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ケンブリッジ大、カナダのウエスタン・オンタリオ大のオウェン教授が
植物状態と診断された患者と脳スキャンを通じてコミュニケーションをとる方法を
研究していることについては以下のエントリーで触れてきましたが、

「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
Hassan Rasouliさん、「植物状態」から「最少意識状態」へ診断変わる(2012/4/26)
Owen教授の研究で、12年以上「植物状態」だった患者に意識があることが判明(2012/11/13)
カナダの“無益な治療”訴訟で「Owen教授のアセスメントを」(2012/12/8)


去年のカナダの患者さんの事例以前にオウェン教授らは
脳波を利用したベッドサイドでの簡易な方法でも調べられることを
Lancetで報告していました。

Owen教授らはこれまでに
MRI装置を利用して脳の血流の変化を画像化するfMRIと呼ばれる技術を使って、
植物状態と診断された患者に簡単な質問をし、
イエスだったら、テニスをしているところをイメージし、
ノーだったら、家の中を歩き回っているところをイメージするよう指示して
応えてもらう、という方法によって、

17%の患者で
質問を理解できるだけの意識と、
それを伝えることができるだけのモチベーションがあることを発見してきた。

しかし、fMRIには
物理的に患者をそこに運ばなければならないことに伴う様々な困難と
コストがかかる難点があり、どの患者にも広く実施することができないため、
携帯タイプの脳波検査機を使って、質問ではなく簡単な指示を出すやりかたで、
ベッドサイドで簡易にできる方法を考案したとして、
Lancetに報告されたもの。

The Coma Recovery Scale-Revised の定義に即して植物状態と診断された患者 16人と、
健康な患者12人に、まず右手を握りしめては緩めることをイメージするよう求め、
それを数回やった後に、次には足の指で同じことをイメージするよう指示したところ、

植物状態と診断された患者の3人では
健康な人のほとんどと同じ脳波パターンが検出された。

これまでの17%という結果とほぼ一致する。

一方で、
健康な人の中にも、手や足の動きをイメージすることができにくく、
全く脳波に反応が見られなかったケースもあるため、

植物状態と診断された人の大半で脳波の反応がなかったからといって
この技術によって、それらの人には全く意識がないと判断することはできない、
ということも判明した。

Owenらは脳とコンピューターのインターフェースによって
さらにコミュニケーションの可能性が広がると期待している。

Lancetのアブストラクトは以下 ↓
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961224-5/abstract

Guardianの記事はこちら↓
Brain scanner brings new hope for patients in vegetative state
The Guardian, November 10, 2011


ちょっと気になるのはチーム(the doctors)が
このブレークスルーには、倫理的に難しい問題があると発言していること。

そこについてはGuardianの一節には、
以下のように書かれている。
It would be difficult to know the inner world of somebody in a vegetative state, and the ability to answer yes or no to a question might not indicate a capacity to consider a complex issue such as whether life was still of value.


ざっくりまとめると、
質問に「イエス」―「ノー」で応えられるからといって、
その人が「まだ命に価値があるか」どうかという複雑な問題を
考える能力があるとは言えないだろう、ということ。

ただ、この個所は直接話法がまったく使われていないので、
イマイチ誰がどういう意図でどういう表現で言ったことなのか
はっきりしない点もある。

こうした研究に対しては、
それを「死の自己決定権」を実現させてあげる”親切”につなげようとする動きが
必ずや現れてくるだろうということは、

上記の10年のエントリーでも予想していたけど。
2013.03.29 / Top↑
【恐縮ですが、宣伝です】
雑誌『支援 Vol.3』できました! 特集は「逃れがたきもの、『家族』」。
私も書かせてもらいました。よろしくお願いいたします。
詳細はこちら ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/66145517.html
写真はこちら ⇒ http://instagram.com/p/XZQVMeDvp_/


人工呼吸器の酸素濃度を下げ、筋弛緩剤を投与するという方法で7人の患者を殺害したブラジルの医師 Virginia Soares de Souza。2月に逮捕、起訴されたが、その後の捜査で300人も殺害した疑いが浮上している。2月には共犯者として他に3人の医師と看護師一人も逮捕。目的というのが、ベッドを空ける為とか。:なんだ、この事件?……でも英国の病院でLCPの機会的適用が行われているのだって、同じ目的だと言われている。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/mar/27/brazilian-doctor-investigated-hospital-deaths?CMP=EMCNEWEML6619I2

さすがに上の事件は日本でも報道されている ↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130328-00000039-reut-int

スコットランドのマクドナルド議員がまたも提出したPAS合法化法案では、16歳からPASを可能にしよう、と。
http://www.freerepublic.com/focus/f-chat/3000756/posts

ベルギーでジャーナリストが「列車飛び込みや首吊りや入水なんて、見つけた家族がショックを受けるんだから、愛する人に囲まれてお別れが言える安楽死の方がよい」。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10450

2009年のFEN自殺幇助事件はいくつもの州にまたがった複雑な事件だったのだけど、去年になってミネソタ州で前会長のGoodwinほかが起訴されたみたいで、その中でGoodwinについては実際に幇助した事実がまったくなく情報提供のみだったとして不起訴に。FENそのものへの起訴や、Jerry Dincin(元会長)、Lawrence Egbert(FENの医師)への起訴取り下げの裁定申請は却下された。:Egbertって聞くとまだ顔が浮かんでくるくらい、FEN事件は当時リアルタイムで追いかけた。
多数の関連エントリーはこちらにリンク ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/65805049.html
http://www.ereleases.com/pr/judge-dismisses-charges-final-exit-network-president-assisted-suicide-case-131817

いくら言ってもみんな事前指示書を書かないから、事前指示書か医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLSTをちゃんと書くように、誘導するためのアイデア・コンテスト。米CA州で。賞金は5000ドルなり。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/03/get-5000-for-better-advance-care.html

Shared Decision Makingとかナントカ意思決定支援というのが、みんな上のコンテストまがいに胡散臭く思えてきた。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/03/shared-decision-making-and-patient.html

ビル・ゲイツが「快感を損なわず効果の大きな新世代コンドームを開発した人に10万ドルあげる」と言いだして、世界中のメディアが大騒ぎしている。:これまでだと新世代トイレ、栄養価の高い新世代バナナ、新世代原発、あと何があったっけ?
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2298296/Bill-Gates-offering-100-000-challenge-make-condoms-better.html

英国のNHS病院での劣悪ケアスキャンダルで、看護師に1年間の基本ケア研究義務付けを、と保健相ジェレミー・ハント。Compassion共感能力を高めるため。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/mar/26/nurses-basic-care-training

国際的で大規模な調査により、前立腺癌、乳がん、子宮がんの原因となる遺伝子変異が特定できたので、唾液でそれらのがんになりやすい人を特定するスクリーニングが5ポンドで実施できるようになる。とNHS。
http://www.guardian.co.uk/science/2013/mar/27/scientists-prostate-breast-ovarian-cancer?CMP=EMCNEWEML6619I2

男の子の唾液を調べたら、ホルモンの濃度によって、どの子が攻撃的かが分かるんだって。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/257963.php

日本。新世代抗うつ薬「18歳未満は慎重投与」 厚労省 効果疑問視、警告記載へ:すっごく、すっごく不思議なのは、このリスクって、米国では私が拾った情報だけでも2008年には明らかになっていたみたいなんですけど? ⇒抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17) 「史上、最も悪名高き小児科臨床実験」であるPaxil研究329」「Paxilが小児には効かないとの結果が1998年には出ていたにもかかわらずGlaxoはその研究結果を公表することは「商業上受け入れられない」と判断。効果があるとする研究結果が2001年にDr. Kellerら20人が名前を連ねる論文に発表された」
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130325140720475

でも、もっと本気で恐ろしい情報を拾ってしまっているんですけど? そのグラクソは2010年にそのパキシルの臨床実験を、この日本で、まさに今回「慎重に」と警告された年齢層である7~17歳を対象にやっていたみたいなんですけど? なんか私の勘違いだったのかな。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60837008.html

日本。国民的大論争 第2弾 科学で何でも分かる時代、人間は幸福になったのか 出生前の遺伝子検査 胎児の奇形がわかったら中絶するべきか、生むべきか 宗教学者の島薗進氏「命が『授かる』ものから『選ぶ』ものに変わりつつあるのかもしれません。放っておけば、中絶の基準は染色体異常から先天性疾患全般、そして疾患とは言えないものにまでどんどん緩んでゆく。それに歯止めをかける術を、まだ人類は見つけられていないのです。子どもを親の意思に沿うようにコントロールしようという考え方には、違和感があります。昔から、子どもは親の思い通りになんてならないものだったではありませんか」 臨床心理士で自らも自閉症の娘をもつ八幡洋氏「欧米では、専門家による細かい計算のうえで『自閉症の子が将来納税者になれば社会全体の利益になるから、彼らに金を投下して支援しよう』といった理屈で福祉政策を決めています。愛だ、平等だと言うより、こうしたドライな見地から福祉を考えてみてもよいのではないか」(そう言えば、ペイリンさんが全国区に登場した頃FOXニュースにこんなのがあったな ⇒ 「息子には納税者になって欲しい」というダウン症協会幹部?(2008/9/10))
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35239

上の記事を読む人に、ぜひとも読んでもらいたいなぁ~と心から願う、つるたさんのブログ・エントリー「54回目の誕生日に」
http://tu-ta.at.webry.info/201303/article_5.html

中国政府 1971年以来3億3600万件の中絶が行われた、と。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10439#comments

米国の子ども50人に一人が自閉症とCDC:50人に1人なんてデータが出てくると、「それだけの人数を納税者にするために資金を投下したら社会の利益」という説得力のある試算は可能? そこで愛でも平等でもなくドライに考えたら、自閉症も出生前遺伝子診断で、ということにはならない? 
http://www.medicalnewstoday.com/articles/257959.php

成蹊大学澁谷智子さん作成の「ヤングケアラー支援のページ」
http://youngcarer.sakura.ne.jp/index.html

日本。ユニクロ社員が不幸になる“合理的な”理由:でも、これが例外的な企業の話ではなくて、デフォルトになっていく、もしかしたら、既になっている、という気がしてならない。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130328-00013424-toyo-nb

日本。<奨学金問題>全国組織が31日発足…返済苦しむ若者急増で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130327-00000053-mai-soci

雨宮処凛がゆく! 「広島の中国人実習生の事件。の巻」 :そうだろうと確信していたことが事実だったと確認。人身売買も奴隷労働も、既に私たちのすぐそばにまで浸透してしまっている。地元テレビ局はこの事件について報道する際、「文化や言葉の違いの壁」の問題ばかりを強調して、研修生の労働条件や労働実態には一切触れない。
http://www.magazine9.jp/karin/130320/

「いまの原稿、使っちゃいけないんだって」動かぬ証拠音声、2011年3月12日正午ころ いつもお世話になっているガウタマ・シンラン・ソリドゥスさんのブログ記事。
http://blogs.yahoo.co.jp/solidussolidarity/36934708.html?vitality

「慰安婦に謝罪と補償を」 京都府議会が意見書可決
http://www.asahi.com/politics/update/0326/OSK201303260037.html
2013.03.29 / Top↑
論文のアブストラクトは以下。

In this article, we consider the implications of growth attenuation should it ever arise in the Canadian context. While parental autonomy to make crucial health care decisions and exercise control over minors is not a right that should be lightly dismissed, we argue that growth attenuation is entirely inappropriate and should never be regarded as ethically permissible for children. We ground our perspective in the social model of disablement which stands for the proposition that it is structural barriers that are chiefly responsible for the marginalization experienced by people with disabilities in every area of social life including employment, transportation, and housing. Critical disability theory applies the social model to new public policy problems and we regard our intervention as a modest attempt at rethinking a bioethical dilemma through the prism of critical disability theory. We do so through a review of the case law and through a consideration of relevant ethical principles, paying particular attention to the scholarship of Martha Nussbaum’s theories of equality for people with intellectual disabilities.

本稿では、成長抑制がカナダで起こった場合にどのような問題があるかを考察する。未成年の医療に関する重大な決定をする親の自律(自己決定権)は軽々に否定することのできない権利ではあるが、成長抑制は完全に不適切であり、子どもたちへの実施が倫理的に許容されるものとされてはならないと我々は主張する。その根拠は、障害者が雇用、交通、住まいを含めた社会生活のあらゆる領域で経験してきた周辺化の主たる要因は構造的なバリアであるとの前提に立つ、障害の社会モデルである。Critical disability theory は新たな社会政策の問題に社会モデルを適用しており、本稿は、このセオリーの視点を通して生命倫理のジレンマを再考しようとするささやかな試みと考えている。特にMartha Nussbaumの知的障害のある人々の平等論に注目しつつ、判例法の検証と当該の倫理原則の考察により、論じる。


the Legal Politics of Growth Attenuation
Ravi Malhotra, Katharine R. Neufeld
Windsor Review of Legal and Social Issues, March 27, 2013


上記から全文を読むことができます。

あまり文字が詰まっているわけではないけど71ページもあるので、
私も読むのはちょっと先になると思います。

アブストラクトを読んですぐに頭に浮かぶのは
DiekemaやFostやAshleyの父親の考え方だと、
「だから、ずっと言っているように、アシュリーのような重症児は
そういうところで論じられる『障害者』や『知的障害者』とは違うんだって」
ということになるんだろうなぁ、と。

それをNot Dead YetのDrakeは
Too disabled to be disabled だったか、うまいこと表現していたっけな。

障害が重すぎて障害者にもなれない人たち……。

重症児の親としては、
これは障害者運動の側の無意識にも感じることではあるんだけど。
2013.03.29 / Top↑
米国内科学会誌に
車いすを使用している成人は
障害のない成人に比べて医師にかかりにくく、
予防医療も非障害者ほど受けられていない、との調査結果が報告されている。

この研究のデザインが非常に興味深くて、

肥満していて半身まひの車いす使用者で、
自力では車いすから診察台に上がることができない架空の患者の
診察予約を電話でとってみる、という調査。

米国4市の内分泌科、婦人科、整形外科、リューマチ専門家、
泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、精神科の256の医療機関に電話をかけた。

受け入れられないと回答したのは22%。

4%では建物がアクセス不能。

18%が、患者を車いすから診察台に移すことができない、と回答。

高さ調節のできる診察台またはトランスファー用のリフトがあると答えたのは 9%。

診療科の中では婦人科が最もアクセス不能率が高く、44%だった。

論文の結論として、
米国障害者法で求められている内容を医療提供者が理解する必要がある、
車いす仕様の患者への医療のスタンダードが必要である、の2点が提言されている。

Access to Subspecialty Care for Patients With Mobility Impairment: A Survey
Annals of Internal Medicine, March 19, 2013


この問題については
Alicia OuelletteのBioethics and Disabilityの成年期を扱った第5章で、

障害のある女性がリプロダクティブ・ヘルス周辺で
検診をはじめとした基本的な医療すら受けにくい問題を中心に取り上げられていた。
2013.03.29 / Top↑
英国ではこのところ
患者も家族も知らない内に一方的に蘇生不要(DNR指定)がされるケースが続発して
訴訟になったり、大きな論争になっている。

終末期ケアのプロトコルLCPが機械的に高齢者に適用されている問題も
政府が調査に乗り出す騒ぎにまで発展している。

“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機会的適用でNHSが調査に(2012/10/28)


そんな中で、
英国と米国の両方で医師として働いているElizabeth Dzengという人が
Independent紙に「ヒポクラテスのヒポクリシー(偽善)」というタイトルの論考を寄せて、

米国ではDNR指定が行われていない限り救命を前提とし、
本人や家族の希望を最優先とするために、
患者には苦痛でしかない蘇生を医師も苦痛をしのびながらやらざるをえなくなっているが、

英国では医師会が
医師には無益と判断する医療を提供する義務はないとのガイダンスを出し、
無益な治療をめぐる決定権を明確に医師に認めていると
両国の事情を対比させたうえで、

英国の裁判や論争で患者と家族の決定権に議論が傾きすぎると
米国の二の舞になる、と警告し、

英国の医師らに対して、
患者の最善の利益に沿って行動する医師の能力を守れ、と呼びかけている。


米国の硬直的な救命優先ルールは
ダウン症児の救命手術をめぐるベビー・ドゥ事件での
レーガン政権の過剰なリアクションに根っこがあるというのが私の理解で、
米国のそうした硬直した救命の強制そのものに決して賛同するわけではないし、

まったく患者本人の利益にならない蘇生は行われるべきではないと考えるけれど、
この人が書いていることの中でいくつか気になることはある。

① 著者が冒頭で紹介する体験談は
癌末期で全身から出血していて、もはや死のプロセスに入った患者に
家族が虐待にしかならない救命措置をするよう医師に強要したケース。

しかし一方で、
テキサスのように一方的な生命維持の停止を認める「無益な治療」論もあるし、
米国の生命倫理学でも医師には無益と考える治療を提供する義務はないというのは
コンセンサスになっていると、あちこちで目にしてきた。

またNavarro事件の頃に読んだいくつかの記事からは、
米国の貧困層にとっては、ERでは救命しなければならない原則があるからこそ
ERが駆け込み寺になっている、という実態も透けて見えた記憶もある。

著者はそういうことは丸無視して、DNR指定にだけ論点を絞ることによって、
米国では患者と家族の決定権だけが暴君化しているかのように描いているように見える。

② Janet Tracey訴訟で、
裁判所が訴訟の続行を認めず、
心肺蘇生の可否は医師が患者の最善の利益を考えて判断すべきだとしたのは
賢明な判断だった、と書いているけれど、

Traceyさんの事件とは、これ ↓
「本人にも家族にも知らせず“蘇生無用”はやめて一律のガイドライン作れ、と英国で訴訟(2011/9/15)
(この事件のその後については私は知らなかったのですが、
この記事の記述では判断できにくいようでもあり、とりあえず保留に)

Traceyさんは末期がんの宣告を受けて抗がん剤治療を予定した直後に
交通事故に遭い、首の骨を骨折。でも意識ははっきりしており、
いざという時にも蘇生を望んでいたのに、何の説明もなく
知らない内にカルテに蘇生不要(DNR)指定されていた、というもの。

また、一方的なDNR指定では
こういう事件だって起こっている ↓
「ダウン症だから」と本人にも家族にも無断でDNR指定(英)(2012/9/13)

さらに、LCPの一方的な適用問題は、
もっとひどい事態であることが現場の医師らの告発で指摘されている。

“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機会的適用でNHSが調査に(2012/10/28)


それでも、著者は
The recent focus on autonomy over decisions at the end of life in the UK, through Tracey’s court case as well as controversy over the Liverpool Care Pathway, highlight the need for continued dialogue and clarity on these issues.

Instead, we should work together to foster trust and confidence in the health care system, by encouraging conversations about resuscitation decisions at all levels.

と一方で書いて、対話による医療への信頼構築を説いておきながら、

どうして、その先の結論は
医師の決定権を守ろうと英国の医師らへの呼びかけに落ちていくのかが分からない。

信頼関係構築を言うなら、
結論は、一方的な決定権を振りかざさず、
患者や家族への丁寧な説明と説得で同意をとる努力をしよう、でいいのでは?


③ 文中に引用されているNEJMの論文で、

入院中に心臓発作を起こした高齢患者6972人の追跡調査をしたところ、
退院から1年経った時点で58.5%が生存しており、
34.4%は再入院を免れていた、という結果となり、

この結果を
医療職はCPRにはこれまで思われていた以上の効果があると捉えたのに対して
一般国民はそれだけしか助かっていないのか、と失望で受け止めたのは
一般国民の心肺蘇生に対する過剰な期待の現れであって

テレビドラマのように心肺蘇生でどんな患者もバリバリ元気に戻ると思い込んでいる、
その過剰な期待のために患者に無益でも家族がCPRを要求するのだ、と、

CPRに関する患者の決定権を否定し、
医師の決定権が尊重されるべきことの論拠にされている。

でも、
CPRにこれまで考えられていた以上の救命効果のエビデンスが出てきた、というのが
その論文の専門的な捉え方なのであれば、それ、素人の過剰な期待のエビデンスに使う前に、
医療職の方が現在のCPRの無益性判断を考えてみるべきかも、という方向に向かわないと、
論理的におかしくないですか?

そういえば、NEJMの論文の他にも、
去年Lancetに、以下の調査結果も発表されていたっけな ↓
「長い心肺蘇生は無益」を否定する調査結果(2012/9/6)

Hippocratic Hypocrisy: When it comes to CPR, is less care actually better care?
Elizabeth Dzeng,
The Independent, March 21, 2013


私は著者が言う
「対話を通じて信頼関係を構築する必要」には賛同する。

でも、それならばこそ、
一方的に医師に決定権を認める主張は決して信頼関係の構築にはつながらない、とも思う。


【関連エントリー】
「無益な心肺蘇生は常に間違いなのか?」とTroug医師(2010/3/4)
「医師は患者本人の同意なしにDNR指定してもよいか」Bernat論文(2012/4/11)


ついでに、DNR指定がされていない限り、
介護施設では救命・蘇生が原則とするジョージア州の州法について書かれた記事 ↓
http://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=64cf1bfb-4810-44be-9d3a-615c404ce709

やっぱりDNR指定が法的に有効であるためには
インフォームド・コンセントが前提。

また、ここでもコンセントは患者が「与える」もの。
2013.03.29 / Top↑
① <子宮頸がん>予防ワクチン副作用 被害者連絡会が発足 Yahoo!ニュース (2013年3月25日)

同会の池田利恵事務局長(東京都日野市議)は記者会見で「子宮頸がんワクチンが本当にがんを減らす効果があるのか疑問。救済制度も不十分だ」と指摘



「本当にがんを減らす効果があるのか疑問」という指摘は、
2011年7月8日の第17回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で、
専門家によって以下のように指摘されていました(ゴチックはすべてspitzibara)。

みなさん無邪気に万歳しているようだけれども、これはあと20~30年ぐらいしないと、有効かどうかは全くわからないですよ。メーカーの人も、何十年経って有効だということは、どなたも全く保証していませんよ。
(倉田委員の発言)

先ほどの倉田先生のご意見、コメントに私も同感で、実際に今日見せていただいた実施要綱にも、「ヒトパピローマウイルスワクチン」と書いて、「以下、子宮頸がん予防ワクチン」と書かれています。一般の人がパッと見たときに、子宮頸がんがこれで予防できるのだと思いますが、それは期待されているとはいえ、まだ実証はされていないので、そのあたりの言葉の使い方についてどうかなと
(北澤委員の発言)

このワクチンはがん予防に100%の効果があるものではないということと、臨床的な効果、倉田先生のおっしゃった子宮頸がんそのものの効果については接種からの年数から見てデータとして不十分であるということを明記してあるので、……
(上記2委員の発言を受けて岡部委員の発言)


やり取りから見て「推進派」と思われる医師が
「データとして不十分である」と認めている。

認めたうえで、発言趣旨としては、
データは不十分ではあるが、その旨は明記してあるし
国も周知に留意するだろうから認可してもよかろう、の意。

その他、議論の詳細については ↓
日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 1(2011/8/5)
2(2011/8/5)


ついでに、日本では接種した人を登録する制度がなく、
したがって効果の評価が出来ないとする感染症専門家のブログの指摘もある ↓

このワクチンの効果評価は長期においかけるコホートデータになるので、
接種前からの登録・長期間のフォローアップが必要なんですが。

Registration Programがないですよ!
接種した人達が誰か、分母がわからないと、そもそも効果評価できないですよ!
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/ae5bce73d04f4699ffd21277ecb28b19


これらの情報を総合すると、
子宮頸がんを予防する効果は未だ実証されていない一方で、
その効果について日本でデータを取って検証するつもりもない、ということでは――?


② 「接種 実態調査を」子宮頸がんワクチン 被害者連絡会 朝日新聞(2013年3月26日)

海外の被害を調べてきた宮城県の内科医佐藤荘太郎さんは、昨年12月末までに厚生労働省に届けられた88人の重い副反応について、「個人的意見」とした上 で「法定接種を進めれば、今健康な娘さんたちに間違いなく同じ症状が増える」と警告。「因果関係を認めない医師は届けないため、実際はこの数倍被害がある のでは」と指摘した。



③ 子宮頸がんワクチン問題 ワクチン推進の教授、副反応「なじみがない」産経新聞(2013/3/19)

接種を推進している「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」の今野良・自治医科大教授は18日、「診断の基準は海外でも一定しておらず、日本も厚生労働省の研究班が基準を提案している段階で、(医師の間で)なじみがない」と述べた。



今野良医師とは、
2011年8月4日に「子宮頸がん制圧を目指す専門家会議」が朝日新聞に打った全面広告で
以下のように発言している人物。

子宮頸がん予防ワクチンということで、特別なワクチンと考えられがちですが、基本的には他のワクチンと変わるところはありません。思春期の多感な女子への接種なので、緊張のあまりドキドキして失神する方もいますが、10万人当たり3人程度の頻度です。


この発言には
失神の原因をワクチンにではなく、女児の方に転嫁しているという重大な問題がある、と
私はこの広告を取り上げた以下のエントリーで指摘しました↓
子宮頸がんワクチンでの失神は「ドキドキするから」?(2011/8/5)


そもそも日本で最近
ワクチン、ワクチンと急に騒がしくなった背景にあるのは
実はワクチンの推進ではなくワクチン産業の推進だったりする ↓
日本の「ワクチン産業ビジョンの要点」の怪(2011/3/8)

で、さらにその背景には、
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義がチラついている? ↓
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)


ちなみに、誤解を招かぬようお断りしておきますが、
当ブログは特定のワクチンの是非を論じる立場にはなく、そのつもりもありません。

当ブログが問題にしているのは
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義の暴走であり、

それによって、保健医療の問題が
実は政治経済の問題と化してしまっていると思われる構造的な問題。

つまり、こういう世界ができ上ってしまっているのでは?  という問題意識です ↓

事業仕分けの科学研究予算問題から考えること(2009/12/12)
CDCの前ディレクターはHPVワクチン売ってるMerck社のワクチン部門トップに天下り(2010/3/9)
「次世代ワクチン・カンファ」の露骨(2010/5/28)
「必要を創り出すプロセスがショーバイのキモ」時代と「次世代ワクチン・カンファ」(2010/5/29)
“プロザック時代”の終焉からグローバル慈善ネオリベ資本主義を考える(2011/6/15)
やっぱり不思議な「ワクチン債」、ますます怪しい「途上国へワクチンを」(2011/9/4)
AJOB巡るスキャンダルには、幹細胞治療や日本の医療ツーリズムも“金魚のウンコ”(2012/2/15)
2013.03.29 / Top↑
09年にターミナルな患者へのPASを禁じた法律は違憲だとの判断が出たモンタナ州の議会には
現在、PASを明確に違法とする法案が提出されていますが、

それを受けて、地元紙に元外科医の妻から投書。

ALSの夫を本人の意思に反するモルヒネ投与で失った体験を語り、
その法案に賛成するよう各選挙区の議員に呼びかけを求めている。

Carol E. Mungasさんの夫は
モンタナ州の元外科医。

ALSを発症して妻が自宅で介護していて、
意思疎通は文字盤としゃべる機能付きのiPadで可能だった。

頭ははっきりしており思考も損なわれておらず、
安楽死や自殺幇助には反対していた。

妻が所用で1日半、町を離れなければならなくなり、
夫はその間、地元の介護施設に入ることになった。

ところが、彼の状態について何らかの情報の混乱があったのか、
看護師らがモルヒネを投与し始めた。

数回の投与を受けて、何が起こっているか(オーバードースになっていること)に本人が気付き、
呼吸セラピストを呼んでくれとメッセージを打ったが
誰も来なかった。

その後の数日間、夫は呼吸苦と闘いながら
妻子とコミュニケートするために意識を失わないように必死になったが、
看護師はモルヒネを送るボタンを押し続け、
子どもたちにも15分おきにボタンを押すよう指示した。

その時には妻も子も、
モルヒネで呼吸が抑制されることなど知らなかったが、
夫はちゃんと分かっていたのだ。

こんなものは緩和ケアでもペイン・コントロールでもありません。死を早めただけです。夫は事実上、本人の意思に反して安楽死させられたのです。夫は選択を許されませんでした。彼の最後のコミュニケーションが、助けを呼ぼうとするものだったとわかり、今なおトラウマになるほどの苦しさです。

夫のケースでわかるように、医師と看護師は現行法のもとで有している力を既に誤用・濫用しています。ことは命にかかわる問題です。自殺幇助の合法化によって、彼らの力を拡大することには熟慮が必要です。

Husband’s death illustrates need for law declaring physician-assisted suicide illegal
Ravalli Republic, March, 22, 2013



結局、以下の直前エントリーと同じ―― ↓

助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)(2013/3/26)



【モンタナ州自殺幇助議論関連エントリー】
裁判所が自殺幇助認めたものの、やってくれる医師がいない?(MT州)(2009/4/6)
合法とされたMT州で自殺幇助受けられず子宮がん患者が死亡(2009/6/18)
自殺幇助を州憲法で認められたプライバシー権とするか、2日からモンタナ最高裁(2009/9/1)
モンタナの裁判で「どうせ死ぬんだから殺すことにはならない」(2009/9/3)
モンタナ州最高裁、医師による自殺幇助は合法と判断(2010/1/2)
MT州最高裁の判決文をちょっとだけ読んでみた(2010/1/5)
合法化判決出ても医師ら自殺ほう助の手続きに慎重(2010/1/11)
モンタナの自殺幇助合法化 続報(2010/1/16)
2013.03.29 / Top↑
英国の医療での知的障害者差別の実態については
2007年にMencapが画期的な報告書、Death by indifference を刊行していますが ↓

「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト(2009/3/31)
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
「NHSは助かるはずの知的障害者を組織的差別で死なせている」とMencap(2012/1/3)


この報告書があぶり出したショッキングな実態により
その後、保健省の費用で、研究者らによって
2010年から3年間に及ぶ非公開の実態調査が行われることになり、

その調査結果が3月19日に発表された。

年間1238人の知的障害児者が
適切な医療を受けられないために死んでいる、と推計。

知的障害者の死亡件数のうち、
37%は死を避けることができたものと考えられる。

また、一般人口と比較して、
知的障害のある男性は13年も早く死んでおり、
知的障害のある女性では20年も早く死んでいた。

調査の対象となった知的障害者の22%が50歳以下で死んでいるが、
一般人口では50歳以下で死ぬ人は9%に過ぎない。

調査チームは、
今後もデータ収集を続け、深刻なケースでは調査を行えるよう、
知的障害者死亡率調査委員会という全国組織の立ち上げを提唱。

1200 avoidable deaths
mencap, March 19, 2013


米国の実態はこちら ↓
障害者への医療の切り捨て実態 7例(米)(2012/6/26)


英国では知的障害者の他にも、
NHSの病院での高齢患者へのケアの劣悪が
政府が委員会を設置して調査に乗り出す大スキャンダルとなっている ↓

“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
ケアホーム入所者に無断でDNR指定、NHSトラストが家族に謝罪(英)(2012/5/8)
84歳の男性が病院で餓死(英)(2012/12/26)
2013.03.29 / Top↑
有機的統合性に基づく脳死定義へのアラン・シューモンの批判といえば、
日本で臓器移植問題に興味のある人が思い出すのは小松美彦氏の「脳死・臓器移植の本当の話」(PHP新書)。

小松氏の「有機的統合性」概念批判の概要はこちらに ↓
有機的統合性は“脳死=人の死”の根拠にはなりえない?

そのAlan Shewmonの擁護論を、
Journal of Medicine and Philosophyの最新号で
E. Christian Bruggerという生命倫理学者が書いた。

長すぎて要約不能だとしてBioEdgeは結論のみ。

Cookの文章に沿ってなぞってみると、

生きている状態というのは
身体全体が有機的な統合体として生理的に機能できている状態であり、
その統合をつかさどっているのが脳であるとして
バーバード大学の脳死判定基準を認めた大統領生命倫理評議会の結論は、

その基準での脳死判定では脳死とされる状態でありながら
有機的統合体であり続ける症例を多数挙げて、
有機的統合性をつかさどるのは脳ではなく、
a property of the whole organism (生命体全体としての働き?)である、との
シューモンの疑念に論駁しきれていない、として、

Bruggerは
「脳死」は人の死ではなく一臓器の死に過ぎないのでは、と書き、

「これらの疑いが取り除かれるまで、慎重を期し、
脳死とされる人達を生きている者として扱うことが倫理的に妥当」と結論。

Questions hover over “brain death,” says US bioethicist
BioEdge, March 23, 2013
2013.03.29 / Top↑
カナダの生命倫理学者、カルガリー大の Walter Glennonが
Cambridge Journal of Healthcare Ethics 4月号で
デッド・ドナー・ルール(死亡提供ルール)に疑問を呈している。


アブストラクトはなく、最初の1ページは以下。 ↓
The Moral Insignificance of Death in Organ Donation
Cambridge Quarterly of Healthcare Ethics, Volume22 Issue 02, April 2013


BioEdgeによれば、Glennonは、
重症脳損傷の患者のケースを論じて、以下のように書いている。

What matters is not that the donor is or is not dead, or when death is declared, but that the donor or a surrogate consents, that the donor has an irreversible condition with no hope of meaningful recovery, that procurement does not cause the donor to experience pain and suffering, and that the donor’s intention is realized in a successful transplant.

問題なのはドナーが死んでいるかいないかとか、いつ死が宣告されるかではなく、ドナーまたは代理決定者が同意しており、ドナーが意味のある回復の見込みがまったくない不可逆な状態にあって、臓器摘出がドナーに痛みも苦しみも与えず、成功裏に移植が行われてドナーの意思が実現されることである。


むしろ、ドナーに臓器提供の意思があるにもかかわらず、
提供が認められなかったり、死亡提供ルールで死ぬまで待って臓器が使えなくなれば、
ドナーの利益が損なわれるのだ、と主張し、

臓器不足解消のため、
デッド・ドナー・ルールの撤廃を説いている。


ここまでは、これまでも説かれてきたデッド・ドナー・ルールの撤廃論とも
ほとんど同じ路線だろうと思うのだけど、

この後でBioEdgeがまとめている最後の段落はすごく気になる。

そうすると
健康な人が自殺の手段として臓器提供をすることも認めるのか? という問いに

Glennonは、否。全然そうではない、と答える。

そういう人は理性にもとづいた標準的な自己決定をしていないから
そういう臓器提供は認められない。

通常は、人が自分の生はもはや生きるに値しないと結論するのは
不可逆で望みのない状態を経験しているからだから。

Why wait until death for organ donation, asks Canadian bioethicist
BioEdge, March 23, 2013



提供意思があるのに提供がかなわないなら
それは提供意思があった人が可哀そうだから、
ちゃんとその意思を尊重してあげるために、
生きているうちから採ってもいいことにしよう、という理屈は
SavulescuとWilkinsonの臓器提供安楽死の論理でもあったけど ↓

「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
臓器提供は安楽死の次には”無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)


こういうのって、
実は犠牲に供しようとするターゲットの人達に
犠牲にする/なることについての倫理判断の所在を転嫁するという意味では、
安楽死や自殺幇助の合法化にエマニュエルが指摘していた患者への責任転嫁と
同じカラクリなんでは――?
 


もう一つ、そういえばAshley療法論争でも、
議論の主要テーマは「重症障害児への成長抑制は倫理的に妥当か」だったはずが、

議論が繰り返され、
「重症児だからやってもかまわない」という自分たちの主張に
世論が一定の影響を受けたところまでくると、

シアトルこども病院成長抑制ワーキング・グループという妙な組織の煙幕に隠れて
FostやDiekemaらが書いたHCRの10年の正当化論文では、
「重症児にしかやらないのだから成長抑制療法は正当化できる」と

議論の論点そのものを正当化の論拠に使う、という
論理のアクロバットが演じられていた。


“科学とテクノの簡単解決バンザイ”文化の旗振り役の生命倫理学者って、
同じマヤカシの手口を使うんだろうか。

「意味のある回復の見込みのない不可逆な状態は
生きるに値しない命だから

殺しても構わない……
死なせても構わない……
臓器をとっても構わない……」

という議論を
自分たちで展開してきておいて、

その論理が正当化されたわけでも受け入れられたわけでもなくとも、、
そろそろ世論に一定の影響が広がってきたとみると、

「回復の見込みのない不可逆な状態の人が
生きるに値しないと自己決定するのは、筋の通った判断だけど」と
それを今度は別の論点の論拠として逆転してみせることで
あたかもそれ自体は既に正当化・合意されたステートメントであるかのように――。

そうして
既に受け入れられた判断であるかのような錯覚・洗脳が
さらに広げられていく――。


それにしても「意味のある回復」とか
「人と意味のあるやり取りができる」とか、

アシュリー療法論争でも繰り返されていたけど、
あの、meaningful ってな、一体何なんです?


【関連エントリー】
Navarro事件の移植医に無罪:いよいよ「死亡提供ルール」撤廃へ?(2008/12/19)
臓器移植で「死亡者提供ルール」廃止せよと(2008/3/11)
「重症障害者は雑草と同じだから殺しても構わない」と、生命倫理学者らが「死亡提供ルール」撤廃を説く(2012/1/28)
2013.03.29 / Top↑
 マルカーノ修道僧に案内され、我々は僧院長のオーテンシオと対面した。
「ようこそ、パチョレック。あなたが数々の難事件を解決してきていることは、よくきいておりますぞ」とオーテンシオは言った。
「因果の糸はおだまきの、みちのくなれば白松ガモナカ」
 師には時々わけのわからないことを言う癖があった。
「ライオン丸の碩学シピンは」と僧院長が遠回しに言った。「至高者の存在を証明するにさいして、ひたすら理性だけを頼りに、後年は髭を剃り落として真実へと到達されました」
「私ごとき者がどうして」とパチョレックがへりくだって言った。「シピン博士に異議を唱えましょうか。神は、すでにボブホーナーが熟知していたように、私たちの魂の内部から語りかけてきます。だからデモドリのフィルダーはブライアントよりも偉大なのです」
 この二人の会話は無意味である。
「バラバラの名前」 『バラバラの名前』(清水義範 新潮文庫 p.12-13)

(タイトルの「バラバラの名前」は1986年のショーン・コネリー主演の映画薔薇の名前から。映画の元になったのは、なんだかよく知らないけど難解で有名な小説「薔薇の名前」)




因果の糸はおだまきの、みちのくなれば白松ガモナカ――。

いいなぁ、これ。
何度も何度も繰り返し、しっかり暗証しておこう。

そして、今度、誰かと話をしていて、
相手の言葉や態度に思わずカッと頭に血がのぼった瞬間に、

まるで車酔いでもして汚物を吐く時みたいに
腹の底から激しい言葉がものすごい勢いで込みあげてきて
あやうく口からほとばしり出しそうになったら、

それをぐっと飲み込んで、言うんだ。
できるだけ、ゆっくりと重々しい口調で。

「うん。そうだね。
だって、因果の糸はおだまきの……」

そして、
「白松ガモナカ」のところで、ニッと笑って見せる。

それができたら……あはは。
そんなの、もう即身仏じゃないか。

できるか、んなこと。
2013.03.29 / Top↑
生命倫理学者で腫瘍科専門医のエゼキエル・エマニュエルについては
これまで以下のエントリーで触れてきました。

「障害者は健常者の8掛け、6掛け」と生存年数割引率を決めるQALY・DALY(2009/9/8)
自己決定と選択の自由は米国の国民性DNA?(2009/9/8)
Dr. Emanuel「PASに関する4つの神話」(2012/11/5)
E・エマニュエルによる終末期医療改革の4提言(2013/1/7)


そのエマニュエルが1997年に
オレゴン州の自殺幇助合法化を批判して
the Atlanticという雑誌に論考を寄せた、ということは
上の09年9月8日の2つ目のエントリーでも書いているのですが、

今日、訳あって、そのAtlanticの論考を
遅ればせながら読んでみました。

大変長大な論考で、
基本的にはこの人はずっと同じ「4つの神話」を指摘しているのだな、と思うのですが、

とても興味深い個所が2つあったので
その2点について、とりいそぎ、メモを。

① エマニュエルは上のリンクでも紹介したように、
医師は致死薬を注射することに慣れるんだ、
慣れれば例外はルーティーンになり、
ベビー・ブーマーの高齢化で財政的な圧力かかればルールになる、と
この論考で警告した人なのですが、

その先、エマニュエルが提言しているのは、

あくまでも人を死なせることは違法のまま留めておいて、
例外を認める、という方法。

誰かの命を終わらせたいと望んでいる人に対して、
あらゆる手を尽くしたことを証明する責任を負わせる。
それを証明できた場合にのみ例外として認める。

そうでなければ、
必ずや合法化によってルーティーンとなりルールとなるから。


② 次に、ここは、ほんと唸った ↓

Broad legalization of physician-assisted suicide and euthanasia would have the paradoxical effect of making patients seem to be responsible for their own suffering. Rather than being seen primarily as the victims of pain and suffering caused by disease, patients would be seen as having the power to end their suffering by agreeing to an injection or taking some pills; refusing would mean that living through the pain was the patient's decision, the patient's responsibility. Placing the blame on the patient would reduce the motivation of caregivers to provide the extra care that might be required, and would ease guilt if the care fell short. Such an easy, thoughtless shift of responsibility is probably what makes most hospice workers so deeply opposed to physician-assisted suicide and euthanasia.

医師による自殺幇助と安楽死の包括的合法化には、
苦痛の責任が当の患者にあるように見えてしまうという逆説的な効果がある。

それらが合法化されることによって、
概して病気によって引き起こされる痛みや苦しみの犠牲者とみなされている患者が、
注射を受けたり薬を飲むことに同意すれば自分でその苦しみを終わらせる力を持っているように
見えてしまうのだ。

注射や薬を拒むなら、逆に
痛みながら生きることは患者の選択であり、患者の責任ということになる。

責めを患者に負わせると、
本当はさらなるケアが必要な場合にも医療者・介護者には
それを提供するモチベーションが低下するし、
ケアが不十分であっても罪悪感は軽減される。

ホスピスで働く人たちのほとんどが
PASと安楽死にこれほど強く反対しているのは、恐らくは、
こうした患者への責任転嫁が容易に、深く考えることなく起こるためだろう。
(ゴチックはspitzibara)

Ashley療法論争の際に、
SavulescuらがHCRに書いた論文で
子宮摘出と乳房摘出の理由に性的虐待予防が挙げられていることについて
「性的虐待の責がAshleyに負わされている」と指摘したことに
ちょっと似ている。

どうも、
“科学とテクノの簡単解決”文化がはらんでいる倫理問題にも、
こうした自己選択・自己決定という名の当事者への自己責任への転嫁と
それに伴う専門職や社会の側への免責が付きまとっているような気がする。

新型出生前遺伝子診断だってそうだし、
(障害のある子どもだと分かって産むことは自己責任になり、
社会から支援の責任を免責する)

介護者による自殺幇助や慈悲殺が免罪されていくなら
どうにも面倒を見られなくなった時に要介護状態の人を“どうにかする”責任が
家族介護者に背負わされていくことになる。それと共に
社会は介護サービスや介護者支援制度を整備する責を免れていく。

たぶん、それは
その文化と直結したグローバルひとでなし強欲ネオリベ金融慈善資本主義の世界構造にも、
言えることだ。

それ以外に我が子を育てながら生きていく金を手に入れる手段がないから
代理母をやることだって、自己選択だし、

喰いつめて腎臓や眼を売るしかなくなるのだって自己決定なら、

国が認可したり推奨しているから安全だと信じて
ビッグファーマの予防医療マーケティングに乗るのも自己責任の自己決定。
キャンペーン張ってる人達は言っているもの。「自分でしっかり判断して」。

たぶん、中国から「研修生」として日本に働きに来るのだって
本人の自己選択なんだろう。

たとえそれが「研修生」という名目だけの
実態は奴隷労働であったとしても――。

Whose Right to Die?
The Atlantic, March 1997



そう言えば、今日、ある人のツイートに
まさにその通りだなぁ……と、深いため息とともに共感した。

ツイッターを辞めたためにRTできないので、
以下にコピペさせてもらおう。

元々困ってもいなかった金持ちがさらに金を集めてしかも分けないという仕組みを作っているだけとしか思えない。自助、自己責任の名の下にヒトが殺されていく時代の幕開けが礼賛されるこの不思議


なんで、こんなに救いのない世の中になってしまったんだろう??
2013.03.29 / Top↑
ペンシルベニア州で19日火曜日午後1時ごろ、
Lehigh Valley病院のホスピス病棟に入院中のMildred Osmanさん(83)を
夫Elwood(86)が銃で撃って殺害。自分も銃で自殺した。

Mildredさんは3月初めに脳卒中を起こし、
終末期のホスピスケアを受けるために入院中だった。
左半身がマヒし、しゃべることができなくなっていた。

2人は結婚64年で片時も離れることがなく、
80代になっても「若い子みたいに」「熱烈に」愛し合っていたと証言する娘は、
「分かってもらいたいのは、父がしたことは全く愛から出たことだということ。
父は絶望していたんです」と。

孫娘は祖母の状態について

She couldn’t feed herself. She couldn’t walk; she couldn’t get up. She couldn’t go to the bathroom.

自分ではご飯は食べられないし、歩けないし、起き上がることもできないし、トイレにも行けなかった。

ホスピス幹部は

It’s a love story, the elderly gentleman could not bear to see his wife suffering.

愛の物語ですよ。あのご高齢の紳士は妻が苦しんでいるのを見るのが忍びなかったんです。


このニュースに反応してテレビ局に寄せられたコメントは

This is what happened when the medical industry won’t let us die.

病院が私たちを死なせてくれないと、こういうことが起こるんですよ。

また別の視聴者は

No human being … has the right to force someone in such a situation to continue living.

どんな人間だって、こんな状況で生き続けることを誰かに強制する権利はない。


そこで自殺幇助合法化をめぐる議論が再燃している、
ORとWAとMO州では合法化されている、と
69NEWSは報じている。


Patient’s husband shoots her, self inside Lehigh Valley Hospital room, officials say
69NEWS, March 20, 2013

Shooting victims’ granddaughter: They were madly, madly in love with each other
69NEWS, March 20, 2013

Hospital shooting renews debate over assisted suicide
69NEWS, March 21, 2013



そういえば、
1月に以下のエントリーで紹介した記事で
概要が紹介されていた4つの事件のうち
3つは夫による病妻の自殺幇助事件だった ↓
「近親者の自殺幇助には温情」文化が広がっている(米)(2013/1/22)

なにやら米国の空気が
ギルダーデール事件の判決の頃の英国みたくなってきた……。


それにしても、
患者を家族に殺されて
「愛の物語」「苦しむのを見ていられなかったんですよ」と平気で言えるホスピス職員……?

いや、それよりも、
脳卒中の発作を起こした患者が
発作から3週間もたたないのにホスピスに入れられてしまう……ってのも……?
2013.03.29 / Top↑
カナダのBC州で去年出た、PAS禁止の違憲判決の上訴審。上訴したカナダ政府の意見陳述などニュースが続々出ていて、全然読めていないのだけど、せめて一つくらいは拾っておく。
http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/judge-erred-in-trying-to-find-right-answer-in-assisted-suicide-debate-lawyer/article9885021/

NHSの病院の5分の1で、高齢者に尊厳あるケアが提供されていない、とCQC。:私が英語ニュースを読み始めた06年から、高齢者と知的障害者に対する病院ケアの劣悪に関するニュースは続いているのに。英国文化の中に、パーソン論的なものがある、とか……?
http://www.guardian.co.uk/society/2013/mar/19/hospitals-older-patients-dignity

米国の高齢者3人に1人が認知症で死んでいると米国アルツハイマー病協会からの報告書。心臓病その他の死因は減っているのに対して、アルツハイマー病で死んだ人は2010年までの10年間で68%も増加。報告書本文はこちら ⇒http://www.alz.org/alzheimers_disease_facts_and_figures.asp
http://www.medicalnewstoday.com/articles/257882.php

日本語。認知症予防、将来は注射で? =遺伝子治療、マウスで成功―理研・長崎大など。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130318-00000159-jij-sctch

FDAはアルツハイマー病初期の治療薬の認可については規制緩和の方針。
http://www.nytimes.com/2013/03/18/opinion/drugs-for-early-stage-alzheimers.html?_r=0

一方、炭素菌ワクチンの子どもでの治験に、オバマ政権の生命倫理委員会は非常に厳しい条件を付けた。テロで炭素菌に晒されるリスクはあくまでも仮定であるのに対して、治験で子どもに負わされるリスクは現実のものだ、というのが主な理由。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/ethics-panel-sets-high-bar-for-anthrax-vaccine-research-in-children/2013/03/18/b8e8ba78-9002-11e2-9cfd-36d6c9b5d7ad_story.html

ジェネリック薬で重篤な副作用が出たケースで、ジェネリックの製薬会社が判決で命じられた賠償金に対して「ジェネリックである以上、ブランド薬と同じ成分、同じ警告、同じ安全プロフィールとすることとされている。こちらのジェネリック薬だけにブランド薬と違う警告は出せなかった」と反論。:日本政府は生活保護受給者にはジェネリックを義務付けようとしているらしいけど、こういう問題はどれほど検討されているんだろう?
http://www.washingtonpost.com/politics/supreme-court-examines-generic-drug-makers-liability/2013/03/19/60fe6cba-90d7-11e2-bdea-e32ad90da239_story.html

商務省長官Rebecca Blankがウィスコンシン大学の学長に。:ウィスコンシン大学と言えば、山中教授のライバル、トムソン教授のおひざ元で、当ブログでお馴染み“科学とテクノの簡単解決”文化の旗振り役の最先鋒、Norman Fostがブイブイ言わしているところ。そういう大学の学長に商務省長官が充てられる。なんとも象徴的。関連 ⇒ FostはES細胞研究スタートにも関与していた(2007/11/28)
http://www.washingtonpost.com/business/economy/commerce-chief-blank-to-lead-u-wisconsin/2013/03/18/ccec0f2a-8ff3-11e2-9cfd-36d6c9b5d7ad_story.html

Lancetに、5月にリリースされるDSM-5に関する記事。A shifting view of neurodevelopmental disability。気になる。
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422%2813%2970063-2/fulltext?elsca1=ETOC-NEUROLOGY&elsca2=email&elsca3=J34S35F

政治家になるつもりはない、とビル・ゲイツ。どうもビル・ゲイツを米国大統領に担ぎ出したい筋があるみたいで、繰り返しこういう話が出てくる。
http://www.tgdaily.com/hardware-brief/70285-bill-gates-wont-run-for-president

NYTの社説が、米国政府の海外援助資金は女性の中絶に関与する援助活動には使ってはならないとの規制を、途上国の女性の権利と命を護るために、緩和せよ、と。
http://www.nytimes.com/2013/03/18/opinion/abortion-and-women-overseas.html

日本語。シリーズ 貧困拡大社会―奪われたアメリカン・ドリームー 堤未果さんが取材する米国の貧困。「自由主義と自己責任の国・アメリカは、日本の未来の姿である」。再放送3月25日午後1時10分。
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2013-03/18.html

どこかにいまだに立っている自民党の看板「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」。
https://twitter.com/kambara7/status/312530724731375617/photo/1

日本。小野市:生活保護「適正化条例」案 市議会、賛成相次ぐ/兵庫
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20130316ddlk28010438000c.html

日本。<ヘイトスピーチ>「殺せ」… デモ、目立つ過激言動『「殺せ、殺せ」「ゴキブリ」「日本からたたき出せ」2月上旬、外国人が多く暮らす東京都内の繁華街でデモがあり、そんなシュプレヒコールが飛び交った』:ずいぶん前からツイッターでは話題になっていたことを思うと、遅きに失した感はあるのだけれど、それでもようやくメジャーなメディアが報道したか、と。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130318-00000043-mai-soci

日本。差別・切り捨ては許さない!~メトロ売店・非正規女性労働者がストライキ
http://www.labornetjp.org/news/2013/0318metro

日本。6年前の殺人容疑で逮捕の男性を釈放 広島地検:逮捕した時には大きく報道したのなら、こちらも同程度に報道してはどうか。それにしても日本の検察って……??
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20130318-00000001-ann-soci

国連女性会議。獲得された権利もあるが、まだまだ女性の権利のために働く女性が暴力に晒されているなどの現実。
http://www.guardian.co.uk/global-development/poverty-matters/2013/mar/20/un-conference-women-rights-won?CMP=EMCNEWEML6619I2

英国の警察が人身売買などが疑われる行方不明者の事件で取り組みを強化する、と。毎日900人も行方不明者の届け出がある(年間327000人)って、どーゆーこと? そのうち66%は子どもに関する報告。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/mar/20/police-missing-children-new-procedure?CMP=EMCNEWEML6619I2

英国。共働き家庭で夫婦の収入を合わせて一定の額に達していない家庭には、子育て費用の20%を支給という制度に。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/mar/19/working-parents-childcare
2013.03.29 / Top↑
一般社団法人日本ケアラー連盟から
ヤングケアラー支援ブログが誕生!!

http://youngcarers.carersjapan.com/

病気や障がいをもつ家族をケア(介護、看護、世話など)している、または
そのお手伝いをしている10代~20代のヤングケアラーと元ヤングケアラー(30代~)が
集い、語り合う場にしたいと思います。

身近にヤングケアラーや、ヤングケアラー支援の問題に興味関心のある方がおられたら
どうぞお知らせいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

以下、最初のエントリーからのコピペ。

病気や障がいをもつ家族をケア(介護、看病、世話など)している、またはそのお手伝いをしている10~20代の若いケアラー*(ヤングケアラー)ためのブログを立ち上げました。

心の中にある悩みや思いを話しませんか?
ヤングケアラーの中には、家族やケアに関する悩みを相談したり、思いを語り合ったりできる友達や大人が周りにいないという人が多いのではないでしょうか。
みなさんが気軽に何でも話せるところにしたいと思い、このサイトを立ち上げました。心に中にある思いをお寄せください。みんなで語り合っていきましょう。
もちろん、コメントを非公開にすることもできます。

たとえば、こんなことを話しませんか?
 ・家族のこと
 ・ケアで大変なことや困ったこと
 ・ケアをしていてびっくりしたことや面白かったこと
 ・ケアのために進学や就職などで悩んだこと
 ・学校や友達のこと

また、10~20代をヤングケアラーとして過ごした30代以上の方にとっても、その頃の話ができる場がないのではないでしょうか。
当時のこと、今だから言えることを話しませんか。
そして、今悩んでいる子どもたちへの励ましやアドバイスもお寄せください。


皆さんの生の声をコメントにお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。


*ケアラーとは:
「介護」「看病」「療育」「世話」「こころや身体に不調のある家族への気づかい」など、ケアの必要な家族や近親者・友人・知人などを無償でケアする人のことです



【ヤング・ケアラー支援関連エントリー】
17歳のヤング・ケアラー、ロンドン5輪の聖火ランナーに(2011/12/9)
統合失調症の母親を持つ子供の回復過程(夏苅郁子論文)(2012/8/9)
あるヤング・ケアラーの語り(2012/10/18)

英国介護者週間
「介護保険情報」2007年8月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」
英国BBCが若年介護者特集
「介護保険情報」2011年1月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」

英「全国介護者戦略」モデル事業の総括報告書 リーズ大から 1(2011/12/28)
英「全国介護者戦略」モデル事業の総括報告書 リーズ大から 2(2011/12/28)


【日本ケアラー連盟関連エントリー】
介護者の権利を守るための「ケアラーズ連盟」、6月7日に発足へ(2010/5/18)(その後、名称変更)
「ケアラー連盟結成宣言」(2010/7/6)
日本のケアラー実態調査(2011/6/14)
ケアラー連盟設立1周年記念フォーラムに参加しました(2011/7/1)
去年こんな「祝・ケアラー連盟設立」記事を書きました(2011/7/8)
2013.03.29 / Top↑
3月8日は国際女性デイ。それを機に、介護者支援の問題を考えましょう、という英国の記事。:ということは英国でも介護は女性の問題ということか。
http://www.london24.com/news/international_women_s_day_who_cares_an_older_working_carer_reviews_her_experience_in_a_changing_world_by_maria_parsons_1_1969838

英国の介護者支援の一環、レスパイト給付を地方自治体がカット。影響大だとMencapの調査。
http://www.mirror.co.uk/news/real-life-stories/carer-respite-payments-being-cut-1753025

日本。ユニ・チャームヒューマンケア、尿吸引ロボットのレンタル事業を開始
http://www.robonable.jp/news/2012/04/humany-0424.html

日本。マッスル、新開発の移乗システム公開、要介護者をシートごと抱きかかえて移乗:こういうのが「介護者支援」と称される日がいずれ来ると、このエントリーを書いた日から思ってはいたけれど ⇒ 「洗車機とUFキャッチャーでおむつ交換ロボットできる」と言う工学者の無知(2010/4/5)
http://www.robonable.jp/news/2012/09/musclecorp-0928.html

11年から20年までに1億4000万人の少女が強制結婚の犠牲にされる見通し、とUNFPA。:国際女性デイになんとも悲しい話題。UNFPAといえば、こういう話題にも絡んでいるんだけど。⇒米・英政府とゲイツ財団とUNFPAにより優生施策、7月には国際会議も?(2012/6/7)
http://www.medicalnewstoday.com/releases/257384.php

男児包皮切除によって性的快感が減じられる、との研究結果が報告され、米国小児科学会の包皮切除研究班のDiekema医師が猛反発。
http://news.yahoo.com/does-circumcision-hurt-sexual-pleasure-study-draws-fire-135649645.html

【関連エントリー】
Gatesの一声で、男児包皮切除にエビデンスが出てくるわ、小児科学会もCDCも方針を転換するわ(2010/8/16)
包皮切除件数減少を反対運動のせいだと騒ぐDiekemaのポチ踊り(2010/8/23)
包皮切除でのDiekema発言でNPRラジオに抗議殺到(2010/9/14)


ビル・ゲイツが先週、エネルギー業界の国際会議でのスピーチで、地球温暖化を阻止するためには安価な電力供給が欠かせないとして、原発しかない、今後は原発を安全なものにするべく各国政府はイノベーションに資金を、と。:これで世界中の原発推進が決まり?
http://www.power-eng.com/articles/2013/03/bill-gates-says-nuclear-power-is-the-key-to-solving-climate-chan.html

オーストラリアのタスマニア州議会に、中絶を完全合法化し、反対運動を違法とする法案。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10426#comments

瀕死のペットの体組織さえあれば、クローン作ってあげますよ、代金は10万ドルなり……と韓国の研究者、Insung Hwang氏。
http://www.guardian.co.uk/science/shortcuts/2013/mar/11/dog-about-to-die-clone-it

日本。新出生前検査 来月から導入へ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130309/k10013079171000.html

日本。新型出生前診断、日本医学会が実施病院を認定。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130309-OYT1T00407.htm

日本。「精度99%」で誤解、確定できず=新型遺伝子診断
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130309-00000104-jij-sctch

日本臨床倫理学会という学会が経ちあげられ、10日に第1回年次大会。
http://www.j-ethics.jp/gaku_1.htm

経済格差が寿命格差に繋がっている、と米国の調査。
http://www.washingtonpost.com/business/economy/research-ties-economic-inequality-to-gap-in-life-expectancy/2013/03/10/c7a323c4-7094-11e2-8b8d-e0b59a1b8e2a_story.html

日本語。インド集団レイプ事件、被告のバス運転手が拘置所内で自殺
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130311-00000042-reut-int

日本。国と東電相手に集団提訴=原発避難者ら1650人 -請求額53億円以上【震災2年】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130311-00000052-jij-soci

日本。原因は不明? 就学前2891人に発達障害の疑い(福岡県)
http://www.data-max.co.jp/2013/03/08/2891_dm1718_2.html
2013.03.11 / Top↑
月刊誌『介護保険情報』の冒頭に「風速計」というコラムがあって、
これは、いわば同誌の「社説」。

3月号の「風速計」(p.4)によると、

患者が生活保護受給者の場合に、
医師がジェネリック薬の使用が可能だと判断した場合には
医療機関が後発医薬品の使用を促すことを法制化することが
生活保護受給者の医療扶助の適正化の一環として検討されているとのこと。

理由としては、
生活保護受給者のジェネリック使用割合が低いこと。

けれど、もともとのジェネリックの使用割合そのものが
例えば米国では数量ベースで約89%に対して日本では23%、
ヨーロッパ5カ国は日本と米国の中間と、
格段に日本の使用率そのものが低いことを考えると、

「生活保護受給者に限定するといった、了見の狭いことはやめて」、
全国民を対象に法制化してはどうか、と「風速計」は提言している。

これを読んで、
ちょうど、生活保護の捕捉率そのものが
日本では圧倒的に低いという問題にはほっかむりしたままで、
国民の権利であるはずの生活保護をバッシングの対象とし、
まるで受給することを恥辱や罪悪であるかのように感じさせていくような方向で
世論操作が行われることと同じではないか……と思った。

「風速計」の次の一節に、まったく同感――。

少なくとも、全国民を対象に法制化できないならば、
生活保護受給者に限定して法制化する、ということはあってはならないのではないか。
2013.03.11 / Top↑
米国コネチカット州の夫婦が
超音波検査で胎児に脳や心臓に損傷があるなど重度の先天異常が複数見つかったために
それが最も人道的だとして代理母に1万ドルで中絶を要求。

代理母は最初は15000ドルなら中絶すると答え、夫婦はそれを拒否。
その後、代理母は気持ちをひるがえして全面拒否。

夫婦が雇った弁護士が脅すような手紙を送り付けたり
訴えると言ったりしたものの、
夫婦は最後には産むのであれば親権を州に明け渡す、と。

代理母は2人の子どもの母である29歳のCrystal Kellyさん。
十分な職を得られず、子どもを育てるのに困窮し、
仲介業者を通じて2200ドルで夫婦の代理母になることに。

州に親権を奪われることを恐れたKellyさんは
代理母に親権を認めているミシガン州へ移住。
その後、生まれた後にもらってくれる養親を探した。

日曜日にCNNで報道されるや、
激しい論争になっているとのこと。

以下に生まれてきた女の子の現在を含む、
CNNのニュース・ビデオあり。

Surrogate refuses $10,000 to abort child
BioEdge, March 7, 2013


2010年にもカナダで類似の事件がありました ↓
ダウン症らしいからと、依頼者夫婦が代理母に中絶を要求(カナダ)(2010/11/18)
2013.03.11 / Top↑
英国とオーストラリアの研究者らが
1995年から2012年の間に行われた生殖補助技術を使って生まれた子どもの調査報告82本の
集大成を行ったところ、

自然に生まれた子どもに比べて
生殖補助技術を利用して生まれた子どもでは
先天異常の確立が32%も高いことが明らかに。

深刻な先天異常に限ればその確率は42%に上がる。

単生児だけで言えば、36%。

その原因として論文著者らが推測しているのは

もともとの不妊の原因になっているもののほかに、
使われた薬や、培養液の成分、培養期間の長さ、冷解凍、
着床時のホルモン環境の変化、生殖子や胚の操作、それらのコンビネーション。

Birth defects more likely in IVF children
BioEdge, March 8, 2013



2009年にカナダの医師らの調査で
同様の報告が出てきている ↓

生殖補助医療で先天異常が増加?(2009/11/26)


【その他の関連エントリー】
IVFの遺伝子異常リスク、遅ればせの研究スタート(2009/2/18)
「試験管ベビーは先天異常の時限爆弾化?」とDaily Mail(2009/5/6)
IVFでの妊娠でダウン症を理由に中絶、5年間で123人(英)(2012/7/24)
2013.03.11 / Top↑
4日の補遺で拾った
国連のHuman Rights Councilの医療現場での虐待に関する報告書を
BioEdgeが紹介している。

報告書本文はこちら。

アルゼンチンの人権問題の専門家 Juan Mendez氏が、
国連 Human Rights Councilに答申したもの。

「拷問に相当する、または
残虐で非人道的、侮蔑的な扱い」として挙げられているのは、例えば、

痛みの治療の差し控え、
非任意の精神科医療、
刑務所でのメタドン(オピオイド鎮痛剤)の拒否、
レイプ後の中絶へのアクセス拒否、
強制的生殖器正常化手術、
強制不妊手術
非倫理的実験、
強制的なプライベートな身体部位の診察(intimate medical examinations)。

UN report reframes bioethics as ant-torture ethic
BioEdge, March 9, 2013



【強制不妊関連エントリー】
世界医師会が「強制不妊は医療の誤用、医療倫理違反、人権侵害(2011/9/12)
障害者人権擁護ネットから報告書「“A療法”・強制不妊・生命維持停止は人権侵害」(2012/6/20)

知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない(2010/3/23)

ナミビアでHIV感染女性への強制不妊手術に抗議デモ(2010/6/2)
コンドーム生産国日本の家族計画国際協力がペルーの強制不妊に繋がった?(2010/8/17)
英国で知的障害女性に強制不妊手術か、保護裁判所が今日にも判決(2011/2/15)
ウズベキスタンで強制不妊:人口抑制と周産期死亡率を落とす手段として(2012/4/23)
インドの「強制不妊手術キャンプ」と家族計画ロンドン・サミット(2013/3/3)
2013.03.11 / Top↑
そういえば、一時に比べて、
このところ、あまり聞かなくなった「無益な治療」訴訟ですが、
久々に聞いたと思ったら、ちょっとパターンが変わった――?


バルティモアのプロ野球チームでアンパイヤとして有名だったErnie Tylerさんの遺族が、
同意してもいないのに生命維持治療を停止されたとして、医師を提訴。

Tylerさんは11年1月30日に息苦しさを訴えてSinai 病院に入院。
2月3日に退院してナーシング・ホーム、Genesis ElderCare Long Green Centerに入所した。

目的なホスピスケアを受けるためではなく、リハビリだった。

ところが、その翌日、施設の Kenneth Lindyberg医師が
「抗生物質、血液製剤、医療検査、薬などの必要な医療を
本人の許可もなく家族への連絡も家族の同意もなしに中止した」として
遺族が訴えたもの。

家族は8日に医療が変わったことを知ったが、
別のナーシング・ホームを探すことができない内に
Tyler氏は医療中止から一週間後に死亡。

Tyler氏は事前指示書を書いていなかったとのこと。

Family on Ernie Tyler sues Baltimore nursing facility where he died
The Baltimore Sun, March 5, 2013

Tyler v. Genesis – Family Sues Maryland Facility for Stopping Life Support without Consent
Medical Futility Blog, March 8, 2013


最近あまり聞かなくなったという印象については、
ちょっと前に補遺で拾った記事で、誰だったか
テキサスの無益な治療訴訟について
あまりにも頻繁に起きるようになったので
ニュース価値がなくなって、もう報道すらされない、と
書いていたけれど、そういうことなんでしょうか。


それにしても、
07年から数年間しきりに報道された訴訟は
病院が一方的に生命維持を中止すると宣言し、
家族がそれに抵抗するべく訴えていたもの。

したがって患者はまだ生命維持措置を受けている状態で
裁判が進行し、その間の続行が命じられるというケースが多かったのですが、

今後は、一方的に中止された、という形の訴訟になっていくんでしょうか。
2013.03.11 / Top↑
英国の警察に自殺幇助に関する裏ガイドラインがある、という疑惑に、警察が反論。
http://www.christian.org.uk/news/warning-that-police-have-legalised-assisted-suicide/

この話題では別ソースから拾ったので、見落としていたのだけれど、オランダの起動安楽死チーム稼働の際、BioEdgeに合法化ロビーNVVEが安楽死専門クリニックを立ち上げる、という情報があった。その後どうなったんだろう?? 2010年からそういう声はあった ⇒ 幇助自殺者が毎年1割ずつ増えるオランダで「安楽死クリニック」求める声(2010/8/12)
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9924

カナダのFleming自殺幇助訴訟、Flemingさんの死後、母親による続行が認められるも、予定されていた審理は2週間延期。
http://www.ctvnews.ca/canada/appeal-into-doctor-assisted-suicide-in-b-c-adjourned-2-weeks-1.1180219

カナダ、アルベルタ州での世論調査で自殺幇助合法化に大半が賛成。
http://www.edmontonjournal.com/health/Most+Albertans+support+assisted+suicide+specific+circumstances/8058478/story.html

台湾で医療職の団体などがDNR(蘇生不要)にサインするよう国民に呼びかけ
http://www.etaiwannews.com/etn/news_content.php?id=2163708

メディケアの患者がホスピスを使ってくれると、政府には少ないコストで患者には良いケアというウィン・ウィンに。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/257179.php

障害のある女性はセクシュアリティを欠いた存在とみなされ、子どもを持つには不向きとされることについて、Anne Fingerの論考。 Forbidden Fruit。
http://newint.org/features/1992/07/05/fruit/

アーカンソー州で妊娠12週以降の中絶禁止へ: 日本でも少子化対策として、中絶禁止に言及した国会議員がいる。「産みやすい社会にしましょう」ではなく「むりやり産ませる社会にしましょう」。むりやり産ませれば子どもは増える、という発想の先には当然ながら「育てやすい社会に」という発想も存在しないのだろうなぁ。
http://www.nytimes.com/2013/03/07/us/arkansas-adopts-restrictive-abortion-law.html?pagewanted=all&_r=0

FBのプロフィールから何からネット上の個人情報を売るデータ・ブローカーについて、ProPublica。すでに全世界の人の情報が掴まれている、と。:まぁ、そうだろうなぁ、と想像はついていたけど。
http://www.propublica.org/article/everything-we-know-about-what-data-brokers-know-about-you

産業界への最新型ロボットの導入で、管理職のポストは増えるかもしれないけど、一般には人間の仕事が奪われるのでは、との懸念。それでも「国際競争で生き残るために、企業としては安価となりつつあるロボットを導入しないわけにはいかない」という話。グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義が塗り替えてしまった世界経済の構造の中では、もうこの話しか出てこない。「国際競争力を維持するため生き残るためには、これをしないという選択はない」。みんなで、誰も生き残ることのできない未来に向かって――。(興味深い記事なので、エントリーにしたかったのだけど時間切れになってしまった。)
http://www.washingtonpost.com/business/technology/new-robots-in-the-workplace-job-creators-or-job-terminators/2013/03/06/a80b8f34-746c-11e2-8f84-3e4b513b1a13_story.html

ビル・ゲイツ「資本主義を信奉すれば各国とも豊かになる」:でも、既に各国とも国際競争に生き残るために(いずれ生き残れないとしても)、自国民を見殺しにしたり、奴隷労働に追いやったり、ものや資源として扱う以外にないところまで、グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義は暴走してしまっているんでは?
http://www.thegatesnotes.com/en/Books/Personal/Why-Nations-Fail?WT.mc_id=03_1_2013_WhyNationsFail_tw&WT.tsrc=Twitter

「学校教育はいまIT化の分水嶺」とビル・ゲイツ。
http://www.computerworld.com/s/article/9237429/Bill_Gates_Schools_are_at_a_technology_tipping_point_

ビル・ゲイツとアラブ首長国連合が来月アブダビでポリオ撲滅ワクチン・サミット:ポリオ撲滅というのは、確か80年代から言われてきたと思うのだけど。
http://www.thenational.ae/news/uae-news/health/bill-gates-and-uae-vaccine-summit-plan-to-eradicate-polio-worldwide

新生児にまでワクチンを、という話も出てきている。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/257175.php

日本。子宮頸がんワクチン重い副反応 中学生、長期通学不能に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130308-00000017-asahi-soci

日本。3ワクチン的接種化へ改正法案を閣議決定―政府
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130301-00000002-cbn-soci

日本。「みかりんのささやき」 娘さんにHPVワクチン、サーバリックスの重篤な副作用が出ているのに杉並区の保健所が認めようとしない、と闘っておられる女性のブログ。
http://ameblo.jp/3fujiko/entry-11480337659.html

日本。ワクチン推進巻き返しの時代(「予防接種の参考本」ブログ):まだ読めていないけど、ここにリンクされている「ワクチン産業ビジョン推進委員会」の速記録は、この問題を考えようとする人には必読資料のような……。
http://murdervaccine.blog.fc2.com/blog-entry-203.html

日本。出生前診断:新サービス発表 カウンセリングなしに議論も
http://mainichi.jp/select/news/20130222k0000m040035000c.html

日本。肺がん 検診した人の方が発見多いが死亡数は放置者が少ない
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121203-00000025-pseven-soci

作家のゲラを再利用した手作りの自由帳「ゲラメモ」を買う、という、被災地の障害者支援。
http://pre-nippon.com/geramemo.html

びわこ学園入所者支援、県継続へ
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20130305-OYT8T01583.htm

【PC遠隔操作事件】警察も検察も、これで大丈夫なのか 江川紹子
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130305-00023753/

アベノミクスが危険なこれだけの理由(2013年3月1日付英フィナンシャル・タイムズ記事の日本語訳)日経新聞「いくつかの面で、確かに円安は日本の輸出企業の収益に貢献する。ただ、そうした効果はある意味でうわべだけだ」 「多くの日本人でさえ、安倍首相の右寄りで国家主義的な見解から、こうした政策が短命に終わるか効果がなかった場合にどうなるかを心配している。約150年前の明治時代以来、日本は戦争によってしか景気後退から脱したことがないと指摘する銀行家もいる。とりわけ1950年代の朝鮮戦争など他国 の戦争で。再軍備関連の銘柄が高騰を始めたら、短期的に日本の運勢は上向いても、長期的にはさらに大きな危険にさらされるだろう」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM01056_R00C13A3000000/
2013.03.11 / Top↑
新たな調査によると、英国人は他のヨーロッパ諸国に比べて
寿命が短く、なおかつ健康度が低い、という結果が出たことを受け、
Guardianに出ている「長生きする10の方法」という記事が面白い。

なんせ、その第1が「日本に移住しましょう」。

健康寿命が世界一長いところだから、
そのライフスタイルから学ぶためにも。

以下に、その他9つと共に。

1.日本に移住しましょう。

2.血圧を測りましょう。

3.ジャンクフードを避け、果物、野菜、ナッツ、種を食べましょう。

4.ほどほどのアルコールを。

5.ゴロゴロしないで身体を動かしましょう。

6.禁煙を。

7.病気をもらわぬよう病院は避けて。

8.ストレスをためないように。

9.車の事故死を避けるために電車を利用しましょう。

10.英国北部よりも南部に住みましょう。


Ten ways to live longer
The Guardian, March 5, 2013


トランスヒューマニストは、
こんなことを考えていたりもする ↓

Dvorsyの「永遠に生きる確率を劇的に向上させる8つのヒント」(2009/5/26)
2013.03.07 / Top↑
もちろん、あくまでも少数に過ぎないけれど、
命令し、怒鳴り、わめき、暴言を吐き、キレる医師というのはいる。

専門家によると、
米国の医師のだいたい3~5%ではないか、とのこと。

例えば記事の冒頭に出てくるのは、
手術中に手渡された器具が正しく設定されておらず使えなかったことでカッとなり、
テーブルに叩きつけて助手の指を骨折させた外科医。

他に、例えば
患者のことで看護師が夜中に電話すると怒鳴りつける、
手術室で研修医がとろいとメスを投げつける、
他の職員を愚弄するようなものの言い方をする、
次々に質問する患者を途中で遮る……などなど。

(ちなみに私は、ミュウの腸ねん転の手術直後に
痛み止めの座薬を入れてもらえないので、
入れてやってほしいと訴えていた時に、その言葉途中で、
ハエでも追い払うような手ぶりで会話を一方的に途絶され、
そのまま医師に立ち去られた経験があります)

文中にあるすごい事例では
手術中に麻酔科医と口論になった外科医が
「ちょっと外に出ろ」と麻酔科医を引きずり出してったまま
患者を放置した、とか。

しかし、医師はなんといっても病院の職種ヒエラルキーのトップだし、
病院にとっては稼いでくれる立役者なわけだから、
そういうお医者さんたちはこれまで「そういう人だから」とか、
ストレスや責任の大きさで許してもらってきた。

が、ここへ来て、
そういう時代が終わりを告げようとしているらしい。

米国では09年にできた新規制により、病院には、
例えばページング(病棟からの呼び出しなど)に応じないとか
会議に出てこないといった消極的なものを含め、
問題行動への対応策が義務付けられたのだとか。

しかも、その姿勢は「ゼロ・トレランス」。

なんとなれば、医師の迷惑行動は単に不愉快なだけに留まらず、
職員の士気を低下させ、患者の命にすら関わることが
データとして明らかになっているのだそうな。

2011年に842の病院を調査したところ、
71%が、迷惑行動が少なくとも毎月起こると回答。
毎日あると答えた病院も11%もあった。

99%がこうした迷惑行動は患者のケアに悪影響があると答え、
21%は患者に害を及ぼすと答えた。

例えば、カリフォルニアでは
看護師が医師から叱責を受けたりバカにされることを恐れて
モニターに出た気になる数値を報告しなかったために、
母子が死亡した事例が、調査の対象となっている。

IUCの患者が誤嚥性肺炎を起こしているのではないかと案じた看護師が
医師の自宅に電話をかけたところ「勉強が足りない」と相手にせず、
患者が死亡した事例も。

こうした医師の態度が、看護師を現場から遠ざけ、
看護師不足の一因ともなっている。

しかも、今はチーム医療の時代。

問題行動のある医師を対象に、
アンガー・マネジメント(怒りのコントロール)講座がお目見えし、
病院から命じられた医師らが受講している。

3日間の講座の後、
6カ月の間に3回のフォローアップ。
一人4500ドルなり。

なんで自分がここへ送られたのか理解できないという参加者の一人に、
講師は「あなたが傲慢で嫌な奴だと、みんな思ってるからですよ」。

受講者について講師は
「IQは高いけど、情緒的知性は really pathetic」。

専門家によると、そうした問題行動は
パーソナリティに根があって、それが子どもの時の体験で強化されていることが多いが、
上が下を押さえつける医学教育のあり方にも問題がある、とのこと。

Anger management courses are a new tool for dealing with out-of-control doctors
WP, March 5, 2013


読んでいたら、なにやら、
女子柔道界の指導者による暴力問題とそっくりな構図のように思えてきたり……。
2013.03.07 / Top↑
アザラシ肢症のため、
生まれつき両腕がなく両脚も短い障害を持つ
英国の芸術家、アリソン・ラッパーの妊娠裸像が
英国ロンドンのトラファルガー・広場に設置されたことで
批判が巻き起こった一件について、以下のエントリーで取り上げました。

Ouellette「生命倫理と障害」第5章: 「アリソン・ラッパーの像」(2012/1/17)
「アリソン・ラッパーの像」から考えたこと(2012/1/18)


今日、必要があって久しぶりに検索したところ、

以下のブログがラッパーさんのその後を
何枚もの写真と一緒に紹介してくださっていました。

芸術家アリソン・ラッパー
「ハナママゴンの雑記帳」ブログ, 2012/9/2


それによると、あの裸像の石膏取りの際におなかの中にいた息子のパリス君は
現在12歳になったのだとか(誕生日によっては13歳かも)。

子育て中のラッパーさんや、
画家として活動するラッパーさんの姿や作品など、

素敵な写真が沢山あるので、
ぜひ、ハナママゴンさんのブログ・エントリーをご訪問ください。


とても嬉しい発見だったので、
上記12年1月18日のエントリーに書いた以下の個所のコピペと共に、私もエントリーに――。

重症障害児・者を見たことも触ったこともない学者さんたちが
アカデミックな世界で障害のある新生児の中絶や安楽死を議論していることへの疑問から
そういう人たちと「出会う」べく行動を起こしてほしいと、ある人にお願いし、
「見学にいく」のではなく「出会って」ほしいのだと念押ししたのだけれど、

「見学」にいって、フロアで文字通りごろごろしている
いくつもの「ねじれた身体」や「奇妙な身体」を「見て」終わってしまったら、
「自分ならこんな姿になってまで生きたいとは思わない」的な安易な感想に繋がらないとも限らない。

だからこそ、
その中の誰かと触れあい、○○さんという名前を持ち個性を持った人と接し、付き合ううちに、
ねじれた身体が全然問題ではなくなる「○○さんとの出会い」の体験をしてもらいたい。
2013.03.07 / Top↑
生活書院さんから毎年3月に刊行される『支援』という雑誌があります。
これまでの関連エントリーは以下 ↓

「支援」創刊号を読む(2011/4/17)
「支援2」からのツイート集 1(2012/4/17)


その第3号が今月末に刊行されるのですが、訳あって、そこに
「母親が『私』を語る言葉を取り戻すということ」というタイトルの
つたない文章を書かせていただきました。

書くことになったいきさつや、
この原稿は書く時よりも書くことを決断するまでが壮絶に苦しかったという事情も
その文章の中に書いていますので、

よかったら読んでいただけると嬉しいです。


それから、中根成寿さんが
拙著『アシュリー事件』の書評を書いてくださっています。

私もまだ内容を知らないのですが、
「善意と専門性に対峙する、児玉真美の軌跡」というタイトルに
もうそれだけでジンと来てしまいました。

以下、生活書院のサイトからの紹介です。
3月28日刊行予定とか。


★特集 逃れがたきもの、「家族」/トークセッション 支援の多様な可能性──ケアの制度の縛りの中で、歩みを続けるために  川口有美子×柳本文貴 ほか

「支援」編集委員会=井口高志・岡部耕典・土屋葉・出口泰靖・星加良司・三井さよ・山下幸子【編著】
支援  Vol.3
特集 逃れがたきもの、「家族」

________________________________________
A5判冊子  312頁  1575円(税込)  ISBN   978-4-86500-005-4 

 
 第3号の特集は、「逃れがたきもの、『家族』」。支援やケアをめぐって「家族」が語られるときの私たちの逡巡や曰く言い難い不自由さはどこから来ている のか。そこに押し付けるのでもなく、ただ「敵」だと言って終わりにするのでもなく、しかし持ち上げるのでもなく……さまざまな射程からあらためて「家族」 にまつわる問題群に向き合います。  他に、川口有美子と柳本文貴のトークセッション「支援の多様な可能性──ケアの制度の縛りの中で、歩みを続けるために」、尾上浩二へのロングインタ ビュー「パーソナルアシスタンスのこれまでと、これから──関西障害者運動からのとらえなおし」、難民を助ける会の野際紗綾子に聞く「東北・東日本大震災 支援における国際NGOの活動」など
 

【目次】
特集  逃れがたきもの、「家族」

関係を取り結ぶ自由と不自由について──ケアと家族をめぐる逡巡  土屋葉
閉じること/開くことをめぐる問い──家族介護を問題化する〈まなざし〉の変化を素材として 井口高志
母親が「私」を語る言葉を取り戻すということ  児玉真美
看護職である私の「家族」についての臨床の『知』  吉田澄恵
家族を家族とするものは──家族をひらこう  渡井さゆり
「家族」からの離れがたさ──セクシュアルマイノリティの「病院での面会」から  三部倫子
「子育て〈支援〉」にこじれ、「〈支援〉される家族」にこじれて。
──家族ケアの「私事化」と「脱私事化・脱家族化」とのはざまで  出口泰靖

トークセッション 
支援の多様な可能性──ケアの制度の縛りの中で、歩みを続けるために
           川口有美子×柳本文貴(司会/山下幸子)

ロングインタビュー1 
パーソナルアシスタンスのこれまでとこれから──関西障害者運動からのとらえなおし
           尾上浩二に聞く (聞き手/岡部耕典・山下幸子)

ロングインタビュー2
北・東日本大震災支援における国際NGOの活動  
           難民を助ける会・野際紗綾子に聞く (聞き手/土屋葉・井口高志・岩永理恵)

エッセイ
道しるべ  越智須美子
円満自立で、安心隠居生活  岡部知美
近すぎて届かないもの──バルネラブルな知識の交換のために(2)  飯野由里子

支援の現場を訪ねて
1  むつき庵(京都市)──モノは使いよう!  三井さよ
2  若年認知症サポートセンター絆や(奈良市)──ゆるくていいじゃない  井口高志
3  さっちゃんの家(成田市)──「利用者」とならず、「支援者」となる。  出口泰靖

支援の周辺
1  〈できない人〉はすごい、のその先へ  岡部耕典
2  自分の足元から、想像力を広げる。  山下幸子
3  「可能性」を問うことの先に  星加良司

シンポジウム報告
支援のフィールドワーク──調査と実践のはざまで  前田拓也

書評
1  善意と専門性に対峙する、児玉真美の軌跡
  (『アシュリー事件──メディカル・コントロールと新・優生思想の時代』児玉真美著)  中根成寿
2  介護や支援の「責任」をどう考える? 
  (『介護事故の法政策と保険政策』長沼健一郎著)  三井さよ
3  架空座談会──「ケア」と「自立」の新たな関係
  (『フェミニズムの政治学──ケアの倫理をグローバル社会へ』岡野八代著)  星加良司

くまさんのシネマめぐり
もう一人の「他者」として「精神病者」をみる──『人生、ここにあり』『精神』  好井裕明

ブックガイド
出会いのきっかけとしての民俗学
 (『驚きの介護民俗学』六車由美著) 伊藤英樹
子どもの病を生きる親たちの生活史
 (『小児がんを生きる──親が子どもの病いを生きる経験の軌跡』鷹田佳典著)  山崎明子
きれいに割り切れず片づけられないこと、それを切り捨てないまなざし。
 (『ケアのリアリティ──境界を問いなおす』三井さよ・鈴木智之編著)  出口泰靖
「発達障害」はテーマだけどテーマじゃない 
 (『プロチチ1~2巻』逢坂みえこ著)  三井さよ
子どもを「もらう」、から始まる「家族」の日常
 (『産めないから、もらっちゃった!』うさぎママ著)  土屋葉
「私の経験」も語ってみたくなるような
 (『障害者介助の現場から考える生活と労働──ささやかな「介助者学」のこころみ』杉田俊介・瀬山紀子・渡邉琢編著)  山下幸子

口絵 大阪・堺 グループホームぴあハウスのひとびと  写真・矢部朱希子
2013.03.07 / Top↑
13年前から米国で始まった研究により、ナチのホロコーストの規模はこれまで考えられていたよりもはるかに大きかった、と。
http://www.nytimes.com/2013/03/03/sunday-review/the-holocaust-just-got-more-shocking.html?pagewanted=all&_r=0

ずっとPAS合法化ロビーそのものだと批判されてきたBBCに、批判的な立場の女優Liz Carrが安楽死先進国で関係者を取材するドキュメンタリー。ただし、「既にリンク切れなんだけど、なんでや?」とコメント欄に。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10411#comments

この前確認したように、現在、PAS合法化法案を審議しているのはCT, VT, NJ,KS. HI, MA6州。他に関連事項が検討されているのが、NH,NY,AZ, MOの4州だとのこと。
http://www.foxreno.com/news/news/national/physician-assisted-suicide-killing-or-compassion/nWbr6/

アイルランドのALS患者、Marie Flemingさんの訴訟の上訴審。PASの全面禁止は重症障害者の平等の権利を侵害している、と。:そういえば、英国でもTom Shakespeareがそういうことを言っていたな。
http://www.irishexaminer.com/breakingnews/ireland/state-to-present-argument-in-assisted-suicide-case-586376.html
http://www.independent.ie/irish-news/courts/assistedsuicide-ban-deprives-severely-disabled-of-rights-to-equality-says-ms-sufferer-29098875.html

国連のHuman Rights Councilから、医療現場での障害者に対する虐待等に関する報告書。
Report of the Special Rapporteur on torture and other cruel, inhuman or degrading treatment orpunishment, Juan E. Méndez :読みたいと思いながら、ぜんぜん手がつけられていないけど、アシュリー事件ともOuelletteの著作とも関係してくるので、今後参照できるよう、読めないまま拾っておく。
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session22/A.HRC.22.53_English.pdf

日本。焦点に医療保険浮上 厚労省「国民皆保険制度」崩壊に危機感:昨日のニュースで安倍首相の経済再生の柱が「農業」と「iPS細胞研究と創薬」というのを聞いて、うおー、やっぱ「グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義」の路線ガンガンなのね……と。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130226/trd13022622420008-n1.htm

日本。iPS臨床、初の申請=目の難病で移植研究―厚労省が審査、来年度にも開始・理研:そういえば山中先生も作成当初には倫理問題をしきりに語っていたのに、いつの間にか言わなくなって、代わりに最近は「日の丸を背負って」だとか「日本の経済を我々科学者が担う」みたいなことを、しきりに言い始めている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130228-00000094-jij-soci

日本。「リレンザ」(インフルエンザ薬)で3人がショック、1人死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130227-00001324-yom-sci

パーキンソンの初期にDBSが有効。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/256376.php

【関連エントリー】
ロボトミー被害者が手記を出版(2008/1/25)
向精神病薬はロボトミーとそれほど違わない?(2008/2/4)
DBSうつ病応用へ(2008/5/28)
へんだよ、脳研究のプライオリティ(2008/5/30)
「3歳以下の、てんかんの手術は安全かつ有効」とカナダの研究者(2009/3/26)
「てんかん手術はコスト効率がいいから途上国で広めましょう」とLancetに(2009/4/21)
2009年11月10日の補遺(DBSの権威リザイ医師へのインタビュー。日本語)
「強迫性障害、うつ病、肥満にも」DBSなど“実験的脳手術”(2009/11/29)


環境ホルモンBPAが脳の発達に影響する。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/256866.php

日本語。HIV感染で生まれた乳児の治癒に初めて成功、米チーム
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000009-jij_afp-int

<スイス>企業経営陣の高額報酬に制限導入…国民投票
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000012-mai-eurp

英国で住宅補助などの福祉手当の受給者が、使っていない部屋の数に応じて需給費を削減される通称「空き部屋タックス」制度。単身の親や障害者に影響が最も大きい。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/mar/04/benefits-housing

日本。「監視」でなく「見守り」 生活保護パチンコ禁止条例案で小野市長
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130227/wlf13022713430013-n1.htm

日本。中絶禁止が少子化対策? 野田聖子議員の発言をめぐって 米津知子
http://wan.or.jp/reading/?p=281

体外受精ががんを引き起こすなんてことはありません、という米国のイスラエルの研究者らによる調査結果。:ってことは、そういう懸念がとり沙汰されている、ということなんですね。米国とイスラエルの研究者、というところが、いかにもな感じも。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10415#comments

【PC遠隔操作事件】処分保留で釈放、別件で再逮捕について弁護人が語る  江川紹子
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130303-00023718/

日本。大揺れ女子柔道、なぜ男子監督ばかりなのか? 「引退した男子選手を食わせるため」「女子柔道のコーチ職も男子選手OBの食いぶちになっていて、女子選手にまでポストが回ってこない」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/other/627230/

ユニクロ 疲弊する職場 「この数年間、ユニクロの新卒社員の3年内離職率は実に5割前後で推移している」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130304-00013101-toyo-bus_all
2013.03.07 / Top↑
米国フロリダ州在住のシングル・マザーGalitさん(仮名 39歳)は
イスラエル人のドナー精子で娘を産んだ。

その時に、5回分の精子サンプルを購入し、
精子バンクに保管してもらった。

この度、次の子どもを産もうと考えたところ、

ドナーの男性が「改宗してから、知りもしない女性に自分の精子を使われて
自分が愛情を感じることのない子どもを産まれたことを後悔するようになった」として
提供への同意を撤回。

Galitさんは怒り心頭で、裁判に訴えた。

「娘にはちゃんと自分と全く同じ血のつながった兄弟を持たせてやりたい、
精子ドナーが心変わりするなんて論外。

私は家族を持とうと計画したのよ。それなのに、
精子を提供しておいて、もう何人の子どもが生まれたかわかったもんじゃないのに、
今になって、ある日突然に気が変わったなんて。
自分が生き方を変えるのは勝手だけど、
私の生き方はどうなるのよ?」

高等裁判所は同情しつつも
ドナーの自律の権利、自己決定権を尊重。

提供した時には考えなかったとしても、
自分が選んだわけでもない女性に繋がりもなければ育てるわけでもない子どもを
産まれたくないという気になるのは理解できる、と。

Galitさんは、
「ドナー男性の気持ちばっかり。
私の気持ちについては誰も何も言っていない。
私は一人で娘を育てている母親なのよ」

上訴する予定だとか。

Israeli sperm donor wants his stuff back
BioEdge, March 2, 2013
2013.03.07 / Top↑
失業者にバスを無料で(英国)

2013年の年明け早々、イングランド、ウェールズ、スコットランドを走るバス路線の70%で失業者には運賃を無料とするサービスが始まることになった。バス運行企業の大手6社とローカル5社が新たにスタートするサービス。3か月以上失業状態が続いている人に電車の運賃を半額に割り引くカードが支給される既存の制度を利用し、求職者手当、就労不能手当、雇用と補助手当、所得補助の受給者を対象とする。この新サービスの恩恵を受ける失業者は80万人に上るとされる。

ガーディアン紙の報道などによると、バス会社がこのような思い切ったサービスに踏み切った背景には、労働年金大臣イアン・ダンカン氏と労働党議員のデイヴィッド・ミリバンド氏(党首のミリバンド氏の兄)の呼びかけがあったという。

ダンカン氏は2010年10月にテレビ出演した際に、1時間もバスに乗れば別の町に求人があっても若者が行動しなくなったと批判。「待っていても仕事の方からやってくることはない」「仕事があるなら、それを手に入れるためにそれなりの努力をし、できる限り一生懸命に働くべき」などと語り、バスに乗って職を探しに行くよう促した。その発言には失業者に対する非難と蔑視だと反発する労働組合や野党から、1980年代に自分の父親は30年代に自転車で職探しをしたと言って貧困層の暴動を非難したサッチャー首相の側近、ノーマン・テビット貿易産業相のようだと猛批判が起こった。

その後、昨年7月に発表されたのが、ミリバンド氏が委員長を務めた若者の失業に関するコミッションからの報告書である。報告書は求職者手当を申請する若者が全国平均の2倍に達する“ホット・スポット”を600か所特定。そのほとんどが都市部である一方、コーンウォールやデヴォンなど貧しい地方の州も含まれている。

報告書は一昨年の教育維持手当の廃止によって、そうした州の低所得層の大学生の約2万人が週30ポンドの支給を失ったことなど、政府の支援を「不十分」であるとし、特に交通費の負担について以下のように書いた。「コミッションに寄せられた声には、特に地方に住む若者らが交通費に触れたものが多く、移動コストが教育や雇用への意欲を失わせている可能性がある。例えば、最低賃金で暮らす若者の場合は高い運賃が収入に占める割合は大きく、長期に渡って研修を続けたり無償で働いてみようとする意欲につながりにくい」

ミリバンド氏は「バス会社は大きな利益を出している。地方自治体にも中央政府にも権力がある。それらが力を合わせなければ。競争の激しい労働市場だというのに面接に行こうとすれば、運賃が大問題になるのだから」「英国は若者の失業という危機に直面している。この危機を放置しておく経済的余裕はない。長期的な若者の失業をなくすという政府の目標設定は正しいが、それを実現するためには大きな変革が必要となる」と語った。

またメディアから若者の勤労意欲について問われた同氏は以下のように応えた。「機会はあるのに働く意欲がない若者よりも、意欲はあるのに働く機会がない若者の問題の方がはるかに大きいと思います。働く気がないけど生活はできて当たり前と考えている若者がいるか、と問われれば、そういう若者だって探せばいますよ。でも、そういう問題ではありません」

果たして若者たちは「働かない」のか「働けない」のか――。いずれにせよ、働きやすくするための小さくとも具体的な方策を打ち出していくことが大切な社会的包摂の一環なのだな、と改めて考えさせられるニュースだった。

障害者を手厚くケアしていた古代人たち

胎児のように身体を丸めたまま埋葬されていた遺骨の発掘写真に目を引かれた(12月17日のニューヨークタイムズ)。2007年に南ベトナムのマンバック遺跡から発掘された、4000年前の若い男性だという。遺骨の調査から重症障害のために生前からそういう姿勢で暮らしていたものと推測された。子どもの頃に下半身がマヒし、腕もほとんど使えない状態だったが、マヒしてからも10年ほど生きたとされる。当時の集落はまだ金属を持たず、釣りと狩りで暮らしていた。そういう人々が、この若者をケアしていたのである。

その他にも、イラクで複合的な障害のあるネアンデルタール人(死亡推定年齢50歳)、米国フロリダ州で二分脊椎の少年(同15歳)、イタリアで重症小人症の少年(同10代)、アラビア半島でポリオで24時間介護を要したと思われる少女(同18歳)など、狩猟採集の過酷な生活環境にあった古代人が障害のある人たちを手厚くケアしていたエビデンスが次々に報告されている。という。

これもまた、「包摂」という言葉が頭に温かく浮かぶ記事だった。

「世界の介護と医療の情報を読む」第80回
「介護保険情報」2013年2月号


【関連エントリー】
古代の人たちが重症障害者を手厚くケアしたエビデンス(2012/12/25)
2013.03.07 / Top↑
これまたBioEdgeネタ。

“Depraved” remarks about disabled cost Cornwall councilor his job
BioEdge, March 2, 2013


英国のCornwallの地方議会の議員(無所属)が
1年前に「障害児は自治体にとってカネがかかりすぎるので殺すべき」と発言したことを
今ごろになって地方紙に報じられ、謝罪するも
激しい非難を浴びて、結局辞職した、とのこと。

BioEdgeが引用している人気ブロガ―のコメントが、まさにズバリ。

Mr Brewer has nothing to apologise for. His view is precisely that which our progressive society manifests toward the disabled in the womb - right up to full-term. There is no 24-week limit when it comes to 'getting rid' of those who can't walk, talk, see, hear or catch a ball. You'll have no problem at all getting your Down's child sliced up and vacuumed out, and you'll even find doctors who will neatly dispose of a baby with a hare lip, for that's an undoubted disability. The glorious achievements of our Paralympians have done nothing to change this.

Brewer氏は何も謝ることはない。彼の見解はまさしく、発展目覚ましい我々の社会が母親のおなかにいる障害児に対して、妊娠中から出産に至るどの時点においても、示す見解そのものである。歩けなかったり、しゃべれなかったり、見えなかったり、聞こえなかったり、ボールを掴めなかったりするような人間を「排除する」ためなら、24週の中絶リミットは適用にならない。ダウン症の子どもは切り刻んで吸引して、ぜんぜん構わないし、口蓋裂の赤ちゃんにも、後腐れなく棄ててくれる医師が見つかる。口蓋裂だって障害に違いないわけだから。英国代表選手がパラリンピックでどんなに素晴らしい成果を出したって、この事態を変えることはできない。


指摘されているのは、この問題ですね ↓
英国議会が障害理由による中絶の実態調査(2013/2/25)


この引用に興味を引かれて
そのブログ・エントリーに行ってみたところ ↓

Disabled people ‘should be put down’ because they ‘cost too much’
CRANMER, February 27, 2013


さらに興味深いものがあった。

2月23日10:22のbluedogさんのコメントで
我が国の麻生太郎財務相の発言が紹介されている。

(私もこのニュースを読んですぐ頭に浮かんだのは、これだった。
でも、この人は辞めていないなぁ……というつぶやきと共に)

You're on to something, Your Grace, this could be the Next Big Thing.

"Heaven forbid if you are forced to live on when you want to die. I would wake up feeling increasingly bad knowing that [treatment] was all being paid for by the government," he said during a meeting of the National Council on Social Security Reforms. "The problem won't be solved unless you let them hurry up and die."

Comment by Taro Aso, Finance Minister of Japan, Monday 25th February 2013.

With this sort of talk becoming fashionable in debt stricken democracies, one can see little incentive to improve survival rates of patients in NHS hospitals.
27 February 2013 10:22


最後のところは、

「負債に苦しむ民主国家でこういう発言がもてはやされるんだから、
NHS病院で患者の死亡率を下げようなんてインセンティブが働くわけはない」


【関連エントリー】
英語メディアが麻生発言を「さっさと死ね」と翻訳(誤訳でしょうか?)(2013/1/27)
2013.03.07 / Top↑