「家族介護の9つの秘訣」に続き、再びAARPのサイトから――
優しくて頑張り過ぎちゃった介護者に訪れる“燃え尽き症候群”。
こんな兆しが見られたら、あなたも“燃え尽き”かけているかも。
① 介護について話す時に「いつだって」「ゼッタイに」と言っている。
「母さんを施設に入れるなんて私はゼッタイにしないから」とか
「友達とランチにも行けない。あの子の食事介助はいつだって私なんだから」とか……。
② 何度も断っているうちに、いつのまにか
友達から遊びに行く誘いの電話がかかってこなくなった。
③ 「あ~、楽しかったなぁ」という思いをしたのはいつのことだったか、思い出せない。
④ 介護に関することはあなたがすべてやるのが当たり前だと、親戚中が考えている。
(ただし夫婦介護の場合はこれは文字どおりにはあてはめられないかも)
⑤ 太ってきた。体調が悪い。
⑥ 最後に旅行に行ったのは、もう思い出せないほど昔のこと。
⑦ 誰と何を話していても、いつのまにか介護の話になってしまう。
⑧ 趣味がなくなってしまった。
⑨ 朝まで通しで眠ることができない。
これには介護している人のニーズに応えるため、と
自分がストレスや心配事で眠れないため、と2つの理由が考えられますが、
後者は燃え尽き症候群の予兆かも。
⑩ 明日、もう目を覚ましたくない、と考える。
介護をしていて、特に苦しい危機的状況のさなかでは、
こういう思いになることは誰にでもありますが
危機が過ぎ去ってもこんなふうに感じる時は
燃え尽きかけているのかも。
10 Signs of Caring Too Much
AARP from Caring.com
それぞれの項目の後に
「そうなるのは、あなたがこうだからです」
「そうならないために、こういうふうにしてみましょう」
という解説やアドバイスが書かれているのですが、
その部分を読んでいると、
かつて「育児相談」とかで「障害児の母親」の悩みを聞くと、
「それはお母さんがこうしないから子どもがこうなるのです」
「お母さんさえああすれば、子どもとはこうなるもの」と、
我が子のオムツさえ替えたこともなさそうなジイサンたちに
元校長だとかいうだけで高いところからエラソーな説教をされ、
「それはお母さんが悪い。もっと努力しなさい」というところに話を落とされて、
結局、相談する前よりもはるかに気分が悪くなって終わる……という
実に不愉快な体験を思い出してしまった。
ここでは介護体験がない人が書いているわけでも
高いところから訓を垂れているわけでもないのだろうけど、
“自己責任”で介護者を「責める」トーンがほんのわずかに感じられるので
この際、はぶきました。
大事なのは
このチェックリストに当てはまったら、
「あ、自分、燃え尽きかけているのかな」と、
まずは立ち止まって考えてみることだと思う。
そこで、
燃え尽きに向かわないために自分はどうすべきだったかを
点検したり反省するんじゃなくて(そんなのはハッピーな状態に戻れてからでいい)
これ以上、燃え尽きに向かって進まないために
ちょっと介護の力と手を抜いてみること、
どこで抜けるか考えてみること。
私の好きな“身勝手な豚”さんは、
自分が介護の中で一番「イヤだ」と感じていることは何かを考えてみろ、と言っています。
そして、その一番イヤな部分で、ほんのちょっと手を抜いてみる。
ほんのちょっと手を抜いたらどうなるか、様子を見てみたらいい、
手を抜いても、大したことは起こらないはず。
そしたら、さらにもうちょっと抜いてみる。
そんなふうに、少しずつ手を抜いていこうね、と言っています。
詳細はこちらに ↓
「“身勝手な豚”の介護ガイド 4: 「階段から突き落としてしまいたい」で止まるために」(2011/7/23)
それから“身勝手な豚”さんの、燃え尽きないための黄金律は
Break, or you break。
ブレイク・レスパイトして休憩するか、ブレイクしてあなたが壊れるか――。
優しくて頑張り過ぎちゃった介護者に訪れる“燃え尽き症候群”。
こんな兆しが見られたら、あなたも“燃え尽き”かけているかも。
① 介護について話す時に「いつだって」「ゼッタイに」と言っている。
「母さんを施設に入れるなんて私はゼッタイにしないから」とか
「友達とランチにも行けない。あの子の食事介助はいつだって私なんだから」とか……。
② 何度も断っているうちに、いつのまにか
友達から遊びに行く誘いの電話がかかってこなくなった。
③ 「あ~、楽しかったなぁ」という思いをしたのはいつのことだったか、思い出せない。
④ 介護に関することはあなたがすべてやるのが当たり前だと、親戚中が考えている。
(ただし夫婦介護の場合はこれは文字どおりにはあてはめられないかも)
⑤ 太ってきた。体調が悪い。
⑥ 最後に旅行に行ったのは、もう思い出せないほど昔のこと。
⑦ 誰と何を話していても、いつのまにか介護の話になってしまう。
⑧ 趣味がなくなってしまった。
⑨ 朝まで通しで眠ることができない。
これには介護している人のニーズに応えるため、と
自分がストレスや心配事で眠れないため、と2つの理由が考えられますが、
後者は燃え尽き症候群の予兆かも。
⑩ 明日、もう目を覚ましたくない、と考える。
介護をしていて、特に苦しい危機的状況のさなかでは、
こういう思いになることは誰にでもありますが
危機が過ぎ去ってもこんなふうに感じる時は
燃え尽きかけているのかも。
10 Signs of Caring Too Much
AARP from Caring.com
それぞれの項目の後に
「そうなるのは、あなたがこうだからです」
「そうならないために、こういうふうにしてみましょう」
という解説やアドバイスが書かれているのですが、
その部分を読んでいると、
かつて「育児相談」とかで「障害児の母親」の悩みを聞くと、
「それはお母さんがこうしないから子どもがこうなるのです」
「お母さんさえああすれば、子どもとはこうなるもの」と、
我が子のオムツさえ替えたこともなさそうなジイサンたちに
元校長だとかいうだけで高いところからエラソーな説教をされ、
「それはお母さんが悪い。もっと努力しなさい」というところに話を落とされて、
結局、相談する前よりもはるかに気分が悪くなって終わる……という
実に不愉快な体験を思い出してしまった。
ここでは介護体験がない人が書いているわけでも
高いところから訓を垂れているわけでもないのだろうけど、
“自己責任”で介護者を「責める」トーンがほんのわずかに感じられるので
この際、はぶきました。
大事なのは
このチェックリストに当てはまったら、
「あ、自分、燃え尽きかけているのかな」と、
まずは立ち止まって考えてみることだと思う。
そこで、
燃え尽きに向かわないために自分はどうすべきだったかを
点検したり反省するんじゃなくて(そんなのはハッピーな状態に戻れてからでいい)
これ以上、燃え尽きに向かって進まないために
ちょっと介護の力と手を抜いてみること、
どこで抜けるか考えてみること。
私の好きな“身勝手な豚”さんは、
自分が介護の中で一番「イヤだ」と感じていることは何かを考えてみろ、と言っています。
そして、その一番イヤな部分で、ほんのちょっと手を抜いてみる。
ほんのちょっと手を抜いたらどうなるか、様子を見てみたらいい、
手を抜いても、大したことは起こらないはず。
そしたら、さらにもうちょっと抜いてみる。
そんなふうに、少しずつ手を抜いていこうね、と言っています。
詳細はこちらに ↓
「“身勝手な豚”の介護ガイド 4: 「階段から突き落としてしまいたい」で止まるために」(2011/7/23)
それから“身勝手な豚”さんの、燃え尽きないための黄金律は
Break, or you break。
ブレイク・レスパイトして休憩するか、ブレイクしてあなたが壊れるか――。
2011.10.24 / Top↑
遺伝子操作をした豚からの臓器移植研究はこの10年で目覚ましく進歩している。Xenotransplantationというんだそうな。Xenophobiaって、外国人嫌悪のことだから、異種間の臓器移植という意味なのね。なんか気持ちの悪い単語だなぁ……。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/236387.php
NYT。統合失調症を患う法学教授の手記がヒットして、他の患者さんたちにも病気と付き合いながら生活するノウハウの研究に手を上げて、と。
Memoir About Schizophrenia Spurs Others to Come Forward: The success of a book by Elyn R. Saks, a law professor, has encouraged others with schizophrenia to volunteer for studies on how they cope.
人身売買で英国に連れてこられ、保護されたはずの子ども達が保護施設から消える、という現象が英国で続いている。今回も24人が消えた。12歳から17歳。
http://www.guardian.co.uk/law/2011/oct/18/children-lost-human-trafficking?CMP=EMCGT_191011&
【関連】2008年にも「空港や大きな港の周辺で施設や里親過程で保護されていたはずの外国人の子ども達が400人以上も姿を消していることが判明」している。以下のエントリーの⑨ ↓
子ども達がこんなにも不幸な時代(2008/5/30)
11月は米国の介護啓発月間。
http://www.prnewswire.com/news-releases/november-is-long-term-care-awareness-month-a-good-time-for-local-groups-to-schedule-informational-seminars-132180503.html
ゲイツ財団がフィリピンでもHIVキャンペーンを後押し。:ゲイツ財団は中国のHIVキャンペーンではこんなことしてた。
http://www.mb.com.ph/articles/338110/bill-gates-helps-hiv-campaign
ゲイツ財団とグラクソが手を組んで開発したワクチンで、マラリアは半減する、と。
http://www.forbes.com/sites/matthewherper/2011/10/18/glaxosmithkline-bill-gates-backed-vaccine-cuts-malaria-infections-by-half/
http://www.guardian.co.uk/society/2011/oct/18/malaria-vaccine-save-millions-children?CMP=EMCGT_191011&
上記マラリア研究へのビル・ゲイツの1億ポンド提供を、「目覚ましい慈善行為」とMirror紙。
http://www.mirror.co.uk/news/top-stories/2011/10/23/bill-gates-100million-for-malaria-research-is-a-stunning-act-of-philanthropy-115875-23507568/
10月24日はゲイツ財団とパートナーが集う「世界ポリオ・デイ 2011」
http://multivu.prnewswire.com/mnr/gatesfoundation/49365/
ビル・ゲイツが独禁法違反でMicrosoftが訴えられている訴訟で、近く出廷。http://www.foxnews.com/scitech/2011/10/20/microsoft-founder-bill-gates-to-testify-in-billion-dollar-suit/
http://www.cbsnews.com/stories/2011/10/17/scitech/main20121484.shtml
重心施設に子どもを入所させている親としては非常に気になる座談会。「小児在宅医療の普及に向けて」:支援のためもだけれど、いわゆる「ベッドふさぎ」問題、コスト問題の解消のためというホンネだって露骨にチラついて、どちらかというと「救児の人々」の路線の匂いも? こういうのを読むと、高齢者は療養型介護施設の廃止決定で実際に地域に受け皿なんかないまま追い出された、ということを考える。そういう人たちがどうなったかというと、重症高齢患者専用のアパートという名の貧困ビジネスの餌食になっている。まさか、それが重症児でも起こるのでは、と考えると、私は発狂しそうなくらい恐ろしい。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02945_01
同じく、【中医協】重症児の在宅移行も論点に。
http://www.cabrain.net/news/regist.do;jsessionid=055E2BAB3BB102C3BEE3016A8B64E000
後見人ら、財産を守るはずが着服18億円超。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111020-OYT1T00256.htm
NYTにThe Fierce Imagination of Haruki Murakami というタイトルで村上春樹に関する記事。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/236387.php
NYT。統合失調症を患う法学教授の手記がヒットして、他の患者さんたちにも病気と付き合いながら生活するノウハウの研究に手を上げて、と。
Memoir About Schizophrenia Spurs Others to Come Forward: The success of a book by Elyn R. Saks, a law professor, has encouraged others with schizophrenia to volunteer for studies on how they cope.
人身売買で英国に連れてこられ、保護されたはずの子ども達が保護施設から消える、という現象が英国で続いている。今回も24人が消えた。12歳から17歳。
http://www.guardian.co.uk/law/2011/oct/18/children-lost-human-trafficking?CMP=EMCGT_191011&
【関連】2008年にも「空港や大きな港の周辺で施設や里親過程で保護されていたはずの外国人の子ども達が400人以上も姿を消していることが判明」している。以下のエントリーの⑨ ↓
子ども達がこんなにも不幸な時代(2008/5/30)
11月は米国の介護啓発月間。
http://www.prnewswire.com/news-releases/november-is-long-term-care-awareness-month-a-good-time-for-local-groups-to-schedule-informational-seminars-132180503.html
ゲイツ財団がフィリピンでもHIVキャンペーンを後押し。:ゲイツ財団は中国のHIVキャンペーンではこんなことしてた。
http://www.mb.com.ph/articles/338110/bill-gates-helps-hiv-campaign
ゲイツ財団とグラクソが手を組んで開発したワクチンで、マラリアは半減する、と。
http://www.forbes.com/sites/matthewherper/2011/10/18/glaxosmithkline-bill-gates-backed-vaccine-cuts-malaria-infections-by-half/
http://www.guardian.co.uk/society/2011/oct/18/malaria-vaccine-save-millions-children?CMP=EMCGT_191011&
上記マラリア研究へのビル・ゲイツの1億ポンド提供を、「目覚ましい慈善行為」とMirror紙。
http://www.mirror.co.uk/news/top-stories/2011/10/23/bill-gates-100million-for-malaria-research-is-a-stunning-act-of-philanthropy-115875-23507568/
10月24日はゲイツ財団とパートナーが集う「世界ポリオ・デイ 2011」
http://multivu.prnewswire.com/mnr/gatesfoundation/49365/
ビル・ゲイツが独禁法違反でMicrosoftが訴えられている訴訟で、近く出廷。http://www.foxnews.com/scitech/2011/10/20/microsoft-founder-bill-gates-to-testify-in-billion-dollar-suit/
http://www.cbsnews.com/stories/2011/10/17/scitech/main20121484.shtml
重心施設に子どもを入所させている親としては非常に気になる座談会。「小児在宅医療の普及に向けて」:支援のためもだけれど、いわゆる「ベッドふさぎ」問題、コスト問題の解消のためというホンネだって露骨にチラついて、どちらかというと「救児の人々」の路線の匂いも? こういうのを読むと、高齢者は療養型介護施設の廃止決定で実際に地域に受け皿なんかないまま追い出された、ということを考える。そういう人たちがどうなったかというと、重症高齢患者専用のアパートという名の貧困ビジネスの餌食になっている。まさか、それが重症児でも起こるのでは、と考えると、私は発狂しそうなくらい恐ろしい。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02945_01
同じく、【中医協】重症児の在宅移行も論点に。
http://www.cabrain.net/news/regist.do;jsessionid=055E2BAB3BB102C3BEE3016A8B64E000
後見人ら、財産を守るはずが着服18億円超。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111020-OYT1T00256.htm
NYTにThe Fierce Imagination of Haruki Murakami というタイトルで村上春樹に関する記事。
2011.10.24 / Top↑
2008年12月に「介護保険情報」誌の連載「世界の介護と医療の情報を読む」で仮訳したものを、
以下のエントリーにアップしておりましたが、
「介護者の権利章典」訳を改定しました(2009/12/12)
自分でも、この訳には当時から全然満足できておらず、
いつかやり直したいと思いつつ、そのままになっていました。
昨日tu_ta9さんのブログ「今日考えたこと」で紹介してくださったのを機に
懸案のやり直しにチャレンジしてみました。
介護者の権利章典 (再改定版)
私には……
・自分を大切にする権利があります。自分をいたわり大切にすることは身勝手とは違います。自分を大切にしなければ、家族を介護する力も出ません。
・外に助けを求める権利があります。身内からは反対されるかもしれないけれど、誰にだって耐えられること、頑張れることには限界があります。どこまで耐えて頑張れるか、私自身の限界を知っているのは私です。
・介護者として以外にも様々な役割や立場を持った私自身の生活を、中断することなく続ける権利があります。家族に介護が必要となった時を境に私の生活は変わらざるを得なくなりましたが、できる限りの介護をしているのだから、時に介護者以外の役割や立場を大切にすることがあっても、バチは当たりません。
・腹を立てたり、落ち込んだりする権利があります。たまには、自分で持て余した気持ちをぶちまける権利もあります。
・罪悪感を煽ったり落ち込ませるようなことを言って、こちらを思い通りにさせようとする身内(わざとやる人も無意識にやる人も)がいても、その手には乗らない権利があります。
・気を配り、愛をそそぎ、許し難きを許し受け入れながら介護しているのだから、そういう私にも気を配り、愛をそそぎ、許し受け入れてもらう権利があります。
・こうして介護をやりおおせている自分を誇らしく感じる権利、時としてメゲそうなほど大きい介護ニーズにも踏ん張っている自分を褒めてやる権利があります。
・一人の人としての自分を失うことなく、私自身の人生を生きていく権利があります。私が介護している人には、いつか常時介護が要らなくなる日が来ます。その後にも私は自分の人生を生きていくのですから。
・この国の障害のある人々への支援が進み、そのための方策が新たに見出されていきますように、また介護者を助け支える支援も進んでいきますように、と望み求める権利があります。
原文はこちら ↓
http://www.zarcrom.com/users/yeartorem/rights.html
なお「ぶちまける」は tu_ta9さんの翻訳からのパクりです。
tu_ta9さん、無断借用すみません。
ちょっとはマシになったでしょうか。
自分としては、「”身勝手な豚”の介護ガイド」との出会いで、
介護に関する翻訳への姿勢がちょっと吹っ切れたと感じているところがあるので、
ついでに「”身勝手な豚”の介護ガイド」エントリーシリーズを以下に。
「“身勝手な豚”の介護ガイド」1:セックスもウンコも“殺してやりたい”も
「“身勝手な豚”の介護ガイド」2:あなた自身をもう一人の“子豚”に
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3:“専門家の世界”に心が折れないために
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3のオマケ:だって、Spitibaraも黙っていられない
「“身勝手な豚”の介護ガイド」4:「階段から突き落としてしまいたい」で止まるために
「“身勝手な豚”の介護ガイド」5:ウンコよりキタナイものがある
「“身勝手な豚”の介護ガイド」6:セックスを語ると“子豚”への愛が見えてくる“ケアラー哲学”
以下のエントリーにアップしておりましたが、
「介護者の権利章典」訳を改定しました(2009/12/12)
自分でも、この訳には当時から全然満足できておらず、
いつかやり直したいと思いつつ、そのままになっていました。
昨日tu_ta9さんのブログ「今日考えたこと」で紹介してくださったのを機に
懸案のやり直しにチャレンジしてみました。
介護者の権利章典 (再改定版)
私には……
・自分を大切にする権利があります。自分をいたわり大切にすることは身勝手とは違います。自分を大切にしなければ、家族を介護する力も出ません。
・外に助けを求める権利があります。身内からは反対されるかもしれないけれど、誰にだって耐えられること、頑張れることには限界があります。どこまで耐えて頑張れるか、私自身の限界を知っているのは私です。
・介護者として以外にも様々な役割や立場を持った私自身の生活を、中断することなく続ける権利があります。家族に介護が必要となった時を境に私の生活は変わらざるを得なくなりましたが、できる限りの介護をしているのだから、時に介護者以外の役割や立場を大切にすることがあっても、バチは当たりません。
・腹を立てたり、落ち込んだりする権利があります。たまには、自分で持て余した気持ちをぶちまける権利もあります。
・罪悪感を煽ったり落ち込ませるようなことを言って、こちらを思い通りにさせようとする身内(わざとやる人も無意識にやる人も)がいても、その手には乗らない権利があります。
・気を配り、愛をそそぎ、許し難きを許し受け入れながら介護しているのだから、そういう私にも気を配り、愛をそそぎ、許し受け入れてもらう権利があります。
・こうして介護をやりおおせている自分を誇らしく感じる権利、時としてメゲそうなほど大きい介護ニーズにも踏ん張っている自分を褒めてやる権利があります。
・一人の人としての自分を失うことなく、私自身の人生を生きていく権利があります。私が介護している人には、いつか常時介護が要らなくなる日が来ます。その後にも私は自分の人生を生きていくのですから。
・この国の障害のある人々への支援が進み、そのための方策が新たに見出されていきますように、また介護者を助け支える支援も進んでいきますように、と望み求める権利があります。
原文はこちら ↓
http://www.zarcrom.com/users/yeartorem/rights.html
なお「ぶちまける」は tu_ta9さんの翻訳からのパクりです。
tu_ta9さん、無断借用すみません。
ちょっとはマシになったでしょうか。
自分としては、「”身勝手な豚”の介護ガイド」との出会いで、
介護に関する翻訳への姿勢がちょっと吹っ切れたと感じているところがあるので、
ついでに「”身勝手な豚”の介護ガイド」エントリーシリーズを以下に。
「“身勝手な豚”の介護ガイド」1:セックスもウンコも“殺してやりたい”も
「“身勝手な豚”の介護ガイド」2:あなた自身をもう一人の“子豚”に
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3:“専門家の世界”に心が折れないために
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3のオマケ:だって、Spitibaraも黙っていられない
「“身勝手な豚”の介護ガイド」4:「階段から突き落としてしまいたい」で止まるために
「“身勝手な豚”の介護ガイド」5:ウンコよりキタナイものがある
「“身勝手な豚”の介護ガイド」6:セックスを語ると“子豚”への愛が見えてくる“ケアラー哲学”
2011.10.24 / Top↑
オフィシャルサイトはこちら ↓
http://www.foxmovies.jp/saruwaku/
ちょっと前に新聞で沢木耕太郎氏のレビューを読み、
すばらしい作品なのに、サルの知能が伸びるきっかけになるのが認知症治療薬という
その一点だけが安っぽいという意味の個所を読んだ時に、
私は「私の中のあなた」レビュー以来、
沢木氏に偏見があるからかもしれないけど、
いや、それはたぶん違うだろう、
その一点こそが時代への警鐘のはずだ、という予感が強くしたので、
見に行ってきた。
大当たりだった。
「科学とテクノの簡単解決バンザイ文化」で何が起こっているかが
ほとんど報道されることのない日本では、沢木氏のように解釈する人が多いのかもしれないけど、
それこそ「私の中のあなた」の“救済者兄弟”が国によってはすでに合法的な現実だとは知らず、
単なるSF的創造だとか空想の世界の話として受け止めた人が多かったのと
同じことじゃないんだろうか。(この件については文末にリンク)
この映画で描かれているブロックバースターの開発を巡る
製薬・遺伝子操作関連企業の熾烈な競争と、その中で
研究テーマや対象が医学的な必要よりも投資家の興味によって
「ゼニがすべてを決め、ゼニですべてが動く」利権構造も、
大きな利権に繋がる薬や技術は
副作用や諸々のリスクなど安全性の確認が十分にされない内から
見切り発車で流されていく構図も、向精神薬やクローン牛やGM農業や
いま現実に「科学とテクノの簡単解決文化」で起こっているそのままだし、
そして、それらの熾烈な競争で
最も投資家の興味を呼んでいる“美味しいマーケット”の1つは
「頭がよくなる薬・技術」であり「認知症の治療法」だというのも現実だ。
トランスヒュー二ストらの「頭さえよくなれば障害が治り生産性が上がって
みんながハッピーになれる」ユートピア像に見られるように
(詳細は「トランスヒューマニズム」書庫に)
また「科学とテクノで簡単解決文化」の知能偏重を象徴するかのように、
(詳細は「科学とテクノのネオリベラリズム」書庫に)
「頭が良くなる薬」がそのまま「認知症の治療薬」になるはずだという
映画の中の直線思考まで、ちゃんとTHニスチックで「それらしい」。
(その2つは直線では繋がらないはずだと私は独断と偏見で思うけど。)
そして、THニストの夢といえば、もちろん「不老不死」。
それだって、ちゃんと盛り込まれていた。
「自然のあり方を壊してはいけないわ」
Some things are not meant to change.(世の中には、変えちゃいけないものがあるのよ)
などの登場人物の言葉とともにね。
(両者は別の場面での別のセリフなのですが、
なぜか前者は字幕が目に、後者は英語が耳に届いてしまったので)
だから、認知症の治療薬開発に成功したと思ったら、
想定外の展開に至って人類滅亡への道を開いてしまった……というのが
かつての猿の惑星シリーズで核戦争で人類が滅びたのかと思ったら、
案外に核戦争では滅びていないけど、今度は「科学とテクノの簡単解決文化」の愚かさで
人類は滅びるんだね……という、とてもリアリティのある警鐘――。
それにしても、主人公のチンパンジー、シーザーの目覚めを描くプロセスは見事だった。
見事すぎて、シーザーの vulnerability(日本語を思いつけなかった)が
重症障害のある娘の vulnerability に直結し、生々しく痛かった。
特に保護施設に置き去りにされるシーン、その直後に
保護してくれる存在を失ったシーザーが虐待を受ける場面は、
6歳の娘を施設に入れた私には苦し過ぎて、息が詰まりそうだった。
科学とテクノの簡単解決文化の後ろにあるのはつまるところ
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義だから、この映画をみていると、
その「ひとでなし」の部分でモノとして利用され踏みつけられ切り捨てられていく
世界中のありとあらゆる生き物(もちろん人間を含む)が、シーザーに象徴されていく気がする。
初めてシーザーが人間の言葉で人間の暴力を拒絶す感動的なシーンで
彼の NO は、私には遠くニューヨークの公園に集結した人々から聞こえてきた。
障害のため、肌の色のため、性別のため、貧困のために、
力弱い子どもだからというだけで、途上国に生まれ住んでいるというだけで、
カネさえ儲かれば人の命などどうなったっていいという強欲の犠牲にされていく
世界中の弱い者たちの声の集まりとして、響いてきた。
そして、ついに団結し立ち上がった猿たちの逆襲は、なんて小気味よかったことか。
「いけ、どんどん行け、もうそんな愚かな人間たちは滅ぼしてしまえ!」と思わず心に叫びつつ、
血沸き肉躍り、実に胸がすく、ヤンヤな活劇だった。
たぶん、人間による人間への逆襲が、きっとどうしたって
これほど目覚ましい逆転を起こすとは誰にも思えず、
現実の世界では
シーザーのように仲間と闘っているつもりでいたのに
振り返ったら一人だった……みたいな体験や、
団結すれば強いのは分かっていても、
その団結するということそのものの難しさに絶望してしまうことの方が
誰にとっても多いのが、きっと現実の世の中というものであるだけに、
いつのまにか「人間なんか滅ぼしてしまえ!」と
心に叫びながら猿の側に立ってシーザーの活躍に喝采できる活劇は、ほんに陶然と心地よい。
娘の代弁者だと自任している、サルの側でものを言っているはずの私は、
実は娘にとっては人間の側に立っていたりもするように、
人は同時にサルでもあり人間でもあるからややこしい、現実世界の複雑なジレンマを、
つかのま忘れてコーフンできることからくるカタルシス――。
【「私の中のあなた」関連エントリー】
ピコー「私の中のあなた」、キャメロン・ディアス主演で映画化(2009/6/22)
映画「私の中のあなた」は“空想”でも“未来の話”でもなく、既に現実(2009/9/15)
臓器移植ネットワークが映画「私の中のあなた」とタイアップすることの怪(2009/9/16)
沢木耕太郎氏の「私の中のあなた」レビュー(2009/9/19)
映画「私の中のあなた」を見る前に原作小説を再読(2009/10/8)
映画「私の中のあなた」を見てきました(2009/10/10)
「私の中のあなた」映画と小説のレビューを書きました(2009/12/4)
http://www.foxmovies.jp/saruwaku/
ちょっと前に新聞で沢木耕太郎氏のレビューを読み、
すばらしい作品なのに、サルの知能が伸びるきっかけになるのが認知症治療薬という
その一点だけが安っぽいという意味の個所を読んだ時に、
私は「私の中のあなた」レビュー以来、
沢木氏に偏見があるからかもしれないけど、
いや、それはたぶん違うだろう、
その一点こそが時代への警鐘のはずだ、という予感が強くしたので、
見に行ってきた。
大当たりだった。
「科学とテクノの簡単解決バンザイ文化」で何が起こっているかが
ほとんど報道されることのない日本では、沢木氏のように解釈する人が多いのかもしれないけど、
それこそ「私の中のあなた」の“救済者兄弟”が国によってはすでに合法的な現実だとは知らず、
単なるSF的創造だとか空想の世界の話として受け止めた人が多かったのと
同じことじゃないんだろうか。(この件については文末にリンク)
この映画で描かれているブロックバースターの開発を巡る
製薬・遺伝子操作関連企業の熾烈な競争と、その中で
研究テーマや対象が医学的な必要よりも投資家の興味によって
「ゼニがすべてを決め、ゼニですべてが動く」利権構造も、
大きな利権に繋がる薬や技術は
副作用や諸々のリスクなど安全性の確認が十分にされない内から
見切り発車で流されていく構図も、向精神薬やクローン牛やGM農業や
いま現実に「科学とテクノの簡単解決文化」で起こっているそのままだし、
そして、それらの熾烈な競争で
最も投資家の興味を呼んでいる“美味しいマーケット”の1つは
「頭がよくなる薬・技術」であり「認知症の治療法」だというのも現実だ。
トランスヒュー二ストらの「頭さえよくなれば障害が治り生産性が上がって
みんながハッピーになれる」ユートピア像に見られるように
(詳細は「トランスヒューマニズム」書庫に)
また「科学とテクノで簡単解決文化」の知能偏重を象徴するかのように、
(詳細は「科学とテクノのネオリベラリズム」書庫に)
「頭が良くなる薬」がそのまま「認知症の治療薬」になるはずだという
映画の中の直線思考まで、ちゃんとTHニスチックで「それらしい」。
(その2つは直線では繋がらないはずだと私は独断と偏見で思うけど。)
そして、THニストの夢といえば、もちろん「不老不死」。
それだって、ちゃんと盛り込まれていた。
「自然のあり方を壊してはいけないわ」
Some things are not meant to change.(世の中には、変えちゃいけないものがあるのよ)
などの登場人物の言葉とともにね。
(両者は別の場面での別のセリフなのですが、
なぜか前者は字幕が目に、後者は英語が耳に届いてしまったので)
だから、認知症の治療薬開発に成功したと思ったら、
想定外の展開に至って人類滅亡への道を開いてしまった……というのが
かつての猿の惑星シリーズで核戦争で人類が滅びたのかと思ったら、
案外に核戦争では滅びていないけど、今度は「科学とテクノの簡単解決文化」の愚かさで
人類は滅びるんだね……という、とてもリアリティのある警鐘――。
それにしても、主人公のチンパンジー、シーザーの目覚めを描くプロセスは見事だった。
見事すぎて、シーザーの vulnerability(日本語を思いつけなかった)が
重症障害のある娘の vulnerability に直結し、生々しく痛かった。
特に保護施設に置き去りにされるシーン、その直後に
保護してくれる存在を失ったシーザーが虐待を受ける場面は、
6歳の娘を施設に入れた私には苦し過ぎて、息が詰まりそうだった。
科学とテクノの簡単解決文化の後ろにあるのはつまるところ
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義だから、この映画をみていると、
その「ひとでなし」の部分でモノとして利用され踏みつけられ切り捨てられていく
世界中のありとあらゆる生き物(もちろん人間を含む)が、シーザーに象徴されていく気がする。
初めてシーザーが人間の言葉で人間の暴力を拒絶す感動的なシーンで
彼の NO は、私には遠くニューヨークの公園に集結した人々から聞こえてきた。
障害のため、肌の色のため、性別のため、貧困のために、
力弱い子どもだからというだけで、途上国に生まれ住んでいるというだけで、
カネさえ儲かれば人の命などどうなったっていいという強欲の犠牲にされていく
世界中の弱い者たちの声の集まりとして、響いてきた。
そして、ついに団結し立ち上がった猿たちの逆襲は、なんて小気味よかったことか。
「いけ、どんどん行け、もうそんな愚かな人間たちは滅ぼしてしまえ!」と思わず心に叫びつつ、
血沸き肉躍り、実に胸がすく、ヤンヤな活劇だった。
たぶん、人間による人間への逆襲が、きっとどうしたって
これほど目覚ましい逆転を起こすとは誰にも思えず、
現実の世界では
シーザーのように仲間と闘っているつもりでいたのに
振り返ったら一人だった……みたいな体験や、
団結すれば強いのは分かっていても、
その団結するということそのものの難しさに絶望してしまうことの方が
誰にとっても多いのが、きっと現実の世の中というものであるだけに、
いつのまにか「人間なんか滅ぼしてしまえ!」と
心に叫びながら猿の側に立ってシーザーの活躍に喝采できる活劇は、ほんに陶然と心地よい。
娘の代弁者だと自任している、サルの側でものを言っているはずの私は、
実は娘にとっては人間の側に立っていたりもするように、
人は同時にサルでもあり人間でもあるからややこしい、現実世界の複雑なジレンマを、
つかのま忘れてコーフンできることからくるカタルシス――。
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