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肌の発汗状態を電気信号化して人の集中や緊張度を測る技術
Galvanic Skin Response(GSR)を使ったブレスレットを授業中に生徒に装着させ、
それによって教師の技量を評価するシステムの研究に、

Gates財団から多額の資金が提供されている。

同財団が推進するMeasuring Effective Teachers (MET)プロジェクトの一環として、
Clemson 大学へのグラントとして49万8000ドル、
The National Center on Time and Learningへのグラントとして62万1000ドル。

合計110万ドル以上が、
このブレスレットを用いた教師評価の研究に費やされていることに。

使われている技術は
刺激に対する情緒と認知の反応をバイオメトリックで計測しようとの
「ニューロ・マーケッティングという振興分野」の一部だが、

生徒が一体、先生のいうことに反応しているのか、
それとも隣の席の友達が言うことに反応しているのかを
ブレスレットには判別できない、

電気代を賄うのにも苦労している学校区があるという時に、
実際に必要な物品ならともかく、なんだって
こんなものに金を使うのか、という批判も。

この記事の著者Valerie Straussは、

If this tells us anything, it is that the obsession with measurement and data in school reform has reached new nutty heights.

このニュースから何か分かることがあるとしたら、学校改革での数値化とデータへの偏執が、また一段とバカバカしさを増した、ということ。

$1.1 million-plus Gates grants: ‘Galvanic’ bracelets that measure student engagement
WP, June 11, 2012


ゲイツ財団の教育改革については、以下のエントリーに ↓
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)


上記の2でも同じよう内容の試みを紹介していますが、

今回のWPの記事でも、ゲイツ財団が進めるMETでは
全米7学校区で教師の評価研究プロジェクトが進められており、そこでは
生徒のテスト・スコアを全国的にデータ化して教師の評価に反映させるとか
教室に監視ビデオを設置するなどが研究されている、とのこと。

ゲイツ財団の教師の評価プロジェクト
Measures of Effective Teaching(MET)については以下のページに ↓
http://www.gatesfoundation.org/united-states/pages/measures-of-effective-teaching-fact-sheet.aspx


ところで、上記のWPの記事を受け、ゲイツ財団側は
同サイトの関連プロジェクトの内容は不慣れな職員による「誤りだった」として
その翌日に言及された2つのグラントの「目的」を修正した、とのこと。

いずれのグラントの目的も
当初、関連付けられていた教師評価プロジェクトに関する記述が削除され、
METとは無関係なブレスレットの有効性研究と書きかえられた。

それを受けて、以下はWPの追加記事。
Gates changes Galvanic bracelet grant description
WP, June 12, 2012



そういえば2008年段階で既に、マイクロソフトからは
以下のような「労務管理システム」が申請されていたっけな……。

ワイヤレス・センサーを使って
従業員の心拍数、体温、動き、顔の表情、血圧などを常時監視し
それらのデーターが管理職のコンピューターに送られることによって、
従業員一人ひとりの生産性がモニターできる。

コンピューターは個々人の体重、年齢、健康状態に関するデーターに照らして
従業員の心拍数の増加や顔の表情から苛立ちとかストレスを感知すると
即座に管理職に知らせて適切な対応を促す。

従業員をパソコンで監視・管理する世界へ(2008/2/12)
2012.06.19 / Top↑
グーグルが2010年から出しているインターネットの透明性に関する報告書で

過去6カ月間に、
西側の民主主義国を含め、各国政府がインターネットを検閲し、
政治的コンテンツの削除を依頼してくる件数が気がかりなほどに急増している、と。

スペインは
ブログと新聞記事へのリンクを削除してほしいとの依頼が270件。

ポーランドは
同国の企業開発に関する機関に批判的な記事と、
その記事へのリンクに繋がる8サイトの削除を依頼。

カナダの官僚からは、
カナダ国民がパスポートに排尿しトイレに流すYouTubeのビデオの削除依頼があったが、

グーグルは上記3カ国での依頼には応じなかった、という。

タイ当局からは現政権を侮辱しているとされ、
タイの法律に違反しているYouTubeのビデオ149本の削除依頼があり、その70%に応じた。

パキスタンは軍と政府高官を風刺したYouTubeビデオ6本の削除を依頼。
グーグル側は拒否した。

英国警察からは
テロリズム推進と思われるYouTubeのアカウント5件の削除依頼があり、グーグル側は応じた。

米国では
ハラスメントと思われるYouTubeビデオの削除依頼が多く
当局が求めた187件の削除依頼の内42%を削除した。

グーグルの幹部はブログで、

Unfortunately, what we've seen over the past couple years has been troubling, and today is no different. When we started releasing this data, in 2010, we noticed that government agencies from different countries would sometimes ask us to remove political content that our users had posted on our services. We hoped this was an aberration. But now we know it's not.

This is the fifth data set that we've released. Just like every other time, we've been asked to take down political speech. It's alarming not only because free expression is at risk, but because some of these requests come from countries you might not suspect – western democracies not typically associated with censorship.


最後の個所だけ、ざっと訳すと、
「政治的な発言の削除要求の増加が懸念されるのは、
言論の自由が侵されているというだけでなく
通常は検閲という言葉とは無縁と思われている
西側民主国家からもそうした要望が出てきているからである」

この報告の対象となっている過去6カ月間では
裁判所の命令には平均65%、非公式の依頼には平均47%応じたという。

他の幹部によると、グーグルがコンテンツを削除する場合、
主な理由はコピーライト違反で、同社の検索結果からコピーライト対象記事を削除するよう
版権者からの依頼が毎月100万件寄せられているという。

去年1年間に版権理由での削除依頼が330万件あり、
今年はその4倍に膨れ上がる勢い。
グーグルはこうした依頼には97%に応じたとのこと。

Google reports ‘alarming’ rise in censorship by governments
Guardian, June 18, 2012
2012.06.19 / Top↑
去年4月に以下のエントリーで紹介した住民投票が
17日に行われ、Vaudカントンで新法が作られることに。

スイスの地方自治体が高齢者施設での自殺幇助合法化巡り住民投票へ(2011/4/15)


刑法に個人的な利益ですることでなければ自殺幇助を違法ではないと解釈させる個所があるものの
スイスには自殺幇助に関する明確な法規制は存在していない。

今回17日に行われたVaudカントンの住民投票で
ナーシング・ホームと病院でも自殺幇助の希望があれば専門職はその希望を尊重すべきだ、と
62%が回答したことにより、

Vaudカントンで
スイスで初めての自殺幇助に関する法律が誕生することに。

新法が施行された後には
ホームと病院のスタッフには
自殺幇助を希望する人の意志を尊重する義務が生じることになる。

ただし条件として、
希望者は不治の病または怪我を負っていることと
自己決定できるだけの知的能力があること。

その2条件の判断は
ナーシング・ホームの施設長と病院の場合には主任医師によって行われる。

17日の投票では
ホームと病院の入所者・患者には無条件でPASを認めるべきだとする
自殺幇助機関Exitの選択肢も含まれており、

一定の条件をチェックした上で認めるとの案は
それに対抗する選択肢として提出されたもの。

こちらの選択肢はVaudのナーシング・ホームと医師らの協会も支持していた。
住民はExit提案を採らず、こちらを選択した結果に。

Exit側は、
医療サイドが最終的な判断権を持つなら、それは個々人の決定権の侵害であり、
組織的パターナリズムだと主張しており、

この法律ができても
施設側は自殺させないために手を尽くすだろうし、手続きも長くかかるので
自殺希望者は退所・退院して家に帰ってから自殺幇助を求める方がよい、と。

Vaud to get first Swiss assisted suicide law
Swissinfo.ch, June 17, 2012


なお、Exitからは、住民投票の直前に以下のような情報を流れていました。

スイスのナーシング・ホームでは既に自殺幇助が行われている(2012/6/13)
2012.06.19 / Top↑
3日ほど留守にして昨日帰ってきたら
その3日の内に自殺幇助関連で大きな出来事が2つも起こっていました。

一つがカナダで、もう一つはスイス(次のエントリーで)。
いずれも当ブログで既に拾って気になっていた話題でした。

まずはカナダのブリティッシュ・コロンビア州の大きなニュースを、
Globe and Mail紙の記事2つから。

            ―――――

カナダのブリティッシュ・コロンビアB.C.州で多数起こされている訴訟のうち、
自殺幇助合法化ロビーthe Farewell Foundation for the Right to Dieが介入して
特に注目を集めていたALS患者のGloria Taylorさん(64)らの裁判で、15日、

BC州最高裁は
自殺ほう助を禁じる刑法の規定について
「原告らの平等の権利を不当に侵害するもの」として、違憲と判断、
いくつかの条件付きでTaylorさんに自殺幇助を求める権利を認めた。

Taylorさんはそれを受け、弁護士を通じて以下のコメントを発表。

I am deeply grateful to have the comfort of knowing that I’ll have a choice at the end of my life. This is a blessing for me, and other seriously and incurably ill individuals. This decision allows me to approach my death in the same way I have tried to live my life – with dignity, independence, and grace.


同州では多数の類似の訴訟が起こっているので
詳細が私には整理できていないのですが、

冒頭の判決文の引用では「原告ら」と複数になっているものの
一方で、この判決で自殺幇助が可能となったのはTaylorさん一人だとも解説されており、

いずれにしてもこの判決で、今後Taylorさんと同じく
憲法適用除外の訴訟を起こす人が相次ぐだろうし、
Taylorさんにはそういう人を支援する用意がある、とも。

一方、以下のエントリーで紹介したように
連邦議会は2010年4月に合法化法案を否決しており、

カナダ議会、自殺幇助合法化法案を否決(2010/4/22)


また、1993年のSue Rodriguez訴訟におけるカナダ最高裁のPSA違憲判決と
今回の判決がどのように整合されるのか、という問題もあって、

今回のBC州最高裁の判決に、連邦政府が上訴するものと見られている。
上訴の期限は7月15日。

(記事には様々な立場の意見が多数紹介されていますが、
これまで他国の議論などでも繰り返されてきたことばかりなので、省略します)

B.C. Supreme Court strikes down ban on physician-assisted suicide
The Globe and Mail, June 15, 2012

Landmark case raises ‘weak and unpersuasive, but arguable, grounds for appeal
The Globe and Mail, June 17, 2012


15日付のGlobe and Mail紙の社説は以下。判決を「正しい」と。
http://www.theglobeandmail.com/commentary/editorials/bc-court-correct-to-strike-down-law-prohibiting-doctor-assisted-suicide/article4268263/

その他、17日に出ていた報道のうち一部を以下に。
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5gQMMl7-Q5gxfFRgWisO0zYcBuK8w?docId=CNG.cd10071abd95e4ef777f2f11df936cdf.dd1
http://www.guardian.co.uk/society/2012/jun/16/court-canada-ban-assisted-suicide
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-18467754

また、今朝出てきていた批判を以下に2つ。
http://www.huffingtonpost.ca/2012/06/16/archbishop-michael-miller-assisted-suicide_n_1603063.html
http://www.thestar.com/news/article/1212771--column-b-c-assisted-suicide-ruling-an-alarming-interpretation-of-charter-dimanno


【カナダの自殺幇助合法化議論関連エントリー】
カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議(2009/7/10)
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
カナダの議会で自殺幇助合法化法案が審議入り(2009/10/2)
自殺幇助合法化法案が出ているカナダで「終末期の意思決定」検討する専門家委員会(2009/11/7)
カナダ議会、自殺幇助合法化法案を否決(2010/4/22)
カナダの法学者「自殺幇助合法化は緩和ケアが平等に保障されてから」(2011/2/5)
カナダで自殺幇助合法化を求め市民団体が訴訟(2011/4/27)
カナダ王立協会の終末期医療専門家委員会が「自殺幇助を合法化せよ」(2011/11/16)
2012.06.19 / Top↑
【英の介護者週間18日から24日】

特筆事項として、レスパイトを介護者の権利として法制化へ。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-18379535
http://www.telegraph.co.uk/health/elderhealth/9320910/Carers-to-be-given-respite-holidays.html

ガーディアンの介護者週間記事で、早期に支援を行うと介護者の負担軽減効果があることにGPらがやっと気付いてきた、と。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/jun/12/but-who-looks-after-the-carers?newsfeed=true

24時間介護の介護者の心身の健康への影響。
http://www.enfieldindependent.co.uk/news/9754675.Treats_for_carers_during_Carers_Week/

7歳のヤング・ケアラーの男児が「2012年で最も英雄的な人々」の一人に。:こういうのは、ホント、どうかと思うんだけれど。
http://www.harrowtimes.co.uk/news/9755753.Seven_year_old_young_carer_wins_Nandos_Hail_a_Hero_competition/

経済不況で両親とも働かなければならないため祖母など身内が子育てを引き受けざるを得ない家庭が増え、そういう親族には支援がないことが英国で問題に。養親並みに支援を、と。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-kent-18406295

NZで成人した障害のある子どもを介護している家族に、手当を支給するよう裁判所が命じたのを受けて、保健省が制度改正を行うものの予算が限られているために対象者数によっては制限も。:ちゃんと読めないのが残念な記事。どういう位置づけの手当てなのか、気になる。
http://tvnz.co.nz/politics-news/family-carer-payments-capped-says-minister-4927264

こちらはついでで米国の「介護者の権利」をとりまとめたサイト。
http://www.caregiverslibrary.org/caregivers-resources/grp-caring-for-yourself/hsgrp-work-and-caregiving/caregivers-rights-article.aspx


【介護者支援関連以外】

介護者による虐待を含め、高齢者への差別が著しいとの調査結果が相次いでいる英国で、内務大臣が年齢差別禁止法の厳格化の方針を表明。10月以降、医師が年齢だけを理由に医療を差し控えることは差別に当たることに。:英国では高齢者の入院時に本人にも家族にも無断でDNR指定がされるケースが相次いで問題になっている。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/jun/11/theresa-may-patient-age-discrimination-ban?CMP=EMCNEWEML1355

母親の血液と父親の唾液で生まれる前から子どものゲノムがほぼ分かるようになる、とのニュースを受けて、NYTのコラムニストが「新・優生思想」への懸念を書いている。:これはエントリーにしたくて机の上にずっとあったのだけど、ついに断念しました。この頃、ニュースにとても追いつけない。それくらい世の中の変貌がどんどん加速している……と、もう日ごとに痛感し、どんどん人間社会の将来に絶望的な気分になっております。
http://www.nytimes.com/2012/06/10/opinion/sunday/douthat-eugenics-past-and-future.html?_r=2&nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120610

米国の乳児健診で、身長体重などの計測結果が成長曲線通りでないということになると親が不安を感じたり動揺することが問題に。:なんなんだろう、この子育て周辺に全般的に漂う息苦しいゼロ・トレランスな空気は? 成長曲線の問題ではなく、社会の姿勢の硬直化、偏狭化、何に対しても懐が浅くなっていくことの問題のような。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/pediatric-growth-charts-often-leave-parents-confused-and-concerned/2012/06/08/gJQAadfgUV_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

CTスキャンによる子どもたちの被爆の問題。:これは歯科のレントゲンと並んで、ずいぶん前から指摘され続けている。子育て周辺で親や子供に向けられる結果責任ゼロ・トレランスの空気の一方で、科学とテクノの利権構造は子どもたちを平気で餌食にしていたりもする?
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/as-ct-scans-become-more-common-for-children-concerns-about-radiation-grow/2012/06/08/gJQAZjWnUV_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

Lancetがまたも母子保健と未熟児に関する特集。国連のミレニアム・ゴールの再評価も。以下の他にも論文いろいろ。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/246413.php
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960820-4/fulltext
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960685-0/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=

今度はアル中と薬物中毒のワクチン。もう酒なんか飲まなくても「もっとハッピーな選択肢ができますよ」:これは「ワクチンの10年」が言われ始めた頃から「今後開発される夢のワクチン」の中に出てきていた。
http://www.guardian.co.uk/science/shortcuts/2012/jun/10/the-future-of-drugs-safe?CMP=EMCNEWEML1355

ヨーロッパで性病が広がりつつあり、2010年には32000件の淋病。しかも急速に抗生物質耐性ができている。このままいくと、そのうち淋病は不治の病になる、と専門家。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/jun/12/gonnorhoea-soon-untreatable?CMP=EMCNEWEML1355

都会の子供の方が田舎の子供よりもアレルギーになりやすい。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/246348.php

英国で人間それぞれにバー・コードを当てて管理しようというアイディアが論争に。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10104#comments

経済が破たんし病院の物資の不足が深刻なギリシャで極右政党が、病院や幼稚園から移民とその子どもを路上に追い出す、と。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/jun/12/golden-dawn-hospital-immigrants-greece?CMP=EMCNEWEML1355
2012.06.19 / Top↑
スイスのドイツ語圏のナーシング・ホーム職員への調査によると、
回答者の50%以上が自分の職場で自殺幇助が行われた、と答えた。

スイス在住者を対象とした自殺幇助機関Exitの幹部によると、
5年前には自殺幇助を容認するナーシングホームは20%だったというが

チューリッヒを中心に
Exitに来てくれと申し出る施設が増加。

最近2人の利用者から自殺幇助の希望があったことから
施設としての方針を作らざるを得なかったというBadenの施設長 Marc Pfirter氏は
「なにが正しいかを決めるのは我々ではないですから」と語り、
患者本人の意志が「sacrasanct 神聖不可侵」との立場をとっている。

「施設に入ると、
自分の世界がベッド一つと箪笥1つだけになってしまいますからね」

職員のサポートなしには動けない人の場合には
自分の思うように行動する能力が施設入所で低下することになるので、

そういうことを考えると
最後を決めるのは高齢者本人の意思決定だと結論したのだという。

とはいえ、施設によっては自殺幇助を禁じているところもある。
容認に向けた議論は行われているが、議論は激しいものになっている。

ナーシング・ホームでは自殺幇助はすべきではない、と考えるホーム関係者もおり、

「考えてみてください。
2人部屋で暮らしている女性の片方がある日突然、姿を消すんですよ。
もう一人に『あの人はどうしたの? 昨日まで元気だったのに?』と聞かれて、
『昨日Exitが来たんですよ』と答えるんですか? そんなことをしたら、
施設利用者の間に、とんでもない不安と疑いが広がりますよ」

More nursing homes allow assisted suicide
The Local, June 13, 2012


ちなみに、6月2日の補遺によると、

17日にVaudカントン(州)では
ナーシング・ホームと病院で自殺幇助を認めるかどうかの
住民投票が予定されている、とのこと。


チラっと思うのは、
劣悪なケアをする施設ほど、利用者の方々は自殺幇助を希望するようになると思うのだけれど、

それを本人の意思の尊重だと言って
Exitを呼んでは死んでもらっていいのだったら、

施設側には、
ケアの質を上げる努力をするインセンティブはなくなる……なんてことは?
2012.06.19 / Top↑
去年、以下のエントリーで取り上げた大会がいよいよ始まるようです。

死ぬ権利協会世界連合、来年チューリッヒで世界大会(2011/8/28)

世界中の55団体から約100人が参加予定。
(日本尊厳死協会もメンバーなので参加するものと思われます)

スイスの自殺幇助機関EXITによれば、

議題になる中には、
フランスの新大統領 Francois Hollande氏が選挙公約に挙げていた
ターミナルな人に対する自殺幇助の合法化や、

また、英国の専門家委員会がイングランドとウェールズでの
自殺幇助合法化を提言したことなどが含まれる、とのこと。

招かれる講演者の中には 
英国の「活動家」Debbie Purdy、
米国の弁護士 George Felos、
それから米国のアルツハイマー病患者でSF作家 Terry Pratchettら。

Right-to-die groups hope for laxer laws in Europe
AP, June 12, 2012


Hollande氏の公約については、こちら ↓
フランスの大統領候補が「当選したら積極的安楽死を合法に」(2012/2/6)

また英国の「専門家委員会」とされているものは、
もともと合法化ロビーのFalconer議員を委員長に
たいそう恣意的に組織された単なる民間の委員会で、
それについては、以下に ↓
英国Falconer委員会「自殺幇助合法化せよ」提言へ(2012/1/2)


実は今朝、ウォーキングしながら、なぜか、ふと
「そういえばデビー・パーディさんは最近どうしているんだろう」と頭に浮かび、
あれこれと考えてしまったところだったので、
この記事にお名前を発見し思わず笑ってしまいました。
まぁ、ご健在で何よりですが、

10年2月の自殺幇助起訴ガイドラインを作らせた“功績者”である
パーディさんについては、以下に ↓
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
法曹関係者らの自殺幇助ガイダンス批判にDebbie Purdyさんが反論(2009/11/17)
Debbie Purdyさんが本を出版(2010/3/22) 


作家の Pratchett氏については、こちら↓
作家 Terry Partchett “自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
自殺幇助ガイドラインに、MSの科学者とアルツハイマーの作家それぞれの反応(2009/9/23)
作家 Pratchette氏「自殺幇助を個別に検討・承認する委員会を」(2010/2/2)
Pratchett氏の「自殺幇助委員会」提言にアルツハイマー病協会からコメント(2010/2/3)
BBC、人気作家がALS患者のDignitas死に寄り沿うドキュメンタリーを作成(2011/4/15)


【13日追記】
その後、あれこれと出ている報道の一部を追記。
http://www.news24.com/World/News/Zurich-hosts-euthanasia-debate-20120612
http://www.reuters.com/article/2012/06/12/us-swiss-assistedsuicide-idUSBRE85B1ES20120612
http://www.foxnews.com/world/2012/06/12/right-to-die-groups-hope-for-laxer-laws-in-europe/
2012.06.19 / Top↑
7日の
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?のエントリーで
英国政府の資金でインドの貧困層に強制不妊が行われていることを
4月にガーディアン紙がすっぱ抜いたという話があったので、
その記事を読んでみました。

UK aid helps to fund forced sterilization of India’s poor
Guardian, April 15, 2012


問題のプログラムは Reproductive and Child Health Program Phase Ⅱ。
英国政府から1億6600万ポンドの資金を得て2005年にスタートした。

当時から、人口増加に悩むインドでは貧困層への強制不妊に使われるのでは、との
懸念は取りざたされていたというが、

英国の国際開発局(DfID)では来年まで資金提供が予定されており、
これまでに提供された1億6200万ポンドの使途には特に条件は付いていないという。

しかし、特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。

もちろん、上記のようなやり方だから死者も多数報告されており、
人権団体などが訴えを起こし、4月初めに裁判所はインド政府、州政府に対して
こうした疑惑に応じるように命じた。

しかしインド政府のスタンスは
上記プログラムにおいては不妊手術をなおも家族計画の最も一般的な手段としており、

英国のDfIDの2010年の報告書でも
地球温暖化への対策のために、こうしたプログラムの推進が必要だと述べている。

           ――――――


非常に興味深いと思うのは、
ここで強制不妊プログラムのターゲットにされている州の一つBiharが
ゲイツ夫妻が10年に「養子にした」ほどにゲイツ財団と縁の深い州であること。

ゲイツ夫妻が去年5月にビハールを訪れた際には
ビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書を交わしていること。

その他、ビル・ゲイツの途上国の避妊に関する興味関心については、以下に。
ゲイツ財団資金で超音波による男性の避妊法を開発、途上国向け?(2010/5/12)
注目集めるインド発・男性向け避妊法、「女性にも」とゲイツ財団(2011/6/3)
ゲイツ財団が途上国の「家族計画、母子保健、栄養プログラム」に更に150億ドルを約束(2010/6/8)
「途上国の女性に安価な薬で簡単中絶“革命”を」の陰には、やっぱりゲイツ財団(2010/8/3)


ついでに挙げておくと、
ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
2012.06.19 / Top↑
去年の秋に上梓した拙著
「アシュリー事件:メディカル・コントロールと新・優生思想の時代」(生活書院)について

刊行後に気付いた訂正や追加説明は、トップページの書庫
「拙著『アシュリー事件』について」書庫を新設し、注のテキストデータをアップしました に
取りまとめておりますが、

さらにまた一つ大きなミスに気付きましたので
追加訂正させていただきます。


P.154 の小見出し「エイミー・タンらの論文」は「ナオミ・タンらの論文」の誤りです。


お詫びし、訂正いたします。
2012.06.19 / Top↑
日本に介護者支援法を
実現する市民の会
にご賛同ください

「一般社団法人 日本ケアラー連盟」は、介護をしている人、介護者を気遣う人、介護者の抱える問題を社会的に解決しようという志を持つ人が集い、病気や障害ごとの縦割り介護を横につないで、「市民の共感と連帯の力がいかされる社会保障」に向けた改革を推しすすめ、共に生きる社会をつくります。

 日本の社会は、安定的なセーフティネットとしての社会保障制度の基盤がゆるぎ、再構築が急がれています。とりわけ介護問題の中でも、今なお「介護する側」が抱える長期間にわたる身体的・精神的・経済的な過酷な負担という課題については、国による正確な実態把握も遅れ、有効な支援施策も欠いたまま、長い間放置されてきました。
人はみな「人として尊厳を保ちながら、健康で文化的な生活をおくることができる」権利や、幸せを追求する権利をもっています。しかし、介護者自身のそうした権利は、「(介護は)家族がやってあたりまえ」という無言の圧力のもとに覆い隠されてきました。
さらに私たちは、この社会が介護者という当事者たちの「声なき声」と真摯に向き合うことなく、社会問題として顕在化させてこなかったという事実にも目を向けなければなりません。

 これまで日本では、病気や障害ごとにさまざまな患者会や家族会が、自助グループとして長きに渡り当事者の権利や生活を守るため、地道な運動を積み重ねてこられた経緯があります。その歴史を踏まえつつ、私たちは、あらたに「介護者(ケアラー)」をキーワードとして、横につなぐ運動を展開したいと願い、2010年6月に任意団体である「ケアラー(家族など無償の介護者)連盟」を立ち上げ、全国調査を実施してきました。

そこからみえてきたことは、
1―5世帯に1世帯は在宅で介護(ケア)をしている人がいる
2―4人に1人は複数の人の介護(ケア)をしている
3-高齢者や男性、未婚、働き盛りの介護者、育児と介護の両方を担う人、なども増えており、想像以上に幅広いケアラーが存在している
4-2人に1人は身体の不調を感じ、4人に1人以上は心の不調を感じている
ことなどです。
その支援は最早国民的な課題です。

 また、精神疾患・認知症の人を介護しているケアラーは、とくに負担感や孤立感を感じており、精神疾患のある親の元で、実際にはケアをしている子ども(10代・20代のヤングケアラー)は、“「病気」や「生活」「自分」のことが分からない”、“誰にも言えず、家の中でも孤独である”、“大人になっても「生活のしづらさ」を感じている” という調査結果もあります。

そして何よりケアラーは多様な支援を望んでいることも明らかになりました。
 
私たちは、介護者支援の目的を、

① 介護される人、する人の両当事者がともに尊重される
② 無理なく介護を続けることができる環境を醸成・整備する
③ 介護者の社会参加を保障し、学業や就業、趣味や社交、地域での活動などを続けられるようにする
④ 介護者の経験と、人びとの介護者への理解と配慮がともに活かされる社会(地域)をつくる

ことに置いています。

この運動は、介護者の権利擁護せいをめざし、具体的な支援施策の実施や、その根拠となる「支援法」の制定をも盛り込んだ幅広い国民的な運動です。
現在、介護者支援法(仮称)の制定に向けて活動する、「日本に介護者支援法を実現する市民の会」の準備をすすめています。
志を同じくするみなさまの積極的な参画をいただき、国会そして社会に向け大きくアピールをしていきたいと考えています。この趣旨に賛同し、ぜひ名を連ねていただきますよう切にお願いいたします。

2012年(平成24年)6月吉日

                   日本に介護者支援法を実現する市民の会
                       事務局:一般社団法人日本ケアラー連盟
                                                   代表理事   岡部 謙治
                                                            児玉 真美
                                                            津止 正敏
                                                            堀江 紀一
                                                            堀越 栄子
                                                            牧野 史子

                                                            三富 紀敬

ご賛同いただける方は、お手数ですが、 次のエントリーの内容をコピペ・記入していただき、
以下の日本ケアラー連盟事務局あてにファックスまたはメールにてお送りいただきますよう、
また期間が短く恐縮ですが、6月18日までにお願いいたしたく、
どうぞよろしくお願いいたします。

◆窓口◆
一般社団法人日本ケアラー連盟事務局
〒160-0022 東京都新宿区新宿1-25-3エクセルコート新宿302
Tel.03-3355-8028/Fax.03.5368-1956
メール:carers.law@carersjapan.com
2012.06.19 / Top↑
これまで
中国、インド、ブラジル、フィリピン辺りが通り相場だった臓器のブラック・マーケットが
ヨーロッパの経済危機でギリシャ、スペイン、イタリア、ロシア、
それからセルビアなどのバルカン諸国へと広がっている。

腎臓から髪の毛、精子、母乳まで
ありとあらゆる人体パーツを売ります、という広告が
そうした国々の人々によってインターネットに出されており、
中には肺を250,000ユーロで買ってください、というものも。

最近では、こうした動向は米国にも及び、
不法滞在の移民が糊口をしのぐためにネットを通じて腎臓を売るケースが
複数、明らかになっているという。

専門家によると、そうした中、組織犯罪グループが、
慢性的貧困に苦しむ弱者と、何としても助かりたい富裕な患者の両者を
共に餌食にして肥え太ることとなっている、と。

例えばセルビアでは臓器売買は他国と同様に
10年以下の懲役刑にあたる違法行為だが、
腎臓移植の必要な人3人に1個の移植腎臓しかない(昨年のデータ)とあって、
ネットを通じて患者と貧困層のドナーを仲介するブローカーが暗躍。

腎臓1個につき10万ユーロ、プラス必要経費。

Organ Watchというカリフォルニア州に本部を置く人権組織は
世界中で違法に売買されている腎臓は年間15000から2万個と推計しており、
国連でも腎臓移植に使われる5~10%は売買されたものだとしている。

EUの特別検察官は、
最近までヨーロッパの売買のハブはトルコで
移植ツーリズムにやってくるのは米・英・仏・伊・独・イスラエルの患者だった、と。

記事で紹介されているケースでは、

セルビアの50代の夫婦が
パンとサラミだけの食事を一日一回だけしか食べられないところまで追いつめられて
もはや腎臓を売る以外に飢えを避ける道はないとネットに広告を出した。

46歳のギリシャのビジネスマンの男性が
家族みんながホームレスにならないためにはこれしかないと、
腎臓を売りに出し、買い手を見つけるために探偵まで雇った。

セルビア南部の町 Doljevacの失業率は50%で、
ある主婦が臓器売買ネットワークを立ち上げると、3000人以上が登録を希望。
しかし非合法のため政府が認めず、彼らは今では近隣諸国へ行って売ろうとしている。

セルビア政府が臓器を売らなければならないほど自国民は食い詰めていないと主張する一方、
同国の警察は過去10年間に臓器売買のケースを起訴したことが一度もないし、

ベルグラードの著名な腎臓専門医は
移植腎臓は病院の委員会で精査されているので
違法な売買がセルビアで行われているというのは信じがたいと言うが、

工場の仕事を失った後に裕福な地元の政治家に腎臓を「あげ」て、
お礼にその人の会社に雇ってもらい医療費を出してもらったと証言する
セルビア南部の52歳の男性は、ドナーカードなど偽造書類で兄弟を装って
ベルグラードの公立病院で腎臓摘出を行った、と語る。

記事冒頭で紹介されているセルビア人夫婦の夫は
無料の教育と障害の仕事が保証されて腎臓売買なんて聞いたこともなかった
ユーゴスラビア時代を懐かしみながら、

「この国の人々が臓器を売るようなところまで追いつめられるなんて恥辱。
もっとひどい不況の時ですら、臓器を売れるなんて考えたこともなかった」

European Crisis Bolsters Illegal Sales of Body Parts
NYT, June 1, 2012


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