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今回のアシュリーの父親のインタビューで明らかになった
新たな“アシュリー療法”12ケースのうち、
Ericaのケースについては以下のエントリーに。

“Ashley療法”Ericaのケース(2012/3/28)


このケースに関して私が一番引っかかりを覚えるのは、
重症障害があると知りながらEricaを養子にした時の気持ちに着いて
母親が語っている以下の個所。

たぶん、この子が完全に依存しているからこそ私は入れ込んだんだろうと思います。だって、いつでもこの子には私が必要なんですから。エリカを自分の手でハッピーにしてあげられる満足感ですね。


これ、すごくコワいんですけど。

thrive on を「入れ込む」と訳したのは、ちょっとニュアンスが違うんじゃないかとは思うんですけど、問題のありかはおっしゃる通りで、子育てが親の側の欠落を埋める手段にされてしまうことの怖さですよね。元の問題が見えないだけに根深いし、コワい。

そこに障害児・者の依存状態が利用される、という怖さが上乗せされてしまう、そういうねじれ方は虐待の構図に近い感じがしてしまいます。

この心理、どっか代理ミュンヒハウゼン症候群に通じているんでは? そこまで言うと、言い過ぎ?


なお、今回の新展開に関する、その他エントリーは以下に。

論争から5年、アシュリー父ついに動く(2012/3/16)
「アシュリー療法」やった6ケースのうち、2人は養子(2012/3/16)
広がる“Ashley療法”、続報をとりあえずピックアップ(2010/3/17)
“Ashley療法” Tomのケース(2012/3/28)
2012.03.30 / Top↑
BMC Medical Informatics and Decision Making 2012, 12:26 に掲載の論文で

初期から中等度の認知症の人を介護しているケアラーへの
レスパイト・サービス選択をめぐる情報の流れと意思決定支援について
専門家とクライエントとそれぞれの視点からの質的研究。

12人のケアラーのインタビューと
3人の専門家アドバイザーのインタビュー、
さらに医療職の職種ごとに分けた3つのグループへのインタビューを
分析した結果、

ケアラーの意思決定支援のニーズについては
医療職の姿勢も考えも多様にバラついており、
それらは医療職ごとのアイデンティティを反映している。

すなわち、それぞれの医療職のアイデンティティごとの姿勢と考えによって
認知症のケアラーにどのような情報を提供すべきか、
それをいつの段階で提供すべきか、など
意思決定支援への姿勢が決まっていく。

中にはケアラーにはリアルな情報を与えない方がよい、と考える職種もあり
そういう職種グループではケアラーへの情報にフィルターをかけている。

この論文の結論は、

医療職の考え方によって情報の流れが疎外されて
クライアントの意思決定能力が制約されている。

そのために、医療サービスから
ケアラーとパートナーとなり共に意思決定を行う能力が失われている。
(共に意思決定を行う shared decision making)

アクセスできる資源さえあれば情報が自由に手に入る時代に
医療職が情報にフィルターをかけることはいかがなものか。

qualitative study of professional and client perspectives on information flows and decision aid use
7th Space Interactive, March 30, 2012


印象的なのは、
ケアラーと医療職の関係において
ケアラーを「クライエント」と称していること。


実は、これ、
昨日からツイッターでいろんな人とやりとりしていたテーマに重なるので
特に興味をひかれたもの。

関連ツイートを次のエントリーに。
2012.03.30 / Top↑
英国議会、公訴局長の自殺幇助起訴ガイドラインは認めるも、Ottaway議員提案の法改正は採らず。:うぇい。ギリギリの攻防かろうじて……。
http://au.christiantoday.com/article/british-mps-reject-relaxation-of-assisted-suicide-laws/13034.htm 

27日の英国下院 the backbench business committeeでの自殺幇助議論のビデオ・サイト。
http://www.parliament.uk/business/committees/committees-a-z/commons-select/backbench-business-committee/news/debate-on-assisted-suicide/

Neuroethics & Law Blogに「道徳ピルはまず不可能だし、我々にはまだ早い」と題して、ピーター・シンガーらの“道徳ピル”への反論。【Kolber】being a virtuous person implies that one can act differently depending on the context of action. That is, in order to be virtuous, one has, depending on the occasions, to be compassionate or strong, sensitive or able to defend one's values against those who question them, courteous or resolute. At any given time, it is practically impossible to predict which mental state (and its presumed cerebral correlatese) will be the most useful for being virtuous.道徳的に行動するためには刻々と変わる状況を的確に読んで適宜それに応じた行動を選ぶことが必要なので、よって、どんな頭の働き(と、その時の脳の状態)であれば道徳的に振る舞えるかを予め予測することは困難。つまり道徳ピルなんか無理。
http://kolber.typepad.com/ethics_law_blog/2012/03/we-are-not-ready-for-a-morality-pill-as-it-is-an-impossibility-lavazza-and-de-caro.html

【シンガーの“道徳ピル”とサブレスキュの“道徳エンハンスメント”関連】
SavulescuとSingerが「犯罪者は脳が決める。科学とテクノで犯罪予防を」1(2012/2/4)
SavulescuとSingerが「犯罪者は脳が決める。科学とテクノで犯罪予防を」2(2012/2/4)
SavulescuとSingerが「犯罪者は脳が決める。科学とテクノで犯罪予防を」3:リアクション(2012/2/5)


英国保健当局、09年の豚インフルの際に使われたワクチンPandemrixについて、子どものナルコレプシー(嗜眠?)リスクを調査。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/mar/28/vaccine-link-to-narcolepsy-investigated?CMP=EMCNEWEML1355

年寄の腎臓だって移植には十分使えます、という研究結果。:先月のBMAの提言にも「高齢や有病などハイリスク・ドナーからの摘出」という項目が含まれていた。
http://www.nytimes.com/2012/03/27/health/research/older-kidneys-work-just-as-well-for-most-transplant-patients.html?_r=1&partner=rss&emc=rss

以下の2010年の補遺で拾ったPathway Genomics社のDTC遺伝子診断キット問題からHCRに「消費者直結遺伝子診断と知る権利」
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1353/hcr.2010.0014/full

2010年5月13日の補遺
薬局で唾液採集キットを買って、唾をとって送ったら結果がネット上で見られるという遺伝子検査。26の病気のリスクが分かるという売り文句。米国で。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/188544.php

2010年5月18日の補遺
13日の補遺で拾った話題、Pathway Genomics社が売り出し予定だった「ネットでオーダー、唾液採集キットでカンタン遺伝子診断」に、FDAから「認可していない」とストップがかかった。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/188830.php


へースティング・センターが子どものメンタル・ヘルスをテーマにしたサイトを立ち上げている。問題行動と障害との線引きの問題や、薬物療法とそれ以外の有効性の問題など。
http://hastingshardquestions.org/childrens-mental-health

サヴレスキュが親分をやっているオックスフォード・ウエヒロ実践倫理センターが、社会問題を扱った中国とインドの映画を倫理の視点から論じるイベントを4月26日に。
http://www.practicalethics.ox.ac.uk/events/events/main/defeogiet

日本語。心拍パターンで「壁の向こうにいる人間」を個人識別。「米軍は現在、8mの距離や厚さ20cmの壁越しに、隠れている人物の心拍や呼吸を検知できる技術を利用しているが、これをさらに進め、心拍パターンから個人の識別を行うセンサーの開発を目指している」:識別されたら必死。
http://wired.jp/2012/03/28/follow-your-heart-darpas-quest-to-find-you-by-your-heartbeat/?utm_source=twitter&utm_medium=20120328

生殖医療ツーリズムのリスク。ドナー生殖子を使い海外で子どもを産んだ場合の子どもの国籍の問題。
http://www.slate.com/articles/double_x/doublex/2012/03/fertility_tourism_the_perils_of_having_a_baby_abroad_with_assisted_reproduction_technology_.html

ヴァージニアの男性に、これまでで最も広範な顔面移植。
http://www.washingtonpost.com/local/face-transplant-for-virginia-man-is-lauded-as-most-extensive-in-history/2012/03/27/gIQAYvB4eS_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

【顔面移植関連エントリー】
顔の部分移植が2例成功、「次はフルフェイス!」というけれど
米国顔面移植「これまでで一番広範囲」と胸を張る(2008/12/18)


カナダで乳幼児が十分に体を動かすようにとの0歳から4歳までのガイドライン。The Canadian Sedentary Behaviour Guidelines for the Early Yearsとthe Canadian Physical Activity Guidelines for the Early Years. :なんでこうもなんでもかんでも「指示通り」でなければならんかね。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/243448.php

アフガニスタンで投獄されている女性の多くは姦淫など道徳上の罪によるもの、とヒューマン・ライツ・ウォッチ。国際部隊が撤退した後が懸念される。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/mar/28/afghan-women-jailed-moral-crimes?CMP=EMCNEWEML1355
2012.03.30 / Top↑
この報告書の内容については3月14日に以下のエントリーにしていますが、
OR州2011年に尊厳死法を利用して死んだ人は71人の最高記録

BioEdgeのMichael Cookがエントリーにして
丁寧にコメントしているので、改めて以下に。


致死薬の処方を受けた人は114人。
死んだ人は71人。

そのうち、
10年以前に処方されていた薬を2011年になって飲んだという人は9人。

これまでのトータルでは
処方を受けた人が935人。
死んだ人は596人。

114通の処方箋を書いた医師は62人で、
一人当たり14通書いた計算。

中には一週間前に初めて患者と会ったという医師も。

データからすると、
処方された薬を1年以上たってから飲んで死んだ人が相当数おり、
中には自殺幇助を希望した後に872日も生きた患者も複数。
つまり余命6カ月以内という対象要件は意味を成していないことに。

また11年と同様、
処方された薬を飲んだけど死ねなかった人が2人。
意識を回復したが、それぞれ30時間後、38時間後に
薬ではなく、もともとの病気で死亡したと思われる。

さらに、
71人のうち精神科のアセスメントに回されたのは1人だけで、こちらも11年と同様、
うつ病や不安症その他の精神障害で公式なアセスメントを受けた人は事実上いない。

08年の調査で自殺幇助希望者の25%はうつ病と考えられるとの結果が出ていることからすると
セーフガードは効いているのか? 

希望者の大きな懸念としては、
これまた前年と同じく苦痛がコントロールできない不安を上げたのは3分の1のみ。

最も一般的な懸念もこれまでと同様に
人生を楽しむ活動ができなくなる、自己決定できなくなる、尊厳を失う。

薬を飲む場に医師が同席したのは6例だけで
その他3例では医師以外の医療職が同席した。
つまり62人が薬を飲んだ場面にはほとんど何もわかっていないことに。
医師は処方はしても、実際に患者が死ぬ時には関わっていないと見える。

毎年、オレゴンの尊厳死法の実態は見えにくくなっていくばかり、とCook。

医療が適正に行われるにはあらゆることがきちんと監督され
同職同士の検証の対象とならなければならないのに
オレゴンのPASにはそれはない、とも。

Oregon releases assisted suicide stats
BioEdge, March 28, 2012


【関連エントリー】
オレゴンの自殺幇助4人に1人は鬱病や不安症の可能性(2008/10/11)
2012.03.30 / Top↑
エリカ(仮名)14歳。
トムと同じく、赤ん坊の時に養子になった。

身長145センチ、体重33キロ。

成長抑制療法により
9歳のときの身長と体重からわずかに増えただけで維持されている。

家族は両親と兄弟姉妹が5人。

アシュリー事件以降、やろうとしたり実際にやった家族は表に出てこようとしないが、
5年たち、そろそろ口を開いてもいいだろうとエリカの両親は考えたそうだ。

取材はスカイプを通じて行われた。
エリカの“治療”はすでに終わり、
同じ状況の家族の助けになりたいと望んでいる。

トムの場合と違って、養子になった時にエリカの障害は分かっていたという。
エリカの障害は、実の父親に虐待されたことからくる揺さぶり症候群だった。

「この子がうちに来ることになったのには理由があったんです。
小さな天使みたいな子でした!」

「たぶん、この子が完全に依存しているからこそ私は入れ込んだんだろうと思います。
だって、いつでもこの子には私が必要なんですから。
エリカを自分の手でハッピーにしてあげられる満足感ですね。
我が子のように愛するのは難しいことではなかったです。
沢山の子どもをそんなふうに愛してきましたから。
先のことは考えてなかったんです」

しかしエリカの体は大きくなり、両親は将来を案じるようになる。

「抱いていてやらないと、時々赤ちゃんみたいにぐずるんです。
私たちの膝の上で親指をしゃぶるんですけど、今より25キロも増えられたら
そんなことはしてやれなくなります。
30キロ程度でも、バスタブに入れるのは難しいですし。
ソファから抱き上げたり下ろしたりするのは
重いですが、なんとかやれます。でも、エリカの体重が
60キロ、70キロとかになると無理です」

「できるかぎり長く世話をしてやりたいと思っていましたが、
私たちは親としては年が行っている方です。
施設に入れることになるのかと思うと本当につらかった。
障害のある人にかかわる仕事をしてきましたから、
家で面倒を見てやれなくなった親の苦しみは直に知っているんです」

アシュリー療法の報道を見て知らせてくれたのは息子だった。
アシュリーの状態はエリカとそっくりで、その療法は「奇跡」と見えた。

アシュリーの父親からは「諦めずに粘り強く」求め続けろと励まされた。

07年秋にエリカの主治医の内分泌医に相談したが、やらないと言われた。
エリカの母親の方の息子が、ミネソタ大学の内分泌医がいいと言い、
その内分泌医は、エストロゲンの大量療法は乳がんリスクを上げるから
同大の婦人科医にまず子宮と乳房芽を摘出させようと言った。

「子宮摘出こそやりたかったんです。
生涯、生理に苦しむなんて、かわいそうだと私たちは信じていたので。
言葉でどこが痛いって言えない子なんですから」

婦人科医に裁判所の命令がいるだろうかと尋ねたが
医師はいらない、と答えたという。

「誰もそんなことは問題にしませんでした。
『私がやります。いつやりますか?』って。
そんなに簡単だなんて、びっくりしました。
息子が裁判所の命令がいるのでは、と聞いたんですけど、
『もちろん無用です。娘さんのためを思ってされることですから』と。」

08年4月に子宮摘出。
3カ月後に乳房芽の摘出。
いずれも保険会社が支払った。

ホルモン療法のまえに
大学の倫理委への出席を求められたので
エリカを連れて行った。

委員会は4人で、プロトコルを作りたい、と言った。
両親はエリカに回復の見込みがないこと、
在宅でできるかぎりのことをしてやりたいこと、
特に父親は将来、男性介護者から性的虐待を受ける懸念を訴え、
最悪でも妊娠だけはしない方が本人の尊厳が守られる、と説いた。

4人はくつろいだ雰囲気でニコニコしながら
「娘さんのためにはいいことです」と言ってくれた。

08年10月から10年12月の間、1日20ミリグラムのエストロゲンを投与。
乳癌のリスクに加えて、血栓症のリスクもあるため、
現在アスピリンを毎日飲んでいる。

母親は「介護の利点の方がリスクを上回っている
(benefits to her care outweighed the risks)」と。

批判している障害者は正しく理解していない、と彼女は考える。

「私たちがこの療法の対象にしているのは、
障害者の中でもわずか1%のエリカのような子どもたちだけで
誰にでもやろうという話ではありません。
もちろんグレー・ゾーンの人もいますが、
エリカにとっては白黒はっきりしています。

手術させて健康な臓器を摘出したと非難する人もいますが、
じゃぁ、30年間生理の痛みに耐えさせるのはどうなんです?
自然に手を加えて神を演じる行いだという人がいますけど、
私たちの慈愛に満ちた神様ならエリカを苦しませておけとはおっしゃいません。
エリカが子どもを産むことも赤ちゃんを抱くこともないんです。

でも、エリカは家族と一緒にいて、親の膝の上にいることが大好きなんです。
赤ちゃんのままにしておきたいんじゃなくて、ハッピーでいてほしい。
エリカには幸せに暮らす権利があります」

The ‘Ashley treatment’ : Erica’s story
The Guardian, March 16, 2012


まず、気になったのは、
この人が重い障害のあるエリカを養子にした時の気持ちを語っている言葉。

Maybe it was the whole dependence thing I thrive on, because she was always going to need me. The satisfaction of being able to make her happy.

気になるというよりも、
正直、うすら寒くなるのだけど。

次に、
息子が大きな役割を演じていて、
どうやらミネソタ大の内分泌医に繋いだのも彼のようだけれど、
その息子については何も語られていない。

こんなにスムーズなものかと両親がびっくりしたということと合わせて、
そのあたりに、なにか伏せられていることがあるような……?

一つ確認しておきたいこととしては、
エリカの両親はアシュリーの父親とコンタクトをとっていること。
つまり彼のアドバイスに従って、この療法を実現にこぎつけているはずだということ。
2012.03.30 / Top↑
トム(仮名)は赤ちゃんの時にベトナムから養子にもらわれてきた。
現在12歳。重い脳性マヒがある。

認知能力は生後2カ月程度で、生活は全介助。

8歳の誕生日を前に08年10月に始めた成長抑制療法を間もなく終える。
現在の体重は32キロ。身長は134センチ。

世界で初めて“アシュリー療法”を受けた男児と推測されている。

母親は50歳で、
息子に思い障害があることを知ったのはトムが2歳の時。

生涯、座ることも歩くことも食べたりしゃべることもなく、
けいれん発作で命を落とすこともあり得ると知らされ、
この子のためなら何でもやってやろうと誓ったという。
成長抑制は、その誓いの一端でもある。

「8歳児ががんになったら、迷うことなく化学療法をやるでしょう?
医療はどんなものだって神を演じることですよ。自然に逆らうのだから。
そういう問題ではなく、助けを必要とする者を尊重するということ」

一家は両親とトムと妹。ヨーロッパに在住。
(国名は明かしたくないとのこと)

トムは家族といて、家族に抱かれている時が一番ハッピーで、
自分では移動できないので、ベッドから床に敷いたマットに、外の庭へと
母親が抱いて連れて行く。

こういう子は緊張が激しくて
異動させる時には体重以上の負担がかかる、と母親。

(この点は私も同意。アテトーゼ型のミュウは逆にぐにゃぐにゃで
頭部、上体、下肢がそれぞれ付いてこないため、ひと固まりの重さにならず、
背が高くなってからは介護者一人でトランスファーは無理)

成長抑制を望んで訪ねた内分泌医の初診は1時間程度になった。
障害児への成長抑制の経験はないが、
背が伸び過ぎる子どもの抑制はやったことがある、という医師に

ホルモン剤でけいれん発作が増えないか?
眠気が来るのでは? 栄養摂取に影響は? 
など聞いてみたが、答えはすべて「わからない」だった。

が、前にやった背の高い子どもへの経験で問題は起こらなかったし、
服用中は副作用のチェックをするので安全だと保障された。

エストロゲンの副作用で
胸が膨らんで乳房芽が形成されるのでは、との懸念には
医師は、もしそうなったら摘出すればよい、と。

なぜ男児なのにテストステロンでなくエストロゲンなのかを聞くと、
前者を使うと思春期が前倒しになり、ホルモンバランスが崩れる、との答え。

母親は通常なら病院の倫理委の承認なしには行わないことだと聞かされたが、
公式な許可があったかどうかについては知らないという。

「担当医の話では、まだ公式のプロトコルはないから
個々のケースでアセスメントを行う、ということでした」

トムの担当医に同じ療法を要望したアイルランド出身の母親もいたが、
自分たちの特命を望む理由には、医師が誰かを特定されたくないとの理由もある。

アシュリー・ケースで起きたバッシングのひどさがショックだったからだ。

「子どもを尊重していないという批判は当たらないと思います。反対ですよ。
矢面に立ったアシュリーの両親には辛かったと思います。
この療法を実現させるために勇敢に戦ってくださったのだから。

おかげでトムも恩恵にあずかれて、アシュリーの両親には私は生涯感謝します。
一番批判しているのは自己意識のある障害者で、
そういう人は自分の権利を意識しているけど、トムはそうじゃないんです。
アシュリーもそうじゃない。こういう子には誰かが代理で決めてやらないといけないし
代理で決めるなら、その子を愛する親以上にふさわしい人はいないでしょう」

Growth attenuation treatment: Tom, the first boy to undergo procedure
The Guardian, March 20, 2012
2012.03.30 / Top↑
イマイチ良く分かっていなかったのだけど、明日の英国議会の自殺幇助合法化関連審議とは、2010年の公訴局長のガイドラインを議会として承認するかどうかの投票らしい。
http://www.christian.org.uk/news/mps-to-debate-assisted-dying-guidelines/
http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-17516998

【ガイドライン関連エントリー】
DPPの自殺幇助に関する起訴判断のガイドラインを読む 1(2010/3/8)
DPPの自殺幇助に関する起訴判断のガイドラインを読む 2(2010/3/8)
英国の自殺幇助ガイドライン後、初の判断は不起訴(2010/3/26)
警察が「捜査しない」と判断する、英国「自殺幇助起訴ガイドライン」の“すべり坂”(2011/7/15)


カナダのNot Dead Yet 役員が、尊厳死委員会の提言報告書に反応。”Unfortunately the commission’s work is marred by a lack of precision and does not take disability discrimination and elder abuse into account” せっかく終末期の患者のニーズを重視しようとの姿勢はまっとうなのに、と。
http://www.prweb.com/releases/2012/3/prweb9325435.htm

前から言ってはいたけど、ビル・ゲイツが立ち上げから関わって大株主であるTerra Powerの第4世代原発を推進する、金儲けじゃない、CO2を減らして、より安全に電力供給を、としゃべっている動画。狙いは中国マーケット? 理想的な工程表が実現すれば、22年には最初のデモプラントを作れる・・・んだそうな。
http://www.youtube.com/watch?v=_HxI3-DzPWU

ビル・ゲイツがTerra Powerと組んで「やっぱり原発が安い」「温暖化への素晴らしきワクチン」「途上国に安価な電力を」と言っているのは、この技術 traveling wave reactor らしい。私にゃさっぱり分からんけど。http://en.wikipedia.org/wiki/Traveling_wave_reactor

Independentにビル・ゲイツとGAVIのチョ―○○記事。
http://www.independent.co.uk/news/people/profiles/bill-gates-we-could-save-three-million-lives-over-the-next-decade-7582492.html

デンマーク、電力の50%を風力発電で賄うことを目指す。http://www.guardian.co.uk/environment/2012/mar/26/wind-energy-denmark?CMP=EMCNEWEML1355

糖尿病の治療として、薬と食事・運動療法よりも胃のバンディングと小腸のバイパス手術の方が有効? コレステロールと高血圧にも、だって。).イタリアと米クリーブランドの2つの実験が、New England Journal of Medicineで。ただ2年間の短期間だし、サンプル数が少なすぎる、との指摘も。
http://www.nytimes.com/2012/03/27/science/to-combat-diabetes-weight-loss-surgery-works-better-than-medicine-studies-find.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120327

【関連エントリー】
肥満対策で胃の手術受ける子どもが急増(米)(2009/2/25)


米国の遺伝子特許訴訟の続報。子宮がんと乳がん遺伝子に特許を認めた上訴裁判所の先週の判決に、最高裁が再考を促す。自然の法則を当てはめただけだから、として。
http://www.nytimes.com/2012/03/27/business/high-court-orders-new-look-at-gene-patents.html?src=recg

【関連エントリー】
「遺伝子に特許やるな」という米国の訴訟(2010/2/8)
今年英国で生まれる826000人の新生児の3割は100歳まで生きる。http://www.guardian.co.uk/society/2012/mar/26/third-babies-2012-live-100?CMP=EMCNEWEML1355


春日武彦は嫌いだし引用個所で患者や家族に向ける目線にもイヤなものを感じるけど、ブログ主さんが書かれていることに共感。⇒母子密着の介護(CSカナリア闘病記)「悪いこととは知りながら、そうせざるを得なかった事情も個人にはあり(だからと言って、それが良いと言っているのでは無論ない)、社会の構造が、母子が密着しないと生きていけないようにさせているのではないか」
http://cscanary.at.webry.info/201203/article_15.html

日本。障害者の親集いの場
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20120326-OYT8T01273.htm
2012.03.30 / Top↑
スイスの男性が、死ぬ権利だけでなく、死ぬ権利の実現を保障する義務が国家にはあるとして欧州法の改正を求めているらしい。
http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2012/03/24/adf-argues-against-european-right-to-assisted-suicide/ 

スイスではターミナルではないために協力してくれる医師が見つからないと裁判を起こした女性もいる。
http://www.wnd.com/2012/03/no-doc-will-help-sue-government-to-kill-you/

明日英国議会で自殺幇助が議題にのぼるらしいのだけれど、それを受けてNHSの医師が、「こんなになったら本人だって生きていたくない」から緩和ケアを受けて気持を翻したMS患者の家族の体験を語って、合法化の危うさを説いている。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2012/mar/25/assisted-dying-suicide-doctor-oppose?newsfeed=true

上記議論で自殺幇助に反対する医師でもあるDan Pouleters議員の記事。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/9164473/MP-and-doctor-Dan-Poulters-expresses-fears-over-right-to-die.html

逆に、賛成する議員Richard Ottawayの記事。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/9165950/Richard-Ottoway-MP-hints-at-support-for-euthanasia-law.html

NZ議会にも、議員個人からPAS合法化法案提出の動き。
http://www.voxy.co.nz/politics/salvation-army-cautions-against-end-life-choice/5/118731 

ちなみに、スコットランドのMcDonald議員もメゲていない。 
スコットランド議会にまたも自殺幇助合法化法案(2012/1/26)


前の副大統領 ディック・チェイニー氏が、71歳で心臓移植を受けたことについて、心臓のレシピエントとするには年齢が高過ぎるのでは、との疑問の声が上がっている。
http://abcnews.go.com/Politics/dick-cheney-heart-transplant/story?id=15998479#.T3BWUNmFByI

サン・ディエゴの自宅でイラク女性が殴り殺される。遺体のそばに「国に帰れ。オマエはテロリストだ」と書いたメモ。http://www.guardian.co.uk/world/2012/mar/25/california-iraqi-mother-murder-hate-crime?CMP=EMCNEWEML1355

日本語。黒人少年射殺で釈放、「人種差別だ」と抗議激化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120325-00000218-yom-int

オバマの医療改革は憲法違反だとの訴訟、最高裁へ。http://www.guardian.co.uk/world/2012/mar/25/us-health-reforms-supreme-court?CMP=EMCNEWEML1355

「あの時、こう言ってやればよかったのに」言えなかったのが今思い返しても悔しくてならないなら、ここでどうぞ、という英語ブログ。
http://wouldhavesaid.com/
2012.03.30 / Top↑
アラスカ州、一方的なDNR指定を禁止へ。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2012/03/alaska-to-prohibit-unilateral-dnr.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29

カナダ:集中治療室のベッドが少ないときは、医師は救命医療ではなく終末期医療に切り替える傾向にあるという研究。:Kaylee事件にしてもFarlow事件にしても、こういう文化がカナダの医療にはもともとあるような? 
http://www.reuters.com/article/2012/03/15/us-when-icu-beds-idUSBRE82E1AY20120315

NYTはSingerを好んで使うけど、種差別論者を人種差別論者に比するシンガーは障害者差別論者なのだから、他人の倫理感をジャッジする資格などない、とするWesley J. Smithの記事。
http://thehumanfuture.cbc-network.org/2012/03/peter-singer-has-no-right-to-judge-anyones-ethics/

「種差別」というタイトルで、肉食に供される家畜がいかに残虐な扱いを受けているか、を描く映画。予告映像にSingerが登場している。:動物への扱いを改めろという主張には賛同する。だからといって、そこに知的障害者が云々という議論を持ちこむ必要はない、と思うだけで。
http://speciesismthemovie.com/

WSJに子どもに推奨されている多数のワクチンをどういうスケジュールにすればもれなく打てるか、という記事。Diekema医師は「ワクチンの専門家」だそうな。ふ~ん。いや、むしろ彼は「慈善資本主義医療」の専門家なんでは?
http://blogs.wsj.com/health/2012/03/20/how-do-vaccine-schedules-for-kids-get-designed/

今度はメラノーマのワクチン。:これが噂のDNAワクチン?
http://www.nytimes.com/2012/03/22/opinion/the-fight-against-modern-slavery.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120322

中国が死刑囚からの臓器摘出を改め、全国的な提供システムを構築する、と。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/mar/23/china-abolish-prisoner-organ-donations?CMP=EMCNEWEML1355

ユタ大が、遺伝子によるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの新生児スクリーニングの国際モデルを開発中。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/243132.php

英国の医師らが男女産み分けのためなど違法な中絶を行っているというニュースが相次いでいるけど、これは中絶を認める様式に白紙状態でサインしておくのが慣行化している、というニュース。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/mar/23/abortion-forms-pre-signed-spot-checks?CMP=EMCNEWEML1355

米国:死後生殖で生まれた子どもは遺族年金を受け取れるか。
http://bioethics.com/?p=11158&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+bioethicscom+%28bioethics.com%29&utm_content=Google+Reader

日本語記事。「精子ハンター」、男性ヒッチハイカーを狙う女性たち ジンバブエ。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2867418/8684180

ワシントン大の調査で、人種差別意識のある医師は黒人よりも白人により良い痛みコントロールを行う傾向がある。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/243119.php

日本。延命治療しない医師免責 議連が法案、終末期患者の意志なら
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E0E2E18B8DE0E0E2E1E0E2E3E09180EAE2E2E2

石原伸晃自民党幹事長の胃ろう患者『エイリアン』発言に対して、NPO法人PEGドクターズネットワーク(PDN)として意見書を送付しました(2月27日付)
http://www.peg.or.jp/news/ishihara/opinion.html

ヤクルトさんが孤立死防ぐ・・・母死亡の障害者救助。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120323-OYT1T00622.htm
2012.03.30 / Top↑
この委員会報告については
ここ数日、ものすごい数の報道が流れていて、
いずれもタイトルを「委員会がPAS合法化を提言」と打っているのだけれど、

なんとも不思議なことに、
報告書の24の提言は主として緩和ケアの改善と地域間格差の是正に関するもので、
多くの場合には、緩和ケアの改善で対応できる、としている。

その上で、そういう対応で苦痛が取り除けない例外的なケースでは

ケベック在住の成人で
不治の病で耐え難い心身の苦痛があるターミナルな患者本人が望む限り、
医師による自殺幇助という法的選択肢もあるべきだ、とするもの。

以下の記事にはこんなくだりもある。

The committee opposes assisted suicide, which consists of helping someone die when he or she hasn't arrived at the end of life.
"Our mandate was to look at the conditions at the end of life, so we felt that it (assisted suicide) was away from our mandate," said Veronique Hivon, a Parti Quebecois member and co-president of the committee.
"We feel that society puts so much effort and emphasis to fight for life and fight against suicide that we can't send a contradictory message."

委員会は自殺幇助には反対。終末期でない人を死なせる手助けを含んでいる以上は。

「我々の仕事は終末期の条件を検討することでした。その点で我々は自殺幇助については我々の仕事ではないと感じていました。社会は多くの努力をして生きるために闘うことを尊重し、自殺防止に努めてきたのだから、我々がそれに反するメッセージを送ることはできない、と感じています」と、委員会の副委員長。


もしも、これらの委員会メンバーの発言を額面通りに信じるならば、

「委員会、PAS合法化を提唱」
「ケベック政府は合法化に向け法改正を求められる」など

まるで委員会の提言が
まず緩和ケアの改善や保障を説くのではなく、
PAS合法化だけを提言しているかのごとくに書き、
緩和ケアの改善などにはまるきり無関心な英語圏のメディアは、
委員会提言の趣旨や姿勢をまったく読み違えていることになるし、
メディアがすべり坂の表面を滑りやすく道をならしているように思えてくるのだけど、

合法化に向けてロビーが暗躍しているとしか思えない事態が
このところ世界中で出来していて、何やらすべてが
政治的に動いている気配すらあることを考えれば、

報告書の緩和ケア向上云々も委員会のメンバーの発言も
単なるアリバイに過ぎないのか、とも考えてみたり。

Quebec panel:Allow doctor-assisted suicide in exceptional cases
The Canadian Press, March 22, 2012


ちなみに、この記事によると
カナダの自殺幇助合法化議論の流れを変えたケースは
1992年のSue Rodriguezさんの訴訟。

ブリティッシュ・コロンビアのALS患者。

自殺する権利を求めて最高裁まで闘ったが
最期は5対4で判事の意見が分かれ、認められなかった。

Rodriguezさんは94年に医師の幇助を受けて自殺。
この医師は特定されていない。

法改正されていないなら、それは犯罪者が放置されていることになるのだから
こういうところが妙だと、私はいつも思うのだけど、

この記事の書き方だと、
幇助した医師がいたにもかかわらず、
特定もされず、従ってもちろん逮捕も起訴もされなかったことをもって、
Rodriguez事件が一定の基準を作ったことになったらしい。

つまり、ターミナルな患者の自殺を幇助した医師は起訴されない、と。

てことは、すなわち
カナダでは英国の公訴局長が作ったようなガイドラインが
誰も明文化しないまま94年のRodriguez事件によって設定されたことになる?

でも、それは誰によって、どういう資格で――?


【ケベックのPAS合法化議論関連エントリー】
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
スコットランド、加・ケベック州で自殺幇助について意見聴取(2010/9/8)
ケベックの意見聴取、自殺幇助合法化支持は3割のみ(2011/12/29)

【カナダのPAS合法化議論関連エントリー】
カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議(2009/7/10)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
カナダの議会で自殺幇助合法化法案が審議入り(2009/10/2)
自殺幇助合法化法案が出ているカナダで「終末期の意思決定」検討する専門家委員会(2009/11/7)
カナダ議会、自殺幇助合法化法案を否決(2010/4/22)
カナダの法学者「自殺幇助合法化は緩和ケアが平等に保障されてから」(2011/2/5)
カナダで自殺幇助合法化を求め市民団体が訴訟(2011/4/27)
カナダ王立協会の終末期医療専門家委員会が「自殺幇助を合法化せよ」(2011/11/16)
2012.03.30 / Top↑
ミュウは実習生が来ると、
その中から好みのタイプに目をつけ、
全身の愛想という愛想を動員してニコニコ秋波を送る。

時には「あの人でないとイヤだぁ」と摂食拒否でゴネて、
自分の好みの実習生をおびき寄せることすらする。

が、御指名を受けたカレが食事介助に入り、
いざスプーンが口元にくるや、

買ってもらえないと見切りをつけた押し売りみたいに、
笑顔をすっと消してプイッと横を向き、断固ゼッタイに口を開けてやらない……らしい。

なだめられても透かされても。断固。ゼッタイに。
ジリジリと焦っていく実習生の顔をこっそりチラ見しつつ。

で、ついにネを上げた実習生が
職員さんに泣きついて助けを求め、
職員さんに介助が替わると、パクパクと食べ始める。

「え~~。なんでぇ」と
実習生の悲嘆の声を心地よく聞き、ほくそ笑みつつ……。

噂によると、
ウチの娘はどうやら、そういうヤツらしい。

我が家でその毒牙にかかるのは父親。
また、この犠牲者が、懲りるということを知らない。

娘の目に浮かぶ色を見れば遊ばれているのは歴然なのに、
ちょっとせびられると、いそいそと自分のおかずを娘の口元に運んでは、
プイっとすげなくフラれている。

泣く父。

それをチラ見しては、
してやったり、と幸福そうな娘。

まいど、まいど。
凝りもせず、週末ごとに――。
2012.03.30 / Top↑
豪クイーンズランド、ゴールド・コーストの医師が
患者や家族の医師に反して人工呼吸器を事実上止めたとして、
調査を受けている。

患者はターミナル期の高齢の女性で、
まだ死にたくない、死ぬしかないにしても、せめてもう数日、
家族との時間を持ってからにしたいと希望していた。

女性の意識はしっかりしていたが
人工呼吸器のために言葉は出せず、
文字盤でコミュニケートしていた。

自己決定能力を欠いていたとのエビデンスは全くない。

にも拘らず、家族が去った後で
問題の医師は呼吸器のセッティングを最低量とし、
事実上、スイッチを切ったのと同じことに。

女性は呼吸ができず、
何時間か苦しんだ挙句に死んでいった。

担当看護師は非常に動揺している。

Queensland Physician Turns off Ventilator over Patient’s Objections
Medical Futility Blog, March 21, 2012


Queenslandは
何かにつけて符丁が合うため、
個人的にとても気になっているところ。

まずクイーンズランド大学には、
ワシントン大学IHMEのMurrayの長年のパートナー、Alan D.Lopezがいる ↓
「健康で5年しか生きられない」のと「重症障害者として15年生きる」のでは、どっちがいい?(2010/8/20)

ゲイツ財団と一緒に途上国向けに栄養強化バナナの開発をしているのもQueensland大学 ↓
2011年2月26日の補遺


そして、なにより、Ashley事件の直後に、
Angela事件の舞台となった場所でもある ↓
Ashley事件とAngela事件の接点はここに……?(2010/4/27)
2012.03.30 / Top↑