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生殖技術の進歩にコントロールが追い付かず、生殖技術を通じた優生思想が復活する、とRobert Winston.
http://www.scotsman.com/the-scotsman/health/lord-robert-winston-warning-over-child-eugenics-1-2842227

オーストラリアのDr. DeathことDr. Nitschkeが上院議員に出馬の予定。ウィキリークスのアサンジも出馬が取りざたされているとか。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10467#comments

英国の死亡臓器提供は50%増加、移植臓器も30%増加。しかしNHSではまだ足りないので、患者本人に提供意思がある場合には家族が反対しても実現できるように、と。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/apr/11/organ-donation-drive-prevent-overriding

未熟児の救命のための酸素濃度が高すぎると失明する、低すぎると救命が困難になるというジレンマを解決すべく適正な濃度を見極めるために行われた米国の大規模な臨床実験(2005年から2009年に、23の研究病院で1300人の未熟児に行われた)で、親に渡された同意説明書がメリットは大きく強調して説明し、失明、脳損傷や死亡のリスクについては説明していなかった、と保健相が問題視。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/watchdog-agency-criticizes-ethics-of-study-of-premature-infants/2013/04/10/bb124926-a205-11e2-9c03-6952ff305f35_story.html

製薬会社のために治験を請け負う企業というのがあるらしい。その1つ、Cetero Researchの治験でのデータ改ざんはあまりにも「言語道断」で、FDAは2005年4月から2009年8月の間に同社によって行われた治験は価値がないと結論付けた。抗がん剤から鎮痛剤まで、同社の治験を含むデータで認可された薬は100種類ほど。ところが、その内容をFDAは公にせず、本来なら新たに検査し直さなければならない薬をそのまま市場に残している。例によってProPublica。
http://www.propublica.org/article/fda-let-drugs-approved-on-fraudulent-research-stay-on-the-market

製薬会社のMRさんたちは、医師のところへ来ても薬の副作用についてはほとんど明かしていない、とカナダ、米、仏の医師らによる国際研究で。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/258942.php

日本。毎日新聞社説。イレッサ原告敗訴 では、何が原因なのか
http://mainichi.jp/opinion/news/20120527k0000m070081000c.html

NYT. 今日使われている化学物質のうち圧倒的な多数は、安全性について中立の検査が行われていない。
Think Those Chemicals Have Been Tested?: The overwhelming majority of chemicals in use today have never been independently tested for safety.

【関連エントリー】
大統領がんパネルが「化学物質はやっぱりヤバい」(米)(2010/5/10)
化粧品には、安全性が確認されていない化学物質がたくさん使われている(2013/2/7)


スタチンに替わる、遺伝子操作による高コレステロール治療法? スウェーデンのカロリンスカ研究所。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/258968.php

胃のバイパス手術にはウエストを細くするだけでなく、遺伝子の働きまで修正する効果?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/259075.php

日本語。世界初の子宮移植女性が妊娠、トルコ。下は、移植に成功した際の2011年10月のニュース。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130413-00000001-jij_afp-int
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2832379/7857631

【関連エントリー】
2年以内に世界初の子宮移植ができる、と英国の研究者(2009/10/23)
英国女性が娘に子宮提供を決断、OK出ればスウェーデンで移植手術(2011/6/14)


妊娠中の大気汚染が出生後の小児がんに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/258928.php

腎臓疾患のある患者の終末期医療には、黒人と白人で格差があることが明らかに。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/259032.php

日本。新型出生前診断:受診の夫婦「一緒に現実受け入れる」説明受け心境変化
http://mainichi.jp/select/news/20130411ddm041040092000c.html

ビル・ゲイツが米国の教育改革で生徒のテストの点数だけで教師を評価してはいかん、と。
http://www.latimes.com/news/opinion/editorials/la-ed-gates-testing-teacher-evaluations-20130411%2C0%2C7561671.story

ビル・ゲイツが50億ドルを使って、全米の学校の教室にカメラを設置し、全教員の授業を録画して評価する、と。
http://www.fastcompany.com/3007973/creative-conversations/inside-bill-gates-5-billion-plan-put-cameras-every-classroom

【関連エントリー】
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)


日本。親と暮らせない子どもをめぐる状況 島津あき シノドス 「日本でフィールド調査を行なっていた際、とある施設内のネズミの糞の臭いや、出される料理のゴキブリの糞の味などが苦痛で、その旨を伝えたが、「そうです か?」と受け流されてしまったこともある。ゴキブリが這う食べ物を子どもの皿によそうことに、なんの疑問も感じていない。普通の学校であれば大問題になる ようなことも、PTAも保護者もいない環境では問題にされることすらない」
http://synodos.jp/welfare/3308/2

エジプト軍上層部が、去年春の反政府デモの際に、負傷した患者の治療は麻酔なしでやれ、と医師らに命令。そればかりか病院で医師や兵士らによって襲われたデモ参加者も。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/apr/11/egypt-doctors-operate-protesters-anaesthetic

米国で学習障害運動が誕生して50年。
http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/04/12/learning-disabilities-movement-turns-50/

オーストラリアのバスで、日本人と間違えられてヘイト・スピーチを浴びせられた中国人留学生と旅行者。「英語しゃべれるのか?」「なんでオーストラリアにいるんだ?」 第2次大戦中に日本が爆撃したことについても。
http://www.smh.com.au/nsw/racist-rant-not-the-first-time-ive-been-abused-says-victim-20130403-2h6oh.html
2013.04.16 / Top↑
モンタナ州議会に提出されていた
医師による自殺幇助を違法とする法案は
昨日、上院法務委員会での投票の結果、

反対27 対 賛成23で

廃案に。

Mont. Senate rejects doctor-assisted suicide bill
SFGate, April 15, 2013


攻防は続く。
すさまじい攻防が……。


【モンタナ州自殺幇助議論関連エントリー】
裁判所が自殺幇助認めたものの、やってくれる医師がいない?(MT州)(2009/4/6)
合法とされたMT州で自殺幇助受けられず子宮がん患者が死亡(2009/6/18)
自殺幇助を州憲法で認められたプライバシー権とするか、2日からモンタナ最高裁(2009/9/1)
モンタナの裁判で「どうせ死ぬんだから殺すことにはならない」(2009/9/3)
モンタナ州最高裁、医師による自殺幇助は合法と判断(2010/1/2)
MT州最高裁の判決文をちょっとだけ読んでみた(2010/1/5)
合法化判決出ても医師ら自殺ほう助の手続きに慎重(2010/1/11)
モンタナの自殺幇助合法化 続報(2010/1/16)
生きたいのにICなしのモルヒネ投与で死んでしまったALSの元外科医(MT州)(2013/3/26)
2013.04.16 / Top↑
12日に以下のエントリーで紹介した話題の元論文を読んでみました。
がんセンターに“アドボケイト”が最後まで担当してくれる「自殺幇助プログラム」(米)(2013/4/12))

上記の記事内容に追加する形で、以下の論文の内容を改めて簡単に取りまとめてみます。

Implementing a Death with Dignity Program at a Comprehensive Cancer Center
N Eng J Med, April 11, 2013


Seattle Cancer Care Alliance(SCCA)は
Fred Hutchinson Cancer Research Centerとワシントン大学、それから
シアトルこども病院の患者を外来形式で引き受ける包括的ながん治療センター。
患者はワシントン州だけでなく、ワイオミング、アラスカ、モンタナ、アイダホからも。

尊厳死プログラムの方針はその他の病院の方針と同じ手続きで承認されたもので、
それに加えて、患者、医師、アドボケイトが最後のプロセスまで使える情報パケットを作成した。

その中に明記されていることとして、
・SCCAは自殺幇助だけの目的でかかろうとする新規患者は引き受けず、Compassion&Choiceに紹介。。
・このプログラムについて公式ウェブサイトには掲載していない。
・致死薬はプライベートな場所でプライベートに飲むと誓約できない患者には出さない。
・職員に参加は義務付けない。

最後の点については
SCCAの医師ら200人に調査を行って81人から回答を得たところでは
29人(35.8%)が、処方することもカウンセリングを担当することもいいずれもOKで
21人(25.9%)は、カウンセリングのみOK。
31人(38.3%)は参加したくない、または決めかねていると回答。

この個所の最後に、論文は以下のように書いている。
「少数でも参加に前向きな医師がこれだけいれば、プログラムの実施には十分と考えられた」

参加希望の患者には、最初に担当のアドボケイトがつく。
同センターには6人の有資格のソーシャル・ワーカーがいて、そのうちの3人がプログラムを担当。

そのうちの1人が担当となり、担当医と共に患者がターミナルであること、自己決定能力があること、
全ての選択肢を理解した上で決断していることを確認し、
手続きがすべて合法的に行われるように全プロセスを通じて仕切る。

もともとSCCAでは、患者が尊厳死プログラムに参加するしないを問わず、
全患者にソーシャルワーカーが最初の心理社会的評価を行っている。
(この部分、WA州の尊厳死法は紹介責任を医師に負わせているが、
SCCAでは精神科のアセスメントの必要判断と紹介をソーシャルワーカーにやらせている、とも読める?)

次に、アドボケイトは患者にPOLSTを書かせる。「希望があれば、記入の支援をする」とも。
POLSTについては ⇒医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLST(2012/11/26))

POLSTに記入されるのは、
・致死薬を飲む際に医師にいてもらいたい場合はその手配。
・薬の入手方法と使わなかった薬の処分方法。
・グリーフケアと法的アドバイスのために定期的に訪問・受診(手紙を書いたりビデオを作ったり)
・家族には不測の事態の可能性を考えて患者が飲む時には連絡するように伝え、家族にもグリーフ・ケア。
・処方した医師は死後の報告書の書き方もアドボケイトから支援。

アドボケイトは通常は2回、患者と家族と面会する。
(この辺りを呼んでいると、なんとなく臓器移植のコーディネーターを連想する)

担当医が個人的な信条から参加したくない場合には、参加してもよいとする医療職から候補を選ぶ。

手続きが所定の通りに行われて処方箋が薬局に出されると、
薬剤師が患者と会い、副作用などについて詳しく説明する。
処方箋で薬を手に入れるかどうか、飲むかどうかは、その後の患者次第。

2009年5月5日から2011年12月31日の間に114人の患者から問い合わせがあり、
そのうち44人(38%)は問い合わせだけで参加しなかった。
30人(26.3%)は参加したものの、途中でやめたか、手続き途上で亡くなった。

残り40人(問い合わせた114人のうち35.1%)がカウンセリングと所定の要望を経て
致死量のセコバルビタールを処方され、全員が亡くなったが
そのうちセコバルビタールを飲んで死んだのは24人(処方されたうちの60%)。
セコバルビタールを使っているのは、ペントバルビタールが品薄のため。

がんセンターSCCAにおける尊厳死プログラムの参加者は
ワシントン州の尊厳死プログラムに参加した総数255人の15.7%に当たる。
その典型ケースは白人、男性、高学歴。

参加希望を断ったのは1人だけで、その理由はプライベートに飲むのを拒否したから。

SCCAのプログラム参加者は
SCCAの患者全体と比べてもメディケアのほかに個人的な保険にも入っている割合が高いことから、
WA州のプログラム参加者よりも働いている人が多いと思われる。
(と書きつつ、論文末尾の弱者への圧力を否定する個所では
SCCAの参加者像がWA州の州民像と異なっているという「エビデンスはない」と)

最初の要望の時点で、参加者の54.2%がホスピス・プログラムに登録している。

死亡時点での登録については調べていないが、
WA州の参加者の80.9%、OR州の参加者の89.7%が死亡時にホスピス・プログラムに登録している。

11人が半年という余命予測を超えて生きた。
このうち9人は半年を平均7.4週超えたところで致死薬を飲んで死亡。
最長は半年を18.9週超えてから飲んだ。(つまり余命半年とされた人が1年近く生きたことに?)

結局、自殺幇助で実際に死んだのはプログラム参加者の21%で
同センターの患者の年間死亡件数のうち 0.02%に当たる。

参加理由で最も多いのは
「自律の喪失」                97%
「楽しい活動ができなくなる/なった」   89%
「尊厳の喪失」                 75%

一回目の要望時にコントロール不能の苦痛または将来の苦痛を挙げた人は
36人中(なぜ36人?)8人で22.2%。WA州全体では34.7%、OR州全体では22.6%。

精神障害の疑いでアセスメントを求められた人はいなかった。WA州では4.8%、OR州では6.7%。

これまでに家族からも介護者からも苦情は出ておらず、受け止めは良好。
患者の死は穏やかだったと言われる。

薬を実際に手に入れるか、飲むかに関わらず、処方箋が出ることに患者と家族が感謝を語り、
不透明な状況でも自分でコントロールできると思えることが大事なのだと話すのが常だという。

PAS反対論者は弱者への圧力になると言うが、
プログラム参加者のほとんどは白人の教育レベルの高い男性だと著者らは反論している。
(でも、自ら上で述べているようにSCCAの参加者が既に選別された層だからでもあろうし、
また、弱者への圧力はPASに追いやるという以外の形で起こる可能性もある)

不測の合併症は起きていないが、薬を飲んだ後、死ぬまで1日かかった患者が一人。
死が長引いたことは家族にとっても医師にとっても辛い体験となった。
同様のケースはこれまでにも報告されている(これは当ブログのORとWAの年間報告書に情報があります)

その他、特に興味深かった点として、

・患者と家族の受け止めが良好である理由について、著者らは
「我々のアドボケイトのプロフェッショナリズムによるもの」と書いている。
(これを読み、また臓器移植コーディネーターが頭に浮かぶ)

・6カ月を超えて生きた患者がいても、
処方した医師にもカウンセリングの担当医にも敢えて伝えないことにしている、という。
理由は、こうした情報を伝えると、医師らが患者に余命を伝えることに慎重となり、
現在でも病気がtoo lateなほど進行してからでないと余命が宣告されない問題を
悪化させてしまう恐れがあるから。(このプログラムのホンネが too late にチラリと?)

・この論文の最後のセンテンスがなかなか味わい深い。

The program ensures that patients (and families) are aware of all the options for high-quality end-of-life care, including palliative and hospice care, with the opportunity to have any concerns or fears addressed, while also meeting state requirements.

このプログラムによって、緩和ケアとホスピスケアもあり、どんな不安にも対応してもらえる機会があることを含め、良質な終末期医療のすべての選択肢を患者と家族がわかっていること、さらに州法規定に沿うこととを共に保障することができる。


SCCAの緩和ケアとホスピスケアの担当者って、この最後の一文を読んで、どう思うんだろう……?

患者と家族が「わかっている/知っている(aware)」というのは、
「受けようと思ったら受けられるんですよ、それを分かった上で受けないと自己決定するんですね」と
単に「あるってことは知っている」ことを確認すれば、後は患者の自己決定だから、それでいい……
ということでしかないんだろうか。

SCCAの緩和ケアの専門家も、そういう理解なんだろうか。

でも、ここに書かれているプログラムの姿勢って、
緩和ケアとホスピスケアの敗北ではないのか、という気がするんだけれど。
2013.04.16 / Top↑
デンバー子ども病院が2004年から2007年に行った
小児のDCD(心臓死後臓器提供)のうち2例で
心停止から75秒だけ待って心臓を摘出したと報告した問題について
2008年に以下のエントリーで紹介しました ↓
心臓を停止から75秒で摘出・移植しているデンバー子ども病院(2008/10/14)

なお、Truogの以下の講演によると、
デンバー子ども病院は批判を浴びて、その後2分待つプロトコルに戻したとのこと ↓
Robert Truog「心臓死後臓器提供DCDの倫理問題」講演ビデオ(2009)(2010/12/20)


この件の周辺の情報を改めて取りまとめておく為のエントリーです。


① The New England Journal of Medicine における
デンバー子ども病院の「75秒で心臓摘出」プロトコル報告論文。

Pediatric Heart Transplantation after Declaration of Cardiocirculatory Death
Mark M. Boucek, M.D., et. all,
N Eng J Med 2008; 359:709-714 August 14, 2008

この論文は
2004年から2007年の間に3例行われた小児のDCDのうち、後の2例では、
倫理委の提言を受けて心停止からの観察時間を「1.25分に短縮した」と書いている。
つまり観察時間は75秒。


② 上記論文に対する反響の論文(いずれも同年8月14日のNEJM)

Gregory D. Curfmanらの論説
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe0805480

James L. Bernatの批判論文
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp0804161

Robert M. Veatchの批判論文。(レシピエントの体内で機能するなら不可逆的停止ではないと指摘)
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp0805451

Truog とMillerの論文:デッド・ドナー・ルールの見直しを提言。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp0804474


③ 関連の報道など。

・2007年3月18日のWPの記事。この記事は上記のNEJMの論文の前年に「75秒」を報道している。
New Trend in Organ Donation Raises Questions
Rob Stein
WP, March 18, 2007

・WPのnational correspondence であるWilliam Saletanが書いた、興味深い記事。
(SaletanはA事件でも辛辣な批判記事を書いた人物)
http://articles.washingtonpost.com/2008-10-05/news/36849515_1_brain-death-organs-cardiac-death

・NYT 2009年12月20日
http://www.nytimes.com/2009/12/20/magazine/20organ-t.html?pagewanted=all&_r=0

・米国医学会新聞 2009年1月19日
http://business.highbeam.com/137033/article-1G1-192397885/jan-19-2009-redefining-death-new-ethical-dilemma


・その後、UNOSによるDCDの名称変更提言に関して、上と同じWP記者が書いたもの
Changes in controversial organ donation method stir fears
Rob Stein,
September 19, 2011

この記事については、↓
UNOSが「心臓は動いていても“循環死後提供”で」「脊損やALSの人は特定ドナー候補に」(2011/9/26)



【DCD関連エントリー】
心臓を停止から75秒で摘出・移植しているDenver子ども病院(2008/10/14)
森岡正博氏の「臓器移植法A案可決 先進国に見る荒廃」(2009/6/27)
「脳死でなくても心停止から2分で摘出準備開始」のDCDを、ERで試験的に解禁(米)(2010/3/17)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
Savulescuらが、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止の正当化(2011/2/9)
「1つの流れに繋がっていく移植医療、死の自己決定と“無益な治療”」を書きました(2011/5/14)
WHOが「人為的DCDによる臓器提供を検討しよう」と(2011/7/19)


【William Saletan関連記事】
SaletanのAshley療法批判(1月 WP)(2007/12/13)
受胎前遺伝子診断:巧妙な言葉の操作が優生思想を隠ぺいする(2009/1/16)
2013.04.16 / Top↑
Yale大学のInterdisciplinary Center of Bioethicsが
今年12月に開く予定のカンファ。

テーマは “Personhood Beyond the Human”
共催は the Institute for Ethics and Emerging Technologies (IEET).

基調講演は Peter Singer と Steven M. Wise。

Yale to host conference on non-human personhood
BioEdge, April 13, 2013


で、このカンファで議論される問題を
BioEdgeにリンクされたビデオで熱く語っているのが
Ashley事件の際にCNNに登場していち早く擁護論をぶったIEETの創設者で
Trinity College in Hartford, Connecticutの生命倫理学者のJames Hughes.

当時、彼らのメディア発言で初めてトランスヒューマニストの存在を知り、
その主張について知ってぶったまげた私は、

とりあえずHughesが2004年に出した
Citizen Cyborgという本をゲットして読んでみた。

……というか、読む努力をしてみた。
で、あまりの議論の粗雑さに、すぐにメゲた。

読んだ範囲で一番あぜんとしたのは、
彼が主張する民主的なトランスヒューマンな市民社会の権利4段階説。

その個所を2007年の当該エントリーからコピペしてみると、


彼の分類では生命のタイプは4つ。

まず、最も上のランク。
①完全な市民権(自己決定、投票と契約を結ぶ権利)を与えられるのは、

「理性ある成熟した人格」という意識状態にある
「強化されている・いないを問わず大人の人間と、認知能力がそれに匹敵するもの」。

②障害市民権(生命と、完全な自己決定を行うための補助への権利)が与えられるのが、

人間の子ども
認知症と精神(知的の意?)障害のある人間の大人
Great Apes

彼らの意識状態は「人格(自己意識)」。

③「感覚のある財産」というステイタスで
(不要な苦しみを味わわない権利)を与えられるのが、

ほとんどの動物
胎児
植物状態の人間

意識状態は「Sentience感覚がある(快と痛)」

④権利を持たない「財産」と規定されるのは、

脳死の人間

植物
物品

彼らの意識状態は「Not Sentient 感覚がない」。

その他の詳細は、文末にリンクのエントリーに。


なんだか、なぁ……。
2007年のA療法論争の時には、
ただのトンデモ・ヒューマニストに見えていた人たちが
いつのまにやら生命倫理学者として大きな声でものを言い始めている……。


【James Hughesの“Citizen Cyborg”関連エントリー】
Hughesの「サイボーグ市民」
he とshe の新たな文法?
サイボーグ社会の“市民権”

【Singerらの「大型類人猿の権利宣言」関連エントリー】
Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的?
Peter Singerの”ちゃぶ台返し”
SingerやTH二ストにとっては、知的障害者も精神障害者も子どもも、み~んな「頭が悪い人たち」?
2013.04.16 / Top↑
【4月15日追記】
その後、この論文を読んで詳細を別エントリーに取りまとめました。

シアトルがんセンターの「自殺幇助プログラム」論文を読んでみた(2013/4/15)

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またも医師による自殺幇助に新たなパターンが登場――。

シアトルのがんセンター、the Seattle Cancer Care Allianceが
PASの全プロセスをシステマティックに引き受けるプログラムを実施しており、
患者や家族に好評だと、4月11日にNEJMのオンライン版で論文発表。

その名も the Death with Dignity プログラム。

参加希望の患者には、最初に担当のアドボケイトがつく。
同センターの職員である有資格のソーシャル・ワーカー。

この人が、担当医と共に
患者がターミナルであること、自己決定能力があること、
全ての選択肢を理解した上で決断していることを確認し、
手続きがすべて合法的に行われるように全プロセスを通じて仕切る。

担当医が個人的な信条から参加したくない場合には、
参加してもよいとする医療職から候補を選ぶ。

患者の意向は記録され、
グリーフ・ケア、法的支援、家族へのケアまで怠りない。

手続きが所定の通りに行われて処方箋が出されると、
薬剤師が患者と会い、副作用などについて詳しく説明する。

処方箋で薬を手に入れるかどうか
飲むかどうかは、その後の患者次第。

2009年から2011年の間に114人の患者から問い合わせがあり、
そのうち44人(38%)は問い合わせだけで終わるか、参加資格がないとみなされた。

30人(26%)は
最初の申請を行った後に参加を取りやめたか、その段階で亡くなった。

40人(一回目の申請をした患者の35%)が致死薬の処方を受け、
この40人は全員が既に死亡しているが
致死薬(セコバルビタール)を飲んで死んだのは24人。

結局、自殺幇助で実際に死んだのはプログラム参加者の21%で
同センターの患者の年間死亡件数のうち 0.02%に当たる。

参加理由で最も多いのは
「自律の喪失」                97%
「楽しい活動ができなくなる/なった」   89%
「尊厳の喪失」                 75%

これまでに家族からも介護者からも苦情は出ておらず、
患者の死は穏やかだったと言われる。

薬を実際に手に入れるか、飲むかに関わらず、
処方箋が出ることに患者と家族が感謝を語り、
不透明な状況でも自分でコントロールできると思えることが大事なのだと
話すのが常だという。

PAS反対論者は弱者への圧力になると言うが、
プログラム参加者のほとんどは白人の教育レベルの高い男性だと著者らは反論している。

(でも、それは
こうしたがんセンターにかかれるのが既に選別された層だからでもあろうし、
また、弱者への圧力はPASに追いやるという以外の形で起こる可能性もある)

不測の合併症は起きていないが、
薬を飲んだ後、死ぬまで1日かかった患者が一人。
死が長引いたことは家族にとっても医師にとっても辛い体験となった。

同様のケースはこれまでにも報告されている。
(これはORとWAの年間報告書に情報があります)

気になるのは記事の以下の個所。

The program’s policy - written by the Seattle Cancer Care Alliance’s
medical director and approved by a majority of the medical executive
committee members, as with any clinical policy - requires that patients
request information about medically assisted suicide from their physicians,
or that these clinicians raise the topic, to be considered for referral.

患者側から情報を求めるだけでなく、
医師の側から切り出してもいい、ということになっている。

Cancer patients embrace pioneer assisted-suicide program
Family Practice News, April 10, 2013


前から、ちょっと気に掛ってはいたのだけれど、
がんセンターがこういうプログラムを実施すると、
PASはいよいよ緩和ケアの一環と位置付けられていきそうな気配。

オレゴンの自殺幇助ほぼ全員がホスピス・ケアを受けていた、という怪(2009/3/20)
幇助自殺者が毎年1割ずつ増えるオランダで「安楽死クリニック」求める声(2010/8/12)
全国平均より35%も自殺率高いOR州で、それでも尊厳死法に消極的だとホスピス批判(2010/9/13)
NC州に自殺幇助専用ホスピス?(2010/9/14)


まさに、安藤泰至先生が言う「死や死にゆく人をめぐるケアの医療化」そのもの ↓
『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』書評を書きました(2013/4/3)

こうして「医療によって効率的に死なせるシステム」が整備された社会ができていく――。


改めて、エマニュエルが言っていることを読み返したくなる ↓
Dr. Emanuel「PASに関する4つの神話」(2012/11/5)
「安楽死やPAS合法化は、痛苦の責を患者に転嫁する」と16年前にエマニュエル(2013/3/22)

【追記】
その後、LA Timesも記事にしています(私は読んでいません)。
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-death-with-dignity-seattle-20130410,0,7934455.story

さっそく、この論文が「すべり坂懸念を否定するデータ」と報じられている。
http://health.usnews.com/health-news/news/articles/2013/04/10/physician-assisted-suicide-program-rarely-used-study-finds

【追追記】
Wesley Smithが、自殺クリニックだと批判している。
http://www.nationalreview.com/human-exceptionalism/345308/suicide-clinic-washington

【13日追記】
医療系のサイトが、この論文を「患者も家族も感謝」というタイトルで。
http://www.clinicaladvisor.com/patients-families-grateful-for-physician-assisted-suicide-program/article/288336/
2013.04.16 / Top↑
2008年に米国小児科学会誌に発表された
重要な論文を発見。

Loma Linda大学の研究者らが
脳死は定義も適用も難しい概念であるため
小児の脳死判定と記録には大きなバラつきがあるとの仮説を立てて検証した、というもの。

2000年から2004年にカリフォルニア州南部で
臨床的神経基準を用いて脳死と診断されて地元の臓器バンクに連絡が行った子どもたち277人のうち、
臓器ドナーとなったのは142人(51.2%)。

これら142人には死亡時までの完全なカルテがあるため、
それらを1987年の小児の脳死判定14項目について調査したところ、


年齢は
生後1週間       1患者
生後1週間から2カ月  6患者
生後2カ月から1年   22患者
1歳が        113患者

年齢に応じて一定の間隔をあけ2回の脳死判定検査が推奨されているが、判定回数は
0回        4患者
2回       122患者
3回        14患者
4回        2患者

年齢に応じて少なくとも48時間、24時間、12時間とされる判定の間の推奨間隔については、
1987年基準が守られていたのは1歳以上の18.5%のみで、
1歳未満では推奨の間隔が守られていたケースはゼロだった。
最短10分間隔・中央値1.6時間で2回目検査。

14項目のすべてを満たす判定が行われていたのは1人のみ。

14項目のうち神経科医と小児集中医療専門医が満たしていた中間値は5.5項目。
神経外科医が満たしていた中間値は5.8項目に留まった。

60%で無呼吸テストが記録されておらず、
半数以上で動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の上昇が不十分だった。
(日本の基準では自発呼吸の不可逆的停止が確認されるためには60mmHg以上であることの確認が必要)

第一回の判定では57人(40%)で行われた記録があるが、そのうち
最終的な動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が60mmHgを上回ったと記録されていたのは65%のみ。

第2回目の判定では61人(43%)に行われて、
そのうち57%で最終的な動脈血二酸化炭素分圧が60mmHgを上回った。
全体的に、無呼吸テストが最善の形で行われなかったケースでの最終PaCOは
40mmHgから58mmHgの間だった。

確認テストとして脳血流検査が行われたのが112人のうち83人(74%)で、
脳波測定のみのケースは112人のうち29人(26%)。
(いずれも行われた患者が6人いるので、この個所ちょっとデータの整合性が?)

著者らの結論は以下。

Children suffering brain death are cared for in various locations by a diverse group of specialists. Clinical practice varies greatly from established guidelines, and documentation is incomplete for most patients. Physicians rely on cerebral blood flow measurements more than electroencephalography for confirmatory testing. Codifying clinical and testing criteria into a checklist could lend uniformity and enhance the quality and rigor of this crucial determination.


臨床で行われている脳死判定はガイドラインと大きくかけ離れており、
ほとんどの患者で記録も不完全なものにとどまっている……。

Variability in Pediatric Brain Death Determination and Documentation in Southern California
Mudit Mathur, MD, et. al.
Pediatrics, May 1, 2008


ちなみに、私がこの論文について知って、探してみようと思ったきっかけは
以下のNYTの記事なのですが、

When Does Death Start?
NYT, December 20, 2009


書いたのはマサチューセッツ医科大学の小児心臓科長、Darshak Sanghavi医師。

Amandaという少女が事故で脳に重大な損傷を負い、
もう助からないなら、と両親が生命維持の停止と臓器提供を決心し
心臓死後臓器提供DCDのプロトコルによって手術室で人工呼吸器を外したところ、
Amandaはなかなか死ななかったために、臓器が提供できなかっただけでなく、
両親が非常につらい思いをして「いっそ、このまま採ってくれ」と言った
というエピソードを紹介して、

臓器不足のために死んでいく患者を救うためにも、
臓器提供の希望がある人が苦しまないためにも、
こういうケースでは全身麻酔をかけて摘出してもよいことに、と
暗に主張する文章。

Savulescuらが10年に論文を書いて
「臓器提供安楽死」と称して提案したことは、
それ以前から既にこうして言われていたわけですね……。

ちょっと愕然……。

で、Sanghavi医師は、
上記のLoma Linda大の論文を簡単に紹介し、
さらに「脳スキャンのやり方が適切ではなかった」ことによる脳死の誤診事例として
有名なザック・ダンラップのケースにも触れて、

その後で以下のように書いています。

Such sloppiness is potentially tragic, but it is also exceedingly rare. Whether or not a checklist is followed, by the time a neurologist is consulted to assess a critically ill patient for brain death, the odds of recovery are already minuscule. Doctors see that these patients have begun dying and the uncertainty is not about whether it will happen but when.

このようないいかげんな判定には悲劇を招く可能性があるが、しかし極めて稀でもある。チェックリストがきちんと守られようと守られまいと、重症患者の脳死判定が神経内科医に依頼される段階では、回復の可能性はすでに極めて小さい。医師にはこれらの患者は既に死のプロセスが始まっていることが分かるし、そこで不確実なのは死ぬかどうかではなく、いつ死ぬかでしかない。


いや、でも、
上記論文の結果を前に「極めて稀」と言われても……。

それに、この数行で書かれていることって
「どうせ死ぬんだからチェックリストも基準も要らない」
「どうせ回復の見込みなんかないんだから脳死になっていようといまいと関係ない」
「稀に悲劇が起こるかもしれないけど、そんなの構わない」と
「どうせ」が手放しで全開にされているだけでは?

そして、それは
「科学的な姿勢」でも「科学的な思考」でも全然ない……んでは――?


【12日追記】
詳しい方からご教示いただいたので。

無呼吸テストのPaCO2値に関しては
119.6mmHgで呼吸をした患者も報告されており
閾値の設定については論争があるそうです。↓

http://www6.plala.or.jp/brainx/trick_determination.htm#B
2013.04.16 / Top↑
以下のYouTubeビデオを見たので、要点をメモ。

2013/03/28 参議院 厚生労働委員会 生活の党 はたともこの質疑


●今回の法改正で、「子宮頸がん予防ワクチン」が「HPVワクチン」に名称変更になった。
これは「子宮頸がん予防ワクチン」という名称が必ずしも適切ではないということ、と
はた氏は指摘。

この点については、当ブログが拾った情報でも、すでに2011年段階で専門家から
子宮がん予防効果についてはデータが不十分であるにもかかわらず、
こうした名称を用いることに対する疑問として提示されていた ↓

日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 1(2011/8/5)
日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 2(2011/8/5)



●国立感染症研究所のファクトシート(平成22年7月7日版)によれば、
・性的活動を行う女性の50%以上が生涯に1度はHPVに感染すると推定されている。

●厚労省の説明によれば、Lancetに日本人研究者が報告した論文で、
・日本の一般女性がHPVに感染する割合について、16型が0.5%。
・同、18型が0.2%。

●米国のデータによれば、
・HPVに感染しても、90%以上は自然排出され、90%以上は2年以内に消失する。

●HPV感染から異形成を経て子宮頸がんになる人の割合は、0.1~0.5%。
(厚労省は様々なデータがあるため「確立した数値は得られていない」と理解)

・持続感染して軽度または中等度異形成になったとしても、
その90%は自然治癒し、残り10%も適切な治療を施すことができれば治癒率は概ね100%である。

これらから「日本人女性の99.9%以上には効果がないか、必要性がないワクチン」と同議員。

一方、

●3月11日に開催された副反応検討会議資料によれば、

・メディアではHPVワクチンの副反応の発生率はインフルエンザ・ワクチンの10倍とされているが、
それは事実ではなく、実際は、

副反応はインフルエンザ・ワクチンの
サーバリスクが38倍
ガーダシルが26倍。

そのうち重篤な副反応では、
インフルエンザ・ワクチンの
サーバリスクが52倍
ガーダシルが24倍。
2013.04.16 / Top↑
またもリヴァプール・ケア・パスウェイ批判。今度はBMJで、精神科医Eugene Breen。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10456#comments

【関連エントリー】
“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機会的適用でNHSが調査に(2012/10/28)


カナダの72歳の筋ジスの女性 Susan Griffithさんが自殺目的でスイスへ行き、法務大臣あてに自殺幇助合法化を呼び掛けたことから、またぞろメディアが議論を再燃させている。今月中に自殺すると言い、それまでの間を合法化の訴えに使うつもりみたい。
http://www.cbc.ca/news/canada/manitoba/story/2013/04/08/mb-assisted-suicide-griffiths-susan-europe-letters-mps.html
http://www.cbc.ca/news/health/story/2013/04/08/mb-assisted-suicide-storify-winnipeg.html
http://www.cbc.ca/news/canada/manitoba/story/2013/04/05/mb-woman-switzerland-euthanasia-winnipeg.html

英国のMencapが、知的障害者への医療差別をめぐって、Charter for Clinical Commissioning Groups というのを出している。医療への改善提言だと思う。必読。
http://www.mencap.org.uk/CCGcharter
http://www.homecare.co.uk/news/article.cfm/id/1559640/mencap-produces-charter-to-eliminate-health-inequalities-of-people-with-learning-disabilities-in-the-nhs

【関連エントリー】
「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト(2009/3/31)
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
「NHSは助かるはずの知的障害者を組織的差別で死なせている」とMencap(2012/1/3)
助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)(2013/3/26)


英国のKent County Councilが、認知症患者のケアをボランティアで自宅で受け入れの呼びかけ。
http://www.homecare.co.uk/news/article.cfm/id/1559645/kent-county-council-initiative-wants-people-to-open-their-homes-to-people-with-dementia

子どもを殺した英国の親の37%に事件前に精神障害があり、12%は一年以内に精神科医療を受けていた、との調査結果。:いろんな解釈が可能な結果だと思うんだけど、記事は読めていない。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/258666.php

ビル・ゲイツ、中国Boaoで開催されたアジア・フォーラムで、中国のワクチンと農業でのイノベーションが途上国を救う、と称賛。
http://zeenews.india.com/business/news/technology/chinese-innovations-to-benefit-world-bill-gates_73724.html

中国の習首相、ビル・ゲイツと会談し、協力関係をより深めていく、と。: ゲイツ財団は09年から中国でこんなことやってたし ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/57491438.html
http://news.xinhuanet.com/english/china/2013-04/08/c_132292967.htm

日本。国産エイズワクチン アフリカで試験 「日本で開発が進む、エイズの発症を予防するワクチンの安全性や効果を確かめる臨床試験が、1日からアフリカのルワンダで始まりました」:なんでアフリカで? って、アフリカはもうずいぶん前から先進国のビッグ・ファーマの人体実験場と化している。そのカラクリの一部はこちらのエントリーに ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62888127.html そういえば、この本 the Body Hunters、そろそろ翻訳が出てもいい頃だと思うんだけどな。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/151036.html

米国CDCから、1歳から5歳の子ども53万人で鉛の血中濃度が基準値を超えている、との発表。:ふ~~む。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/258706.php

英国で、遺伝病治療として遺伝子操作により3人の生物学上の親を持つ子どもを作ることが可能に?
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10458#comments

幹細胞から作った生殖子で子どもを作れば、「試験管優生思想」が可能、とオーストラリアの生命倫理学者 Robert Sparrow.
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10462#comments

英国で乳児用ミルクを大量に買い込んで中国に送る人が多発して、スーパーが一人あたりの販売量を制限している。
http://www.guardian.co.uk/money/2013/apr/08/baby-milk-powder-rationing-supermarkets

米国でも高齢者・障害者介護の予算カット。
http://www.dglobe.com/event/article/id/63900/

日本。虐待の6割、孤立介護 高齢者被害、半数が困窮世帯 朝日新聞・防止学会調査
http://www.asahi.com/shimen/articles/OSK201304060159.html

「なぜこんなワクチンを接種させるのか」接種中止を求め訴え/全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会による記者会見「問題となっているHPVワクチン2種(サーバリックス、ガーダシル)によって引き起こされたことが確認されている被害として、激しい頭痛・発熱・全身の痛 み・痙攣・呼吸困難・吐き気・記憶障害・計算障害・歩行障害など、あらゆる症状が1000件以上報告されているという。しかし、HPVワクチンは2007 年に導入されたばかりのワクチンであり、現状の掌握がまだできておらず、そうした状況の中で十分な検証・情報公開をせずに定期接種実施に踏み切ったことを 問題視した。連絡会は、この実態が医療機関に理解されていないことを訴えるとともに、HPVワクチン接種の中止と現状を踏まえた追跡調査の早期実施・公 表、被害救済制度による補償等を求めた」「3月28日の参議院厚生労働委員会におけるHPVの感染率について、国立感染症研究所が2010年に発表した「HPVワクチンに関するファクトシート」で は、性的活動を行う女性の50%以上が生涯で1度はHPVに感染すると推定されるとの記述があるが、日本の研究者が海外の医学系雑誌で発表した報告には、 日本の一般女性がHPVに感染する割合について、16型が0.5%、18型が0.2%と、1%にも満たない感染率であるとの試算があることも明らかになっ ている。さらに、HPVに感染しても、90%以上は自然排出され、持続感染しても適切な治療を施すことができれば治癒率は概ね100%であることが同委員 会において示されている」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/73089

日本。不妊治療女性「39歳まで」有識者会議で検討へ:「医療費がかかりすぎる」という話がしきりに言われる領域と、全然いわれない領域がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130408-00001701-yom-pol

愛媛大学付属病院、あすから出生前診断受付け
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130407/ehm13040702040000-n1.htm

新型出生前診断、採血予定の民間会社が計画中止
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130404-OYT1T01433.htm

日本。障害者12人への虐待が判明
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201304080005.html

防犯ブザー配布中止撤回=朝鮮学校に謝罪―東京都町田市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130408-00000122-jij-pol

日本。主権回復式典:政府主催で4月28日開催を閣議決定
http://mainichi.jp/select/news/20130312k0000e010181000c.html
 
日本語。大学キャンパスで刺され14人負傷、男子学生を拘束 米
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130410-35030628-cnn-int
2013.04.16 / Top↑
“Knowing when to stop: futility in the ICU”
Dominic J. C. Wilkinson and Julian Savulescu
Current Opinion in Anesthesiology, 2011, 24:160-165


これも、前のエントリーで読んだ論文と同じく、
落ちていく先はコスト論。

無益な治療論争は定義が一定しないまま、いったん下火になったが、
Betancourt事件やGolubchuk事件などで、またぞろ再燃しているとして、

集中治療室における無益な治療をめぐる係争の周辺の文献を概観し、
ざっと以下のことを提言。

・客観性を装う「無益」から「医学的に不適切」に表現を変えて
医療職の価値判断であることを明示。

・「医学的に不適切である」理由の説明を家族にはっきりと行う。
そこには本人への害となることの説明と共に、
他者(限られた資源が他に回されると利益を受ける患者)への害も含めて。

・上記2つの害の可能性を検討して公平公正な判断を行うためには
 病院内倫理委のコンセルテーションによるテキサス型の決定過程が望ましい。

そこで著者らが引いているのは、
2003年にJAMAに報告された調査結果。

治療をめぐる係争が倫理委コンサルテーションで検討されたケースでは
致死率に影響することなく、呼吸器使用、ICU滞在、入院期間が短縮できた。

で、著者らの結論は、

…… it is ethical for doctors to decline to provide treatment that is judged to be medically inappropriate or futile either when such treatment is contrary to the interests of the patient or when there are insufficient resources to provide treatment of this level to benefit.


いつのまにか
本人利益にならない場合と、または社会資源が不足している場合のいずれであっても
治療の提供を医学的に不適切だと判断して拒否することは倫理的だと言われてしまう。

でも、少なくとも後者は「医学的に」不適切だとの判断ではない、と思う。
2013.04.16 / Top↑
A Life Worth Giving? The Threshold for Permissible Withdrawal of Life Support From Disabled Newborn Infants
Dominic James Wilkinson
Am J Bioeth, 2011 February; 11(2): 20-32

【関連エントリー】
「“生きるに値する命”でも死なせてもOK」と、Savlescuの相方が(2011/3/2)


この論文でウィルキンソンが立てる問いは、
親と医師が重症障害のある新生児を死なせることが許されるのはどのような場合か?

「その子どもの将来の利益が負担と同等である」点を「ゼロ地点」とし、
利益がそこを下回る場合にのみ生命維持の中止を認めるハリスの考え方を
「ゼロ・ライン論」と呼び、

それに対して、

Steinbockの「閾値論」を採用すべきだとし、
生きるに値する生を生きられそうな子どもでも親の選択で死なせてもよい閾値の設定を説くのが、
この論文の趣旨。

「閾値論」とは、
上記のゼロ地点ラインの上下に、それぞれ
「生きるに値する生を送る可能性はあるが、親の裁量を認めて親が決めるなら中止してもよい」上限と、
「負担が利益を上回るが、診断その他の不確実性をかんがみて親が希望するなら治療を継続してもよい」
下限を設けて、

上限を超えた治療は「やらなければならない」とされ
下限を下回る治療は「不適切」とされる、というもの。

従来の「グレー・ゾーン」と「閾値」の違いは
ゼロ地点よりも上の「生きるに値する生」を生きる可能性のある子どもでも中止を認めている点。

なぜなら
……it may be worse to allow an infant to live with an LNWL, than to allow a newborn to die who would have had a restricted life.

生きるに値しない生で新生児を生きさせるのは、
制約された生を生きたかもしれない新生児を死なせることよりも悪い可能性がある


ここまで説いて、ウィルキンソンは問いを今度は、
「では、生きるに値する生になることが確実な子どもではどうだろう?」と転じる。

例として、
重症の知的障害(知能レベルが3カ月の幼児に留まる)があるが
身体的には健康で医療を必要としない子どもを挙げる。

そして、親の、結婚生活の破たんにまで及びうる心身の負担、経済的な負担と、
子どもにかかる教育と医療の「大きなコスト」という社会の負担を挙げて、

さらに問いを
「では、他者の利益によって新生児を死ぬに任せることが認められるのは、
どのような場合か」と発展させる。

それに対して、

…… The level of impairment that a society is able to support will depend upon the resources available. In societies that are very impoverished, the threshold would potentially be higher than in societies that have ample resources.

社会がどの程度の障害までを支えるかは、利用可能な資源による。
非常に貧しい社会では、閾値は豊富な資源のある社会よりも高くなるだろう。

(資源は豊かで差別的な社会でも、閾値は高くなると思いますが)


また、
コストもかからず本人に害がないなら、続けてもよいが、
将来的に重度化してゼロ地点を下回るリスクはある、とも追加。

見込まれる反論として、ウィルキンソンが挙げているのは
① 新生児にだけ別基準を設けることになる。
② 障害のある新生児への差別である。
③ 閾値設定の恣意性。
④ 本人の最善の利益論と一致しない。


② への反論が象徴的で、
問題にしているのは将来のwell-beingであって障害ではないから差別ではない、と。

しかし、そんなふうに一定の障害像にはwell-beingの可能性を認めないことが差別なんでは?

それに、このように弁明しつつ、
Wilkinsonは、論文後半の「実際的な基準」では、
「生きるに値する生」として補助具を使えば歩ける身体障害と
IQ35-50で基本的なニーズに関する会話が可能であることを知的障害の基準とし、

知的障害が重度の場合には明らかに「生きるに値しない生」となると断定し、
身障のみが重度の場合でも将来的に重度化するリスクを挙げて、
さらにその後は具体的な損傷、障害、病気を列挙している。

その際に、ダウン症候群と軽度の二分脊椎は閾値論の対象にならないと書いているけど、
上記の親と社会の負担論が持ち出されている以上、そうとばかりは言えないでしょう、と思うし、

閾値論という他人のふんどしを持ち出して論じつつ、Wilkinsonの眼目は、
そこに、こうして親と社会の負担を持ち込んで基準化することにあったのか――??


ところで、Wilkinsonがこの論文で考察事例として挙げているのは

ヘンリー。
妊娠42週で、緊急帝王切開で生まれ、
状態が悪かったため人工呼吸器を付けて集中治療へ。
生後72時間でまだ呼吸器が外れず、脳波には異常がみられる。
集中治療を続ければ命は救えるだろうが、
重篤な四肢マヒを伴う脳性マヒと中等度以上の認知障害を追うことになる
確率が高い、と親には説明。

マイケル。
7歳。重症の四肢マヒの脳性まひ、小頭症、てんかんがある。
視覚障害と重症の知的障害もある。
親や教師の声ににっこりし、馴染んだ音楽を聞くと笑う。
苦痛や不快を感じてはいない時が多いが、言葉や補助具を使っても会話はできない。
本人仕様の車いすを利用するものの、自分では操作不能。胃ろう。
重症の出生時低酸素脳症で、生後1カ月はICUで過ごした。
その後も、けいれん発作が長引いたり、肺炎で何度も入院。
周囲とのやり取りの能力はいずれ変わる可能性はあるが、寿命は予測不能。
成人して、数十年生きる可能性もある。


たぶん、ヘンリーの数年後をマイケルで想像せよということなんだろうから、
早産と帝王切開と胃ろう以外はこの2人とそっくりだった25歳を、ちょいと追加してみる。

ミュウ。
25歳。出生時に重症の低酸素脳症で、生後2カ月近くNICUで過ごした。
最初の1か月、人工呼吸器を装着し、保育器に入る。
生後3日目に胃穿孔の手術。生後6カ月から1か月、けいれん発作で入院。
その後も頻繁に肺炎や気管支炎で入院。
重症のアテトーゼ型脳性マヒと重症の知的障害がある。
本人仕様の車いすを利用するものの、自分では操作不能。寝たきりの全介助。
今のところ滑らか食を口から食べられているけど、いずれは胃ろうになる可能性も。
言葉での会話もエイドを使った会話もできないが、音声のバリエーションと
顔の表情、指差し、全身のありとあらゆるところを使って、言いたいことは分からせる。
自己主張は非常に強い。目だけで誰かを徹底的にバカにして見せることができる。
こっちの言っていることはだいたい理解しているが、
時に都合が悪いと、分からないフリをするチャッカリした面も。
言葉はなくても、けっこう理屈っぽい。
都合が悪い話題が出てくると、いきなり別のことに話を持っていったりもする。
現在、療育園の若手男性職員に熱烈な恋をしているところ。楽しそうである。

その他、ミュウの日常については
ぱんぷきん・すうぷ(2010/8/29)
お茶(2011/1/25)
ポテト(2012/3/4)
オトナの女(2012/5/26)
ミュウの試行錯誤(2012/6/25)
2013.04.16 / Top↑
Facebookの創設者 Mark Zuckerbergが
諸々のチャンネルを握っておりカネも人気もあるビル・ゲイツなどIT長者らを結集して、

一大政治勢力となるべく、
The Political Action Committeeの創設に動いている、という噂。

組織作りを引き受けたザッカーバーグの元ルームメートの
メール内容が漏れたことから。

別情報として、
ビル・ゲイツが Human Capitalという団体の創設に加わっている、とも。

ただし、組織名は既に変わっている、とも。

で、まず手掛けようとしているのは
移民問題と教育問題なんだとか。

‘People in tech represent one of the most powerful political forces’: Arrogant beliefs of Mark Zuckerberg’s Silicon Valley Political Action Committee
Mail, April 6, 2013

Bill Gates, Marc Andreessen joining Mark Zuckerbeerg’s super PAC?
Silicon Valley Business Journal, April 6, 2013



若干28歳のザッカーバーグがこんなことを言うと、
傲慢だとか何だとか反発されているみたいなのだけれど、

でも、
IT長者と金融長者(両者はもちろん重なっている)による「世界政府」みたいなのは、
もうずっと前からできて、とっくに着々と機能しているんでは……?


【関連エントリー】
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
人類は2040年に滅亡、でもグローバル福祉国家は通産相兼務の厚生相が御活躍だから大丈夫?(2010/3/18)
ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
国家的権威から市場主義的権威による超国家企業の政治制度へ(2012/1/25)
2013.04.16 / Top↑