2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
J&J社の子ども用鎮痛剤のリコール問題で、悪質なリコール隠しが判明。J&J社の子会社が契約社員を全米の薬局に走らせ、リコールだとは一切言わずに買占めさせたんだとか。バレたのは、それを指示した文書を一人が薬局でうっかり落としてしまったことから。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/27/AR2010052705484.html?wpisrc=nl_cuzhead

G8と途上国の母子保健。基本的な医療ケアが無料で受けられるように、そして「全員が」ワクチンを無料で受けられるように。:「家族計画」が常に言及されているのが気になっている。たぶん、いずれそういう声が出てくるとは思っていたけど、やっぱり「途上国だけでなく、その他の国でも必要な人はいる」という話も。そちらでも「家族計画」はくっついてくるのか。
http://www.thestar.com/news/canada/article/814373--academics-urge-g8-to-fund-measures-to-reduce-unsafe-abortion

ハイチの地震の際に親とはぐれて人身売買組織に連れ出された可能性のある子どもたちのうち、DNA検査で13人が親元に無事に帰った。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/190144.php

香港のFoxconn工場で自殺が続いた圏の続報。屋上に自殺防止ネットを張ったとか。:そういう問題じゃないと思う。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/28/foxconn-plant-china-deaths-suicides

13歳の時にカトリックの神父にレイプされた女性の手記。母親は知っていたけど、娘のせいだと神父をかばって事実を隠した。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2010/may/29/raped-by-catholic-priest

DBSがパーキンソン病以外にもいろいろ有効だと、アルツハイマー病研究フォーラムからの情報。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/190163.php

ADHDの男の子の母親によるサバイバル・ガイド。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2010/may/29/adhd-aspergers-children-advice

「アーノルド坊や」、42歳で死去。脳出血:懐かしい。アーノルドがこづかい値上げをねだる時の“Please”を、授業でみんなで全身で、真似てみたことがあった。そういえば、白人の大金持ち家庭に養子に来る前の兄弟の生い立ちとか、事情とか、記憶にない……。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/28/gary-coleman-dies-child-star
2010.05.29 / Top↑
次世代ワクチン・カンファについて
前回のエントリーを書きながら、つらつら考えてみたこと。

私は経済のことも医療のことも、なにも知らない素人だけど、
最近なんとなく想像してしまうのは、

よく言われる「世界の産業構造が変わった」というのは
昔は「生活に必要なモノを作って売って自分も買って」で
お金が回って、めでたく経済が成り立っていたんだけれども、
いろいろと世の中が進んで効率化されて便利になるにつれて
生活に必要なモノはもう簡単に充足されてしまって、
それだけでは経済がスムーズに回転するほどカネが回らなくなってしまったんだな、と、

そこで前と同じようにカネを回して経済の仕組みを維持するためには、
必要がないところに必要を生み出す以外になく、
いろんな新しい欲望と必要とを次々に創出すべく、
それに向かって情報や人の心を操作することが、すなわちマーケティング……
……というショーバイの時代になってきたのだな、と。

しかも、そういう変化と並行して、
モノはできたり動いたりしなくても、カネの方が動くだけで
「生活に必要なモノを作って売って買ってカネが回っていた時代」が石器時代に見えるほどの、
ものすごい規模と速度でカネが生まれる妙な仕組みが出来上がってしまって、
そっちの速度の方がペースメーカーになってしまった?

で、そのペースメーカーは、
実体経済には到底追いついていけないような過酷なペースを刻んで暴走していて、

そのために、
必要のないところに必要と欲望をつくりだしていく操作も
目が回るほどの急ピッチで繰り出し続けなければならないし、

速度だけじゃなく、そこに注ぎ込まれるカネの額だって
「生活に必要なモノを作って売って」るところのマーケティング費用が砂粒に見えるほどで。

いくら、ないところに必要を生みだすショーバイでも、「作る」と「売る」がある限りは
どうしたって実体経済なのだから、その2つは切り捨てられないのだけれど、

必要をつくり出すプロセスの方に多大なエネルギー消費と緊張を強いられている人たちにとって
いつのまにか、その、プロセスに過ぎない部分の方が経済活動の本体であるかのように
感じられるようになってしまっている……なんてことはないのかな。

だから、「作る」のところの奴隷労働で人が死ぬことにも「売る」のところで人が死ぬことにも、
立ち止まって、その意味を考える感覚すらマヒしてしまう……みたいな?

(マヒしていなくても、そうでなければグローバリゼーションに生き残れないから、かもしれないけど)


もちろん、ワクチン業界だけのことを言っているわけではありませんが、

ただ、こういう大きな絵の中に、あの「次世代ワクチン・カンファ」を置いてみると、
あそこにあるのは、そういう、いかに”必要”を作りだし、
いかに、その”必要”を売り込んでいくかというプロセスへの興味ばかりで、

この人たちの売りモノは、商品である実物の個々のワクチンというよりも、
「ワクチンで無数の病気を際限なく安全に予防・治療していくことが可能だ」という、
実は誰も確かめたことのない幻想なのでは……と考えてしまった。

そこに必要があるから、ある病気のワクチンを開発する……という時代はもう終わって、
開発されることから、必要が生じてくる……という時代、
開発の過程から「できる! 治る!」と声高に先走り情報が流され、
まだないものに対する欲望と必要が創り出され、
価値の拡大が図られる時代になってしまったのだとしたら、

たしかに、病気は無数にあるのだから、
作り出せる潜在的な”必要”も無数にある。

だから、個々のワクチンではなく、ワクチンというものの存在と、それを巡る幻想には、
無限にマーケットを拡大していくポテンシャルがある。

ショーバイだけで考えれば。

でも、
携帯電話にそれほど沢山の機能を必要とする人は実はいなくて、
今の機能だって使いこなせないような人が多いのに、
次々に新しい次世代型が開発されることによって
そこに新たな必要が作られていくショーバイの戦略と、

次世代ワクチンが、新たな必要を生むべく次々に開発されていく戦略とが
同じような語り口で語られてしまうのだとしたら、それは、やっぱりおかしくはないだろうか。

一昨年、去年と米国のビッグ・ファーマのスキャンダルを暴くのに尽力したGrassley上院議員が
Biedermanスキャンダルのあまりにえげつなさに怒って放った一言を思い出した。

スニーカーを売るのとは違うんだぞ。


【関連エントリー】
事業仕分の科学研究予算問題から考えること(2010/12/12)
2010.05.29 / Top↑
10月20日から22日、ウィーンで
「次世代ワクチン・カンファレンス」が開催される。

主催は Jacob Fleming という経営コンサル(? たぶん)。

GSK, Merck, Sanofi-Pasteur, Novartis, Pfizer, Abbottなど
ビッグ・ファーマの幹部たちが登壇し、

世界不況で落ち込む生命科学領域の中において一人急成長で気を吐き、
2009年には260億ドルもの収益を上げたばかりか
まだまだ儲かる見込みのワクチン業界として、

新しいワクチンを売り出して行く際の諸問題いかにクリアするか?
治験の成績を挙げて認可をゲットするためにベストな取り組みは?
ワクチンの製造、発送、配送の最先端トレンドは?
一連の関係者に、また集団接種に、いかにカネを注ぎこんでいくか?

……などなどが話し合われる。

これまでの市場は子ども中心できたけど、今後のワクチン業界の成長は
大人向けワクチン、治療ワクチン、インフルエンザワクチンといった
新製品の開発へとシフトしていくと思われ、

そのためには
価値を生み出すことに繋がる一連の関係者をいかに効果的に動かし、
有望なワクチン候補をいかに遅滞なく予算の範囲で市場に売り出していくか
いかに医薬品開発や製造を受託する機関や戦略的な関連機関と相談しつつ
商機を逃さずものにしていくかが問われるのである。

World’s Vaccine Leaders Will Meet At Next Generation Vaccines Conference
MNT, May 26, 2010


「価値を生み出すことに繋がる一連の関係者」というのを
「ヴァリュー・チェーン」と呼ぶんだとか。

商品の価値が生まれていくプロセスには多くの人や機関が関わっている。
その一連の流れのところにいて、判断したり、影響力を持っていたりする人たちのこと。

この場合だと、ワクチンが利益を生んでいくプロセスに関係する人たちなわけで、

世界中の研究者、各国の中央政府と地方自治体の保健行政の関係者、
WHOとかユニセフとか世界銀行とか、もちろん医療関係の各種団体とか
あと、マスコミとか、評論家とか、たぶん、
私などには想像もつかないところにも、その他、いろいろ。

そういう人たちに、いかに finance ゼニを注いで、
そういう人たちを、いかに manage 使いまわすか……だと。


このカンファで、ワクチンの安全性なんて、そもそも話題になるんだろうか……。



【関連エントリー】
リスクの“リ”の字もなく“黄金時代”に沸くワクチン開発記事(2009/11/19)
「これからはワクチンが儲かりまっせぇ」の陰には、やっぱりゲイツ財団が……(2009/11/20)
CDCの前ディレクターはHPV売ってるMerck社のワクチン部門トップに天下り(2010/3/9)

【日本についての関連エントリー】
「HPVワクチン」検索結果の怪(2008/9/2)
朝日のワクチン記事にも「米国では」の印籠(2009/8/8)
「健康ギャップ」なくても「ワクチン・ギャップ」埋めないと「世界に恥じる」……と説くワクチン論文(2010/3/5)
2010.05.29 / Top↑