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新たな調査によると、英国人は他のヨーロッパ諸国に比べて
寿命が短く、なおかつ健康度が低い、という結果が出たことを受け、
Guardianに出ている「長生きする10の方法」という記事が面白い。

なんせ、その第1が「日本に移住しましょう」。

健康寿命が世界一長いところだから、
そのライフスタイルから学ぶためにも。

以下に、その他9つと共に。

1.日本に移住しましょう。

2.血圧を測りましょう。

3.ジャンクフードを避け、果物、野菜、ナッツ、種を食べましょう。

4.ほどほどのアルコールを。

5.ゴロゴロしないで身体を動かしましょう。

6.禁煙を。

7.病気をもらわぬよう病院は避けて。

8.ストレスをためないように。

9.車の事故死を避けるために電車を利用しましょう。

10.英国北部よりも南部に住みましょう。


Ten ways to live longer
The Guardian, March 5, 2013


トランスヒューマニストは、
こんなことを考えていたりもする ↓

Dvorsyの「永遠に生きる確率を劇的に向上させる8つのヒント」(2009/5/26)
2013.03.07 / Top↑
もちろん、あくまでも少数に過ぎないけれど、
命令し、怒鳴り、わめき、暴言を吐き、キレる医師というのはいる。

専門家によると、
米国の医師のだいたい3~5%ではないか、とのこと。

例えば記事の冒頭に出てくるのは、
手術中に手渡された器具が正しく設定されておらず使えなかったことでカッとなり、
テーブルに叩きつけて助手の指を骨折させた外科医。

他に、例えば
患者のことで看護師が夜中に電話すると怒鳴りつける、
手術室で研修医がとろいとメスを投げつける、
他の職員を愚弄するようなものの言い方をする、
次々に質問する患者を途中で遮る……などなど。

(ちなみに私は、ミュウの腸ねん転の手術直後に
痛み止めの座薬を入れてもらえないので、
入れてやってほしいと訴えていた時に、その言葉途中で、
ハエでも追い払うような手ぶりで会話を一方的に途絶され、
そのまま医師に立ち去られた経験があります)

文中にあるすごい事例では
手術中に麻酔科医と口論になった外科医が
「ちょっと外に出ろ」と麻酔科医を引きずり出してったまま
患者を放置した、とか。

しかし、医師はなんといっても病院の職種ヒエラルキーのトップだし、
病院にとっては稼いでくれる立役者なわけだから、
そういうお医者さんたちはこれまで「そういう人だから」とか、
ストレスや責任の大きさで許してもらってきた。

が、ここへ来て、
そういう時代が終わりを告げようとしているらしい。

米国では09年にできた新規制により、病院には、
例えばページング(病棟からの呼び出しなど)に応じないとか
会議に出てこないといった消極的なものを含め、
問題行動への対応策が義務付けられたのだとか。

しかも、その姿勢は「ゼロ・トレランス」。

なんとなれば、医師の迷惑行動は単に不愉快なだけに留まらず、
職員の士気を低下させ、患者の命にすら関わることが
データとして明らかになっているのだそうな。

2011年に842の病院を調査したところ、
71%が、迷惑行動が少なくとも毎月起こると回答。
毎日あると答えた病院も11%もあった。

99%がこうした迷惑行動は患者のケアに悪影響があると答え、
21%は患者に害を及ぼすと答えた。

例えば、カリフォルニアでは
看護師が医師から叱責を受けたりバカにされることを恐れて
モニターに出た気になる数値を報告しなかったために、
母子が死亡した事例が、調査の対象となっている。

IUCの患者が誤嚥性肺炎を起こしているのではないかと案じた看護師が
医師の自宅に電話をかけたところ「勉強が足りない」と相手にせず、
患者が死亡した事例も。

こうした医師の態度が、看護師を現場から遠ざけ、
看護師不足の一因ともなっている。

しかも、今はチーム医療の時代。

問題行動のある医師を対象に、
アンガー・マネジメント(怒りのコントロール)講座がお目見えし、
病院から命じられた医師らが受講している。

3日間の講座の後、
6カ月の間に3回のフォローアップ。
一人4500ドルなり。

なんで自分がここへ送られたのか理解できないという参加者の一人に、
講師は「あなたが傲慢で嫌な奴だと、みんな思ってるからですよ」。

受講者について講師は
「IQは高いけど、情緒的知性は really pathetic」。

専門家によると、そうした問題行動は
パーソナリティに根があって、それが子どもの時の体験で強化されていることが多いが、
上が下を押さえつける医学教育のあり方にも問題がある、とのこと。

Anger management courses are a new tool for dealing with out-of-control doctors
WP, March 5, 2013


読んでいたら、なにやら、
女子柔道界の指導者による暴力問題とそっくりな構図のように思えてきたり……。
2013.03.07 / Top↑
アザラシ肢症のため、
生まれつき両腕がなく両脚も短い障害を持つ
英国の芸術家、アリソン・ラッパーの妊娠裸像が
英国ロンドンのトラファルガー・広場に設置されたことで
批判が巻き起こった一件について、以下のエントリーで取り上げました。

Ouellette「生命倫理と障害」第5章: 「アリソン・ラッパーの像」(2012/1/17)
「アリソン・ラッパーの像」から考えたこと(2012/1/18)


今日、必要があって久しぶりに検索したところ、

以下のブログがラッパーさんのその後を
何枚もの写真と一緒に紹介してくださっていました。

芸術家アリソン・ラッパー
「ハナママゴンの雑記帳」ブログ, 2012/9/2


それによると、あの裸像の石膏取りの際におなかの中にいた息子のパリス君は
現在12歳になったのだとか(誕生日によっては13歳かも)。

子育て中のラッパーさんや、
画家として活動するラッパーさんの姿や作品など、

素敵な写真が沢山あるので、
ぜひ、ハナママゴンさんのブログ・エントリーをご訪問ください。


とても嬉しい発見だったので、
上記12年1月18日のエントリーに書いた以下の個所のコピペと共に、私もエントリーに――。

重症障害児・者を見たことも触ったこともない学者さんたちが
アカデミックな世界で障害のある新生児の中絶や安楽死を議論していることへの疑問から
そういう人たちと「出会う」べく行動を起こしてほしいと、ある人にお願いし、
「見学にいく」のではなく「出会って」ほしいのだと念押ししたのだけれど、

「見学」にいって、フロアで文字通りごろごろしている
いくつもの「ねじれた身体」や「奇妙な身体」を「見て」終わってしまったら、
「自分ならこんな姿になってまで生きたいとは思わない」的な安易な感想に繋がらないとも限らない。

だからこそ、
その中の誰かと触れあい、○○さんという名前を持ち個性を持った人と接し、付き合ううちに、
ねじれた身体が全然問題ではなくなる「○○さんとの出会い」の体験をしてもらいたい。
2013.03.07 / Top↑
生活書院さんから毎年3月に刊行される『支援』という雑誌があります。
これまでの関連エントリーは以下 ↓

「支援」創刊号を読む(2011/4/17)
「支援2」からのツイート集 1(2012/4/17)


その第3号が今月末に刊行されるのですが、訳あって、そこに
「母親が『私』を語る言葉を取り戻すということ」というタイトルの
つたない文章を書かせていただきました。

書くことになったいきさつや、
この原稿は書く時よりも書くことを決断するまでが壮絶に苦しかったという事情も
その文章の中に書いていますので、

よかったら読んでいただけると嬉しいです。


それから、中根成寿さんが
拙著『アシュリー事件』の書評を書いてくださっています。

私もまだ内容を知らないのですが、
「善意と専門性に対峙する、児玉真美の軌跡」というタイトルに
もうそれだけでジンと来てしまいました。

以下、生活書院のサイトからの紹介です。
3月28日刊行予定とか。


★特集 逃れがたきもの、「家族」/トークセッション 支援の多様な可能性──ケアの制度の縛りの中で、歩みを続けるために  川口有美子×柳本文貴 ほか

「支援」編集委員会=井口高志・岡部耕典・土屋葉・出口泰靖・星加良司・三井さよ・山下幸子【編著】
支援  Vol.3
特集 逃れがたきもの、「家族」

________________________________________
A5判冊子  312頁  1575円(税込)  ISBN   978-4-86500-005-4 

 
 第3号の特集は、「逃れがたきもの、『家族』」。支援やケアをめぐって「家族」が語られるときの私たちの逡巡や曰く言い難い不自由さはどこから来ている のか。そこに押し付けるのでもなく、ただ「敵」だと言って終わりにするのでもなく、しかし持ち上げるのでもなく……さまざまな射程からあらためて「家族」 にまつわる問題群に向き合います。  他に、川口有美子と柳本文貴のトークセッション「支援の多様な可能性──ケアの制度の縛りの中で、歩みを続けるために」、尾上浩二へのロングインタ ビュー「パーソナルアシスタンスのこれまでと、これから──関西障害者運動からのとらえなおし」、難民を助ける会の野際紗綾子に聞く「東北・東日本大震災 支援における国際NGOの活動」など
 

【目次】
特集  逃れがたきもの、「家族」

関係を取り結ぶ自由と不自由について──ケアと家族をめぐる逡巡  土屋葉
閉じること/開くことをめぐる問い──家族介護を問題化する〈まなざし〉の変化を素材として 井口高志
母親が「私」を語る言葉を取り戻すということ  児玉真美
看護職である私の「家族」についての臨床の『知』  吉田澄恵
家族を家族とするものは──家族をひらこう  渡井さゆり
「家族」からの離れがたさ──セクシュアルマイノリティの「病院での面会」から  三部倫子
「子育て〈支援〉」にこじれ、「〈支援〉される家族」にこじれて。
──家族ケアの「私事化」と「脱私事化・脱家族化」とのはざまで  出口泰靖

トークセッション 
支援の多様な可能性──ケアの制度の縛りの中で、歩みを続けるために
           川口有美子×柳本文貴(司会/山下幸子)

ロングインタビュー1 
パーソナルアシスタンスのこれまでとこれから──関西障害者運動からのとらえなおし
           尾上浩二に聞く (聞き手/岡部耕典・山下幸子)

ロングインタビュー2
北・東日本大震災支援における国際NGOの活動  
           難民を助ける会・野際紗綾子に聞く (聞き手/土屋葉・井口高志・岩永理恵)

エッセイ
道しるべ  越智須美子
円満自立で、安心隠居生活  岡部知美
近すぎて届かないもの──バルネラブルな知識の交換のために(2)  飯野由里子

支援の現場を訪ねて
1  むつき庵(京都市)──モノは使いよう!  三井さよ
2  若年認知症サポートセンター絆や(奈良市)──ゆるくていいじゃない  井口高志
3  さっちゃんの家(成田市)──「利用者」とならず、「支援者」となる。  出口泰靖

支援の周辺
1  〈できない人〉はすごい、のその先へ  岡部耕典
2  自分の足元から、想像力を広げる。  山下幸子
3  「可能性」を問うことの先に  星加良司

シンポジウム報告
支援のフィールドワーク──調査と実践のはざまで  前田拓也

書評
1  善意と専門性に対峙する、児玉真美の軌跡
  (『アシュリー事件──メディカル・コントロールと新・優生思想の時代』児玉真美著)  中根成寿
2  介護や支援の「責任」をどう考える? 
  (『介護事故の法政策と保険政策』長沼健一郎著)  三井さよ
3  架空座談会──「ケア」と「自立」の新たな関係
  (『フェミニズムの政治学──ケアの倫理をグローバル社会へ』岡野八代著)  星加良司

くまさんのシネマめぐり
もう一人の「他者」として「精神病者」をみる──『人生、ここにあり』『精神』  好井裕明

ブックガイド
出会いのきっかけとしての民俗学
 (『驚きの介護民俗学』六車由美著) 伊藤英樹
子どもの病を生きる親たちの生活史
 (『小児がんを生きる──親が子どもの病いを生きる経験の軌跡』鷹田佳典著)  山崎明子
きれいに割り切れず片づけられないこと、それを切り捨てないまなざし。
 (『ケアのリアリティ──境界を問いなおす』三井さよ・鈴木智之編著)  出口泰靖
「発達障害」はテーマだけどテーマじゃない 
 (『プロチチ1~2巻』逢坂みえこ著)  三井さよ
子どもを「もらう」、から始まる「家族」の日常
 (『産めないから、もらっちゃった!』うさぎママ著)  土屋葉
「私の経験」も語ってみたくなるような
 (『障害者介助の現場から考える生活と労働──ささやかな「介助者学」のこころみ』杉田俊介・瀬山紀子・渡邉琢編著)  山下幸子

口絵 大阪・堺 グループホームぴあハウスのひとびと  写真・矢部朱希子
2013.03.07 / Top↑
13年前から米国で始まった研究により、ナチのホロコーストの規模はこれまで考えられていたよりもはるかに大きかった、と。
http://www.nytimes.com/2013/03/03/sunday-review/the-holocaust-just-got-more-shocking.html?pagewanted=all&_r=0

ずっとPAS合法化ロビーそのものだと批判されてきたBBCに、批判的な立場の女優Liz Carrが安楽死先進国で関係者を取材するドキュメンタリー。ただし、「既にリンク切れなんだけど、なんでや?」とコメント欄に。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10411#comments

この前確認したように、現在、PAS合法化法案を審議しているのはCT, VT, NJ,KS. HI, MA6州。他に関連事項が検討されているのが、NH,NY,AZ, MOの4州だとのこと。
http://www.foxreno.com/news/news/national/physician-assisted-suicide-killing-or-compassion/nWbr6/

アイルランドのALS患者、Marie Flemingさんの訴訟の上訴審。PASの全面禁止は重症障害者の平等の権利を侵害している、と。:そういえば、英国でもTom Shakespeareがそういうことを言っていたな。
http://www.irishexaminer.com/breakingnews/ireland/state-to-present-argument-in-assisted-suicide-case-586376.html
http://www.independent.ie/irish-news/courts/assistedsuicide-ban-deprives-severely-disabled-of-rights-to-equality-says-ms-sufferer-29098875.html

国連のHuman Rights Councilから、医療現場での障害者に対する虐待等に関する報告書。
Report of the Special Rapporteur on torture and other cruel, inhuman or degrading treatment orpunishment, Juan E. Méndez :読みたいと思いながら、ぜんぜん手がつけられていないけど、アシュリー事件ともOuelletteの著作とも関係してくるので、今後参照できるよう、読めないまま拾っておく。
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session22/A.HRC.22.53_English.pdf

日本。焦点に医療保険浮上 厚労省「国民皆保険制度」崩壊に危機感:昨日のニュースで安倍首相の経済再生の柱が「農業」と「iPS細胞研究と創薬」というのを聞いて、うおー、やっぱ「グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義」の路線ガンガンなのね……と。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130226/trd13022622420008-n1.htm

日本。iPS臨床、初の申請=目の難病で移植研究―厚労省が審査、来年度にも開始・理研:そういえば山中先生も作成当初には倫理問題をしきりに語っていたのに、いつの間にか言わなくなって、代わりに最近は「日の丸を背負って」だとか「日本の経済を我々科学者が担う」みたいなことを、しきりに言い始めている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130228-00000094-jij-soci

日本。「リレンザ」(インフルエンザ薬)で3人がショック、1人死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130227-00001324-yom-sci

パーキンソンの初期にDBSが有効。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/256376.php

【関連エントリー】
ロボトミー被害者が手記を出版(2008/1/25)
向精神病薬はロボトミーとそれほど違わない?(2008/2/4)
DBSうつ病応用へ(2008/5/28)
へんだよ、脳研究のプライオリティ(2008/5/30)
「3歳以下の、てんかんの手術は安全かつ有効」とカナダの研究者(2009/3/26)
「てんかん手術はコスト効率がいいから途上国で広めましょう」とLancetに(2009/4/21)
2009年11月10日の補遺(DBSの権威リザイ医師へのインタビュー。日本語)
「強迫性障害、うつ病、肥満にも」DBSなど“実験的脳手術”(2009/11/29)


環境ホルモンBPAが脳の発達に影響する。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256866.php

日本語。HIV感染で生まれた乳児の治癒に初めて成功、米チーム
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000009-jij_afp-int

<スイス>企業経営陣の高額報酬に制限導入…国民投票
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000012-mai-eurp

英国で住宅補助などの福祉手当の受給者が、使っていない部屋の数に応じて需給費を削減される通称「空き部屋タックス」制度。単身の親や障害者に影響が最も大きい。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/mar/04/benefits-housing

日本。「監視」でなく「見守り」 生活保護パチンコ禁止条例案で小野市長
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130227/wlf13022713430013-n1.htm

日本。中絶禁止が少子化対策? 野田聖子議員の発言をめぐって 米津知子
http://wan.or.jp/reading/?p=281

体外受精ががんを引き起こすなんてことはありません、という米国のイスラエルの研究者らによる調査結果。:ってことは、そういう懸念がとり沙汰されている、ということなんですね。米国とイスラエルの研究者、というところが、いかにもな感じも。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10415#comments

【PC遠隔操作事件】処分保留で釈放、別件で再逮捕について弁護人が語る  江川紹子
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130303-00023718/

日本。大揺れ女子柔道、なぜ男子監督ばかりなのか? 「引退した男子選手を食わせるため」「女子柔道のコーチ職も男子選手OBの食いぶちになっていて、女子選手にまでポストが回ってこない」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/other/627230/

ユニクロ 疲弊する職場 「この数年間、ユニクロの新卒社員の3年内離職率は実に5割前後で推移している」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130304-00013101-toyo-bus_all
2013.03.07 / Top↑
米国フロリダ州在住のシングル・マザーGalitさん(仮名 39歳)は
イスラエル人のドナー精子で娘を産んだ。

その時に、5回分の精子サンプルを購入し、
精子バンクに保管してもらった。

この度、次の子どもを産もうと考えたところ、

ドナーの男性が「改宗してから、知りもしない女性に自分の精子を使われて
自分が愛情を感じることのない子どもを産まれたことを後悔するようになった」として
提供への同意を撤回。

Galitさんは怒り心頭で、裁判に訴えた。

「娘にはちゃんと自分と全く同じ血のつながった兄弟を持たせてやりたい、
精子ドナーが心変わりするなんて論外。

私は家族を持とうと計画したのよ。それなのに、
精子を提供しておいて、もう何人の子どもが生まれたかわかったもんじゃないのに、
今になって、ある日突然に気が変わったなんて。
自分が生き方を変えるのは勝手だけど、
私の生き方はどうなるのよ?」

高等裁判所は同情しつつも
ドナーの自律の権利、自己決定権を尊重。

提供した時には考えなかったとしても、
自分が選んだわけでもない女性に繋がりもなければ育てるわけでもない子どもを
産まれたくないという気になるのは理解できる、と。

Galitさんは、
「ドナー男性の気持ちばっかり。
私の気持ちについては誰も何も言っていない。
私は一人で娘を育てている母親なのよ」

上訴する予定だとか。

Israeli sperm donor wants his stuff back
BioEdge, March 2, 2013
2013.03.07 / Top↑
失業者にバスを無料で(英国)

2013年の年明け早々、イングランド、ウェールズ、スコットランドを走るバス路線の70%で失業者には運賃を無料とするサービスが始まることになった。バス運行企業の大手6社とローカル5社が新たにスタートするサービス。3か月以上失業状態が続いている人に電車の運賃を半額に割り引くカードが支給される既存の制度を利用し、求職者手当、就労不能手当、雇用と補助手当、所得補助の受給者を対象とする。この新サービスの恩恵を受ける失業者は80万人に上るとされる。

ガーディアン紙の報道などによると、バス会社がこのような思い切ったサービスに踏み切った背景には、労働年金大臣イアン・ダンカン氏と労働党議員のデイヴィッド・ミリバンド氏(党首のミリバンド氏の兄)の呼びかけがあったという。

ダンカン氏は2010年10月にテレビ出演した際に、1時間もバスに乗れば別の町に求人があっても若者が行動しなくなったと批判。「待っていても仕事の方からやってくることはない」「仕事があるなら、それを手に入れるためにそれなりの努力をし、できる限り一生懸命に働くべき」などと語り、バスに乗って職を探しに行くよう促した。その発言には失業者に対する非難と蔑視だと反発する労働組合や野党から、1980年代に自分の父親は30年代に自転車で職探しをしたと言って貧困層の暴動を非難したサッチャー首相の側近、ノーマン・テビット貿易産業相のようだと猛批判が起こった。

その後、昨年7月に発表されたのが、ミリバンド氏が委員長を務めた若者の失業に関するコミッションからの報告書である。報告書は求職者手当を申請する若者が全国平均の2倍に達する“ホット・スポット”を600か所特定。そのほとんどが都市部である一方、コーンウォールやデヴォンなど貧しい地方の州も含まれている。

報告書は一昨年の教育維持手当の廃止によって、そうした州の低所得層の大学生の約2万人が週30ポンドの支給を失ったことなど、政府の支援を「不十分」であるとし、特に交通費の負担について以下のように書いた。「コミッションに寄せられた声には、特に地方に住む若者らが交通費に触れたものが多く、移動コストが教育や雇用への意欲を失わせている可能性がある。例えば、最低賃金で暮らす若者の場合は高い運賃が収入に占める割合は大きく、長期に渡って研修を続けたり無償で働いてみようとする意欲につながりにくい」

ミリバンド氏は「バス会社は大きな利益を出している。地方自治体にも中央政府にも権力がある。それらが力を合わせなければ。競争の激しい労働市場だというのに面接に行こうとすれば、運賃が大問題になるのだから」「英国は若者の失業という危機に直面している。この危機を放置しておく経済的余裕はない。長期的な若者の失業をなくすという政府の目標設定は正しいが、それを実現するためには大きな変革が必要となる」と語った。

またメディアから若者の勤労意欲について問われた同氏は以下のように応えた。「機会はあるのに働く意欲がない若者よりも、意欲はあるのに働く機会がない若者の問題の方がはるかに大きいと思います。働く気がないけど生活はできて当たり前と考えている若者がいるか、と問われれば、そういう若者だって探せばいますよ。でも、そういう問題ではありません」

果たして若者たちは「働かない」のか「働けない」のか――。いずれにせよ、働きやすくするための小さくとも具体的な方策を打ち出していくことが大切な社会的包摂の一環なのだな、と改めて考えさせられるニュースだった。

障害者を手厚くケアしていた古代人たち

胎児のように身体を丸めたまま埋葬されていた遺骨の発掘写真に目を引かれた(12月17日のニューヨークタイムズ)。2007年に南ベトナムのマンバック遺跡から発掘された、4000年前の若い男性だという。遺骨の調査から重症障害のために生前からそういう姿勢で暮らしていたものと推測された。子どもの頃に下半身がマヒし、腕もほとんど使えない状態だったが、マヒしてからも10年ほど生きたとされる。当時の集落はまだ金属を持たず、釣りと狩りで暮らしていた。そういう人々が、この若者をケアしていたのである。

その他にも、イラクで複合的な障害のあるネアンデルタール人(死亡推定年齢50歳)、米国フロリダ州で二分脊椎の少年(同15歳)、イタリアで重症小人症の少年(同10代)、アラビア半島でポリオで24時間介護を要したと思われる少女(同18歳)など、狩猟採集の過酷な生活環境にあった古代人が障害のある人たちを手厚くケアしていたエビデンスが次々に報告されている。という。

これもまた、「包摂」という言葉が頭に温かく浮かぶ記事だった。

「世界の介護と医療の情報を読む」第80回
「介護保険情報」2013年2月号


【関連エントリー】
古代の人たちが重症障害者を手厚くケアしたエビデンス(2012/12/25)
2013.03.07 / Top↑
これまたBioEdgeネタ。

“Depraved” remarks about disabled cost Cornwall councilor his job
BioEdge, March 2, 2013


英国のCornwallの地方議会の議員(無所属)が
1年前に「障害児は自治体にとってカネがかかりすぎるので殺すべき」と発言したことを
今ごろになって地方紙に報じられ、謝罪するも
激しい非難を浴びて、結局辞職した、とのこと。

BioEdgeが引用している人気ブロガ―のコメントが、まさにズバリ。

Mr Brewer has nothing to apologise for. His view is precisely that which our progressive society manifests toward the disabled in the womb - right up to full-term. There is no 24-week limit when it comes to 'getting rid' of those who can't walk, talk, see, hear or catch a ball. You'll have no problem at all getting your Down's child sliced up and vacuumed out, and you'll even find doctors who will neatly dispose of a baby with a hare lip, for that's an undoubted disability. The glorious achievements of our Paralympians have done nothing to change this.

Brewer氏は何も謝ることはない。彼の見解はまさしく、発展目覚ましい我々の社会が母親のおなかにいる障害児に対して、妊娠中から出産に至るどの時点においても、示す見解そのものである。歩けなかったり、しゃべれなかったり、見えなかったり、聞こえなかったり、ボールを掴めなかったりするような人間を「排除する」ためなら、24週の中絶リミットは適用にならない。ダウン症の子どもは切り刻んで吸引して、ぜんぜん構わないし、口蓋裂の赤ちゃんにも、後腐れなく棄ててくれる医師が見つかる。口蓋裂だって障害に違いないわけだから。英国代表選手がパラリンピックでどんなに素晴らしい成果を出したって、この事態を変えることはできない。


指摘されているのは、この問題ですね ↓
英国議会が障害理由による中絶の実態調査(2013/2/25)


この引用に興味を引かれて
そのブログ・エントリーに行ってみたところ ↓

Disabled people ‘should be put down’ because they ‘cost too much’
CRANMER, February 27, 2013


さらに興味深いものがあった。

2月23日10:22のbluedogさんのコメントで
我が国の麻生太郎財務相の発言が紹介されている。

(私もこのニュースを読んですぐ頭に浮かんだのは、これだった。
でも、この人は辞めていないなぁ……というつぶやきと共に)

You're on to something, Your Grace, this could be the Next Big Thing.

"Heaven forbid if you are forced to live on when you want to die. I would wake up feeling increasingly bad knowing that [treatment] was all being paid for by the government," he said during a meeting of the National Council on Social Security Reforms. "The problem won't be solved unless you let them hurry up and die."

Comment by Taro Aso, Finance Minister of Japan, Monday 25th February 2013.

With this sort of talk becoming fashionable in debt stricken democracies, one can see little incentive to improve survival rates of patients in NHS hospitals.
27 February 2013 10:22


最後のところは、

「負債に苦しむ民主国家でこういう発言がもてはやされるんだから、
NHS病院で患者の死亡率を下げようなんてインセンティブが働くわけはない」


【関連エントリー】
英語メディアが麻生発言を「さっさと死ね」と翻訳(誤訳でしょうか?)(2013/1/27)
2013.03.07 / Top↑
安楽死の周辺で、なにかと仰天の話題が続くベルギーで(詳細は文末にリンク)
政権与党の社会主義党から未成年にも安楽死を認める法改正が提案されていることは、
去年12月に以下のエントリーで報告しました ↓

ベルギー社会主義党「未成年と認知症患者にも安楽死を」(2012/12/22)


昨日のBioEdgeによると、

その審議の過程で明らかになったこととして、
未成年への積極的安楽死が違法なまま日常的に行われている、と。

日常的に行われるようになっているからこそ、
医師の免責のために法改正が必要、というのが
Queen Faviola子ども大学病院(ブリュッセル)のICU主任の議会での発言だった、とのこと。

その実態は、Ghent大学病院の医師も認めているが、
違法なことなので、その医師は、この問題の議論は慎重にしたい、との姿勢。

いったい子どもは何歳から安楽死を選択できることにするべきか、をめぐって、
専門家によって、親が認めれば12歳から、親が認めなければ16歳から、という説や
自律した決定権として15歳からにすべき、という説があるとか。

Should 12-year-old Belgian kids be able to choose euthanasia?
BioEdge, March 2, 2013


現段階で最新コメントの、以下の部分に共感した。

And yet, the propenents continue to tell us how tightly controlled and strict the guidelines for euthenasia will be. If all this is true then effectively the Belgians are saying, "Look, our doctors are killing people illegally so we should change the law so it's legal. Isn't illegal killing called murder?

これでもまだ推進派は、安楽死が(合法化されたら)いかに厳しい監督下に置かれ、いかに厳格なガイドラインができるかを説き続ける。この記事が事実だとしたら、ベルギーで言われているのは「ほら、ベルギーの医師は違法に人を殺しているんだから、合法にするために法改正をしよう」。違法に人を殺すのは殺人ではないんですか?



【関連エントリー】
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
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ベルギーの安楽死10年のすべり坂: EIB報告書 2(2012/12/28)
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2013.03.07 / Top↑
このニュース、AFPが日本語で2月8日に流していたもの ↓
避妊手術した女性を次々野外に放置、インドの病院

この「不妊手術キャンプ」について、ちょっと遅ればせだけど、
昨日のBioEdgeが動画入りで取り上げている。

州立病院のガイドラインでは1日25件までと定められているのに、
4人の医師が1日に106人の女性の不妊手術を行い、
(それも一人20分から30分という素早さで)

ベッドが30床しかないものだから、
終わるなり次々に屋外に運んでは道路上に放置したとして、
批判を浴びているもの。

さらに、任意・自発的な不妊手術だということになってはいるものの
実際には地方自治体が車や電化製品などの見返りで釣って誘導している、と。

Horror in a mass sterilization camp in India
BioEdge, March 2, 2013


しかし、これは実は
もうずいぶん前から言われてきていることでもある ↓

特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。

インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」(2012/6/12)


また、この前後には、こういうニュースもあった ↓
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?(2012/6/7)


実はBioEdgeのMichael Cookはニュースレターの先週号で、
上記12年7月の国際会議について触れている。

これがたいへん興味深いコメントなので、
以下に関連個所を抜いてみると、

You may recall that in July last year, Melinda Gates, one of the world's richest women, and the British government, organised a family planning summit in London. Rich nations and NGOs pledged US$2.6 billion to meet the unmet need for contraception in the developing world.
(中略:ここに上記ニュースの概要が入っている)
As far as I can remember, no one ever mentioned "sterilization camps" at the London summit which was applauded so enthusiastically in the world media. It would be interesting to see if some of this $2.6 billion is flowing into the pockets of the doctors who treated these women like animals in the hinterland of India.

去年7月に、世界で最も裕福な女性の一人、メリンダ・ゲイツと英国政府がロンドンで家族計画サミットを開催したことを記憶している人もいるだろう。途上国での避妊のニーズに応えるために、富裕な国々とNGOが26億USドルを提供することになった。
(中略)
私の記憶では、世界中のメディアが熱狂的に称賛したそのロンドン・サミットで、「不妊手術キャンプ」が話題になったことは一度もなかった。約束された26億ドルの中から、インドの奥地でこうした女性にまるで動物みたいな扱いをした医師のポケットに流れ込んでいるカネはないいのか、調べてみると面白いだろう。


Cookは、以下のような情報を知っているだろうか――?

ゲイツ財団資金で超音波による男性の避妊法を開発、途上国向け?(2010/5/12)
ゲイツ財団がインドのビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書(2010/5/17)
2010年5月29日の補遺:G8での途上国の母子保健関連記事。ここでも「家族計画」に言及。
ゲイツ財団が途上国の「家族計画、母子保健、栄養プログラム」に更に150億ドルを約束(2010/6/8)
「途上国の女性に安価な薬で簡単中絶“革命”を」の陰には、やっぱりゲイツ財団(2010/8/3)
注目集めるインド発・男性向け避妊法、「女性にも」とゲイツ財団(2011/6/3)

ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
“優生主義者”ビル・ゲイツ、世界エリートの“陰のサミット”ビルダーバーグ会議に(2010/6/9)
2013.03.07 / Top↑
老い(エイジング)について語る際に、
「ノーマルな」「健康な」「サクセス」などの形容をすることは
高齢者に対する社会の捉え方を捻じ曲げる、との問題提起がカナダから。

カナダの高齢者アドボケイト、
the Seniors Association of Greater Edmontonの前会長さん。

「ノーマルな老いと考えられるのはどういうものなのか、私にはわかりません。

45歳の人にとって何がノーマルなんですか?
80歳の人にとって何がノーマルなんですか?

そういう表現は使うべきではないと私は思います。

私自身の考え方は、
できるだけ多くを、できるだけ長く、できるだけ良くやりたい、というだけ」

またアルベルタ大学の看護学科の博士課程の学生で
認知症患者のQOLについて研究している看護師のHannah O’Rourkeさんは、

在宅で自立生活を送っているカナダの高齢者の8割には慢性病があるというのに、
サクセスフル・エイジングの責任を個々の選択に負わせるような表現は
誤ったメッセージを送り、

「高齢期に慢性病がある人は、
慢性病にならないエイジングというゴールを達成できなかった失敗者のように思わせるが、
そういうのは現実的なゴールではない」と問題提起。

ノーマルな、またはヘルシーなエイジングといった言い方をしては、
医療職が高齢者にいかに老いるべきかを説き、生活スタイルについて指導するけれど、
そこでは慢性病はノームに含まれておらず、

そうした表現が使われることによって、がんや糖尿病、心臓病など
慢性病のある高齢者に対する社会の捉え方に影響してしまう、と指摘する。

「ノーマルな老いというのは簡単に定義できることではなく、
慢性病があっても生活をエンジョイしているという高齢者は沢山います。

老いが単に「健康」で「病気がないこと」と定義されてしまうと、
慢性病を抱えて老いていく人たちは、そこには含まれないことになってしまう。

慢性病の治療法はなかなか見つからないし、
医療チームは実際そういう患者もケアしています。

私たちが考えなければならないのは、
慢性病のある高齢者が自分自身の健康や正常の定義に基づいて
良く生きることをいかに支えるか、ということです」

また、2026年までにカナダの総人口の5分の1が65歳以上の高齢者となる、といった
推計を持ち出して高齢者のことを語ることについても、

そうした統計そのものが、老いることを修正すべき問題という枠組みで捉えており、
そうした捉え方が、我々が高齢者をどのような目を向けるかに影響する、とも。

“Normal,” “Healthy” Or “Successful” Aging Can Prejudice Our Views of Seniors
MNT, March 1, 2013



【関連エントリー】
「現代医学は健康な高齢者を病気にしている」(2009/3/8)
「老い」は自己責任で予防すべき「病気」であり「異常」であるらしい(2009/9/21)
2013.03.07 / Top↑
プロライフのブログが最近の英国の安楽死・自殺幇助関連の動きを取りまとめており、
その中に、Falconer議員の発言があったので、メモとして拾っておく。

英国でPAS合法化推進の最先鋒、Falconer下院議員が、
5月に下院に自殺幇助合法化法案を提出することを明らかにしている。

基本的にオレゴン州の尊厳死法をモデルにし、
しかしオレゴンが余命6カ月以内の終末期の患者を対象としているのに対して、
こちらは余命1年以内と幅を広げるらしい。

Brief update of UK news about euthanasia and assisted suicide
National Right to Life News Today, March 1, 2013


Falconer議員とFalconer委員会関連エントリーはこちら ↓
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
英国上院に自殺幇助に関する検討委員会(2010/11/30)
Falconer委員会「自殺幇助合法化せよ」提言へ(2012/1/2)

去年9月にはこういうニュースもあったんだけど ↓
英国議員6割がPAS合法化に反対「不況で、弱者に圧力かかる」(2012/9/15)


その他、
LCPの機会的適用問題とかGMCのガイドラインなど
既に拙ブログでも書いていること以外で、

この記事で注目したいのは、
Tony Nicklinsonさんの未亡人が夫の裁判を続行することになったとのこと。

この奥さん、去年の暮れにはスコットランドで
Margo McDonald議員と一緒になってPAS合法化キャンペーンを張っていた。
2013.03.07 / Top↑
ProPublicaの医療担当記者が、
自分の老母が突然に陥った意識不明状態から
家族と話し合って生命維持停止を決めるまで、
また、その後の思いを詳細につづった良記事があった。

母親は人工的な延命を拒否していたが、
彼は医師らから聞かされた説明を鵜呑みにせず、
まず自分で関連データを調べあげる。

父親は、かつて似たような体験から回復したことがある人なのだ。

その時の揺らぐ思いを彼は次のように書いている。

We knew her end-of-life wishes: She had told my dad that she didn't want to be artificially kept alive if she had no real chance of a meaningful recovery. But what was a real chance? What was a meaningful recovery? How did we know if the doctors and nurses were right? In all my reporting, I'd never realized how little the costs to the broader health-care system matter to the family of a patient. When that patient was my mother, what mattered was that we had to live with whatever decision we made. And we wouldn't get a chance to make it twice.

母の終末期の望みは分かっていた。
意味のある回復の現実的な可能性がまったくないなら人工的に生かされるのは嫌だと
父に語っていたのだ。

しかし、現実的な可能性があるとは一体どういうことなのか?
意味のある回復とは一体どういうことなのか?

医師や看護師の見立てが間違っていないという保証は?

これまで記事を書いてきて、初めて、患者の家族にとっては
大きな医療制度にかかるコストなんて問題にならないことに気付いた。

患者が自分の母親だったら、問題になるのは
どう決断しようとも自分たちでその結果を背負って生きなければならないということだけだ。

そして、その決断にやり直しは効かない。


家族はみんなで話し合って「判断を急がない」と決めたうえで、
知人に教えてもらって別の医師に病院まで来てもらい、セカンド・オピニオンを求める。

さらに追加で検査をしたいという父親の意向にも従ったうえで、
すべての検査データが望みのないことを示した時に、
みんなが納得して人工呼吸器を切ることを決める。

それでもなお彼は、その後、
自分たち家族が決断に至るまでに費やした日数だけ
自分たちは医療費を浪費したのだろうか、という問いに苦しめられる。

そこで彼はダートマス大学医学部のElliot S. Fisher教授に相談するのだけれど、
この人の答えが素晴らしいと思う。

You never need to rush the decision-making. It should always be about making the right decision for the patient and the family. … We have plenty of money in the U. S. health-care system to make sure that we’re supporting families in coming to a decision that they can all feel good about. I feel very strongly about that.

意思決定を急ぐ必要は全くありません。
常に患者と家族にとって正しい意思決定がされることが最優先にされるべきです。

家族全員が悔いのない決定に至れるよう
家族をサポートできるだけのお金は米国の医療制度にはたっぷりあります。

私は強くそう思っています。

そして彼は、
それよりも問題は、終末期医療に関する本人の意思が不明な状況だったり、
医師が明らかに無益な治療を終末期の患者に強行して苦痛を引き伸ばすケースだ、と語る。

I don’t think the best care possible always means keeping people alive or always doing the most aggressive cancer chemotherapy, when the evidence would say there is virtually no chance for this particular agent to make a difference for this patient.

可能な限り最善の治療とは、必ずしも患者を生かし続けることでもなければ
この患者さんにこの特定の抗がん剤が効くエビデンスなどほとんどない状況で
常に最もアグレッシブな抗がん剤治療をやることでもない、と思います。

How Mom’s Death Changed My Thinking About End-of Life Care
ProPublica, February 28, 2013


無駄な延命治療はやめよう、
高齢者は終末期医療をどうするか自分で決めておけ、
無駄に医療費を使うな……と、私たちは言われ続けている。

でも、
なにが「無駄な延命」で、なにが「有効な治療」「可能性のある治療」なのかは、
個々の患者さんが個々にたどる転帰の特定の一点においてのみ
判断できることではないのか。

Fisher医師の言う、this patient、
目の前にいる、特定の「この患者」について
「今ここ」にある状況でのデータに基づいて、特定の「この治療」が
果たして無駄な治療なのかどうかが検討しうるのであり、
それ以外ではないはずだ、と思う。

それなのに、
まるで特定の技術や治療それ自体が一括で「無駄な延命」であるかのような
キャンペーンがはられて、

「一定の年齢や一定の状態になったら
無駄な医療費を使って社会に迷惑をかけてはならない」という
刷り込みばかりが進められていくような気がしてならない。
2013.03.07 / Top↑
米国小児科学会(AAP)と米国臨床遺伝学会(ACMG)から
子どもの遺伝子検査・スクリーニングに関する新たなガイドラインが出ている。

フル・テキストはこちらから読めます(私は読んでいません) ↓
Ethical and Policy Issues in Genetic Testing and Screening of Children
Pediatrics, Published online February 21, 2013

ここでは、AAPのサイトのリリース全文を以下に。

Genetic testing and screening of minors is widespread, and testing is done routinely on virtually all newborns. In the American Academy of Pediatrics (AAP) policy statement, “Ethical and Policy Issues in GeneticTesting and Screening of Children,” in the March 2013 issue of Pediatrics (published online Thursday, Feb. 21), the AAP and the American College of Medical Genetics (ACMG) issue recommendations on updated technologies and new uses of genetic testing and screening. Both the AAP and ACMG agree that the best interest of the child should be the principle factor on whether to offer testing and screening. Both the AAP and ACMG support mandatory genetic screening for all newborns. Parents or guardians should have the right to refuse newborn screening after being informed about the significant benefits and improbable risks. Most genetic testing beyond the newborn period is done on children with intellectual disabilities, autism spectrum disorders or multiple anomalies for diagnostic purposes. Genetic testing of older children may increase as data and knowledge expand. The recommendations on predictive testing are now divided into conditions that occur in childhood and those that occur in adulthood. For children at risk of childhood-onset conditions, testing is permitted with parental consent, and when feasible, the child’s assent. Testing for adult-onset conditions is discouraged, but exceptions can be made with appropriate counseling and the consent of the parent and child. Given the rapid advances in genetics and genomics, pediatricians and other health care providers need to stay informed and updated on best practices.

未成年の遺伝子検査とスクリーニングは広く行われており、検査は事実上すべての新生児にルーティーンで行われているに等しい。

Pediatrics誌2013年3月号のAAPのステートメント「小児の遺伝子検査とスクリーニングにおける倫理と施策の問題点」において、AAPとACMGは遺伝子検査とスクリーニングの最新テクノロジーと新たな利用方法について提言を出した。

両学会は、検査とスクリーニングを提示するかどうかを決める原則となるファクターは子どもの最善の利益である、との点で一致。両学会とも、すべての新生児に遺伝子スクリーニングの義務付けを支持。親または法的後見人は、利益が大きくリスクはまずないことの説明を受けた後で、拒否する権利を認められるべきである。

新生児期の後の遺伝子検査はそのほとんどが、知的障害、自閉症スペクトラム、または重複した異常のある子どもたちに診断目的で行われる。データと知見が増えるにつれて、年齢層の高い子どもへの遺伝子検査も増える可能性がある。

予測的な検査に関する提言は、現在のところ子どもの間に発症するものと成人してから発症するものとで異なっている。子どものうちに発症する病気や障害のリスクがある子どもでは、親の同意と、可能であれば子どもの同意によって検査は認められる。成人して発症する病気や障害の検査は認められないが、適切なカウンセリングと親と子の同意があれば例外はあり得る。

遺伝学とゲノム研究は急速に発達しており、小児科医をはじめとする医療提供者は常に最新の知見を身につけて、最新最善の臨床を心がける必要がある。

(余り考えず、ざっとやった仮訳です。ご了承ください)

AAP Issues New Guidance on Genetic Testing of Children
AAP Release, February 21, 2013


【関連エントリー】
遺伝子診断で嚢胞性線維症が半減(2008/4/1)
新生児スクリーニング制度化(加・米)(2008/4/21)
子ども病院倫理カンファ(遺伝子診断)に関する記事(2008/8/1)
新生児スクリーニング、去年から24の病気に(WA州)(2009/12/9)
「知的障害の遺伝子を特定、さぁ予防や治療の戦略を」と研究者(2009/12/18)
英国で190の遺伝子疾患スクリーニング、一般カップル向けに(2010/2/8)
「お子サマに最適なスポーツと差異的な訓練方法を」と“DNA霊感商法”(2011/5/20)

             -----

そういえば、上記リンクの2008/8/1のエントリーで取り上げているのだけれど、
遺伝子診断をテーマに行われた08年のシアトルこども病院生命倫理カンファで
だいたい以下のような話があったと、SP-iに書かれていました ↓

子どもの遺伝子診断技術は進んできており、
6年前にはほんの一握りの病気で行われていたスクリーニングが
現在ほとんどの州で29の病気まで拡大されており、
ワシントン州ではフェニルケトン尿症と嚢胞性線維症を含む24だが
8月の終わりに1つ追加される予定。

これらは多くの州で義務付けられているが、
親が宗教上の理由でオプト・アウトすることはできる。
2013.03.07 / Top↑