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ケンブリッジ大、カナダのウエスタン・オンタリオ大のオウェン教授が
植物状態と診断された患者と脳スキャンを通じてコミュニケーションをとる方法を
研究していることについては以下のエントリーで触れてきましたが、

「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
Hassan Rasouliさん、「植物状態」から「最少意識状態」へ診断変わる(2012/4/26)
Owen教授の研究で、12年以上「植物状態」だった患者に意識があることが判明(2012/11/13)
カナダの“無益な治療”訴訟で「Owen教授のアセスメントを」(2012/12/8)


去年のカナダの患者さんの事例以前にオウェン教授らは
脳波を利用したベッドサイドでの簡易な方法でも調べられることを
Lancetで報告していました。

Owen教授らはこれまでに
MRI装置を利用して脳の血流の変化を画像化するfMRIと呼ばれる技術を使って、
植物状態と診断された患者に簡単な質問をし、
イエスだったら、テニスをしているところをイメージし、
ノーだったら、家の中を歩き回っているところをイメージするよう指示して
応えてもらう、という方法によって、

17%の患者で
質問を理解できるだけの意識と、
それを伝えることができるだけのモチベーションがあることを発見してきた。

しかし、fMRIには
物理的に患者をそこに運ばなければならないことに伴う様々な困難と
コストがかかる難点があり、どの患者にも広く実施することができないため、
携帯タイプの脳波検査機を使って、質問ではなく簡単な指示を出すやりかたで、
ベッドサイドで簡易にできる方法を考案したとして、
Lancetに報告されたもの。

The Coma Recovery Scale-Revised の定義に即して植物状態と診断された患者 16人と、
健康な患者12人に、まず右手を握りしめては緩めることをイメージするよう求め、
それを数回やった後に、次には足の指で同じことをイメージするよう指示したところ、

植物状態と診断された患者の3人では
健康な人のほとんどと同じ脳波パターンが検出された。

これまでの17%という結果とほぼ一致する。

一方で、
健康な人の中にも、手や足の動きをイメージすることができにくく、
全く脳波に反応が見られなかったケースもあるため、

植物状態と診断された人の大半で脳波の反応がなかったからといって
この技術によって、それらの人には全く意識がないと判断することはできない、
ということも判明した。

Owenらは脳とコンピューターのインターフェースによって
さらにコミュニケーションの可能性が広がると期待している。

Lancetのアブストラクトは以下 ↓
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961224-5/abstract

Guardianの記事はこちら↓
Brain scanner brings new hope for patients in vegetative state
The Guardian, November 10, 2011


ちょっと気になるのはチーム(the doctors)が
このブレークスルーには、倫理的に難しい問題があると発言していること。

そこについてはGuardianの一節には、
以下のように書かれている。
It would be difficult to know the inner world of somebody in a vegetative state, and the ability to answer yes or no to a question might not indicate a capacity to consider a complex issue such as whether life was still of value.


ざっくりまとめると、
質問に「イエス」―「ノー」で応えられるからといって、
その人が「まだ命に価値があるか」どうかという複雑な問題を
考える能力があるとは言えないだろう、ということ。

ただ、この個所は直接話法がまったく使われていないので、
イマイチ誰がどういう意図でどういう表現で言ったことなのか
はっきりしない点もある。

こうした研究に対しては、
それを「死の自己決定権」を実現させてあげる”親切”につなげようとする動きが
必ずや現れてくるだろうということは、

上記の10年のエントリーでも予想していたけど。
2013.03.29 / Top↑
【恐縮ですが、宣伝です】
雑誌『支援 Vol.3』できました! 特集は「逃れがたきもの、『家族』」。
私も書かせてもらいました。よろしくお願いいたします。
詳細はこちら ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/66145517.html
写真はこちら ⇒ http://instagram.com/p/XZQVMeDvp_/


人工呼吸器の酸素濃度を下げ、筋弛緩剤を投与するという方法で7人の患者を殺害したブラジルの医師 Virginia Soares de Souza。2月に逮捕、起訴されたが、その後の捜査で300人も殺害した疑いが浮上している。2月には共犯者として他に3人の医師と看護師一人も逮捕。目的というのが、ベッドを空ける為とか。:なんだ、この事件?……でも英国の病院でLCPの機会的適用が行われているのだって、同じ目的だと言われている。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/mar/27/brazilian-doctor-investigated-hospital-deaths?CMP=EMCNEWEML6619I2

さすがに上の事件は日本でも報道されている ↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130328-00000039-reut-int

スコットランドのマクドナルド議員がまたも提出したPAS合法化法案では、16歳からPASを可能にしよう、と。
http://www.freerepublic.com/focus/f-chat/3000756/posts

ベルギーでジャーナリストが「列車飛び込みや首吊りや入水なんて、見つけた家族がショックを受けるんだから、愛する人に囲まれてお別れが言える安楽死の方がよい」。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10450

2009年のFEN自殺幇助事件はいくつもの州にまたがった複雑な事件だったのだけど、去年になってミネソタ州で前会長のGoodwinほかが起訴されたみたいで、その中でGoodwinについては実際に幇助した事実がまったくなく情報提供のみだったとして不起訴に。FENそのものへの起訴や、Jerry Dincin(元会長)、Lawrence Egbert(FENの医師)への起訴取り下げの裁定申請は却下された。:Egbertって聞くとまだ顔が浮かんでくるくらい、FEN事件は当時リアルタイムで追いかけた。
多数の関連エントリーはこちらにリンク ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/65805049.html
http://www.ereleases.com/pr/judge-dismisses-charges-final-exit-network-president-assisted-suicide-case-131817

いくら言ってもみんな事前指示書を書かないから、事前指示書か医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLSTをちゃんと書くように、誘導するためのアイデア・コンテスト。米CA州で。賞金は5000ドルなり。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/03/get-5000-for-better-advance-care.html

Shared Decision Makingとかナントカ意思決定支援というのが、みんな上のコンテストまがいに胡散臭く思えてきた。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/03/shared-decision-making-and-patient.html

ビル・ゲイツが「快感を損なわず効果の大きな新世代コンドームを開発した人に10万ドルあげる」と言いだして、世界中のメディアが大騒ぎしている。:これまでだと新世代トイレ、栄養価の高い新世代バナナ、新世代原発、あと何があったっけ?
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2298296/Bill-Gates-offering-100-000-challenge-make-condoms-better.html

英国のNHS病院での劣悪ケアスキャンダルで、看護師に1年間の基本ケア研究義務付けを、と保健相ジェレミー・ハント。Compassion共感能力を高めるため。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/mar/26/nurses-basic-care-training

国際的で大規模な調査により、前立腺癌、乳がん、子宮がんの原因となる遺伝子変異が特定できたので、唾液でそれらのがんになりやすい人を特定するスクリーニングが5ポンドで実施できるようになる。とNHS。
http://www.guardian.co.uk/science/2013/mar/27/scientists-prostate-breast-ovarian-cancer?CMP=EMCNEWEML6619I2

男の子の唾液を調べたら、ホルモンの濃度によって、どの子が攻撃的かが分かるんだって。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/257963.php

日本。新世代抗うつ薬「18歳未満は慎重投与」 厚労省 効果疑問視、警告記載へ:すっごく、すっごく不思議なのは、このリスクって、米国では私が拾った情報だけでも2008年には明らかになっていたみたいなんですけど? ⇒抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17) 「史上、最も悪名高き小児科臨床実験」であるPaxil研究329」「Paxilが小児には効かないとの結果が1998年には出ていたにもかかわらずGlaxoはその研究結果を公表することは「商業上受け入れられない」と判断。効果があるとする研究結果が2001年にDr. Kellerら20人が名前を連ねる論文に発表された」
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130325140720475

でも、もっと本気で恐ろしい情報を拾ってしまっているんですけど? そのグラクソは2010年にそのパキシルの臨床実験を、この日本で、まさに今回「慎重に」と警告された年齢層である7~17歳を対象にやっていたみたいなんですけど? なんか私の勘違いだったのかな。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60837008.html

日本。国民的大論争 第2弾 科学で何でも分かる時代、人間は幸福になったのか 出生前の遺伝子検査 胎児の奇形がわかったら中絶するべきか、生むべきか 宗教学者の島薗進氏「命が『授かる』ものから『選ぶ』ものに変わりつつあるのかもしれません。放っておけば、中絶の基準は染色体異常から先天性疾患全般、そして疾患とは言えないものにまでどんどん緩んでゆく。それに歯止めをかける術を、まだ人類は見つけられていないのです。子どもを親の意思に沿うようにコントロールしようという考え方には、違和感があります。昔から、子どもは親の思い通りになんてならないものだったではありませんか」 臨床心理士で自らも自閉症の娘をもつ八幡洋氏「欧米では、専門家による細かい計算のうえで『自閉症の子が将来納税者になれば社会全体の利益になるから、彼らに金を投下して支援しよう』といった理屈で福祉政策を決めています。愛だ、平等だと言うより、こうしたドライな見地から福祉を考えてみてもよいのではないか」(そう言えば、ペイリンさんが全国区に登場した頃FOXニュースにこんなのがあったな ⇒ 「息子には納税者になって欲しい」というダウン症協会幹部?(2008/9/10))
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35239

上の記事を読む人に、ぜひとも読んでもらいたいなぁ~と心から願う、つるたさんのブログ・エントリー「54回目の誕生日に」
http://tu-ta.at.webry.info/201303/article_5.html

中国政府 1971年以来3億3600万件の中絶が行われた、と。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10439#comments

米国の子ども50人に一人が自閉症とCDC:50人に1人なんてデータが出てくると、「それだけの人数を納税者にするために資金を投下したら社会の利益」という説得力のある試算は可能? そこで愛でも平等でもなくドライに考えたら、自閉症も出生前遺伝子診断で、ということにはならない? 
http://www.medicalnewstoday.com/articles/257959.php

成蹊大学澁谷智子さん作成の「ヤングケアラー支援のページ」
http://youngcarer.sakura.ne.jp/index.html

日本。ユニクロ社員が不幸になる“合理的な”理由:でも、これが例外的な企業の話ではなくて、デフォルトになっていく、もしかしたら、既になっている、という気がしてならない。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130328-00013424-toyo-nb

日本。<奨学金問題>全国組織が31日発足…返済苦しむ若者急増で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130327-00000053-mai-soci

雨宮処凛がゆく! 「広島の中国人実習生の事件。の巻」 :そうだろうと確信していたことが事実だったと確認。人身売買も奴隷労働も、既に私たちのすぐそばにまで浸透してしまっている。地元テレビ局はこの事件について報道する際、「文化や言葉の違いの壁」の問題ばかりを強調して、研修生の労働条件や労働実態には一切触れない。
http://www.magazine9.jp/karin/130320/

「いまの原稿、使っちゃいけないんだって」動かぬ証拠音声、2011年3月12日正午ころ いつもお世話になっているガウタマ・シンラン・ソリドゥスさんのブログ記事。
http://blogs.yahoo.co.jp/solidussolidarity/36934708.html?vitality

「慰安婦に謝罪と補償を」 京都府議会が意見書可決
http://www.asahi.com/politics/update/0326/OSK201303260037.html
2013.03.29 / Top↑
論文のアブストラクトは以下。

In this article, we consider the implications of growth attenuation should it ever arise in the Canadian context. While parental autonomy to make crucial health care decisions and exercise control over minors is not a right that should be lightly dismissed, we argue that growth attenuation is entirely inappropriate and should never be regarded as ethically permissible for children. We ground our perspective in the social model of disablement which stands for the proposition that it is structural barriers that are chiefly responsible for the marginalization experienced by people with disabilities in every area of social life including employment, transportation, and housing. Critical disability theory applies the social model to new public policy problems and we regard our intervention as a modest attempt at rethinking a bioethical dilemma through the prism of critical disability theory. We do so through a review of the case law and through a consideration of relevant ethical principles, paying particular attention to the scholarship of Martha Nussbaum’s theories of equality for people with intellectual disabilities.

本稿では、成長抑制がカナダで起こった場合にどのような問題があるかを考察する。未成年の医療に関する重大な決定をする親の自律(自己決定権)は軽々に否定することのできない権利ではあるが、成長抑制は完全に不適切であり、子どもたちへの実施が倫理的に許容されるものとされてはならないと我々は主張する。その根拠は、障害者が雇用、交通、住まいを含めた社会生活のあらゆる領域で経験してきた周辺化の主たる要因は構造的なバリアであるとの前提に立つ、障害の社会モデルである。Critical disability theory は新たな社会政策の問題に社会モデルを適用しており、本稿は、このセオリーの視点を通して生命倫理のジレンマを再考しようとするささやかな試みと考えている。特にMartha Nussbaumの知的障害のある人々の平等論に注目しつつ、判例法の検証と当該の倫理原則の考察により、論じる。


the Legal Politics of Growth Attenuation
Ravi Malhotra, Katharine R. Neufeld
Windsor Review of Legal and Social Issues, March 27, 2013


上記から全文を読むことができます。

あまり文字が詰まっているわけではないけど71ページもあるので、
私も読むのはちょっと先になると思います。

アブストラクトを読んですぐに頭に浮かぶのは
DiekemaやFostやAshleyの父親の考え方だと、
「だから、ずっと言っているように、アシュリーのような重症児は
そういうところで論じられる『障害者』や『知的障害者』とは違うんだって」
ということになるんだろうなぁ、と。

それをNot Dead YetのDrakeは
Too disabled to be disabled だったか、うまいこと表現していたっけな。

障害が重すぎて障害者にもなれない人たち……。

重症児の親としては、
これは障害者運動の側の無意識にも感じることではあるんだけど。
2013.03.29 / Top↑
米国内科学会誌に
車いすを使用している成人は
障害のない成人に比べて医師にかかりにくく、
予防医療も非障害者ほど受けられていない、との調査結果が報告されている。

この研究のデザインが非常に興味深くて、

肥満していて半身まひの車いす使用者で、
自力では車いすから診察台に上がることができない架空の患者の
診察予約を電話でとってみる、という調査。

米国4市の内分泌科、婦人科、整形外科、リューマチ専門家、
泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、精神科の256の医療機関に電話をかけた。

受け入れられないと回答したのは22%。

4%では建物がアクセス不能。

18%が、患者を車いすから診察台に移すことができない、と回答。

高さ調節のできる診察台またはトランスファー用のリフトがあると答えたのは 9%。

診療科の中では婦人科が最もアクセス不能率が高く、44%だった。

論文の結論として、
米国障害者法で求められている内容を医療提供者が理解する必要がある、
車いす仕様の患者への医療のスタンダードが必要である、の2点が提言されている。

Access to Subspecialty Care for Patients With Mobility Impairment: A Survey
Annals of Internal Medicine, March 19, 2013


この問題については
Alicia OuelletteのBioethics and Disabilityの成年期を扱った第5章で、

障害のある女性がリプロダクティブ・ヘルス周辺で
検診をはじめとした基本的な医療すら受けにくい問題を中心に取り上げられていた。
2013.03.29 / Top↑
英国ではこのところ
患者も家族も知らない内に一方的に蘇生不要(DNR指定)がされるケースが続発して
訴訟になったり、大きな論争になっている。

終末期ケアのプロトコルLCPが機械的に高齢者に適用されている問題も
政府が調査に乗り出す騒ぎにまで発展している。

“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機会的適用でNHSが調査に(2012/10/28)


そんな中で、
英国と米国の両方で医師として働いているElizabeth Dzengという人が
Independent紙に「ヒポクラテスのヒポクリシー(偽善)」というタイトルの論考を寄せて、

米国ではDNR指定が行われていない限り救命を前提とし、
本人や家族の希望を最優先とするために、
患者には苦痛でしかない蘇生を医師も苦痛をしのびながらやらざるをえなくなっているが、

英国では医師会が
医師には無益と判断する医療を提供する義務はないとのガイダンスを出し、
無益な治療をめぐる決定権を明確に医師に認めていると
両国の事情を対比させたうえで、

英国の裁判や論争で患者と家族の決定権に議論が傾きすぎると
米国の二の舞になる、と警告し、

英国の医師らに対して、
患者の最善の利益に沿って行動する医師の能力を守れ、と呼びかけている。


米国の硬直的な救命優先ルールは
ダウン症児の救命手術をめぐるベビー・ドゥ事件での
レーガン政権の過剰なリアクションに根っこがあるというのが私の理解で、
米国のそうした硬直した救命の強制そのものに決して賛同するわけではないし、

まったく患者本人の利益にならない蘇生は行われるべきではないと考えるけれど、
この人が書いていることの中でいくつか気になることはある。

① 著者が冒頭で紹介する体験談は
癌末期で全身から出血していて、もはや死のプロセスに入った患者に
家族が虐待にしかならない救命措置をするよう医師に強要したケース。

しかし一方で、
テキサスのように一方的な生命維持の停止を認める「無益な治療」論もあるし、
米国の生命倫理学でも医師には無益と考える治療を提供する義務はないというのは
コンセンサスになっていると、あちこちで目にしてきた。

またNavarro事件の頃に読んだいくつかの記事からは、
米国の貧困層にとっては、ERでは救命しなければならない原則があるからこそ
ERが駆け込み寺になっている、という実態も透けて見えた記憶もある。

著者はそういうことは丸無視して、DNR指定にだけ論点を絞ることによって、
米国では患者と家族の決定権だけが暴君化しているかのように描いているように見える。

② Janet Tracey訴訟で、
裁判所が訴訟の続行を認めず、
心肺蘇生の可否は医師が患者の最善の利益を考えて判断すべきだとしたのは
賢明な判断だった、と書いているけれど、

Traceyさんの事件とは、これ ↓
「本人にも家族にも知らせず“蘇生無用”はやめて一律のガイドライン作れ、と英国で訴訟(2011/9/15)
(この事件のその後については私は知らなかったのですが、
この記事の記述では判断できにくいようでもあり、とりあえず保留に)

Traceyさんは末期がんの宣告を受けて抗がん剤治療を予定した直後に
交通事故に遭い、首の骨を骨折。でも意識ははっきりしており、
いざという時にも蘇生を望んでいたのに、何の説明もなく
知らない内にカルテに蘇生不要(DNR)指定されていた、というもの。

また、一方的なDNR指定では
こういう事件だって起こっている ↓
「ダウン症だから」と本人にも家族にも無断でDNR指定(英)(2012/9/13)

さらに、LCPの一方的な適用問題は、
もっとひどい事態であることが現場の医師らの告発で指摘されている。

“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機会的適用でNHSが調査に(2012/10/28)


それでも、著者は
The recent focus on autonomy over decisions at the end of life in the UK, through Tracey’s court case as well as controversy over the Liverpool Care Pathway, highlight the need for continued dialogue and clarity on these issues.

Instead, we should work together to foster trust and confidence in the health care system, by encouraging conversations about resuscitation decisions at all levels.

と一方で書いて、対話による医療への信頼構築を説いておきながら、

どうして、その先の結論は
医師の決定権を守ろうと英国の医師らへの呼びかけに落ちていくのかが分からない。

信頼関係構築を言うなら、
結論は、一方的な決定権を振りかざさず、
患者や家族への丁寧な説明と説得で同意をとる努力をしよう、でいいのでは?


③ 文中に引用されているNEJMの論文で、

入院中に心臓発作を起こした高齢患者6972人の追跡調査をしたところ、
退院から1年経った時点で58.5%が生存しており、
34.4%は再入院を免れていた、という結果となり、

この結果を
医療職はCPRにはこれまで思われていた以上の効果があると捉えたのに対して
一般国民はそれだけしか助かっていないのか、と失望で受け止めたのは
一般国民の心肺蘇生に対する過剰な期待の現れであって

テレビドラマのように心肺蘇生でどんな患者もバリバリ元気に戻ると思い込んでいる、
その過剰な期待のために患者に無益でも家族がCPRを要求するのだ、と、

CPRに関する患者の決定権を否定し、
医師の決定権が尊重されるべきことの論拠にされている。

でも、
CPRにこれまで考えられていた以上の救命効果のエビデンスが出てきた、というのが
その論文の専門的な捉え方なのであれば、それ、素人の過剰な期待のエビデンスに使う前に、
医療職の方が現在のCPRの無益性判断を考えてみるべきかも、という方向に向かわないと、
論理的におかしくないですか?

そういえば、NEJMの論文の他にも、
去年Lancetに、以下の調査結果も発表されていたっけな ↓
「長い心肺蘇生は無益」を否定する調査結果(2012/9/6)

Hippocratic Hypocrisy: When it comes to CPR, is less care actually better care?
Elizabeth Dzeng,
The Independent, March 21, 2013


私は著者が言う
「対話を通じて信頼関係を構築する必要」には賛同する。

でも、それならばこそ、
一方的に医師に決定権を認める主張は決して信頼関係の構築にはつながらない、とも思う。


【関連エントリー】
「無益な心肺蘇生は常に間違いなのか?」とTroug医師(2010/3/4)
「医師は患者本人の同意なしにDNR指定してもよいか」Bernat論文(2012/4/11)


ついでに、DNR指定がされていない限り、
介護施設では救命・蘇生が原則とするジョージア州の州法について書かれた記事 ↓
http://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=64cf1bfb-4810-44be-9d3a-615c404ce709

やっぱりDNR指定が法的に有効であるためには
インフォームド・コンセントが前提。

また、ここでもコンセントは患者が「与える」もの。
2013.03.29 / Top↑
① <子宮頸がん>予防ワクチン副作用 被害者連絡会が発足 Yahoo!ニュース (2013年3月25日)

同会の池田利恵事務局長(東京都日野市議)は記者会見で「子宮頸がんワクチンが本当にがんを減らす効果があるのか疑問。救済制度も不十分だ」と指摘



「本当にがんを減らす効果があるのか疑問」という指摘は、
2011年7月8日の第17回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で、
専門家によって以下のように指摘されていました(ゴチックはすべてspitzibara)。

みなさん無邪気に万歳しているようだけれども、これはあと20~30年ぐらいしないと、有効かどうかは全くわからないですよ。メーカーの人も、何十年経って有効だということは、どなたも全く保証していませんよ。
(倉田委員の発言)

先ほどの倉田先生のご意見、コメントに私も同感で、実際に今日見せていただいた実施要綱にも、「ヒトパピローマウイルスワクチン」と書いて、「以下、子宮頸がん予防ワクチン」と書かれています。一般の人がパッと見たときに、子宮頸がんがこれで予防できるのだと思いますが、それは期待されているとはいえ、まだ実証はされていないので、そのあたりの言葉の使い方についてどうかなと
(北澤委員の発言)

このワクチンはがん予防に100%の効果があるものではないということと、臨床的な効果、倉田先生のおっしゃった子宮頸がんそのものの効果については接種からの年数から見てデータとして不十分であるということを明記してあるので、……
(上記2委員の発言を受けて岡部委員の発言)


やり取りから見て「推進派」と思われる医師が
「データとして不十分である」と認めている。

認めたうえで、発言趣旨としては、
データは不十分ではあるが、その旨は明記してあるし
国も周知に留意するだろうから認可してもよかろう、の意。

その他、議論の詳細については ↓
日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 1(2011/8/5)
2(2011/8/5)


ついでに、日本では接種した人を登録する制度がなく、
したがって効果の評価が出来ないとする感染症専門家のブログの指摘もある ↓

このワクチンの効果評価は長期においかけるコホートデータになるので、
接種前からの登録・長期間のフォローアップが必要なんですが。

Registration Programがないですよ!
接種した人達が誰か、分母がわからないと、そもそも効果評価できないですよ!
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/ae5bce73d04f4699ffd21277ecb28b19


これらの情報を総合すると、
子宮頸がんを予防する効果は未だ実証されていない一方で、
その効果について日本でデータを取って検証するつもりもない、ということでは――?


② 「接種 実態調査を」子宮頸がんワクチン 被害者連絡会 朝日新聞(2013年3月26日)

海外の被害を調べてきた宮城県の内科医佐藤荘太郎さんは、昨年12月末までに厚生労働省に届けられた88人の重い副反応について、「個人的意見」とした上 で「法定接種を進めれば、今健康な娘さんたちに間違いなく同じ症状が増える」と警告。「因果関係を認めない医師は届けないため、実際はこの数倍被害がある のでは」と指摘した。



③ 子宮頸がんワクチン問題 ワクチン推進の教授、副反応「なじみがない」産経新聞(2013/3/19)

接種を推進している「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」の今野良・自治医科大教授は18日、「診断の基準は海外でも一定しておらず、日本も厚生労働省の研究班が基準を提案している段階で、(医師の間で)なじみがない」と述べた。



今野良医師とは、
2011年8月4日に「子宮頸がん制圧を目指す専門家会議」が朝日新聞に打った全面広告で
以下のように発言している人物。

子宮頸がん予防ワクチンということで、特別なワクチンと考えられがちですが、基本的には他のワクチンと変わるところはありません。思春期の多感な女子への接種なので、緊張のあまりドキドキして失神する方もいますが、10万人当たり3人程度の頻度です。


この発言には
失神の原因をワクチンにではなく、女児の方に転嫁しているという重大な問題がある、と
私はこの広告を取り上げた以下のエントリーで指摘しました↓
子宮頸がんワクチンでの失神は「ドキドキするから」?(2011/8/5)


そもそも日本で最近
ワクチン、ワクチンと急に騒がしくなった背景にあるのは
実はワクチンの推進ではなくワクチン産業の推進だったりする ↓
日本の「ワクチン産業ビジョンの要点」の怪(2011/3/8)

で、さらにその背景には、
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義がチラついている? ↓
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)


ちなみに、誤解を招かぬようお断りしておきますが、
当ブログは特定のワクチンの是非を論じる立場にはなく、そのつもりもありません。

当ブログが問題にしているのは
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義の暴走であり、

それによって、保健医療の問題が
実は政治経済の問題と化してしまっていると思われる構造的な問題。

つまり、こういう世界ができ上ってしまっているのでは?  という問題意識です ↓

事業仕分けの科学研究予算問題から考えること(2009/12/12)
CDCの前ディレクターはHPVワクチン売ってるMerck社のワクチン部門トップに天下り(2010/3/9)
「次世代ワクチン・カンファ」の露骨(2010/5/28)
「必要を創り出すプロセスがショーバイのキモ」時代と「次世代ワクチン・カンファ」(2010/5/29)
“プロザック時代”の終焉からグローバル慈善ネオリベ資本主義を考える(2011/6/15)
やっぱり不思議な「ワクチン債」、ますます怪しい「途上国へワクチンを」(2011/9/4)
AJOB巡るスキャンダルには、幹細胞治療や日本の医療ツーリズムも“金魚のウンコ”(2012/2/15)
2013.03.29 / Top↑
09年にターミナルな患者へのPASを禁じた法律は違憲だとの判断が出たモンタナ州の議会には
現在、PASを明確に違法とする法案が提出されていますが、

それを受けて、地元紙に元外科医の妻から投書。

ALSの夫を本人の意思に反するモルヒネ投与で失った体験を語り、
その法案に賛成するよう各選挙区の議員に呼びかけを求めている。

Carol E. Mungasさんの夫は
モンタナ州の元外科医。

ALSを発症して妻が自宅で介護していて、
意思疎通は文字盤としゃべる機能付きのiPadで可能だった。

頭ははっきりしており思考も損なわれておらず、
安楽死や自殺幇助には反対していた。

妻が所用で1日半、町を離れなければならなくなり、
夫はその間、地元の介護施設に入ることになった。

ところが、彼の状態について何らかの情報の混乱があったのか、
看護師らがモルヒネを投与し始めた。

数回の投与を受けて、何が起こっているか(オーバードースになっていること)に本人が気付き、
呼吸セラピストを呼んでくれとメッセージを打ったが
誰も来なかった。

その後の数日間、夫は呼吸苦と闘いながら
妻子とコミュニケートするために意識を失わないように必死になったが、
看護師はモルヒネを送るボタンを押し続け、
子どもたちにも15分おきにボタンを押すよう指示した。

その時には妻も子も、
モルヒネで呼吸が抑制されることなど知らなかったが、
夫はちゃんと分かっていたのだ。

こんなものは緩和ケアでもペイン・コントロールでもありません。死を早めただけです。夫は事実上、本人の意思に反して安楽死させられたのです。夫は選択を許されませんでした。彼の最後のコミュニケーションが、助けを呼ぼうとするものだったとわかり、今なおトラウマになるほどの苦しさです。

夫のケースでわかるように、医師と看護師は現行法のもとで有している力を既に誤用・濫用しています。ことは命にかかわる問題です。自殺幇助の合法化によって、彼らの力を拡大することには熟慮が必要です。

Husband’s death illustrates need for law declaring physician-assisted suicide illegal
Ravalli Republic, March, 22, 2013



結局、以下の直前エントリーと同じ―― ↓

助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)(2013/3/26)



【モンタナ州自殺幇助議論関連エントリー】
裁判所が自殺幇助認めたものの、やってくれる医師がいない?(MT州)(2009/4/6)
合法とされたMT州で自殺幇助受けられず子宮がん患者が死亡(2009/6/18)
自殺幇助を州憲法で認められたプライバシー権とするか、2日からモンタナ最高裁(2009/9/1)
モンタナの裁判で「どうせ死ぬんだから殺すことにはならない」(2009/9/3)
モンタナ州最高裁、医師による自殺幇助は合法と判断(2010/1/2)
MT州最高裁の判決文をちょっとだけ読んでみた(2010/1/5)
合法化判決出ても医師ら自殺ほう助の手続きに慎重(2010/1/11)
モンタナの自殺幇助合法化 続報(2010/1/16)
2013.03.29 / Top↑
英国の医療での知的障害者差別の実態については
2007年にMencapが画期的な報告書、Death by indifference を刊行していますが ↓

「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト(2009/3/31)
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
「NHSは助かるはずの知的障害者を組織的差別で死なせている」とMencap(2012/1/3)


この報告書があぶり出したショッキングな実態により
その後、保健省の費用で、研究者らによって
2010年から3年間に及ぶ非公開の実態調査が行われることになり、

その調査結果が3月19日に発表された。

年間1238人の知的障害児者が
適切な医療を受けられないために死んでいる、と推計。

知的障害者の死亡件数のうち、
37%は死を避けることができたものと考えられる。

また、一般人口と比較して、
知的障害のある男性は13年も早く死んでおり、
知的障害のある女性では20年も早く死んでいた。

調査の対象となった知的障害者の22%が50歳以下で死んでいるが、
一般人口では50歳以下で死ぬ人は9%に過ぎない。

調査チームは、
今後もデータ収集を続け、深刻なケースでは調査を行えるよう、
知的障害者死亡率調査委員会という全国組織の立ち上げを提唱。

1200 avoidable deaths
mencap, March 19, 2013


米国の実態はこちら ↓
障害者への医療の切り捨て実態 7例(米)(2012/6/26)


英国では知的障害者の他にも、
NHSの病院での高齢患者へのケアの劣悪が
政府が委員会を設置して調査に乗り出す大スキャンダルとなっている ↓

“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
ケアホーム入所者に無断でDNR指定、NHSトラストが家族に謝罪(英)(2012/5/8)
84歳の男性が病院で餓死(英)(2012/12/26)
2013.03.29 / Top↑
有機的統合性に基づく脳死定義へのアラン・シューモンの批判といえば、
日本で臓器移植問題に興味のある人が思い出すのは小松美彦氏の「脳死・臓器移植の本当の話」(PHP新書)。

小松氏の「有機的統合性」概念批判の概要はこちらに ↓
有機的統合性は“脳死=人の死”の根拠にはなりえない?

そのAlan Shewmonの擁護論を、
Journal of Medicine and Philosophyの最新号で
E. Christian Bruggerという生命倫理学者が書いた。

長すぎて要約不能だとしてBioEdgeは結論のみ。

Cookの文章に沿ってなぞってみると、

生きている状態というのは
身体全体が有機的な統合体として生理的に機能できている状態であり、
その統合をつかさどっているのが脳であるとして
バーバード大学の脳死判定基準を認めた大統領生命倫理評議会の結論は、

その基準での脳死判定では脳死とされる状態でありながら
有機的統合体であり続ける症例を多数挙げて、
有機的統合性をつかさどるのは脳ではなく、
a property of the whole organism (生命体全体としての働き?)である、との
シューモンの疑念に論駁しきれていない、として、

Bruggerは
「脳死」は人の死ではなく一臓器の死に過ぎないのでは、と書き、

「これらの疑いが取り除かれるまで、慎重を期し、
脳死とされる人達を生きている者として扱うことが倫理的に妥当」と結論。

Questions hover over “brain death,” says US bioethicist
BioEdge, March 23, 2013
2013.03.29 / Top↑
カナダの生命倫理学者、カルガリー大の Walter Glennonが
Cambridge Journal of Healthcare Ethics 4月号で
デッド・ドナー・ルール(死亡提供ルール)に疑問を呈している。


アブストラクトはなく、最初の1ページは以下。 ↓
The Moral Insignificance of Death in Organ Donation
Cambridge Quarterly of Healthcare Ethics, Volume22 Issue 02, April 2013


BioEdgeによれば、Glennonは、
重症脳損傷の患者のケースを論じて、以下のように書いている。

What matters is not that the donor is or is not dead, or when death is declared, but that the donor or a surrogate consents, that the donor has an irreversible condition with no hope of meaningful recovery, that procurement does not cause the donor to experience pain and suffering, and that the donor’s intention is realized in a successful transplant.

問題なのはドナーが死んでいるかいないかとか、いつ死が宣告されるかではなく、ドナーまたは代理決定者が同意しており、ドナーが意味のある回復の見込みがまったくない不可逆な状態にあって、臓器摘出がドナーに痛みも苦しみも与えず、成功裏に移植が行われてドナーの意思が実現されることである。


むしろ、ドナーに臓器提供の意思があるにもかかわらず、
提供が認められなかったり、死亡提供ルールで死ぬまで待って臓器が使えなくなれば、
ドナーの利益が損なわれるのだ、と主張し、

臓器不足解消のため、
デッド・ドナー・ルールの撤廃を説いている。


ここまでは、これまでも説かれてきたデッド・ドナー・ルールの撤廃論とも
ほとんど同じ路線だろうと思うのだけど、

この後でBioEdgeがまとめている最後の段落はすごく気になる。

そうすると
健康な人が自殺の手段として臓器提供をすることも認めるのか? という問いに

Glennonは、否。全然そうではない、と答える。

そういう人は理性にもとづいた標準的な自己決定をしていないから
そういう臓器提供は認められない。

通常は、人が自分の生はもはや生きるに値しないと結論するのは
不可逆で望みのない状態を経験しているからだから。

Why wait until death for organ donation, asks Canadian bioethicist
BioEdge, March 23, 2013



提供意思があるのに提供がかなわないなら
それは提供意思があった人が可哀そうだから、
ちゃんとその意思を尊重してあげるために、
生きているうちから採ってもいいことにしよう、という理屈は
SavulescuとWilkinsonの臓器提供安楽死の論理でもあったけど ↓

「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
臓器提供は安楽死の次には”無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)


こういうのって、
実は犠牲に供しようとするターゲットの人達に
犠牲にする/なることについての倫理判断の所在を転嫁するという意味では、
安楽死や自殺幇助の合法化にエマニュエルが指摘していた患者への責任転嫁と
同じカラクリなんでは――?
 


もう一つ、そういえばAshley療法論争でも、
議論の主要テーマは「重症障害児への成長抑制は倫理的に妥当か」だったはずが、

議論が繰り返され、
「重症児だからやってもかまわない」という自分たちの主張に
世論が一定の影響を受けたところまでくると、

シアトルこども病院成長抑制ワーキング・グループという妙な組織の煙幕に隠れて
FostやDiekemaらが書いたHCRの10年の正当化論文では、
「重症児にしかやらないのだから成長抑制療法は正当化できる」と

議論の論点そのものを正当化の論拠に使う、という
論理のアクロバットが演じられていた。


“科学とテクノの簡単解決バンザイ”文化の旗振り役の生命倫理学者って、
同じマヤカシの手口を使うんだろうか。

「意味のある回復の見込みのない不可逆な状態は
生きるに値しない命だから

殺しても構わない……
死なせても構わない……
臓器をとっても構わない……」

という議論を
自分たちで展開してきておいて、

その論理が正当化されたわけでも受け入れられたわけでもなくとも、、
そろそろ世論に一定の影響が広がってきたとみると、

「回復の見込みのない不可逆な状態の人が
生きるに値しないと自己決定するのは、筋の通った判断だけど」と
それを今度は別の論点の論拠として逆転してみせることで
あたかもそれ自体は既に正当化・合意されたステートメントであるかのように――。

そうして
既に受け入れられた判断であるかのような錯覚・洗脳が
さらに広げられていく――。


それにしても「意味のある回復」とか
「人と意味のあるやり取りができる」とか、

アシュリー療法論争でも繰り返されていたけど、
あの、meaningful ってな、一体何なんです?


【関連エントリー】
Navarro事件の移植医に無罪:いよいよ「死亡提供ルール」撤廃へ?(2008/12/19)
臓器移植で「死亡者提供ルール」廃止せよと(2008/3/11)
「重症障害者は雑草と同じだから殺しても構わない」と、生命倫理学者らが「死亡提供ルール」撤廃を説く(2012/1/28)
2013.03.29 / Top↑
 マルカーノ修道僧に案内され、我々は僧院長のオーテンシオと対面した。
「ようこそ、パチョレック。あなたが数々の難事件を解決してきていることは、よくきいておりますぞ」とオーテンシオは言った。
「因果の糸はおだまきの、みちのくなれば白松ガモナカ」
 師には時々わけのわからないことを言う癖があった。
「ライオン丸の碩学シピンは」と僧院長が遠回しに言った。「至高者の存在を証明するにさいして、ひたすら理性だけを頼りに、後年は髭を剃り落として真実へと到達されました」
「私ごとき者がどうして」とパチョレックがへりくだって言った。「シピン博士に異議を唱えましょうか。神は、すでにボブホーナーが熟知していたように、私たちの魂の内部から語りかけてきます。だからデモドリのフィルダーはブライアントよりも偉大なのです」
 この二人の会話は無意味である。
「バラバラの名前」 『バラバラの名前』(清水義範 新潮文庫 p.12-13)

(タイトルの「バラバラの名前」は1986年のショーン・コネリー主演の映画薔薇の名前から。映画の元になったのは、なんだかよく知らないけど難解で有名な小説「薔薇の名前」)




因果の糸はおだまきの、みちのくなれば白松ガモナカ――。

いいなぁ、これ。
何度も何度も繰り返し、しっかり暗証しておこう。

そして、今度、誰かと話をしていて、
相手の言葉や態度に思わずカッと頭に血がのぼった瞬間に、

まるで車酔いでもして汚物を吐く時みたいに
腹の底から激しい言葉がものすごい勢いで込みあげてきて
あやうく口からほとばしり出しそうになったら、

それをぐっと飲み込んで、言うんだ。
できるだけ、ゆっくりと重々しい口調で。

「うん。そうだね。
だって、因果の糸はおだまきの……」

そして、
「白松ガモナカ」のところで、ニッと笑って見せる。

それができたら……あはは。
そんなの、もう即身仏じゃないか。

できるか、んなこと。
2013.03.29 / Top↑
生命倫理学者で腫瘍科専門医のエゼキエル・エマニュエルについては
これまで以下のエントリーで触れてきました。

「障害者は健常者の8掛け、6掛け」と生存年数割引率を決めるQALY・DALY(2009/9/8)
自己決定と選択の自由は米国の国民性DNA?(2009/9/8)
Dr. Emanuel「PASに関する4つの神話」(2012/11/5)
E・エマニュエルによる終末期医療改革の4提言(2013/1/7)


そのエマニュエルが1997年に
オレゴン州の自殺幇助合法化を批判して
the Atlanticという雑誌に論考を寄せた、ということは
上の09年9月8日の2つ目のエントリーでも書いているのですが、

今日、訳あって、そのAtlanticの論考を
遅ればせながら読んでみました。

大変長大な論考で、
基本的にはこの人はずっと同じ「4つの神話」を指摘しているのだな、と思うのですが、

とても興味深い個所が2つあったので
その2点について、とりいそぎ、メモを。

① エマニュエルは上のリンクでも紹介したように、
医師は致死薬を注射することに慣れるんだ、
慣れれば例外はルーティーンになり、
ベビー・ブーマーの高齢化で財政的な圧力かかればルールになる、と
この論考で警告した人なのですが、

その先、エマニュエルが提言しているのは、

あくまでも人を死なせることは違法のまま留めておいて、
例外を認める、という方法。

誰かの命を終わらせたいと望んでいる人に対して、
あらゆる手を尽くしたことを証明する責任を負わせる。
それを証明できた場合にのみ例外として認める。

そうでなければ、
必ずや合法化によってルーティーンとなりルールとなるから。


② 次に、ここは、ほんと唸った ↓

Broad legalization of physician-assisted suicide and euthanasia would have the paradoxical effect of making patients seem to be responsible for their own suffering. Rather than being seen primarily as the victims of pain and suffering caused by disease, patients would be seen as having the power to end their suffering by agreeing to an injection or taking some pills; refusing would mean that living through the pain was the patient's decision, the patient's responsibility. Placing the blame on the patient would reduce the motivation of caregivers to provide the extra care that might be required, and would ease guilt if the care fell short. Such an easy, thoughtless shift of responsibility is probably what makes most hospice workers so deeply opposed to physician-assisted suicide and euthanasia.

医師による自殺幇助と安楽死の包括的合法化には、
苦痛の責任が当の患者にあるように見えてしまうという逆説的な効果がある。

それらが合法化されることによって、
概して病気によって引き起こされる痛みや苦しみの犠牲者とみなされている患者が、
注射を受けたり薬を飲むことに同意すれば自分でその苦しみを終わらせる力を持っているように
見えてしまうのだ。

注射や薬を拒むなら、逆に
痛みながら生きることは患者の選択であり、患者の責任ということになる。

責めを患者に負わせると、
本当はさらなるケアが必要な場合にも医療者・介護者には
それを提供するモチベーションが低下するし、
ケアが不十分であっても罪悪感は軽減される。

ホスピスで働く人たちのほとんどが
PASと安楽死にこれほど強く反対しているのは、恐らくは、
こうした患者への責任転嫁が容易に、深く考えることなく起こるためだろう。
(ゴチックはspitzibara)

Ashley療法論争の際に、
SavulescuらがHCRに書いた論文で
子宮摘出と乳房摘出の理由に性的虐待予防が挙げられていることについて
「性的虐待の責がAshleyに負わされている」と指摘したことに
ちょっと似ている。

どうも、
“科学とテクノの簡単解決”文化がはらんでいる倫理問題にも、
こうした自己選択・自己決定という名の当事者への自己責任への転嫁と
それに伴う専門職や社会の側への免責が付きまとっているような気がする。

新型出生前遺伝子診断だってそうだし、
(障害のある子どもだと分かって産むことは自己責任になり、
社会から支援の責任を免責する)

介護者による自殺幇助や慈悲殺が免罪されていくなら
どうにも面倒を見られなくなった時に要介護状態の人を“どうにかする”責任が
家族介護者に背負わされていくことになる。それと共に
社会は介護サービスや介護者支援制度を整備する責を免れていく。

たぶん、それは
その文化と直結したグローバルひとでなし強欲ネオリベ金融慈善資本主義の世界構造にも、
言えることだ。

それ以外に我が子を育てながら生きていく金を手に入れる手段がないから
代理母をやることだって、自己選択だし、

喰いつめて腎臓や眼を売るしかなくなるのだって自己決定なら、

国が認可したり推奨しているから安全だと信じて
ビッグファーマの予防医療マーケティングに乗るのも自己責任の自己決定。
キャンペーン張ってる人達は言っているもの。「自分でしっかり判断して」。

たぶん、中国から「研修生」として日本に働きに来るのだって
本人の自己選択なんだろう。

たとえそれが「研修生」という名目だけの
実態は奴隷労働であったとしても――。

Whose Right to Die?
The Atlantic, March 1997



そう言えば、今日、ある人のツイートに
まさにその通りだなぁ……と、深いため息とともに共感した。

ツイッターを辞めたためにRTできないので、
以下にコピペさせてもらおう。

元々困ってもいなかった金持ちがさらに金を集めてしかも分けないという仕組みを作っているだけとしか思えない。自助、自己責任の名の下にヒトが殺されていく時代の幕開けが礼賛されるこの不思議


なんで、こんなに救いのない世の中になってしまったんだろう??
2013.03.29 / Top↑
ペンシルベニア州で19日火曜日午後1時ごろ、
Lehigh Valley病院のホスピス病棟に入院中のMildred Osmanさん(83)を
夫Elwood(86)が銃で撃って殺害。自分も銃で自殺した。

Mildredさんは3月初めに脳卒中を起こし、
終末期のホスピスケアを受けるために入院中だった。
左半身がマヒし、しゃべることができなくなっていた。

2人は結婚64年で片時も離れることがなく、
80代になっても「若い子みたいに」「熱烈に」愛し合っていたと証言する娘は、
「分かってもらいたいのは、父がしたことは全く愛から出たことだということ。
父は絶望していたんです」と。

孫娘は祖母の状態について

She couldn’t feed herself. She couldn’t walk; she couldn’t get up. She couldn’t go to the bathroom.

自分ではご飯は食べられないし、歩けないし、起き上がることもできないし、トイレにも行けなかった。

ホスピス幹部は

It’s a love story, the elderly gentleman could not bear to see his wife suffering.

愛の物語ですよ。あのご高齢の紳士は妻が苦しんでいるのを見るのが忍びなかったんです。


このニュースに反応してテレビ局に寄せられたコメントは

This is what happened when the medical industry won’t let us die.

病院が私たちを死なせてくれないと、こういうことが起こるんですよ。

また別の視聴者は

No human being … has the right to force someone in such a situation to continue living.

どんな人間だって、こんな状況で生き続けることを誰かに強制する権利はない。


そこで自殺幇助合法化をめぐる議論が再燃している、
ORとWAとMO州では合法化されている、と
69NEWSは報じている。


Patient’s husband shoots her, self inside Lehigh Valley Hospital room, officials say
69NEWS, March 20, 2013

Shooting victims’ granddaughter: They were madly, madly in love with each other
69NEWS, March 20, 2013

Hospital shooting renews debate over assisted suicide
69NEWS, March 21, 2013



そういえば、
1月に以下のエントリーで紹介した記事で
概要が紹介されていた4つの事件のうち
3つは夫による病妻の自殺幇助事件だった ↓
「近親者の自殺幇助には温情」文化が広がっている(米)(2013/1/22)

なにやら米国の空気が
ギルダーデール事件の判決の頃の英国みたくなってきた……。


それにしても、
患者を家族に殺されて
「愛の物語」「苦しむのを見ていられなかったんですよ」と平気で言えるホスピス職員……?

いや、それよりも、
脳卒中の発作を起こした患者が
発作から3週間もたたないのにホスピスに入れられてしまう……ってのも……?
2013.03.29 / Top↑
カナダのBC州で去年出た、PAS禁止の違憲判決の上訴審。上訴したカナダ政府の意見陳述などニュースが続々出ていて、全然読めていないのだけど、せめて一つくらいは拾っておく。
http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/judge-erred-in-trying-to-find-right-answer-in-assisted-suicide-debate-lawyer/article9885021/

NHSの病院の5分の1で、高齢者に尊厳あるケアが提供されていない、とCQC。:私が英語ニュースを読み始めた06年から、高齢者と知的障害者に対する病院ケアの劣悪に関するニュースは続いているのに。英国文化の中に、パーソン論的なものがある、とか……?
http://www.guardian.co.uk/society/2013/mar/19/hospitals-older-patients-dignity

米国の高齢者3人に1人が認知症で死んでいると米国アルツハイマー病協会からの報告書。心臓病その他の死因は減っているのに対して、アルツハイマー病で死んだ人は2010年までの10年間で68%も増加。報告書本文はこちら ⇒http://www.alz.org/alzheimers_disease_facts_and_figures.asp
http://www.medicalnewstoday.com/articles/257882.php

日本語。認知症予防、将来は注射で? =遺伝子治療、マウスで成功―理研・長崎大など。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130318-00000159-jij-sctch

FDAはアルツハイマー病初期の治療薬の認可については規制緩和の方針。
http://www.nytimes.com/2013/03/18/opinion/drugs-for-early-stage-alzheimers.html?_r=0

一方、炭素菌ワクチンの子どもでの治験に、オバマ政権の生命倫理委員会は非常に厳しい条件を付けた。テロで炭素菌に晒されるリスクはあくまでも仮定であるのに対して、治験で子どもに負わされるリスクは現実のものだ、というのが主な理由。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/ethics-panel-sets-high-bar-for-anthrax-vaccine-research-in-children/2013/03/18/b8e8ba78-9002-11e2-9cfd-36d6c9b5d7ad_story.html

ジェネリック薬で重篤な副作用が出たケースで、ジェネリックの製薬会社が判決で命じられた賠償金に対して「ジェネリックである以上、ブランド薬と同じ成分、同じ警告、同じ安全プロフィールとすることとされている。こちらのジェネリック薬だけにブランド薬と違う警告は出せなかった」と反論。:日本政府は生活保護受給者にはジェネリックを義務付けようとしているらしいけど、こういう問題はどれほど検討されているんだろう?
http://www.washingtonpost.com/politics/supreme-court-examines-generic-drug-makers-liability/2013/03/19/60fe6cba-90d7-11e2-bdea-e32ad90da239_story.html

商務省長官Rebecca Blankがウィスコンシン大学の学長に。:ウィスコンシン大学と言えば、山中教授のライバル、トムソン教授のおひざ元で、当ブログでお馴染み“科学とテクノの簡単解決”文化の旗振り役の最先鋒、Norman Fostがブイブイ言わしているところ。そういう大学の学長に商務省長官が充てられる。なんとも象徴的。関連 ⇒ FostはES細胞研究スタートにも関与していた(2007/11/28)
http://www.washingtonpost.com/business/economy/commerce-chief-blank-to-lead-u-wisconsin/2013/03/18/ccec0f2a-8ff3-11e2-9cfd-36d6c9b5d7ad_story.html

Lancetに、5月にリリースされるDSM-5に関する記事。A shifting view of neurodevelopmental disability。気になる。
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422%2813%2970063-2/fulltext?elsca1=ETOC-NEUROLOGY&elsca2=email&elsca3=J34S35F

政治家になるつもりはない、とビル・ゲイツ。どうもビル・ゲイツを米国大統領に担ぎ出したい筋があるみたいで、繰り返しこういう話が出てくる。
http://www.tgdaily.com/hardware-brief/70285-bill-gates-wont-run-for-president

NYTの社説が、米国政府の海外援助資金は女性の中絶に関与する援助活動には使ってはならないとの規制を、途上国の女性の権利と命を護るために、緩和せよ、と。
http://www.nytimes.com/2013/03/18/opinion/abortion-and-women-overseas.html

日本語。シリーズ 貧困拡大社会―奪われたアメリカン・ドリームー 堤未果さんが取材する米国の貧困。「自由主義と自己責任の国・アメリカは、日本の未来の姿である」。再放送3月25日午後1時10分。
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2013-03/18.html

どこかにいまだに立っている自民党の看板「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」。
https://twitter.com/kambara7/status/312530724731375617/photo/1

日本。小野市:生活保護「適正化条例」案 市議会、賛成相次ぐ/兵庫
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20130316ddlk28010438000c.html

日本。<ヘイトスピーチ>「殺せ」… デモ、目立つ過激言動『「殺せ、殺せ」「ゴキブリ」「日本からたたき出せ」2月上旬、外国人が多く暮らす東京都内の繁華街でデモがあり、そんなシュプレヒコールが飛び交った』:ずいぶん前からツイッターでは話題になっていたことを思うと、遅きに失した感はあるのだけれど、それでもようやくメジャーなメディアが報道したか、と。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130318-00000043-mai-soci

日本。差別・切り捨ては許さない!~メトロ売店・非正規女性労働者がストライキ
http://www.labornetjp.org/news/2013/0318metro

日本。6年前の殺人容疑で逮捕の男性を釈放 広島地検:逮捕した時には大きく報道したのなら、こちらも同程度に報道してはどうか。それにしても日本の検察って……??
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20130318-00000001-ann-soci

国連女性会議。獲得された権利もあるが、まだまだ女性の権利のために働く女性が暴力に晒されているなどの現実。
http://www.guardian.co.uk/global-development/poverty-matters/2013/mar/20/un-conference-women-rights-won?CMP=EMCNEWEML6619I2

英国の警察が人身売買などが疑われる行方不明者の事件で取り組みを強化する、と。毎日900人も行方不明者の届け出がある(年間327000人)って、どーゆーこと? そのうち66%は子どもに関する報告。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/mar/20/police-missing-children-new-procedure?CMP=EMCNEWEML6619I2

英国。共働き家庭で夫婦の収入を合わせて一定の額に達していない家庭には、子育て費用の20%を支給という制度に。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/mar/19/working-parents-childcare
2013.03.29 / Top↑
一般社団法人日本ケアラー連盟から
ヤングケアラー支援ブログが誕生!!

http://youngcarers.carersjapan.com/

病気や障がいをもつ家族をケア(介護、看護、世話など)している、または
そのお手伝いをしている10代~20代のヤングケアラーと元ヤングケアラー(30代~)が
集い、語り合う場にしたいと思います。

身近にヤングケアラーや、ヤングケアラー支援の問題に興味関心のある方がおられたら
どうぞお知らせいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

以下、最初のエントリーからのコピペ。

病気や障がいをもつ家族をケア(介護、看病、世話など)している、またはそのお手伝いをしている10~20代の若いケアラー*(ヤングケアラー)ためのブログを立ち上げました。

心の中にある悩みや思いを話しませんか?
ヤングケアラーの中には、家族やケアに関する悩みを相談したり、思いを語り合ったりできる友達や大人が周りにいないという人が多いのではないでしょうか。
みなさんが気軽に何でも話せるところにしたいと思い、このサイトを立ち上げました。心に中にある思いをお寄せください。みんなで語り合っていきましょう。
もちろん、コメントを非公開にすることもできます。

たとえば、こんなことを話しませんか?
 ・家族のこと
 ・ケアで大変なことや困ったこと
 ・ケアをしていてびっくりしたことや面白かったこと
 ・ケアのために進学や就職などで悩んだこと
 ・学校や友達のこと

また、10~20代をヤングケアラーとして過ごした30代以上の方にとっても、その頃の話ができる場がないのではないでしょうか。
当時のこと、今だから言えることを話しませんか。
そして、今悩んでいる子どもたちへの励ましやアドバイスもお寄せください。


皆さんの生の声をコメントにお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。


*ケアラーとは:
「介護」「看病」「療育」「世話」「こころや身体に不調のある家族への気づかい」など、ケアの必要な家族や近親者・友人・知人などを無償でケアする人のことです



【ヤング・ケアラー支援関連エントリー】
17歳のヤング・ケアラー、ロンドン5輪の聖火ランナーに(2011/12/9)
統合失調症の母親を持つ子供の回復過程(夏苅郁子論文)(2012/8/9)
あるヤング・ケアラーの語り(2012/10/18)

英国介護者週間
「介護保険情報」2007年8月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」
英国BBCが若年介護者特集
「介護保険情報」2011年1月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」

英「全国介護者戦略」モデル事業の総括報告書 リーズ大から 1(2011/12/28)
英「全国介護者戦略」モデル事業の総括報告書 リーズ大から 2(2011/12/28)


【日本ケアラー連盟関連エントリー】
介護者の権利を守るための「ケアラーズ連盟」、6月7日に発足へ(2010/5/18)(その後、名称変更)
「ケアラー連盟結成宣言」(2010/7/6)
日本のケアラー実態調査(2011/6/14)
ケアラー連盟設立1周年記念フォーラムに参加しました(2011/7/1)
去年こんな「祝・ケアラー連盟設立」記事を書きました(2011/7/8)
2013.03.29 / Top↑