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7日刊行の大統領がんパネルの200ページに及ぶ報告書について、
前もって手に入れたNYTのコラムニストKristof氏が書いているOp-Ed記事。

[http://www.nytimes.com/2010/05/06/opinion/06kristof.html New Alarm Bells About Chemicals and Cancer]
The NY Times, May 6, 2010


環境ホルモンBPAなどの化学物質は発がん性があって
やっぱり身体に悪いから、ちゃんと規制しなければならん……と
要は長いこと世間で言われてきたことを
公式に結論しているだけの報告書みたいなのだけれど、

Kristof氏の文章のトーンからすると、
これを大統領がんパネルみたいなところが公式に言い切ったというのは
なぜだか、相当に画期的な出来事であるらしい。

たしかに
「{{{米国で使われている8万種類の化学物質のうち、}}}
{{{安全性について検査されているものはほんの数百に過ぎないのだ」}}}なんて事実を
こんなふうに暴いてくださることが有り難くないわけではないけど、
しかし、それはずっと前からご存じだったはずですよね……という疑問が
どうしても頭に浮かんでしまうし、

安全性が検査されているという数百の物質にしたところで、
所詮は単体での検査しかできないのだし、
すでに複合汚染されている私たちや私たちの環境において、
それらの、どの組み合わせが、どの程度まで安全かなんて、
検査不可能なんじゃないんですか……という疑問も浮かぶ。

報告書がさらに続けて
{{{「発がん性があると分かっているものや疑いのあるものも」}}}
{{{多くが全く規制されず野放しになっている」}}}と厳しく指弾してくれるのは、
それはもちろん、してくれないよりも、ずっと、ありがたい。

だけど、環境ホルモンの危険性については、
私はもう思い出せないくらい昔から言われているような気がするのだけど、
その間、発がん物質の危険な野放し状態については
今回のがんパネルの著名医師2人はもちろん、
その他の影響力のある専門家の方々は
誰もご存じではなかったとでも……?


もっとも、
この記事に報告されている内容で、最も衝撃的なのは
{{{新生児の臍帯血の中から300を超える汚染物質が検出されている}}}という事実。

{{{それは胎児期にすでに化学物質に汚染されている証拠なので、これが}}}
{{{子どもに様々なガンが増えていることにも関係しているのではないか、}}}

{{{もっと法整備をして、ちゃんと規制して、}}}
{{{なによりも、みんな、もっと化学物質はヤバいという意識を持ちましょう}}}、と報告書。

具体的には

{{{:
・妊娠中や小さい子どもには食べ物に気をつけて。
オモチャや生活雑貨の素材にも気をつけて。

・化学物質にさらされる仕事をしている人は
家に帰ったら靴を脱いで。
仕事できた衣服は、他のものと一緒に洗濯しないよう。

・飲み水はろ過して。

・水を入れるのはガラスかステンレス製の容器に。
 プラスチックを使う時はBPAもphthalatesも入らぬものを。
レンジでチンする時はセラミックかガラス容器で。

・殺虫剤も化学肥料も成長ホルモンも使われていない食べ物を。
 しっかり火が通ったお肉は避けて。

・家のラドンのレベルを測りましょう
 ラドンには発がん性があります。
}}}

        ―――――

今さら「みんな、もっと化学物質はヤバいという意識を持って」って……。

その「みんな」ってな、科学者さんたちの頭越しに、
我々、無知な一般人に向けておっしゃっているんですかい?

そちゃ、ちっとばかり、筋ってもんが違ってやしませんかい?


{{{「そもそも有害だというエビデンスがないからといって」}}}
{{{それが安全な証拠だと考えてきたことそのものが間違っているのだ」}}}という下りには、
思わず失笑してしまった。

それこそ、「ある」研究からの情報しか出てこないから
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/45878047.html 「ない」研究は「ない」ことが見えないだけという科学のカラクリ]であって、

そのために、
なぜ、ある研究だけは「ある」けど、他の研究は「ない」のか、という
実は一番重要なキモのところが一般大衆からは見えにくくされているわけで、

でも、ある化学物質に「有害だというエビデンスがない」とは
「依然として有害である可能性も残っている」に過ぎないことくらい、
私みたいな素人でも分かるのだから、まさかホンモノの科学者が知らないはずもなく、

それならば、

例えば、重症障害者の意識が「あると証明できない」ことは
決して「ないと証明された」こととイクオールではなく、
「依然どちらの可能性もある」と考えるのが真に科学的な思考というものだろうに、
なぜか医療職の方々がこの点になると突然に科学的・論理的な思考の停止をきたして
「意識があるとのエビデンスがないから意識はない」ことにしてしまうのと
同じカラクリがそこには働いているのでは?

つまり、その方が、単に都合がいいというだけで?

本当は、危害を及ぼすリスクを避けるためには、どちらも、
人の意識は「“ない”とのエビデンスが出るまでは“ある”と推定しておこう」
化学物質は「“無害”とのエビデンスがでるまでは“有害”の可能性は捨てきれない」
とするのが論理的にも倫理的にも正しいスタンスだと私は思うし、
本当は専門家だって、それくらい、とっくに承知なのだけれど、

それでは死なせたい患者を片付けることができないし
売りたいモノを売ることができなくて都合が悪いから、
“専門家”がこぞって、論理的な思考ができないフリをしているのでは?

[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/48042294.html クローン牛肉の安全性]の話だって、
遺伝子操作だって同じことのような気がする。

有害だというエビデンスはないから安全なのだという科学者の方々の”宣言”で安心して
みんなで散々クローン肉を食べ続けて何十年も経ち、
もう汚染が複合的に進んで調査の方法もなくなった頃になってから
この報告書みたいに「やっぱり、ヤバいぞ」と指摘されたって、
それが何になるというのだろう。

本当は、
ラドンだ、プラスチックだ、セラミックだ、
やれ洗濯の仕方だ、肉の焼き方だという話じゃないよね、これは。

もっと構造的なところの問題だと私は思うのだけど。
2010.05.10 / Top↑