トンデモ生命倫理学者のJulian SavulescuがBioethics誌で
「臓器提供安楽死」を提唱したことについては、
5月から以下の2つのエントリーで紹介してきました。
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
その時から、いずれ近いうちに、こういう声が
具体的な患者さんから上がるのだろうとは思っていましたが、
予想外に早く上がってきました。
以下、今日のニュースから。
―――――――
Georgia州West Cherokee郡在住の Gary Phebusさん(62)は
2008年にALSと診断された。
まさか自分が、と信じられない思いだったという。
その後、Phebusさんはインターネットで臓器移植のことを調べ始め、
臓器が必要な人たちが長い間待たされている実情を知る。
そして、今、生きている、この状態で、臓器を提供したい、
提供することによって自分は死ぬのだと分かった上で、提供したい、と希望している。
「私はもう死の宣告を受けたわけで、あとは時間の問題に過ぎません。
臓器を待っている人がいるのだから、もし私がどうせ死ぬのであれば
私の臓器がまだ使える状態の間に持って行ってもらってかまわない。
それで10人の命を救ってもらえばいい」
「正しいことをしているだけだという気がします。
だって臓器が足りないんだから。
それを自殺だとは感じません。
他の人が生きられる可能性があるなら、
そのチャンスをあげようというだけです」
妻も4人の子どもたちもPhebusさんの考えに賛成している。
しかし、連邦法によって臓器提供を行うには
その人は脳死になっているか、または心臓死によって死んでいなければならないため、
いかに多くの人が臓器を待っていようとPhebusさんの願いは実現できない。
Phebusさんは、そういう法律を作ってほしい、と希望しているが、
州議員たちは、その可能性には否定的。
この記事によると、臓器移植を待っている人は全米で10万8000人。
ジョージア州だけでも3000人以上。
記事の最後にPhebusさんのホンネがちらりと見えていて、
彼の望みは、まだ使えるうちに臓器を提供したいというだけではなく、
これから何年もに渡って医療費を請求されては
保険会社に請求しなければならないなんて避けたいのだ、とも。
(医療保険をかけている人でも、
給付を受けようと思ったら保険会社との間で消耗戦のバトル覚悟で、
という話は米国の医療については、よく聞きます)
「だって、どうせ私は今でも死んでいるようなものなんですよ。
I’m dead anyway.
そりゃ、私だって生きたいけれど、
どう転んだって、死ぬんだから」
Man tries to donate organs - now
Cherokee Tribune, July 25, 2010
今回、このニュースを読んで、思ったのは、
なるほどぉ。
Georgia州かぁ……。
Georgia州といえば、
去年2月、FENによる一連の自殺幇助事件の口火が切られたところ。
つまり、それだけFENが入り込んでいる、
ということは、当然、C&Cも入り込んでいるところ――。
【FEN自殺幇助事件関連エントリー】
尊厳死アドボケイト団体の幹部4人を逮捕、他8週も自殺幇助容疑で家宅捜査(米)
精神障害者への自殺幇助でもthe Final Exit に家宅捜査
Final Exit 自殺幇助事件続報:130人の自殺に関与か?
Final Exit Networkの公式サイトを読んでみた
CA州の自殺幇助事件続報
自殺幇助合法化議論、対象者がズレていることの怪
Final Exit自殺幇助事件、週末の続報
「ホスピスだって時間をかけた自殺幇助」にホスピス関係者が激怒
FEN創設者GoodwinのAP通信インタビュー
FENの自殺幇助ガイド養成マニュアル
精神障害者の自殺幇助で新たにFEN関係者4人を逮捕
FENが自殺幇助合法化プロモビデオをYouTubeにアップ
OhioでもFENによる自殺幇助事件か(2009/6/18)
久々にFinal Exit Network自殺幇助事件の続報(2009/10/16)
「臓器提供安楽死」を提唱したことについては、
5月から以下の2つのエントリーで紹介してきました。
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
その時から、いずれ近いうちに、こういう声が
具体的な患者さんから上がるのだろうとは思っていましたが、
予想外に早く上がってきました。
以下、今日のニュースから。
―――――――
Georgia州West Cherokee郡在住の Gary Phebusさん(62)は
2008年にALSと診断された。
まさか自分が、と信じられない思いだったという。
その後、Phebusさんはインターネットで臓器移植のことを調べ始め、
臓器が必要な人たちが長い間待たされている実情を知る。
そして、今、生きている、この状態で、臓器を提供したい、
提供することによって自分は死ぬのだと分かった上で、提供したい、と希望している。
「私はもう死の宣告を受けたわけで、あとは時間の問題に過ぎません。
臓器を待っている人がいるのだから、もし私がどうせ死ぬのであれば
私の臓器がまだ使える状態の間に持って行ってもらってかまわない。
それで10人の命を救ってもらえばいい」
「正しいことをしているだけだという気がします。
だって臓器が足りないんだから。
それを自殺だとは感じません。
他の人が生きられる可能性があるなら、
そのチャンスをあげようというだけです」
妻も4人の子どもたちもPhebusさんの考えに賛成している。
しかし、連邦法によって臓器提供を行うには
その人は脳死になっているか、または心臓死によって死んでいなければならないため、
いかに多くの人が臓器を待っていようとPhebusさんの願いは実現できない。
Phebusさんは、そういう法律を作ってほしい、と希望しているが、
州議員たちは、その可能性には否定的。
この記事によると、臓器移植を待っている人は全米で10万8000人。
ジョージア州だけでも3000人以上。
記事の最後にPhebusさんのホンネがちらりと見えていて、
彼の望みは、まだ使えるうちに臓器を提供したいというだけではなく、
これから何年もに渡って医療費を請求されては
保険会社に請求しなければならないなんて避けたいのだ、とも。
(医療保険をかけている人でも、
給付を受けようと思ったら保険会社との間で消耗戦のバトル覚悟で、
という話は米国の医療については、よく聞きます)
「だって、どうせ私は今でも死んでいるようなものなんですよ。
I’m dead anyway.
そりゃ、私だって生きたいけれど、
どう転んだって、死ぬんだから」
Man tries to donate organs - now
Cherokee Tribune, July 25, 2010
今回、このニュースを読んで、思ったのは、
なるほどぉ。
Georgia州かぁ……。
Georgia州といえば、
去年2月、FENによる一連の自殺幇助事件の口火が切られたところ。
つまり、それだけFENが入り込んでいる、
ということは、当然、C&Cも入り込んでいるところ――。
【FEN自殺幇助事件関連エントリー】
尊厳死アドボケイト団体の幹部4人を逮捕、他8週も自殺幇助容疑で家宅捜査(米)
精神障害者への自殺幇助でもthe Final Exit に家宅捜査
Final Exit 自殺幇助事件続報:130人の自殺に関与か?
Final Exit Networkの公式サイトを読んでみた
CA州の自殺幇助事件続報
自殺幇助合法化議論、対象者がズレていることの怪
Final Exit自殺幇助事件、週末の続報
「ホスピスだって時間をかけた自殺幇助」にホスピス関係者が激怒
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OhioでもFENによる自殺幇助事件か(2009/6/18)
久々にFinal Exit Network自殺幇助事件の続報(2009/10/16)
2010.07.25 / Top↑
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