http://www.nytimes.com/2010/05/27/business/27tylenol.html?th&emc=th
夕方のニュースで見た件。香港のIT関連工場で、従業員の若者の自殺が相次いでいる問題で、アップル、HP、デルの3社が労働環境の調査に乗り出す、と。:グローバリゼーションとネオリベで奴隷労働が広がっている。でも、夕方のニュースのコメンテーターは「中国では一人っ子政策で子どもの数が減って、若者がたくましさを欠いているんじゃないか」と、またまた自己責任におっかぶせるような、たわけたコメントを。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/26/AR2010052604793.html?wpisrc=nl_cuzhead
入院患者について、いわばケアマネ的に総合的なケアのコーディネートをする hospitalist という職種が米国の総合病院で普及しているらしい。:これ、日本でも検討してもらいたいなぁ。全体が見える人がいないのが問題。医療サイドから見て「全体」じゃなくて、患者から見ての「全体」が。日本の場合、地域の介護サービスのケアマネは定着していることだし。病院での退院支援でも、地域でも、もっとスムーズに医療と介護が重なれるんじゃないかなぁ……。
http://www.nytimes.com/2010/05/27/us/27hosp.html?th&emc=th
英国の連立政権、現行の社会保障制度は働くものをバカにしているとして、失業者に働くインセンティブが働くような思い切った改革を宣言。:働きたいのに働けないんじゃなくて、働けるのに働かないって。
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/may/26/coalition-welfare-reforms-duncan-smith
米国では女性性器切除は違法であるにもかかわらず、国外からの移民は米国内の同国人コミュニティで性器切除へのプレッシャーを受ける。:そこで、小児科学会のDiekema医師率いる委員会が、ああいうことを言い出すわけか。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/189906.php
自閉症と精神遅滞に関係する遺伝子変異が新たに見つかったとか。ハイデルベルグ大学病院。当該遺伝子は SHANK2。神経細胞の連絡に関係している遺伝子なんだと。もちろん、それだけで発症するわけではなく、いくつかの変異があってトリッガーが起動する。:遺伝子だけではなく、他に様々な要因が関係しているとも思うんだけど。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/189945.php
詐欺罪で罪状を認めた後、脳の手術が失敗して人工呼吸器をつけて植物状態になっていると届けが出て、そのまま裁判の手続きが止まって、そのうち公式に死亡したことになったはずの男が、実は元気で悪事を働き続けていて、また逮捕されたので”生き返っている”ことがバレてしまったんだと。裁判に現れて、弁護士が「本人はそんな証明書を出した覚えはありません」。すると裁判官が「当たり前です。死んでたんだから」:愉快な裁判官。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/26/AR2010052605388.html?wpisrc=nl_cuzhead
CIAに、かつて、サダム・フセインが男の子とセックスしている偽ビデオを作って流して政権に打撃を与えようという計画があったと、かつてのエージェントがWP紙のブログで明かしているそうな。そちらの計画はボツになったけど、ビン・ラディンが焚火のそばで大酒食らって酔っ払い、何人の男とやったんだと吹いている偽ビデオは実際に作られたんだとか。もっとも表には出なかった。昔、爆発する葉巻によるカストロ暗殺計画があったのは有名な話なんだとか。:なんか、考えることの程度が低すぎます。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/26/cia-saddam-hussein-gay-sex-smear-plot
明日、がんばってください。
緊 急 抗 議 声 明
(障害者自立支援法等の一部を改正する法律案関連)
このたび、自民党・公明党提案にかかる障害者自立支援法の一部改訂案につき
政権与党が、ほぼ同内容の法案を厚生労働委員会委員長提案として、今国会に提
案することが確実視されていると報道されています。
これまで、障害者団体は、障害者の声を反映させるよう求めてきましたが、こ
こにきて、障害者の声が聞かれることなく、障害者自立支援法等の一部を改正す
る法律案の提出が予定されていること自体、強く懸念を表します。
政策プロセスにおいて障害者団体の声を無視した場合、障害者の権利に関する
条約第四条第三項に違反します。これでは、批准はありえません。
また、障害者自立支援法等の一部を改正する法律案には、障がい者制度改革推進
会議総合福祉法部会の意見書を待たずして国会に出されるものであり、民主党マ
ニフェストにある、障がい者制度改革推進法(案)や障害者自立支援法違憲訴訟
との基本合意文書にも背くものになります。
さらに、障害者団体からだされた意見の殆どが反映されておらず、「遅くとも平
成25年8月までに障害者自立支援法は廃止される」ことも「施行の終期が平成25
年8月までである時限立法である」ことも、一切明記されておりません。
1.精神科救急医療の整備(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改
正)条項については、精神障害者団体とのヒアリングを重ねるべきところを、精
神障害者団体からの主張に基づかずに強行しようとするものです。我が国には、
強制入院及び社会的入院が深刻あり、安易に法制化することは絶対に避けなけれ
ばなりません。
この時期に、こうした法案が出されること自体、許されるものではありません。
よって、直ちに今国会における与党合意に基づく厚労委員会委員長提案を撤回
し、自・公提案の一部改訂案については、廃案とするよう強く求めるものです。
2010年5月27日
全国「精神病」者集団
強い怒りと驚きを共有しつつ、
行けないので、せめて情報だけでも転載。
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10.30 全国大フォーラム実行委員会
明日、国会前集会!
1030実行委員会と勝利を目指す会で国会前集会を行いますので
5月28日(金)午前8:40に衆議院議面に集合して下さい!
障害者自立支援法「改正」案の廃案を求める緊急アピール
さよなら!障害者自立支援法 つくろう!私たちの新法を!
10.30全国大フォーラム実行委員会
障害者自立支援法の一部を「改正」した法案が、今国会に提出される動きがあることに私たちは強い怒りと驚きを禁じえない。私たちは障害当事者の声を聞くことなく作成された同法「改正」案の廃案を強く求める。
私たちは、障害者の地域生活を阻害する障害者自立支援法の廃止を求めて運動してきた。昨年9月に成立した新政権はその声を真摯に受け止め、障害者自立支援法の廃止を約束した。長妻昭厚生労働大臣は、昨年の就任時に「応益負担を基本とする障害者自立支援法を廃止し、任期中に制度の谷間をつくらない新しい法律を当事者の意見を十分に聞いてつくる」と明言し、さらに、昨年10月30日(金)、日比谷野外音楽堂で行われた10.30全国大フォーラムにおいて、参加者一万人の前で「一期4年の間に自立支援法を廃止し、みなさま(障害者)や家族、広く利用されるみなさまの意見に謙虚に耳を傾けながら、新しい制度をつくりたい」と述べた。そして、新政権の公約によって設置された「障がい者制度改革推進会議」のもとに「総合福祉部会」が作られ、現在、新法(障害者総合福祉法(仮称))制定までの「当面の課題」について議論の真っ最中という状況である。
また、障害者自立支援法違憲訴訟に関連して、「障害者自立支援法違憲訴訟原告団」は国の提案を受け入れ、基本合意を交わした。その中で、障害者制度全般の改革のため、障害者を中心とした推進本部で総合的福祉制度を策定し、障害者の参画の下に十分な議論を行う、とし、これらの実施状況を検証していくために、国・厚労省は「訴訟団」との定期協議を行うことを約束した。
このような経緯にも拘らず、今回、「改正」案が提出されようとしている。看過出来ないのは、まず、法案の作成から提出に至るまでの当事者参画などの手続きの問題である。これまで、この件に関して、与党と障害当事者や関係団体との話し合いが全く行われていない。5月12日に日本障害フォーラム(JDF)とのヒアリングの際にも与党からは全く示されず、5月21日の新聞報道等を通して、5月末の衆議院での採択の動きがあることを初めて知った次第である。
次に、内容の問題である。昨年3月、旧政権下で政府提案として提出した法案とほぼ同じ内容である。谷間の障害者の問題の解決が先送りされ、移動支援や手話通訳・コミュニケーション支援事業など、地域生活支援事業の市町村間格差問題は何も解決されていない。また、障害者の自己決定を尊重しないサービス利用計画拡大の問題や、自立支援医療の応益負担の廃止が盛り込まれていない等、基本合意の水準を下回っている部分もある。
こうした当事者抜きの拙速な決定は決して許されるものではない。障がい者制度改革推進会議および総合福祉部会の議論を優先させるべきである。私たち 10.30フォーラムは、粘り強く同法案廃止を求め、運動を展開する。
「私たち抜きに私たちのことを決めてはならない」。
記
1、国会は、今国会提出の障害者自立支援法一部「改正」案を廃案とし、新しい総合福祉法(仮称)のあり方とそれに向けた当面の課題等、障がい者制度改革推進会議のとりまとめと同総合福祉部会の議論を踏まえ、今後の対応を行うこと
以上
5月26日赤旗
民主が自立支援法“延命”へ
障害者との合意裏切る
28日にも衆院委で採決狙う 自民と結託
民主党が廃止を公約していた障害者自立支援法の“延命”につながる法案を、28日の衆院厚生労働委員会で採決しようとする重大な動きが起きています。25日の同委員会理事懇談会で民主党が提案しました。日本共産党の高橋ちづ子議員は抗議しましたが、自民・民主は28日の同委員会に委員長提案として緊急に付託することを合意しています。この動きに障害者団体などから厳しい批判が起きています。同法案は、自公政権が2009年の通常国会に提案し、障害者団体などの反対で廃案になったものとほぼ同じです。
障害が重いほど負担が重くなる「応益負担」を押し付ける障害者自立支援法について、民主党政権は廃止を公約。障害者らが提訴していた同法の違憲訴訟でも、当事者の声を十分に聞いた新しい総合的福祉法制を、遅くとも13年8月までにつくるとの合意を原告・弁護団と結んでいます。
現在、内閣府におかれた「障がい者制度改革推進会議」では当事者参加のもとで、同法に代わる新しい法律づくりや、新法制定までの当面の課題などの論議がすすめられています。
ところが、そうした動きをまったく無視し、自公両党が議員立法で今国会に提案した障害者自立支援法一部改定案に民主党が乗る形で法案内容をすりあわせしています。
法案は、もっとも批判の強い「応益負担」を「応能負担」にするといいながら、自立支援医療についても介護保険同様の「応益負担」とするなど仕組みは残ります。障害者の範囲に難病を含むことも抜けています。民主党は、新法ができるまでの「つなぎ」法案だとしていますが、すりあわせた法案には時限立法であることや13年8月までの自立支援法の廃止は明記されません。
関係団体抗議
「障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会」と「障害者自立支援法違憲訴訟弁護団」は24日、与党が同法改悪案を今国会に提案しようとしていることに対し、断固反対の抗議声明を発表しました。
同訴訟終結に際して訴訟団と政府が交わした基本合意文書は、同法を廃止し、当事者参加で2013年8月までに新法をつくることを明記しました。
声明は、改悪案について、遅くとも13年8月までの同法廃止を明記しておらず、「基本合意により廃止が決まっている悪法の延命を図るものと批判されて然(しか)るべきもの」だと指摘。内容面でも「基本合意文書の水準を大きく下回るもの」だとして、改悪案の提出を撤回するよう求めています。
緊 急 抗 議 声 明
与党による「障害者自立支援法一部改正案」提案に断固反対!
2010年5月24日
障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会
障害者自立支援法違憲訴訟弁護団
このたび、自民党・公明党提案にかかる障害者自立支援法の一部改訂案につき、政
権与党が、ほぼ同内容の法案を厚生労働委員会委員長提案として今国会に提案する
ことが確実視されていると報道されています。
これが事実だとすれば,昨年の政権交代以来、政府・与党として首相及び厚労大臣
が一貫して表明し、当訴訟団との基本合意文書において確認された「障害者自立支
援法を廃止し、平成25年8月までに制度の谷間をつくらない新しい法律を当事者の意
見を十分に聞いてつくる」とした国及び与党の姿勢に真っ向から反するものであ
り、看過できない重大な事態です。
政府・与党は、障害者自立支援法に代わる新たな総合的福祉法制については、与党
がかねてより提案していた「障がい者制度改革推進本部」を内閣府に設置し、その
下の「障がい者制度改革推進会議」において、障害のある当事者中心の検討に基づ
き構築するとの閣議決定の下、精力的な議論がなされ、本年4月27日からは「総合福
祉部会」が発足し、新法制定までの当面の課題について意見集約をしているまっ只
中にあります。
にもかかわらず、そこにおける議論を一切踏まえず、自・公提案の一部改訂案に与
党議員が同調することによって提案しようとする今回の態度は、推進本部の存在意
義を自ら否定し、推進会議と部会を侮り、さらに障害者問題を国会の政争の具とす
るという、政権与党のこれまでの政策・姿勢にも当訴訟団との基本合意文書にも背
くものであり、「私たちのことは私たち抜きに決めないで」という障害当事者の人
としての尊厳を踏みにじるものと強く非難せざるをえません。障害のある人にとっ
て何が最善かは、当事者参加による十分な検討によってこそ初めてわかる、という
ことを、政府与党が理解し、障害者自立支援法制定時の愚行を反省したからこ
そ、基本合意文書が締結され、障がい者制度改革推進会議が設置されたはずです。
推進会議と訴訟団を無視した今回の法案には「遅くとも平成25年8月までに障害者自
立支援法は廃止される」ことも「施行の終期が平成25年8月までである時限立法であ
る」ことも明記されておらず、障害者自立支援法違憲訴訟に基づく基本合意により
廃止が決まっている悪法の延命を図るためのものと批判されて然るべきもので
す。また、内容面でも今般の改正法案は、私たちが願う『改正』とはほど遠く、基
本合意文書の水準を大きく下回るものです。そればかりではなく現在進められてい
る検証会議や推進会議・総合福祉部会の存在を軽んじる以外の何物でもなく、ここ
での論議の幅を狭めかねません。
よって、直ちに今国会における与党合意に基づく厚労委員会委員長提案を撤回
し、自・公提案の一部改訂案については、廃案とするよう強く求めるものです。
以 上
http://www.montrealgazette.com/news/Quebecers+asked+views+euthanasia+assisted+suicide/3070225/story.html
http://www.cbc.ca/canada/montreal/story/2010/05/26/quebec-euthanasia-hearings.html
小さな子どもには泥んこ遊びをさせた方がいいですよ。皮膚の免疫力がつきます。:ってか、こういうことまで、いちいち科学的なエビデンスを出してもらわないと気が済まないかね。だいたい、泥んこ遊びって、皮膚に免疫力つけるためにやらせるもんじゃないし。親はもっと、こう、自分の中にあるものをどっしり信じて、自分と子どもの間で行き来しているものを、自分でしっかり感じとりましょうよ。バイ菌が少々どっちを向いていようが、そっちの方がよっぽど大事。親になった時に、そういう親としての自分の感性と判断力を信頼できるような人生を、親になるまでに送っておくことを考えましょうよ。そういう大人になれるように、子どもを育てましょうよ。権威あるように見える誰かの言葉や、いつ覆るか分からない“エビデンス”なんかに、いちいち振り回されるのではなくて。
http://www.guardian.co.uk/society/2009/nov/23/grubby-children-scientists-immune-system
麻疹の流行がぶり返している問題でWHOが警告。ワクチンで予防できるのに、と。:Diekema医師がまた何か言うかな。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/189780.php
5月24日にLancetのオンラインで公開されたIHMEの、周産期の胎児・新生児死亡率のインフォ・サイト。
http://www.healthmetricsandevaluation.org/resources/datasets/2010/mortality/results/child/child.html
英国の高齢出産、この20年で3倍に。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8705374.stm
エルトン・ジョンが、ゲイは出すなというイスラム教徒からの抗議の中、モロッコのコンサートに出演へ。雑誌インタビューでキリストもゲイだったと発言したことからエジプトでのコンサート予定が中止に追い込まれたばかり。:記事を探すのが面倒だからパスするけど、先週マラウィで14年の懲役刑を言い渡されたゲイの夫婦について、人権問題だと非難の声が上がる中、ナイジェリアの前大統領が「胸糞が悪い」などの暴言を吐いたとか。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/africa/10161040.stm
日本のTOTOが未来型トイレで、世界のトイレ文化を変えると意気込んでいる。:何年か前、”アメリカのお母さん”が来た時に、何より気に入ったのがウォシュレット便座だった。お店でいろいろ調べさせて、メーカーにまで問い合わせをさせるので、本気で買うつもりなのかと思った。さすがに買いはしなかったけど、帰国してすぐにインターネットで調べたらアメリカでもちゃんと売っていて、それを買ったみたいだった。記事でもWashletがそのまま使われている。TOTOさん、がんばれ。
http://www.guardian.co.uk/technology/2010/may/25/toto-toilets-launch
泥棒が侵入するために入り口だけをぶっ飛ばすつもりの爆薬の量を計算し間違えて、ドイツの銀行がこっぱみじん。付近のビルやら止めてあった車も被害に。金庫と人は無傷だったけど、盗人さんたちは何も盗れずに逃げたらしい。:おっかし~。キモ冷やしただろうなぁ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/europe/10161486.stm
事故で脳死状態になった家族の臓器提供に同意した体験を持つ方の語りという
滅多に知ることのできない貴重な内容が含まれている。(P.49-59)
仮名で、聞き手は市野川容孝氏。
結論としては「今はむしろ強く後悔しています」と言い、
制度があるから、その制度の中でやったことは一応間違っていないことになるけれど、
自分自身の中の割り切れなさを正面から見つめていると、
制度自体が間違っていると感じるようになった、という思いを
率直に語っておられます。
いくつか、特に印象的だった内容について。
臓器提供について、「いいじゃん、どうせ死んでしまう人なんだから。臓器提供して救われる人がいて、生きられた人たちがこんなに楽しそうにしているんだから、誰が損をするの?」という人がいるかもしれません。でも、それには私は「損得ではない」と言いたい。これは経済的な話ではないし、まして誰かの利益ということで考えていい話ではないのだと。生きることは損得や利益ではなく、それ自体が別の価値なわけですから、損得の話で納得したり、正当化したりしてはいけないと思います。
(「やってもいい」を前提した「利益対リスクまたは害」検討も
これと全く同じ損得勘定なのではないか、と思う。
その検討以前に「できるとしてもやってはならない」という別の価値があることから
わざと目を逸らせて話が始まるのは、技術の適用を前提にした合理化のマヤカシ)
・本人が脳死からの臓器提供に同意するドナーカードを持っていたから
家族として自分も同意したが、果たして摘出時点で本人が本当に
摘出されていいと考えていたかどうかは分からない、ということを
ずっと考え、引きずっている。
・結局聞くことができるのは「受け取ってよかった」という話だけで、
摘出された人、移植を受けたけど亡くなった人の(声なき)2者が忘れられている。
・この家族の脳死と同時期に、別の家族のガン死を看取った。
ガン死の家族の時は顔の表情の変化などスローな死のプロセスを見届けた感じがあるが、
脳死の場合は、「何が途中でブチッと切られた感じ」で看取ったという感じがない。
最後の死の瞬間に居合わせていないことが、ブチッと切れた感じに繋がっているのかも。
・救急医が、脳死が人の死だとは決して言わず
最後まで治療する姿勢でいてくれたことがありがたかった。
それに対して移植医には臓器が必要なだけなんだなと感じた。
・家族は希望すれば脳死判定だけでなく摘出手術も見れることになっているのに
誰もそのことを積極的に教えてくれず、むしろ見せたくないようだった。
移植医もこちらとの接触を避けようとしていて、罪悪感があるならやらなければいいのに、と思った。
・家族が整理できない気持ちを抱えて
こうして悩まなければならないこと自体が不自然なこと。
・同意することで自分が最終的に殺したのかとの自問がある。
元気な時に提供したいと聞かされていても、
いざその時の本人の気持ちは誰にもわからない。
家族で話し合ってドナーカードを書けと言われるが、
実際に体験しない限り、そんな話し合いは無理。
身体は自分のものだし、自己決定、自己責任であげるんだから、いいじゃん、と考える人がいるかもしれないけど、責任をとるというのは、元に戻せるということなんだよ、元に戻せなかったら、責任はとれないんだよ、と私は言いたい。身体とか、生きるとか死ぬとかは、そもそも自分で責任を取りきれることではないし、とらなくていい。変に責任を取ろうとして、逆に窮屈になっている気がする。責任をとれないんだから、許したり、あきらめたりということにすればいいのに。
……そもそも身体は、やりとりできるようなものではないんだから。
あきらめなくてはいけないことが最後にはあると思うんです。誰かのものだと思ったらほしくなるけど、誰のものでもないなら、もらうこともできないのではないか。所有を主張していいものでは、身体はないということだけは、確かじゃないかと思います。
この人は、二度と家族の臓器提供には同意できないけど、
自分自身は臓器提供したいと考えている。
同意したことを罪だと感じていて、それを償うためには
自分自身の臓器を移植に使ってもらう以外にないと考えているから。
しかし、それは傲慢なことで、愛する人たちをまた罪に陥れることだとしたら、
いったい私はどうしたらよいのか。
もちろん、この人と同じ立場でも、全然、後悔していない人もいる。
この人の語りの中にも、
むしろ積極的に臓器移植を推進しようとする家族の会の人の姿が出てくる。
そこのところで、
そんなふうに後悔していない人や、後悔しないために活動に向かう人の声は
私たちにも聞こえる機会はあるのだろうけれど、
市野川氏が聞き取りしているこの人のように後悔している人は
本当はあまり語りたくないだろうから、こういう声は、
やっぱり私たちの耳には届きにくい……ということを考えながら読んでいたら、
ふと思い出したドキュメンタリー番組の一場面があった。
複数の臓器の移植を必要としてドナーが現れるのを待っている幼い子どもを抱いたお母さんが、
病院の廊下で、腕の中の子どもに「移植、受けるでしょ」と聞く。
子どもは困ったような顔になって答えなかった。
「受けるんでしょ」お母さんが、ちょっと強い口調になる。
「受けないと死んでしまうんだよ」
子どもは泣きそうな顔になり、小さな声で聞いた。
「でも、僕がもらったら、その子が死んじゃうんでしょ」
ここで、お母さんがどういう説明をしたのか具体的な言葉までは覚えていないのだけど、
命の贈り物として説明したと思う。その流れで最後に「だから、移植、受けるよね」
たたみかけられて、子どもは黙ったまま小さくうなずいた。
それを思い出して、
「子どもに移植を受けさせたけど亡くなって、
受けさせなかった方が良かったんじゃないかと後悔している親」の声もまた、
私たちには、まず聞こえてこないのだろう……ということを思った。
それから、幼い子供であったとしても「いやだ」という一言を言わせてもらえる機会を
本当の意味で、親の誘導から自由になれる状況で、保障される権利……ということは
考えなくてもいいのだろうか……みたいなことと。