのだけど、すぐには見つけられないので、
そのうち出てきたらリンクします。

ともあれ、
ゲイツ財団が世界の科学とテクノとグローバル経済に及ぼす影響力(支配力?)は

まず、身体を巡る血液のように世界中の研究機関に浸透した研究助成のカネを通じて、
次に、上記のように世界中の国々や国際機関に送りこまれた「元職員」を通じて、
そして、ウォーレン・バフェットと2人でタグを組んでの投資行動を通じて、
またカネを通じての世界中のメディア・コントロールと、
Lancetを始めとする研究メディアのコントロール……

などなどを通じて、数年間で
あっという間に世界中に広がり強大化してきている。

それは、まるで、
世界的大不況が広がり、各国政府がカネと政治力を失っていくにつれ、
逆に、ごく少数に極端に集中していく富とその力とが
ゲイツ財団を中心に集中・強大化・組織化されていくかのようで。

今なお多くの人が
「ビル・ゲイツは善意のお金持ち」とナイーブなビル・ゲイツ像を抱き続け、
私も当初は「善意のヴォルデモ―トさん」だと考えていたけれど、

そういうのは、そろそろ考え直したほうがいいんでは?
私もずいぶん前から、もう「善意の」の部分はとりはずしました。
2011.09.12 / Top↑
パキスタンのポリオ撲滅で
ゲイツ財団と提携した円借款が検討されているとのニュースは
7月12日の補遺で拾っており、

これは、その続報――。

JICAの緒方貞子理事長とゲイツ財団の共同代表のビル・ゲイツ氏が
ポリオ撲滅で「戦略的パートナーシップ」を発表。

その手始めとして、
JICAはパキスタン政府に対して49億の円借款を行う。
ポリオ撲滅活動資金として、2013年まで。

ポリオは世界的には過去20年間で99%も減少しているが、
未だ感染が止められていない国が4カ国あり、パキスタンはその1つ。

今年1月、the National Emergency Action Plan 2011 for Polio Eradicationが開始され、
パキスタン政府あげてポリオ撲滅に取り組むことが約束されている。
(記事に、ゲイツ財団によって約束させられたという匂いが漂っていないでもない)

日本からのODAを資金に、世界銀行やユニセフ、WHOも一緒になって、取り組む。

成功裏にプロジェクトが実施された暁には
ゲイツ財団が償還を肩代わりするという革新的なシステムが採用された。

The Japan International Cooperation Agency(JICA) and the Bill & Melinda Gates Foundation Announce Partnership on Polio Eradication
PR Newswire, August 17


この記事を読んで思ったこととして、

① 特に注目したいのは、
この円借款が、“革新的な”「肩代わり」制度によるものだということ。

今回の「借金肩代わり制度」とは、
JICAの円借款をパキスタン政府に替わって返す、
つまりゲイツ財団が借金返済を肩代わりするもの。
もちろん、そこには条件がくっついていて、

if the project is successfully implemented

この successfully implemented って、
具体的には何を求められているんだろう?

目標通りのポリオ撲滅の実効が数値で示されること?
ポリオ撲滅には成功しなくとも、プロジェクトが予定通りに実施されること?
どこまでの実施で「予定通りに」とか「成功裏に」とみなされるのか?
その successfully が実際には「ビルを満足させるように」を意味することはないのか?

そうして 
子どもに銃を突きつけワクチン接種に見られるような
Bill Chill 現象は広がっていく……なんてことは?


②4月にこちらのエントリーで紹介した記事で
誰かが、ゲイツ財団による途上国でのワクチン推進はビッグ・ファーマを儲けさせ、
「慈善の名目で途上国政府が自己負担分を体よく吐き出させられているだけ」と
批判していたけれど、

これ、その自己負担分すら吐き出せない国に
その自己負担分や活動費用の部分を他国のODAで補わせるための”革新的なシステム”では?

実際、以下の2つのエントリーで眺めたように
6月13日のワクチンカンファで世界中から400億ドルが集まり、
「ワクチンの10年」の資金は既にめでたく揃っている。

日本も13日のカンファでGAVIに8億3000万円を約束(2011/6/17)
各国政府がワクチンだけで財布を閉じるなど「許されてはならない」……とGuardianがゲイツ財団の代弁(2011/6/17)

後者のGuardianの記事を書いた人などは、
「ワクチンの10年」資金はめでたく確保されたにしても、という前提で
「次にエイズがあるのだから財布を閉じるのはまだ早いぞ」と各国に警告を発しているくらいだ。

そうすると、パキスタンのポリオ撲滅のためのワクチン資金そのものは
既に確保されているわけだから、

それなら、ゲイツ財団による肩代わりを前提にしてまで円借款の必要が出てくるというのも、
なにやら不思議な話で、

今回の記事を雑駁に読むと、
つい「ワクチンへの国際援助」というだけでひとくくりして理解してしまうけど、
本当は私たちがつい思いこんでしまうワクチン費用ではなく、

パキスタンの自己負担分や推進活動資金を日本が肩代わりし、
それをさらにゲイツ財団が肩代わりして日本に償還する、ということなのでは?

せっかくゲイツ財団がワクチン代は世界中からかき集めてやったのに
自己負担分も担えず、推進活動費も出せない国は
いくらお尻を叩いてもワクチンに積極的にならないから
そこを他の国に補わせて、なにがなんでもワクチン推進に向かわせるためのシステム……?


③ 武田製薬にゲイツ財団から医療支援分野トップが送り込まれてきたのは5月。
それ以降、みるみる日本とゲイツ財団の関係が親密になっていくような気がするんだけど?


④ 6月18日の補遺から以下にコピペ。

ビル・ゲイツ氏がパキスタンの首相に電話をして、ワクチンによるポリオ絶滅について相談した。:ビン・ラディンの殺害を巡って米国とパキスタンの関係がこじれている時でも、“慈善家”ビル・ゲイツはこういうことが易々とできる。ということは、ビル・ゲイツは外交の上でも各国間に多大な影響力を持つというこ と。
http://www.thenews.com.pk/TodaysPrintDetail.aspx?ID=6824&Cat=13&dt=6/18/2011
http://app.com.pk/en_/index.php?option=com_content&task=view&id=142576&Itemid=2


【追記】
以下に続報があり、ゲイツ財団が肩代わり償還する条件は
「13年までにパキスタンのポリオが撲滅されること」。
http://www.thenews.com.pk/TodaysPrintDetail.aspx?ID=63652&Cat=4



【最近、続々と出ているゲイツ財団の慈善資本主義への批判を巡るエントリー】
ゲイツ財団のメディア・コントロール(2010/10/21)
ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)
ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声(2011/6/16)
ゲイツ財団肝いり“HIV感染予防ゼリー”は「新たなタスキギ実験」?(2011/6/24)
「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種」(2011/7/29)
公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/2)
2011.08.20 / Top↑