2ntブログ
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スクリーニングが広く行われるようになった1989年以降、
英国でのダウン症児の出生数は毎年減少し、
2000年には594人にまで下がった。

ところが2001年からの6年間で15%増加して
2006年には746人に。

女性の出産年齢が上がったことに加えて、
ダウン症の子どもを育てようとする親も増えているためだと思われる。

たいていの女性は妊娠中の検査で分かった場合には中絶しているが
生む決断をする女性も今では多い。

また検査を受けない決断をする女性もいて
ダウン症の40%は生まれた後に診断されたケース。

ダウン症児の寿命が延びたことや
一般校にも通えるようになり多くの成人が働いているなど
社会がダウン症の人を受け入れてきたことも
育てようと決断する人の増加の要因だろう、と。


タイトルがちょっと気に喰わないのだけれど
まずは滅多にない明るいニュースだなと思いながら読んで、
読み終えた後で3つ寄せられていた記事へのコメントに目を通したら……

・いとこにダウン症があるため、叔父叔母夫婦は自分たちが死んだ後の子どものことが不安でならない。こういう子どもを産むのはフェアではないと思う。

・友人は成人したダウン症の子どもをケアするストレスで自殺しそうになった。こんなニュースをどうして「いいニュース」だなんて言えるのか。出生前診断が行われるのにはちゃんと理由があるわけで、自分には障害児を育てられるかどうか女性が決めることができるということ。宗教はおいといて合理的に考えなさいよ。

・英国人が前より優しくなったというのは結構だけど、こういう子どもたちの特別教育にどれだけコストがかかっていると? 障害があろうとなかろうと、どんなにその子のQOLが低かろうと、そんなの関係ない、自分はただ子どもがほしいだけ、というのは親の傲慢ではないのか?


そういえば英国議会では、こういう論理でもって
着床前の遺伝子診断で障害のある胚が見つかった場合に
その胚を他の胚よりも優先してはならないという項目を含む
ヒト受精・胚法の改正が行われようとしているのでした。

記事タイトルの a caring Britain (優しい英国)というのは皮肉なのかしらん。
2008.11.24 / Top↑
10月1日のエントリーNE州で「こうのとりのゆりかご」ジレンマで紹介したケースの続報。

ネブラスカ州で
日本で言う「こうのとりのゆりかご」の制度が18歳までの子どもを対象としているために
10代の子どもたちを“捨て”にくる親が相次いで問題になっていたもの。

11月21日、その法律「安全な隠れ家法」が改正されて
対象が生後30日の乳児に絞られた。

この法律によって精神障害のある子どもを州に托した母親は
自分が住んでいる田舎ではサポートなどないに等しいと言い
「カウンセラーが見つかるだけでもラッキーだけど
見つかったとしても、みんなふさがっている。
精神科医に電話をしたって予約は3ヶ月待ち」と。

(前に米国の精神科医がメディケア・メディケイドの患者をとりたがらない
という問題を指摘する記事を読んだ記憶があるので、
そういうこととも関係しているのかも)

この問題の概要は上記リンクから前のエントリーを読んでください。
日本のメディアでもこの話題を取り上げているところがありましたが、
例によって、とても単純な図式的捉え方だったような……。

Nebraska Revises Child Safe Haven Law
The NY Times, November 22, 2008


確かに法律の趣旨とは違う事態が起こったという点では
やむをえない改正かもしれないのですが、

この問題があぶりだしたのは
特に児童への精神保健医療サービスの不足であり
そうした子どもを持つ親への支援の不足であり、
経済不況によって、それらの不足も
育てにくい子どもを抱えた親たちの置かれた状況も
さらに深刻なものとなっている事実であって

それはきっと他の州でも同じなんじゃないかと……。
2008.11.24 / Top↑