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安楽死の周辺で、なにかと仰天の話題が続くベルギーで(詳細は文末にリンク)
政権与党の社会主義党から未成年にも安楽死を認める法改正が提案されていることは、
去年12月に以下のエントリーで報告しました ↓

ベルギー社会主義党「未成年と認知症患者にも安楽死を」(2012/12/22)


昨日のBioEdgeによると、

その審議の過程で明らかになったこととして、
未成年への積極的安楽死が違法なまま日常的に行われている、と。

日常的に行われるようになっているからこそ、
医師の免責のために法改正が必要、というのが
Queen Faviola子ども大学病院(ブリュッセル)のICU主任の議会での発言だった、とのこと。

その実態は、Ghent大学病院の医師も認めているが、
違法なことなので、その医師は、この問題の議論は慎重にしたい、との姿勢。

いったい子どもは何歳から安楽死を選択できることにするべきか、をめぐって、
専門家によって、親が認めれば12歳から、親が認めなければ16歳から、という説や
自律した決定権として15歳からにすべき、という説があるとか。

Should 12-year-old Belgian kids be able to choose euthanasia?
BioEdge, March 2, 2013


現段階で最新コメントの、以下の部分に共感した。

And yet, the propenents continue to tell us how tightly controlled and strict the guidelines for euthenasia will be. If all this is true then effectively the Belgians are saying, "Look, our doctors are killing people illegally so we should change the law so it's legal. Isn't illegal killing called murder?

これでもまだ推進派は、安楽死が(合法化されたら)いかに厳しい監督下に置かれ、いかに厳格なガイドラインができるかを説き続ける。この記事が事実だとしたら、ベルギーで言われているのは「ほら、ベルギーの医師は違法に人を殺しているんだから、合法にするために法改正をしよう」。違法に人を殺すのは殺人ではないんですか?



【関連エントリー】
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」9例に(2012/10/5)

「安楽死後臓器提供」のベルギーで、今度は囚人に安楽死(2012/9/15)
ベルギー社会主義党「未成年と認知症患者にも安楽死を」(2012/12/22)
ベルギーの安楽死10年のすべり坂: EIB報告書 1(2012/12/28)
ベルギーの安楽死10年のすべり坂: EIB報告書 2(2012/12/28)
ベルギーで、ろう者の双子(45歳)に安楽死(2013/1/14)
高名な精神科医による性的虐待の被害患者が、別の精神科医により安楽死(ベルギー)(2013/2/10)
2013.03.07 / Top↑
このニュース、AFPが日本語で2月8日に流していたもの ↓
避妊手術した女性を次々野外に放置、インドの病院

この「不妊手術キャンプ」について、ちょっと遅ればせだけど、
昨日のBioEdgeが動画入りで取り上げている。

州立病院のガイドラインでは1日25件までと定められているのに、
4人の医師が1日に106人の女性の不妊手術を行い、
(それも一人20分から30分という素早さで)

ベッドが30床しかないものだから、
終わるなり次々に屋外に運んでは道路上に放置したとして、
批判を浴びているもの。

さらに、任意・自発的な不妊手術だということになってはいるものの
実際には地方自治体が車や電化製品などの見返りで釣って誘導している、と。

Horror in a mass sterilization camp in India
BioEdge, March 2, 2013


しかし、これは実は
もうずいぶん前から言われてきていることでもある ↓

特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。

インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」(2012/6/12)


また、この前後には、こういうニュースもあった ↓
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?(2012/6/7)


実はBioEdgeのMichael Cookはニュースレターの先週号で、
上記12年7月の国際会議について触れている。

これがたいへん興味深いコメントなので、
以下に関連個所を抜いてみると、

You may recall that in July last year, Melinda Gates, one of the world's richest women, and the British government, organised a family planning summit in London. Rich nations and NGOs pledged US$2.6 billion to meet the unmet need for contraception in the developing world.
(中略:ここに上記ニュースの概要が入っている)
As far as I can remember, no one ever mentioned "sterilization camps" at the London summit which was applauded so enthusiastically in the world media. It would be interesting to see if some of this $2.6 billion is flowing into the pockets of the doctors who treated these women like animals in the hinterland of India.

去年7月に、世界で最も裕福な女性の一人、メリンダ・ゲイツと英国政府がロンドンで家族計画サミットを開催したことを記憶している人もいるだろう。途上国での避妊のニーズに応えるために、富裕な国々とNGOが26億USドルを提供することになった。
(中略)
私の記憶では、世界中のメディアが熱狂的に称賛したそのロンドン・サミットで、「不妊手術キャンプ」が話題になったことは一度もなかった。約束された26億ドルの中から、インドの奥地でこうした女性にまるで動物みたいな扱いをした医師のポケットに流れ込んでいるカネはないいのか、調べてみると面白いだろう。


Cookは、以下のような情報を知っているだろうか――?

ゲイツ財団資金で超音波による男性の避妊法を開発、途上国向け?(2010/5/12)
ゲイツ財団がインドのビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書(2010/5/17)
2010年5月29日の補遺:G8での途上国の母子保健関連記事。ここでも「家族計画」に言及。
ゲイツ財団が途上国の「家族計画、母子保健、栄養プログラム」に更に150億ドルを約束(2010/6/8)
「途上国の女性に安価な薬で簡単中絶“革命”を」の陰には、やっぱりゲイツ財団(2010/8/3)
注目集めるインド発・男性向け避妊法、「女性にも」とゲイツ財団(2011/6/3)

ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
“優生主義者”ビル・ゲイツ、世界エリートの“陰のサミット”ビルダーバーグ会議に(2010/6/9)
2013.03.07 / Top↑
老い(エイジング)について語る際に、
「ノーマルな」「健康な」「サクセス」などの形容をすることは
高齢者に対する社会の捉え方を捻じ曲げる、との問題提起がカナダから。

カナダの高齢者アドボケイト、
the Seniors Association of Greater Edmontonの前会長さん。

「ノーマルな老いと考えられるのはどういうものなのか、私にはわかりません。

45歳の人にとって何がノーマルなんですか?
80歳の人にとって何がノーマルなんですか?

そういう表現は使うべきではないと私は思います。

私自身の考え方は、
できるだけ多くを、できるだけ長く、できるだけ良くやりたい、というだけ」

またアルベルタ大学の看護学科の博士課程の学生で
認知症患者のQOLについて研究している看護師のHannah O’Rourkeさんは、

在宅で自立生活を送っているカナダの高齢者の8割には慢性病があるというのに、
サクセスフル・エイジングの責任を個々の選択に負わせるような表現は
誤ったメッセージを送り、

「高齢期に慢性病がある人は、
慢性病にならないエイジングというゴールを達成できなかった失敗者のように思わせるが、
そういうのは現実的なゴールではない」と問題提起。

ノーマルな、またはヘルシーなエイジングといった言い方をしては、
医療職が高齢者にいかに老いるべきかを説き、生活スタイルについて指導するけれど、
そこでは慢性病はノームに含まれておらず、

そうした表現が使われることによって、がんや糖尿病、心臓病など
慢性病のある高齢者に対する社会の捉え方に影響してしまう、と指摘する。

「ノーマルな老いというのは簡単に定義できることではなく、
慢性病があっても生活をエンジョイしているという高齢者は沢山います。

老いが単に「健康」で「病気がないこと」と定義されてしまうと、
慢性病を抱えて老いていく人たちは、そこには含まれないことになってしまう。

慢性病の治療法はなかなか見つからないし、
医療チームは実際そういう患者もケアしています。

私たちが考えなければならないのは、
慢性病のある高齢者が自分自身の健康や正常の定義に基づいて
良く生きることをいかに支えるか、ということです」

また、2026年までにカナダの総人口の5分の1が65歳以上の高齢者となる、といった
推計を持ち出して高齢者のことを語ることについても、

そうした統計そのものが、老いることを修正すべき問題という枠組みで捉えており、
そうした捉え方が、我々が高齢者をどのような目を向けるかに影響する、とも。

“Normal,” “Healthy” Or “Successful” Aging Can Prejudice Our Views of Seniors
MNT, March 1, 2013



【関連エントリー】
「現代医学は健康な高齢者を病気にしている」(2009/3/8)
「老い」は自己責任で予防すべき「病気」であり「異常」であるらしい(2009/9/21)
2013.03.07 / Top↑
プロライフのブログが最近の英国の安楽死・自殺幇助関連の動きを取りまとめており、
その中に、Falconer議員の発言があったので、メモとして拾っておく。

英国でPAS合法化推進の最先鋒、Falconer下院議員が、
5月に下院に自殺幇助合法化法案を提出することを明らかにしている。

基本的にオレゴン州の尊厳死法をモデルにし、
しかしオレゴンが余命6カ月以内の終末期の患者を対象としているのに対して、
こちらは余命1年以内と幅を広げるらしい。

Brief update of UK news about euthanasia and assisted suicide
National Right to Life News Today, March 1, 2013


Falconer議員とFalconer委員会関連エントリーはこちら ↓
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
英国上院に自殺幇助に関する検討委員会(2010/11/30)
Falconer委員会「自殺幇助合法化せよ」提言へ(2012/1/2)

去年9月にはこういうニュースもあったんだけど ↓
英国議員6割がPAS合法化に反対「不況で、弱者に圧力かかる」(2012/9/15)


その他、
LCPの機会的適用問題とかGMCのガイドラインなど
既に拙ブログでも書いていること以外で、

この記事で注目したいのは、
Tony Nicklinsonさんの未亡人が夫の裁判を続行することになったとのこと。

この奥さん、去年の暮れにはスコットランドで
Margo McDonald議員と一緒になってPAS合法化キャンペーンを張っていた。
2013.03.07 / Top↑
ProPublicaの医療担当記者が、
自分の老母が突然に陥った意識不明状態から
家族と話し合って生命維持停止を決めるまで、
また、その後の思いを詳細につづった良記事があった。

母親は人工的な延命を拒否していたが、
彼は医師らから聞かされた説明を鵜呑みにせず、
まず自分で関連データを調べあげる。

父親は、かつて似たような体験から回復したことがある人なのだ。

その時の揺らぐ思いを彼は次のように書いている。

We knew her end-of-life wishes: She had told my dad that she didn't want to be artificially kept alive if she had no real chance of a meaningful recovery. But what was a real chance? What was a meaningful recovery? How did we know if the doctors and nurses were right? In all my reporting, I'd never realized how little the costs to the broader health-care system matter to the family of a patient. When that patient was my mother, what mattered was that we had to live with whatever decision we made. And we wouldn't get a chance to make it twice.

母の終末期の望みは分かっていた。
意味のある回復の現実的な可能性がまったくないなら人工的に生かされるのは嫌だと
父に語っていたのだ。

しかし、現実的な可能性があるとは一体どういうことなのか?
意味のある回復とは一体どういうことなのか?

医師や看護師の見立てが間違っていないという保証は?

これまで記事を書いてきて、初めて、患者の家族にとっては
大きな医療制度にかかるコストなんて問題にならないことに気付いた。

患者が自分の母親だったら、問題になるのは
どう決断しようとも自分たちでその結果を背負って生きなければならないということだけだ。

そして、その決断にやり直しは効かない。


家族はみんなで話し合って「判断を急がない」と決めたうえで、
知人に教えてもらって別の医師に病院まで来てもらい、セカンド・オピニオンを求める。

さらに追加で検査をしたいという父親の意向にも従ったうえで、
すべての検査データが望みのないことを示した時に、
みんなが納得して人工呼吸器を切ることを決める。

それでもなお彼は、その後、
自分たち家族が決断に至るまでに費やした日数だけ
自分たちは医療費を浪費したのだろうか、という問いに苦しめられる。

そこで彼はダートマス大学医学部のElliot S. Fisher教授に相談するのだけれど、
この人の答えが素晴らしいと思う。

You never need to rush the decision-making. It should always be about making the right decision for the patient and the family. … We have plenty of money in the U. S. health-care system to make sure that we’re supporting families in coming to a decision that they can all feel good about. I feel very strongly about that.

意思決定を急ぐ必要は全くありません。
常に患者と家族にとって正しい意思決定がされることが最優先にされるべきです。

家族全員が悔いのない決定に至れるよう
家族をサポートできるだけのお金は米国の医療制度にはたっぷりあります。

私は強くそう思っています。

そして彼は、
それよりも問題は、終末期医療に関する本人の意思が不明な状況だったり、
医師が明らかに無益な治療を終末期の患者に強行して苦痛を引き伸ばすケースだ、と語る。

I don’t think the best care possible always means keeping people alive or always doing the most aggressive cancer chemotherapy, when the evidence would say there is virtually no chance for this particular agent to make a difference for this patient.

可能な限り最善の治療とは、必ずしも患者を生かし続けることでもなければ
この患者さんにこの特定の抗がん剤が効くエビデンスなどほとんどない状況で
常に最もアグレッシブな抗がん剤治療をやることでもない、と思います。

How Mom’s Death Changed My Thinking About End-of Life Care
ProPublica, February 28, 2013


無駄な延命治療はやめよう、
高齢者は終末期医療をどうするか自分で決めておけ、
無駄に医療費を使うな……と、私たちは言われ続けている。

でも、
なにが「無駄な延命」で、なにが「有効な治療」「可能性のある治療」なのかは、
個々の患者さんが個々にたどる転帰の特定の一点においてのみ
判断できることではないのか。

Fisher医師の言う、this patient、
目の前にいる、特定の「この患者」について
「今ここ」にある状況でのデータに基づいて、特定の「この治療」が
果たして無駄な治療なのかどうかが検討しうるのであり、
それ以外ではないはずだ、と思う。

それなのに、
まるで特定の技術や治療それ自体が一括で「無駄な延命」であるかのような
キャンペーンがはられて、

「一定の年齢や一定の状態になったら
無駄な医療費を使って社会に迷惑をかけてはならない」という
刷り込みばかりが進められていくような気がしてならない。
2013.03.07 / Top↑
米国小児科学会(AAP)と米国臨床遺伝学会(ACMG)から
子どもの遺伝子検査・スクリーニングに関する新たなガイドラインが出ている。

フル・テキストはこちらから読めます(私は読んでいません) ↓
Ethical and Policy Issues in Genetic Testing and Screening of Children
Pediatrics, Published online February 21, 2013

ここでは、AAPのサイトのリリース全文を以下に。

Genetic testing and screening of minors is widespread, and testing is done routinely on virtually all newborns. In the American Academy of Pediatrics (AAP) policy statement, “Ethical and Policy Issues in GeneticTesting and Screening of Children,” in the March 2013 issue of Pediatrics (published online Thursday, Feb. 21), the AAP and the American College of Medical Genetics (ACMG) issue recommendations on updated technologies and new uses of genetic testing and screening. Both the AAP and ACMG agree that the best interest of the child should be the principle factor on whether to offer testing and screening. Both the AAP and ACMG support mandatory genetic screening for all newborns. Parents or guardians should have the right to refuse newborn screening after being informed about the significant benefits and improbable risks. Most genetic testing beyond the newborn period is done on children with intellectual disabilities, autism spectrum disorders or multiple anomalies for diagnostic purposes. Genetic testing of older children may increase as data and knowledge expand. The recommendations on predictive testing are now divided into conditions that occur in childhood and those that occur in adulthood. For children at risk of childhood-onset conditions, testing is permitted with parental consent, and when feasible, the child’s assent. Testing for adult-onset conditions is discouraged, but exceptions can be made with appropriate counseling and the consent of the parent and child. Given the rapid advances in genetics and genomics, pediatricians and other health care providers need to stay informed and updated on best practices.

未成年の遺伝子検査とスクリーニングは広く行われており、検査は事実上すべての新生児にルーティーンで行われているに等しい。

Pediatrics誌2013年3月号のAAPのステートメント「小児の遺伝子検査とスクリーニングにおける倫理と施策の問題点」において、AAPとACMGは遺伝子検査とスクリーニングの最新テクノロジーと新たな利用方法について提言を出した。

両学会は、検査とスクリーニングを提示するかどうかを決める原則となるファクターは子どもの最善の利益である、との点で一致。両学会とも、すべての新生児に遺伝子スクリーニングの義務付けを支持。親または法的後見人は、利益が大きくリスクはまずないことの説明を受けた後で、拒否する権利を認められるべきである。

新生児期の後の遺伝子検査はそのほとんどが、知的障害、自閉症スペクトラム、または重複した異常のある子どもたちに診断目的で行われる。データと知見が増えるにつれて、年齢層の高い子どもへの遺伝子検査も増える可能性がある。

予測的な検査に関する提言は、現在のところ子どもの間に発症するものと成人してから発症するものとで異なっている。子どものうちに発症する病気や障害のリスクがある子どもでは、親の同意と、可能であれば子どもの同意によって検査は認められる。成人して発症する病気や障害の検査は認められないが、適切なカウンセリングと親と子の同意があれば例外はあり得る。

遺伝学とゲノム研究は急速に発達しており、小児科医をはじめとする医療提供者は常に最新の知見を身につけて、最新最善の臨床を心がける必要がある。

(余り考えず、ざっとやった仮訳です。ご了承ください)

AAP Issues New Guidance on Genetic Testing of Children
AAP Release, February 21, 2013


【関連エントリー】
遺伝子診断で嚢胞性線維症が半減(2008/4/1)
新生児スクリーニング制度化(加・米)(2008/4/21)
子ども病院倫理カンファ(遺伝子診断)に関する記事(2008/8/1)
新生児スクリーニング、去年から24の病気に(WA州)(2009/12/9)
「知的障害の遺伝子を特定、さぁ予防や治療の戦略を」と研究者(2009/12/18)
英国で190の遺伝子疾患スクリーニング、一般カップル向けに(2010/2/8)
「お子サマに最適なスポーツと差異的な訓練方法を」と“DNA霊感商法”(2011/5/20)

             -----

そういえば、上記リンクの2008/8/1のエントリーで取り上げているのだけれど、
遺伝子診断をテーマに行われた08年のシアトルこども病院生命倫理カンファで
だいたい以下のような話があったと、SP-iに書かれていました ↓

子どもの遺伝子診断技術は進んできており、
6年前にはほんの一握りの病気で行われていたスクリーニングが
現在ほとんどの州で29の病気まで拡大されており、
ワシントン州ではフェニルケトン尿症と嚢胞性線維症を含む24だが
8月の終わりに1つ追加される予定。

これらは多くの州で義務付けられているが、
親が宗教上の理由でオプト・アウトすることはできる。
2013.03.07 / Top↑
英国の警察官の間に近親者の自殺幇助に関する「裏ガイドライン」? 外国での(つまりディグニタスでの)自殺幇助は証拠を手に入れにくいのでスル―で、って? :これは、モロに以下の関連エントリーの話ですね。 
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2283561/Assisted-suicide-legalised-police-Secret-new-guidelines-senior-officers-mean-deaths-investigated.html

【関連エントリー】
警察が「捜査しない」と判断する、英国「自殺幇助起訴ガイドライン」の“すべり坂”(2011/7/15)
検死官が近親者による自殺幇助は見て見ぬフリ(英)(2011/8/25)
要介護状態の夫が、大動脈瘤で倒れた妻を病院で射殺。「慈悲殺か殺人か」論争に(2012/8/24)
「近親者の自殺幇助には温情」文化が広がっている(米)(2013/1/22)


英国の高齢化に関する報告書の衝撃。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/feb/24/britain-ageing-population-lords-inquiry?CMP=EMCNEWEML6619I2

北アイルランドの調査で、高齢者がケアホームに入ると向精神薬の処方が増えている。:この問題も関連エントリーは多いですが、ちょっと面倒なのでリンクはパスします。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256721.php

英国の知的障害者アドボケイト、Mencapが13日に出した報告書で、家族介護者の10人のうち8人もが短期のレスパイトすら利用できていない。
http://www.mencap.org.uk/news/article/family-carers-still-breaking-point?utm_source=Adestra&utm_medium=email&utm_campaign=Be%20Mencap%20-%20News%20February%202013

米国小児科学会と米国臨床遺伝学会とが、新生児全員に遺伝検査とスクリーニングを義務付けるよう提唱。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/256795.php

【関連エントリー】
遺伝子診断で嚢胞性線維症が半減(2008/4/1)
新生児スクリーニング制度化(加・米)(2008/4/21)
子ども病院倫理カンファ(遺伝子診断)に関する記事(2008/8/1)
新生児スクリーニング、去年から24の病気に(WA州)(2009/12/9)
「知的障害の遺伝子を特定、さぁ予防や治療の戦略を」と研究者(2009/12/18)
英国で190の遺伝子疾患スクリーニング、一般カップル向けに(2010/2/8)
「お子サマに最適なスポーツと差異的な訓練方法を」と“DNA霊感商法”(2011/5/20)


英国Mid Staffordshire NHSトラストの劣悪ケア・スキャンダル関連で、NHSのトップの辞任を求めるDaily Mail記事。
http://www.dailymail.co.uk/debate/article-2282034/Mid-Staffordshire-NHS-scandal-And-Sir-David-Nicholson-man-shame-wont-go.html

ケアの質が良い病院って、スタッフが楽しく働いている:これは、ミュウの施設を見ていて、いつも感じること。スタッフが笑顔で働けている時には、子どもたちにも笑顔が多い。それを決めるのはこれまでは王国の師長だった。これからは制度も関わってくるような気がしている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/256680.php

米国の幹細胞研究で、ICなきドナー配偶子が使われている、との指摘。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10404#comments

戦場での手足切断などの治療の訓練に動物を使っている米軍と、動物の権利擁護の活動家の間にはもう何十年も論争があるんだとか。
http://www.washingtonpost.com/world/national-security/military-is-required-to-justify-using-animals-in-medic-training-after-pressure-from-activists/2013/02/24/9b19e4ee-7d3e-11e2-82e8-61a46c2cde3d_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

日本。子どもを持つなというの? 待機児童 都市部の母 訴え切実
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013021902000160.html

日本。「道徳を正規教科に」提言へ…教育再生会議
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130215-OYT1T01673.htm

生活保護不正受給者“告発”条例提案…兵庫・小野:こういうのは子どもに教える道徳としては、「進んで告発する」ことが「規範意識が身についている」ということになるんだろうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/47573536.html

【PC遠隔操作事件】被疑者の素顔を弁護人に聞く:「彼が猫に首輪をつけたことを示す映像は本人に示されていません。報道でも、いつの間にか映像の話は立ち消えになりました」 江川 紹子さん、どの問題でも視点がブレず、いい仕事している気がする。小沢問題の時にも、メディアのおかしさを一貫して指摘し続けていた。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130219-00023545/

東京株終値、276円高の1万1662円 円安などで4年5か月ぶり高値:世界中で各国経済が破たんしている中、日本だけが立ち直れるなんて、あるはずないのに。実体経済が立ち直ったわけではなくて単に円安に誘導して経済が上向いたかのような表向きを演出しているだけなのだから、つまりリーマン・ショックを起こした人たちと似たようなことをやっているだけなのだから、いずれは同じショックがやってくるだけなんじゃないかと思うのだけれど、やっている人たちもこの前のG20で国際社会からの批判を封じ込めた人たちも、所詮は夏の参院選まで国民が踊っててくれたらいいのかもしれない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130225-00000575-san-bus_all
2013.03.04 / Top↑
英国議会は英国における
障害を理由とした中絶の実態調査に乗りだした。

Inquiry into Abortion on the Grounds of Disability
UK Parliament Inquiry

調査が行われる理由について

The current law permits an abortion to take place up to birth (40 weeks) if tests for disability indicate that the child may be disabled when born. There is a legal limit of 24 weeks for abortions on other grounds.

The Equality Act 2010 protects disabled people from discrimination. The Act prohibits discrimination arising from a disability by preventing one person from treating another less favourably because of their disability.
In light of the current legal position, the Parliamentary Inquiry into Abortion on the Grounds of Disability is seeking evidence from parents, medical practitioners, academia, support groups, disability groups, lawyers and individuals with an interest regarding the current theory, practice and implications of the approach to abortion on the grounds of disability in the UK.


英国の現行法では、胎児に障害がある場合には
出生時(妊娠40週)まで中絶が認められている。
その他の理由の場合には中絶が認められるのは24週まで。

一方、2010年の平等法は障害者を差別することを禁じていることから、
障害理由による中絶の実態を、親、医療職、学者、支援団体、
障害者団体、弁護士その他の関係者からエビデンスを集めて調査する、と。

調査は口頭と書面で行い、
分析結果を2013年5月に報告書に取りまとめられる。


が、いつもお世話になっているBioEdgeによると、
この調査のきっかけになったのは、
中絶が男女の産み分け手段とされている、との指摘だったとか ↓

http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10405



英国で障害理由による人工妊娠中絶が
口蓋裂や内反足程度でも、いよいよ出産の途上まで認められる件については
2008年のヒト受精・胚法改正の際にも議論となったことがありました。 ↓

「障害児はnon-person」と英国上院で(2008/3/7)
英国ヒト受精・胚法関連ニュース(2008/5/13)
英国ヒト受精・胚法関連ニュース2(2008/5/13)
英国議会ハイブリッド胚と救済者兄弟を認める(2008/5/20)
「中絶決断に情報提供不要」ヒト受精・胚法議論(2008/6/1)
(胎児に障害の可能性があれば中絶にはタイムリミットがなくなったのは
1990年、サッチャー政権下でのことだ、と、この記事に)
2013.03.04 / Top↑
ダウン症の大学生、Kさん(21)について
両親から出されていた強制不妊手術の要望を
ロンドンの保護裁判所は却下。

Kさんには現在のところ恋人はおらず、
特に交際相手を望んでいるわけではないが、

Kさんを愛情深く献身的にケアし支えてきた両親は
娘が成長するにつれて異性を意識するようになり、
時に人に対して過剰に親密にふるまうことがあることから、
今後、親から独立していくことを思うと、
障害のある弱みにつけ込まれることもあるだろうと案じての要望。

両親が相談した最初の医師は両親の強い要望に、同意したが、
「弱者である成人に対する特別な責任のある立場の女性」が知るところとなり、
セカンド・オピニオンが求められることになった。

2人目の医師は手術には同意せず、
非侵襲的な避妊方法をとるべきだ、との意見だった。

その際には、両親は、手術が認められないなら
Kさんを外国に連れて行ってでも受けさせる、とまで言っていたが、
裁判の進行の中では、国外に連れていくことはしないと同意。

法廷が任命した専門医、Samuel Rowland医師は
不妊手術に「臨床上のニーズはなく」、
本人がすぐに誰かと付き合うという状況でないなら
手術は本人の最善の利益ではない、と判断。

判事は、
Kさんが地域の Community Nurse Learning Disabilityで
人と付き合う時に身を守るための支援を受けていることを考え、

不妊手術には腸や膀胱を傷つけるリスクや心理的なリスクがあることを考えて、

本人の環境に大きな変化がない限り、
将来のKの避妊手段として現時点で手術を行うのは
行き過ぎ(disproportionate)であり、
つまり制約が最小の方法というわけでない、として、

侵襲的な不妊手術よりも、
制約度の低い避妊方法によるリスク管理は可能で、
避妊の必要が生じた場合には、これらを試みるべきだ、と判断。

Judge blocks sterilization of Down’s Syndrome woman
Telegraph, February 16, 2013



この判断は、Ashley事件の担当医であり生命倫理学者のDiekemaが
事件の1年前の論文で書いていた
「差し迫って必要になるまで不妊手術はやるべきではない」
との条件にも当てはまります。

(それなのに彼は何故6歳時のアシュリーの手術をあんなに熱心に正当化するのか、
事件の最大のナゾの一つでもあるわけですが)


最近の関連エントリーとしては ↓
英国で知的障害女性に強制不妊手術か、保護裁判所が今日にも判決(2011/2/15)
世界医師会が「強制不妊は医療の誤用。医療倫理違反、人権侵害」(2011/9/12)
精神障害者への強制中絶・不妊手術命令を、上訴裁判所が破棄(米)(2012/1/23)
スウェーデンでトランスセクシャルへの強制不妊に違憲判決(2013/2/4)

強制不妊は日本にもあります ↓
佐々木千鶴子さんの強制不妊手術(2010/5/18)

その他、大きな事件については ↓
【イリノイのK.E.J.事件:知的障害者への強制不妊を却下】
イリノイの上訴裁判所 知的障害女性の不妊術認めず(2008/4/19)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
ILの裁判からAshley事件を振り返る(2008/5/1)
ILの裁判から後見制度とお金の素朴な疑問(2008/5/1)
IL州、障害者への不妊手術で裁判所の命令を必須に(2009/5/29)

【昨年の障害者人権擁護ネット報告書から】
障害者人権擁護ネットから報告書「“A療法”・強制不妊・生命維持停止は人権侵害」(2012/6/20)
NDRN報告書:カルメンの強制不妊ケース(2012/7/14)

【オーストラリアのAngela事件関連】
豪で11歳重症児の子宮摘出、裁判所が認める(2010/3/10)
Angela事件(豪):事実関係の整理(2010/3/10)
Angela事件の判決文を読む 1(2010/3/11)
Angela事件の判決文を読む 2(2010/3/11)
重症児の子宮摘出承認でダウン症協会前会長・上院議員が検察に行動を求める(豪)(2010/3/13)

【その他、関連エントリー】
知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない(2010/3/23)
(タイ、日本、ペルー、これから進められそうな途上国のことなど)

ナミビアでHIV感染女性への強制不妊手術に抗議デモ(2010/6/2)
コンドーム生産国日本の家族計画国際協力がペルーの強制不妊に繋がった?(2010/8/17)
ウズベキスタンで強制不妊:人口抑制と周産期死亡率を落とす手段として(2012/4/23)
2013.03.04 / Top↑
以下のBMJの論文から
メモとしてオレゴン州の尊厳死法の要件を抜粋。

http://www.bmj.com/content/337/bmj.a1682?ijkey=bc7d37e92efbfea7ce03a2d59bfd0c8b4623fa04&eaf


Legal requirements of the Oregon Death with Dignity Act

The attending physician who is responsible for care of the patient’s terminal illness must ensure that:

• The patient is aged 18 years or above
• The patient is a resident of the state of Oregon
• The patient has made one written and two oral requests separated by 15 days
• The patient understands the risks of aid in dying and the alternatives, including hospice and comfort care
• The patient is assessed by a consulting physician
• Information about the patient is reported to the Oregon Department of Human Services


The attending and consulting physicians must ensure that:

• The patient is capable of making and communicating healthcare decisions
• The decision is voluntary
• The patient has a terminal illness that would, within reasonable medical judgment, cause death within six months
• The patient is referred to a psychologist or psychiatrist if concern exists that the patient has a psychiatric disorder including depression that may impair judgment

Information from statistical reports are compiled by the Oregon Department of Human Services and published yearly.


ちなみに、最後の要件とは
うつ病を含め、判断を損なわせる可能性のある精神障害の懸念がある場合には、
医師は患者を心理学者または精神科医に紹介しなければならない、というもの。

上記リンクの論文(2008)は
希望した人の4人に一人、致死薬を処方された人の6人に1人はうつ病だった、という
調査結果を報告している。


しかし、毎年の保健局からの実態報告では
精神科医に紹介されている希望者は全体の1人か2人程度で、ほとんどいないため、

精神障害者へのPASで法のセーフガードが効いていないことの証拠として、
PAS合法化に反対の立場はこの論文をよく取り上げる。


【関連エントリー】
Oregon尊厳死法による自殺者増加(2008/3/21)
WA州とOR州における尊厳死法の実態(2009/7/6)
WA州とOR州の2009年尊厳死法データ(2010/3/5)
OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与、たった20人の医師がせっせと処方(2010/3/11)
OR州の2010年のPAS報告書 自殺者また増加(2011/1/28)
OR州2011年に尊厳死法を利用して死んだ人は71人の最高記録(2012/3/14)
PASの「2人目の承認」断ったOR州の医師「うつ病患者を救えなかった」(2013/1/27)
OR州2012年に尊厳死法を利用して死んだ人は77人の最高記録(2013/2/5)
2013.03.04 / Top↑
『現代思想』2012年6月号の拙文
『「ポスト・ヒポクラテス医療」が向かう先 ――
カトリーナ“安楽死”事件・“死の自己決定権”・“無益な治療”論に“時代の力動”を探る』ならびに、

同じく昨年10月にシノドス・ジャーナルに書かせていただいた拙文
『安楽死や自殺幇助が合法化された国々で起こっていること』で

ベルギーの「安楽死後臓器提供」について
「レシピエントが待機した隣の手術室で安楽死を行い」と書いており、

その他、いくつかの機会にこうした話題でお話しさせていただいた折にも
同様のことを口にしておりますが、

その部分は正確ではありませんでした。

正しくは、以下です。

手術室またはその近くで安楽死を行い、
3人の医師が臨床的な基準によって死亡宣告した後に臓器を摘出した。
摘出された臓器は、ヨーロッパ移植ネットワークの登録リストの中から、
通常通りのルールにのっとって選ばれたレシピエントに移植された。


訂正し、心より深くお詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。


【関連エントリー】
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」9例に(2012/10/5)
2013.03.04 / Top↑
PAS合法化法案が出ているCT州の地元紙に、OR、WAの尊厳死法をモデルにした法案はセーフガードが不十分として、否決するよう求める社説。:最近、少しずつだけれど、セーフガードの欠落が言われるようになってきている気がする。昨年11月のMA州の住民投票でも、ここが大きな論点だった。
http://www.registercitizen.com/articles/2013/02/18/opinion/doc5122bdd35bbce108095353.txt

ケベック州の医師会は09年の早くからPAS合法化を推進してきたけれど、いよいよ州政府も合法化の方向を打ち出したところで、医師の一部から反対キャンペーン。
http://www.theepochtimes.com/n2/canada/quebec-physicians-launch-campaign-against-doctor-assisted-suicide-350529.html

【関連エントリー】
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
ケベックの尊厳死委員会から24の提言:メディアは「PAS合法化を提言」と(2012/3/24)
ケベックの小児外科医「これほどの医療崩壊を放置してPASなんて、とんでもない」(2013/1/19)


ついこの前、PAS合法化法案、上院委員会で否決(2013/2/15)されたばかりのモンタナ州で、今度はPASを明確に違法行為とする法案を下院が審議中。:世界中のあちこちで、すさまじい攻防が繰り広げられている。
http://www.greatfallstribune.com/viewart/20130220/NEWS01/302200013/House-panel-debates-penalties-assisted-suicide

POLSTがあっても、罪に問われることを恐れて患者の意思を尊重しない医師がいるため、POLSTによる治療の差し控えと中止に医師の法的免責が必要、という議論がワシントン州上院で。POLSTとは医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書(2012/11/26)
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/02/resuscitated-despite-polst.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29

テキサスの「無益な治療」法に、なんと改正案が7つも。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/02/texas-advance-directives-act-five-new.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29

GM作物を使ってワクチンとか安い薬を作ろう、という研究が(それを可能とするために如何なる規制緩和が必要かという研究も含め)、進んでいるみたい。もちろん、途上国のために。Advantages of using plants to produce therapeutic proteins include the ability to produce large quantities quickly and cheaply, the absence of human pathogens, the stability of the proteins and the ease with which raw material can be stored as seed. This could be of huge benefit in developing countries where problems with storage can render vaccines useless.
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256582.php

日本。「必要ですか? 予防接種」1/4 ワクチントーク全国ネットワーク つづき 山田真さん 基調講演 (「伊東とし子のひとりごと」ブログ)「米国のスタンスは、子どもの時に罹る病気のすべての予防接種ワクチンを作るとしている。米国では人間の自然治癒力を信じない」「日本は乳幼児の死亡率を下げたにもかかわらず、予防接種率が低いのは後進国である、と盛んにキャンペーンを行っている。ワクチンでは米国の思い通りの展開になっている」
http://blog.goo.ne.jp/lynmiu_2011/e/0b4c886e2740b1e1427f16103f16c157

日本。人工的にブタのすい臓を 応用研究も 「しかし、今回の研究成果を基に医療用の臓器を作るためには、ヒトのiPS細胞などを注入した動物の胚を豚などの子宮に戻す実験が避けられません。国のガイドラインは、倫理的な問題があるとして、こうした研究を禁止していますが、基礎的な研究が進んでいることから、現在、内閣府の懇談会で見直しが必要かどうか、検討しています」:これは、この問題だと思うんですけど ⇒英国議会ハイブリッド胚と救済者兄弟を認める(2008/5/20) 08年に英国がこれを認めたことから国際競争激化は必至だったわけですよね。かつて米国の裁判所が遺伝子操作で作った微生物に特許を認めたチャクラバティ裁判で、将来の国際特許取得競争狂騒が必然となったのと同じように。で、やっぱ考えるのは ⇒ 事業仕分けの科学研究予算問題から考えること
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130219/k10015610461000.html

連邦政府からの規制を回避するために、バイアグラなどED治療薬の消費者直結販売(DTC)での広告方法について、ビッグ・ファーマは独自に自主規制ガイドラインを作ったくせに、守られてもいないし、監視もされていない。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256503.php

日本。バルサルタン:降圧剤臨床、京都府医大の3論文撤回 日欧2誌「重大な問題」
http://mainichi.jp/select/news/20130206ddm012040147000c.html

慢性痛は脳のDNA組成を変容させる
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256464.php

医療費高騰のためにシステムとして破綻して、あまりに劣悪なケアで調査が続く英国NHSは、新たに40歳以上の女性にも生殖補助医療を提供することに。:ちょっと関係ないようにも見えるけど、今日の夕方の中国の大気汚染のニュースで、工場からの排気ガスは放っておいて一般庶民に「花火やBBQを自粛せよ」というのって、各国が医療費削減と言いながら、高度医療や先端技術には膨大な資金を投入しつつ、「弱者はカネがかかるから死ね」と言っていることに似ていないか……と思ったり。「命を救う」ことや「欲望を満たせない患者の苦しみを救う」ことが過剰に賛美される医療の領域と、「命にしがみつくな」と説かれる領域とがあるんだけど、気付いている人、どのくらいいるかな。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/feb/20/health-service-fund-ivf

日本。海外渡航で新出生前診断 民間業者が開始
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013022101001006.html

ゲノムのシークエンシングが安価にできるようになってきて、かつては最後の手段と考えられていたDNA診断が、第一選択の難病の検査として米国の親たちの間で広がりを見せている。しかし、確実に見つけられるわけではないうえに、子どもに難病が見つかっても、治療方法がなければ、却ってジレンマが深刻になるだけ。:この記事はちゃんと読んだのだけど、エントリーにまとめる余裕がなかった。たまたま今読んでいる『看取り先生の遺言』で、がん患者さんに対して「検査して、結果に対応できる治療法がありメリットがあるならともかく、結果が悪くても打つ手がないなら検査なんか意味がない、受けない方がいい」という下りに唸ったところだった。
http://www.nytimes.com/2013/02/19/health/dna-analysis-more-accessible-than-ever-opens-new-doors.html?pagewanted=all&_r=0

日本語。中国で捨て子年間10万人、障害・経済的理由で
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20130219-00000040-jnn-int

日本。障害者支援4億円消えた 景気優先で冷遇
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013022102000143.html

日本。(重症心身障害者)福祉年金廃止へ 福山市
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201302190129.html

長崎島原の施設、障害者虐待300件以上
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=73013

日本。社会調査: 働き盛りで「孤立無業」162万人に
http://mainichi.jp/select/news/20130218k0000m040045000c.html

患者思いの献身的な医師として評価の高かったジョンズ・ホプキンスの産婦人科医の診察室に、複数の隠しカメラが設置され、診察を受ける患者の姿やプライベートな悩み事を話すところが録画されていた、とか。
http://www.washingtonpost.com/local/patients-trusted-johns-hopkins-gynecologist-who-allegedly-videot
2013.03.04 / Top↑
去年は、こんな話まで出てくるほど ↓
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)

米国の教育改革は徹底した成果主義で、
生徒の成績アップ率など、教師を評価するシステムを作って
ダメ教師を排除するということのみが、
どんどん目的化してきた印象があったのですが、

ニューヨーク市で、
「ダメ教師を何%クビにするべきか」を巡って
知事、市長、教育局と教員組合とが火花を散らしている。

なんでも州知事からは
成果出す(effective)教師と成果出せない(ineffective)教師を
ちゃんと判別できるだけの教師評価システムを1月17日までに作れなかったら、
州からNY市への教育助成の4%増はお預け、という話があったのだけれど、
両者の反目でデッドラインを外してしまったらしい。
(それで割を食うのが子どもたちというのも何とも)

Bloomberg市長のスタンスは当初から明確で、

成果出す教師と成果出せない教師を判別して、常にダメ教師でしかない連中はクビ。
代わりに、優秀教師を雇えば子どもたちの成績は上がるし、
新採用の教師の給料が前任者よりも安ければ、さらに良し。

教員組合の方もスタンスは明確で、

教師を評価するシステムは教師の力量を正確に反映した公正なものであること。
また満足な成果を上げていないと評価された場合には、改善のチャンスが与えられること。
不当にダメ教師の烙印を押されてクビになることがないようセーフガードを作ること。

しかし、どんなに公正かつ正確な評価を心がけたところで、
一体どれほどの教師をクビにするのかによっては
いくらでも恣意的にできてしまう。

例えば、Bloomberg市長は1年ほど前に、
できることならNY市の教員の半数をクビにして、
残った優秀教師で、給料もクラス規模も2倍にしたい、と発言。

以前にNY市が評価システムのパイロット・スタディをやった際には
18%の教師がダメ教師と判定されたことを思うと、半数とは思い切った発言。

一方、類似のシステムを既に先駆的に採用しているワシントンDCでは
「ダメ ineffective」教師と判定されるのは2%で、
その他に14%が「ほとんどダメ minimally ineffective」と判定される。
で、2回続けて「ほとんどダメ」と判定された教師はクビになる、というシステムなんだとか。

How many ineffective teachers are actually out there?
WP, February 19, 2013


ちなみに、私は11年段階で、以下の2つのエントリーを書いた際に、
次のように書いたのだけれど、その最後の1行が
まさかこんなに早く現実になるとは思っていなかった……。

オンラインの教材で学習し、そこでの生徒のパフォーマンスはリアルタイムで自動登録・管理され、
またはオンラインで統一テストを行い、そのパフォーマンスも自動登録・管理され、
担当する生徒たちのパフォーマンスのCommon Core達成率と向上率がはじき出されて、
それがそのまま各教師のパフォーマンスということにされていく……んでしょうね。

まるで、チェーン展開している外食産業で各店舗の営業状況がPCで一括中央管理され、
毎月どころか毎日、毎時の成績がはじき出されて数値化され可視化され、
逐次それに対して誰かが責任を問われ、尻を叩かれ、首を切られるように、

きっとPCが逐次はじき出す数値がそれぞれの教師の能力と同意となり、
その数値に対して責任を問われ、数値を上げよと尻を叩かれ、
数値を上げることができなかったり、数値に踊らされることを拒めば
ただシンプルに「無能」の烙印を押されて首を切られていくのでしょう。

ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)


そういえば、こんなのも08年段階で提案されていた ↓
従業員をパソコンで監視・管理する世界へ(2008/2/12)


なんだか、悲しくなるなぁ……。

私たちが子どものころを振り返って「あの先生、いい先生だったよなぁ……」と
しみじみ懐かしく思い出すような先生って、たいてい、
優秀だったりeffective だったりする先生とは違う気がする。

ていうか、教師を effective かどうかで評価するというのが
そもそも感覚としてなじまない。

教師は子どものテストの点数を上げるための機械じゃないんだし、
そもそも教育ってテストの点数を上げることでもないし。

「成果主義」というよりも、むしろガチガチの「因果主義」とでも呼びたいような、
「○○すれば必ずこうなる」デジタル思考のコントロール・フリークたちが
本来ぜんぜんデジタルであってはならない領域を、お金と権力によって
がんがん独善的に仕切っていく、という気がするんだけど、

なんとなく、
07年にトランスヒューマニストの人間観にゲンナリして、
「持ち味」とか「芸」とか「えもいわれぬコク」とか
「円熟」とか「照り」とか「艶」とかについて書いたことを思い出した ↓

持ち味と芸、そして「かけがえのなさ」(2007/11/17)


人間は一人ひとりが、
「置き換え可能な機能・能力の総和に過ぎない存在」なんかじゃない。

アンタら、教育も文化も、そうやって殺すよ……。
2013.03.04 / Top↑
spitzibaraが愛してやまない藤沢周平さんは既に亡く、
ゆえに作品がこれ以上増えないことが恨めしいのだけれど、

周平さんが作家になる前に編集長として
「日本加工食品新聞」に書いたコラム「甘味辛味」から
70篇を収録した文庫を見つけたので、早速にゲット。

甘味辛味 業界紙時代の藤沢周平(文春文庫)


いやー。やっぱり周平さんは、
作家になる前から周平さんだった。

以下の昭和45年3月23日のコラムなんか、
私が大好きな『臍曲がり新左』で洗練の極致を迎える、
あのユーモアのセンスは作家になる前に既にここまで……と感激。

 いみじくも戦中戦後を思い出したのが、先日総武線は亀戸駅前でメシを喰ったときの話。
 恰幅すぐれ、容貌いかつい立派な旦那が、客の注文をとり、おしぼりと水を配り、注文の品を配り、帰りの客のオアイソを清算する。客がたて込んでくると次のような具合になる。
「お水ちょうだい」「ちょっと待ってくれ。いま忙しいんだから」。「あのう、チャーハンまだですか」「わかっているよ。仕様がねえな。あんただけ待っているんじゃねえんだから」。これ、客と店主(風サイから推して多分)との会話である。
「全く仕様がねえな。こういそがしくっちゃ」旦那は二十貫近くはありそうな巨体をあおり、風をまいてテーブルの間を走り抜け走り去る。なんとなく、喰べさせてもらってスミマセンという姿勢で、客一同首うなだれて、じっと手を見る。甘辛子もちろんそのひとり。
 戦中、戦後のことなど、そこはかとなく思い出し、懐旧の情にひたりながら、さて、三十分はたったはずだがとそっと時計を眺め、咳ばらいなどひとつして、ひたすらに注文のチャーシューメンの無事到来を待つ。
(以下略)
(p.90-91)


巨体をあおり、風をまいてテーブルの間を走り抜け走り去る――。

客一同首うなだれて、じっと手を見る――。

甘辛子もちろんそのひとり――。
(甘辛子も、でないところも、全部ひらがなで句点なしの一息というのも絶妙)

そっと時計を眺め、咳ばらいなどひとつして――。


いいなぁ。いいなぁ。
ほんっとーに、いいなぁ。

声に出して読みたい日本語の見本みたいな。


それから、このコラム、
公害や農業改革など、時代を見据える目が実に確か――。

また、周平さんは高校野球の大ファンで、
プロ野球もよく見たけど、アンチ巨人だった、という注があって、
「だよね~。らしいよね~」と、これがまた嬉しい。


そういえば今宵、我が家の夕餉のお菜は、
小鯛の塩焼きにござりましたぞ。

子茄子の漬物はあいにく欠かしておりましたがの。
2013.03.04 / Top↑